(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
異常が発生した場合にユーザに対処方法を示し、対処後にユーザに対処結果を操作部により入力させる階層化された複数のガイダンス画面が記憶された記憶部と、異常が発生した場合に、前記複数のガイダンス画面のうち最上位階層のガイダンス画面を表示部に表示させ、操作部への入力に対応して下位階層のガイダンス画面に切り替えて前記表示部に表示させる制御部を備えた火災受信機において、
前記制御部は、前記表示部に前記複数のガイダンス画面に対応するシンボルを前記複数のガイダンス画面の階層構造を示すように並べ、前記表示部に表示させているガイダンス画面に対応するシンボルを他のシンボルとは異なる表示形態で表示するガイダンス階層構造画面を表示させることを特徴とする火災受信機。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<システム構成>
図1は、本発明の火災受信機の実施形態を示すシステム構成図である。火災受信機FAは、火災感知器等の複数の端末機器が信号線SGを介して接続されるものであって、火災受信機FAと各端末機器とは通信を行う。火災受信機FAから複数の信号線SGを延設することができ、信号線SGのそれぞれに固有の系統LNが割り当てられている。また各端末機器にはそれぞれ固有のアドレスADが割り当てられており、このアドレスADと系統LNによって火災受信機FAは各端末機器を識別することができる。
【0016】
火災受信機FAに接続される端末機器としては、たとえば光電式アナログ感知器SE11、熱式アナログ感知器SE12、アドレッサブル発信機SE13等が挙げられる。光電式アナログ感知器SE11は、煙感知器の一種であって、検出した煙のアナログ値を火災受信機FAに送信する。熱式アナログ感知器SE12は、熱感知器の一種であって、検出した周囲温度のアナログ値を火災受信機FAに送信する。アドレッサブル発信機SE13は、いわゆる火災発信機であって、火災の発見者が手動操作する押しボタンを備え、押しボタンがオンされると火災信号を火災受信機FAに送信する。
【0017】
また、信号線SGには端末機器である各種中継器を介して被制御装置が接続されている。
図1においては、たとえば信号線SGに地区ベル用中継器B11が接続されており、地区ベル用中継器B11には4つの地区ベルB111〜B114が接続されている。そして、各地区ベルB111〜B114は火災受信機FAからの制御信号に従って火災を報知するための音を出力する。また、信号線SGには防排煙制御用中継器D11が接続されており、防排煙制御用中継器D11には防排煙機器としての防火戸D111、排煙機D112、シャッタD113、及びたれ壁D114が接続されている。これら信号線SGに接続された端末機器は、信号線SGを介して火災受信機FAと通信するとともに、信号線SGを介して電源が供給されている。
【0018】
火災受信機FAは、各端末機器との間で、以下のポイントポーリング、セレクティング、システムポーリングの3種の方法により端末機器の状態情報が収集され、あるいは端末機器等が制御される。
(1−1)ポイントポーリング
火災受信機FAは、複数接続されている端末機器の状態を収集するために、何台かを1つのグループとして端末機器に状態情報要求命令を送信する。一方、それぞれの端末機器は、状態情報要求命令に対して、自己のアドレスADに応じてタイミングをはかり、状態情報を火災受信機FAに通報する。火災受信機FAは、このようなグループへの通信を繰り返し行い、全端末機器の状態情報を収集する。
【0019】
(1−2)セレクティング
火災受信機FAは、所望の端末機器に対応するアドレスADを指定して所定の制御命令を送信し、当該端末機器を制御する、あるいは、所望の端末機器に状態情報等の要求命令を送信し、個々の端末機器から状態情報を収集する。アドレスADを指定された端末機器は、制御命令に対して火災受信機FAへ制御結果を通報し、あるいは要求された状態情報を通報する。
