特許第6802107号(P6802107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6802107-情報処理装置、方法及びプログラム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802107
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 9/03 20060101AFI20201207BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20201207BHJP
   G06K 9/62 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   G06K9/03 Z
   G06K7/10 456
   G06K9/62 650C
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-74942(P2017-74942)
(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公開番号】特開2018-180658(P2018-180658A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】小坂 茂樹
【審査官】 山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−164622(JP,A)
【文献】 特開2011−164934(JP,A)
【文献】 特開2015−041371(JP,A)
【文献】 特開2000−090193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 9/03
G06K 7/10
G06K 9/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに含まれる、所定の規格に沿ったコード部分を1又は複数特定してコードを読み取るコード読取手段と、
前記画像データに含まれる文字を文字認識する文字認識手段と、
前記画像データに含まれる、所定の種類の情報を含む文字列を特定する文字列特定手段と、
前記コード読取手段によって得られた1又は複数のコード読取結果と、前記文字列特定手段によって特定された特定文字列とを比較し、該特定文字列と一致するか又は近似するコード読取結果を、前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果として決定する決定手段と、
前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果又は前記特定文字列の少なくとも一部を、前記所定の種類の情報として出力する出力手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記文字列特定手段は、前記画像データに含まれる1又は複数の文字列の行の先頭部分の文字認識結果を参照することで、前記所定の種類の情報を含む文字列を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記文字列特定手段は、前記画像データに含まれる1又は複数の文字列の行の先頭部分の文字認識結果を、予め保持されている前記所定の種類の情報の所在を示す所定の文字列と比較し、該所定の文字列と一致又は近似するか否かを判定することで、前記所定の種類の情報を含む文字列を特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果が前記特定文字列と一致しない場合に、該特定文字列を、前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果に従って補正する補正手段を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コード及び文字列は、単一の画像データに含まれる、
請求項1から4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コード読取手段は、前記画像データに含まれる、全ての読取可能なコードを読み取る、
請求項1から5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記画像データは、製品を撮像することで得られた画像データであり、前記所定の種類の情報は、該製品を識別するための情報である、
請求項1から6の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記画像データを取得するための撮像手段を更に備える、
請求項1から7の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記コードは、一次元コード及び二次元コードの少なくとも何れかを含む、
請求項1から8の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記コード読取手段は、画像データに含まれる複数のコードを読み取り、
