(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有し、該着用者の腹側に配される腹側領域、股間部に配される股下領域及び背側に配される背側領域に亘る外装体と、該外装体の肌対向面側に固定された吸収体を有する吸収性本体とを備え、前記腹側領域における前記外装体の両側縁部と前記背側領域における前記外装体の両側縁部とが接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型使い捨ておむつであって、
前記一対のレッグ開口部それぞれの開口周縁部に沿って配された腹側レッグ弾性部材及び背側レッグ弾性部材により一対のレッグギャザーが形成されており、
前記パンツ型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態において、
前記腹側レッグ弾性部材は、前記外装体における前記腹側領域側から一方の前記レッグ開口部に沿って伸長状態で配され且つ前記股下領域の縦方向の中央部にて横方向の内方に向かって伸長状態で配され、更に、該外装体における前記腹側領域側から他方の前記レッグ開口部に沿って伸長状態で配され且つ該股下領域の該中央部にて横方向の内方に向かって伸長状態で配されており、
前記背側レッグ弾性部材は、前記外装体における前記背側領域側から一方の前記レッグ開口部に沿って伸長状態で配され且つ前記股下領域の前記中央部にて横方向の内方に向かって伸長状態で配され、更に、該外装体における前記背側領域側から他方の前記レッグ開口部に沿って伸長状態で配され且つ該股下領域の該中央部にて横方向の内方に向かって伸長状態で配されており、
前記腹側レッグ弾性部材と前記背側レッグ弾性部材とは、前記股下領域の前記中央部において、前記パンツ型使い捨ておむつを縦方向に二分する横方向に延びる横中心線よりも前記腹側領域側で交差しており、交差している部分から横方向の内方で接着剤により前記外装体に固定されており、
前記股下領域の前記中央部において、前記背側レッグ弾性部材と前記吸収体の縦方向に沿う両側縁それぞれとのなす角が、30度以上90度以下であり、
前記パンツ型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態において、
前記腹側レッグ弾性部材と前記吸収体の縦方向に沿う両側縁それぞれとのなす角度が、40度以上90度以下である、パンツ型使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のパンツ型使い捨ておむつを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1(以下、おむつ1ともいう)は、
図1及び
図2に示すように、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有し、該着用者の腹側に配される腹側領域A、股間部に配される股下領域C及び背側に配される背側領域Bに亘る外装体10と、該外装体10の肌対向面側に固定された吸収体4を有する吸収性本体5とを備えている。またおむつ1には、腹側領域Aにおける外装体10の両側縁部AS,ASと背側領域Bにおける外装体10の両側縁部BS,BSとが接合されて、一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部7及び一対のレッグ開口部8,8が形成されている。
【0011】
おむつ1の縦方向(
図2中X方向)は、
図1及び
図2に示すように、腹側領域Aから股下領域Cを経て背側領域Bに亘る方向又はその逆方向であり、おむつ1の横方向(
図2中Y方向)は、一方のサイドシール部Sから他方のサイドシール部Sに亘る方向又はその逆方向である。またおむつ1の腹側領域A及び背側領域Bは、
図1及び
図2に示すように、該おむつ1の横方向(
図2中Y方向)の両端に一対のサイドシール部S,Sを有する部分であり、股下領域Cは、おむつ1の展開且つ伸長状態において、腹側領域Aと背側領域Bとの間に位置する部分である。更に本明細書において「おむつ1の展開且つ伸長状態」とは、おむつ1をサイドシール部Sで切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に拡げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0012】
外装体10は、おむつ1では、
図1及び
図2に示すように、おむつ1の最外表面となる外層シート11と、外層シート11の内面側に配されている内層シート12と、これら両シート間11,12に伸長状態で固定された弾性部材とを備えている。外装体10は、吸収性本体5の外方全域に亘って延出しており、縦方向Xに沿う両側縁に、縦方向Xの中央部において横方向Yの内方に括れた括れ部10d,10dを有している。これら括れ部10d,10dは、外装体10の腹側領域Aの両側縁部AS,ASと背側領域Bの両側縁部BS,BSとを互いに重ね合わせて接合した際に、一対のレッグ開口部8,8となる部分である。弾性部材は、伸長状態で外装体10に固定されることでギャザーを形成する。尚、外装体10の備える弾性部材については後に詳述する。
