(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0024】
<実施の形態1>
≪回転制御装置の構成≫
図1は、実施の形態1に係る回転制御装置の構成を示す図である。
同図に示される回転制御装置100は、例えば、プラント等において流量のプロセス制御に用いられるボール弁等のロータリ式の調節弁の弁軸の回転を制御する電動式の操作器である。
【0025】
具体的に、回転制御装置100は、図示されていない上位装置から与えられた調節弁の弁開度の目標値(設定値)SPと調節弁の弁開度の実測値(以下、「実開度」とも称する。)PVとの偏差ΔPを算出し、その偏差ΔPが0になるように弁軸200を駆動することにより、調節弁の弁開度が目標値となるように制御する操作器である。
【0026】
以下、回転制御装置100の具体的な構成について説明する。
図1に示すように、回転制御装置100は、相対的位置センサ1、複数のON/OFFセンサ2_1〜2_n(nは、2以上の整数)、位置算出部3、操作量算出部4、および操作部5を備えている。複数のON/OFFセンサ2_1〜2_nは、不連続な絶対的位置センサを構成する。
【0027】
これらの構成要素は、例えば金属材料から成る筐体内部に収容される。なお、回転制御装置100は、上述した機能部に加えて、調節弁の弁開度等の各種情報をユーザに提示するための表示部(例えば液晶ディスプレイ)や外部機器との間でデータの送受信を行うための通信回路等を備えていてもよい。
【0028】
先ず、調節弁の実開度、すなわち弁軸200の回転方向の位置を測定するための相対的位置センサ1およびON/OFFセンサ2_1〜2_nを含む不連続な絶対的位置センサについて説明する。
【0029】
相対的位置センサ1は、回転制御装置100の操作対象軸としての弁軸200の回転方向の機械的変位Mdを非接触で検出する機能部である。相対的位置センサ1としては、検出対象軸(弁軸200)の回転角度に対応してパルスを出力するインクリメンタル型のロータリエンコーダを例示することができる。本実施の形態では、相対的位置センサ1が、インクリメンタル型のロータリエンコーダであるとして説明する。
【0030】
一方、不連続な絶対的位置センサは、ON/OFFセンサ2_1〜2_nを含み、操作対象軸である弁軸200が回転方向における所定の位置に到達したときに、その所定の位置に対応して設けられた各ON/OFFセンサ2_1〜2_nはそれぞれ検知信号P1〜Pnを出力する。ON/OFFセンサ2_1〜2_nは、弁軸200が回転方向において特定の位置に到達したことを示す電気信号を出力することが可能な部品であればよい。具体的には、ON/OFFセンサ2_1〜2_nとして、例えば、リミットスイッチを用いることができる。ここで、上記電気信号は、弁軸200が回転方向において特定の位置に到達したことを示す信号であればよく、例えばオン・オフ信号(状態を表す信号、例えばデジタル信号)である。
【0031】
図2を参照して、ON/OFFセンサ2_1〜2_nの配置について説明する。
図2には、n=5とした場合のON/OFFセンサ2_1〜2_5の配置例が示されている。
【0032】
図2に示すように、ON/OFFセンサ2_1〜2_5は、弁軸200の回転可能範囲SR内において、互いに異なる複数の位置毎に対応して設けられ、弁軸200がその対応する位置に到達したときに検知信号P1〜Pnを夫々出力する。
【0033】
ここで、回転可能範囲SRとは、弁軸200の回転方向における回転可能な範囲であり、例えば、回転方向における第1位置としての弁開度が0%となる全閉位置Pcから、第2位置としての弁開度が100%となる全開位置Poまでの範囲を示す。
【0034】
回転制御装置100において、ON/OFFセンサ2_1〜2_5は、弁開度が0%から100%までの範囲における何れかの位置に対応して設けられている。例えば、
図2に示す配置例の場合、ON/OFFセンサ2_1は、弁開度が0%となる全閉位置Pcに対応して設けられ、ON/OFFセンサ2_2は、弁開度が20%となる位置Paに対応して設けられ、ON/OFFセンサ2_3は、弁開度が50%となる位置Pmに対応して設けられ、ON/OFFセンサ2_4は、弁開度が70%となる位置Pbに対応して設けられ、ON/OFFセンサ2_5は、弁開度が100%となる全開位置Poに対応して設けられている。
弁軸200において、弁開度が0%となる全閉位置Pcと弁開度が100%となる全開位置Poとを除いた、弁開度が20%となる位置Pa、弁開度が50%となる位置Pm、弁開度が70%となる位置Pbは、それぞれ本発明における「所定の中間位置」に該当する。
【0035】
図2に示す配置例の場合、ON/OFFセンサ2_1は、弁軸200が全閉位置Pcに到達したときに検知信号P1を出力する。ON/OFFセンサ2_2は、弁軸200が位置Pa(弁開度:20%)に到達したときに検知信号P2を出力する。ON/OFFセンサ2_3は、弁軸200が位置Pm(弁開度:50%)に到達したときに検知信号P3を出力する。ON/OFFセンサ2_4は、弁軸200が位置Pb(弁開度:70%)に到達したときに検知信号P4を出力する。ON/OFFセンサ2_5は、弁軸200が全開位置Po(弁開度:100%)に到達したときに検知信号P5を出力する。
【0036】
次に、ON/OFFセンサ2_1〜2_nの具体的な構造について説明する。
ON/OFFセンサ2_1〜2_nは、弁軸200の周りに設けられ、弁軸200の軸線と直交する第1主面20aおよび第2主面20bを有するプリント基板20と、このプリント基板の第1主面20aおよび第2主面20b上にそれぞれ配置された複数の第1電極21aおよび第2電極21bと、弁軸200の側面に固定されたショートプレート201と、ショートプレート201の第1接触子201aおよび第2接触子201bが複数の第1電極21aおよび第2電極21bの1つにそれぞれ接触すると検知信号Piを出力する検出回路23_iと、プリント基板20の第1主面20a上に配置された複数の第1カム部材24aと、第2主面20b上に配置された複数の第2カム部材24bとを備えている。
【0037】
以下、プリント基板20の第1主面20aおよび第2主面20bをあわせて「主面20a、20b」ということがある。また、第1電極21aおよび第2電極21bをあわせて「電極21a、21b」ということがある。また、ショートプレート201の第1接触子201aおよび第2接触子201bをあわせて「接触子201a、201b」ということがある。また、第1カム部材20aと第2カム部材20bとをあわせて「カム部材20a、20b」ということがある。
【0038】
図3A〜3Eは、ON/OFFセンサ2_1〜2_nの具体的な構造の一例を示す図である。ここでは、n=5とした場合が図示されている。
【0039】
ここで、
図3Aおよび
図3Bは、それぞれ、弁軸200が全閉位置Pc、位置Pa(弁開度:20%)、位置Pm(弁開度:50%)、位置Pb(弁開度:70%)、全開位置Po(弁開度:100%)の何れかに到達した状態におけるON/OFFセンサ2_1〜2_nの構造を模式的に示す平面図および断面図である。また、
図3Cおよび
図3Dは、それぞれ、弁軸200が上記の所定の位置の何れにも到達していないときのON/OFFセンサ2_1〜2_nの構造を模式的に示す平面図および断面図である。また、
図3Eは、ON/OFFセンサ2_1〜2_nの構造を模式的に示す側面図である。
【0040】
この例において、個々のON/OFFセンサ2_i(1≦i≦n)は、
図3A〜3Eに示されるように、弁軸200の周りに設けられるプリント基板20上に、抵抗Rと電極21a、21bを配置し、弁軸200にショートプレート201を設けることによって実現することができる。
【0041】
具体的には、プリント基板20の第1主面20aに第1電極21aを形成するとともに、第1電極21aと電源電圧が供給される電源ラインVccとの間に抵抗Rを接続する。また、プリント基板20の第2主面20bに第2電極21bを形成するとともに、第2電極21bを、グラウンド電圧が供給されるグラウンドラインGNDに接続する。プリント基板20の二つの主面20a、20bにそれぞれ形成される複数の電極21a、21bは、弁軸200の軸を中心とする円周C1に沿って配置されている。ここで、抵抗Rは、例えば、プリント基板20の第1主面20aに配置すればよい。また、電源ラインVccは、例えば、プリント基板20の第1主面20aに形成し、グラウンドラインGNDは、例えば、プリント基板20の第2主面20bに形成すればよい。
【0042】
プリント基板20の第1主面20aには、後述する位置算出部3および操作量算出部4として機能するマイクロコントローラやCPU等のプログラム処理装置を含むICチップ30が配置される。ここで、上述した抵抗Rと電極21aとが接続されるノードnaは、ICチップ30の何れか一つの入力端子に接続される。
【0043】
弁軸200は、プリント基板20に設けられた貫通孔20cに挿通されている。弁軸200の軸線とプリント基板20の主面20a、20bとは互いに直交する。弁軸200の外周面には、ショートプレート201が接合されている。
【0044】
図3B,3Dに示されるように、ショートプレート201は、例えば側面視「コ」字状に形成されている。ショートプレート201は、例えば、真鍮やステンレス等の金属から成る短冊状の板部材を曲げ加工して側面視「コ」字状に形成すればよい。このようなショートプレート201を弁軸200の側面にネジ等で固定することによって、このショートプレート201は、一端が弁軸200に固定されてこの弁軸200の径方向に延在する第1接触子201aと、この第1接触子201aと電気的に接続され、一端が弁軸200に固定されてこの弁軸200の径方向に延在する
