特許第6802021号(P6802021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6802021-車両用燃料ポンプ制御装置 図000002
  • 特許6802021-車両用燃料ポンプ制御装置 図000003
  • 特許6802021-車両用燃料ポンプ制御装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802021
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】車両用燃料ポンプ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/30 20060101AFI20201207BHJP
   F02M 37/08 20060101ALI20201207BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20201207BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20201207BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20201207BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20201207BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20201207BHJP
   B60W 20/15 20160101ALI20201207BHJP
   B60W 20/17 20160101ALI20201207BHJP
【FI】
   B60W10/30 900
   F02M37/08 A
   F02M37/08 D
   F02D29/06 D
   F02D29/02 321C
   F02D29/02 K
   B60L9/18 J
   B60L1/00 L
   B60K6/48ZHV
   B60W20/15
   B60W20/17
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-191250(P2016-191250)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-52325(P2018-52325A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩也
(72)【発明者】
【氏名】大西 将弘
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−285073(JP,A)
【文献】 特開2007−309107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/30
B60K 6/48
B60L 1/00
B60L 9/18
B60W 20/15
B60W 20/17
F02D 29/02
F02D 29/06
F02M 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるエンジンと、
前記車両を駆動するために当該車両に搭載されるモータと、
前記エンジンに燃料を供給する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの固着を防止する必要の有無を判定する固着対策必要判定部と、
前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動する燃料ポンプ固着防止作動部と、
前記固着対策必要判定部で前記燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ前記燃料ポンプ固着防止作動部によって前記燃料ポンプを作動するように制御する燃料ポンプ制御部と、
を備え
前記固着対策必要判定部は、
前記燃料ポンプからエンジンに供給される燃料の圧力が予め設定された圧力規定値以下である場合に前記燃料ポンプの固着防止が必要であると判定することを特徴とする車両用燃料ポンプ制御装置。
【請求項2】
車両に搭載されるエンジンと、
前記車両を駆動するために当該車両に搭載されるモータと、
前記エンジンに燃料を供給する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの固着を防止する必要の有無を判定する固着対策必要判定部と、
前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動する燃料ポンプ固着防止作動部と、
前記固着対策必要判定部で前記燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ前記燃料ポンプ固着防止作動部によって前記燃料ポンプを作動するように制御する燃料ポンプ制御部と、
を備え
前記固着対策必要判定部は、