【0013】
吸収性本体5は、おむつ1では、
図2に示すように、液透過性の表面シート2と、液不透過性又は撥水性の裏面シート3と、これらの間に配された縦長の吸収体4とを備えている。吸収体4は、縦方向Xに長い吸収性コア40をコアラップシート45で被覆して構成されている。
【0014】
吸収性コア40は、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、股下領域Cにおける横方向Yの中央部に縦方向Xに延在する高坪量部41と、該高坪量部41の縦方向Xに沿う両側の外方に配され該高坪量部41よりも低坪量の一対の低坪量部42,42とを有している。また吸収性コア40は、
図4に示すように、上部吸収層411と、上部吸収層411よりも縦方向X及び横方向Yの長さが長い下部吸収層412とを有する2層構造に形成されている。吸収性コア40では、下部吸収層412の肌対向面上に上部吸収層411が積層されて下部吸収層412及び上部吸収層411が重なる部分が高坪量部41であり、下部吸収層412の肌対向面上に上部吸収層411が積層されておらず下部吸収層412のみの部分が低坪量部42となっている。
【0015】
上部吸収層411は、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、おむつ1の股下領域Cから腹側領域Aに亘って配されており、背側領域Bには配されていない。上部吸収層411は、股下領域Cの縦方向Xの中央部付近から腹側領域Aに向かって幅が増大(漸増)しており、股下領域Cよりも腹側領域A側の方が幅広の平面視略T字状に形成されている。上部吸収層411の腹側領域A側の先端部は、腹側領域Aにおける後述する胴回り部Dまで延出している。下部吸収層412は、腹側領域Aから股下領域Cを通って背側領域Bに亘って配されており、縦方向Xに長い矩形状に形成されている。下部吸収層412は、縦方向Xの両端部それぞれが腹側領域A及び背側領域Bそれぞれの後述する胴回り部D間に亘っている。
【0016】
下部吸収層412は、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、該下部吸収層412を貫通する側部非積繊部44を有している。側部非積繊部44は、下部吸収層412の横方向Yにおける両側部それぞれに形成されている。言い換えれば、側部非積繊部44は、下部吸収層412の縦方向Xに沿う両側部それぞれに形成されている。即ち、おむつ1では、下部吸収層412に一対の側部非積繊部が形成されている。一対の側部非積繊部44,44は、下部吸収層412の肌対向面上に上部吸収層411が積層されておらず下部吸収層412のみの部分に形成されている。詳述すると、一対の側部非積繊部44,44は、上部吸収層411の縦方向Xに沿う両側縁に沿って該両側縁から横方向の外方の下部吸収層412に縦方向Xに延びて形成されている。下部吸収層412に一対の側部非積繊部44,44を設けることで、横方向Yの外方から内方に向かって股下領域Cに応力が発生した場合に、下部吸収層412の縦方向Xに沿う両側部の屈曲性を高めることができる。
【0017】
また一対の側部非積繊部44,44は、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、腹側領域A側の一対のサイドシール部S,Sの股下領域C側の内方端Sa,Saどうしを結んだ仮想腹側内方線Yaと、背側領域B側の一対のサイドシール部S,Sの股下領域C側の内方端Sb,Sbどうしを結んだ仮想背側内方線Ybとの間で縦方向Xに延びて配されている。一対の側部非積繊部44,44は、おむつ1を横方向Yに二分する縦方向Xに延びる縦中心線Xcに対して線対称に配されており、おむつ1の展開且つ伸長状態において、おむつ1の縦方向Xの略中央部に後述する横中心線Ycに跨って設けられることが好ましい。
【0018】
尚、吸収性コア40の横方向Yの屈曲性を高める観点から、一対の側部非積繊部44,44は、おむつ1では、
図4に示すように、吸収性コア40を厚さ方向に貫通しており、吸収性コア40を形成する材料(コア形成材料)が存在しない部分としたが、例えば、低坪量部42より少ない量のコア形成材料が20g/m
2程度に若干存在している場合も、同様な効果を奏しうることから非積繊部に含めることができる。但し、該側部非積繊部に存するコア形成材料の坪量は50g/m
2以下であることが好ましい。
【0019】
吸収性コア40は、おむつ1では、