第2接触子201bとを提供することとなる。第1接触子201aと第2接触子201bとは、ともに弾性変形可能な板状の部材である。プリント基板20は、これら一対の接触子201a、201bの間に配置される。この状態でこれらの接触子201a、201bの接点201a’、201b’がプリント基板20の表と裏の2つの主面20a、20bの方向にそれぞれ付勢されている。したがって、弁軸200に固定されたショートプレート201は、対向する一対の接触子201a,201bがプリント基板20を挟み込んだ状態で弁軸200とともに回転する。
【0045】
弁軸200が、全閉位置Pc、弁開度が20%となる位置Pa、弁開度が50%となる位置Pm、弁開度が70%となる位置Pb、および全開位置Poの何れかの位置に到達したとき、ショートプレート201の接触子201a、201bは、これらの所定の位置に対応する位置に配置された電極21a、21bと接触する。例えば、
図3Aに示すように、弁軸200が回転して、ショートプレート201がON/OFFセンサ2_3の位置に到達したとき、ショートプレート201の接点201a’がON/OFFセンサ2_3の電極21aと接触するとともに、ショートプレート201の接点201b’がON/OFFセンサ2_3の電極21bと接触する。このとき、電源ラインVccから、抵抗R、電極21a、ショートプレート201、および電極21bを介してグラウンドラインGNDに至る電流経路が形成され、ノードnaの電位が0V(グラウンド電位)となる。
【0046】
一方、
図3Cに示すように、ショートプレート201がON/OFFセンサ2_1とON/OFFセンサ2_2との間にあるときは、すなわち、弁軸200が所定の中間位置にないときは、ショートプレート201の接点201a’,201b’は、何れのON/OFFセンサ2_1〜2_5の電極21a,21bにも接触しない状態となる。これにより、各ON/OFFセンサ2_1〜2_5のノードnaの電位がVcc(電源電圧)となる。
【0047】
このように、各ON/OFFセンサ2_1〜2_5のノードnaの電圧変化を検出信号としてICチップ30に入力することにより、弁軸200が回転方向における所定の位置に到達したことを検出することが可能となる。したがって、一端が電源ラインVccに接続された抵抗Rと、この抵抗Rの他端に接続された電極21aと、グラウンドラインGNDに接続された電極21bは、ショートプレート201の接触子201a、201bの他端側の一部が、複数の電極21a、21bのうち1つにそれぞれ接触すると検知信号Piを出力する検出回路を構成する。
【0048】
さらに本実施の形態においては、ON/OFFセンサは、プリント基板20の第1主面20a上に配置されたカム部材24aと、第2主面20b上に配置されたカム部材24bとを備えている。
図3Aおよび
図3Cに示すように、これらのカム部材24a、24bは、それぞれプリント基板20の2つの主面20a、20b上において、弁軸200の軸線を中心とする円周C2に沿って配置されている。
【0049】
カム部材24a、24bは、プラスチック等の材料から構成され、それぞれ、円周C2に沿って主面上の所定の中間位置に対応する位置、すなわち電極21a、21bが配置されている位置に近づくにつれて主面からの高さが低くなる形状を有している。2つの主面20a、20bのそれぞれで隣り合う2つのカム部材の互いに対向する端部は、互いに離間している。
これらのカム部材24a、24bを接着剤でプリント基板20に固定するには、接着剤やネジを用いればよい。なお、カム部材24a、24bをプリント基板20上に実装する代わりに、図示しない樹脂ケース等の構造物上にカム部材24a、24bを形成してもよい。
【0050】
図3Dは、弁軸200が所定の位置、すなわち、
図2に示した全閉位置Pc、位置Pa、位置Pm、位置Pb、および全開位置Poのいずれかにないときの不連続な絶対的位置センサの様子を説明する図である。
図3Dに示すように、弁軸200が所定の位置のいずれにもないときに、ショートプレート201の接触子201a、201bは、プリント基板20の両主面20a、20b上にそれぞれ設けられたカム部材24a、24bと接触し、接触子201a、201bの他端側はプリント基板20の両主面20a、20bから離間する方向に移動する。したがって、この場合は、接触子201a、201bの接点201a’、201b’はプリント基板20の主面20a、20bとは接触しない。
これに対し、弁軸200が所定の位置のいずれかにあるときは、
図3Bに示すように、ショートプレート201の接触子201a、201bは電極21a、21bに接触する。
【0051】
次に、位置算出部3、操作量算出部4、および操作部5について説明する。
【0052】
位置算出部3は、弁軸200の絶対的な位置を算出する機能部である。位置算出部3は、ON/OFFセンサ2_1〜2_nの検知信号P1〜Pnが出力されてからの、相対的位置センサ1によって検出された機械的変位Mdの積算値と、その検知信号P1〜Pnを出力したON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置を示す基準値とに基づいて、操作対象軸の回転方向の絶対的な位置を算出する。
【0053】
位置算出部3は、例えば、マイクロコントローラやCPU等のプログラム処理装置によるプログラム処理によって実現することができる。上述の例の場合、プリント基板20に載置されたICチップ30によって実現される。
【0054】
より具体的には、位置算出部3は、基準値更新部32、相対的位置情報取得部31、および位置決定部33を含む。
【0055】
基準値更新部32は、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検知信号P1〜Pnが出力された場合に、基準値APを更新するとともにリセット信号RSTを出力する機能部である。
【0056】
ここで、基準値APは、回転可能範囲SR内における絶対的な位置を示す値であり、弁軸200の回転方向の絶対的な位置を算出する際の基準となる。
【0057】
具体的に、基準値更新部32は、ON/OFFセンサ2_1〜2_nが検知信号P1〜Pnを出力する度に、基準値APを、その検出信号を出力したON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置を示す値に設定する。例えば、
図2の例の場合、先ず、弁軸200が回転して弁開度が20%となる位置Paに到達し、ON/OFFセンサ2_2が検知信号P2を出力した場合、基準値更新部32は、基準値APを、ON/OFFセンサ2_2に対応する位置Paを示す値に設定する。その後、弁軸200が更に回転し、弁開度が50%となる位置Pmに弁軸200が到達してON/OFFセンサ2_3が検知信号P3を出力した場合、基準値更新部32は、基準値APを、位置Paを示す値からON/OFFセンサ2_3に対応する位置Pmを示す値に変更する。
【0058】
相対的位置情報取得部31は、相対的位置センサ1によって検出された弁軸200の回転方向の機械的変位Mdを取得し、その機械的変位Mdの積算値RPを算出する機能部である。例えば、相対的位置情報取得部31は、相対的位置センサ1としてのインクリメンタル型のロータリエンコーダから出力されるパルスをカウントし、そのパルス数の積算値RPを算出する。
【0059】
また、相対的位置情報取得部31は、基準値更新部32からリセット信号RSTが出力された場合に、それまでにカウントしていたパルス数の積算値RPをリセットする。リセット後、相対的位置情報取得部31は、パルスのカウント動作を再開する。
【0060】
すなわち、相対的位置情報取得部31は、ON/OFFセンサ2_1〜2_nのいずれかから検知信号が出力される度に、積算値RPをリセットする。したがって、相対的位置情報取得部31によって算出される積算値RPは、直前に基準値APが更新されてから次に基準値APが更新されるまでに、ロータリエンコーダから出力されたパルス数の累積値となる。
【0061】
位置決定部33は、基準値更新部32によって生成された基準値APと、相対的位置情報取得部31によって算出されたパルス数の積算値RPに基づく弁軸200の回転方向の機械的変位量とを加算して、回転可能範囲SRにおける弁軸200の絶対的な位置を算出する。位置決定部33は、算出した弁軸200の絶対的な位置を弁開度に換算し、換算した値を実開度PVとして出力する。
【0062】
操作量算出部4は、弁軸200の回転方向の目標位置としての弁開度の目標値SPと、位置算出部3によって算出された実開度PVとに基づいて、弁軸200の操作量を算出する機能部である。操作量算出部4は、例えば、位置算出部3と同様に、マイクロコントローラやCPU等のプログラム処理装置によるプログラム処理によって実現することができる。上述の例の場合、プリント基板20に載置されたICチップ30によって実現される。
【0063】
具体的には、操作量算出部4は、目標値取得部41、偏差算出部42、および操作量決定部43を含む。
【0064】
目標値取得部41は、例えばバルブ制御システムにおける上位装置(図示せず)から与えられた弁開度の目標値SPを取得する機能部である。目標値SPは、外部コントローラから通信や、例えば4-20mAのアナログ信号によって設定される。
【0065】
偏差算出部42は、目標値取得部41によって取得された弁開度の目標値SPと、位置算出部3によって算出された実開度PVとの偏差ΔPを算出する機能部である。
【0066】
