(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電部が、銅、錫、インジウム、ニッケル、パラジウム、コバルト、リチウム、鉄、ルテニウム、白金、銀、ロジウム、イリジウム、金、モリブデン、タングステン、リン及びホウ素からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備える。上記導電部は外表面に、複数の突起を有する。本発明に係る導電性粒子では、複数の上記突起の少なくとも一部が、板状である。
【0028】
なお、上記突起の基部は、上記突起の、導電部の上記突起が形成されていない部分に連なる部分である。上記突起の先端は、上記突起の、導電性粒子の中心から離れた位置であり、外側の位置である。
【0029】
本発明では、基材粒子の表面上に導電部が配置されており、かつ上記導電部が外表面に複数の突起を有する導電性粒子において、導電部の外表面の突起の形状が従来の形状とは異なる新規な導電性粒子が提供されている。本発明に係る導電性粒子では、上記導電部の外表面の上記突起の形状が従来の形状とは異なり、新しい上記突起の形状に起因する新たな効果が発揮される。
【0030】
例えば、板状である突起の形状によって、バインダー樹脂中などで導電性粒子の過度の移動が防がれる。上記導電性粒子は、このような性能が求められる用途に好適に用いられる。例えば、導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続する際には、一般に、電極間に導電性粒子を配置して、加熱及び加圧が行われる。本発明に係る導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電性粒子の過度の移動が防がれ、電極間に配置される導電性粒子の含有量を多くすることができるため、接続抵抗を低くすることができ、導通信頼性を高めることができる。また導電性粒子の過度の移動を防ぐことで、横方向での電極間(スペース)での粒子の連結を起こりにくくして電極間の横リークを防ぎ、絶縁信頼性を高めることができる。さらに、電極を表面に有する接続対象部材によっては、高い圧力での電極間の電気的な接続が求められることがある。高い圧力での電気的な接続では、導電性粒子の移動が促進される。本発明に係る導電性粒子を用いることで、電極間を高い圧力で接続したとしても、接続後に接続抵抗を効果的に低くすることができる。
【0031】
なお、本発明に係る導電性粒子では、表面に導電部が形成されているので、導電性粒子と呼ぶが、本発明に係る導電性粒子の用途は、導電接続用途に限定されない。本発明に係る導電性粒子は、導電性が求められる用途以外にも用いることができる。例えば、本発明に係る導電性粒子は、ギャップ制御材(スペーサ)としても用いることができる。
【0032】
板状である突起の面形状は特に限定されない。板状である突起の面形状は、矩形であってもよく、矩形以外の多角形であってもよく、不定形であってもよい。
【0033】
板状である突起を第1の突起とする。なお、本発明に係る導電性粒子では、板状ではない第2の突起を有していてもよい。第1の突起と第2の突起との合計数100%中、第1の突起は好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、好ましくは100%以下である。
【0034】
導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記突起が、塊状粒子の凝集体ではないことが好ましく、上記突起の外表面は、1つの連続した導電部分であることが好ましい。導電性粒子は、突起の内側に、芯物質を備えていてもよい。導電性粒子は、導電部の外表面を隆起させている複数の芯物質を備えていてもよい。芯物質がある場合に、上記突起が、芯物質部分を除いて、1つの連続した導電部分であることが好ましい。
【0035】
複数の上記突起(第1の突起及び第2の突起の全体)の平均高さAは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは50nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。上記突起の平均高さAが上記下限以上であると、突起による接触性及び貫通性がより一層高くなる。上記突起の平均高さAが上記上限以下であると、突起が過度に折れにくくなる。なお、折れた突起は、電極間の接続抵抗を上昇させることがある。
【0036】
上記突起の平均高さAは、導電性粒子1個に含まれる突起の高さの平均である。上記突起の高さは、導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(
図1に示す破線L1)上における、突起(第1の突起及び第2の突起)が無いと想定した場合の導電部の仮想線(
図1に示す破線L2)上(突起(第1の突起及び第2の突起)が無いと想定した場合の球状の導電性粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、
図1においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。
【0037】
導通信頼性を効果的に高める観点からは、板状である上記突起は、突起の基部から突起の先端にかけて厚みが減少している板状であることがより好ましい。電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、板状である上記突起が先細りしていることが好ましく、先細りしている上記突起の先端が、線状であることが好ましい。
【0038】
板状である上記突起が、厚み方向と、厚み方向と直交する面方向とを有していてもよい。導通信頼性を効果的に高める観点からは、板状である上記突起の面方向の平均最大長さBの、板状である上記突起の中央部の平均厚みCに対する比は好ましくは2以上、より好ましくは4以上である。突起の過度の折れを抑え、導通信頼性を効果的に高める観点からは、板状である上記突起の面方向の平均最大長さの、板状である上記突起の面方向の中央部の平均厚みに対する比は好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
【0039】
上記突起の面方向の平均最大長さBは、導電性粒子1個に含まれる板状である突起の面方向の最大長さの平均である。最大長さは、板状である突起のそれぞれの最大長さである。板状である上記突起の面方向の中央部の平均厚みCは、導電性粒子1個に含まれる板状である突起の面方向の中央部の厚みの平均である。中央部の厚みは、板状である突起のそれぞれの面方向における中央部の厚みである。
【0040】
上記導電性粒子1個あたりの上記導電部の外表面の、上記突起(第1の突起及び第2の突起)は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起(第1の突起及び第2の突起)の数の上限は特に限定されない。上記突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
【0041】