図4に示すように、上部吸収層411及び下部吸収層412の全体がコアラップシート45で被覆されている。コアラップシート45としては、各種公知のものを用いることができ、例えばティッシュペーパのような薄紙や透水性の不織布等が好ましく用いられる。吸収性コア40は、上部吸収層411と下部吸収層412とを、それぞれ別々にコアラップシート45で被覆した後、両者を積層したものであっても良い。この場合、上部吸収層411を被覆するコアラップシート45と下部吸収層412を被覆するコアラップシート45との間は接着しても接着しなくても良い。
【0020】
吸収性本体5の両側には、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、一対の防漏カフ55,55が形成されている。各防漏カフ55は、吸収性本体5に接合された防漏カフ形成用シート56、該防漏カフ形成用シート56の自由端近傍に伸長状態で固定された防漏カフ形成用の弾性部材57、及び各防漏カフ55の固定端と自由端との間に伸長状態で固定された防漏カフ中間弾性部材58を備えている。
図4に示す例では、防漏カフ形成用シート56として、所定幅の帯状の撥水性シートの1枚を、その長手方向に沿って二つ折りして、相対向する層間をホットメルト型接着剤又は部分的な熱シール若しくは超音波シール等で接合した2層構造のシートを用いている。前述した弾性部材57及び防漏カフ中間弾性部材58は、この2層構造シートの層間に伸長状態で固定されている。
【0021】
吸収体4を覆う表面シート2は、
図4に示すように、吸収体4の縦方向Xに沿う両側部にて外装体10側(非肌対向面側)に巻き下げられており、巻き下げられた部分で吸収体4の縦方向Xに沿う両側部を被覆している。吸収体4の縦方向Xに沿う両側部を巻き下げて被覆することで、吸収体4の該両側部の肌対向面側への良好な起立性が得られる。尚、起立性とは、起立し易さを意味する。表面シート2は、おむつ1では、吸収体4の両側部にて巻き下げられた縦方向Xに沿う両側端部21,21が吸収体4の非肌対向面側において、裏面シート3及び防漏カフ形成用シート56にヒートシール、接着材等の接合手段により接合され固定されている。
【0022】
吸収性本体5を固定する外装体10は、上述したように、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bに亘っている。外装体10は、外層シート11、内層シート12及び各領域でギャザーを形成する1本又は複数本(本実施形態では複数本)の弾性部材を有している。以下、外装体10が有する弾性部材について説明する。
【0023】
外装体10は、おむつ1では、
図1に示すように、ウエスト開口部7に沿って配された1本又は複数本(本実施形態では複数本)のウエスト弾性部材71を備えており、該ウエスト弾性部材71によりウエストギャザー70が形成されている。ウエスト弾性部材71は、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、腹側領域A及び背側領域Bそれぞれの一方のサイドシール部Sから他方のサイドシール部Sに亘って横方向Yに伸長状態で外装体10に固定されている。そして、腹側領域A及び背側領域Bそれぞれの一方のサイドシール部Sと他方のサイドシール部Sとを接合することで、
図1に示すように、ウエスト開口部7の全周に亘って実質的に連続した環状のウエストギャザー70が形成されている。ウエスト弾性部材71は、糸状又は帯状であり、外装体10を構成する外層シート11と内層シート12との間に伸長状態でホットメルト型接着剤等の任意の接合手段により固定されている。またウエスト弾性部材71は、おむつ1では、縦方向Xに等間隔を空けて配されている。
【0024】
また外装体10は、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、腹側領域Aのウエストギャザー70の股下領域C側の下端と仮想腹側内方線Yaとの間、及び背側領域Bのウエストギャザー70の股下領域C側の下端と仮想背側内方線Ybとの間それぞれの胴回り部Dに配された1本又は複数本(本実施形態では複数本)の胴回り弾性部材91を備えており、該胴回り弾性部材91により、胴回りギャザー90が形成されている。胴回り弾性部材91は、腹側領域A及び背側領域Bそれぞれの胴回り部Dにおいて横方向Yに伸長状態で外装体10に固定されている。また胴回り弾性部材91は、吸収性本体5と重なる外装体10の部分において個々複数に分断されており、収縮力を発現しない状態になっている。その為、外装体10には、腹側領域A及び背側領域Bそれぞれの胴回り部Dにおける吸収性本体5と重なる部分においては胴回りギャザー90が形成されない。これにより、胴回りギャザー90は、
図1に示すように、吸収性本体5と重なる外装体10の部分において横方向Yに複数に分割された状態となっている。胴回り弾性部材91は、糸状又は帯状であり、外装体10を構成する外層シート11と内層シート12との間に伸長状態でホットメルト型接着剤等の任意の接合手段により固定されている。また胴回り弾性部材91は、おむつ1では、縦方向Xに等間隔を空けて配されている。