前記エンジンの温度と外気温との差が予め設定された温度差規定値以下である場合に前記燃料ポンプの固着防止が必要であると判定することを特徴とする車両用燃料ポンプ制御装置。
【請求項3】
車両に搭載されるエンジンと、
前記車両を駆動するために当該車両に搭載されるモータと、
前記エンジンに燃料を供給する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの固着を防止する必要の有無を判定する固着対策必要判定部と、
前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動する燃料ポンプ固着防止作動部と、
前記固着対策必要判定部で前記燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ前記燃料ポンプ固着防止作動部によって前記燃料ポンプを作動するように制御する燃料ポンプ制御部と、
を備え
前記燃料ポンプ制御部は、
前記車両で発生する音振によって前記燃料ポンプの作動音がマスキングされるタイミングで前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動することを特徴とする車両用燃料ポンプ制御装置。
【請求項4】
車両に搭載されるエンジンと、
前記車両を駆動するために当該車両に搭載されるモータと、
前記エンジンに燃料を供給する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの固着を防止する必要の有無を判定する固着対策必要判定部と、
前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動する燃料ポンプ固着防止作動部と、
前記固着対策必要判定部で前記燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ前記燃料ポンプ固着防止作動部によって前記燃料ポンプを作動するように制御する燃料ポンプ制御部と、
を備え
前記燃料ポンプ制御部は、
前記モータを駆動するためのパワー制御部における出力パラメータが前記モータの力行運転規定状態に相当する予め設定されたパラメータ規定値以上である場合に前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動することを特徴とする車両用燃料ポンプ制御装置。
【請求項5】
車両に搭載されるエンジンと、
前記車両を駆動するために当該車両に搭載されるモータと、
前記エンジンに燃料を供給する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの固着を防止する必要の有無を判定する固着対策必要判定部と、
前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動する燃料ポンプ固着防止作動部と、
前記固着対策必要判定部で前記燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ前記燃料ポンプ固着防止作動部によって前記燃料ポンプを作動するように制御する燃料ポンプ制御部と、
を備え
前記燃料ポンプ制御部は、
前記車両の走行速度が予め設定された走行速度規定値以上である場合に前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動することを特徴とする車両用燃料ポンプ制御装置。
【請求項6】
車両に搭載されるエンジンと、
前記車両を駆動するために当該車両に搭載されるモータと、
前記エンジンに燃料を供給する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの固着を防止する必要の有無を判定する固着対策必要判定部と、
前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動する燃料ポンプ固着防止作動部と、
前記固着対策必要判定部で前記燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ前記燃料ポンプ固着防止作動部によって前記燃料ポンプを作動するように制御する燃料ポンプ制御部と、
を備え
前記燃料ポンプ制御部は、
運転者によるアクセルペダルの操作量が予め設定されたアクセルペダル操作量規定値以上である場合に前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動することを特徴とする車両用燃料ポンプ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用燃料ポンプ制御装置、特に、車両に搭載されたエンジンに燃料を供給するための燃料ポンプの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されるエンジンの電子制御化が進み、例えばエンジンの運転状態を制御するために、インジェクタ(燃料噴射装置)による燃料噴射状態を制御するようにしている。