(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802058
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】ライブラリ装置およびライブラリ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G11B 15/68 20060101AFI20201207BHJP
G11B 17/22 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
G11B15/68
G11B17/22
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-253080(P2016-253080)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-106772(P2018-106772A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一史
【審査官】
川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−165239(JP,A)
【文献】
特開2014−116038(JP,A)
【文献】
特開2013−149324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 15/68
G11B 17/22 − 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を内蔵したカートリッジを収容するセルを複数有するマガジンと、
開口部を有し、前記開口部を介して前記マガジンを収容する筐体と、
把持手段が前記筐体に侵入するための把持開口部を有し前記開口部を覆う前面パネルと、
前記前面パネルと結合され前記マガジンに対し、一部の前記セルの収容と排出を行う収容排出セルユニットと、
前記マガジンを前記筐体にロックするマガジンロックと
閉状態で前記把持開口部から前記把持手段が前記筐体内に侵入することを阻害し、開状態で前記把持手段が前記筐体内に侵入することを許容する板状のカバーと、
前記カバーの開閉を制御するカバー開閉機構と、
前記マガジンロックがロック状態の時に前記カバーを閉状態とし、前記マガジンロックが解除状態の時に前記カバーが開状態とするように、前記マガジンロックと前記カバー開閉機構の動作を連動させる連結棒と
を有し、
前記マガジンは、前記カバーが開状態の場合に、前記把持手段が前記前面パネルと前記マガジンとを一体に把持することを可能とするマガジン把持部を有する
ことを特徴とするライブラリ装置。
【請求項2】
前記収容排出セルユニットを前記筐体にロックする動作と前記収容排出セルユニットを前記筐体の開口部側に付勢する動作とを行う付勢手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のライブラリ装置。
【請求項3】
前記記録媒体の読み書きを行うドライブ装置と、
前記マガジンの任意の前記セルと前記ドライブ装置にアクセスし、前記カートリッジの収納および取り出しを行い、前記カートリッジを搬送するアクセッサと、
を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のライブラリ装置。
【請求項4】
前記カバーを開方向に付勢する第1のバネを有し、
前記マガジンロックが、前記筐体の底面と平行な面内で回転するL字形状を有するマガジンロックレバーを有し、
前記連結棒が、前記前面パネルと略平行にスライドするスライド機構を有し、
前記カバー開閉機構が、前記筐体の奥行き方向にスライドするカバーロックスライダと前記カバーロックスライダに固定され前記カバーの一面に当接する棒状のカバーロックと、を有し、
前記マガジンロックレバーが前記マガジンをロックする方向に回転すると、前記マガジンロックレバーが前記連結棒の第1の端部を押圧し、
前記連結棒がスライドして前記連結棒の第2の端部が前記カバーロックスライダを前記前面パネル方向に押圧し、
前記カバーロックスライダが前記前面パネル側にスライドし、
前記カバーロックが前記カバーを閉状態とするように押圧する方向に移動するように前記カバーと、前記カバーロックスライダと、前記連結棒と、前記マガジンロックレバーとを配置した
こと特徴とする請求項3に記載のライブラリ装置。
【請求項5】
前記連結棒の第1の端部が略円弧上の側面形状を有していることを特徴とする請求項4に記載のライブラリ装置。
【請求項6】
前記連結棒の第2の端部が自身のスライド方向に対し前記カバーロックスライダ側に傾いた側面を有し、
前記カバーロックスライダの前記連結棒に当接する側の端部が自身のスライド方向に対し前記連結棒側に傾いた側面を有し、
両側面が摺接している
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のライブラリ装置。
【請求項7】
前記マガジンロックレバーを、前記マガジンをロックする方向に付勢する第2のバネと、
