(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記案内側板が、前記リクライニング状態への移行に当たって、前記座部本体における前記背凭れ側が下降しつつ前進するように当該座部本体を案内することを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載の座席装置。
前記案内側板が、前記リクライニング状態への移行に当たって、前記座部本体の前進とともに、前記背凭れの倒れも案内することを特徴とする請求項1〜4のうち何れか一項に記載の座席装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、旅客用シートなどの座席装置は、様々な体格の着座者に対応するように、設計段階で、あるいは試作段階で、種々の調整や変更が行われる。着座者への違和感を抑えるべく前端側座面を下方に回動させる構成についても、同様の調整や変更が行われる。しかしながら、上述した特許文献1の座席装置では、座部本体と前端部とを連結するリンク機構が複雑であり、設計段階や試作段階での調整や変更が困難である。
【0006】
そこで、本発明は、リクライニング状態への移行における着座者の違和感を抑える機構について、設計段階や試作段階に容易に調整や変更を行うことができる座席装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、背凭れが後方に倒れたリクライニング状態へと移行自在な座席装置であって、座部本体と、前記座部本体の側方に立設され、前記リクライニング状態への移行に当たって前記座部本体が前進するように当該座部本体を案内する案内側板と、前記座部本体の前方側に配置され、当該座部本体の上面とともに座面を構成する前端側座面を有し、左右方向の回動軸の回りに回動自在に当該座部本体に連結される前端部と、を備え、前記前端部の一部が、前記回動軸を超えて後方へと延出し、前記座部本体と一緒に、前記案内側板と重なった状態で前進するものであり、前記前端部の一部には、前記案内側板へと突出した後方側突出軸が設けられ、前記案内側板には、前記後方側突出軸が嵌入する溝であって、前記前端部の前進時に、前記後方側突出軸を、前記回動軸の回りに上昇しつつ前進する軌道に沿って案内することで、前記前端部において前記回動軸を挟んで前記前端部の一部とは反対側に位置する前記前端側座面の、前記回動軸の回りの下向きの回動を案内する前端ガイド溝が設けられていることを特徴とする座席装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記座部本体には、前記案内側板へと突出した本体側突出軸が設けられ、前記案内側板には、前記本体側突出軸が嵌入する溝であって、前記リクライニング状態への移行に当たって当該本体側突出軸の前進を案内することで前記座部本体の前進を案内する本体ガイド溝が設けられ、前記前端ガイド溝は、前記本体ガイド溝の下方に、前方側へと向かうにつれて当該本体ガイド溝に近づく軌道に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の座席装置である。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記前端部は、前後方向に延在するとともに中途で前記回動軸に連結され、その一端が前記一部として前記回動軸を超えて後方に延出した回動アームを備え、前記回動アームの前記一端に前記後方側突出軸が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の座席装置。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記案内側板が、前記リクライニング状態への移行に当たって、前記座部本体における前記背凭れ側が下降しつつ前進するように当該座部本体を案内することを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載の座席装置である。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記案内側板が、前記リクライニング状態への移行に当たって、前記座部本体の前進とともに、前記背凭れの倒れも案内することを特徴とする請求項1〜4のうち何れか一項に記載の座席装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、リクライニング状態への移行時には、前端部において、座部本体の上面と共に座面を構成する前端側座面が、上記の回動軸の回りに下向きに回動する。これにより、着座者の膝裏への前端側座面による圧迫が抑えられ、その結果、着座者の違和感が抑えられる。このとき、前端側座面の下向きの回動は、前端部において後方に延出した一部に設けられた後方側突出軸と、この後方側突出軸を案内する前端ガイド溝とによって行われる。この機構によれば、設計段階や試作段階での調整や変更は、前端ガイド溝における軌道に対する調整や変更によって行われ、このような溝の軌道は容易に所望の軌道に調整したり変更したりすることが可能である。