このインジェクタでは、燃料を噴射するために燃料を加圧供給する必要があり、そのために、燃料は燃料ポンプによって加圧供給される。この燃料ポンプによる燃料供給制御としては、例えば下記特許文献1に記載されるものがある。この車両用燃料ポンプ制御装置では、エンジンの燃焼室に燃料を直接吹き込む、所謂筒内インジェクタと、吸気ポートに燃料を吹き込むポート内インジェクタとを備えるエンジンの自動始動時、駆動停止可能な補機を駆動停止させることにより電力を確保可能な場合には、補機を駆動停止させると共に燃料ポンプを駆動して筒内インジェクタから燃料を噴射し、電力を確保できないときにはポート内インジェクタから燃料を噴射する。この車両用燃料ポンプ制御装置は、駆動用エンジンの他に、車両の駆動源としてモータも併載したハイブリッド車両に適用されている。なお、ハイブリッド車両(後述する電気自動車:EVを含む)では、モータを回生運転して発電を行うため、多くの場合、モータジェネレータとも呼ばれるが、ここでは、単にモータとのみ記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−299504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、後段に詳述するように、特に、プラグインハイブリッド車両やレンジエクステンダEVでは、エンジンの運転時間が短く、燃料ポンプの作動時間も短いので、燃料ポンプの摺動部が固着するおそれがある。この燃料ポンプの固着を防止するため、ハイブリッド車両などでは、例えばイグニッションスイッチに相当するスタートスイッチがオン操作されたとき、燃料ポンプを極く短時間強制作動するようにしている。しかしながら、固着防止のために燃料ポンプを強制作動する頻度が大きくなれば、ポンプ摺動部の摩耗が進み、燃料ポンプの耐久性が低下する。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料ポンプの固着を防止しながら燃料ポンプの耐久性を確保することが可能な車両用燃料ポンプ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため請求項1に記載の車両用燃料ポンプ制御装置は、
車両に搭載されるエンジンと、前記車両を駆動するために当該車両に搭載されるモータと、前記エンジンに燃料を供給する燃料ポンプと、前記燃料ポンプの固着を防止する必要の有無を判定する固着対策必要判定部と、前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動する燃料ポンプ固着防止作動部と、前記固着対策必要判定部で前記燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ前記燃料ポンプ固着防止作動部によって前記燃料ポンプを作動するように制御する燃料ポンプ制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、燃料ポンプの固着を防止する必要があると判定された場合にのみ燃料ポンプが作動されるので、燃料ポンプの固着を確実に防止する状況は確保しつつ、少し前まで燃料ポンプが作動されていたり、少し前までエンジンが運転されていたりするような場合には、燃料ポンプの固着の可能性が低いので燃料ポンプを作動させない。従って、不要な作動による劣化を防止することができ、その分だけ、燃料ポンプの耐久性が向上する。
【0008】
また、前記固着対策必要判定部は、前記燃料ポンプからエンジンに供給される燃料の圧力が予め設定された圧力規定値以下である場合に前記燃料ポンプの固着防止が必要であると判定することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、燃料の圧力が圧力規定値以下である、すなわち長い期間、燃料ポンプが作動されていないと判断されるので、このような場合にのみ燃料ポンプが作動される。従って、燃料ポンプの固着が確実に防止されるだけでなく、不要な燃料ポンプの作動が回避される。すなわち、燃料の圧力が圧力規定値以下でないような少し前まで燃料ポンプが作動されていたと判断される場合には燃料ポンプが作動されず、燃料ポンプの耐久性を確保することが可能となる。
【0010】
また、前記固着対策必要判定部は、前記エンジンの温度と外気温との差が予め設定された温度差規定値以下である場合に前記燃料ポンプの固着防止が必要であると判定することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、エンジンの温度と外気温との差が温度差規定値以下である、すなわち長い期間、エンジンが運転されていない、すなわち長い期間、燃料ポンプが作動されていないと判断される場合に燃料ポンプが作動されるので、燃料ポンプの固着が確実に防止されるだけでなく、不要な燃料ポンプの作動が回避される。すなわち、エンジンの温度と外気温度の差が温度差規定値以下でないような少し前までエンジンが運転されていた、すなわち少し前まで燃料ポンプが作動されていたと判断される場合には燃料ポンプが作動されず、燃料ポンプの耐久性を確保することが可能となる。
【0012】