前記カバーロックスライダを前記前面パネルと反対の方向に付勢する第3のバネと、
を有することを特徴とする請求項4乃至請求項6いずれか一項に記載のライブラリ装置。
【請求項8】
前記アクセッサが前記マガジンロックレバーを押圧する位置に移動する第1の位置に移動することが可能で、
前記アクセッサが前記第1の位置に移動すると、
前記マガジンロックレバーが前記マガジンのロックを解除する方向に回転し、
前記連結棒が前記マガジンロックレバー側にスライドし、
前記カバーロックスライダが前記前面パネルと反対の方向にスライドし、
前記カバーロックが前記カバーへの押圧を解除する方向に移動する
ことを特徴とする請求項4乃至請求項7いずれか一項に記載のライブラリ装置。
【請求項9】
開口部を有する筐体に、
前記開口部を介して記録媒体を内蔵したカートリッジを収容するセルを複数有し、前記開口部側に延伸された把持部を有するマガジンを装填し、
前記開口部を覆う前面パネルに前記マガジンに対し一部の前記セルの収容と排出を行う収容排出セルユニットを結合して前記マガジンの前記開口部側に装填し、
前記マガジンを前記筐体にロックするマガジンロックと、閉状態で前記前面パネルに設けられた把持開口部から把持手段が前記筐体内に侵入することを阻害し開状態で前記把持手段が前記筐体内に侵入することを許容する板状のカバーの、開閉を制御するカバー開閉機構とを、連結棒により連動させ、前記マガジンロックがロック状態の時に前記カバーを閉状態とし、前記マガジンロックが解除された状態の時に前記カバーが開状態とするように制御する
ことを特徴とするライブラリ装置の制御方法。
【請求項10】
前記カバーを開方向に付勢し、
前記筐体の底面と平行な面内で回転するL字形状を有するマガジンロックレバーで前記マガジンロックを制御し、
前記連結棒を前記前面パネルと略平行にスライドさせ、
前記筐体の奥行き方向にスライドするカバーロックスライダと前記カバーロックスライダに固定され前記カバーの一面に当接する棒状のカバーロックとで前記カバー開閉機構を制御し、
前記マガジンロックレバーが前記マガジンをロックする方向に回転すると、前記マガジンロックレバーが前記連結棒の第1の端部を押圧し、
前記連結棒がスライドして前記連結棒の第2の端部が前記カバーロックスライダを前記前面パネル方向に押圧し、
前記カバーロックスライダが前記前面パネル側にスライドし、
前記カバーロックが前記カバーを閉状態とするように押圧する方向に移動するように前記カバーと、前記カバーロックスライダと、前記連結棒と、前記マガジンロックレバーとを配置する
こと特徴とする請求項9に記載のライブラリ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライブラリ装置およびライブラリ装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、コンピュータで利用するプログラムやデータを高い信頼性で保存するために、ライブラリ装置が利用されている。一般に、ライブラリ装置は、記録媒体を収容したカートリッジを複数収容するマガジンと、記録媒体に対する読み書きを実行するドライブ装置と、アクセッサと呼ばれる搬送装置とを備えている。
【0003】
マガジンは、内部が複数のセルに分割されており、各々のセルにカートリッジを1巻ないし2巻以上の所定数ずつ収容できるようになっている。アクセッサは、任意のマガジンの任意のセルに収容されているカートリッジを取り出してドライブ装置へセットする動作や、ドライブ装置から取り出したカートリッジを任意のマガジンの任意のセルに収容する動作を行う。
【0004】
このようなライブラリ装置の中には、外部からカートリッジの取り出しや装填を行う際に、マガジン全体を取り出す操作に加えて、一部のセルだけを取り出す操作が可能なものがある。例えば、特許文献1には、一部のセルだけを排出収容する引き出しセルを備えた排出収容機構を利用する技術が開示されている。このようなライブラリ装置では、マガジンを動かすことなく、一部のセルに対してだけ操作を加えることができる。このため、ライブラリ装置を稼働させたまま、カートリッジの取り出しや装填を行うことが可能となる。一方で、マガジン全体を装置から引き出せるようにもなっており、マガジン自体を装置外へ取り出したり、別のマガジンをライブラリ装置に装填したりすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−165239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、引き出しセルのみを引き出す場合と、マガジン全体を引き出す場合とで、引き出しセルとマガジンとを連結させたり、連結を解除させたりする制御が別途に必要となる。このため、専用の連結機構とその制御を行う仕組みとが必要であった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な機構で、一部のセルの引き出しとマガジン全体との引き出しとを切り替えられるライブラリ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、ライブラリ装置は、マガジンと、筐体と、前面パネルと、収容排出セルユニットと、マガジンロックと、カバーと、カバー開閉機構と、連結棒とを有している。