(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態1]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、実施の形態1にかかるモバイルルータを例示するブロック図である。
図1に示すように、モバイルルータ101は、アンテナ11と受信部101aと送信部101bとACS(Auto Channel Selection)部18とを備える。
【0016】
モバイルルータ101は、アンテナ11を介して端末81と通信を行い、端末81から受信した信号を通信網へ送信し、通信網から受信した信号を端末81に対して送信する。当該モバイルルータ101は、図示しない内部電源により動作し、ユーザは持ち運び可能である。
【0017】
受信部101aは、端末81から受信した信号を処理する。受信部101aは、複数の周波数帯域幅のそれぞれに対応した複数の受信回路を備えている。
【0018】
送信部101bは、端末81に対して信号を送信する処理を実行する。
【0019】
ACS(Auto Channel Selection)部18は、周辺の周波数の混雑状況(通信状況)を測定し、測定した結果に基づいて通信に使用する周波数帯域幅を決定する。ACS部18は、通信に使用する周波数帯域幅に対応した受信回路を複数の受信回路のうちから選択し、その受信回路が選択されている間、非選択の受信回路に対する電源供給を制限する。好適にはその非選択の受信回路に対しては、電源供給を停止する。
【0020】
本実施の形態におけるモバイルルータ101によれば、非選択の受信回路への電源供給を制限するようにしたため、モバイルルータの消費電力の低減を図ることができる。
【0021】
[実施の形態2]
図2は、実施の形態2にかかるモバイルルータを例示するブロック図である。
【0022】
実施の形態2においては、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)の信号を受信する場合について説明する。ただし、OFDMの場合には限定されない。多重化方式は、例えば、FDM(Frequency Division Multiplexing)、TDM(Time Division Multiplexing)又はCDM(Code Division Multiplexing)等でもよい。
【0023】
図2に示すように、モバイルルータ101の受信部101aは、ゲイン調整部12と直交検波部13とAD変換部14と周波数調整部15とGI(Guard Interval)除去部16とFFT(Fast Fourier Transform)部17と等化部19と復調部20と誤り訂正部21と復号部22とを備える。また、端末81は、受信部81aと送信部81bと制御部81cと記憶部81dとを備える。
【0024】
ゲイン調整部12は、端末81から送信されアンテナ11で受信した信号を増幅させて一定の大きさにする。このとき、ゲイン調整部12は、信号の受信電力が低い場合はゲイン(利得)を大きくするように増幅し、信号の受信電力が高い場合はゲインを小さくするように増幅する。これにより、ゲイン調整部12の出力における信号の電力をほぼ一定にする。
【0025】
直交検波部13は、ゲイン調整部12から伝達された信号を直交検波(直交復調)する。直交検波された信号は、同相(In-phase)成分の信号と直交位相(Quadrature)成分の信号とに分けられる。
【0026】
直交検波部13で直交検波された信号はアナログ信号である。AD変換部14は、このアナログ信号をAD(Analog Digital)変換によりディジタル信号に変換する。
【0027】
端末81やモバイルルータ101が移動する場合などでは、これらの移動によるドップラー効果のため、端末81やモバイルルータ101が送信するキャリア周波数を受信する受信側において周波数のずれが生じる場合がある。周波数調整部15は、この周波数のずれを少なくするような調整を行う。
【0028】
端末81から送信される送信信号には、ガードインターバルGIが、データの前方に挿入されている。これは、データが、時間的に前後となるマルチパス遅延波データと相互に干渉しないようにするためのものである。GI除去部16は、周波数調整部15の信号からガードインターバルGIを除去する。
【0029】
ここで、複数のモバイルルータが設置されている状況を想定した場合、それぞれのモバイルルータが端末と通信を行う環境下では、複数の周波数が使用されるため使用可能な周波数帯域幅は限られる。そこで、ACS部18が、モバイルルータ101の周辺の周波数の使用状況(混雑状況)を測定する(調べる)。測定した結果、予め決められた閾値電力よりも小さい受信電力を有する第1周波数帯域幅Bw1を求める。
【0030】