【0020】
(1−3)システムポーリング
火災受信機FAは、全ての端末機器に対して共通の制御命令を送信し、各端末機器を制御する。システムポーリングによる制御命令としては、たとえば火災復旧命令(火災信号を出力した感知器や中継器等を正常な監視状態に復旧させる命令)、地区音響停止命令(鳴動中の地区ベル用中継器B11を停止させる命令)等がある。
【0021】
(2)異常発生状態の情報の収集について
火災受信機FAは、光電式アナログ感知器SE11などの端末機器からポイントポーリングにより収集した状態情報に火災情報が含まれている場合には、記憶部3に格納されたデータベースに従い、火災情報を送信した端末機器に対応する防排煙制御用中継器D11に対して、セレクティングにて制御信号を送信して被制御機器を作動させる。また、火災受信機FAの記憶部3に格納されたデータベースに登録された端末機器に対してポイントポーリングで状態情報要求命令を送信したときに、その状態情報要求命令に対して応答しない端末機器が存在する場合、表示操作部2に無応答である旨の表示を行う。また、その他にもガス漏れの発生、端末機器の故障など様々な異常を検出して表示を行う。
【0022】
<火災受信機FAの構成>
図2は
図1の火災受信機FAの一例を示す機能ブロック図である。火災受信機FAは、制御部1、操作部を兼ねる表示部2(以下、表示操作部2と呼ぶ)、記憶部3、端末特定部4、送受信部5を備えている。制御部1は火災受信機FAの動作を制御するものであって、送受信部5を介して上述した各種ポーリングを各端末機器に対して行い、各端末機器の状態を収集するとともに、試験等の各種動作を行わせるものである。制御部1は各種ポーリングにより収集した各端末機器の状態を記憶部3に記憶する機能を有している。なお、火災受信機FAには複数(たとえば1〜12系統)の送受信部5が設けられており、各送受信部5にはそれぞれ信号線SGを介して複数の端末機器が接続されている。
【0023】
表示操作部2はたとえばタッチパネルからなっており、各種情報を表示する表示部としての機能を有するとともに、作業者が画面に触れることにより所定のスイッチ(コマンドボタン)を選択できる操作部としての機能を有する。したがって、表示操作部2には所定の画面が表示されるとともに、作業者がパネルに触れることにより制御部1または端末特定部4に所定の選択信号が出力されることになる。この表示操作部2の表示は制御部1または端末特定部4により制御されている。なお、表示部と操作部とを別々に設けるようにしてもよい。
【0024】
記憶部3には端末機器に関する各種データを格納した端末データベースDB1およびガイダンス画面に関する各種データを格納したガイダンスデータベースDB2が記憶されている。
端末特定部4は、表示操作部2に端末機器を選択するためのスイッチを表示させ、ユーザの入力に応じて選択された端末機器を特定する。
【0025】
<端末データベースの構造>
図3は記憶部3に記憶された端末データベースDB1のデータ構造の一例を示す図である。
図3の端末データベースDB1には火災受信機FAに接続された各端末機器のアドレスADと端末機器種別KI(以下、種別KIと呼ぶことがある)とが関連づけて記憶されている。さらに詳しくは端末データベースDB1には「系統LN」、「アドレス番号AD」、「端末機器の種別KI」、「通番」、「被制御装置種別」、設置場所を表す「棟」、「階」、「区」、「番」、「設置場所名」からなる「設置場所SP」が格納されている。
【0026】
「系統LN」は、複数の送受信部5のうちいずれの送受信部5に接続された端末機器であるかを示すものであり、端末機器の特定情報のうち最上位階層である第1階層の情報に該当する。「アドレスAD」は、火災受信機FAが送受信部5から信号線SGを介して各端末機器へ通信する際に、いずれの端末機器であるかを識別できるように各端末機器に付与された番号であり、端末機器の特定情報のうち第2階層の情報に該当する。「端末機器の種別KI」は、信号線SGを介して火災受信機FAと直接通信を行うことのできる各端末機器の種類を意味する。なお、