収容排出セルユニットは、前面パネルと結合され、マガジンの一部のセルの収容と排出を行う。マガジンロックは、マガジンを筐体にロックする。カバーは、閉状態で前面パネルの開口部から把持手段が筐体内に侵入することを阻害し、開状態で把持手段が筐体内に侵入することを許容する。連結棒は,マガジンがロック状態の時にカバーを閉状態とし、マガジンロックがロック解除状態の時にカバーが開状態とするように、マガジンロックと開閉機構の動作を連動させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果は、簡易な機構で、一部のセルの引き出しとマガジン全体との引き出しとを切り替えられるライブラリ装置を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態のライブラリ装置を示すブロック図である。
【
図2】第2の実施形態のライブラリ装置を示す平面図である。
【
図3】第2の実施形態のロック状態を示す平面図である。
【
図4】第2の実施形態のロック解除状態を示す平面図である。
【
図5】第2の実施形態のロック状態を示す断面図である。
【
図6】第2の実施形態のロック解除状態を示す断面図である。
【
図7】第3の実施形態のライブラリ装置を示すブロック図である。
【
図8】第3の実施形態のマガジン装填中の動作を示す平面図である。
【
図9】第3の実施形態のマガジン装填完了状態を示す平面図である。
【
図10】第3の実施形態のマガジンロック状態を示す平面図である。
【
図11】第3の実施形態のマガジン排出・装填時の動作と手順を示すフローチャートである。
【
図12】第3の実施形態の収容排出セルユニットの排出開始時の動作を示す平面図である。
【
図13】第3の実施形態の収容排出セルユニットの排出中の動作を示す平面図である。
【
図14】第3の実施形態の収容排出セルユニット排出・装填時の動作と手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のライブラリ装置を示すブロック図である。ライブラリ装置は、マガジン1と、筐体2と、前面パネル3と、収容排出セルユニット4と、マガジンロック5と、カバー6と、カバー開閉機構7と、連結棒8とを有している。
【0013】
マガジン1は、記録媒体を内蔵したカートリッジを収容するセルを複数有する。
【0014】
筐体2は、開口部2aを有し、開口部2aを介して前記マガジンを収容する。
【0015】
前面パネル3は、把持手段10が筐体2に侵入するための把持開口部3aを有し、筐体2の開口部2aを覆う。
【0016】
収容排出セルユニット4は、前面パネル3と結合され、マガジン1の一部のセル(収容排出セル)の収容と排出を行う。収容排出セルユニット4は、例えば、前面パネル3と結合する底板とマガジン1に挿入される収容排出セルとを含む。
【0017】
マガジンロック5は、マガジン1を筐体2にロックする。
【0018】
カバー6は、閉状態で把持開口部3aから把持手段10が筐体2内に侵入することを阻害し、開状態で把持手段10が筐体2内に侵入することを許容する。
【0019】
カバー開閉機構7は、カバー6の開閉を制御する。
【0020】
連結棒8は,マガジンロック5がロック状態の時にカバー6を閉状態とし、マガジンロック5が解除状態の時にカバー6が開状態とするように、マガジンロック5とカバー開閉機構7の動作を連動させる。
【0021】
そして、マガジン1は、カバー6が開状態の場合に、把持手段10が前面パネル3とマガジン1とを一体に把持することを可能とするマガジン把持部1aを有する。
【0022】
以上の構成とすると、マガジン1のロック状態に応じた2つの状態を作ることができる。すなわち、マガジン1がロックされている時にはカバー6が閉状態となり、マガジン1のロックが解除されている時には、カバー6が開状態になる。カバー6が閉状態の時は、把持手段10がマガジン把持部1aを把持することができないため、前面パネル3を引き出すことにより、収容排出セルユニット4だけが引き出される。一方、カバーが開状態の時は、把持手段10がマガジン把持部1aを前面パネル3と一体に把持するため、前面パネル3を引き出すことにより、マガジン全体が引き出される。
【0023】
以上説明したように、本実施形態によれば、マガジンロックのロック状態を操作するだけで、マガジン全体を引き出すことが可能な状態と、一部のセルだけを引き出すことが可能な状態を切り替えることができる。
【0024】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態のライブラリ装置を示す平面図である。筐体の天板を取り去って上から見た状態を示している。ライブラリ装置は、マガジン100と、筐体200と前面パネル300と、収容排出セルユニット400と、マガジンロックレバー500と、カバー600と、カバーロック700と、連結棒800と、アクセッサ900とを有している。