また、前記燃料ポンプ制御部は、前記車両で発生する音振によって前記燃料ポンプの作動音がマスキングされるタイミングで前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、上記燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ燃料ポンプを作動する場合に、その固着防止のための燃料ポンプの作動音が、車両で発生する音振によってマスキングされ、目立たない。これにより、不要な燃料ポンプの作動を回避することに加え、作動された場合の作動音も目立たなくすることが可能となる。
【0014】
また、前記燃料ポンプ制御部は、前記モータを駆動するためのパワー制御部における出力パラメータが前記モータの力行運転規定状態に相当する予め設定されたパラメータ規定値以上である場合に前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ燃料ポンプを作動する場合に、例えばパワー制御部で算出されるモータへの電圧指令値から求められる電力消費量を出力パラメータとし、この出力パラメータがモータの力行運転規定状態に相当するパラメータ規定値以上である場合に燃料ポンプが作動されるので、車両で発生するモータ力行運転の音振によって燃料ポンプの作動音が効果的にマスキングされる。
【0016】
また、前記燃料ポンプ制御部は、前記車両の走行速度が予め設定された走行速度規定値以上である場合に前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ燃料ポンプを作動する場合に、車両の走行速度が走行速度規定値以上である場合に燃料ポンプが作動されるので、車両で発生する走行時の音振によって燃料ポンプの作動音が効果的にマスキングされる。
【0018】
また、前記燃料ポンプ制御部は、運転者によるアクセルペダルの操作量が予め設定されたアクセルペダル操作量規定値以上である場合に前記燃料ポンプの固着防止のために前記燃料ポンプを作動することを特徴とする。

【0019】
この構成によれば、燃料ポンプの固着防止が必要と判定された場合にのみ燃料ポンプを作動する場合に、アクセルペダル操作量がアクセルペダル操作量規定値以上である場合に燃料ポンプが作動されるので、車両で発生する走行時の音振、特に車両加速時の音振によって燃料ポンプの作動音が効果的にマスキングされる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、燃料ポンプの固着を防止する必要があると判定された場合にのみ燃料ポンプが作動されるので、燃料ポンプの固着を確実に防止することを妨げることなく、実際に燃料ポンプの固着防止作動が必要でないと判断される場合には作動されないので、不要な燃料ポンプの作動に起因する燃料ポンプの劣化を防ぐことができ、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の車両用燃料ポンプ制御装置が適用されたプラグインハイブリッド車両の一実施形態の概略構成を示すシステム構成図である。
図2図1のエンジンコントロールユニットで行われる演算処理を示すフローチャートである。
図3図1のエンジンコントロールユニットで行われる演算処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の車両用燃料ポンプ制御装置の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態の車両用燃料ポンプ制御装置が適用されたプラグインハイブリッド車両の概略構成を示すシステム構成図である。この車両は、例えばステーションワゴン型やSUV型の乗用車両である。この車両の駆動源の一つであるエンジン10は、例えば車両前方のエンジンルーム内に配置されており、このエンジン10にはトランスミッション12が連結されている。
【0023】
このエンジン10は、図示しないインジェクタ(燃料噴射装置)によって、燃焼室又は吸気ポートに燃料を噴射する。このエンジン10、具体的にはインジェクタには、例えば燃料タンク16内に配設された燃料ポンプ18から燃料が加圧供給される。この燃料ポンプ18は、図示しない電動モータを備えて構成されており、図示しない12Vバッテリからの電力で電動モータを駆動することにより燃料を加圧供給する。なお、燃料ポンプ18からエンジン10(インジェクタ)までの燃料供給経路には、経路中の燃料の圧力を検出する燃料圧力センサ32が設けられている。
【0024】
この実施の形態のトランスミッション12には、もう一つの駆動源であるモータ14が連結されている。このモータ14は、駆動バッテリ24からの電力で力行運転すると共に、回生運転で発電した電力を駆動バッテリ24に充電する。このモータ14の力行運転時には、単独で又はエンジン10と共に車両を駆動し、回生運転時には、車両に制動力(後進駆動力)が付与される。なお、このモータ14をトランスミッション12の内部に配置することも可能である。
【0025】