操作量決定部43は、偏差算出部42によって算出された偏差ΔPに基づいて、弁軸200が目標値SPに基づく回転方向の目標位置に到達するまでに必要な操作量MVを算出する。
【0067】
操作部5は、操作量算出部4によって算出された操作量MVに基づいて、弁軸200を回転可能範囲SR内で操作する機能部である。具体的に、操作部5は、電動モータ52、電動モータ駆動部51、および減速機53を含む。
【0068】
電動モータ52は、弁軸200を操作するための回転力を発生させる部品である。電動モータ52としては、ブラシレスモータやステッピングモータ、同期モータ等を例示することができる。
【0069】
電動モータ駆動部51は、電動モータ52を駆動する機能部である。具体的に、電動モータ駆動部51は、操作量算出部4によって算出された操作量MVに応じた電流(または電圧)を電動モータ52に印加することにより、電動モータ52の出力軸を回転させる。
【0070】
減速機53は、電動モータ52よって発生した回転力を減速して弁軸200に伝達する動力伝達機構である。例えば、減速機53は、遊星歯車機構等の各種歯車機構によって構成されている。減速機53の出力軸が弁軸200に連結されることにより、電動モータ52の回転力を所定の減速比で減速した回転力によって弁軸200を回転させることができる。
【0071】
≪実施の形態1に係る回転制御装置100の動作原理≫
次に、実施の形態1に係る回転制御装置100の動作原理について説明する。
始めに、回転制御装置100による原点復帰の動作について説明する。
【0072】
図4は、実施の形態1に係る回転制御装置100の原点復帰動作モードにおける動作の流れを示す図である。
ここでは、回転制御装置100の電源投入の時点で、弁軸200が、弁開度が80%となる位置に到達している場合を例にとり、説明する。
【0073】
回転制御装置100に電源が投入された場合、回転制御装置100は、相対的位置センサの原点復帰の処理を行う原点復帰動作モードで動作を開始する。原点復帰動作モードにおいて、回転制御装置100は、調節弁を閉じる方向に電動モータ52を駆動する(S11)。具体的には、電動モータ駆動部51は、操作量決定部43によって弁開度が0%となるように算出された操作量MVに基づいて、電動モータ52を駆動する。
【0074】
次に、回転制御装置100は、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検知信号が出力されたか否かを判定する(S12)。ステップS12において、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検知信号が出力されなかった場合には、回転制御装置100は、引き続き、弁開度が0%になるように電動モータ52を駆動する。
【0075】
一方、ステップS12において、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検知信号が出力された場合には、回転制御装置100は、検知信号を出力したON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置を、弁軸200の絶対的な位置を算出する際の基準値AP(初期点)とする(S13)。
【0076】
例えば、
図2の例の場合、ステップS11において弁開度が80%となる位置から0%になる方向に弁軸200が回転し、その後、弁開度が70%となる位置Pbに弁軸200が到達したときに、ON/OFFセンサ2_4から検知信号P4が出力される。このとき、位置算出部3における基準値更新部32は、検知信号P4を出力したON/OFFセンサ2_4に対応する位置Pbを示す値を基準値APとして設定するとともに、リセット信号RSTを出力する。
【0077】
基準値更新部32からのリセット信号RSTを受けた相対的位置情報取得部31は、それまでにカウントしていたパルス数の積算値RPをリセットする(S14)。
【0078】
以上により原点復帰の処理が完了し、回転制御装置100は、原点復帰動作モードから通常動作モードに移行する。
【0079】
次に、原点復帰後の通常動作モードにおける回転制御装置100の動作について説明する。
図5は、実施の形態1に係る回転制御装置の通常動作モードにおける動作の流れを示すフロー図である。
【0080】
回転制御装置100は、原点復帰動作モードが終了すると、通常動作モードに移行する。通常動作モードにおいて、回転制御装置100は、上位装置から弁開度の目標値SPの変更が指示されるまで待機する(S20)。弁開度の目標値SPの変更が指示された場合には、回転制御装置100の偏差算出部42が、位置算出部3によって算出された弁軸200の絶対的な位置に基づく実開度PVが上位装置から指示された目標値SPよりも大きいか否かを判定する(S21)。
【0081】
ステップS21において、実開度PVが目標値SPよりも大きい場合、回転制御装置100は、調節弁を閉じる方向に電動モータ52を駆動する(S22a)。具体的には、操作量決定部43が、偏差算出部42によって算出された偏差ΔPに基づいて、弁開度が目標値SPとなるように操作量MVを算出し、電動モータ駆動部51が、その操作量MVに基づいて電動モータ52を駆動する。
【0082】
一方、ステップS21において、実開度PVが目標値SPよりも小さい場合、回転制御装置100は、調節弁を開く方向に電動モータ52を駆動する(S22b)。具体的には、操作量決定部43が、偏差算出部42によって算出された偏差ΔPに基づいて、弁開度が目標値SPとなるように操作量MVを算出し、電動モータ駆動部51が、その操作量MVに基づいて電動モータ52を駆動する。
【0083】
ステップS22aまたはステップS22bの後、回転制御装置100は、ON/OFFセンサ2_1〜2_nの一つから検知信号が出力されたか否かを判定する(S23)。
【0084】
ステップS23において、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検知信号が出力されていない場合には、回転制御装置100は、直前に基準値更新部32によって設定された基準値APと、相対的位置情報取得部31によって算出された相対的位置センサ1からの出力パルス数の積算値RPに基づく弁軸200の機械的変位量とに基づいて、実開度PV(弁軸200の絶対的な位置)を算出する(S26)。
【0085】
例えば、上述の原点復帰の処理(ステップS11〜S14)の後、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検知信号が一度も出力されていない場合には、原点復帰動作モードのステップS13において設定した基準値AP(上記例の場合、弁開度が70%となる位置)に、相対的位置情報取得部31によって算出された積算値RPに基づく弁軸200の機械的変位量を加算することによって、実開度PVを算出する。
【0086】
一方、ステップS23において、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検知信号が出力された場合には、回転制御装置100は、基準値APを更新する(S24)。具体的には、基準値更新部32が、検知信号を出力したON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置を、新たな基準値APに設定する。例えば、上述の原点復帰動作モードにおいて、基準値APが位置Pb(弁開度:70%)を示す値に設定された直後のステップS23において、ON/OFFセンサ2_3から検知信号P3が出力された場合には、基準値更新部32は、基準値APを、位置Pb(弁開度:70%)を示す値から位置Pm(弁開度:50%)を示す値に変更する。このとき、基準値更新部32は、リセット信号RSTも出力する。
【0087】
基準値更新部32からのリセット信号RSTを受けた相対的位置情報取得部31は、それまでにカウントしていた相対的位置センサ1の出力パルス数の積算値RPをリセットする(S25)。
【0088】
次に、回転制御装置100は、ステップS24において基準値更新部32によって設定された基準値APと、ステップS25でリセットされた後に相対的位置情報取得部31によってカウントされた積算値RPとに基づいて、実開度PV(弁軸200の絶対的な位置)を算出する(S26)。例えば、ステップS24において、基準値APが位置Pm(弁開度:50%)を示す値に変更された場合には、その基準値APに、ステップS25以降に相対的位置情報取得部31によってカウントされた積算値RPに基づく弁軸200の機械的変位量を加算することによって弁軸200の絶対的な位置を算出し、その位置から実開度PVを算出する。
【0089】
次に、回転制御装置100は、ステップS26において算出された実開度PVが目標値SPと一致するか否かを判定する(S27)。
【0090】
ステップS27において、実開度PVが目標値SPと一致しない場合には、ステップS21に戻り、回転制御装置100は、再度、上述の処理(S21〜S26)を行う。一方、ステップS27において、実開度PVが目標値SPと一致した場合には、回転制御装置100は、弁開度を目標値に設定する一連の処理を終了する。
【0091】
≪実施の形態1に係る回転制御装置100の効果≫
上述したように、本発明に係る回転制御装置100は、弁軸200の回転方向の位置を測定するための位置センサとして非接触式の相対的位置センサ1に加えて、弁軸200が全閉位置Pcおよび全開位置Poを除く第3位置(Pa,Pm,Pb)に到達したときに検知信号を出力するON/OFFセンサ2_2〜2_4を備えている。回転制御装置100は、検知信号を出力したON/OFFセンサ2_2〜2_4に対応する位置を示す基準値APと、その検知信号が出力されてからの、相対的位置センサ1によって検出された機械的変位Mdの積算値RPとに基づいて、弁軸200の回転方向の絶対的な位置を算出する。