【0025】
また外装体10は、おむつ1では、
図1に示すように、一対のレッグ開口部8,8それぞれの開口周縁部に沿って配された1本又は複数本(本実施形態では3本)の腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bを備えており、外装体10の一対のレッグ開口部8,8それぞれの開口周縁部には、該腹側レッグ弾性部材81a及び該背側レッグ弾性部材81bにより一対のレッグギャザー80,80が形成されている。
【0026】
腹側レッグ弾性部材81aは、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、外装体10における腹側領域A側から一方のレッグ開口部8に沿って伸長状態で配され且つ股下領域Cの縦方向Xの中央部にて横方向Yの内方に向かって伸長状態で配され、更に、該外装体10における腹側領域A側から他方のレッグ開口部8に沿って伸長状態で配され且つ該股下領域Cの該中央部にて横方向Yの内方に向かって伸長状態で配されている。
腹側レッグ弾性部材81aの横方向Yの内方に向かって伸長状態で配されている部分は、股下領域Cにおける縦方向Xの中央部において、横中心線Ycと仮想腹側内方線Yaとの間で横中心線Yc寄りを通って横方向Yの内方に延びて吸収性本体5と重なるように配されている。
【0027】
背側レッグ弾性部材81bは、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、外装体10における背側領域B側から一方のレッグ開口部8に沿って伸長状態で配され且つ股下領域Cの中央部にて横方向Yの内方に向かって伸長状態で配され、更に、該外装体10における背側領域B側から他方のレッグ開口部8に沿って伸長状態で配され且つ該股下領域Cの該中央部にて横方向Yの内方に向かって伸長状態で配されている。
背側レッグ弾性部材81bの横方向Yの内方に向かって伸長状態で配されている部分は、股下領域Cにおける縦方向Xの中央部において、横中心線Ycと仮想腹側内方線Yaとの間で横中心線Yc寄りを通って横方向Yの内方に延びて吸収性本体5と重なっている。
【0028】
腹側レッグ弾性部材81aと背側レッグ弾性部材81bとは、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、股下領域Cの中央部において、おむつ1を縦方向Xに二分する横方向Yに延びる横中心線Ycよりも腹側領域A側で交差しており、交差している部分を含んで、該交差している部分から横方向Yの内方で接着剤により外装体10に固定されている。
【0029】
腹側レッグ弾性部材81aについて詳述すると、該腹側レッグ弾性部材81aは、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、腹側領域Aの一方の側縁部ASでホットメルト型接着剤により外装体10に固定されている。そして、該一方の側縁部ASから一方のレッグ開口部8の開口周縁部に沿って伸長状態で配され、股下領域Cの縦方向Xの中央部においてホットメルト型接着剤により外装体10に固定されている。同様に、腹側レッグ弾性部材81aは、腹側領域Aの他方の側縁部ASでホットメルト型接着剤により外装体10に接合されている。そして、該他方の側縁部ASから他方のレッグ開口部8の開口周縁部に沿って伸長状態で配され、股下領域Cの縦方向Xの中央部においてホットメルト型接着剤により外装体10に固定されている。腹側レッグ弾性部材81aは、フィット性能の観点から、腹側領域Aの両側縁部AS,AS及び股下領域Cの縦方向Xの中央部においてホットメルト型接着剤により外装体10に固定され、縦方向Xへの収縮力をより低減させ横方向Yに延びる皺が発生するのを防ぐためにレッグ開口部8,8の開口周縁部においては未接着で外装体10に固定されていない状態となっていることが好ましい。
【0030】
背側レッグ弾性部材81bについて詳述すると、該背側レッグ弾性部材81bは、おむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、背側領域Bの一方の側縁部BSでホットメルト型接着剤により外装体10に固定されている。そして、該一方の側縁部BSから一方のレッグ開口部8の開口周縁部に沿って伸長状態で配され、股下領域Cの縦方向Xの中央部においてホットメルト型接着剤により外装体10に固定されている。同様に、背側レッグ弾性部材81bは、背側領域Bの他方の側縁部BSでホットメルト型接着剤により外装体10に接合されている。そして、該他方の側縁部BSから他方のレッグ開口部8の開口周縁部に沿って伸長状態で配され、股下領域Cの縦方向Xの中央部においてホットメルト型接着剤により外装体10に固定されている。背側レッグ弾性部材81bは、フィット性能の観点から、背側領域Bの両側縁部BS,BS及び股下領域Cの縦方向Xの中央部においてホットメルト型接着剤により外装体10に固定され、縦方向Xへの収縮力をより低減させ横方向Yに延びる皺が発生するのを防ぐためにレッグ開口部8,8の開口周縁部においては未接着で外装体10に固定されていない状態となっていることが好ましい。