導通信頼性及び絶縁信頼性を効果的に高める観点からは、上記導電部の外表面の全表面積100%中、上記突起(第1の突起及び第2の突起の全体)がある部分の表面積は好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上である。上記導電部の外表面の全表面積100%中、上記突起がある部分の表面積の占める割合の上限は特に限定されない。上記導電部の外表面の全表面積100%中、上記突起(第1の突起及び第2の突起)がある部分の表面積は好ましくは99%以下、より好ましくは95%以下である。
【0042】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、各実施形態における異なる部分構成は、適宜置き換えて、組み合わせることが可能である。
【0043】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
【0044】
図1に示すように、導電性粒子1は、基材粒子2と、導電部3とを備える。
【0045】
導電部3は、基材粒子2の表面上に配置されている。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が導電部3により被覆された被覆粒子である。導電部3は連続皮膜である。
【0046】
導電性粒子1は導電性の表面に、複数の突起を有する。導電部3は外表面に、複数の突起3aを有する。複数の突起3aの形状は、板状である。なお、
図1では、側面が図示されている板状の突起3aと、主面が図示されている板状の突起3aとがある。導電部3は外表面に、板状ではない第2の突起3bを有する。
【0047】
導電性粒子1は、芯物質を備えていない。導電部3は、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。複数の突起3a(第1の突起)及び第2の突起3bを除く部分が、導電部3の上記第1の部分である。複数の突起3a(第1の突起)及び第2の突起3bは、導電部3の厚みが厚い上記第2の部分である。
【0048】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
【0049】
図2に示すように、導電性粒子1Aは、基材粒子2と、導電部3Aとを備える。
【0050】
導電部3Aは、基材粒子2の表面上に配置されている。導電部3Aは外表面に、複数の突起3Aaを有する。導電部3Aは外表面に、第2の突起を有さない。
【0051】
導電性粒子1,1Aのように、第2の突起3bが存在していてもよく、第2の突起3bが存在していなくてもよい。
【0052】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
【0053】
図3に示すように、導電性粒子1Bは、基材粒子2と、導電部3Bとを備える。
【0054】
導電性粒子1と導電性粒子1Bとでは、導電部のみが異なっている。すなわち、導電性粒子1では、1層構造の導電部3が形成されているのに対し、導電性粒子1Bでは、多層(2層)の導電部3Bが形成されている。
【0055】
導電部3Bは、第1の導電部3BA及び第2の導電部3BBを有する。第1,第2の導電部3BA,3BBは、基材粒子2の表面上に配置されている。基材粒子2と第2の導電部3BBとの間に、第1の導電部3BAが配置されている。従って、基材粒子2の表面上に第1の導電部3BAが配置されており、第1の導電部3BAの表面上に第2の導電部3BBが配置されている。第1の導電部3BAの外形は球状である。導電性粒子1Bは導電性の表面に、複数の第2の突起3Bbを有する。導電部3Bは、外表面に複数の突起3Baを有する。第2の導電部3BBは外表面に、複数の突起3BBaを有する。第2の導電部3BBは外表面に、複数の第2の突起3BBbを有する。
【0056】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
【0057】
図4に示すように、導電性粒子1Cは、基材粒子2と、導電部3と、絶縁性物質4を備える。
【0058】
導電性粒子1Cは、導電性粒子1の外表面に絶縁性物質4が配置された導電性粒子である。導電部3の外表面上に、絶縁性物質4が配置されている。本実施形態では、絶縁性物質4は、絶縁性粒子である。導電部3の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質4により被覆されている。絶縁性物質4は絶縁性を有する材料により形成されている。このように、本発明に係る導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を有することが好ましい。
【0059】
また、
図6〜8に、実際に製造された導電性粒子の画像を示した。
図6〜8に示す導電性粒子は、導電部の外表面に、板状である突起を少なくとも有する。
【0060】
以下、導電性粒子をより詳しく説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、(メタ)アクリロキシ」は「アクリロキシ」と「メタクリロキシ」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
【0061】
(導電性粒子)
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有していてもよく、コアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよく、上記シェルが無機シェルであってもよい。
【0062】
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが更に好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。これらの好ましい基材粒子の使用により、電極間の電気的な接続に、より一層適した導電性粒子が得られる。
【0063】
上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
【0064】
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
【0065】
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0066】
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
【0067】
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
【0068】
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
【0069】
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0070】
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
【0071】
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
【0072】
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼結させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
【0073】