【0092】
これによれば、全閉位置Pcおよび全開位置Poだけでなく上記第3位置も、弁軸200の位置測定における基準点、すなわち、“原点”とみなすことができるので、全閉位置Pcまたは全開位置Poのみを原点に設定した場合に比べて、原点復帰の処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0093】
具体的には、回転可能範囲SR内にn個のON/OFFセンサ2_1〜2_nを配置した場合に、回転制御装置100の電源投入時に全開位置Poにある弁軸200を原点復帰させるのに要する時間Tは、下記式(1)で表される。ここで、Tfは、弁軸が全開位置から全閉位置まで移動するのに要する時間(フルストローク時間)である。
【0095】
例えば、5個(n=5)のON/OFFセンサ2_1〜2_5を配置し、フルストローク時間Tfが60〔秒〕である場合、全開位置Poにある弁軸200を原点復帰させるのに要する時間Tは、60/(5−1)=15〔秒〕となる。
【0096】
このように、本発明に係る回転制御装置100によれば、インクリメンタル型のロータリエンコーダのような相対的位置センサ1を用いた場合に必要となる弁軸200の原点復帰に要する時間を短縮することが可能となる。
すなわち、非接触式の相対的位置センサによって操作対象軸の回転方向の位置の測定を行う回転制御装置において、操作対象軸の原点復帰に要する時間を短くし、且つ操作対象軸の位置測定の誤差を小さくすることが可能となる。
【0097】
また、本発明に係る回転制御装置100は、弁軸200が全閉位置Pcおよび全開位置Poを除く第3位置を通過する度に原点復帰と同様の処理を行う。具体的には、n=5としたとき、回転制御装置100は、ON/OFFセンサ2_2〜2_4から検知信号が出力された場合に、基準値APを、その検知信号を出力したON/OFFセンサ2_2〜2_4に対応する位置を示す値に更新するとともに、積算値RPをリセットする。
【0098】
これによれば、回転制御装置100を長時間運転した場合であっても、上述した、減速機53等を構成する歯車のバックラッシュの累積、電動モータ52としてステッピングモータや同期モータ等の電動モータをオープンループで使用した場合の電動モータの脱調、および同期モータを使用した場合における電源周波数の変動等に起因する、相対的位置センサ1による弁軸200の機械的変位量の測定誤差を小さくすることができる。これにより、調節弁の弁開度制御をより正確に行うことが可能となる。
【0099】
また、回転制御装置100によれば、ON/OFFセンサ2_1〜2_nを複数設けることにより、ON/OFFセンサ2_1〜2_nの1つが故障した場合であっても、その他のON/OFFセンサ2_1〜2_nによって弁開度制御を継続することができる。これにより、回転制御装置100としての信頼性を向上させることができる。
【0100】
また、回転可能範囲SR内に設置するON/OFFセンサ2_1〜2_nの個数を増やすことにより、原点復帰に要する時間と相対的位置センサ1による弁軸200の機械的変位量の測定誤差を更に小さくすることが可能となる。
【0101】
<カム部材の他の構成例>
上述した実施の形態1では、カム部材24a、24bを、それぞれ、プリント基板20の主面20a、20b上に配置した例について説明した。しかし、カム部材24a、24bの配置については、これに限定されるものではない。以下に述べるように、カム部材24a、24bに代えて、例えば、波形の表面を有する一枚の板状部材をプリント基板20の両主面20a、20b上のそれぞれに配置するようにしても良い。このようなカム部材を用いた、不連続な絶対的位置センサの構成の例を
図6Aおよび
図6Bを参照して説明する。
【0102】
図6Aは、不連続な絶対的位置センサの他の構成例を示す図であり、
図6Bは、
図6Aにおいて円周C1における断面の一部を模式的に表した図で、この他の構成例における電極とカム部材との関係を説明する図である。
【0103】
図6Aに示すように、この他の構成例において、ON/OFFセンサ2_1〜2_5の電極21a(21b)がプリント基板20の主面20a(20b)上において、弁軸200の軸を中心とする同一の円周C1上に配置されている点で、
図3A乃至
図3Eに示した不連続な絶対的位置センサと共通する一方、平面視で円弧状に形成された1枚のカム部材34a(34b)が、それぞれプリント基板20の主面20a(20b)上において、弁軸200の軸を中心とする円周C2上に配置されている点で、
図3A乃至
図3Eに示した不連続な絶対的位置センサと相違する。
【0104】
この他の構成例では、カム部材34a、34bは、それぞれ絶縁性を有する材料から形成される。カム部材34a、34bの表面は、それぞれ円周C2に沿って波状に形成され,プリント基板20の両主面20a、20bにそれぞれ配置されたときに、弁軸200を中心とする径方向において、波状の底に相当する部分がON/OFFセンサ2_1〜2_5の電極21a、21bと一致する。
【0105】
したがって、ショートプレート201の接触子201a、201bはカム部材34a、34bと接触しながら周方向に移動して、弁軸200が所定の位置のいずれにもないときには、カム部材34a、34bが接触子201a、201bの他端側を両主面20a、20bから離間する方向に移動させるので、この場合は、接触子201a、201bの接点201a’、201b’はプリント基板20の主面20a、20bとは接触しない。これに対し、弁軸200が所定の位置のいずれかにあるときは、カム部材34a、34bのプリント基板20の両主面20a、20bからの高さが低くなり、ショートプレート201の接触子201a、201bは電極21a、21bに接触する。
【0106】
さらに、
図6Bに示すように、カム部材34a、34bの表面形状を工夫することによって、円周C1に沿ってショートプレート201の接触子201a、201bが電極21a、21bに接触できる範囲Wを、接触子201a、201bの電極21a、21bと接触する部分の幅よりも若干広い範囲で、かつ、できるだけ接触子201a、201bの幅に近づけることが望ましい。その理由は次の通りである。
【0107】
電極21a、21bは、円周C1方向に幅を持つため、弁軸200が同じ位置に到達しても、その位置に到達するときの方向に応じて弁軸の回転角度と検出回路の出力との関係が相違するという、いわゆるヒステリシスが生じる。これに対し、この他の構成例のように、カム部材34a、34bの表面形状を工夫して、電極21a、21bと接触子201a、201bとが電気的に接触できる範囲を間隔Wに限定することによって、ヒステリシスを低減することができる。
【0108】
<不連続な絶対的位置センサの変形例>
上述したように、不連続な絶対的位置センサは、ON/OFFセンサの電極21a、21bが円周C1方向に幅を持つことによって、ヒステリシスを有する。そこで、このヒステリシスを低減するための構成を有する不連続な絶対的位置センサの変形例について説明する。
【0109】
図7Aは、不連続な絶対的位置センサの変形例を示す図であり、
図7Bは、
図7Aにおいて円周C1における断面の一部を模式的に表した図、
図7Cは、
図7Aに示すIII−IIIにおける断面を示す図で、この変形例における電極とカム部材との関係を説明する図である。
この変形例に係る不連続な絶対的位置センサは、
図7Aに示すように、電極21a、21bとカム部材44a、44bとが、それぞれプリント基板20の主面20a、20b上において、弁軸200の軸を中心とする同一の円周C1上に配置されている点で、
図3A乃至
図3Eに示した不連続な絶対的位置センサと相違する。
【0110】
この他の構成例では、カム部材44a、44bは、それぞれ絶縁性を有する材料から形成される。また、
図7Bに示すように、カム部材44a、44bのそれぞれは、隣り合う電極21a、21bの間に延在する。また、
図7Aおよび
図7Bに示すように、カム部材44a、44bのうち、それぞれ各主面20a、20b上で隣り合う2つのカム部材の互いに対向する端部は、それぞれ電極21a、21bの一部を覆っている。各主面20a、20b上で隣り合う2つのカム部材の互いに対向する端部は、電極21a、21b上で互いに離間している。
【0111】
図7Bは、第1主面20a上に配置された、互いに隣り合う2つの第1カム部材44aが、円周C1に沿って間隔Wgを隔てて配置されていることを図示している。同様に、第2主面20b上で互いに隣り合う第2カム部材44bも円周C1に沿って間隔Wgを隔てて配置されている。したがって、電極21a、21bはそれぞれ、ショートプレート201の接触子201a、201bが移動する方向、すなわち、円周C1に沿って、距離Wgにわたって露出し、それ以外の部分はカム部材44a、44bに覆われている。
【0112】
したがって、弁軸200が所定の位置のいずれにもないときは、ショートプレート201の接触子201a、201bは、それぞれカム部材44a、44bと接触して、プリント基板20の両主面20a、20bから離間する方向に移動する一方、弁軸200が所定の位置のいずれかにあるときには、
図7Aおよび
図7Bに示すように、ショートプレート201の接触子201a、201bの接点201a’、201b’がそれぞれ電極21a、21bに接触して、検知信号が出力される。
このとき、