図3においては、端末機器の種別KIは実際の名称で記憶されている場合について例示しているが、各種別に対応した種別コードを割り当て種別コードで端末機器を分類・管理するようにしてもよい。
【0027】
「通番」は、1台の中継器に対して接続された複数の被制御装置のいずれを制御するかを特定するために、防排煙機器(が接続される各制御回線)に対応して付与された番号であり、端末機器の特定情報のうち最下位階層である第3階層の情報に該当する。たとえば防排煙制御用中継器D11に接続されている防火戸D111、排煙機D112、シャッタD113、およびたれ壁D114のそれぞれについて1〜4の通番が割り付けられている。「被制御装置種別」は、複数の被制御装置の種別を特定する種別条件に相当し、たとえば防火戸、排煙機、シャッタ、たれ壁等の種別を意味している。
【0028】
「設置場所SP」は端末機器が設置されている場所を示す情報であって、設置される建物の「棟」、「階」、「区」、「番」の番号および「設置場所名」で構成されていて、たとえば「1棟1階1区1番 1F第1会議室」等を示すものである。「棟」、「階」、「区」、「番」も端末機器の特定情報として利用でき、「棟」が最上位階層である第1階層、「階」が第2階層、「区」が第3階層、「番」が最下位階層である第4階層の情報に該当する。
【0029】
図2の端末特定部4は、火災受信機FAの複数の機能のうち1つの機能が選択されたときに、選択された火災受信機FAの機能に関連する種別KIの端末機器をデータベースDBから抽出し、抽出した端末機器の特定情報である「系統LN」や「アドレスAD」や「通番」を後述する系統選択スイッチ210−nやアドレス選択スイッチ220−nや通番選択スイッチとして表示操作部2に表示し、操作に応じて端末機器を特定するものである。
【0030】
<ガイダンスデータベースの構造>
図4は記憶部
3に記憶されたガイダンスデータベースDB2のデータ構造の一例を示す図である。
図4のガイダンスデータベースDB2には、画像データGDと表示要因とが関連付けて記憶されている。さらに詳しくはガイダンスデータベースDB2には「画像番号GN」、「画像データGD」、「ガイダンス名称GM」、「表示要因」、「スイッチ座標」、「スイッチ番号」、および「スイッチ名称SM」が格納される。
【0031】
「画像データGD」は、JPEG方式などのガイダンス画面の画像データである。「画像番号GN」は、「画像データGD」の画像データのそれぞれに付与される番号であり、後述するガイダンス階層構造を示す番号でもある。「ガイダンス名称GM」は、ガイダンス階層構造を表示する際にシンボルに表示される名称である。「表示要因」は、「画像データGD」の画像データを表示操作部2に表示する要因である。「スイッチ座標」は、操作部に該当する画像データに重ねて表示されるスイッチの位置を示し、「スイッチ番号」がそのスイッチのそれぞれに付与される番号であり、「スイッチ名称SM」は、スイッチの名称である。
【0032】
<異常表示画面構成>
ここで、ガイダンス画面およびガイダンス階層構造画面について火災が発生したときに表示操作部2に表示される異常表示画面である火災画面50に基づき説明する。
図5は火災画面50の一例を示す図である。火災画面50は、イベント画面表示エリア51、ガイダンス画面表示エリア52およびガイダンス階層構造画面表示エリア53を有する。イベント画面表示エリア51は、発生した異常の内容を表示する。
【0033】
<ガイダンス画面>
ガイダンス画面表示エリア52は、ガイダンスデータベースDB2に基づき、発生した異常やスイッチ操作に関連付けられたガイダンス画面を表示する。
図5では、ガイダンス画面として「画像データGD」のうち「表示要因」の火災発生に関連付けられたユーザに火災発生を知らせるため、火災感知器が発報したことと火災現場を確認するように促す内容の火災確認画像データを表示する。また、火災確認画像データに重ねて、「スイッチ座標」の位置に「スイッチ名称SM」が“はい”であり「スイッチ番号」がSW1であるスイッチと、「スイッチ名称SM」が“いいえ”であり「スイッチ番号」がSW2であるスイッチを表示する。なお、