このモータ14と駆動バッテリ24との電力の授受は、後述するパワーコントロールユニット22内に設けられた図示しないインバータを介して行われる。このインバータでは、例えばモータ14を力行運転する際、駆動バッテリ24の直流電力を交流電力に変換すると共に、走行速度やシステム制御に必要な周波数信号を創生し、モータ14の回転速度、駆動トルク、電力を制御して車両の加減速を行う。また、車両の減速時には、モータ14のロータ(回転子)に制動力が付与されるようにモータ14の電力制御を行い、これにより車両に制動力(後進駆動力)を付与する。なお、インバータへの制御指令はパワーコントロールユニット22内に設けられた個別の演算処理装置から出力される。
【0026】
また、この実施の形態のパワーコントロールユニット22には、プラグ28で接続される家庭用電源、所謂商用電源(又は200V電源)によって駆動バッテリ24を充電するための図示しないコンバータも内装されている。このコンバータは、例えば交流100Vを高圧の直流電圧に変換する力率改善回路(PFC)や、高圧の直流電圧を更に昇圧するDCDCコンバータなどを備えて構成される。
【0027】
そして、この実施の形態では、トランスミッション12を介したエンジン10の駆動力とモータ14の駆動力が駆動輪26に伝達される。両者の駆動力の統合・分散は、周知のように、図示しないクラッチなどの摩擦要素や遊星歯車装置などを用いて行われる。図では、駆動輪26として二輪だけが記載されているが、例えば車両の四つの車輪全てに駆動力が伝達されるようにすることも勿論可能である。なお、動力伝達経路内で速度差が生じる部分には、図示しない差動装置(ディファレンシャルギヤ)が介装されている。
【0028】
この車両では、近年の車両と同様に、エンジン10はエンジンコントロールユニット20によって、トランスミッション12はトランスミッションコントロールユニット21によって、モータ14はパワーコントロールユニット22によって、夫々制御される。また、互いのコントロールユニット20〜22が協調して制御を行う場合もある。
【0029】
エンジンコントロールユニット20は、例えば運転者によるスロットル開度とエンジン回転速度から目標エンジントルクを設定し、その目標エンジントルクが達成されるように例えば燃料噴射量や点火時期を制御する。また、後述するパワーコントロールユニット22と協調制御を行う場合には、例えば運転者が要求し且つ燃費を向上する目標駆動トルクを設定し、そのうちエンジン10に割り振られた目標エンジントルクが達成されるように例えば燃料噴射量や点火時期を制御する。また、トランスミッションコントロールユニット21は、例えば車両の走行速度と入力回転速度とスロットル開度から目標変速比を設定し、その目標変速比が達成されるように例えばトランスミッション12内のベルトプーリ比を制御する。
【0030】
また、パワーコントロールユニット22は、例えば車両の走行速度と運転者によるスロットル開度から目標モータトルクを設定し、その目標モータトルクが達成されるようにモータ14の回転状態を制御する。また、エンジンコントロールユニット20と協調制御を行う場合には、例えば運転者が要求し且つ燃費を向上する目標駆動トルクを設定し、そのうちモータ14に割り振られた目標モータトルクが達成されるようにモータ14の回転状態を制御する。また、車両の減速走行時には、駆動バッテリ24の充電状態に応じて、最も大きな電力が発電されるようにモータ14を回生運転する。具体的には、後述する演算処理装置で算出された制御指令値、例えばモータ電圧指令値がインバータに与えられることでモータ14の回転状態が制御される。
【0031】
これらのコントロールユニット20〜22は、例えばマイクロコンピュータなどの演算処理装置を搭載して構成され、高度な演算処理機能を有する。そのため、これらのコントロールユニット20〜22は、コンピュータシステムと同様に、演算処理部の他、入出力部、記憶部などを備えて構成される。また、近年の車両と同様に、コントロールユニット20〜22同士で、互いに相互通信を行い、互いに協調制御を行ったり、情報を授受・共有したりするように構成されている。
【0032】
そして、この車両には、車両の作動を許可するスタートスイッチ30が、例えばインストゥルメントパネルに設けられている。このスタートスイッチ30は、オン操作によってエンジン10の運転を許可すると共に、車両としての作動開始を許可する。このスタートスイッチ30は、エンジンのみを車両の駆動源として搭載するエンジン搭載車両のイグニッションスイッチに相当するが、ハイブリッド車両では、多くの場合、車両の停車中はエンジンを停止するので、スタートスイッチ30のオン操作でエンジン10の運転が許可される。
【0033】
また、この車両には、車両外部の温度を検出する外気温センサ34や、エンジン10の温度としてエンジン冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ36、運転者によるアクセルペダルの操作量として図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ38が設けられている。そして、これらのセンサ出力は、例えばエンジンコントロールユニット20に入力される。また、前述した燃料圧力センサ32で検出される燃料圧力もエンジンコントロールユニット20に入力される。
