特許第6802076号(P6802076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802076
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】走行経路生成システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20201207BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20201207BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20201207BHJP
【FI】
   A01B69/00 303M
   A01C11/02 331D
   G05D1/02 N
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-10774(P2017-10774)
(22)【出願日】2017年1月24日
(65)【公開番号】特開2018-117566(P2018-117566A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮本 惇平
(72)【発明者】
【氏名】久保田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
(72)【発明者】
【氏名】石見 憲一
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−112071(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0273253(US,A1)
【文献】 特開2004−354117(JP,A)
【文献】 特開2016−123378(JP,A)
【文献】 特表2003−514268(JP,A)
【文献】 特開2002−358122(JP,A)
【文献】 特開平09−145367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00 − 69/08
A01C 11/02 − 14/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車の圃場での走行経路を生成する走行経路生成部と、前記走行経路生成部が前記走行経路を生成するのに必要な各種の生成条件が格納された記憶部とを備え、
前記走行経路生成部は、前記各種の生成条件のうちの少なくとも、前記圃場の外周形状と、前記圃場に対する入出経路の位置と、前記作業車に備えた作業装置の作業幅とを採択して前記走行経路を生成し、
前記記憶部は、前記走行経路生成部が生成した前記走行経路を格納し、
前記走行経路生成部は、前記走行経路として、前記圃場の対向する2箇所の圃場端にわたって前記作業車を往復走行させる往復走行経路と、前記圃場の外周領域において前記作業車を前記圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路とを生成し、
前記各種の生成条件には、前記圃場において農道に隣接する農道側圃場端の位置が含まれており、
前記作業車は、前記農道側圃場端で農用資材の補給を受ける農用資材供給車であり、
前記走行経路生成部は、前記農道側圃場端を前記往復走行経路における方向転換用の端部に設定する走行経路生成システム。
【請求項2】
作業車の圃場での走行経路を生成する走行経路生成部と、前記走行経路生成部が前記走行経路を生成するのに必要な各種の生成条件が格納された記憶部とを備え、
前記走行経路生成部は、前記各種の生成条件のうちの少なくとも、前記圃場の外周形状と、前記圃場に対する入出経路の位置と、前記作業車に備えた作業装置の作業幅とを採択して前記走行経路を生成し、
前記記憶部は、前記走行経路生成部が生成した前記走行経路を格納し、
前記走行経路生成部は、前記走行経路として、前記圃場の対向する2箇所の圃場端にわたって前記作業車を往復走行させる往復走行経路と、前記圃場の外周領域において前記作業車を前記圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路とを生成し、
前記圃場の外周形状には、前記圃場における各圃場端の長さが含まれており、
前記走行経路生成部は、前記圃場の縦方向に延びる一対の圃場端と前記圃場の横方向に延びる一対の圃場端とのいずれか一方が前記作業幅の整数倍又は略整数倍の長さを有する場合は、前記作業幅の整数倍又は略整数倍の長さを有する一対の圃場端を、前記往復走行経路における方向転換用の端部に設定する走行経路生成システム。
【請求項3】
作業車の圃場での走行経路を生成する走行経路生成部と、前記走行経路生成部が前記走行経路を生成するのに必要な各種の生成条件が格納された記憶部とを備え、
前記走行経路生成部は、前記各種の生成条件のうちの少なくとも、前記圃場の外周形状と、前記圃場に対する入出経路の位置と、前記作業車に備えた作業装置の作業幅とを採択して前記走行経路を生成し、
前記記憶部は、前記走行経路生成部が生成した前記走行経路を格納し、
前記走行経路生成部は、前記走行経路として、前記圃場の対向する2箇所の圃場端にわたって前記作業車を往復走行させる往復走行経路と、前記圃場の外周領域において前記作業車を前記圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路とを生成し、
前記圃場の外周形状には、前記圃場における各圃場端の長さが含まれており、
前記走行経路生成部は、前記圃場の縦方向に延びる一対の圃場端の長さと前記圃場の横方向に延びる一対の圃場端の長さとに差が生じている場合は、長さの短い一対の圃場端を、前記往復走行経路における方向転換用の端部に設定し、