第1周波数帯域幅Bw1は、別のモバイルルータは使用していない空きの周波数帯域幅であることがわかる。従って、第1周波数帯域幅Bw1を使用可能な周波数帯域幅と判断し、端末81との通信に使用する周波数帯域幅Bwとして決定する。なお、周波数帯域幅Bwは、ACS部18からFFT部17のスイッチ17swに伝達される。
【0031】
このように、通信の混雑状況に応じて周波数帯域幅Bwが決定される。例えば、通信が混雑している場合、周波数帯域幅Bwは20MHzに決定され、通信が混雑していない場合、周波数帯域幅Bwは80MHzに決定される。
【0032】
なお、実施の形態2においては、使用可能な周波数帯域幅Bw(周波数チャネル)の選択方法(決定方法)に、ACSを用いる例を示した。これには限定されない。周波数帯域幅Bwの選択方法は、ACSとは別の各種の先行技術により実現されてもよい。
【0033】
受信部101aは、複数の周波数帯域幅のそれぞれに対応した複数の受信回路を含む。複数の周波数帯域幅に対応したそれぞれの受信回路は、例えば、複数のFFT回路のそれぞれを含む。複数の周波数帯域幅のそれぞれに対応した複数のFFT回路とスイッチ17swは、FFT部17に含まれる。複数のFFT回路は、例えば、64ポイントFFT回路17aと、256ポイントFFT回路17bと、1024ポイントFFT回路17cと、を有する。
【0034】
ACS部18は、FFT部17のスイッチ17swを操作し、周波数帯域幅Bwに対応したFFTポイント数でFFT(高速フーリエ変換)処理を行う第1FFT回路17fcを、複数のFFT回路のうちから選択する。ACS部18は、第1FFT回路17fcが選択されている間、第1FFT回路17fc以外のFFT回路の電源供給を低消費電力化のため制限する。好適には第1FFT回路17fc以外のFFT回路に対しては、電源供給を停止する。
【0035】
なお、選択されるFFT回路は、周波数帯域幅Bwに依存するので、1つでも良いし複数でもよい。また、FFT処理は、GI除去部16からFFT部17に伝達された信号に対して行う。
【0036】
ここで、周波数帯域幅Bwに対応したFFTポイント数でFFT処理を行うことについて具体例を挙げて説明する。
【0037】
周波数帯域幅Bwが、例えば、20MHzの場合、対応するFFTポイント数は64ポイントであり、第1FFT回路17fcとして64ポイントFFT回路17aが選択されFFT処理が行われる。64ポイントFFT回路17aが選択されている間、使用する周波数帯域幅Bwに対応する部分(この例では64ポイントFFT回路17a)に限定し電源をオンにして動作させる。すなわち、64ポイントFFT回路17a以外のFFT回路の電源供給を制限する。
【0038】
また、周波数帯域幅Bwが、例えば、40MHzの場合、対応するFFTポイント数は256ポイントであり、第1FFT回路17fcとして256ポイントFFT回路17bが選択されFFT処理が行われる。また、周波数帯域幅Bwが、例えば、80MHzの場合、対応するFFTポイント数は1024ポイントであり、第1FFT回路17fcとして1024ポイントFFT回路17cが選択されFFT処理が行われる。
【0039】
このように、モバイルルータ101は、予め決められた閾値電力よりも小さい受信電力を有する第1周波数帯域幅Bw1を周波数帯域幅Bwに決定する機能と、周波数帯域幅Bwに対応して非選択のFFT回路の電源供給を制限する機能とを有する。すなわち、モバイルルータ101は、通信の混雑状況に応じて受信回路(FFT部17)を制限する機能を有する。
【0040】
なお、周波数帯域幅Bwは、20、40、80MHzには限定されない。その他の周波数帯域幅でもよい。また、対応するFFTポイント数は、64、256、1024以外のポイント数でもよく、FFT部17は、64、256、1024以外のFFTポイントで処理するFFT回路を有していてもよい。
【0041】
端末81とモバイルルータ101との間の通信路において、信号は、反射等により位相変動や振幅変動が生じる。これらの変動分を通信路の伝達関数という。すなわち、受信した信号は、送信信号に通信路の伝達関数を掛けたものになる。等化部19は、受信した信号に、この通信路の伝達関数の逆数を掛けることにより、通信路における反射等による位相変動や振幅変動を取り除いている。等化の方法には、例えば、ゼロフォーシングがある。
【0042】
復調部20は、等化部19から復調部20に伝達された信号を復号する。すなわち、復調部20は、同相成分Iと直交位相成分Qとを含むシンボルデータ(信号)を、1つの信号系列に変換する。シンボルデータをデマッピングして1つの信号系列の信号に変換する。
【0043】
誤り訂正部21は、復調部20から誤り訂正部21に伝達された信号に対して誤り訂正処理を行う。これにより、誤り訂正部21に伝達された信号の誤り率を低下して信号の信頼度を向上させる。