【0025】
マガジン100は、記録媒体を内蔵したカートリッジを収容するセルを複数有する。
【0026】
筐体200は、開口部を有し、開口部を介して前記マガジンを収容する。筐体200にはレール210が設けられ、マガジン100を開口部から奥行き方向に向かう方向にスライドできるようになっている。なお、以降の説明ではレール210に関する説明を省略する。
【0027】
前面パネル300は、把持手段が筐体200に侵入するための把持開口部310を有し、筐体200の開口部を覆う。
【0028】
収容排出セルユニット400は、前面パネル300と結合され、マガジン100の一部のセルの収容と排出を行う。収容排出セルユニット400は、例えば、前面パネル300に固定された底板と、底板に固定されマガジン100に挿入される収容排出セルとで構成される。そして収容排出セルユニット400が挿入された状態で、例えば、マガジン100に固定されたセルと、収容排出セルとが一体的に整列するように収容排出セルを配置することができる。
【0029】
マガジンロックレバー500は、その先端がマガジン100の一部に当接することにより、マガジン100を筐体200にロックすることができる。
図2の例では、マガジンロックレバー500がL字形状を有し、筐体の底面を形成する底板と平行な面内で回転するための回転軸510と、マガジンロックレバー500をロック側に付勢するバネ520とを設けている。なお、マガジンロックレバー500を独自に動かす機構を設けても、本実施形態の目的は達成することができる。しかしながら、独自機構を設けずに、アクセッサ900とバネ520を用いることで、機構を簡素化することができる。このため、以降では、バネ520を用いた構成について説明する。
【0030】
カバー600は、閉状態で、把持開口部310から把持手段が筐体2内に侵入することを阻害し、開状態で把持手段が侵入することを許容するように動作する板状部材である。カバー600は回転軸610を介して、カバーホルダー620に支持される。カバーホルダー620は前面パネル300の筐体200側に固定される。図示はしていないが、カバー600には、バネの付勢力が加えられており、カバーロック700の圧力が無い時は、開状態となる。なお、開状態とは、
図2の紙面に対して垂直の方向にカバー600が回転することである。
【0031】
カバーロック700は、カバー600の開閉を制御する。カバーロック700はカバーロックスライダ710に固定された棒状の部材で、カバーロックスライダ710のスライドに応じて、カバー600の上面を押圧したり、しなかったりすることで、開閉が制御される。カバーロックスライダ710は、レール720に沿ってスライドし、バネ730の付勢力によって、カバーロック700がカバーを押圧しない方向に付勢されている。
【0032】
連結棒800は,一端がマガジンロックレバー500に当接し、他端がカバーロックスライダ710に当接する棒状の部材で、自身は、前面パネル300と平行にスライドできるようになっている。
【0033】
連結棒800の、マガジンロックレバー500と当接する側は円弧状の外形を有する。また、ここで当接するマガジンロックレバー500の側面も円弧状の外形を有するため、連結棒800は、マガジンロックレバー500の回転に応じて滑らかにスライドする。
【0034】
連結棒800の、カバーロックスライダ710に当接する側の端部は、連結棒800の長辺に対して(
図2の上から見て)斜めの側面を有しており、カバーロックスライダ710の一端と摺接する。このため、カバーロックスライダ710の一端も自身のスライド方向に対して斜めの側面を有している。
図2の配置から明らかなように、連結棒800がカバーロックスライダ710側に移動している時は、カバーロックスライダ710は前面パネル300側にスライドし、逆の場合は、バネ730の付勢力によって反対側に移動する。したがって、マガジンロックレバー500がロック側に回転すると、連結棒800がカバーロックスライダ710を前面パネル300側に移動させ、カバーロック700がカバー600を押圧し、カバーが閉じることになる。逆に、マガジンロックレバー500が解除側に回転すると、カバーロックスライダ710は、バネ730の付勢力によってマガジン100側に移動し、カバーが開状態となる。
【0035】
アクセッサ900は、マガジン100のセルにアクセスし、カートリッジの収容、取り出し、搬送を行う。具体的に、筐体の奥行き方向に移動する本体と、セルにアクセスするロボットハンド(ピッカー)とで構成することができる。
【0036】
次に、ライブラリ装置の動作について説明する。
図3は、筐体200に、マガジン100と収容排出セルユニット400とが装填され、マガジン100をロックしている状態を示す平面図である。アクセッサ900がマガジンロックレバー500を押していない時は、バネ520の付勢力によって、マガジンロックレバー500はマガジン100をロックする配置になる。この時、マガジンロックレバー500が連結棒800をカバーロックスライダ710側に押し込むので、カバーロックスライダ710が前面パネル300側に移動し、カバーロック700がカバー600を閉じる。