【0034】
また、この実施の形態では、コントロールユニット20〜22間の相互通信により、例えばトランスミッションコントロールユニット21から車両の走行速度が、パワーコントロールユニット22からモータ14に対するインバータ出力パラメータが、エンジンコントロールユニット20に送信される。このうち、パワーコントロールユニット22から送信されるインバータ出力パラメータとしては、例えばモータ14をベクトル制御する際のモータ電圧指令値から求められるモータ電力消費量などが挙げられる。例えば、このモータ電力消費量からなるインバータ出力パラメータが大きければ、モータ14の駆動トルクが大きいことを意味し、結果としてモータ14の運転に起因して車両に発生する音振が大きいことを意味する。
【0035】
次に、エンジンコントロールユニット20で行われる固着回避のための燃料ポンプ作動の演算処理を説明する前に、その背景について説明する。この実施の形態のようなプラグインハイブリッド車両は、前述のように、モータを駆動するための駆動バッテリを家庭用電源で充電可能としたハイブリッド車両である。ハイブリッド車両では、燃料消費量を低減するために、駆動バッテリの電力でモータを駆動することで車両を駆動できる場合には、可及的にモータのみで車両を駆動するように設定されている。そのため、駆動バッテリを家庭用電源で充電可能なプラグインハイブリッド車両では、エンジンの運転時間が小さくなる。
【0036】
同様に、EV(電気自動車)には、駆動バッテリを充電するためにだけ、エンジンを搭載した、所謂レンジエクステンダEVと呼ばれる車両がある。このレンジエクステンダEVも、エンジンは駆動バッテリを充電するためにだけ運転されるので、エンジンの運転時間が小さくなる傾向がある。ちなみにレンジエクステンダEVでは、エンジンを搭載しないEVと比較して、連続航続距離を大幅に増大することができる。
【0037】
このようにエンジンの運転時間が小さくなる車両では、エンジンに燃料を供給するための燃料ポンプの作動時間も小さくなる。この種の燃料ポンプは、一般に電動モータで駆動され、近年では、燃料タンク内に配設されることも多い。この燃料ポンプが長期間運転されないと、電動モータのコンミュテータ(整流子)やブラシ、軸受などのポンプ摺動部が燃料成分で固着してしまうおそれがある。こうした固着を防止するため、ハイブリッド車両などにおいても、例えばスタートスイッチがオン操作されたときに、燃料ポンプを強制的に極短時間作動している。
【0038】
しかしながら、固着防止のために燃料ポンプを強制作動する頻度が大きくなれば、ポンプ摺動部の摩耗が進み、燃料ポンプの耐久性が低下する。また、ハイブリッド車両やエンジン搭載EVでは、スタートスイッチがオンされただけでは、多くの場合、エンジンは運転されないので、燃料ポンプの作動音が目立つ。この燃料ポンプの作動音そのものを低減するためには、例えば遮音カバーなどを追加する必要が生じる。
【0039】
そこで、これらの問題を回避するために、この実施の形態のエンジンコントロールユニット20で行われる燃料ポンプ固着回避作動制御のための演算処理について、図2図3のフローチャートを用いて説明する。なお、このエンジンコントロールユニット20では、図示しない個別の演算処理により、スタートスイッチ30の前回オフからの経過時間toffが算出されている。また、後述する固着対策完了フラグFfは、スタートスイッチ30のオフで0にリセットされるか、または電力遮断で自動消去される記憶装置、例えば揮発性メモリによって自動消去され、結果として0にリセットされる。
【0040】
このうち、図2の演算処理は、例えば予め設定された所定サンプリング周期毎にタイマ割込処理によって実行される。この演算処理では、まずステップS1で、固着対策完了フラグFfが0のリセット状態であるか否かを判定し、固着対策完了フラグFfがリセット状態である場合にはステップS2に移行し、そうでない場合に復帰する。
【0041】
ステップS2では、スタートスイッチ30がオンされたか否かを判定し、スタートスイッチ30がオンされた場合にはステップS3に移行し、そうでない場合には復帰する。
【0042】
ステップS3では、スタートスイッチ30の前回オフからの経過時間toffを読込む。
【0043】
次にステップS4に移行して、前回スタートスイッチオフからの経過時間toffが予め設定された経過時間規定値tref以上であるか否かを判定し、経過時間toffが経過時間規定値tref以上である場合にはステップS5に移行し、そうでない場合には復帰する。
【0044】
ステップS5では、固着対策判定完了フラグFsが0のリセット状態であるか否かを判定し、固着対策判定完了フラグFsがリセット状態である場合にはステップS6に移行し、そうでない場合に復帰する。
【0045】
ステップS6では、燃料圧力センサ32で検出された燃料圧力Pfを読込む。
【0046】