図7Bに示すように、カム部材44a、44bの端部が電極21a、21bの一部を覆い、電極21a、21bと接触子201a、201bとが電気的に接触できる範囲が間隔Wgに限定されているので、弁軸20の位置検出の精度を上げられるとともに、ヒステリシスを低減することができる。
【0113】
また、この変形例におけるカム部材44a、44bは、プリント基板20の主面20a、20bに配置された状態で円周C1に沿って形成された溝を有している。したがって、
図7Aに示すように、弁軸200が所定の位置になく、ショートプレート201の接触子201a、201bが平面視で電極と電極との間に位置する状態では、接触子201a、201bは、接点201a’、201b’以外の位置でカム部材44a、44bと接し、
図7Cに示すように、接点201a’、201b’は、溝によってカム部材44a、44bと接することはない。したがって、接点の摩耗を防ぎ、信頼性と耐久性の向上に寄与することができる。
なお、この変形例では、
図7Cに記載するように、カム部材44a、44bに溝を設けた例を説明したが、溝を設ける代わりに、
図7Dに記載するように、カム部材44a’、44b’の厚さ若しくはプリント基板20の主面20a、20bからの高さが弁軸200を中心として径方向外側に行くにつれて低くなるような形状にカム部材44a’、44b’を形成してもよい。
【0114】
<他の構成例による効果>
電極21a、21bは、円周C1方向に幅を持つため、弁軸200が同じ位置に到達しても、その位置に到達するときの方向に応じて弁軸の回転角度と検出回路の出力との関係が相違するという、いわゆるヒステリシスが生じる。これに対し、この他の構成例においては、
図7Bに示すように、カム部材44a、44bの端部が電極21a、21bの一部を覆い、電極21a、21bと接触子201a、201bとが電気的に接触できる範囲を間隔Wgに限定することによって、弁軸200が所定の位置にあるときにのみ接触子201a、201bと電極21a、21bとが接触する構造に近づけることができるので、位置検出の精度を向上させるとともに、ヒステリシスを低減することができる。
【0115】
なお、ヒステリシスを低減する観点からは、この間隔Wgをできるだけ狭くすることで精度を上げることができる。
また、カム部材44a、44bに溝を設けたり、プリント基板20の主面20a、20bに対して傾斜した面を持たせることよって、接触子201a,201bの接点201a’、201b’は、電極21a以外のところでカム部材やその他の部材と接することはない。したがって、ON/OFFセンサの寿命と信頼性を向上させることができる。
【0116】
<実施の形態2>
実施の形態1に係る回転制御装置を、電源を落とすことなく連続して運転させた場合、原点復帰の処理が長時間行われないため、弁軸の回転方向を切り換えた時に減速機等を構成する歯車において発生するバックラッシュの累積により、ロータリエンコーダの出力パルス数の積算値と実際の弁軸の回転方向における機械的変位量との間にずれが生じ、弁開度の測定結果に誤差が生じる。
また、ON/OFFセンサを複数配置した場合であっても、隣り合うON/OFFセンサ間で弁軸が移動を繰り返している場合には、バックラッシュが累積することがある。
【0117】
そこで実施の形態2に係る回転制御装置は、非接触式の相対的位置センサによって操作対象軸の回転方向の位置の測定を行う回転制御装置において、バックラッシュの累積に伴う測定誤差を低減することを目的とする。
≪実施の形態2に係る回転制御装置の構成≫
図8は、実施の形態2に係る回転制御装置の構成を示す図である。
実施の形態2に係る回転制御装置100Aは、弁軸200の回転方向が反転した回数をカウントし、そのカウント値が閾値を超えた場合に弁軸を操作して相対的位置センサによって検出された機械的変位Mdの積算値RPをリセットする、いわゆる弁軸200の回転方向の反転回数に基づく強制リセット機能を有する点において、実施の形態1に係る回転制御装置100と相違する。ON/OFFセンサの構成等を含む、それ以外の構成は、上述した実施の形態1と同一であるので、共通する構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0118】
具体的に、回転制御装置100Aは、反転回数カウント部6を更に有する。反転回数カウント部6は、操作対象軸としての弁軸200の回転方向が反転した回数をカウントし、そのカウント値を保持する。反転回数カウント部6は、例えばマイクロコントローラに内蔵されているカウンタおよびプログラムによって実現することができる。
【0119】
例えば、反転回数カウント部6は、直前に弁軸200が回転した方向を記憶しておき、次に弁軸を回転させる方向が直前に弁軸200が回転した方向と異なる場合には、反転回数Rcをインクリメントする。一方、次に弁軸を回転させる方向が直前に弁軸200が回転した方向と一致する場合には、反転回数カウント部6は、反転回数Rcをインクリメントしない。
【0120】
また、反転回数カウント部6は、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検出信号が出力された場合には、反転回数Rcをリセットする。例えば、反転回数カウント部6は、基準値更新部32から出力されたリセット信号RSTを受けて、反転回数Rcをリセットする。
【0121】
操作量算出部4Aは、反転回数カウント部6によってカウントされた反転回数Rcが所定の閾値Rtを超えた場合に、操作部5を介して弁軸200を操作することにより、弁軸200をON/OFFセンサ2_1〜2_nの何れか一つに対応する位置まで回転させる。
【0122】
具体的には、操作量算出部4Aにおける操作量決定部43Aは、反転回数カウント部6による反転回数Rcを監視する。操作量決定部43Aは、反転回数Rcが閾値Rtを超えた場合には、弁軸200をON/OFFセンサ2_1〜2_nの何れか一つに対応する位置まで回転させて、積算値RPをリセットする処理(強制リセット処理)を行う。
【0123】
強制リセット処理では、弁軸200を、反転回数カウント部6のカウント値が閾値を超えた時点での弁軸200(ショートプレート201)の位置から最も近いON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置まで、時間短縮の観点からは移動させることが好ましい。これに対し、操作対象軸が弁軸の場合は、弁の用途に応じて、弁が閉まる方向、または開く方向に移動させるようにしてもよい。
【0124】
強制リセット処理後、操作量決定部43Aは、実施の形態1に係る操作量決定部43と同様に、偏差算出部42によって算出された偏差ΔPに基づいて操作量MVを決定する。
【0125】
≪実施の形態2に係る回転制御装置100Aの動作原理≫
次に、実施の形態2に係る回転制御装置100Aの通常動作モードにおける動作について説明する。
図9Aおよび
図9Bは、実施の形態2に係る回転制御装置100Aの通常動作モードにおける動作の流れを示すフロー図である。
【0126】
先ず、回転制御装置100Aは、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、原点復帰動作モードが終了すると、通常動作モードに移行する。通常動作モードにおいて、回転制御装置100Aは、上位装置から弁開度の目標値SPの変更が指示されるまで待機する(S20)。
【0127】
ステップS20において、弁開度の目標値SPの変更が指示された場合には、実施の形態2においては、弁軸200の回転方向が反転した回数に基づく強制リセット処理(S3)を実行する。この反転した回数に基づく強制リセット処理の手順を
図9Bに示す。
まず、回転制御装置100Aの反転回数カウント部6は、弁軸200が反転するか否か、すなわち次に弁軸200を回転させる方向が直前に弁軸200を回転させた方向と反対であるか否かを判定する(S30)。ステップS30において、弁軸200が反転しないと判定された場合には、回転制御装置100Aは、反転回数に基づく強制リセット処理(S3)を終了してメインルーチンに戻り、ステップS21〜S27の処理を実行する。
なお、ステップS21〜S27までの一連の処理は、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0128】
一方、ステップS30において、弁軸200が反転すると判定された場合には、反転回数カウント部6が、反転回数Rcをインクリメントする(S31)。
【0129】
次に、操作量決定部43Aが、反転回数カウント部6によってカウントされた反転回数Rcが閾値Rtよりも大きいか否かを判定する(S32)。ステップS32において、反転回数Rcが閾値Rtを超えていない場合には、回転制御装置100Aは、反転回数に基づく強制リセット処理(S3)を終了してメインルーチンに戻り、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、ステップS21〜S27の処理を実行する。
【0130】
一方、ステップS32において、反転回数Rcが閾値Rtよりも大きい場合には、操作量算出部4Aは、(φh−φ)と(φ−φl)を夫々算出し、(φ−φl)≦(φh−φ)であるか否かを判定する(S33)。ここで、φhは、現在の弁開度φより大きく、かつ現在の弁開度φに最も近いON/OFFセンサに対応する開度を示し、例えば、現在の弁開度φが60%とすれば、φhは70%(Pb、2_4)となる。また、φlは、現在の弁開度φより小さく、かつ現在の弁開度φに最も近いON/OFFセンサに対応する開度を示し、例えば、現在の弁開度φが60%とすれば、φlは50%%(Pm、2_3)となる。
【0131】