【0037】
図4は、マガジン100のロックを解除した状態を示す平面図である。図中の矢印は、それぞれの要素が
図3の状態から
図4の状態に移行するときの移動方向を示している。まず、アクセッサ900が前面パネル300側に移動し、マガジンロックレバー500を
図4の時計回り方向に回転させる。すると連結棒800にはマガジンロックレバー500からの圧力がかからなくなる。その結果、カバーロックスライダ710は、連結棒800からの圧力を受けなくなり、バネ730の付勢力によってマガジン100側に移動する。それに伴い、カバーロック700はカバー600を押さなくなるので、カバー600はバネの付勢力によって開状態となる。なお、ここに示したセルやカートリッジの形状と配置は、あくまで一例であり、これに限られるものではない。またマガジン100は1つに限られず、例えばマガジン100の奥行き方向に他のマガジンが連結する構成なども取ることができる。
【0038】
図5は、
図3のV−Vにおける断面図である。マガジン100は複数のセルを有しており、それぞれのセルにはカートリッジ120が収容されている。収容排出セルユニット400は、マガジン100の筐体200開口部側に挿入されている。この例では、マガジン100の前面側最下段に、収容排出セル410が配置されるものとしている。
図5のマガジンロック状態では、カバーロックスライダ710が前面パネル300側に移動しているので、カバーロック700はカバー600を上から押圧し、閉状態となる。閉状態では、把持開口部310から把持手段を侵入させてもマガジン把持部110を把持することができない。すなわちマガジン100を引き出すことができない状態となっている。
【0039】
図6は、
図4のVI−VIにおける断面図である。マガジンロック解除状態では、カバーロックスライダ710がマガジン100側にスライドしているので、カバーロック700はカバー600を押圧しない。この場合、バネ630の付勢力によって、カバー600は紙面の上方に立つ方向に回転し、開状態となる。開状態では、把持開口部310から把持手段を侵入させると、マガジン把持部110を前面パネル300と一緒に把持することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、簡易な機構で、マガジンのロックとカバーの開閉を連動させ、一部のセルの操作のみが可能な状態と、マガジン全体の操作が可能な状態とを切り替えることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
本実施形態では、ライブラリ装置の具体的な運用と動作の例について説明する。
図7はライブラリ装置の一例を示すブロック図である。ライブラリ装置は、筐体200と、前面パネル300と、アクセッサ900と、ドライブ装置1000とを有している。筐体200には、マガジン100が装填されている。ここでは、マガジン100が、マガジン100aとマガジン100bを連結手段130で連結した構成を有する例を示している。なお図示はしていないが、外部から連結手段130を制御する機構やマガジン100を開口部側に付勢する機構などを設けても良い。マガジン100aの前面パネル300側には収容排出セルユニット400が装填されている。収容排出セルユニット400には、付勢手段140が当接され、外部からの制御により、収容排出セルユニット400のロックおよび筐体200開口部側への付勢を行うことができる。アクセッサ900は、マガジン100の任意のセルとドライブ装置1000とにアクセスし、両者の間でカートリッジの搬送を行うことができる。ドライブ装置1000は、装填されたカートリッジに対し読み書きを行う。上記した各構成要素の詳細は、第2の実施形態と同様であるものとする。
【0042】
次に、マガジン全体を装填する動作について説明する。
図8はマガジン装填中の状態を示す平面図である。
【0043】
筐体200側では、アクセッサ900がマガジンロックレバー500を押圧し、マガジンロックが解除された状態となっている。収容排出セルユニット400では、カバーロックスライダ710が、バネ730の付勢力によってロック解除側にスライドしている。このため、カバー600は開状態となっており、把持手段はマガジン把持部110と前面パネル300とを同時に把持することができる。そして、収容排出セルユニット400とマガジン100とを一体的に装填してゆくことができる。
【0044】
図9はマガジン100および収容排出セルユニット400の装填が完了した状態を示す平面図である。この時点では、アクセッサ900が移動していないため、マガジンロックレバー500は連結棒800を押圧しない。このため、カバー600は依然として開状態である。
【0045】
図10は、
図9の状態からマガジン100をロックした状態を示す平面図である。アクセッサ900がマガジンロックレバー500の押圧を解放したため、マガジンロックレバー500はバネ520の付勢力によって紙面の半径周りに回転し、連結棒800をカバーロック700側に移動させる。これにより、連結棒800がカバーロックスライダ710を前面パネル300側に移動させ、カバーロック700がカバー600を押圧しカバー600が閉状態になる。以上により、マガジン100の装填が完了する。