上記コアの粒径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られ、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。例えば、上記コアの粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
【0074】
上記コアの粒径は、上記コアが真球状である場合には直径を意味し、上記コアが真球状以外の形状である場合には、最大径を意味する。また、コアの粒径は、コアを任意の粒径測定装置により測定した平均粒径を意味する。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析などの原理を用いた粒度分布測定機が利用できる。
【0075】
上記シェルの厚みは、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。上記シェルの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られ、基材粒子を導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。上記シェルの厚みは、基材粒子1個あたりの平均厚みである。ゾルゲル法の制御によって、上記シェルの厚みを制御可能である。
【0076】
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
【0077】
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、より一層好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性がより一層高くなり、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、基材粒子の表面に導電部を無電解めっきにより形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。基材粒子の平均粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子が充分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗がより一層低くなり、更に電極間の間隔が狭くなる。
【0078】
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
【0079】
[導電部]
上記導電部の上記突起(第1の突起及び上記第2の突起)が無い部分の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の上記突起が無い部分の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、充分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が充分に変形する。
【0080】
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の上記突起(第1の突起及び上記第2の突起)が無い部分の厚みは、特に最外層が金層である場合の金層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。上記最外層の導電層の上記突起が無い部分の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆が均一になり、耐腐食性が充分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が充分に低くなる。また、上記最外層が内層の導電部よりも高価である場合に、最外層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
【0081】
上記導電部の上記突起(第1の突起及び上記第2の突起)が無い部分の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
【0082】
上記基材粒子の表面上に上記導電部を形成する方法としては、無電解めっきにより上記導電部を形成する方法、並びに電気めっきにより上記導電部を形成する方法等が挙げられる。
【0083】
上記導電部は導電層であることが好ましい。上記導電部の材料である金属は特に限定されない。上記導電部の材料である金属としては、金、銀、銅、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、リチウム、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。
【0084】
電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銀、銅又は金が好ましく、錫を含む合金、ニッケル、銀又は銅がより好ましい。上記導電部は、銅、錫、インジウム、ニッケル、パラジウム、コバルト、リチウム、鉄、ルテニウム、白金、銀、ロジウム、イリジウム、金、モリブデン、タングステン、リン及びホウ素からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、銀、錫、銅又はニッケルと、リン又はボロンとを含むことがより好ましい。上記導電部の材料は、リン及びボロンなどを含む合金であってもよい。上記導電部では、ニッケルとタングステン又はモリブデンとが合金化していてもよい。
【0085】
電極間の接続抵抗を効果的に低くし、上記導電部における結晶化度をより一層好適な範囲に制御する観点からは、上記導電部は、銀、錫、銅又はニッケルを含むことが好ましく、ニッケルを含むことがより好ましい。この場合、ニッケルなどの金属は、他の金属と合金化していてもよい。
【0086】
外表面に複数の突起を有する上記導電部100重量%中、銀、錫、銅又はニッケルの含有量(銀、錫、銅及びニッケルの合計の含有量)は好ましくは10重量%以上、より好ましくは25重量%以上、更に好ましくは40重量%以上であり、好ましくは100重量%(全量)以下である。上記導電部における銀、錫、銅又はニッケルの含有量が上記下限以上、及び上記上限以下であることが好ましい。
【0087】
上記導電部はニッケルを主金属として含むことが好ましい。ニッケルを含む導電部全体100重量%中、ニッケルの含有量は50重量%以上であることが好ましい。ニッケルを含む導電部100重量%中、ニッケルの含有量は好ましくは65重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。ニッケルの含有量が上記下限以上であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
【0088】
上記導電部はリン又はボロンを含むことが好ましく、上記ニッケルを含む導電部はリン又はボロンを含むことが好ましい。上記導電部がリン又はボロンを含む場合に、リン又はボロンを含む導電部100重量%中、リンとボロンとの合計の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは3重量%以上であり、好ましくは10重量%以下である。リンとボロンとの合計の含有量が上記上限以下であると、導電部の抵抗がより一層低くなり、またニッケルなどの金属の含有量が相対的に多くなるので、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