前記文字列特定手段は、前記画像データに含まれる、第一の種類の情報を含む第一の文字列及び第二の種類の情報を含む第二の文字列を特定し、
前記決定手段は、前記コード読取手段によって得られた複数のコード読取結果と、前記文字列特定手段によって特定された第一の文字列及び第二の文字列とを比較し、該第一の文字列と一致するか又は近似するコード読取結果を、前記第一の種類の情報に対応する第一のコード読取結果として決定し、該第二の文字列と一致するか又は近似するコード読取結果を、前記第二の種類の情報に対応する第二のコード読取結果として決定する、
請求項1から9の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピューターが、
画像データに含まれる、所定の規格に沿ったコード部分を1又は複数特定してコードを読み取るコード読取ステップと、
前記画像データに含まれる文字を文字認識する文字認識ステップと、
前記画像データに含まれる、所定の種類の情報を含む文字列を特定する文字列特定ステップと、
前記コード読取ステップで得られた1又は複数のコード読取結果と、前記文字列特定ステップで特定された特定文字列とを比較し、該特定文字列と一致するか又は近似するコード読取結果を、前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果として決定する決定ステップと、
前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果又は前記特定文字列の少なくとも一部を、前記所定の種類の情報として出力する出力ステップと、
を実行する方法。
【請求項12】
コンピューターを、
画像データに含まれる、所定の規格に沿ったコード部分を1又は複数特定してコードを読み取るコード読取手段と、
前記画像データに含まれる文字を文字認識する文字認識手段と、
前記画像データに含まれる、所定の種類の情報を含む文字列を特定する文字列特定手段と、
前記コード読取手段によって得られた1又は複数のコード読取結果と、前記文字列特定手段によって特定された特定文字列とを比較し、該特定文字列と一致するか又は近似するコード読取結果を、前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果として決定する決定手段と、
前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果又は前記特定文字列の少なくとも一部を、前記所定の種類の情報として出力する出力手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像データに含まれる情報を認識するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文書に記録された文字に関する情報を含む二次元バーコードが記録された文書に対して光学的に走査を行ない文書イメージを取り込むスキャナーと、スキャナーによって取り込まれた文書イメージから、この文書イメージに含まれる文字パターンについて文字認識処理を行なう文字認識部と、スキャナーによって取り込まれた文書イメージから、この文書イメージに含まれる二次元バーコードについて読取りを行ない、文字に関する情報を含むバーコード情報を取得するバーコード読取り部と、バーコード読取り部によって取得されたバーコード情報を、文字認識部による文字認識処理に利用して、文書から情報を入力する制御部と、を具備する装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
その他、バーコードに記録された情報を用いて文字認識を支援する技術が種々提案されている(例えば、特許文献2及び3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−25209号公報
【特許文献2】特開2002−52366号公報
【特許文献3】特開2007−209852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、製品(例えば、電子機器等)の本体や外箱に付される製品ラベルに記載される情報(シリアル番号やMACアドレス等)は、一般的にバーコード(一次元バーコードや二次元バーコード)と文字の二通りで記載されている。そして、この製品ラベルの情報(文字)を人の目で読み取る場合、情報を見間違うおそれがあることから、作業者と確認者の二人でダブルチェックを行うなど、運用面での工夫が必要となり、作業効率上の問題がある。
【0006】
そこで、作業効率を向上させるために、製品ラベルの情報を機械(バーコードリーダーやカメラ等)で読み取ることが考えられるが、この場合、以下のような課題が生じる。
【0007】
カメラで文字を撮像して認識する場合、文字の先頭には、「シリアル番号」や「Serial Number」、「SN」等の説明文字が付記されており、何れの文字列が目的の情報であるかを判断することができる。しかし、カメラで撮影した画像を元に文字認識する技術では、100%の正解率を確保できない。
【0008】