従って、請求項1に記載の発明によれば、リクライニング状態への移行における着座者の違和感を抑える機構について、設計段階や試作段階に容易に調整や変更を行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、座部本体と前端部との何れについても、案内側板に設けられた溝によってリクライニング状態への移行時の動きが案内されるので、座部本体も含めて機構が簡単かつコンパクトにまとめられている。そして、前端ガイド溝について本体ガイド溝にどのように近づく軌道とするかによって、前端部の動きを調整したり変更したりすることが可能である。つまり、請求項2に記載の発明によれば、リクライニング状態への移行における着座者の違和感を抑える機構について、設計段階や試作段階に一層容易に調整や変更を行うことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、前端部は、回動アームを介して座部本体に連結され、その一端に後方側突出軸が設けられている。回動アームは、座席装置の内部構造に応じて適宜に干渉を避けた形状に設計すること等を容易に行なえるので、設計段階や試作段階に一層容易に調整や変更を行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、座部本体における背凭れ側が下降しつつ座部本体が前進するので、リクライニング状態での着座者の姿勢が安定し、着座者の違和感を一層抑えることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、案内側板によって背凭れの倒れも案内されるので、このような機構を別途用意することに比べると、座席装置の小型化や製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態にかかる座席装置について説明する。まず、第1実施形態の座席装置について説明する。尚、以下の説明で用いられる上下左右前後は、座席装置に着座する着座者から見た上下左右前後である。
【0019】
図1は、第1実施形態の座席装置を、その内部構造が見えるように示す斜視図である。また、
図2は、
図1中の矢印V11矢視を示す側面図である。
【0020】
本実施形態の座席装置1は、鉄道車両等の乗物の客室内に装備される旅客用シートである。座席装置1は、座部本体110と、前端部120と、台枠130と、背凭れ140と、を備えている。
【0021】
この座席装置1は、背凭れ140が後方に倒れた後述のリクライニング状態へと移行自在となっている。
図1及び
図2には、座席装置1が、背凭れ140が起立したアップライト状態で示されている。
【0022】
座部本体110は、台枠130に対して前後方向D11に移動自在に設けられた座枠111と、座枠111に取り付けられたクッション材112と、を備えている。
【0023】
座枠111は、一対の座枠側板111aと、座枠前方バー111bと、座枠後方バー111cと、を備えている。一対の座枠側板111aは、各々帯板状に形成され、左右方向D12に対向配置されている。座枠前方バー111bは、座枠側板111aの前端どうしを繋いで1本が設けられ、座枠後方バー111cは、座枠側板111aの後端どうしを繋いで2本が設けられている。
【0024】
座枠側板111aにおける座枠前方バー111bとの連結点の後方側には、左右方向D12の外側に突出した第1の本体側突出軸111a−1が設けられている。また、座枠側板111aにおける座枠後方バー111cとの連結点の前方側には、左右方向D12の外側に突出した第2の本体側突出軸111a−2が設けられている。
【0025】
前端部120は、座部本体110の前方側に配置され、左右方向D12の回動軸120aの回りに回動自在に座部本体110に連結されている。前端部120は、座部本体110の上面110aとともに座面を構成する前端側座面120bを有している。回動軸120aは、座枠前方バー111bの中心を通る軸であり、前端部120は、この座枠前方バー111bの両端に連結されている。
【0026】
前端部120は、一対の回動アーム121と、前端部バー122と、クッション材123と、を備えている。回動アーム121は、前後方向D11に延びた逆S字状の板部材である。回動アーム121は、逆S字の略中央で回動軸120aとしての座枠前方バー111bの端部に回動自在に連結されている。その一端121aは、回動軸120aを超えて下方へと下がって後、後方へと延伸している。一方、回動アーム121の他端121bは、回動軸120aから斜め前方へと延伸している。前端部バー122は、この回動アーム121の他端121bどうしを繋いで1本が設けられている。回動アーム121の他端121bと前端部バー122とにクッション材123が組み付けられている。
【0027】
回動アーム121において後方へと延伸している上記の一端121aには、左右方向D12の外側に突出した後方側突出軸121a−1が設けられている。