【0044】
復号部22は、端末81において符号化された信号を復号する。端末81において、畳み込み符号化された信号の復号には、例えば、ビタビ復号法が用いられる。
【0045】
図3は、周波数帯域幅Bwに対する受信時の消費電力を例示する模式的グラフである。
図3において、縦軸は受信時の消費電力Pr(W)を示し、横軸は周波数帯域幅Bw(MHz)を示す。
【0046】
図3に示すように、周波数帯域幅Bwが20MHzの場合の消費電力は、80MHzの場合の消費電力よりも小さい。すなわち、周波数帯域幅Bwが小さくなると、受信時の消費電力Prは小さくなる。
【0047】
図4は、Radix4(基底4)による64ポイントFFTのアーキテクチャを例示するブロック図である。
図5は、Radix4(基底4)による256ポイントFFTのアーキテクチャを例示するブロック図である。
【0048】
図4及び
図5に示すように、64ポイントFFT回路及び256ポイントFFT回路には、複数のメモリと複数のRadix4のバタフライ演算処理とが含まれる。FFT回路は、これらのメモリと演算処理とを含むので消費電力が大きくなる。受信機全体の消費電力のうち、FFT回路の消費電力が占める割合は大きい。
【0049】
また、256ポイントFFT回路に含まれるメモリの数は、64ポイントFFT回路に含まれるメモリの数よりも多い。バタフライ演算処理についても同様である。すなわち、FFTポイント数が多くなると、消費電力が大きくなる。従って、必要最低限のFFT回路のみの電源をオンにして、それ以外のFFT回路の電源供給を制限し、例えば、電源をオフすることが望ましい。
【0050】
一方、サブキャリアの数に応じて受信に必要とされるFFTポイント数は変化する。サブキャリアの数が多くなると必要とされるFFTポイント数は多くなる。また、サブキャリアの数に応じて必要とされる周波数帯域幅Bwは変化する。サブキャリアの数が多くなると周波数帯域幅Bwは大きくなる。
【0051】
従って、モバイルルータ101は、通信に使用する周波数帯域幅Bwに対応するFFT回路に限定して動作させることが望ましい。すなわち、周波数帯域幅Bwに対応するFFT回路のみの電源をオンにして、それ以外のFFT回路の電源供給を制限する。
【0052】
実施の形態2においては、上述のように、FFT部17が周波数帯域幅Bwに対応したFFTポイント数でFFT処理を行う第1FFT回路17fcを、複数のFFT回路のうちから選択し、非選択のFFT回路の電源供給を制限する。これにより、必要とされない部分の電源供給が制限されるため、モバイルルータの消費電力の低減を図ることができる。
【0053】
次に、実施の形態2にかかる通信方法について説明する。
図6は、実施の形態2にかかる通信方法を例示するフローチャートである。
【0054】
図6に示すように、モバイルルータ101のACS部18は、モバイルルータ101の周辺の周波数の使用状況(混雑状況)を測定する(ステップS101)。
【0055】
次に、ACS部18は、測定した結果に基づいて端末81との通信に使用する周波数帯域幅Bwに決定する。例えば、ACS部18は、予め決められた閾値電力よりも小さい受信電力を有する第1周波数帯域幅Bw1を探す(ステップS102)。この閾値電力よりも小さい受信電力は、現在、他のモバイルルータが使用していない周波数帯域幅と考えられる。
【0056】
次に、ACS部18は、第1周波数帯域幅Bw1を、端末81との通信に使用する周波数帯域幅Bwに決定する(ステップS103)。
【0057】
次に、ACS部18は、周波数帯域幅Bwが20MHz(メガヘルツ)である場合、64ポイントFFT回路17aを選択する(ステップS104)。
【0058】
次に、ACS部18は、周波数帯域幅Bwが20MHzである場合、GI除去部16と64ポイントFFT回路17aとが接続されるようにスイッチ17swを切り替える(ステップS105)。
【0059】
次に、ACS部18は、64ポイントFFT回路17aが選択されている間、64ポイントFFT回路17a以外のFFT回路の電源供給を制限し、例えば、電源をオフにする。すなわち、FFT回路のうち、64ポイントFFT回路17aの電源のみをオンにする(ステップS106)。
【0060】
また、ACS部18は、周波数帯域幅Bwが20MHzではなく40MHzである場合、256ポイントFFT回路17bを選択する(ステップS107)。
【0061】
次に、ACS部18は、周波数帯域幅Bwが20MHzではなく40MHzである場合、GI除去部16と256ポイントFFT回路17bとが接続されるようにスイッチ17swを切り替える(ステップS108)。
【0062】