【0031】
また、腹側レッグ弾性部材81aと背側レッグ弾性部材81bとは、
図2に示すように、上述したように股下領域Cの中央部において横中心線Ycよりも腹側領域A側で交差し、互いに重なった状態で横方向Yの内方に向かって伸長状態で配されている。
例えば、本実施形態のように腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bそれぞれが3本の場合、最も内側に位置する腹側レッグ弾性部材81aと最も外側に位置する背側レッグ弾性部材81bとが交差して重なり、最も外側に位置する腹側レッグ弾性部材81aと最も内側に位置する背側レッグ弾性部材81bとが交差して重なる。そして、中間に位置する腹側レッグ弾性部材81aと背側レッグ弾性部材81bとが交差して重なるように配されている。このようにおむつ1では、股下領域Cの中央部において、3本の腹側及び背側レッグ弾性部材81a,81bが縦方向Xに間隔を空けて並置された状態で、横方向Yの内方に向かって配されている。
そして、腹側レッグ弾性部材81aと背側レッグ弾性部材81bとは、それぞれが交差している部分を含んで、該交差している部分から横方向Yの内方でホットメルト型接着剤により外装体10に固定されている。おむつ1では、腹側レッグ弾性部材81aと背側レッグ弾性部材81bとは、吸収体4と重なる外装体10の部分で交差しており、該部分で外装体10に固定されている。
【0032】
また、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bの本数としては、フィット性能の観点から、好ましくは1本以上、更に好ましくは2本以上、縦方向Xへの収縮力をより低減させ横方向に延びる皺が発生するのを防ぐ観点から好ましくは5本以下、更に好ましくは3本以下であり、好ましくは1本以上5本以下、より好ましくは2本以上3本以下である。
【0033】
腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bが複数本の場合、複数の該腹側レッグ弾性部材81a及び該背側レッグ弾性部材81bは、応力を分散させず吸収体を支えるために、背側領域Bの両側縁部BS,BS及び腹側領域Aの両側縁部AS,ASで外装体10に固定される際の縦方向Xの間隔よりも、縦方向Xの中央部で外装体10に固定される際の縦方向Xの間隔の方が狭いことが好ましい。この場合縦方向Xの中央部では、複数の該腹側レッグ弾性部材81aどうし及び複数の該背側レッグ弾性部材81bどうしの縦方向Xの間隔がないことが好ましい。
【0034】
腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bが複数本の場合、複数の該腹側レッグ弾性部材81a及び該背側レッグ弾性部材81bは、背側領域Bの両側縁部BS,BS及び腹側領域Aの両側縁部AS,ASと縦方向Xの中央部とのそれぞれで縦方向Xの間隔が等しくなるように外装体10に固定されることが好ましい。
【0035】
更におむつ1では、股下領域Cの中央部において、背側レッグ弾性部材81bと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角αが、30度以上90度以下である。角度αについて詳述すると、股下領域Cの中央部において、おむつ1では、
図3(a)に示すように、背側レッグ弾性部材81bと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角度αは30度以上であり、好ましくは50度以上、より好ましくは60度以上である。また該角度αは90度以下である。具体的に該角度αは30度以上90度以下であり、好ましくは50度以上90度以下、より好ましくは60度以上90度以下である。尚、背側レッグ弾性部材81bと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角度αは、鈍角ではなく鋭角の方の角度を意味する。
【0036】
背側レッグ弾性部材81bと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角αは、例えば、背側レッグ弾性部材81bを複数有する場合は、少なくとも1本の背側レッグ弾性部材81bと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角αが上記範囲内にあればよく、複数の背側レッグ弾性部材81bのそれぞれが全て吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角αが上記範囲内にあることが好ましい。