一方、バーコードリーダーでバーコードを読み取る場合、読み取り処理が正常に行われれば、ほぼ100%の正解率を確保できる。しかし、電子機器等の製品には一つの製品ラベルに複数のバーコードが印刷されることが一般的であり、また、前述の文字と異なり、バーコード規格の制限により、説明文字をバーコードの近辺に記載することができない。このため、バーコードリーダーでバーコードを読み取ったとしても、何れのバーコードが目的の情報に係るバーコードであるかを判断することが難しい。
【0009】
本開示は、上記した問題に鑑み、目的の種類の情報を簡便且つ正確に取得することを課
題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一例は、画像データに含まれる、所定の規格に沿ったコード部分を1又は複数特定してコードを読み取るコード読取手段と、前記画像データに含まれる文字を文字認識する文字認識手段と、前記画像データに含まれる、所定の種類の情報を含む文字列を特定する文字列特定手段と、前記コード読取手段によって得られた1又は複数のコード読取結果と、前記文字列特定手段によって特定された特定文字列とを比較し、該特定文字列と一致するか又は近似するコード読取結果を、前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果として決定する決定手段と、前記所定の種類の情報に対応するコード読取結果又は前記特定文字列の少なくとも一部を、前記所定の種類の情報として出力する出力手段と、を備える情報処理装置である。
【0011】
本開示は、情報処理装置、システム、コンピューターによって実行される方法又はコンピューターに実行させるプログラムとして把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピューターその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピューター等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積し、コンピューター等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、目的の種類の情報を簡便且つ正確に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
図3】実施形態に係る製品識別情報特定処理の流れの概要を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る製品ラベル画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0015】
本実施形態では、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムを、倉庫業務や修理保守業務、運送業務などにおいて、外箱に貼られた製品ラベルや、製品本体に貼られた製品ラベルに記載されている情報(シリアル番号やMACアドレスなど)を読み取り、読み取られた情報を、対象製品の入出庫の記録や、棚卸しの確認などに利用するためのシステムにおいて実施した場合の実施の形態について説明する。但し、本開示に係る情報処理装置、方法及びプログラムは、画像データに含まれる情報を認識するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対象は、本実施形態において示した例に限定されない。
【0016】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステムは、ネットワークを介して互いに通信可能に接続された複数の情報処理装置1及びサーバー3を備える。情報処理装置1は、CPU(Central Processing
Unit)11、ROM(Read Only Memory)12及びRAM(Random Access Memory)13からなる制御部10、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等のストレージ14、無線LANユニット等の通信ユニット15、キーボードやタッチパネル等の入力デバイス16、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイス17、及びカメラ18等を備えるコンピューターである。例えば、所謂スマートフォンやタブレット等の装置を、本実施形態に係る情報処理装置1として用いることができるが、情報処理装置1は、本願発明を実施可能な構成を備えていればよく、スマートフォンやタブレット等に限定されない。情報処理装置1は、クラウドや分散コンピューティングの技術を用いて分散して実装されてもよい。また、情報処理装置1のハードウェア構成の一部は、本願発明を実施可能な範囲で、省略されてもよい。
【0017】
カメラ18は、ユーザーがセットした、製品本体又は製品外箱に付された製品ラベルを撮像することで、製品ラベルの画像を含む画像データを取得する撮像装置である。なお、本実施形態では、製品ラベルの画像を含む画像データを取得するための撮像装置として、情報処理装置1に内蔵されたカメラ18を例示したが、本実施形態に係る方法を採用可能なカメラの通信手段及びハードウェア構成等は、本実施形態における例示に限定されない。例えば、撮像装置は、ネットワークや周辺機器接続用コネクターを介して外付け機器として情報処理装置1に接続されてもよいし、情報処理装置1との接続がされないものであってもよい。カメラが情報処理装置1に直接接続されない場合であっても、画像データは外部記録媒体等を介して情報処理装置1に入力可能である。