次に、ACS部18は、256ポイントFFT回路17bが選択されている間、256ポイントFFT回路17b以外のFFT回路の電源供給を制限し、例えば、電源をオフにする。すなわち、FFT回路のうち、256ポイントFFT回路17bの電源のみをオンにする(ステップS109)。
【0063】
次に、ACS部18は、周波数帯域幅Bwが20MHzではなく40MHzではなく80MHzである場合、1024ポイントFFT回路17cを選択する(ステップS110)。
【0064】
また、ACS部18は、周波数帯域幅Bwが20MHzではなく40MHzではなく80MHzである場合、GI除去部16と1024ポイントFFT回路17cとが接続されるようにスイッチ17swを切り替える(ステップS111)。
【0065】
次に、ACS部18は、1024ポイントFFT回路17cが選択されている間、1024ポイントFFT回路17c以外のFFT回路の電源供給を制限し、例えば、電源をオフにする。すなわち、FFT回路のうち、1024ポイントFFT回路17cの電源のみをオンにする(ステップS112)。
【0066】
次に、ACS部18は、取得した周波数帯域幅Bwが20MHzではなく40MHzではなく80MHzでもない場合、ステップS101に戻る。
【0067】
これらのステップS101〜S112により、低消費電力化が可能な通知装置及び通信方法を提供することができる。なお、上述のステップS101〜S112の一部又は全ては、モバイルルータ101の図示しないCPU(Central Processing Unit)がプログラム(通知制御プログラム)を実行することにより実現してもよい。すなわち、ステップS101〜S112は、コンピュータに実行させるプログラムであってもよい。また、ステップS101〜S112は、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現されてもよい。
【0068】
また、ACS部18は、モバイルルータ101とは別のモバイルルータからネットワークを介して、又は端末81を介して通知される周波数帯域幅割当情報に基づいて、割当てられていない周波数帯域幅(チャネル)を、通信に使用する周波数帯域幅Bwとして決定してもよい。
【0069】
また、ACS部18は、ゲイン調整部12の出力信号を使用して周波数の使用状況を測定する例を説明した。これには限定されない。例えば、直交検波部13の出力信号から周波数の使用状況を測定してもよい。
【0070】
図7は、実施の形態2において使用する周波数帯域幅を例示する図である。
図8は、実施の形態2において使用する周波数帯域幅を例示する図である。
【0071】
図7は、無線LANの規格の1つであるIEEE802.11nの2.4GHz帯のチャネルにおいて、実施の形態2を適用した場合のチャネル割り当て一例を示している。2.4GHz帯においては、チャネルは1〜13chまで存在する。
【0072】
ACS部18がモバイルルータ101の周辺の周波数の使用状況を測定し、予め決められた閾値電力よりも小さい受信電力を有する周波数帯域を探した結果、チャネル1chが該当した。そこで、
図7に示すように、チャネル1chを、端末81との通信に使用する周波数帯域に決定した。
【0073】
これにより、予め、20MHz帯域幅を有するチャネル1chを使用してサービスを開始することができる。その結果、モバイルルータ101の受信回路(FFT回路)の電流を削減(低減)することができる。
【0074】
図8は、IEEE802.11nのW52帯の場合の例である。この場合においても、実施の形態2によれば、前述の2.4GHz帯の場合と同様にして、20MHz帯域幅で動作を開始することができる。これにより、モバイルルータ101の受信回路の省電力化を図ることができる。
【0075】
なお、W52帯において実施の形態2を適用しない場合、自局(モバイルルータ101)が使用する80MHz幅を有する拡張チャネルに他局(モバイルルータ101とは別のモバイルルータ)が使用する別のチャネルが被ることがある。これにより、混信が発生し、再送等でスループットが低下することがある。
【0076】
一般的に、FFT回路の切り替えは、例えば、ナノ秒単位で切り替える必要がある。しかし、例えば、64ポイントFFT回路と256ポイントFFT回路をナノ秒単位で動的に切り替えることは難しい。このため、256ポイントFFT回路から64ポイントFFT回路に切り替える場合、例えば、一度、無線サービス(アクセスポイント)の動作を停止し、アクセスポイント内のFFT回路設定用レジスタの値を変更することにより切り替える。
【0077】
そこで、実施の形態2においては、アクセスポイント(モバイルルータ101)が動作を開始する際に、利用可能な周波数帯域幅(周波数チャネル)を検出し、予め縮退した状態(使用するFFT回路を最適化した状態)で動作を開始する。例えば、周波数帯域幅Bwが20MHzである場合、64ポイントFFT回路17aを設定し、縮退した状態で動作を開始することができる。従って、上述のように、アクセスポイントの動作を一度停止する必要はない。