【0037】
股下領域Cの中央部において、背側レッグ弾性部材81bと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角αを30度以上90度以下とすることで、背側レッグ弾性部材81bによる吸収体4の縦方向Xに沿う方向に作用する収縮力が低減され、吸収体4の横方向Yに皴が発生することが抑制される。
例えば、背側レッグ弾性部材81bと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角をαとすると、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46が背側レッグ弾性部材81bの収縮力により縦方向Xに作用する応力はcosαで表せる。cosαの値は、角度αが90度に近づくほど小さくなるので、背側レッグ弾性部材81bと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角αを30度以上90度以下とすることで、股下領域Cに配された吸収体4上に皺を発生し難くすると共に、一対のレッグ開口部8,8における良好なフィット性を維持することができる。
【0038】
また、おむつ1では、
図2に示すおむつの展開且つ伸長状態において、外装体10の股下領域Cは、腹側レッグ弾性部材81aと背側レッグ弾性部材81bとが交差している部分どうしの間に、該腹側レッグ弾性部材81a及び該背側レッグ弾性部材81bが収縮力を発現する状態で配されていない部分を有している。
おむつ1では、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bは、股下領域Cにおける縦方向Xの中央部の吸収性本体5と重なる部分においては、一対の側部非積繊部44,44から横方向Yの外方では伸長状態で外装体10に固着されている。そして、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bは、該一対の側部非積繊部44,44どうしの間では収縮力が発現する状態では配されていない。
腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bの収縮力を発現させないようにするには、例えば、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bを熱により硬化させることもできるが、おむつ1では、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bを個々複数個に分断することで収縮力を発現しないようにしている。即ち、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bは、おむつ1では、一対の側部非積繊部44,44どうしの間で分断され、横方向Yに分割された状態となっている。
腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bを一対の側部非積繊部44,44から横方向Yの外方では伸長状態で外装体10に固着させ、一対の側部非積繊部44,44どうしの間では収縮力が発現する状態で配さないことで、吸収性コア40(下部吸収層412)の縦方向Xに沿った両側部の良好な起立性が得られる。
【0039】
またおむつ1では、股下領域Cの中央部において、腹側レッグ弾性部材81aと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角βが、40度以上90度以下である。角度βについて詳述すると、股下領域Cの中央部において、おむつ1では、
図3(b)に示すように、腹側レッグ弾性部材81aと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角度βは40度以上であることが好ましく、より好ましくは50度以上、さらに好ましくは60度以上である。また該角度βは90度以下であることが好ましい。具体的に該角度βは40度以上90度以下であることが好ましく、より好ましくは50度以上90度以下、さらに好ましくは60度以上90度以下である。尚、腹側レッグ弾性部材81aと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角度βは、鈍角ではなく鋭角の方の角度を意味する。
【0040】