【0089】
特に、リンの含有量が5重量%以上であると、接続抵抗の信頼性がより一層高くなり、リンの含有量が10重量%を超えると、密着性が向上し、接続抵抗の信頼性がより一層高くなる。
【0090】
上記導電部におけるニッケル、ボロン及びリンの含有量を制御する方法としては、例えば、無電解ニッケルめっきにより導電部を形成する際に、ニッケルめっき液のpHを制御する方法、無電解ニッケルめっきにより導電部を形成する際に、ボロン含有還元剤の濃度を調整する方法、無電解ニッケルめっきにより導電部を形成する際に、リン含有還元剤の濃度を調整する方法、並びにニッケルめっき液中のニッケル濃度を調整する方法等が挙げられる。
【0091】
板状である突起を容易に形成可能であることから、板状である突起を有する上記導電部は、ニッケル、銅及びリンを含む導電部であるか、ニッケル及びパラジウムを含む導電部であるか、ニッケル、銅及び錫を含む合金を含む導電部であるか、ニッケル、銅及び銀を含む導電部であるか、ニッケル、リチウム、銅及びリンを含む導電部であるか、又は1種の金属原子を99.9重量%以上で含む導電部であることが好ましい。
【0092】
導電部の硬度をより一層高くし、電極間の接続時に、導電部の表面及び電極の表面の酸化膜をより一層効果的に排除し、電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記導電部、及び、板状である上記突起はそれぞれ、1種の金属原子を99重量%以上で含むことが好ましく、99.9重量%以上で含むことが好ましい。導電部の硬度をより一層高くし、電極間の接続時に、導電部の表面及び電極の表面の酸化膜をより一層効果的に排除し、電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記導電部、及び板状である上記突起はそれぞれ、ニッケルを99重量%以上で含むことが好ましく、ニッケルを99.9重量%以上で含むことがより好ましい。
【0093】
導電部の硬度をより一層高くし、電極間の接続時に、導電部の表面及び電極の表面の酸化膜をより一層効果的に排除し、電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記導電部において、金属又は合金が結晶配向していることが好ましく、上記導電部が、金属又は合金の結晶配向により形成されていることが好ましい。
【0094】
導電部の硬度をより一層高くし、電極間の接続時に、導電部の表面及び電極の表面の酸化膜をより一層効果的に排除し、電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記導電部のX線回折における(111)面の割合が50%以上であることが好ましい。
【0095】
上記導電部は、1つの層により形成されていてもよく、複数の層(多層)により形成されていてもよい。すなわち、導電部は、単層であってもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電部が多層の導電部である場合に、導電部の最も外側に位置する導電部が、外表面に複数の突起を有する。導電部が複数の層により形成されている場合には、耐腐食性をより一層高くする観点から、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銀層(銀を含む合金層であってもよい)、銅層又は錫層(錫を含む合金層であってもよい)であることが好ましく、金層又はパラジウム層であることがより好ましく、金層であることが特に好ましい。最外層がこれらの好ましい導電部である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
【0096】
基材粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0097】
導電部の外表面に上記の形状を有する突起を形成する方法としては、下記の方法が挙げられる。
【0098】
還元剤を用いて金属錯体との還元反応により、柱状結晶成長を促進させ、非イオン性界面活性剤の吸着により、局部的にめっき反応抑制面とめっき反応促進面を形成することにより板状突起を形成する方法、2種類以上の金属を用いた合金にすることで特異的な結晶成長を促がすことにより板状突起を形成する方法、並びに塩化チタン(III)もしくはヒドラジン化合物を還元剤に用いた無電解高純度ニッケルめっきによる方法等が挙げられる。
【0099】
無電解めっきにより形成する方法では、一般的に、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。以下、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、高純度ニッケルめっき層及び導電部の外表面にしている板状の突起を形成する方法の例を説明する。
【0100】
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
【0101】
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、塩化チタン(III)又はヒドラジン化合物が好適に用いられる。また上記還元剤を用いることでニッケルの含有量が99.9重量%以上の高純度のニッケル導電層を形成できる。
【0102】
上記無電解めっき工程では、ニッケル含有化合物、錯化剤、還元剤、及び金属安定剤を含有するめっき液を用いる無電解高純度ニッケルめっき方法において、還元剤として塩化チタン(III)又はヒドラジン化合物を含み、かつ非イオン性界面活性剤を含む高純度ニッケルめっき液を用いることが好ましい。
【0103】
高純度ニッケルめっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、高純度なニッケルを析出させることができ、ニッケル導電層を形成できる。
【0104】
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及び硝酸ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、硫酸ニッケルであることが好ましい。
【0105】
上記ボロン含有還元剤としては、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等が挙げられる。上記ボロン含有還元剤に加えて、リン含有還元剤を用いてもよい。上記リン含有還元剤としては、次亜リン酸、及び次亜リン酸ナトリウムが挙げられる。
【0106】
上記錯化剤は、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等のモノカルボン酸系錯化剤、マロン酸ニナトリウム等のジカルボン酸系錯化剤、コハク酸ニナトリウム等のトリカルボン酸系錯化剤、乳酸、DL−リンゴ酸、ロシェル塩、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等のヒドロキシ酸系錯化剤、グリシン、EDTA等のアミノ酸系錯化剤、エチレンジアミン等のアミン系錯化剤、マレイン酸等の有機酸系錯化剤、並びに、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の錯化剤を含有することが好ましい。