【0078】
このように、縮退動作が予測される場合には、予め、より少ないFFTポイント数を有するFFT回路を動作させてモバイルルータの動作を開始することができる。これにより、必要とされない部分の電源供給が制限されるため、モバイルルータの消費電力の低減を図ることができる。その結果、低消費電力化が可能なモバイルルータ及びその通信方法を提供することができる。
[実施の形態2の比較例1]
図9は、実施の形態2の比較例1において使用する周波数帯域幅を例示する図である。
図9は、IEEE802.11acにおいて、端末が送信する周波数帯域幅(上段)とモバイルルータが受信する周波数帯域幅(下段)を示す。
【0079】
IEEE802.11acにおいては、使用する周波数帯域幅はVHT80からVHT160と増加している。そして、送信側は、使用する周波数帯域幅(使用チャネル幅)のDynamic Operationの仕様により、混信せずに通信ができるようになっている。
【0080】
一方、受信側は、周波数が混雑した環境下でも当初に設定した最大のFFT回路を有効にして待ち受けが行われており、消費電力が大きいままである。IEEE802.11acにおいては、例えば、
図9に示すように、80MHz帯域幅で待ち受けをする必要があり、消費電力が大きい。
【0081】
[実施の形態2の比較例2]
図10は、実施の形態2の比較例2において使用する周波数帯域幅を例示する図である。
図10は、HT2040設定の場合における周波数帯域幅を例示する。端末が送信する周波数帯域幅(上段)とモバイルルータが受信する周波数帯域幅(下段)を示す。
【0082】
図10に示すように、端末の送信周波数帯域幅は、例えば20MHzである。一方、モバイルルータは、最大のFFT回路を有効にして待ち受けを行う必要があるため、受信周波数帯域幅は40MHzとなり、消費電力が大きい。
【0083】
[実施の形態3]
次に、実施の形態3について説明する。
図11は、実施の形態3にかかわる端末とモバイルルータとの間の通信を例示するシーケンス図である。
【0084】
図11に示すように、例えば、電源オンをトリガーとして、モバイルルータ101のACS部18は、端末能力情報リクエストを送信部101bへ伝達する。次に、送信部101bは、端末能力情報リクエストを端末81に向けてブロードキャスト(送信)する。端末能力情報リクエストは、モバイルルータに接続する全ての端末が受信可能な信号である。
【0085】
次に、端末81の受信部81aは、端末能力情報リクエストを受信する。次に、受信部81aは、端末能力情報リクエストを制御部81cへ伝達する。次に、制御部81cは、送信部81bに対して端末能力情報を記憶部81dから読み出すように指示を出す。次に、送信部81bは、読み出し操作を行い、端末能力情報を記憶部81dから読み出す。次に、送信部81bは、読み出した端末能力情報をモバイルルータ101に向けて送信する。
【0086】
次に、受信部101aは、端末能力情報を受信する。次に、受信部101aは、端末能力情報をACS部18に伝達する。このようにして、モバイルルータ101のACS部18は、端末81の端末能力情報を取得する。
【0087】
取得した端末能力情報には、例えば、端末81の通信可能な周波数帯域幅である第2周波数帯域幅Bw2が含まれる。
【0088】
そこで、ACS部18は、端末能力情報に基づいて端末81とモバイルルータ101との通信に使用する周波数帯域幅Bwを決定する。例えば、端末能力情報内の第2周波数帯域幅Bw2が40MHzの場合、ACS部18は周波数帯域幅Bwを40MHzとして決定する。
【0089】
図12は、実施の形態3において使用する周波数帯域幅を例示する図である。
図12は、端末81とモバイルルータ101等も共に示す。
【0090】
図12に示すように、端末能力情報に含まれる端末81の通信可能な周波数帯域幅である第2周波数帯域幅Bw2が、端末81からモバイルルータ101に通知される。この例では、第2周波数帯域幅Bw2として、例えば20MHzが、端末81からモバイルルータ101に通知される。その結果、モバイルルータ101は、端末81の周波数帯域幅と同じ20MHzに対応した受信回路に制限して動作を開始することができる。なお、端末81の通信可能な周波数帯域幅(第2周波数帯域幅Bw2)は、例えば、端末81が有するIFFT(Inverse FFT)回路等により決まる。
【0091】
このように、実施の形態3においては、端末の通信可能な周波数帯域幅を考慮して受信回路を制限するので、モバイルルータの消費電力をさらに低減することができる。
【0092】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。