前記往復走行経路には、交互に隣接する複数の往路作業経路と複数の復路作業経路とが含まれており、
前記走行経路生成部は、前記圃場の形状が、前記圃場の縦方向及び横方向のそれぞれにおいて対向する圃場端同士が一定間隔又は略一定間隔をあけて並ぶ形状であり、かつ、前記作業装置が圃場に農用資材を供給する農用資材供給装置である場合は、前記入出経路から最も離れた往路作業経路を前記往復走行経路での前記作業車の走行開始経路に設定し、
前記往復走行経路での走行終了経路に続く経路から前記入出経路に向けて前記周回走行経路を設定する走行経路生成システム。
【請求項4】
前記各種の生成条件には、前記圃場における障害物の位置及び形状が含まれており、
前記走行経路生成部は、前記障害物の位置及び形状を考慮して前記走行経路を生成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の走行経路生成システム。
【請求項5】
前記各種の生成条件には、前記作業車の走行に伴って車載量が変化する車載物の給排に関する補助作業を行う特定の補助作業地点が含まれており、
前記往復走行経路には、交互に隣接する複数の往路作業経路と複数の復路作業経路とが含まれており、
前記走行経路生成部は、前記補助作業地点から最も離れた往路作業経路を前記往復走行経路での前記作業車の走行開始経路に設定する請求項1又は2に記載の走行経路生成システム。
【請求項6】
前記走行経路生成部は、前記入出経路が複数存在する場合は、前記作業車が次に走行する圃場に最も近い入出経路を前記作業車の退出経路に設定する請求項1〜5のいずれか一項に記載の走行経路生成システム。
【請求項7】
前記各種の生成条件には、前記圃場において他の作業車が走行した既走行経路が含まれており、
前記走行経路生成部は、前記既走行経路を考慮して前記走行経路を生成する請求項1〜6のいずれか一項に記載の走行経路生成システム。
【請求項8】
前記各種の生成条件には、前記圃場において前記作業車が以前に走行した既走行経路が含まれており、
前記走行経路生成部は、前記既走行経路を考慮して前記走行経路を生成する請求項1〜6のいずれか一項に記載の走行経路生成システム。
【請求項9】
前記各種の生成条件には、前記圃場の日当たり具合や風通しを含む圃場環境が含まれており、
前記走行経路生成部は、前記圃場環境を考慮して前記走行経路を生成する請求項1〜8のいずれか一項に記載の走行経路生成システム。
【請求項10】
前記往復走行経路には、交互に隣接する複数の往路作業経路と複数の復路作業経路とが含まれており、
前記走行経路生成部は、前記圃場の形状が、前記圃場の縦方向及び横方向のそれぞれにおいて対向する圃場端同士が一定間隔又は略一定間隔をあけて並ぶ形状であり、かつ、前記作業装置が圃場に農用資材を供給する農用資材供給装置である場合は、前記入出経路から最も離れた往路作業経路を前記往復走行経路での前記作業車の走行開始経路に設定する請求項1又は2に記載の走行経路生成システム。
【請求項11】
前記走行経路生成部は、前記作業装置が圃場に農用資材を供給する農用資材供給装置である場合は、前記往復走行経路の終端を前記往復走行経路において前記入出経路に最も近い位置に設定する請求項1又は2に記載の走行経路生成システム。
【請求項12】
前記各種の生成条件に優先順位を設定する人為操作式の順位設定部を備え、
前記走行経路生成部は、前記順位設定部の人為操作によって設定された前記優先順位を考慮して前記走行経路を生成する請求項1〜1のいずれか一項に記載の走行経路生成システム。
【請求項13】
前記走行経路の選択に関する所定数の選択情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示された所定数の前記選択情報の人為選択を可能にする操作部とを備え、
前記各種の生成条件には、優先順位の高い所定数の優先生成条件が含まれており、
前記走行経路生成部は、所定数の前記優先生成条件に応じた所定数の前記走行経路を生成するとともに、所定数の前記走行経路に応じた所定数の前記選択情報の表示を前記表示部に指令し、かつ、前記操作部の人為操作によって所定数の前記選択情報のうちの一つが選択されると、選択された選択情報に応じた走行経路を前記作業車が実際に走行する実走行経路に決定する請求項1〜1のいずれか一項に記載の走行経路生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車の圃場での走行経路を生成する走行経路生成部を備えた走行経路生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、乗用田植機、トラクタ、コンバインなどの作業車に、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例である周知のGPS(Global Positioning System)などを利用して車体の位置及び方位を測定する衛星航法装置を備えて、圃場において作業車を事前に設定した走行経路を通るように自律走行させることが考えられている。
外周の形状や圃場に対する入出経路の位置などが異なる種々の圃場において作業車を適正に自律走行させるためには、圃場ごとの走行経路の生成が重要になっている。
【0003】