【0107】
上記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又は両性の界面活性剤が挙げられ、特に非イオン性界面活性剤が好適である。好ましい非イオン性界面活性剤は、エーテル酸素原子を含むポリエーテルである。好ましい非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、アセチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアミン、及びエチレンジアミンのポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコール又はフェノールエトキシレートである。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。分子量500以上10000以下のポリプロピレングリコールが特に好ましい。
【0108】
上記金属安定剤の添加により、めっき液の安定性が向上し、基材粒子への被覆性が良いめっき膜が形成される。上記金属安定剤としては、鉛化合物、ビスマス化合物、タリウム化合物、及びバナジウム化合物等が挙げられる。上記金属安定剤の具体例としては、化合物を構成する金属(鉛、ビスマス、タリウム、バナジウム)の硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩及び塩酸塩等が挙げられる。環境への影響を考慮すると、ビスマス化合物、タリウム化合物又はバナジウム化合物が好ましい。
【0109】
導電部の外表面積100%中、上記突起がある部分の表面積の割合は、突起核の形成量と突起成長速度とに依存する。還元剤の滴下による突起形成反応の速度と突起のめっき被覆による突起成長反応の速度とを制御することができる。また、突起形成反応及び突起成長反応中は、突起核の分散性を向上させるために、超音波攪拌を行うことが好ましい。
【0110】
板状である上記突起の面方向の平均最大長さの、板状である上記突起の面方向の中央部の平均厚みに対する比は、導電部の厚みに依存し、めっき浴への浸漬時間又はめっき液の滴下速度で制御することができる。めっき温度は好ましくは30℃以上であり、好ましくは100℃以下である。めっき時間は好ましくは5分以上である。特に突起を形成するためには、析出反応速度を促進する観点から、めっき温度はより好ましくは30℃以上、より好ましくは80℃以下であり、まためっき時間は好ましくは5分以上である。
【0111】
[絶縁性物質]
本発明に係る導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電部が外表面に複数の突起を有するので、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。
【0112】
電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
【0113】
上記絶縁性物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン化合物、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
【0114】
上記ポリオレフィン化合物としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
【0115】
上記導電部の表面上に絶縁性物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁性物質が脱離し難いことから、上記導電部の表面に、化学結合を介して上記絶縁性物質を配置する方法が好ましい。
【0116】
上記導電部の外表面、及び絶縁性粒子の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電部の外表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電部の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁性粒子の表面の官能基と化学結合していても構わない。
【0117】
上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁性物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁性物質の平均径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の平均径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁性物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
【0118】
上記絶縁性物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁性物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
【0119】
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は回路接続材料であることが好ましい。
【0120】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0121】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂又は湿気硬化性樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0122】
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0123】
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0124】
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
【0125】
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0126】
(接続構造体)
本発明に係る導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0127】
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部の材料が上述した導電性粒子であるか、又は、上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料である接続構造体であることが好ましい。上記接続部が上述した導電性粒子により形成されているか、又は、上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。