【0046】
上記の説明を踏まえて、マガジンを排出・装填する場合の動作について説明する。
図11は、マガジンを排出し、再び装填する際の、ライブラリ装置の動作とオペレータの操作手順を示すフローチャートである。まず、アクセッサがマガジンロックレバーを押圧して、マガジンのロックを解除する(S101)。この動作によりカバーが開状態になる(S102)。オペレータは、前面パネルとマガジン把持部を一体的に把持する(S103)。次にマガジンを引き出して、ライブラリ装置からマガジンを排出する(S104)。ここでオペレータは、カートリッジの交換やマガジンの交換などを行うことができる。そして、マガジンをライブラリ装置に挿入する(S105)。この時、カバーは開状態になっているので、オペレータはマガジンを前面パネルと一体に把持することができる。マガジンの挿入が完了すると、アクセッサが移動してマガジンレバーを押圧し、マガジンをロックする(S106)。この動作により、カバーは閉状態になり(S017)、操作が完了する。
【0047】
次に収容排出セルユニットを排出・装填する場合の動作について説明する。
図12は、収容排出セルユニット400の排出を開始した直後の状態を示す平面図である。マガジン100はマガジンロックレバー500によってロックされている。収容排出セルユニット400と前面パネル300は、図示しない付勢手段によって、筐体200の開口部から排出される方向に移動される。排出直後には、連結棒800が、マガジンロックレバー500に当接しながらアクセッサ900側に少量移動する。このため、カバー600は閉状態からわずかに開状態に近づいた開度となる。この時点では、把持手段がマガジン把持部110を把持することができないため、誤ってマガジンに力を加えることが無い。排出が進むと、連結棒800はさらにアクセッサ側に移動し、カバーロック700のカバーへの押圧が徐々に解除される。ある時点までカバー600が開くと、カバー600がマガジン把持部110に当接し、カバーは、この当接で制限される開度となる。そして、さらに排出が進むとカバー600は開状態となる。
【0048】
図13は、収容排出セルユニット400の排出が進み、カバー600が開いた状態を示す平面図である。カバー600は、カバーロック700およびマガジン把持部110から受ける圧力がなくなるため、開状態となっている。このため、オペレータは、前面パネルを把持して、収容排出セルユニット400を完全に取り出すことができる。収容排出セルユニット400を取り出すことにより、収容排出セル410に収容されたカートリッジに操作を加えることができる。
【0049】
上記の説明を踏まえて、収容排出セルユニットを排出・装填する場合の動作について説明する。
図14は、収容排出セルユニットを排出し、再び装填する際の、ライブラリ装置の動作とオペレータの操作手順を示すフローチャートである。まず、アクセッサが移動してマガジンロックレバーの押圧を解放し、マガジンをロックする(S201)。この動作によりカバーが閉状態になる(S202)。オペレータは、収容排出セルユニットの付勢手段を操作して、収容排出セルユニットを排出方向に移動させる(S203)。すると、収容排出セルユニットの移動に連動して、徐々にカバーが開いていく(S204)。カバーが開いたら、オペレータは、把持開口部から把持手段を挿入して、前面パネルを把持して、収容排出セルユニットを引き出す(S205)。こうしてライブラリ装置から収容排出セルユニットを取り出すことにより、例えば、収容排出セルに収容されたカートリッジの交換などを行うことができる。そして再び、ライブラリ装置に収容排出セルユニットを挿入する(S207)。収容排出セルユニットの挿入方向への移動に連動して、徐々にカバーが閉じていく(S208)。カバーが閉じるまでにオペレータは把持手段を把持開口部から引き抜き、以降は前面パネルを押すことにより、収容排出セルユニットを装填する。最後に、付勢手段を操作して、収容排出セルユニットをロックして操作を完了する(S209)。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、簡単な機構と、操作により、マガジン全体に対する操作と、一部のセルのみに対する操とを、確実かつ安全に切り替えて、ライブラリ装置を操作することができる。
【0051】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1、100 マガジン
2、200 筐体
3、300 前面パネル
4、400 収容排出セルユニット
5 マガジンロック
6、600 カバー
7 カバー開閉機構
8、800 連結棒
10 把持手段
110 マガジン把持部
120 カートリッジ
310 把持開口部
410 収容排出セル
500 マガジンロックレバー
510 回転軸
520、630、730 バネ
600 カバー
700 カバーロック
710 カバーロックスライダ
900 アクセッサ
1000 ドライブ装置