腹側レッグ弾性部材81aと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角度βとしては、例えば、腹側レッグ弾性部材81aを複数有する場合は、少なくとも1本の腹側レッグ弾性部材81aと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角βが上記範囲内にあればよく、複数の腹側レッグ弾性部材81aのそれぞれが全て吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角βが上記範囲内にあることが好ましい。
【0041】
股下領域Cの中央部において、腹側レッグ弾性部材81aと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角βを40度以上90度以下とすることで、腹側レッグ弾性部材81aによる吸収体4の縦方向Xに沿う方向に作用する収縮力が低減され、吸収体4の横方向Yに皴が発生することが抑制される。
例えば、腹側レッグ弾性部材81aと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角をβとすると、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46が腹側レッグ弾性部材81aの収縮力により縦方向Xに作用する応力はcosβで表せる。cosβの値は、角度βが90度に近づくほど小さくなるので、腹側レッグ弾性部材81aと吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁46,46それぞれとのなす角βを40度以上90度以下とすることで、股下領域Cに配された吸収体4上に皺を発生し難くすると共に、一対のレッグ開口部8,8における良好なフィット性を維持することができる。
【0042】
またおむつ1では、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bは、その太さが310dtex以上620dtex以下である。腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bは、おむつ1では、その太さが dtexである。腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bの太さとしては、フィット性能の観点から好ましくは310dtex以上、より好ましくは470dtex以上、縦方向Xへの収縮力をより低減させ横方向に延びる皺が発生するのを防ぐ観点から好ましくは620dtex以下、好ましくは310dtex以上620dtex以下、より好ましくは470dtex以上620dtex以下である。腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bの太さを310dtex以上620dtex以下とすることで、フィット性能と皺低減効果の両立が可能となる。
【0043】
またおむつ1では、
図2に示すおむつ1の展開且つ伸長状態において、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bは、交差している部分から横方向Yの内方に、下部吸収層412の各側部非積繊部44と重なる位置まで延出している。腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bは、各側部非積繊部44の横方向Yの全域に亘って各側部非積繊部44と重なる外装体10の部分に配されることが好ましいが、各側部非積繊部44の横方向Yの一部に重なる外装体10の部分に配されていればよい。例えば、各側部非積繊部44の横方向Yの長さの半分以上が各側部非積繊部44と重なる外装体10の部分に配されていればよい。
腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bが股下領域Cの中央部において、各側部非積繊部44と重なる部分まで横方向Yに配されることで、一対の側部非積繊部44,44を折り曲げ起点として低坪量部42,42が起立することで、良好な横漏れ防止性が得られると共にフィット性が向上する。
例えば、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bを複数有する場合は、少なくとも1本の腹側レッグ弾性部材81a又は背側レッグ弾性部材81bと各側部非積繊部44と重なる外装体10の部分に配されていればよく、複数の腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bのそれぞれが全て各側部非積繊部44と重なる外装体10の部分に配されていることが好ましい。
【0044】
次に、おむつ1の形成材料について説明する。
おむつ1の各部の形成材料としては、従来のパンツ型使い捨ておむつの当該部分に用いられる各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、親水性且つ液透過性の不織布、樹脂フィルムに開孔を形成したもの等を用いることができ、裏面シート3としては、透湿性又は非透湿性の樹脂フィルムや該樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。