図5においては、SW1およびSW2は同一サイズとなっているが、ガイダンスデータベースDB2に「スイッチサイズ」のデータを含むようにして、スイッチ毎にスイッチのサイズを異ならせてもよい。
【0034】
<ガイダンス階層構造画面>
ガイダンス階層構造
画面表示エリア53は、ガイダンスデータベースDB2に基づきガイダンス画面の「ガイダンス名称GM」が付されたシンボルを階層構造がわかるように並べたガイダンス構造画面を表示する。ガイダンス階層構造
画面表示エリア53は、
図6(a)に示すように更に「ルート」および「階層」のマトリックス状に分割されたエリアを有しており、各エリアには「ルート」番号と「画像番号GN」の十位の数字、「階層」番号と「画像番号GN」の一位の数字が一致するガイダンス画面のシンボルを並べて表示する。なお、「画像番号GN」の百位の数字は異常に関連していて、”0”は火災発生に関連するものであることを示している。
図6(a)では、シンボルに代えて表示されるシンボルの「画像番号GN」を表しており、
図6(b)が火災発生時にガイダンス階層構造
画面表示エリア53に表示される「ガイダンス名称GM」が付されたシンボルを重ねて表したものである。なお、「ルート」、「階層」の数は、本実施例に限定されるものではなく、他の数とすることができ、固定の決まった数としてもよいし、ガイダンスデータベースDB2に登録される「画像番号GN」によって自動的に分割数を決定するようにしてもよい。自動的に分割数を決定する場合には、併せて各エリアのサイズを自動的に調整してもよいし、ガイダンス階層構造
画面表示エリア53のサイズを変えるようにしてもよい。
【0035】
<異常時の表示動作>
異常として「系統LN」が“1”、「アドレスAD」が“AD1”の光電式アナログ感知器が火災を検知したときを例に、火災受信機FAの表示動作を説明する。火災受信機FAは、前述のように制御部1が送受信部5を介して端末機器から状態情報を収集している。制御部1は、「系統LN」1、「アドレスAD」AD1の光電式アナログ感知器の状態情報に火災情報が含まれていると判断すると、表示操作部2に
図5に示される火災画面50を表示する。その際、制御部1は、記憶部3に記憶されている端末データベースDB1から「系統LN」が“1”、「アドレスAD」が“AD1”に関連付けられた端末機器の「端末機器種別KI」である“光電式アナログ感知器”と「設置場所SP」である“1棟1階1区1番 1F 第1会議室”を抽出し、イベント画面表示エリア51に表示する。
【0036】
また、制御部1は、記憶部3に記憶されたガイダンスデータベースDB2から火災発生の「表示要因」に関連付けられた「画像データGD」の“火災確認画像データ”、「スイッチ座標」の“200,500”および“500,500”、「スイッチ番号」の“SW1”と“SW2”および「スイッチ名称SM」の“はい”と“いいえ”を抽出し、ガイダンス画面表示エリア52に表示する。
【0037】
また、制御部1は、記憶部3に記憶されたガイダンスデータベースDB2から火災発生に関連する「画像番号GN」の百位が”0”であるGN000〜GN013およびGN021〜GN023を抽出し、さらにその「画像番号GN」と関連付けられた「ガイダンス名称GM」の”火災確認”、”火災断定”等を抽出し、前述の通りガイダンス階層構造
画面表示エリア53に「ガイダンス名称GM」を付したシンボルを並べて表示する。このとき、ガイダンス画面表示エリア52には、火災確認のガイダンス画面を表示しているので火災確認のシンボルは他のシンボルと異なる表示とする。異なる表示は、色を異ならせたり、形状を異ならせたり、様々な方法とすることができる。
【0038】
ユーザは、火災受信機FAに表示される火災確認のガイダンス画面を見て、火災現場を確認して、ガイダンス画面表示エリア52に表示されるSW1またはSW2を選択(操作)する。ユーザがSW1の”はい”を操作すると、制御部1はガイダンスデータベースDB2からSW1操作の「表示要因」関連付けられたデータを火災画面50のときと同様に抽出して、