【0018】
サーバー3は、CPU31、ROM32及びRAM33からなる制御部30、ストレージ34及び通信ユニット35を備えるコンピューターである。サーバー3には、一般的な業務処理を実現するためのサーバー用プログラムがインストールされ、サーバー3の制御部によって実行される。例えば、サーバー3には、スマートフォン等の情報処理装置1から送信されたデータを受信するためのWebサーバーと、当該データを業務アプリケーションで処理するためのアプリケーションサーバーと、データベースと、が備えられてよい。又、サーバー3は、クラウドや分散コンピューティングの技術を用いて分散して実装されてもよい。
【0019】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成の概略を示す図である。情報処理装置1は、ストレージ14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されることで、撮像部21、文字認識部22、文字列特定部23、コード読取部24、決定部25、出力部26及び補正部27を備える情報処理装置1として機能する。なお、本実施形態では、情報処理装置1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11を含む制御部10によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。また、これらの機能の一部又は全部は、クラウド技術等を用いて、遠隔地に設置された装置や、分散設置された複数の装置によって実行されてもよい。
【0020】
撮像部21は、ユーザーによる撮像指示の入力を受けてカメラ18を制御して製品を撮像することで、製品ラベルの画像データを取得する。本実施形態では、製品ラベルには、本システムにおいて特定される所定の種類の情報として、当該製品を識別するための情報が記載されており、製品ラベルの画像データには、撮像された製品を識別するための情報が画像として含まれている。製品を識別するための情報としては、例えばシリアル番号やMACアドレス等が挙げられるが、その他の種類の情報であってもよい。また、撮像によって得られた1の画像データには、製品ラベルに記載されているコード及び文字列が含まれており、このコードは、バーコード等の一次元コードや、QRコード(登録商標)等の
二次元コード等であってよい。但し、コードは、一般的な文字認識よりも高い精度で読み取り可能なものであればよく、既知のコード規格に限定されない。
【0021】
文字認識部22は、画像データに含まれる文字を文字認識する。なお、文字認識に用いられる技術は限定されず、既存の又は将来開発される様々な文字認識技術が採用されてよい。例えば、畳み込みニューラルネットワークを用いる方法が用いられてよい。畳み込みニューラルネットワークを用いる方法の一例を具体的に説明すると、製品ラベルのRGB画像やRGBa画像をグレースケール画像に変換し、グレースケール画像を平滑化してノイズを除去し、適応的閾値処理を行うことで画像を2値画像に変換し、2値画像に対して輪郭検出処理を行うことで各文字の矩形位置を特定する。この際、文字同士のエッジが繋がっている箇所については別々の文字として分割する。そして、各文字の矩形位置を計算して行の並びを特定し、文字ごとに畳み込みニューラルネットワークへ入力し、予め学習してある文字の特徴から、文字を識別する。しかし、上述の通り、文字認識のために採用される技術は、ここに例示したものに限定されない。
【0022】
文字列特定部23は、画像データに含まれる1又は複数の文字列の行の先頭部分の文字認識結果を参照することで、所定の種類の情報を含む文字列を特定する。より具体的には、文字列特定部23は、画像データに含まれる1又は複数の文字列の行の先頭部分の文字認識結果を、予め保持されている、所定の種類の情報の所在を示す所定の文字列と比較し、当該所定の文字列と一致又は近似するか否かを判定することで、所定の種類の情報を含む文字列を特定する。ここで、所定の種類の情報の所在を示す所定の文字列とは、「所定の種類の情報」が製品のシリアル番号である場合、例えば、「SERIALNO」、「SERIALNo」、「SERNO」、「SN」、「S/N」、「Serial Number」等の文字列である。又、「所定の種類の情報」が製品のMACアドレスである場合、例えば、「MACADDRESS」、「MAC」等の文字列である。なお、本実施形態では、文字列特定部23によって所定の種類の情報を含むものとして特定された文字列を、特定文字列と称する。
【0023】
コード読取部24は、画像データに含まれる、所定の規格に沿ったコード部分を1又は複数特定してコードを読み取る。この際、コード読取部24は、画像データに含まれる、全ての読取可能なコードを読み取ることが好ましい。なお、例えばバーコードの読み取りには、既存の読み取りライブラリを使用することが出来る。