【0028】
台枠130は、フロア上に固定されており、一対の案内側板131を備えている。案内側板131は、座部本体110の側方に立設されており、一対の案内側板131の相互間に座部本体110が挟まれている。前端部120における回動アーム121は、後述するように座部本体110と一緒に前端部120が前進しても案内側板131と重なる位置まで、回動軸120aを超えてその一端121aが延出している。
【0029】
案内側板131には、座部本体110の座枠側板111aから突出した第1の本体側突出軸111a−1及び第2の本体側突出軸111a−2が嵌入する第1の本体ガイド溝131a及び第2の本体ガイド溝131bが設けられている。これら2つの本体ガイド溝131a,131bは、前後方向D11に直線状に延在しており、第1の本体ガイド溝131aは前方側に上り勾配となり、第2の本体ガイド溝131bは下り勾配となっている。
【0030】
また、案内側板131には、前端部120における回動アーム121の一端121aから突出した後方側突出軸121a−1が嵌入する前端ガイド溝131cが設けられている。この前端ガイド溝131cは、第1の本体ガイド溝131aの下方に、前後方向D11に直線状に延在しており、前方側に上り勾配となっている。この前端ガイド溝131cの上り勾配は、第1の本体ガイド溝131aの上り勾配よりも勾配がきつくなっており、前端ガイド溝131cは、前方側に向かうにつれて第1の本体ガイド溝131aに近づく軌道に沿って形成されている。
【0031】
更に、この案内側板131には、以下に説明する背凭れ140に設けられた背凭れ側突出軸141a−2が嵌入する背凭れガイド溝131dも設けられている。背凭れガイド溝131dは、第2の本体ガイド溝131bの後方側に前後方向D11に直線状に延在しており、前方側に下り勾配になっている。この背凭れガイド溝131dの後端は、第2の本体ガイド溝131bの後端より若干高い位置にあり、その下り勾配は、第2の本体ガイド溝131bの下り勾配よりも勾配がきつくなっている。
【0032】
背凭れ140は、台枠130に対して、後方への倒れと起立とが自在となった背枠141と、背枠141に取り付けられたクッション材142と、を備えている。
【0033】
背枠141は、一対の背枠側板141aと、上部連結板141bと、下部連結板141cと、2本の中間連結板141dと、を備えている。これらの板部材で構成された背枠141にクッション材142が組み付けられている。
【0034】
背枠側板141aは、その下部が前後方向D11に張り出した横棒部141a−1となっており、上下方向D13に長い逆T字型の形状を有している。横棒部141a−1は、座部本体110の座枠側板111aと、台枠130の案内側板131との間に挟まれている。座枠側板111aが横棒部141a−1の内側、案内側板131が横棒部141a−1の外側に位置している。
【0035】
横棒部141a−1の前端には、座枠側板111aからの第2の本体側突出軸111a−2が貫通している。これにより、背枠141、つまりは背凭れ140は、座枠111、つまりは座部本体110に対して、第2の本体側突出軸111a−2の中心を通る回動軸の回りに回動自在に連結されている。横棒部141a−1の前端を貫通した第2の本体側突出軸111a−2が案内側板131における第2の本体ガイド溝131bに嵌入している。
【0036】
そして、横棒部141a−1の後端には、左右方向D12の外側に突出した背凭れ側突出軸141a−2が設けられている。この背凭れ側突出軸141a−2が、案内側板131における背凭れガイド溝131dに嵌入している。
【0037】
本実施形態の座席装置1では、座部本体110及び背凭れ140が不図示のアクチュエータによって動かされて、
図1及び
図2に示されるアップライト状態と、以下に説明するリクライニング状態との間で、その姿勢の移行が行われる。
【0038】
図3は、第1実施形態の座席装置がリクライニング状態に移行した様子を
図1と同様の斜視図で示す図である。また、
図4は、第1実施形態の座席装置がリクライニング状態に移行した様子を
図2と同様の側面図で示す図である。
【0039】
本実施形態の座席装置1では、リクライニング状態は、背凭れ140が後方に倒れるとともに、座部本体110が前進した状態となっている。このときの座部本体110の動きが、台枠130の案内側板131における2つの本体ガイド溝131a,131bによって案内される。
図1及び
図2に示されているアップライト状態では、第1の本体側突出軸111a−1が第1の本体ガイド溝131aの後端に位置し、第2の本体側突出軸111a−2が第2の本体ガイド溝131bの後端に位置している。この状態から座部本体110が前進するときには、第1の本体側突出軸111a−1は、上り勾配の第1の本体ガイド溝131aによって上り勾配の軌道に沿って案内される。また、第2の本体側突出軸111a−2は、下り勾配の第2の本体ガイド溝131bによって下り勾配の軌道に沿って案内される。これにより、座部本体110は、背凭れ140側が下降し前端部120側が上昇しつつ前進するように矢印D14方向に案内されることとなる。座部本体110のこのような前進は、
