(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6801933
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】空調吹出口の風向調整装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20201207BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
F24F13/08 B
F24F13/20
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-51261(P2017-51261)
(22)【出願日】2017年3月16日
(62)【分割の表示】特願2016-565077(P2016-565077)の分割
【原出願日】2016年7月11日
(65)【公開番号】特開2018-9778(P2018-9778A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】598112279
【氏名又は名称】佐伯 午郎
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 午郎
【審査官】
石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3098996(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3088899(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3174256(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0242214(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に配置され、前記空調吹出口から吹き出される空気を受け、全体的に長方形の外形を有する第1面板部と、
前記第1面板部を前記空調吹出口の前方に取り付ける取付部と、
前記第1面板部に他の面板部を連結する連結部と、
前記連結部によって前記第1面板部の短辺に連結される、前記第1面板部の短辺に対して45度傾く斜辺を非連結側に有する第2面板部と、を備える、
空調吹出口の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、空調吹出口の風向調整装置及びその連結部材を開示する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビルや店舗、病院、家屋等の各種建物には、室内の空気調和を行う空調機が設置されている。空調機には、天井や壁等に埋め込むタイプや、天井から吊り下げるタイプ、壁面に据え付けるタイプがあるが、何れも空気調和された空気を室内へ吹き出す空調吹出口が備わっている点で共通する。
【0003】
ところで、空気の比重が温度に反比例するため、暖かい空気は室内の上部に溜まる。また、冷たい空気は室内の下部に溜まる。よって、空調機は、例えば、冷房運転を行う場合には室内の上部に溜まる暖かい空気を効率的に吸い込んで空気調和できるように、空調吹出口から室内の下部へ向けて冷気を吹き出す。したがって、空調吹出口から吹き出る冷気が室内の人へ当たるのを避けるために、例えば、特許文献1に示すような、空調吹出口の風向を調整する器具が市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3114170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空調機に備わる空調吹出口の大きさや吹き出し方向は様々である。例えば、室内の天井に埋め込むタイプの空調機の場合、例えば、互いに平行な細長い2つの空調吹出口で2方向に空気を吹き出し可能なものや、細長い空調吹出口が直角に隣り合っていて4方向に空気を吹き出し可能なものがある。一般的に、2つの空調吹出口で2方向に空気を吹き出す空調機の場合、4つの空調吹出口で4方向に空気を吹き出す空調機に比べて、空調吹出口の長さが長い。
【0006】
よって、空調吹出口に取り付ける市販の風向調整装置は、設置される箇所にある空調吹出口の長さに合うように伸縮する機能や、直角に隣り合う細長い2つの空調吹出口に沿うように直角な形態に変形する機能があると便利である。しかし、風向を調整する板状の部材を伸縮する機能と直角な形態に変形する機能との両立は構造的に複雑である。また、風向調整装置が本来的に求められる風向調整機能に比べると、伸縮機能や変形機能は付加的な機能に過ぎないため、伸縮機能と変形機能を実現する機構が風向調整機能を実現する機構より複雑であることは好ましくない。
【0007】
そこで、本願は、風向を調整する板状の部材を簡素な機構で伸縮したり直角な形態にしたりすることが可能な空調吹出口の風向調整装置及びその連結部材を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、空調吹出口から吹き出される空気を受ける第1面板部と他の面板部とを連結する連結部を設けることにした。
【0009】
詳細には、本発明は、空調吹出口の風向調整装置であって、空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に配置され、空調吹出口から吹き出される空気を受ける第1面板部と、第1面板部を空調吹出口の前方に取り付ける取付部と、第1面板部に他の面