従来、作業車の圃場での走行経路の生成方法としては、例えば、作業車を手動で運するティーチング作業に基づいて、作業開始位置と作業終了位置とを有する基準線を設定し、この基準線に対して平行で作業車の作業幅を考慮して一定間隔をあけた目標経路をN列生成し、作業開始位置又は作業終了位置を通って基準線及び目標経路と直交する作業基準線を生成することにより、走行経路を得るようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−92818号公報(段落番号0045〜0048、図7〜8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の生成方法では、複数の圃場で作業を行う場合、圃場ごとに手動運転によるティーチング作業を行う必要があることから、作業効率の低下を招くことになる。又、圃場内で作業車を往復走行させるための往復走行経路が生成されるだけで、圃場の外周領域において作業車を圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路が生成されないことから、圃場において作業車を適正に自律走行させる走行経路を生成する上において改善の余地がある。
【0006】
つまり、作業効率の低下を招くことなく、圃場において作業車を適正に自律走行させることのできる走行経路を生成できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、本発明に係る走行経路生成システムは、
作業車の圃場での走行経路を生成する走行経路生成部と、前記走行経路生成部が前記走行経路を生成するのに必要な各種の生成条件が格納された記憶部とを備え、
前記走行経路生成部は、前記各種の生成条件のうちの少なくとも、前記圃場の外周形状と、前記圃場に対する入出経路の位置と、前記作業車に備えた作業装置の作業幅とを採択して前記走行経路を生成し、
前記記憶部は、前記走行経路生成部が生成した前記走行経路を格納し、
前記走行経路生成部は、前記走行経路として、前記圃場の対向する2箇所の圃場端にわたって前記作業車を往復走行させる往復走行経路と、前記圃場の外周領域において前記作業車を前記圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路とを生成し、
前記各種の生成条件には、前記圃場において農道に隣接する農道側圃場端の位置が含まれており、
前記作業車は、前記農道側圃場端で農用資材の補給を受ける農用資材供給車であり、
前記走行経路生成部は、前記農道側圃場端を前記往復走行経路における方向転換用の端部に設定する。
【0008】
この手段によると、例えば、圃場マップから得た圃場ごとの外周形状と圃場に対する入出経路の位置、及び、カタログから得た作業装置の作業幅、などを記憶部に格納しておくことにより、少なくとも圃場の外周形状と入出経路及び作業装置の作業幅を考慮した各圃場ごとの適正な走行経路、例えば、作業車が入出経路から圃場内に進入して圃場内を効率の良い手順で走行して入出経路から退出する経路を、作業車を手動で運するティーチング作業を行うことなく容易に生成することができる。
【0009】
そして、生成した走行経路を記憶部に格納されることから、格納した走行経路を読み出すことにより、次回の作業走行時、同じ作業幅の他の作業装置を使用した作業走行時、又、同じ作業幅の他の作業車を使用した作業走行時、などにおいて使用することができる。
【0010】
つまり、作業効率の低下を招くことなく、圃場において作業車を適正に自律走行させることができて、利用率の高い走行経路を生成することができる。
この手段によると、圃場に農用資材を供給する農用資材供給装置を備えることによって往復走行経路と周回走行経路とを要する作業車に適した走行経路を生成することができる。
この手段によると、例えば、作業車が農用資材供給装置を備える農用資材供給車である場合は、農道に止めたトラックに積み込まれている予備の農用資材又は燃料などの作業車への補給が行い易くなる。
例えば、作業車が収穫装置を備えるコンバインなどの収穫作業車である場合は、農道に止めたトラックの荷台への収穫物の移載などが行い易くなる。
【0011】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記各種の生成条件には、前記圃場における障害物の位置及び形状が含まれており、
前記走行経路生成部は、前記障害物の位置及び形状を考慮して前記走行経路を生成する。
【0012】
この手段によると、取水口又は電柱などの障害物が存在する圃場において、障害物を考慮した適正な走行経路を生成することができる。
【0013】
【0014】
【0015】
また、本発明に係る走行経路生成システムは、
作業車の圃場での走行経路を生成する走行経路生成部と、前記走行経路生成部が前記走行経路を生成するのに必要な各種の生成条件が格納された記憶部とを備え、
前記走行経路生成部は、前記各種の生成条件のうちの少なくとも、前記圃場の外周形状と、前記圃場に対する入出経路の位置と、前記作業車に備えた作業装置の作業幅とを採択して前記走行経路を生成し、
前記記憶部は、前記走行経路生成部が生成した前記走行経路を格納し、
前記走行経路生成部は、前記走行経路として、前記圃場の対向する2箇所の圃場端にわたって前記作業車を往復走行させる往復走行経路と、前記圃場の外周領域において前記作業車を前記圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路とを生成し、
前記圃場の外周形状には、前記圃場における各圃場端の長さが含まれており、
前記走行経路生成部は、前記圃場の縦方向に延びる一対の圃場端の長さと前記圃場の横方向に延びる一対の圃場端の長さとに差が生じている場合は、長さの短い一対の圃場端を、前記往復走行経路における方向転換用の端部に設定し、
前記往復走行経路には、交互に隣接する複数の往路作業経路と複数の復路作業経路とが含まれており、
前記走行経路生成部は、前記圃場の形状が、前記圃場の縦方向及び横方向のそれぞれにおいて対向する圃場端同士が一定間隔又は略一定間隔をあけて並ぶ形状であり、かつ、前記作業装置が圃場に農用資材を供給する農用資材供給装置である場合は、前記入出経路から最も離れた往路作業経路を前記往復走行経路での前記作業車の走行開始経路に設定し、