次にステップS7に移行して、冷却水温度センサ36で検出された冷却水温度Twをエンジン温度として読込む。
【0047】
次にステップS8に移行して、外気温センサ34で検出された外気温Taを読込む。
【0048】
次にステップS9に移行して、読込まれた燃料圧力Pfが予め設定された燃料圧力規定値Pref以下であるか否かを判定し、燃料圧力Pfが燃料圧力規定値Pref以下である場合にはステップS11に移行し、そうでない場合にはステップS10に移行する。
【0049】
ステップS10では、エンジン温度として読込まれた冷却水温度Twから外気温Taを減じた温度差ΔTが予め設定された温度差規定値ΔTref以下であるか否かを判定し、エンジン温度と外気温との温度差ΔTが温度差規定値ΔTref以下である場合にはステップS11に移行し、そうでない場合にはステップS12に移行する。
【0050】
ステップS11では、燃料ポンプ18の固着対策(固着防止)が必要であると判定してからステップS13に移行する。
【0051】
一方、ステップS12では、燃料ポンプ18の固着対策が不要である(必要でない)と判定してからステップS13に移行する。
【0052】
ステップS13では、固着対策判定完了フラグFsを1にセットしてから復帰する。
【0053】
この演算処理によれば、前回スタートスイッチオフからの経過時間toffが経過時間規定値tref以上である場合であって、燃料圧力Pfが燃料圧力規定値Pref以下である場合か、又はエンジン温度と外気温との温度差ΔTが温度差規定値ΔTref以下である場合に、燃料ポンプ18の固着対策が必要であると判定され、そうでない場合には、燃料ポンプ18の固着対策は必要でないと判定される。
【0054】
燃料ポンプ18の固着対策が必要であると判定されるための条件、例えば燃料圧力Pfが燃料圧力規定値Pref以下であるということは、燃料ポンプ18が停止されてからの経過時間が長いことを意味する。もし、燃料ポンプ18が停止されてからの経過時間が短い、つまり少し前まで燃料ポンプ18が作動していた場合には、燃料ポンプ18の固着防止のために燃料ポンプ18を作動する必要はない。従って、燃料圧力規定値Prefを適宜設定することにより、少し前まで燃料ポンプ18が作動していた場合には燃料ポンプ18の固着防止のための燃料ポンプ18の強制作動を回避して燃料ポンプ18の作動頻度を低減することができる。一方、長い期間、燃料ポンプ18が作動していない場合には燃料ポンプ18を作動して固着を防止することができる。
【0055】
同様に、エンジン温度と外気温との温度差ΔTが温度差規定値ΔTref以下であるということは、エンジン10が停止、つまり燃料ポンプ18が停止されてからの経過時間が長いことを意味するから、温度差規定値ΔTを適宜設定することにより、少し前までエンジン10が運転していた、つまり少し前まで燃料ポンプ18が作動していた場合には燃料ポンプ18の固着防止のための燃料ポンプ18の強制作動を回避して燃料ポンプ18の作動頻度を低減することができる。一方、長い期間、エンジン10が運転していない、つまり長い期間、燃料ポンプ18が作動していない場合には燃料ポンプ18を作動して固着を防止することができる。
【0056】
なお、前回スタートスイッチオフからの経過時間toffを判定する経過時間trefは、例えば燃料圧力センサ32で検出される燃料圧力Pfが十分低下するまでの経過時間、つまり固着回避のための燃料ポンプ18の強制作動が必要な時間を設定することで、例えばスタートスイッチ30のオンとオフが繰り返されるような場合であっても、燃料ポンプ18の固着対策が必要かどうかの判定が頻繁に行われるのを回避することができる。
【0057】
一方、図3の演算処理は、例えば予め設定された所定サンプリング周期毎にタイマ割込処理によって実行される。この演算処理では、まずステップS21で、固着対策完了フラグFfが0のリセット状態であるか否かを判定し、固着対策完了フラグFfがリセット状態である場合にはステップS22に移行し、そうでない場合に復帰する。
【0058】
ステップS22では、固着対策判定完了フラグFsが1のセット状態であるか否かを判定し、固着対策判定完了フラグFsがセット状態である場合にはステップS23に移行し、そうでない場合に復帰する。
【0059】
ステップS23では、図2の演算処理によって固着対策必要判定がなされたか否かを判定し、固着対策必要判定がなされた場合にはステップS24に移行し、そうでない場合には復帰する。
【0060】
ステップS24では、パワーコントロールユニット22からインバータ出力パラメータIを読込む。
【0061】
次にステップS25に移行して、トランスミッションコントロールユニット21から車両の走行速度Vを読込む。
【0062】
次にステップS26に移行して、スロットル開度センサ38で検出されるスロットル開度THを読込む。
【0063】
次にステップS27に移行して、読込まれたインバータ出力パラメータIが予め設定されたパラメータ規定値Iref以上であるか否かを判定し、インバータ出力パラメータIがパラメータ規定値Iref以上である場合にはステップS30に移行し、そうでない場合にはステップS28に移行する。