図3及び
図4に示されているように、2つの本体側突出軸111a−1,111a−2が、2つの本体ガイド溝131a,131bの前端に達した位置を限度として、着座者Yの操作に応じた所望の位置まで続けられる。
【0040】
また、座部本体110の動きとともに背凭れ140の動きも次のように案内される。これは、背枠側板141a下部の横棒部141a−1前端を貫通する第2の本体側突出軸111a−2と、横棒部141a−1後端の背凭れ側突出軸141a−2と、が第2の本体ガイド溝131bと背凭れガイド溝131dとで案内されることで行われる。
【0041】
まず、
図1及び
図2に示されているアップライト状態では、第2の本体側突出軸111a−2が第2の本体ガイド溝131bの後端に位置し、背凭れ側突出軸141a−2が背凭れガイド溝131dの後端に位置している。上述したように背凭れガイド溝131dの後端は第2の本体ガイド溝131bの後端よりも上下方向D13に若干高い位置にあるので、アップライト状態では、横棒部141a−1が若干下り勾配の姿勢となって、背凭れ140が起立した状態となっている。
【0042】
図3及び
図4に示されているリクライニング状態への移行では、このアップライト状態から座部本体110の前進につれて背凭れ140の下部の横棒部141a−1が前進する。このときには、第2の本体側突出軸111a−2は、下り勾配の第2の本体ガイド溝131bによって下り勾配の軌道に沿って案内される。また、背凭れ側突出軸141a−2は、下り勾配の背凭れガイド溝131dによって更に勾配のきつい下り勾配の軌道に沿って案内される。これにより、横棒部141a−1は、後端側が前端側よりも下降しつつ前進するように案内されることとなる。この横棒部141a−1の案内により、横棒部141a−1が上り勾配になって背凭れ140が矢印D15で示されているように後方に倒れていくこととなる。この案内は、
図3及び
図4に示されているように、第2の本体側突出軸111a−2及び背凭れ側突出軸141a−2が、第2の本体ガイド溝131b及び背凭れガイド溝131dの前端に達した位置を限度として、着座者Yの所望の位置まで続けられる。
【0043】
そして、本実施形態では、このようなリクライニング状態への移行に当たって、前端部120の前端側座面120bが次のように案内される。これは、前端部120の回動アーム121が左右方向D12の回動軸120aの回りの回動を案内されることで行われる。回動軸120aで座部本体110と連結されている回動アーム121は、座部本体110と一緒に前進する。このとき、回動アーム121の後方へ延伸した一端121aに設けられた後方側突出軸121a−1が、上り勾配の前端ガイド溝131cによって上り勾配の軌道に沿って案内される。ここで、回動軸120aは、第1の本体ガイド溝131aに案内されて座部本体110と一緒に前進する。他方、前端ガイド溝131cは、上述したように前方側に向かうにつれて第1の本体ガイド溝131aに近づく軌道に沿って形成されている。その結果、後方側突出軸121a−1は、回動軸120aの回りに上昇しつつ前進する軌道に沿って案内される。これにより、前端部120において回動軸120aを挟んで回動アーム121の一端121aとは反対側に位置するクッション材123の部分、つまりは前端側座面120bが、回動軸120aの回りに、矢印D16で示されているように下向きに回動することとなる。この回動は、座部本体110の前進の程度に応じた程度で行われる。
【0044】
図5は、第1実施形態の座席装置に対する比較例の座席装置を、リクライニング状態の側面図で示す図である。
【0045】
この比較例の座席装置5では、座部510が、その前端部も含めて一体に形成されている。座部510には、第1及び第2の座部突出軸511,512が設けられており、台枠520の案内側板521における第1及び第2の座部ガイド溝521a,521bに嵌入している。第2の座部突出軸512は、背凭れ530の下部の横棒部531の前端を貫通して第2の座部ガイド溝521bに嵌入している。また、横棒部531の後端に設けられた背凭れ側突出軸531aが背凭れガイド溝521cに嵌入している。
【0046】
第1の座部ガイド溝521aは、前後方向D51の前方に上り勾配に形成され、第2の座部ガイド溝521bは下り勾配に形成されている。また、背凭れガイド溝521cは、第2の座部ガイド溝521bの下方に、この第2の座部ガイド溝521bよりもきつい下り勾配に形成されている。比較例の座席装置5では、これらのガイド溝521a,521b,521cに案内されて、座部510が、背凭れ530側が下降しつつ矢印D53方向に前進し、背凭れ530が矢印D54方向に倒れる。
【0047】
ここで、比較例の座席装置5では、座部510の前端は、上下方向D52について上昇しつつ矢印D55方向に前進する。このとき、前進した座部510の前端側座面が着座者Yの膝裏を押し上げがちになる。着座者Yが小柄な体格であると、