前記往復走行経路での走行終了経路に続く経路から前記入出経路に向けて前記周回走行経路を設定する。
【0016】
この手段によると、畦際での車体の旋回回数を少なくすることができ、圃場内での車体の走行性を良くすることができる。
この手段によると、入出経路からの作業車の退出が良好になるように生成される周回走行経路での走行開始地点に対して、往復走行経路での走行終了地点が近くなることから、往復走行経路の走行終了地点から周回走行経路の走行開始地点への作業車の移動を短時間で効率よく行える。
【0017】
また、本発明に係る走行経路生成システムは、
作業車の圃場での走行経路を生成する走行経路生成部と、前記走行経路生成部が前記走行経路を生成するのに必要な各種の生成条件が格納された記憶部とを備え、
前記走行経路生成部は、前記各種の生成条件のうちの少なくとも、前記圃場の外周形状と、前記圃場に対する入出経路の位置と、前記作業車に備えた作業装置の作業幅とを採択して前記走行経路を生成し、
前記記憶部は、前記走行経路生成部が生成した前記走行経路を格納し、
前記走行経路生成部は、前記走行経路として、前記圃場の対向する2箇所の圃場端にわたって前記作業車を往復走行させる往復走行経路と、前記圃場の外周領域において前記作業車を前記圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路とを生成し、
前記圃場の外周形状には、前記圃場における各圃場端の長さが含まれており、
前記走行経路生成部は、前記圃場の縦方向に延びる一対の圃場端と前記圃場の横方向に延びる一対の圃場端とのいずれか一方が前記作業幅の整数倍又は略整数倍の長さを有する場合は、前記作業幅の整数倍又は略整数倍の長さを有する一対の圃場端を、前記往復走行経路における方向転換用の端部に設定する。
【0018】
この手段によると、圃場に農用資材を複数条に整列供給する農用資材供給装置を備える乗用田植機などにおいて、作業条数を変更する各条クラッチ(図示せず)を使用することなく車体を走行させることができる。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記各種の生成条件には、前記作業車の走行に伴って車載量が変化する車載物の給排に関する補助作業を行う特定の補助作業地点が含まれており、
前記往復走行経路には、交互に隣接する複数の往路作業経路と複数の復路作業経路とが含まれており、
前記走行経路生成部は、前記補助作業地点から最も離れた往路作業経路を前記往復走行経路での前記作業車の走行開始経路に設定する。
【0024】
この手段によると、往復走行経路での作業走行が進むとともに作業車が補助作業地点に近づくことから、作業走行の中断地点と補助作業地点とにわたる車体の移動を短時間で効率よく行える。
【0025】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記走行経路生成部は、前記入出経路が複数存在する場合は、前記作業車が次に走行する圃場に最も近い入出経路を前記作業車の退出経路に設定する。
【0026】
この手段によると、複数の圃場で作業を行う場合の圃場間での車体の移動を短時間で効率よく行える。
【0027】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記各種の生成条件には、前記圃場において他の作業車が走行した既走行経路が含まれており、
前記走行経路生成部は、前記既走行経路を考慮して前記走行経路を生成する。
【0028】
この手段によると、例えば、今回の走行経路を使用する作業車が農用資材供給車であり、他の作業車が代掻き作業車である場合は、代掻き作業車によって均された代掻き経路を通る良好な資材供給を行える。
例えば、今回の走行経路を使用する作業車が自脱形コンバインであり、他の作業車が乗用田植機である場合は、乗用田植機によって複数条に整列して植え付けられた稲などの収穫を、稲などの条列に沿った適正な収穫が行い易くなる。
【0029】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記各種の生成条件には、前記圃場において前記作業車が以前に走行した既走行経路が含まれており、
前記走行経路生成部は、前記既走行経路を考慮して前記走行経路を生成する。
【0030】
この手段によると、同じ作業車が常に同じ走行経路を走行することにより、圃場の耕盤において溝状の轍が形成されることを回避することができる。
【0031】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記各種の生成条件には、前記圃場の日当たり具合や風通しを含む圃場環境が含まれており、
前記走行経路生成部は、前記圃場環境を考慮して前記走行経路を生成する。
【0032】
この手段によると、作業車が乗用田植機や播種機である場合に、苗などに対する日当たりや風通しを良くすることができ、苗などの生育を良くすることができる。
【0033】
【0034】
【0035】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記走行経路生成部は、前記作業装置が圃場に農用資材を供給する農用資材供給装置である場合は、前記往復走行経路の終端を前記往復走行経路において前記入出経路に最も近い位置に設定する。
【0036】
この手段によると、入出経路からの作業車の退出が良好になるように生成される周回走行経路での走行開始地点に対して、往復走行経路での走行終了地点が最も近くなることから、往復走行経路の走行終了地点から周回走行経路の走行開始地点への作業車の移動をより短時間で効率よく行える。