【0064】
ステップS28では、読込まれた車両の走行速度Vが予め設定された走行速度規定値Vref以上であるか否かを判定し、走行速度Vが走行速度規定値Vref以上である場合にはステップS30に移行し、そうでない場合にはステップS29に移行する。
【0065】
ステップS29では、読込まれたスロットル開度THが予め設定されたアクセルペダル操作量規定値としてのスロットル開度規定値THref以上であるか否かを判定し、スロットル開度THがスロットル開度規定値THref以上である場合にはステップS30に移行し、そうでない場合には復帰する。
【0066】
ステップS30では、図示しない個別の演算処理に従って、固着対策(固着防止)として燃料ポンプ18を予め設定された規定時間作動制御してからステップS31に移行する。この規定時間としては、例えば1秒という時間が設定される。
【0067】
ステップS31では、固着対策完了フラグFfを1にセットすると共に、固着対策判定完了フラグFsを0にリセットしてから復帰する。
【0068】
この演算処理では、インバータ出力パラメータIがパラメータ規定値Iref以上である場合、走行速度Vが走行速度規定値Vref以上である場合、スロットル開度THがスロットル開度規定値THref以上である場合の夫々の条件が成立する場合に、固着対策(固着防止)のために燃料ポンプ18が作動される。例えば、インバータ出力パラメータIがパラメータ規定値Iref以上であれば、モータ14の駆動トルクが大きいので、モータ14の力行運転に起因して車両に発生する音振が大きい。このモータ14の力行運転に起因する車両音振が大きければ、この音振によって燃料ポンプ18を作動するときの作動音がマスキングされ、作動音が目立たない。
【0069】
同様に、走行速度Vが走行速度規定値Vref以上であれば、例えば車両走行中に車両に発生する音振も大きい。この車両走行中の音振によって燃料ポンプ18を作動するときの作動音がマスキングされ、作動音が目立たない。また、スロットル開度THがスロットル開度規定値THref以上であれば、例えばモータ14の力行運転に起因して車両に発生する音振も大きい。従って、このモータ14の力行運転に起因する音振によって燃料ポンプ18を作動するときの作動音がマスキングされ、作動音が目立たない。
【0070】
このように、この実施の形態の燃料ポンプ制御装置では、燃料ポンプ18の固着を防止する必要の有無を判定し、燃料ポンプ18の固着防止が必要と判定された場合に、燃料ポンプ18の固着防止のために燃料ポンプ18を作動する。そのため、燃料ポンプ18の固着が確実に防止される一方、少し前まで燃料ポンプ18が作動されていたり、少し前までエンジン10が運転されていたりする場合のように、燃料ポンプ18の固着防止が必要と判定されない場合には燃料ポンプ18が作動されず、その分だけ、燃料ポンプ18の耐久性が確保される。
【0071】
また、車両で発生する音振によって燃料ポンプ18の作動音がマスキングされるタイミングで燃料ポンプ18の固着防止のために燃料ポンプ18を作動することにより、固着防止のための燃料ポンプ18の作動音が、車両で発生する音振によってマスキングされ、目立たない。
【0072】
なお、上記実施の形態では、燃料圧力が燃料圧力規定値以下である場合にも、エンジン温度と外気温との温度差が温度差規定値以下である場合にも、燃料ポンプの固着対策(固着防止)が必要であるとする、所謂OR判定としたが、この判定は、何れか一方だけであってもよいし、両者が同時に成立するときのみの所謂AND判定としてもよい。
【0073】
同様に、上記実施の形態では、インバータ出力パラメータがパラメータ規定値以上である場合にも、走行速度が走行速度規定値以上である場合にも、アクセルペダル操作量がアクセルペダル操作量規定値以上である場合にも、燃料ポンプ固着防止のための燃料ポンプ作動を許可する、所謂OR判定としたが、この判定は、これらの何れか1つ以上だけであってもよいし、2つ以上の条件が同時に成立するときのみの所謂AND判定としてもよい。
【0074】
また、本発明の燃料ポンプ制御装置は、前述したプラグインハイブリッド車両だけでなく、一般的なハイブリッド車両にも同様に適用可能である。また、ハイブリッド車両の車両構成も前述のものに限定されるものではない。更には、レンジエクステンダEVのように、駆動バッテリを充電するためにだけ車両に搭載されたエンジンに燃料を供給する燃料ポンプにも適用可能である。
【0075】
本発明が上記していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当とされる特許請求の範囲に記載された発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0076】
10 エンジン
14 モータ
18 燃料ポンプ
20 エンジンコントロールユニット
22 パワーコントロールユニット(パワー制御部)
32 燃料圧力センサ
34 外気温センサ
36 冷却水温度センサ(エンジン温度センサ)
38 スロットル開度センサ(アクセルペダル操作量センサ)
図1
図2
図3