図7(a)のようにガイダンス画面表示エリア52に火災断定のガイダンス画面を表示する。また、制御部1は、ガイダンス階層構造画面表示エリア53の火災確認のシンボルに代えて火災断定のシンボルを他のシンボルと異なる表示形態で表示する。同様にユーザがSW2の”いいえ”を操作すると、制御部1は
図7(b)のようにガイダンス画面表示エリア52にベル・他設備移報停止のガイダンス画面を表示し、ガイダンス階層構造画面表示エリア53のベル・他設備移報停止のシンボルを他のシンボルと異なる表示形態で表示する。異なる様態としては、色替え、シンボルの形状変更等の様々な方法とすることができる。
【0039】
上記のように、異常発生時にユーザに対処方法を示すガイダンス画面とともに、ガイダンス画面の階層構造を示すガイダンス階層構造画面を表示し、現在表示しているガイダンス画面が何階層目であるか、残りの作業を示すガイダンス画面がどれくらいあるかユーザは知ることができるため、ユーザに落ち着いて対処させることができる。また、ガイダンスに従い対処を行った後に、ガイダンス画面に表示されたスイッチを操作する場合に、ガイダンス画面の分岐先がどのような作業になっているかわかるため、複数あるうちのどのスイッチを押したらよいかユーザが判断することができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、ガイダンス階層構造画面をガイダンスデータベースDB2の「画像番号GN」および「ガイダンス名称GM」に基づき生成するようにしたが、それぞれの「画像データGD」に含めた画像としてもよい。
また、ガイダンス階層構造画面は、異常に関連する全てのシンボルを表示せず、たとえば火災確認のガイダンス画面でSW2の”いいえ”を操作してベル・他設備移報停止のガイダンス画面を表示するときに、
図6(c)のようにベル・他設備移報停止のルートのシンボルのみ表示したり、
図6(d)のようにベル・他設備移報停止のルートのシンボルの名称のみ表示するようにしたりしてもよい。また、対処が終わった上位のガイダンス画面のシンボルやシンボルの名称を表示しないようにしてもよい。また、ガイダンス階層構造画面の表示方法を上記のいずれかに切り替える設定ができるようにしてもよい。また、ガイダンス階層構造画面のシンボルをスイッチとし、シンボルを選択するとシンボルが示すガイダンス画面を表示するようにしてもよい。
【0041】
<機能選択動作>
ユーザが火災受信機FAの機能を選択する際の動作について説明する。特には図示しないが、ユーザが表示操作部2に表示されるメニュースイッチを選択(操作)すると、制御部1は表示操作部2に第1階層メニュー画面100を表示する。
図8は、第1階層メニュー画面100の一例を示す模式図である。なお、
図8においては、表示操作部2に表示される様々な画面のうち、第1階層メニュー画面100のみを表している。火災受信機FAの多数の機能は、項目分けして階層化してあり、第1階層メニュー画面100には、第1階層の項目を選択する項目選択スイッチ100a〜100eが一覧表示され、ユーザは項目選択スイッチ100a〜100eにより、いずれか1つの項目を選択することができる。
【0042】
第1階層の項目選択スイッチの一例としては、端末機器の試験や停電時に火災受信機FAの動作を保障するために搭載される電池(不図示)の試験の機能をまとめた試験項目スイッチ100a、火災受信機FAの表示操作部2に表示する内容の設定や異常発生内容を印字するプリンタ(不図示)の印字方向の設定等の火災受信機FAの動作の設定機能をまとめた動作設定項目スイッチ100bのほか、火災受信機FAのメンテナンスを行うときに使用する機能をまとめたメンテナンス項目スイッチ100c、火災受信機FAから他設備に出力する信号等を遮断するための機能をまとめた遮断項目スイッチ100d、発生した異常等のイベントの履歴を表示操作部2に表示させる機能をまとめた履歴項目スイッチ100eがある。