【0128】
図5に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
【0129】
図5に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂(硬化したバインダー樹脂など)とを含む。接続部54は、導電性粒子1を含む導電材料により形成されている。接続部54は、導電材料を硬化させることにより形成されていることが好ましい。なお、
図5では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子1A,1B,1Cなどの他の導電性粒子を用いてもよい。
【0130】
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0131】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×10
4〜4.9×10
6Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
【0132】
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板である電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
【0133】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、SUS電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0134】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0135】
(実施例1)
基材粒子Aとして、粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−203」)を用意した。
【0136】
パラジウム触媒液5重量%を含むアルカリ溶液100重量部に、基材粒子A10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、基材粒子Aを取り出した。次いで、基材粒子Aをジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、基材粒子Aの表面を活性化させた。表面が活性化された基材粒子Aを十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(A)を得た。
【0137】
無電解高純度ニッケルめっき液として、塩化ニッケル50g/L、硫酸ヒドラジニウム200g/L、グリシン50g/L、ほう酸20g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)30mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH10.5に調整しためっき液を用意した。
【0138】
上記めっき液500mlを30ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、懸濁液(A)に滴下した。この時の反応温度は60℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
【0139】
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上に高純度ニッケル導電層(厚み0.1μm)を配置して、導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0140】
(実施例2)
上記無電解高純度ニッケルめっき液を、塩化ニッケル50g/L、硫酸ヒドラジニウム200g/L、グリシン50g/L、及びほう酸20g/Lを含む混合液を水酸化ナトリウムでpH10.5に調整しためっき液に変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0141】
(実施例3)
無電解銅−ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸銅150g/L、硫酸ニッケル15g/L、次亜リン酸ナトリウム100g/L、クエン酸ナトリウム150g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)30mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH9に調整しためっき液を用意した。
【0142】
上記めっき液500mlを30ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、実施例1の懸濁液(A)に滴下した。この時の反応温度は60℃に設定した。その後pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止するのを確認した。
【0143】
その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面上に銅−ニッケル−リン合金導電層(厚み0.1μm)を配置して、導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0144】
(実施例4)
無電解銅−ニッケル−リン合金めっき液を、硫酸銅105g/L、硫酸ニッケル10g/L、次亜リン酸ナトリウム70g/L、クエン酸ナトリウム105g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)21mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH9に調整しためっき液に変更したこと以外は実施例3と同様にして、外表面に板状の突起を有する導電性粒子を得た。この導電性粒子を導電性粒子(A)と呼ぶ。
【0145】
次に、無電解銀めっき液として、硝酸銀30g/L、コハク酸イミド100g/L、及びホルムアルデヒド20g/Lを含む混合液を、アンモニア水にてpH8.0に調整した銀めっき液を用意した。
【0146】
得られた導電性粒子(A)を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(B)を得た。
【0147】
次に、60℃に調整した分散状態の懸濁液(B)に上記無電解銀めっき液を徐々に滴下し、無電解銀めっきを行った。無電解銀めっき液の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銀めっきを行った。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面の銅−ニッケル−リン合金の表面上に銀導電層が配置された導電性粒子(導電部全体の厚み0.1μm)を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0148】
(実施例5)