【0037】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記各種の生成条件に優先順位を設定する人為操作式の順位設定部を備え、
前記走行経路生成部は、前記順位設定部の人為操作によって設定された前記優先順位を考慮して前記走行経路を生成する。
【0038】
この手段によると、それぞれの圃場に適した走行経路の生成が可能になる。
【0039】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記走行経路の選択に関する所定数の選択情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示された所定数の前記選択情報の人為選択を可能にする操作部とを備え、
前記各種の生成条件には、優先順位の高い所定数の優先生成条件が含まれており、
前記走行経路生成部は、所定数の前記優先生成条件に応じた所定数の前記走行経路を生成するとともに、所定数の前記走行経路に応じた所定数の前記選択情報の表示を前記表示部に指令し、かつ、前記操作部の人為操作によって所定数の前記選択情報のうちの一つが選択されると、選択された選択情報に応じた走行経路を前記作業車が実際に走行する実走行経路に決定する。
【0040】
この手段によると、走行経路生成部により、圃場に応じた優先順位の高い所定数の優先生成条件に基づいて所定数の走行経路が生成されるとともに、所定数の走行経路に応じた所定数の選択情報が表示部にて表示されることから、オペレータは、操作部を操作して、表示部に表示された所定数の選択情報の中から要望に応じた一つを選択すると、要望に応じた走行経路を使用することができる。
つまり、オペレータが望む走行経路を簡単な操作で容易に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】乗用田植機の全体左側面図である。
図2】走行経路生成システムの構成などを示すブロック図である。
図3】基本条件に基づいて生成された走行経路の一例を示す図である。
図4】基本条件に基づいて生成された走行経路の他の例を示す図である。
図5】障害物を考量して生成された走行経路を示す図である。
図6】補助作業地点を考量して生成された走行経路を示す図である。
図7】基本条件において2つの入出経路を考量して生成された走行経路を示す図である。
図8】圃場端における直線部分の長さを考量して生成された走行経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を実施するための形態の一例を図面に基づいて説明する。
【0043】
図1に示すように、本実施形態にて例示された乗用田植機は、乗用型で四輪駆動形式の走行車体1、走行車体1の後部にリンク機構2を介して昇降可能に連結された苗植付装置(農用資材供給装置の一例)3、及び、走行車体1の後部に配置された施肥装置(農用資材供給装置の一例)4、などを備えている。
【0044】
図1図2に示すように、走行車体1は、走行車体1の前部に防振搭載されたエンジン5、静油圧式の無段変速装置などを有してエンジンからの動力を変速する変速ユニット6、変速ユニット6による変速後の動力で駆動される操舵可能な左右の前輪7、変速ユニット6による変速後の動力で駆動される左右の後輪8、変速ユニット6から苗植付装置3及び施肥装置4への伝動を断続するクラッチユニット9、油圧シリンダ10などを有して苗植付装置3を昇降駆動する昇降駆動ユニット11、油圧式昇降駆動ユニット11などの作動を制御する電子制御ユニット(以下、ECUと称する)12、走行車体1の自動運転を可能にする自動運転システム13、並びに、走行経路を生成する走行経路生成システム14、などを備えている。
【0045】
自動運転システム13は、運転モードの手動運転モードと自動運転モードとの選択を可能にする手動式の選択スイッチ15、変速ユニット6の自動変速操作を可能にする自動変速ユニット16、左右の前輪7の自動操舵を可能にする自動操舵ユニット17、クラッチユニット9の自動操作を可能にする自動クラッチ操作ユニット18、走行車体1の位置及び方位を測定する測位ユニット19、及び、自動運転モードにおいて自動変速ユニット16などの作動を制御する自動運転制御部20、などを備えている。
【0046】
ECU12は、CPU及びEEPROMなどを有するマイクロプロセッサを備えている。自動運転制御部20は、ECU12の内部において制御プログラムなどによって構築されている。
【0047】
測位ユニット19は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例である周知のGPS(Global Positioning System)を利用して走行車体1の位置及び方位を測定する衛星航法装置21、及び、3軸のジャイロスコープ(図示せず)と3方向の加速度センサ(図示せず)とを有して走行車体1のヨー角、ピッチ角、ロール角、などを計測する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)22、など備えている。GPSを利用した測位方法には、DGPS(Differential GPS)やRTK−GPS(Real Time Kinematic GPS)などがあるが、本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK−GPSが採用されている。
【0048】
衛星航法装置21は、GPS衛星(図示せず)から送信された電波と、既知位置に設置された基準局(図示せず)から送信された測位データとを受信する衛星航法用のアンテナユニット23を備えている。基準局は、GPS衛星からの電波を受信して得た測位データを衛星航法装置21に送信する。衛星航法装置21は、GPS衛星からの電波を受信して得た測位データと、基準局からの測位データとに基づいて、走行車体1の位置及び方位を求める。