【0043】
そして、ユーザによりたとえば第1階層メニュー画面100の試験項目選択スイッチ100aが選択されたとき、制御部1は表示操作部2に第1階層メニュー画面100に加えて、第2階層メニュー画面110を表示する。
図9(a)は、表示操作部2に第1階層メニュー画面100と第2階層メニュー画面110とを表示させたときの一例を示す模式図である。制御部1は、第2階層メニュー画面110を表示させるとき、対応する第1階層の項目選択スイッチを他の項目選択スイッチとは異なる様態で表示し、現在表示している第2階層メニュー画面110が第1階層メニュー画面のどの項目の下位階層であるかを示す。異なる表示は、色を異ならせたり、形状を異ならせたり、様々な方法とすることができる。
【0044】
第2階層メニュー画面には、第1階層の1段下位階層の項目を選択する項目選択スイッチ110a〜110cが一覧表示され、ユーザは項目選択スイッチ110a〜110cにより、いずれか1つの項目を選択することができる。試験項目スイッチ100aの下位階層の第2階層メニュー画面の項目選択スイッチの一例としては、火災を検出する端末機器の試験の機能をまとめた火災試験項目スイッチ110a、防排煙機器を作動させる試験の機能をまとめた作動試験項目スイッチ110b、電池を試験する電池試験項目スイッチ110cがある。
【0045】
そして、ユーザによりさらに第2階層メニュー画面110の火災試験項目スイッチ110aが選択されたとき、制御部1は表示操作部2に第1階層メニュー画面100および第2階層メニュー画面110に加えて、第3階層メニュー画面120を表示する。
図9(b)は、表示
操作部2に第1階層メニュー画面100と第2階層メニュー画面110と第3階層メニュー画面120とを表示させたときの一例を示す模式図である。制御部1は、上記の説明と同様に上位階層で選択された項目選択スイッチを他の選択項目スイッチとは異なる様態で表示し、上位階層のどの項目の下位階層のメニュー画面かを示す。そのため、
図9(b)では、第1階層メニュー画面の「試験」項目スイッチ100a、第2階層メニュー画面の火災試験項目スイッチ110aが他の項目試験スイッチとは異なる様態で表示される。異なる様態としては、色替え、シンボルの形状変更等の様々な方法とすることができる。
【0046】
第3階層メニュー画面には、第2階層の1段下位階層の項目を選択する項目選択スイッチ120aおよび120bが一覧表示され、ユーザは項目選択スイッチ120aまたは120bのいずれかの項目を選択することができる。火災試験項目スイッチ110aの下位階層の第3階層メニュー画面の項目選択スイッチの一例としては、光電式アナログ感知器の試験をするための光電式項目スイッチ120aと熱式アナログ感知器の試験をするための熱式項目スイッチ120bがある。
【0047】
上記のように、火災受信機FAの多数の機能を項目分けして階層化している場合、上位階層の項目を選択すると下位階層の画面とともに上位階層の画面を表示し、上位階層と下位階層の関連を示すように表示するため、現在表示している画面が何階層目であるか、どの項目の下位階層かわかる。そのため、ユーザは目的の機能を選択する過程で、上位階層の項目の選択が正しいのか確認したり、間違った項目を選択したりしていないか容易に判別することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、下位階層の画面を表示するときに上位階層の全ての項目選択スイッチを表示しているが、選択された項目選択スイッチを残して他の項目選択スイッチを表示しないようにしてもよい。また、選択された項目スイッチの項目名を残して他の項目選択スイッチの項目名を表示しないようにしてもよい。
また、本実施の形態では、上位階層の選択された項目選択スイッチを他の項目選択スイッチと異なる様態で表示させるようにしたが、上位階層の項目選択スイッチと下位階層の画面を線で結んだり、吹き出し形状にしたり関係がわかる様々な方法とすることができる。また、階層の数および各階層の項目数は、上記に限定されるものではなく、機能数やシステムの規模に応じた数とすることができる。また、複数階層のメニュー画面を表示しているときに、2段以上の上位階層のメニュー画面の項目を直接操作することもできる。