無電解高純度ニッケルめっき液を、塩化ニッケル35g/L、硫酸ヒドラジニウム140g/L、グリシン35g/L、ほう酸14g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)21mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH10.5に調整しためっき液に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、外表面に板状の突起を有する導電性粒子を得た。この導電性粒子を導電性粒子(B)と呼ぶ。
【0149】
次に、無電解銀めっき液として、硝酸銀30g/L、コハク酸イミド100g/L、及びホルムアルデヒド20g/Lの混合液を、アンモニア水にてpH8.0に調整した無電解銀めっき液を用意した。
【0150】
得られた導電性粒子(B)を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(C)を得た。
【0151】
次に、60℃に調整した分散状態の懸濁液(C)に上記無電解銀めっき液を徐々に滴下し、無電解銀めっきを行った。無電解銀めっき液の滴下速度は10mL/分、滴下時間は30分間で、無電解銀めっきを行った。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面の高純度ニッケル上に銀導電層が配置された導電性粒子(導電部全体の厚み0.1μm)を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0152】
(実施例6)
無電解銅−ニッケル−リン合金めっき液を、硫酸銅105g/L、硫酸ニッケル10g/L、次亜リン酸ナトリウム70g/L、クエン酸ナトリウム105g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)21mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH9に調整しためっき液に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、外表面に板状の突起を有する導電性粒子を得た。この導電性粒子を導電性粒子(C)と呼ぶ。
【0153】
次に、無電解錫めっき液として、硫酸錫(II)25g/L、ニトリロ三酢酸40g/L、クエン酸三ナトリウム水和物50g/L、及び塩化チタン(III)100g/Lを含む混合液を、アンモニア水でpH8.0に調整した無電解錫めっき液を用意した。
【0154】
得られた導電性粒子(C)を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(D)を得た。
【0155】
次に、60℃に調整した分散状態の懸濁液(D)に上記無電解錫めっき液を徐々に滴下し、無電解錫めっきを行った。無電解錫めっき液の滴下速度は20mL/分、滴下時間は30分間で、無電解錫めっきを行った。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面の銅−ニッケル−リン合金上に錫導電層が配置された導電性粒子(導電部全体の厚み0.1μm)を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0156】
(実施例7)
無電解高純度ニッケルめっき液を、塩化ニッケル35g/L、硫酸ヒドラジニウム140g/L、グリシン35g/L、ほう酸14g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)21mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH10.5に調整しためっき液に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、外表面に板状の突起を有する導電性粒子を得た。この導電性粒子を導電性粒子(D)と呼ぶ。
【0157】
次に、無電解錫めっき液として、硫酸錫(II)25g/L、ニトリロ三酢酸40g/L、クエン酸三ナトリウム水和物50g/L、及び塩化チタン(III)100g/Lを含む混合液を、アンモニア水でpH8.0に調整した無電解錫めっき液を用意した。
【0158】
得られた導電性粒子(D)を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液(E)を得た。
【0159】
次に、60℃に調整した分散状態の懸濁液(E)に上記無電解錫めっき液を徐々に滴下し、無電解錫めっきを行った。無電解錫めっき液の滴下速度は20mL/分、滴下時間は30分間で、無電解錫めっきを行った。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、基材粒子Aの表面の高純度ニッケル上に錫導電層が配置された導電性粒子(導電部全体の厚み0.1μm)を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0160】
(実施例8)
無電解高純度ニッケルめっき液におけるポリプロピレングリコールをポリエチレングリコール1000(分子量:1000)40mg/Lに変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0161】
(実施例9)
無電解銅−ニッケル−リン合金めっき液におけるポリプロピレングリコールをポリエチレングリコール1000(分子量:1000)40mg/Lに変更したこと以外は、実施例3と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0162】
(実施例10)
無電解高純度ニッケルめっき液を、塩化ニッケル50g/L、硫酸ヒドラジニウム200g/L、グリシン30g/L、ほう酸20g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)30mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH10.5に調整しためっき液に変更したこと、並びに該めっき液の添加速度を40ml/分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0163】
(実施例11)
無電解高純度ニッケルめっき液を、塩化ニッケル50g/L、硫酸ヒドラジニウム200g/L、グリシン80g/L、ほう酸20g/L、非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)30mg/Lの混合液を水酸化ナトリウムでpH10.5に調整しためっき液に変更し、添加速度を20ml/分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0164】
(実施例12)
無電解高純度ニッケルめっき液を、塩化ニッケル50g/L、硫酸ヒドラジニウム200g/L、グリシン120g/L、ほう酸20g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)30mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH10.5に調整しためっき液に変更したこと、並びに該めっき液の添加速度を20ml/分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0165】