ステップS33の判定の結果、(φ−φl)≦(φh−φ)の場合には、操作量算出部4Aは、調節弁を閉じる方向に、弁軸200を移動させる(S34a)。一方、(φ−φl)>(φh−φ)の場合には、操作量算出部4Aは、調節弁を開く方向に、弁軸200を移動させる(S34b)。
【0132】
ステップS34a又はステップS34bの後、回転制御装置100は、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検知信号が出力されたか否かを判定する(S35)。ステップS35において、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検知信号が出力されていない場合には、回転制御装置100は、ステップS33に戻り、再度、上述の処理(S33〜S35)を行う。
【0133】
一方、ステップS35において、ON/OFFセンサ2_1〜2_nの何れか一つから検知信号が出力された場合には、回転制御装置100は、電動モータを停止するとともに(S36)、基準値APを更新する(S37)。具体的には、基準値更新部32が、検知信号を出力したON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置を、新たな基準値APに設定する。このとき、基準値更新部32は、リセット信号RSTも出力する。
【0134】
相対的位置情報取得部31は、基準値更新部32からのリセット信号RSTを受けて、それまでにカウントしていた相対的位置センサ1からの出力パルス数の積算値RPをリセットする(S38)。
【0135】
また、反転回数カウント部6は、基準値更新部32からのリセット信号RSTを受けて、それまでにカウントしていた反転回数Rcをリセットする(S39)。
【0136】
以上で反転回数に基づく強制リセット処理(S3)を終了して、メインルーチンに戻り、その後、回転制御装置100Aは、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、ステップS21〜S27の処理を実行する。
なお、ステップS25おいて、積算値RPがリセットされる際には、反転回数カウント部6による反転回数Rcも同様にリセットされる(
図9AのステップS39)。
【0137】
≪実施の形態2に係る回転制御装置100Aの効果≫
一般的な調節弁の制御システムでは、弁軸200がON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置に長時間到達しない状況、例えば、弁軸200がON/OFFセンサ2_2に対応する位置(弁開度:20%)とON/OFFセンサ2_3に対応する位置(弁開度:50%)との間を行き来する状況が長時間続く場合がある。この場合には、バックラッシュが累積し、相対的位置センサ1(例えば、インクリメンタル型のロータリエンコーダ)による測定結果に誤差が生じるおそれがある。
【0138】
これに対し、実施の形態2に係る回転制御装置100Aによれば、反転回数Rcが所定数(閾値Rt)を超えると積算値RPが強制的にリセットされるので、上述した状況においても、バックラッシュの累積に起因する測定誤差を抑えることが可能となる。
【0139】
以上、実施の形態2に係る回転制御装置100Aによれば、操作対象軸の位置測定の誤差を更に小さくすることが可能となる。
【0140】
<実施の形態3>
実施の形態3に係る回転制御装置100Bは、実施の形態2に係る回転制御装置100Aと同じく、バックラッシュの累積に伴う測定誤差を低減することを目的とする。実施の形態2に係る回転制御装置100Aは、弁軸200の回転方向の反転回数に基づいて、強制的に弁軸を操作して相対的位置センサによって検出された機械的変位Mdの積算値RPをリセットするように構成したのに対し、実施の形態3に係る回転制御装置100Bは、弁軸の弁軸の移動距離の積算値に基づいて、強制的に弁軸を操作して、相対的位置センサによって検出された機械的変位Mdの積算値RPをリセットするように構成する点が相違する。
≪実施の形態3に係る回転制御装置の構成≫
図10は、実施の形態3に係る回転制御装置100Bの構成を示す図である。
実施の形態3に係る回転制御装置100Bは、弁軸200がON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置に長時間到達しない状況での弁軸の弁軸の移動距離を積算し、その積算値が閾値を超えた場合に弁軸を操作して相対的位置センサによって検出された機械的変位Mdの積算値RPをリセットする、いわゆる弁軸200の移動距離の積算値に基づく強制リセット機能を有する点において、実施の形態1に係る回転制御装置100および実施の形態2に係る回転制御装置100Aと相違する。強制リセット処理以外の、ON/OFFセンサの構成等を含む構成は、上述した実施の形態1および実施の形態2と同一であるので、共通する構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0141】
具体的に、回転制御装置100Bは、絶対値積算部7を更に有する。絶対値積算部7は、操作対象軸としての弁軸200の回転方向の移動距離を積算し、その積算値を保持する。 より具体的には、絶対値積算部7は、弁軸200の回転方向の機械的変位Mdの絶対値|ΔP|を積算する。例えば、絶対値積算部7は、相対的位置センサ1によって検出された機械的変位Mdの絶対値|ΔP|を積算し、その積算値を記憶する。このような絶対値積算部7は、例えばマイクロコントローラに内蔵されているカウンタおよびプログラムによって実現することができる。
【0142】
また、絶対値積算部7は、ON/OFFセンサ2_1〜2_nから検出信号が出力された場合には、弁軸B200の移動距離の積算値をリセットする。例えば、絶対値積算部7は、基準値更新部32から出力されたリセット信号RSTを受けて、弁軸200の回転方向の移動距離の積算値をリセットする。
【0143】
操作量算出部4Bは、絶対値積算部7によって積算された弁軸200の回転方向の移動距離の積算値が所定の閾値を超えた場合に、操作部5を介して弁軸200を操作することにより、弁軸200をON/OFFセンサ2_1〜2_nの何れか一つに対応する位置まで回転させる。
【0144】
具体的には、操作量算出部4Bにおける操作量決定部43Bは、絶対値積算部7に記憶された、弁軸200の移動距離の積算値を監視する。操作量決定部43Bは、弁軸200の移動距離の積算値が予め定められた閾値を超えた場合には、弁軸200をON/OFFセンサ2_1〜2_nの何れか一つに対応する位置まで回転させて、積算値RPをリセットする処理(強制リセット処理)を行う。
【0145】
強制リセット処理後、操作量決定部43Bは、実施の形態1に係る操作量決定部43と同様に、偏差算出部42によって算出された偏差ΔPに基づいて操作量MVを決定する。
【0146】
≪実施の形態3に係る回転制御装置100Bの動作原理≫
次に、実施の形態3に係る回転制御装置100Bの通常動作モードにおける動作について説明する。
図11Aおよび
図11Bは、実施の形態3に係る回転制御装置100Bの通常動作モードにおける動作の流れを示すフロー図である。
【0147】
先ず、回転制御装置100Bは、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、原点復帰動作モードが終了すると、通常動作モードに移行する。通常動作モードにおいて、ステップS20から電動モータを駆動するステップS22a、S22bまでは、実施の形態1と同一であるので、説明を省略する。
【0148】
操作部5が電動モータ52を駆動して弁軸200を回転させると(ステップS22aまたはS22b)、回転制御装置100Bは、移動距離の積算値に基づく強制リセット処理(S4)を実行する。この弁軸200の移動距離の積算値に基づく強制リセット処理の手順を
図11Bに示す。
図11Bに示すように、まず、操作部5によって弁軸200が回転したことによる機械的変位Mdの絶対値、すなわち移動距離を積算する(S41)。
次に、絶対値積算部7によって積算された移動距離の積算値が予め定められた閾値よりも大きいか否かを判定する(S42)。ステップS42において、移動距離の積算値が閾値を超えていない場合には、回転制御装置100Bは、軌道距離の積算値に基づく強制リセット処理(S4)を終了してメインルーチンに戻り、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、ステップS23〜S27の処理を実行する。
【0149】
一方、ステップS42において、移動距離の積算値が閾値よりも大きい場合には、操作量算出部4Bは、実施の形態2における操作量算出部4Aと同様に、ステップS33〜S38にしたがって強制リセット処理を実行する。この強制リセット処理の手順ステップS33〜S38は、実施の形態2における手順
と同一であることから、その説明は省略する。
【0150】
また、ON/OFFセンサ2_1〜2_nのいずれかから検知信号が出力されたときは、絶対値積算部7は、基準値更新部32からのリセット信号RSTを受けて、それまでの弁軸200の移動距離の積算値をリセットする(S49)。
【0151】
以上で移動距離に基づく強制リセット処理(S4)を終了して、メインルーチンに戻り、その後、回転制御装置100Bは、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、ステップS23〜S27の処理を実行する。
なお、ステップS25おいて、積算値RPがリセットされる際には、絶対値積算部7に記憶された移動距離の積算値も同様にリセットされる(