【0024】
決定部25は、コード読取部24によって得られた1又は複数のコード読取結果と、文字列特定部23によって特定された特定文字列とを比較し、特定文字列と一致するか又は近似するコード読取結果を、所定の種類の情報に対応するコード読取結果として決定する。
【0025】
出力部26は、所定の種類の情報に対応するコード読取結果又は特定文字列の少なくとも一部を、所定の種類の情報として出力する。なお、後述する本実施形態のフローチャートの説明では、コード読取結果を出力することとしているが、出力部26は、特定文字列(補正が必要な場合には補正済みのもの)を出力してもよい。
【0026】
補正部27は、所定の種類の情報に対応するコード読取結果が特定文字列と一致しない場合に、特定文字列を、所定の種類の情報に対応するコード読取結果に従って補正する。但し、出力部26が、所定の種類の情報としてコード読取結果を出力する場合には、補正部27は省略されてもよい。
【0027】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係るシステムによって実行される処理の流れを、フローチャートを
用いて説明する。なお、以下に説明するフローチャートに示された処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0028】
図3は、本実施形態に係る製品識別情報特定処理の流れの概要を示すフローチャートである。本実施形態に係る製品識別情報特定処理は、ユーザーが操作する情報処理装置1において、製品識別情報特定用プログラムが起動されたことを契機として実行される。なお、本フローチャートでは、所定の種類の情報として、シリアル番号やMACアドレス等の製品識別情報を特定する例について説明する。但し、本実施形態に開示した技術は、所定の種類の情報を特定する目的に広く適用可能であり、特定される情報は、製品識別情報に限定されない。
【0029】
ステップS101及びステップS102では、製品ラベルが撮像され、画像データが補正される。撮像部21は、入力デバイス16を介してユーザーによる撮像指示の入力が受け付けられたことを契機として、カメラ18を用いて製品ラベルを撮像し、カメラ18から得られた画像データをRAM13に記録する(ステップS101)。また、制御部10は、ステップS101で得られた画像データの補正を行う(ステップS102)。
【0030】
具体的には、制御部10は、画像データに含まれる製品ラベル画像のエッジ(画像中の、製品ラベル部分とその他の部分の境界)を検出し、検出されたエッジに従って製品ラベル画像を切り出し、切り出された製品ラベル画像を台形補正することで、矩形の製品ラベル画像データを得る。但し、製品ラベル画像の補正処理については、単にこの後に行われる文字認識やコード読み取りを行い易くするための準備処理であり、省略されてもよい。その後、処理はステップS103へ進む。
【0031】
図4は、本実施形態に係る製品ラベル画像の例を示す図である。図4の例に係る製品ラベルには、シリアル番号及びMACアドレスを含む複数の文字列、及びどのような種類の情報に係るものであるのか判断が困難な複数のコードが付されている。このような製品ラベルから情報を把握しようとした場合、文字列については、どのような種類の情報を示す文字列であるかを特定可能であるが文字認識に誤りが生じる可能性があり、コードについては、読み取り結果に誤りが生じる可能性は低いがどのような種類の情報を示すコードであるかを特定することが困難である。
【0032】
ステップS103及びステップS104では、文字認識及び製品識別情報を含む文字列の特定が行われる。文字認識部22は、製品ラベル画像に含まれる、文字認識技術で判読可能な文字を全て文字認識する(ステップS103)。そして、文字列特定部23は、文字認識の結果得られた1又は複数行の文字列の先頭部分と、予めストレージ14又はRAM13に保持されている、製品識別情報の所在を示す所定の文字列と、を比較し、所定の文字列と一致又は近似する文字列を先頭部分に含む文字列を特定することで、製品識別情報を含む文字列を特定し、これを特定文字列とする(ステップS104)。
【0033】
具体的には、特定したい製品識別情報がシリアル番号である場合、文字列特定部23は、製品ラベル中の複数行の文字列の先頭部分と、予めストレージ14又はRAM13に保持されている「SERIALNO」、「SERIALNo」、「SERNO」、「SN」、「S/N」、「Serial Number」等の文字列を比較する。比較の結果、製品ラベル中の複数行の文字列の中に、例えば「S/N 0123456789」という文字列が発見された場合、文字列特定部23は、この「S/N 0123456789」という文字列を、製品識別情報(シリアル番号)を含む文字列として特定する。
【0034】
なお、単一の製品に、複数種類の製品識別情報(例えば、シリアル番号とMACアドレ
ス)が付されていることもあるため、文字列特定部23は、互いに異なる種類の情報について、情報の種類毎に、特定文字列を特定してもよい。例えば、複数種類の製品識別情報としてシリアル番号とMACアドレスが付されている場合、文字列特定部23は、第一の特定文字列としてシリアル番号を含む文字列を特定し、第二の特定文字列としてMACアドレスを含む文字列を特定することが出来る。その後、処理はステップS105へ進む。