【0049】
走行経路生成システム14、作業車の圃場での走行経路Rを生成する走行経路生成部24、走行経路生成部12Bが走行経路Rを生成するのに必要な各種の生成条件が格納された記憶部25、走行経路生成部24又は記憶部25などへの圃場マップなどのデータ入力又は各種の生成条件などの入力を可能にする入力装置26、生成した走行経路Rなどの出力を可能にする出力装置27、スマートフォン又はタブレットなどの通信端末28との無線通信が可能に接続設定された通信モジュール29、などを備えている。
【0050】
走行経路生成部24は、ECU12の内部において制御プログラムなどによって構築されている。記憶部25は、ECU12の内部においてEEPROMなどによって構築されている。記憶部25には、作業対象となる各圃場の位置及び形状などの各種の情報が記録された圃場マップなどとともに、各種の生成条件として、苗植付装置3などの各種の作業装置の作業幅W、作業を行う各圃場ごとの圃場の外周形状、圃場に対する入出経路Rzの位置、圃場における障害物の位置及び形状、圃場において農道に隣接する農道側圃場端の位置、作業車の走行に伴って車載量が変化する車載物の給排に関する補助作業を行う特定の補助作業地点、トラクタ又はコンバインなどの他の作業車が走行した既走行経路、この乗用田植機が以前に走行した既走行経路、圃場の日当たり具合、及び、圃場での風通し、などが格納されている。圃場の外周形状には、圃場における各圃場端の長さなどが含まれている。
【0051】
入力装置26には、作業対象の圃場ごとに割り当てられた登録番号を入力する番号入力部26A、入力された登録番号や登録番号に該当する圃場に関する各種の生成条件などを表示する表示部26B、各種の生成条件の選択を可能にする選択操作部26C、及び、複数の圃場で作業を行うときの作業順を設定する作業順位入力部26D、などが備えられている。これにより、オペレータは、作業対象の圃場に関する各種の生成条件の中から、圃場内での乗用田植機の走行性を重視した走行経路Rの生成、乗用田植機に対する苗補給などの補助作業性を重視した走行経路Rの生成、又は、圃場内での苗の生育を重視した走行経路Rの生成、などに必要な生成条件を選択することができる。
【0052】
図3図4に示すように、走行経路生成部24は、例えば、矩形の圃場での走行経路Rを生成するときに、オペレータによる生成条件の選択がない場合は、走行経路Rの生成に関する基本条件である、作業装置の作業幅W、圃場の外周形状、及び、圃場に対する入出経路Rzの位置、に基づいて走行経路Rを生成する。この場合、先ず、圃場の縦方向に延びる一対の第1圃場端Aaと圃場の横方向に延びる一対の第2圃場端Abとが苗植付装置3の作業幅Wの整数倍又は略整数倍の長さを有しているか否かを判定する。第2圃場端Abの長さのみが作業幅Wの整数倍又は略整数倍である場合は、車体を圃場の縦方向で往復作行させる往復走行経路Raと、圃場の外周領域において車体を圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路Rbとを生成する。次に、作業車が乗用田植機であることと入出経路Rzの位置とに基づいて、往復走行経路Raに含まれる複数の往路作業経路Raaと複数の復路作業経路Rabのうち、入出経路Rzから最も離れた往路作業経路Raaを第1作業経路R1に設定し、この第1作業経路R1から順に入出経路Rzに向けて車体が往復走行するように走行順位を設定する。そして、周回走行経路Rbにおいて往復走行経路Raの最終経路R10に隣接する経路を往復走行経路Raの最終経路R10に続く第11作業経路R11に設定し、この第11作業経路R11から順に入出経路Rzに向けて車体が周回走行するように走行順位を設定する(図3参照)。
このように走行経路Rを生成することにより、苗植付装置3の植え付け条数を変更する各条クラッチ(図示せず)を使用することなく、車体を第1作業経路R1から入出経路Rzに向けて連続的に効率良く走行させることができる。
【0053】
上記の圃場において、第1圃場端Aaと第2圃場端Abの双方の長さが作業幅Wの整数倍又は略整数倍である場合あるいは整数倍又は略整数倍でない場合は、先ず、第1圃場端Aaと第2圃場端Abのうち、長さの短い第1圃場端Aaを往復走行経路Raにおける方向転換用の端部に設定して、走行経路Rとして、一対の第1圃場端Aaにわたって車体を往復走行させる往復走行経路Raと、圃場の外周領域において車体を圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路Rbとを生成する。次に、作業車が乗用田植機であることと入出経路Rzの位置とに基づいて、往復走行経路Raにおいて入出経路Rzから最も離れた往路作業経路Raaを第1作業経路R1に設定し、この第1作業経路R1から順に入出経路Rzに向けて車体が往復走行するように走行順位を設定する。そして、周回走行経路Rbにおいて往復走行経路Raの最終経路R6に隣接する経路を往復走行経路Raの最終経路R6に続く第7作業経路R7に設定し、この第7作業経路R7から順に入出経路Rzに向けて車体が周回走行するように走行順位を設定する(図4参照)。
このように走行経路Rを生成することにより、畦際での車体の旋回回数を少なくすることができ、圃場内での車体の走行性を良くすることができる。又、車体を第1作業経路R1から入出経路Rzに向けて連続的に効率良く走行させることができる。
【0054】
上記の圃場において、第1圃場端Aaと第2圃場端Abの双方の長さが作業幅Wの整数倍及び略整数倍でない場合は、各条クラッチを使用する距離が長くなる圃場端Aa,Abを往復走行経路Raにおける方向転換用の端部に設定して、往復走行経路Raと周回走行経路Rbとを生成する。