図11AのステップS49)。
【0152】
≪実施の形態3に係る回転制御装置100Bの効果≫
弁軸200がON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置に長時間到達しない状況が長時間続くと、バックラッシュが累積し、相対的位置センサ1(例えば、インクリメンタル型のロータリエンコーダ)による測定結果に誤差が生じるおそれがある。
【0153】
これに対し、実施の形態3に係る回転制御装置100Bによれば、弁軸200がON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置に長時間到達しない状況で弁軸200の移動距離の積算値が閾値を超えると積算値RPが強制的にリセットされるので、バックラッシュの累積に起因する測定誤差を抑えることが可能となる。
【0154】
したがって、実施の形態3に係る回転制御装置100Bによれば、操作対象軸の位置測定の誤差を更に小さくすることが可能となる。
【0155】
<実施の形態4>
実施の形態4に係る回転制御装置も、実施の形態2および実施の形態3に係る回転制御装置と同様に、非接触式の相対的位置センサによって操作対象軸の回転方向の位置の測定を行う回転制御装置において、バックラッシュの累積に伴う測定誤差を低減することを目的とする。
≪実施の形態4に係る回転制御装置の構成≫
図12は、実施の形態4に係る回転制御装置の構成を示す図である。
実施の形態2に係る回転制御装置100Cは、弁軸200がON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置に到達せず、検知信号が出力されることなく経過した時間が閾値を超えた場合に、弁軸を強制的に操作して相対的位置センサによって検出された機械的変位Mdの積算値RPをリセットする点において、実施の形態1乃至3に係る回転制御装置と相違する。以下、強制リセット処理以外の、ON/OFFセンサの構成等を含む構成は、上述した実施の形態1、2および3と同一であるので、共通する構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、弁軸200がON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置に到達せず、検知信号が出力されることなく経過した時間を「滞留時間」ということがある。
【0156】
具体的に、回転制御装置100Cは、タイマ8を有する。タイマ8は、操作対象軸としての弁軸200がON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置に到達せず、検知信号が出力されることなく経過した時間、すなわち滞留時間をカウントし、そのカウント値を保持する。タイマ8は、例えばマイクロコントローラに内蔵されているクロック回路、カウンタおよびプログラムによって実現することができる。
【0157】
例えば、タイマ8は、弁軸200がON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置に到達して検知信号が検出されると、一度リセットされ、あらためてそこから経過する時間を滞留時間としてカウントする。
【0158】
操作量算出部4Cは、タイマ8によってカウントされた滞留時間が所定の閾値を超えた場合に、操作部5を介して弁軸200を操作することにより、弁軸200をON/OFFセンサ2_1〜2_nの何れか一つに対応する位置まで回転させる。
【0159】
具体的には、操作量算出部4Cにおける操作量決定部43Cは、タイマ8によってカウントされた滞留時間を監視する。操作量決定部43Cは、滞留時間が予め定められた閾値を超えた場合には、弁軸200をON/OFFセンサ2_1〜2_nの何れか一つに対応する位置まで回転させて、積算値RPをリセットする処理(強制リセット処理)を行う。
【0160】
強制リセット処理後、操作量決定部43Aは、実施の形態1に係る操作量決定部43と同様に、偏差算出部42によって算出された偏差ΔPに基づいて操作量MVを決定する。
【0161】
≪実施の形態4に係る回転制御装置100Cの動作原理≫
次に、実施の形態4に係る回転制御装置100Cの通常動作モードにおける動作について説明する。
図13Aおよび
図13Bは、実施の形態4に係る回転制御装置100Cの通常動作モードにおける動作の流れを示すフロー図である。
【0162】
まず、回転制御装置100Cは、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、原点復帰動作モードが終了すると、通常動作モードに移行する。通常動作モードにおいて、回転制御装置100Cは、上位装置から弁開度の目標値SPの変更が指示されるまで待機する(S20)。
【0163】
ステップS20において、弁開度の目標値SPの変更が指示された場合には、実施の形態4においては、滞留時間に基づく強制リセット処理(S5)を実行する。この滞留時間に基づく強制リセット処理の手順を
図13Bに示す。
まず、操作量決定部43Cは、タイマ8に記憶された滞留時間を読み出して(S51)、滞留時間が閾値よりも大きいか否かを判定する(S52)。ステップS52において、滞留時間が閾値を超えていない場合には、回転制御装置100Cは、強制リセット処理(S5)を終了してメインルーチンに戻り、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、ステップS21〜S27の処理を実行する。
【0164】
一方、ステップS52において、滞留時間が閾値よりも大きい場合には、操作量算出部4Cは、実施の形態2における操作量算出部4Aと同様に、ステップS33〜S38にしたがって強制リセット処理を実行する。この強制リセット処理の手順ステップS33〜S38は、実施の形態2における手順
と同一であることから、その説明は省略する。
【0165】
また、ON/OFFセンサ2_1〜2_nのいずれかから検知信号が出力されたときは、タイマ8は、基準値更新部32からのリセット信号RSTを受けて、それまでにカウントしていた滞留時間をリセットする(S59)。
【0166】
以上で反転回数に基づく強制リセット処理(S3)を終了して、メインルーチンに戻り、その後、回転制御装置100Cは、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、ステップS21〜S27の処理を実行する。
なお、ステップS25おいて、積算値RPがリセットされる際には、それまでにタイマ8がカウントしていた滞留時間も同様にリセットされる(
図13AのステップS59)。
【0167】
≪実施の形態4に係る回転制御装置100Cの効果≫
これに対し、実施の形態4に係る回転制御装置100Cによれば、反転回数Rcが所定数(閾値Rt)を超えると積算値RPが強制的にリセットされるので、上述した状況においても、バックラッシュの累積に起因する測定誤差を抑えることが可能となる。
【0168】
以上、実施の形態4に係る回転制御装置100Cによれば、操作対象軸の位置測定の誤差を更に小さくすることが可能となる。
【0169】
<実施の形態5>
実施の形態5に係る回転制御装置100Dは、実施の形態2に係る回転制御装置100Aと同じく、バックラッシュの累積に伴う測定誤差を低減することを目的とする。実施の形態2に係る回転制御装置100Aは、弁軸200の回転方向の反転回数に基づいて、強制リセット処理を行うように構成したのに対し、実施の形態5に係る回転制御装置100Dは、弁軸200の回転方向に関わらず、弁軸200の動き出した回数(以下、「起動回数」ということがある。)に基づいて強制リセット処理を行うように構成する点で相違する。
【0170】
≪実施の形態5に係る回転制御装置の構成≫
図14は、実施の形態5に係る回転制御装置100Dの構成を示す図である。この回転制御装置100Dは、起動回数カウント部9を更に
有し、起動回数カウント部9によってカウントされた起動回数が所定の閾値Rtを超えた場合に、強制リセット処理を実行する操作量算出部4Dを備える。
なお、ON/OFFセンサの構成等を含む、それ以外の構成は、上述した実施の形態1と同一であるので、共通する構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0171】
起動回数カウント部9は、操作対象軸としての弁軸200の動き出した回数をカウントしてその値Rsを保持する。具体的には、目標値STが変更されるごとに弁軸は回転するので、目標値STが変更された回数を起動回数としてカウントしてもよい。このような起動回数カウント部9は、例えばマイクロコントローラに内蔵されているカウンタおよびプログラムによって実現することができる。
起動回数カウント部9は、ON/OFFセンサ2−1〜2−nのいずれかから検知信号が出力された場合には、位置算出部3の基準値更新部32から出力されたリセット信号RSTによってリセットされる。
【0172】
操作量算出部4Dは、通常
動作モードにおいては、弁軸200の回転方向の目標位置としての弁開度の目標値SPと、位置算出部3によって算出された実開度PVとに基づいて、弁軸200の操作量を算出する一方、強制リセット処理を実行するときには、操作部5を介して弁軸200を操作することにより、弁軸200をON/OFFセンサ2_1〜2_nの何れか一つに対応する位置まで回転させる。
【0173】