【0045】
吸収性コア40を構成する繊維集合体を構成する繊維としては、例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース等の親水性繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル、ポリアミド等の縮合系繊維等を用いることできる。繊維集合体は、空気流に載せて供給した繊維材料を、所定形状の凹部内に吸引して堆積させる積繊工程を経て得られるものが好ましい。繊維材料とともに機能性材料を混合積繊したものであっても良い。機能性材料の保持形態は、2枚の繊維集合体間に挟んで保持する形態や、混合積繊して繊維間に保持させた状態等が挙げられる。繊維及び吸水性ポリマー等の機能性材料は、それぞれ、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等からなる粒子等が挙げられる。
【0046】
防漏カフ形成用シート56としては、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド等からなる多層構造の複合不織布、スパンボンド不織布、ヒートボンド不織布、エアスルー不織布等を用いることができる。
【0047】
ウエスト弾性部材71、胴回り弾性部材91、腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81b等の弾性部材としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、弾性部材71,91,81a,81bの形態としては、糸状のもの(糸ゴム等)、所定幅の帯状のもの(平ゴム等)等が好ましく、特に糸状のものが好ましい。また弾性部材71,91,81a,81bの素材としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ウレタン等を挙げることができる。弾性部材71,91,81a,81bの伸張倍率としては、肌に弾性体跡などのトラブルを起こさないことと、脚周りに隙間を生じさせないことを両立するという観点から、160%〜250%であることが好ましく、200%〜240%であることがさらに好ましい。ここでいう伸張倍率とは、未伸張時の長さをA(mm)、伸張時の長さをB(mm)とした際、次式から求められる値である。
伸張倍率(%)=(B/A)×100
【0048】
胴回り弾性部材91,腹側レッグ弾性部材81a及び背側レッグ弾性部材81bの収縮力を発現しないように個々を分断するためのカットには、各種公知の切断手段を用いることができる。例えばピンチカッター、ロータリーダイカッター、ヒートシールカッター、超音波カッター、ウォータージェットカッター等を用いることができる。
【0049】
外装体10を構成する外層シート11及び内層シート12としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、外層シート11及び内層シート12としては、撥水性の不織布等を用いることができる。
【0050】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0051】
例えば、本実施形態では、より一層の横方向Yの屈曲性を高める観点から、
図2に示すように、おむつ1の吸収性コア40に中央非積繊部43及び一対の側部非積繊部44,44を設けたが、本発明のパンツ型使い捨ておむつは、吸収性コア40に一対の側部非積繊部44,44を設けるのみでも吸収性コア40の横方向Yの屈曲性を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態では、
図1に示すように、腹側領域A、股下領域C及び背側領域Bに亘る外装体10を有するおむつ1を用いて説明したが、本発明では、外装体が着用者の背側に配される背側シート部材と腹側に配される腹側シート部材とに分割されており、背側シート部材と腹側シート部材とが一対のサイドシール部で接合されて筒状をなしているとともに、吸収性本体が、背側シート部材と腹側シート部材との間に架け渡して固定されている外包材分割タイプのパンツ型使い捨ておむつであっても良い。
【0053】
また、本実施形態では、
図4に示すように、下部吸収層412の肌対向面上に上部吸収層411が積層された2層構造となる部分を高坪量部41としたが、本発明では、高坪量部は単層構造の吸収性コアの一部に設けた肉厚部分であっても良い。また本実施形態では、縦方向Xに沿って厚さ方向に貫通した連続線状の中央非積繊部及び一対の側部非積繊部を用いたが、本発明では、連続線状のものに代えて、部分的に不連続な部分を有する中央非積繊部及び一対の側部非積繊部を用いても良い。