図5に例示されているように、かかとが床面から浮く程度にまで押し上げられることがあり、このような状態では、座部510の前端側座面によって膝裏が圧迫されて着座者Yに違和感を与える恐れがある。
【0048】
これに対し、上述した第1実施形態の座席装置1では、リクライニング状態への移行時には前端部120において前端側座面120bが、回動軸120aの回りに下向きに回動する。これにより、着座者Yの膝裏への圧迫が抑えられ、その結果、着座者Yの違和感が抑えられる。
【0049】
このとき、前端側座面120bの下向きの回動は、前端部120に設けられた後方側突出軸121a−1と、この後方側突出軸121a−1を案内する前端ガイド溝131cとによって行われる。この機構によれば、設計段階や試作段階での調整や変更は、前端ガイド溝131cにおける軌道に対する調整や変更によって行われる。このような前端ガイド溝131cの軌道は容易に所望の軌道に調整したり変更したりすることが可能である。従って、本実施形態の座席装置1によれば、リクライニング状態への移行における着座者Yの違和感を抑える機構について、設計段階や試作段階に容易に調整や変更を行うことができる。
【0050】
また、本実施形態の座席装置1では、座部本体110と前端部120との何れについても、案内側板131に設けられたガイド溝131a,131b,131cによってリクライニング状態への移行時の動きが案内される。このため、座部本体110も含めて機構が簡単かつコンパクトにまとめられている。そして、前端ガイド溝131cについて、上記のように第1の本体ガイド溝131aにどのように近づく軌道とするかによって、前端側座面120bの動きを調整したり変更したりすることが可能である。例えば、回動の程度を大きくしたい場合には、前端ガイド溝131cの上り勾配を一層きついものとし、第1の本体ガイド溝131aへより近づけるように調整すればよい。他方、回動の程度を抑えたい場合には、前端ガイド溝131cの上り勾配を緩やかなものとし、第1の本体ガイド溝131aへの接近の程度を抑えるように調整すればよい。つまり、本実施形態の座席装置1によれば、リクライニング状態への移行における着座者Yの違和感を抑える機構について、設計段階や試作段階に一層容易に調整や変更を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態の座席装置1では、前端部120は、回動アーム121を介して座部本体110に連結され、その一端121aに後方側突出軸121a−1が設けられている。回動アーム121は、座席装置1の内部構造に応じて適宜に干渉を避けた形状に設計すること等を容易に行なえる。本実施形態では、この回動アーム121が、座席装置1の内部構造に応じて前後方向D11に延びた逆S字状に形成されている。このように、本実施形態の座席装置1によれば、設計段階や試作段階に一層容易に調整や変更を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態の座席装置1では、座部本体110における背凭れ140側が下降しつつ座部本体110が前進するので、リクライニング状態での着座者Yの姿勢が安定し、着座者Yの違和感を一層抑えることができる。
【0053】
また、本実施形態の座席装置1では、案内側板131によって背凭れ140の倒れも案内されるので、このような機構を別途用意することに比べると、座席装置1の小型化や製造コストの低減が図られたものとなっている。
【0054】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、足載せ用のレッグレストが設けられている点が上述した第1実施形態とは異なる。以下、第2実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
【0055】
図6は、第2実施形態の座席装置を、その内部構造が見えるように示す斜視図である。また、
図7は、
図6中の矢印V21矢視を示す側面図である。また、
図8は、第2実施形態の座席装置がリクライニング状態に移行した様子を
図6と同様の斜視図で示す図である。また、
図9は、第2実施形態の座席装置がリクライニング状態に移行した様子を
図7と同様の側面図で示す図である。
【0056】
尚、これらの
図6〜
図9では、上述した第1実施形態で参照した
図1〜4に示されている構成要素と同等な構成要素については
図1〜4と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素については概略説明に留めるものとする。
【0057】