板部を連結する連結部と、を備える。
【0010】
上記の風向調整装置であれば、第1面板部に連結部で様々な他の面板部を連結可能であるため、適宜の形状の面板部を第1面板部に連結することにより、風向を調整する板状の部材を簡素な機構で実質的に伸縮したり直角な形態にしたりすることが可能となる。
【0011】
なお、連結部は、第1面板部の縁と他の面板部の縁とに各々設けられている壁部同士を挟持する第1挟持部および第2挟持部と、一端にある第1挟持部と他端にある第2挟持部とを突っ張る棒状部と、第1挟持部と第2挟持部に各々設けられており、第1面板部と他の面板部の各縁にある被係合部に係合する係合部と、を有するものであってもよい。このような連結部を備える風向調整装置であれば、第1面板部と他の面板部とを簡素な機構で連結可能である。
【0012】
また、第1面板部は、全体的に長方形の外形を有し、風向調整装置は、連結部によって第1面板部の短辺に連結される、第1面板部の短辺に対して45度傾く斜辺を非連結側に有する第2面板部を更に備えるものであってもよい。このような風向調整装置であれば、直角に隣り合っている空調吹出口に沿って実質的に直角な形態を簡素な機構で実現することができる。
【0013】
また、本発明は、連結部材としての側面から捉えることも可能である。例えば、本発明は、空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口の前方に配置され、空調吹出口から吹き出される空気を受ける各面板部の縁に各々設けられている壁部同士を挟持する第1挟持部および第2挟持部と、一端にある第1挟持部と他端にある第2挟持部とを突っ張る棒状部と、第1挟持部と第2挟持部に各々設けられており、各面板部の縁にある被係合部に係合する係合部と、を備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記の空調吹出口の風向調整装置及びその連結部材であれば、風向を調整する板状の部材を簡素な機構で伸縮したり直角な形態にしたりすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、空調機の空調吹出口から吹き出された空気の風向を調整する風向調整装置の取付状態の一例である。
【
図3】
図3は、連結部材を斜め上から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、連結部材を斜め下から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、連結部材の使用方法を示した第1の図である。
【
図6】
図6は、連結部材の使用方法を示した第2の図である。
【
図7】
図7は、連結部材の使用方法を示した第3の図である。
【
図8】
図8は、連結部材の使用方法を示した第4の図である。
【
図9】
図9は、コーナー用ウィングプレートをウィングプレートに連結した風向調整装置の取付状態の一例である。
【
図10】
図10は、2つのウィングプレート同士を連結した風向調整装置の取付状態の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の一形態であり、本発明の技術的範囲を下記の実施形態に限定するものではない。
【0017】
図1は、空調機1の空調吹出口2から吹き出された空気の風向を調整する風向調整装置
3の取付状態の一例である。風向調整装置3は、
図1に示すように、空調機に空気調和された空気が吹き出る空調吹出口2の前方に配置され、空調吹出口2から吹き出される空気を受けるウィングプレート4(本願でいう「第1面板部」の一例である)と、ウィングプレート4を空調吹出口2の前方に取り付けるためのアーム5(本願でいう「取付部」の一例である)とを備える。
【0018】
図2は、風向調整装置3の斜視図である。ウィングプレート4は、プラスチックその他の合成樹脂で形成されており、その全体形状は、ほぼ長方形で浅底の容器のような形状をしている。また、ウィングプレート4は、その主面部6の一側縁を除き、長手方向両端縁及び残りの一側縁が、主面部6に対し直角に立設された壁部7L,7S,7Sを有する。壁部7Lは、全体的に長方形のウィングプレート4の長辺に沿って延在する壁部である。また、壁部7S,7Sは、ウィングプレート4の短辺に沿って延在する壁部である。ウィングプレート4は、当該壁部7L,7S,7Sが形成されていない一側縁に、主面部6に連続しかつ緩やかに湾曲する湾曲部8を有する。
【0019】
主面部6の上面には、主面部6の長手方向に沿って等間隔で立設される補強リブ9,9が設けられており、浅底の容器状の全体形状を呈するウィングプレート4を3つの区画10L,10C,10Rに仕切っている。そして、各補強リブ9,9には、アーム5を1軸で回動自在にウィングプレート4へ取り付けるためのヒンジ11が設けられている。また、3つの区画10L,10C,10Rには、主面部6の下面が結露するのを防ぐ断熱用マット12が敷かれている。但し、断熱用マット12は省略可能である。なお、
図2では、アーム5の上側が省略されているが、アーム5は、
図1に示したように天井と空調機1との境界付近に取り付けられている。壁部7S,7Sと補強リブ9,9には、断熱用マット12を主面部6との間に挟むようにして断熱用マット12を固定する爪13F,13R(本願でいう「被係合部」の一例である)が各々設けられている。