【0049】
<端末選択動作>
火災受信機FAの機能の中には、端末機器を選択する必要があるものがある。たとえば上記の光電式の火災試験では、試験を行う光電式アナログ感知器を選択して機能を実行する。ユーザが端末機器を選択する際の動作について、試験する光電式アナログ感知器を選択する場合を例に説明する。端末特定部4は、
図9(b)の第3階層メニュー画面で光電式項目スイッチ120aが選択されると、表示操作部2に第1階層〜第3階層メニュー画面に並べて、試験端末機器選択画面200を表示する。
図10(a)は、試験端末機器選択画面200の一例を示す模式図である。
【0050】
制御部1は、
図10(a)の試験端末機器選択画面200を表示するとき、端末データベースDB1の「端末機器種別KI」を検索し、ユーザが選択した機能に関連する端末機器の種別である光電式アナログ感知器SE11に関連付けて記憶されている「系統LN」を抽出する。なお、「系統LN」が端末機器の特定情報の最上位階層の情報に該当する。端末特定部4は、系統選択画面210に抽出した「系統LN」を選択するための系統選択スイッチ210−1〜210−nを一覧表示する。
【0051】
端末特定部4は、ユーザの系統選択スイッチの選択(操作)により、火災試験を行う光電式アナログ感知器SE11が接続されている「系統LN」が選択されると、
図10(b)に示すように系統選択画面210に切り替えるためのタブに設けられた選択系統表示部211に選択された系統LNの番号を表示し、系統選択画面210をアドレス選択画面220に切り替えて表示する。端末特定部4は、端末データベースDB1の「端末機器種別KI」および「系統LN」を検索し、光電式アナログ感知器SE11および選択した系統に関連付けて記憶されている「アドレスAD」を抽出する。なお、「アドレスAD」が端末機器の特定情報の最上位階層の一段下位階層の情報に該当する。制御部は、アドレス選択画面220に抽出した「アドレスAD」を選択するためのアドレス選択スイッチ220−1〜220−nを一覧表示する。
【0052】
端末特定部4は、ユーザのアドレス選択スイッチの選択(操作)により、火災試験を行う光電式アナログ感知器SE11の「アドレスAD」が選択されると、
図10(c)に示すようにアドレス選択画面220に切り替えるためのタブに設けられた選択アドレス表示部221に選択されたアドレスADの番号を表示し、試験を実行するか否かを選択するための「はい」スイッチおよび「いいえ」スイッチを表示する。ユーザにより「はい」スイッチが選択されると、端末特定部4は選択された「系統LN」および「アドレスAD」を制御部1に通知する。制御部1は、通知を受けた「系統LN」の送受信部5を介して、通知を受けた「アドレスAD」の光電式アナログ感知器SE11に火災試験命令を送信する。
【0053】
上記のように、火災受信機FAの複数の機能のうち端末機器を指定する機能が選択されたときに、階層化された端末機器の特定情報のうち選択された機能に関連する特定情報のみを上位階層から順に選択することで容易に端末機器を指定することができる。また、選択した機能に関係ない種別の端末機器を指定してしまうことがない。
なお、本実施の形態では、端末機器の特定情報として「系統LN」と「アドレスAD」の2階層の場合について説明したが、それに限定されない。たとえば、防排煙機器を指定する作動試験では、さらに「通番」を加えた3階層となる。また、端末機器の特定情報は「設置場所SP」の「棟」、「階」、「区」、「番」のように端末機器が特定できればどのような情報としてもよいし、複数の特定情報を切り替え、切り替えた特定情報で端末機器を選択できるようにしてもよい。また、系統やアドレスの選択スイッチとして該当する特定情報の番号のみ並べるようにしてもよいし、全ての番号を並べ抽出した選択可能なスイッチのみ異なる様態で表示するようにしてもよい。