第2実施形態の座席装置2でも、リクライニング状態への移行に当たっては、各部が次のように案内される。即ち、座部本体110の第1及び第2の本体側突出軸111a−1,111a−2が、台枠130の案内側板131における第1及び第2の本体ガイド溝131a,131bに案内される。これにより、座部本体110は、背凭れ140側が下降し前端部120側が上下方向D23について上昇しつつ前後方向D21について前進するように矢印D24方向に案内されることとなる。また、背凭れ140の下部の横棒部141a−1前端を貫通する第2の本体側突出軸111a−2と、横棒部141a−1後端の背凭れ側突出軸141a−2と、が第2の本体ガイド溝131bと背凭れガイド溝131dとで案内される。これにより、横棒部141a−1が上り勾配になって背凭れ140が矢印D25で示されているように後方に倒れていくこととなる。そして、回動アーム121の後方へ延伸した一端121aに設けられた後方側突出軸121a−1が、上り勾配の前端ガイド溝131cによって上り勾配の軌道に沿って案内される。これにより、前端部120において左右方向D22の回動軸120aを挟んで回動アーム121の一端121aとは反対側に位置するクッション材123の部分が、回動軸120aの回りに、矢印D26で示されているように下向きに回動する。つまりは、前端部120における前端側座面120bが、矢印D26で示されているように下向きに回動することとなる。
【0058】
ここで、本実施形態の座席装置2は、足載せ用のレッグレスト210を備えている。レッグレスト210は、枠部211と、カバー部212と、を備えている。そして、枠部211が、前端部120の回動アーム121において後方側突出軸121a−1が設けられている一端121aとは反対側の他端121bに矢印D27方向に回動自在に取り付けられている。
【0059】
座部本体110には、レッグレスト210を回動させるための不図示のアクチュエータが搭載されている。レッグレスト210の回動は、着座者Yの操作を受けてアクチュエータによって行われる。
【0060】
本実施形態では、このように着座者Yの求めに応じてレッグレスト210が回動されるため、
図6及び
図7に示されているようにレッグレスト210が床面へと垂下した状態のままリクライニング状態への移行が行われる場合がある。
【0061】
ここで、
図5を参照して説明した比較例の座席装置5の座部510の前端に同様のレッグレスト210が取り付けられていると仮定する。この場合、比較例の座席装置5では、リクライニング状態への移行に当たって、座部510の前端が矢印D55方向に上昇しつつ前進する。この移行が、レッグレスト210が垂下した状態のまま行われたとすると、レッグレスト210と座部510の座面とのなす角度は維持されるので、座部510の前端の動きに応じてレッグレスト210が跳ね上げられる。このように跳ね上げられたレッグレスト210は、着座者Yの脹脛等を圧迫して違和感を与える恐れがある。
【0062】
これに対し、本実施形態では、
図8や
図9に矢印D26で示されているように、リクライニング状態への移行に当たって前端部120における前端側座面120bが下向きに回動する。この前端側座面120bの回動は、回動アーム121においてレッグレスト210の枠部211が取り付けられている他端121bの下向きの回動による。このため、レッグレスト210が垂下した状態のままリクライニング状態への移行が行われた場合、レッグレスト210と前端側座面120bとのなす角度が維持され、上り勾配の座部本体110の上面110aとのなす角度は鋭角化する。その結果、本実施形態では、上述したようなレッグレスト210の跳ね上げが抑えられるので着座者Yの違和感が抑えられる。
【0063】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の座席装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0064】
例えば、上述した第1及び第2実施形態では、本発明にいう前端ガイド溝や本体ガイド溝の一例として、直線状に延在する前端ガイド溝131cや第1及び第2の本体ガイド溝131a,131bが例示されている。しかしながら、本発明にいう前端ガイド溝や本体ガイド溝の形状は直線状に限るものではなく、座部本体や前端部の、動かしたい軌跡に応じて任意の形状に設定し得るものである。また、背凭れガイド溝の形状についても同様である。
【0065】
また、上述した第1及び第2実施形態では、本発明にいう前端部の一例として、回動アーム121を介して座部本体110と連結された前端部120が例示されている。しかしながら、本発明にいう前端部はこれに限るものではない。本発明にいう前端部は、回動軸の回りに回動自在に座部本体に連結されるとともに、座部本体と一緒に前進しても案内側板と重なる位置まで、その一部が回動軸を超えて延出したものであれば、座部本体との具体的な連結構成を問うものではない。ただし、回動アームを介した連結構成とすることで、座席装置の内部構造に応じて適宜に干渉を避けた形状に設計すること等を容易に行なえるので、設計段階や試作段階に一層容易に調整や変更を行うことができる点は上述した通りである。
【0066】
また、上述した第1及び第2実施形態では、本発明にいう回動アームの一例として、逆S字状に形成された回動アーム121が例示されている。しかしながら、本発明にいう回動アームの形状は逆S字状に限るものではなく、座席装置の内部構造との干渉が避けられるのならば、例えば直線状であってもよく、その具体的な形状を問うものではない。