これにより、各条クラッチを使用する作業走行距離を短くすることができる。
【0055】
図5に示すように、走行経路生成部24は、例えば、排水口又は鉄塔などの障害物30が存在する矩形の圃場での走行経路Rを生成するときは、障害物30の位置及び形状が走行経路Rの生成に関する基本条件に含まれることから、障害物30の位置及び形状を考慮して走行経路Rを生成する。例えば、障害物30の位置及び形状が図5にて例示した位置及び形状であり、かつ、第1圃場端Aaを往復走行経路における方向転換用の端部に設定する生成条件が成立していれば、障害物30から一方の第1圃場端Aaに向かう畦際の経路を往復走行経路Raに含み、この畦際の経路に隣接する経路を周回走行経路Rbに含むように往復走行経路Raと周回走行経路Rbとを生成する。次に、作業車が乗用田植機であることと入出経路Rzの位置とに基づいて、前述した畦際の経路(往路作業経路Raa)を第1作業経路R1に設定し、この第1作業経路R1と周回走行経路Rbを挟んで隣接する経路(復路作業経路Rab)を第2作業経路R2に設定し、この第2作業経路R2から順に入出経路Rzに向けて車体が往復走行するように走行順位を設定する。そして、周回走行経路Rbにおいて往復走行経路Raの最終経路R6に隣接する経路を往復走行経路Raの最終経路R6に続く第7作業経路R7に設定し、この第7作業経路R7から順に入出経路Rzに向けて車体が周回走行するように走行順位を設定する。
このように走行経路Rを生成することにより、障害物30が存在する圃場でありながら、畦際での車体の旋回回数を少なくすることによって圃場内での走行性を良くしながら、車体を第1作業経路R1から入出経路Rzに向けて連続的に効率良く走行させることができる。
【0056】
走行経路生成部24は、例えば、矩形の圃場での走行経路Rを生成するときに、オペレータにより、農道に隣接する農道側圃場端Acの位置が生成条件に設定された場合は、農道側圃場端Acが第1圃場端Aaであれば、第1圃場端Aaを往復走行経路における方向転換用の端部に設定して、走行経路Rとして、図4に例示した往復走行経路Raと周回走行経路Rbとを生成する。次に、作業車が乗用田植機であることと入出経路Rzの位置とに基づいて、図4に例示した走行順位を設定する。又、農道側圃場端Acが第2圃場端Abであれば、第2圃場端Abを往復走行経路における方向転換用の端部に設定して、走行経路Rとして、図3に例示した往復走行経路Raと周回走行経路Rbとを生成する。次に、作業車が乗用田植機であることと入出経路Rzの位置とに基づいて、図3に例示した走行順位を設定する。
このように走行経路Rを生成することにより、農道に止めたトラックに積み込まれている予備の苗及び肥料などの乗用田植機への補給が行い易くなる。
【0057】
図6に示すように、走行経路生成部24は、例えば、矩形の圃場での走行経路Rを生成するときに、オペレータにより、乗用田植機に対して予備の苗及び肥料などを補給する補助作業を行う特定の補助作業地点Pが生成条件に設定された場合は、補助作業地点Pが入出経路Rzから離れた第圃場端Aに存在し、かつ、第1圃場端Aaを往復走行経路における方向転換用の端部に設定する生成条件が成立していれば、一対の第1圃場端Aaにわたって車体を往復走行させる往復走行経路Raと、圃場の外周領域において車体を圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路Rbとを生成する。次に、作業車が乗用田植機であることと補助作業地点Pとに基づいて、補助作業地点Pから最も離れた往路作業経路Raaを第1作業経路(走行開始経路)R1に設定し、この第1作業経路R1から順に補助作業地点Pに向けて車体が往復走行するように走行順位を設定する。そして、周回走行経路Rbにおいて往復走行経路Raの最終経路R6から最も離れた経路を往復走行経路Raの最終経路Rに続く第7作業経路R7に設定し、この第7作業経路R7から順に入出経路Rzに向けて車体が周回走行するように走行順位を設定する。
このように走行経路Rを生成することにより、往復走行経路Raでの作業走行が進むとともに乗用田植機が補助作業地点Pに近づくことから、作業走行の中断地点と補助作業地点Pとにわたる車体の移動を短時間で効率よく行える。
【0058】
図7に示すように、走行経路生成部24は、例えば、2つの入出経路Rzを有する矩形の圃場での走行経路Rを生成する場合は、オペレータにより設定された圃場の作業順位及び圃場の位置情報などに基づいて、この圃場の直前に作業を行う圃場に近い入出経路Rzを進入経路Rzaに設定し、この圃場の次に作業を行う圃場に近い入出経路Rzを退出経路Rzbに設定し、これらの設定に適した往復走行経路Raと周回走行経路Rbとを生成し、かつ、走行順位を設定する。
このように走行経路Rを生成することにより、複数の圃場で作業を行う場合の圃場間での車体の移動を短時間で効率よく行える。
【0059】
図8に示すように、走行経路生成部24は、例えば、圃場の第1圃場端Aaにおける直線部分の長さと第2圃場端Abにおける直線部分の長さとに差が生じている場合は、直線部分の長さが短い一対の圃場端(第1圃場端Aa)を往復走行経路Raにおける方向転換用の端部に設定して往復走行経路Raと周回走行経路Rbとを生成する。次に、作業車が乗用田植機であることと入出経路Rzの位置とに基づいて走行順位を設定する。
このように走行経路Rを生成することにより、操舵が不要な直線経路が長くなって車体の走行性が良くなるとともに、車体を第1作業経路R1から入出経路Rzに向けて連続的に効率良く走行させることができる。
【0060】