【0020】
図3は、連結部材を斜め上から見た斜視図である。また、
図4は、連結部材を斜め下から見た斜視図である。風向調整装置3には連結部材20が備わっている。連結部材20(本願でいう「連結部」の一例である)は、ウィングプレート4に他のウィングプレートを連結するための部材である。連結部材20は、ウィングプレート4の縁に設けられている壁部7Sと他のウィングプレートに設けられている壁部とを挟持する第1挟持部21および第2挟持部22を有する。また、連結部材20は、一端にある第1挟持部21と他端にある第2挟持部22とを突っ張る棒状部23を有する。また、連結部材20は、第1挟持部21に設けられており、ウィングプレート4の縁の壁部7Sにある爪13Fと他のウィングプレートの縁の壁部にある爪とに係合する係合爪24F(本願でいう「係合部」の一例である)を有する。また、連結部材20は、第2挟持部22に設けられており、ウィングプレート4の縁の壁部7Sにある爪13Rと他のウィングプレートの縁の壁部にある爪とに係合する係合爪24R(本願でいう「係合部」の一例である)を有する。
【0021】
連結部材20は、以下のようにして用いられる。
図5は、連結部材20の使用方法を示した第1の図である。例えば、
図5に示されるような、ウィングプレート4の短辺に対して45度傾く斜辺を非連結側に有するコーナー用ウィングプレート4Cをウィングプレート4に連結する場合、ウィングプレート4の壁部7Sとコーナー用ウィングプレート4Cの壁部7CSとが隣接するように、ウィングプレート4の短辺にコーナー用ウィングプレート4Cを添える。
【0022】
図6は、連結部材20の使用方法を示した第2の図である。ウィンプレート4の短辺にコーナー用ウィングプレート4Cを添えた後は、連結部材20を壁部7S,7CSの上から被せる。この際、互いに隣接している壁部7S,7CSが第1挟持部21および第2挟持部22に挟まれるように連結部材20を被せる。
【0023】
図7は、連結部材20の使用方法を示した第3の図である。壁部7S,7CSが第1挟持部21および第2挟持部22に挟まれるように連結部材20を被せた後は、第1挟持部21と第2挟持部22を上から押す。この時、係合爪24Fが爪13Fに当たるので第1挟持部21が第2挟持部22側へやや動く。また、係合爪24Rが爪13Rに当たるので第2挟持部22が第1挟持部21側へやや動く。よって、棒状部23が弓なりにやや曲がる。
【0024】
図8は、連結部材20の使用方法を示した第4の図である。棒状部23が弓なりにやや曲がりつつも、第1挟持部21と第2挟持部22をそのまま押すことにより、係合爪24Fが爪13Fに係合して第1挟持部21による壁部7S,7CSの挟持状態が保持され、係合爪24Rが爪13Rに係合して第2挟持部22による壁部7S,7CSの挟持状態が保持される。
【0025】
図9は、コーナー用ウィングプレート4Cをウィングプレート4に連結した風向調整装置3の取付状態の一例である。コーナー用ウィングプレート4Cをウィングプレート4に連結することにより、風向調整装置3は、例えば、
図1,9に示されるような、細長い空調吹出口2が直角に隣り合っていて4方向に空気を吹き出す空調機1に装着されると、直角に隣り合う2つの空調吹出口2,2に沿うように直角な形態に実質的に変形した状態になる。
【0026】
図10は、2つのウィングプレート4同士を連結した風向調整装置3の取付状態の一例である。2つのウィングプレート4同士を連結することにより、風向調整装置3は、例えば、
図10に示されるような、ウィングプレート4よりも長い空調吹出口2Lを有する空調機1Lに装着されると、空調吹出口2Lの長さに合うように実質的に伸縮した状態になる。
【0027】
空調機に備わる空調吹出口の大きさや吹き出し方向は様々である。しかし、上記実施形態の風向調整装置3であれば、連結部材20が備わっているため、設置される箇所にある空調吹出口の長さに合うように実質的に伸縮したり、直角に隣り合う細長い2つの空調吹出口に沿うように直角な形態に実質的に変形したりすることが可能である。しかも、伸縮する機能と直角な形態に変形する機能とを、連結部材20と他のウィングプレートで実現可能であり、簡素な構造で両機能を実質的に実現できる。
【0028】
なお、
図9では、4つある空調吹出口2のうち直角に隣り合う2つの空調吹出口2にウィングプレート4やコーナー用ウィングプレート4Cを設けた風向調整装置3が図示されているが、風向調整装置3は、4つある空調吹出口2の全てに沿うように4つのウィングプレート4と8つのコーナー用ウィングプレート4Cとが連結されていてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、ウィングプレート4に2つのアーム5が設けられていたが、ウィングプレート4は上記実施形態よりも短尺で1つのアーム5しか設けられていないものであってもよいし、上記実施形態よりも長尺で3つ以上のアーム5が設けられているものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1・・空調機
2・・空調吹出口
3・・風向調整装置
4・・ウィングプレート
4C・・コーナー用ウィングプレート
5・・アーム
6・・主面部
7L,7S,7CS・・壁部
8・・湾曲部
9・・補強リブ
10L,10C,10R・・区画
11・・ヒンジ
12・・断熱用マット
13F,13R・・爪
20・・連結部材
21・・第1挟持部
22・・第2挟持部
23・・棒状部
24F,24R・・係合爪