より具体的には、操作量決定部43Dは、起動回数カウント部9によってカウントされた起動回数を監視する。操作量決定部43Dは、起動回数が閾値を超えた場合には、弁軸200をON/OFFセンサ2_1〜2_nの何れか一つに対応する位置まで回転させることによって、積算値RPをリセットする処理(強制リセット処理)を行う。
【0174】
強制リセット処理では、弁軸200を、起動回数カウント部9のカウント値が閾値を超えた時点での弁軸200(ショートプレート201)の位置から最も近いON/OFFセンサ2_1〜2_nに対応する位置まで、時間短縮の観点からは移動させることが好ましい。これに対し、操作対象軸が弁軸の場合は、弁の用途に応じて、弁が閉まる方向、または開く方向に移動させるようにしてもよい。
【0175】
強制リセット処理後、操作量決定部43Dは、実施の形態1に係る操作量決定部43と同様に、偏差算出部42によって算出された偏差ΔPに基づいて操作量MVを決定する。
【0176】
≪実施の形態5に係る回転制御装置100Dの動作原理≫
次に、実施の形態5に係る回転制御装置100Dの通常動作モードにおける動作について説明する。
図15Aおよび
図15Bは、実施の形態5に係る回転制御装置100Dの通常動作モードにおける動作の流れを示すフロー図である。
【0177】
先ず、回転制御装置100Dは、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、原点復帰動作モードが終了すると、通常動作モードに移行する。通常動作モードにおいて、回転制御装置100Dは、上位装置から弁開度の目標値SPの変更が指示されるまで待機する(S20)。
【0178】
ステップS20において、弁開度の目標値SPの変更が指示された場合には、弁軸200の起動回数に基づく強制リセット処理(S6)を実行する。
【0179】
この起動回数に基づく強制リセット処理の手順を
図15Bに示す。
まず、回転制御装置100Dの起動回数カウント部9は、起動回数をインクリメントする(S61)。
【0180】
次に、操作量決定部43Dが、起動回数カウント部9によってカウントされた起動回数が予め設定された閾値よりも大きいか否かを判定する(S62)。ステップS62において、起動回数が閾値を超えていない場合には、回転制御装置100Dは、反転回数に基づく強制リセット処理(S6)を終了してメインルーチンに戻る。
【0181】
一方、ステップS62において、起動回数が閾値よりも大きい場合には、操作量算出部4Bは、実施の形態2における操作量算出部4Aと同様に、ステップS33〜S38にしたがって強制リセット処理を実行する。この強制リセット処理の手順ステップS33〜S38は、実施の形態2における手順
と同一であることから、その説明は省略する。
【0182】
また、ON/OFFセンサ2_1〜2_nのいずれかから検知信号が出力されたときは、起動回数カウント部9は、基準値更新部32からのリセット信号RSTを受けて、それまでの起動回数をリセットする(S69)。
【0183】
以上で起動回数に基づく強制リセット処理(S6)を終了して、メインルーチンに戻る。その後、回転制御装置100Dは、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様に、ステップS23〜S27の処理を実行する。
なお、ステップS21〜S27までの一連の処理は、実施の形態1に係る回転制御装置100と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
また、ステップS25おいて、積算値RPがリセットされる際には、起動回数カウント部9に記憶された起動回数も同様にリセットされる(
図15AのステップS69)。
【0184】
≪実施の形態5に係る回転制御装置100Dの効果≫
実施の形態5に係る回転制御装置100Dによれば、起動回数が所定数(閾値)を超えると積算値RPが強制的にリセットされるので、バックラッシュの累積に起因する測定誤差を抑えることが可能となる。
【0185】
以上、実施の形態5に係る回転制御装置100Dによれば、操作対象軸の位置測定の誤差を更に小さくすることが可能となる。
【0186】
<実施の形態の拡張>
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0187】
例えば、上述した実施の形態1においては、側面視略「コ」字状のショートプレート201を使用することから、プリント基板20の2つの主面20a、20bにそれぞれ電極21a、21bおよびカム部材24a、24bを設ける例を説明したが、電極21およびカム部材24をプリント基板20の、例えば第1主面20aのみに配置するようにしてもよい。
【0188】
また、例えば、上記実施の形態では、弁軸200が、全閉位置Pc、弁開度が20%となる位置Pa、弁開度が50%となる位置Pm、弁開度が70%となる位置Pb、および全開位置Poの5ヶ所に5つのON/OFFセンサ2_1〜2_5をそれぞれ設置する場合を示したが、設置するON/OFFセンサの位置や個数はこれに限定されない。以下、ON/OFFセンサの別の配置例を示す。
【0189】
図16Aは、ON/OFFセンサの別の配置例を示す図である。
この例では、n=3として、それぞれ弁軸200が、弁開度が0%となる全閉位置Pc、全閉位置Pcと全開位置Poの中間点、すなわち弁開度が50%となる中間位置Pm、弁開度が100%となる全開位置Poに到達したことを検出する3個のON/OFFセンサ2_1、2_2、2_3を設ける場合が示されている。
図16Bは、
図16Aに示す配置例に対応した、絶対位置センサの電極21とカム部材24との配置例を示す図である。
図16Bに示すように、周方向においてON/OFFセンサ2_1、2_2、2_3をそれぞれ構成する電極21の間に、カム部材24が設けられている。
【0190】
これによれば、弁軸200が、全閉位置Pc、全開位置Po、および全閉位置Pcと全開位置Poの中間点の中間位置Pmに到達したときに、原点復帰(基準値APの更新)が行われるので、全閉位置Pcまたは全開位置Poのみを弁軸200の原点に設定した場合に比べて、原点復帰に要する時間と相対的位置センサ1による機械的変位量の測定誤差を小さくすることが可能となる。また、ON/OFFセンサを設置することによる追加のコストを抑えることが可能となる。
【0191】
なお、
図16Aおよび
図16Bにおいて、ON/OFFセンサは、弁開度が0%となる全閉位置Pcと弁開度が100%となる全開位置Poの両方ではなく、何れか一方に配置してもよい。
【0192】
また、
図17Aは、ON/OFFセンサの更に別の配置例を示す図である。
この例では、弁開度が50%となる中間位置Pmに弁軸200が到達したことを検出する一つのON/OFFセンサ2を設ける場合が示されている。このとき、
図17Bに示すように、ON/OFFセンサ2を構成する電極21の両側には、カム部材24を配置する。これらのカム部材は、全閉位置Pcと中間位置Pmとの間、および中間位置Pmと全開位置Poとの間に、ショートプレート201の接点の軌道に沿って配置する。
【0193】
これによれば、全閉位置Pcと全開位置Poの中間点である位置Pmにおいて、原点復帰が行われるので、全閉位置Pcまたは全開位置Poのみを原点に設定した場合に比べて、原点復帰に要する時間と相対的位置センサ1による機械的変位量の測定誤差を小さくすることが可能となる。また、ON/OFFセンサが一つで済むので、ON/OFFセンサを設置することによる追加のコスト等を更に抑えることが可能となる。
【0194】
また、上記実施の形態では、相対的位置センサ1としてインクリメンタル型のロータリエンコーダを用いる場合を例示したが、非接触で操作対象軸の回転方向の機械的変位Mdを検出することができるものであれば、相対的位置センサ1として用いることができる。例えば、電動モータ52としてブラシレスモータを用いる場合には、そのブラシレスモータを構成するホール素子(ホールIC)から出力される信号を相対的位置センサ1として利用することも可能である。
【0195】
また、電動モータ52としてステッピングモータを用いる場合には、相対的位置センサ1を別途設けることなく、そのステッピングモータを駆動するためのパルス信号を位置算出部3がカウントすることにより、操作対象軸の回転方向の機械的変位量を算出することも可能である。
【0196】
また、電動モータ52として同期モータを用いる場合には、相対的位置センサ1を別途設けることなく、操作対象軸の回転方向の機械的変位量を算出することも可能である。例えば、同期モータを駆動している駆動時間をT〔s〕、回転速度をN〔rpm〕、減速機の減速比を1/Gとしたとき、回転角度Φ〔°〕は、(T×N×360)/(60×G)で表される。したがって、位置算出部3が上記計算を行うことにより、操作対象軸の回転方向の機械的変位量を算出することが可能となる。
【0197】
また、上記実施の形態では、回転制御装置100を調節弁の弁軸200を操作する電動式の操作器として適用する場合を例示したが、回転制御装置100によって操作される操作対象軸は、弁軸に限定されず、回転制御装置において相対的位置センサを使用するあらゆる開度計測システムに適用することが可能となる。例えば、回転制御装置100を、ダンパシャフトを操作するダンパ用の操作器として適用することも可能である。
【0198】
また、上記実施の形態では、プリント基板20に形成した貫通孔20cに弁軸200を挿通させる場合を例示したが、これに限られない。例えば、
図18に示すように、プリント基板20の一辺に例えば平面視半円形状の切り欠き部20dを設け、この切り欠き部20dに弁軸200を配置してもよい。この場合、電極21aは、プリント基板20の主面20aにおける切り欠き部20dの周辺に配置すればよい。