(実施例13)
無電解高純度ニッケルめっき液を、塩化ニッケル50g/L、硫酸ヒドラジニウム150g/L、グリシン100g/L、ほう酸20g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)30mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH10.5に調整しためっき液に変更したこと、並びに該めっき液の添加速度を20ml/分に変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0166】
(実施例14)
無電解銅−ニッケル−リン合金めっき液を、硫酸銅150g/L、硫酸ニッケル30g/L、次亜リン酸ナトリウム100g/L、クエン酸ナトリウム150g/L、及び非イオン性界面活性剤としてポリプロピレングリコール1000(分子量:1000)30mg/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH8に調整しためっき液に変更したこと以外は、実施例3と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0167】
(実施例15)
基材粒子Bとして、粒子径が3.0μmの有機無機ハイブリッド粒子を用意した。
【0168】
基材粒子Aを基材粒子Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0169】
(実施例16)
基材粒子Cとして、基材粒子Aと粒子径のみが異なり、粒子径が10.0μmである粒子を用意した。
【0170】
基材粒子Aを基材粒子Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に板状の突起を有していた。
【0171】
(実施例17)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
【0172】
実施例1で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、導電性粒子(絶縁性粒子付き導電性粒子)を得た。走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁性粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁性粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
【0173】
(実施例18)
実施例1で得られた導電性粒子を、実施例3で得られた導電性粒子に変更したこと以外は、実施例17と同様にして導電性粒子(絶縁性粒子付き導電性粒子)を得た。
【0174】
(比較例1)
無電解銅−ニッケル−リン合金めっき液として、硫酸銅150g/L、硫酸ニッケル15g/L、次亜リン酸ナトリウム100g/L、及びクエン酸ナトリウム150g/Lを含む混合液を、水酸化ナトリウムでpH6.0に調整しためっき液を用意した。
【0175】
無電解高純度ニッケルめっき液を、上記無電解銅−ニッケル−リン合金めっき液に変更したこと以外は、実施例3と同様にして導電性粒子を得た。得られた導電性粒子における導電部は、外表面に半球状の突起を有していた。
【0176】
(評価)
(1)導通信頼性1(接続抵抗の評価)
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させて、異方性導電ペーストを作製した。
【0177】
L/Sが30μm/30μmであるITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmである銅電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
【0178】
上記透明ガラス基板上に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、0.5MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。接続構造体を得るために、電極間を0.5MPaの低圧で接続した。
【0179】
得られた接続構造体15個の上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性1を下記の基準で判定した。
【0180】
[導通信頼性1の判定基準]
○○:接続抵抗が2.0Ω以下
○:接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
△:接続抵抗が3.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:接続抵抗が5.0Ωを超える
【0181】
(2)導通信頼性2(接続抵抗の評価)
接続構造体を得る際の加圧条件を、0.5MPaの低圧から5MPaの高圧に変更したこと以外は導通信頼性1の評価と同様にして、同様の判定基準で評価を行った。
【0182】
(3)導通信頼性1A(配置精度の評価)
上記導通信頼性1の評価において、導電性粒子の全個数のうち、電極間に配置されている導電性粒子の個数割合を求めた。なお、導電性粒子の割合が小さい場合に、導電性粒子は、電極間外に過度に流出していた。導通信頼性1Aを下記の基準で判定した。
【0183】
[導通信頼性1Aの判定基準]
○○:電極間に配置されている導電性粒子の個数の割合が40%を超える
○:電極間に配置されている導電性粒子の個数の割合が30%を超え、40%以下
△:電極間に配置されている導電性粒子の個数の割合が20%を超え、30%以下
×:電極間に配置されている導電性粒子の個数の割合が20%以下
【0184】
(4)導通信頼性2A(配置精度の評価)
上記導通信頼性2の評価において、導電性粒子の全個数のうち、電極間に配置されている導電性粒子の個数割合を求めた。なお、導電性粒子の割合が小さい場合に、導電性粒子は、電極間外に過度に流出していた。導通信頼性2Aを導通信頼性1Aと同様の判定基準で評価を行った。
【0185】
(5)絶縁信頼性1
上記導通信頼性1の評価で得られた接続構造体15個を、85℃及び湿度85%にて500時間放置した。放置後の接続構造体において、隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定して、絶縁抵抗の平均値を算出した。絶縁信頼性1を下記の基準で判定した。
【0186】
[絶縁信頼性1の判定基準]
○○:絶縁抵抗が1000MΩ以上
○:絶縁抵抗が100MΩ以上、1000MΩ未満
△:絶縁抵抗が10MΩ以上、100MΩ未満
×:絶縁抵抗が10MΩ未満
【0187】
(6)絶縁信頼性2
上記導通信頼性2の評価で得られた接続構造体を用いたこと以外は絶縁信頼性1の評価と同様にして、同様の判定基準で評価を行った。
【0188】
結果を下記の表1に示す。下記の表1では、上記突起がある部分の表面積の割合、複数の上記突起の平均高さA、板状である上記突起の面方向の平均最大長さBの、板状である上記突起の面方向の中央部の平均厚みCに対する比を示した。なお、全ての実施例において、上記突起が、塊状粒子の凝集体ではなく、突起の外表面は、1つの連続した導電部分であった。