図3図4図7図8に示すように、走行経路生成部24は、例えば、圃場の形状が、圃場の縦方向及び横方向のそれぞれにおいて対向する圃場端同士が一定間隔又は略一定間隔をあけて並ぶ形状である場合は、作業装置が苗を圃場に植え付ける苗植付装置3であることにより、入出経路Rzから最も離れた往路作業経路Raaを第1作業経路(走行開始経路)R1に設定する。
このように設定すると、入出経路Rzからの車体の退出が良好になるように生成される周回走行経路Rbでの走行開始地点に対して、往復走行経路Raでの走行終了地点が近くなることから、往復走行経路Raの走行終了地点から周回走行経路Rbの走行開始地点への車体の移動を短時間で効率よく行える。
【0061】
図3図4図7図8に示すように、走行経路生成部24は、作業装置が苗を圃場に植え付ける苗植付装置3であることに基づいて、往復走行経路Raの走行終了地点(終端)を往復走行経路Raにおいて入出経路Rzに最も近い位置に設定する。
このように設定すると、入出経路Rzからの車体の退出が良好になるように生成される周回走行経路Rbでの走行開始地点に対して、往復走行経路Raでの走行終了地点が最も近くなることから、往復走行経路Raの走行終了地点から周回走行経路Rbの走行開始地点への車体の移動をより短時間で効率よく行える。
【0062】
走行経路生成部24は、オペレータにより、この圃場において代掻き仕様のトラクタ(他の作業車の一例)が走行した既走行経路が生成条件に設定された場合は、極力、既走行経路と一致するように走行経路Rを生成する。
このように走行経路Rを生成することにより、トラクタの代掻き作業によって均された代掻き経路を通る良好な植え付けを行える。
【0063】
走行経路生成部24は、オペレータにより、この圃場においてこの乗用田植機が走行した既走行経路が生成条件に設定された場合は、極力、今回の往復走行経路Raが既走行経路の往復走行経路Raと経路方向が交差するように走行経路Rを生成する。
このように走行経路Rを生成することにより、同じ作業車が常に同じ走行経路Rを走行することにより、圃場の耕盤において溝状の轍が形成されることを回避することができる。
【0064】
走行経路生成部24は、オペレータにより、圃場の日当たり具合が生成条件に設定された場合は、往復走行経路Raの経路方向が日当たりの良い方向に沿うように往復走行経路Raを生成する。
このように往復走行経路Raを生成することにより、苗の日当たりを良くすることができ、苗の生育を良くすることができる。
【0065】
走行経路生成部24は、オペレータにより、圃場での風通しが生成条件に設定された場合は、往復走行経路Raの経路方向が風通しの良い方向に沿うように往復走行経路Raを生成する。
このように往復走行経路Raを生成することにより、苗に対する風通しを良くすることができ、苗の生育を良くすることができる。
【0066】
図2に示すように、入力装置26には、各種の生成条件に優先順位を設定する人為操作式の順位設定部12Fが備えられている。
走行経路生成部24は、順位設定部12Fの人為操作によって生成条件の優先順位が設定された場合は、設定された優先順位を考慮して走行経路Rを生成する。
これにより、それぞれの圃場に適した走行経路Rの生成が可能になる。
【0067】
記憶部25は、走行経路生成部24により生成された走行経路Rを格納するように構成されている。
【0068】
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明に関する代表的な別実施形態を例示する。
【0069】
〔1〕走行経路生成システム14は、トラクタ及びコンバインなどの他の作業車において構築されていてもよい。
【0070】
〔2〕走行経路生成システム14は、農家が所有するパソコン又はタブレットなどにおいて構築されていてもよく、又、農家が所有するパソコン又はタブレットなどと作業車とで構築されていてもよい。
【0071】
〔3〕走行経路生成システム14は、農家が所有するパソコン又はタブレットなどと農機メーカが所有する農業支援システムなどとで構築されていてもよい。
【0072】
〔4〕走行経路生成システム14は、入力装置26の表示部26Bにおいて走行経路Rの選択に関する所定数の選択情報が表示され、入力装置26には、表示部26Bに表示された所定数の選択情報の人為選択を可能にする操作部26Cが備えられ、各種の生成条件には、優先順位の高い所定数の優先生成条件が含まれており、走行経路生成部24が、所定数の優先生成条件に応じた所定数の走行経路Rを生成するとともに、所定数の走行経路Rに応じた所定数の選択情報の表示を表示部26Bに指令し、かつ、操作部26Cの人為操作によって所定数の選択情報のうちの一つが選択されると、選択された選択情報に応じた走行経路Rを作業車が実際に走行する実走行経路に決定するように構成されていてもよい。
【0073】
〔5〕走行経路生成部24による走行経路Rの生成は生成条件に応じて種々の変更が可能であり、例えば、周回走行経路Rbが2周分又は1.5周分の長さになるように往復走行経路Raと周回走行経路Rbとを生成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、作業車の圃場での走行経路を生成する走行経路生成システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
3 作業装置(農用資材供給装置)
24 走行経路生成部
25 記憶部
26B 表示部
26C 操作部
26E 順位設定部
30 障害物
Aa 第1圃場端
Ab 第2圃場端
Ac 農道側圃場端
P 補助作業地点
R 走行経路
R1 走行開始経路
Ra 往復走行経路
Raa 往路作業経路
Rab 復路作業経路
Rb 周回走行経路
Rz 入出経路
Rzb 退出経路
W 作業幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8