【0035】
ステップS105では、コードの読み取りが行われる。コード読取部24は、製品ラベル画像に含まれる、コード読み取り可能な1又は複数のコードを全て読み取る。上述の通り、このコードはバーコード等の一次元コードや、QRコード(登録商標)等の二次元コード等であってよく、また、複数の異なる規格のコードが混在していてもよい。コード読取部24は、複数の異なる規格のコードが混在している場合にも、読み取り可能な全てのコードを読み取る。その後、処理はステップS106へ進む。
【0036】
ステップS106及びステップS107では、製品識別情報(例えば、シリアル番号)に対応するコード読取結果が決定される。決定部25は、ステップS105で得られた1又は複数のコード読取結果と、ステップS104で特定された特定文字列とを比較し(ステップS106)、特定文字列と一致するか又は近似する(例えば、合致する文字の数が一番多い)コード読取結果を、製品識別情報(例えば、シリアル番号)に対応するコード読取結果として決定する(ステップS107)。なお、近似の度合い(合致する文字の数)が同じコード読取結果が複数存在する場合には、決定部25は、製品ラベルにおける位置が特定文字列に最も近いコード読取結果を、製品識別情報(例えば、シリアル番号)に対応するコード読取結果として決定する。
【0037】
具体的には、ステップS105で得られたコード読み取り結果が「0123456789」、「0987654321」及び「23456789ABCD」の3つであり、ステップS104で特定された特定文字列が「S/N 0123456789」であった場合、決定部25は、特定文字列「S/N 0123456789」から所定の文字列「S/N」などの不要な文字を除く「0123456789」と一致するコード読取結果「0123456789」を、製品識別情報(ここでは、シリアル番号)に対応するコード読取結果として決定する。
【0038】
ここで、製品ラベルにシリアル番号が「S/N 0123456789」として記載されているにもかかわらず、ステップS103での文字認識に誤りがあった結果、特定文字列が「S/N 0123466788」と認識されたとする。この場合、決定部25は、特定文字列「S/N 0123466788」から所定の文字列「S/N」などの不要な文字を除く「0123466788」と最も近似するコード読取結果「0123456789」を、製品識別情報(ここでは、シリアル番号)に対応するコード読取結果として決定する。
【0039】
即ち、本実施形態にかかる処理によれば、製品ラベルに複数のコード(「0123456789」、「0987654321」及び「13579」)が付されていた場合でも、何れのコードが目的のシリアル番号であるかを正確に特定可能であり、また、文字認識に誤りがあった場合でも、正確なシリアル番号を取得することが可能である。
【0040】
また、単一の製品に複数種類の製品識別情報(例えば、シリアル番号とMACアドレス)が付されている場合、決定部25は、情報の種類毎に、対応するコード読み取り結果を特定する。例えば、複数種類の製品識別情報としてシリアル番号とMACアドレスが付されている場合、決定部25は、シリアル番号(第一の種類の情報)に対応するコード読取結果「0123456789」を、第一のコード読取結果として決定する。そして、文字列として「MAC 23:45:67:89:AB:CD」が認識されている場合、決定
部25は、上記コード読み取り結果のうち、所定の文字列「MAC」や「:」などの不要な文字を除いた文字列と一致又は近似するコード読取結果「23456789ABCD」を、MACアドレス(第二の種類の情報)に対応する第二のコード読取結果として決定する。その後、処理はステップS108へ進む。
【0041】
ステップS108では、製品識別情報が出力される。出力部26は、ステップS107で特定された、製品識別情報(ここでは、シリアル番号及び/又はMACアドレス)に対応するコード読取結果を、製品識別情報として、サーバー3宛に送信(出力)する。サーバー3は、受信された製品識別情報を保存する。サーバー3に保存された製品識別情報は、例えば、入出庫の記録や棚卸しの確認などの業務で利用することが出来る。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0042】
なお、図3のフローチャートでは、製品識別情報としてコード読取結果をサーバー3に送信することとしているが、出力部26は、製品識別情報として特定文字列(補正が必要な場合には補正済みのもの)を出力してもよい。製品識別情報として特定文字列を出力する場合、補正部27は、ステップS107の処理の後、ステップS108の処理の前に、製品識別情報に対応するコード読取結果が特定文字列と一致するか否かを判定し、一致しない場合、特定文字列を、製品識別情報に対応するコード読取結果に従って補正する。上記例では、補正部27は、誤って認識された「S/N 0123466788」を、近似するコード読取結果「0123456789」に従って補正し、「S/N 0123456789」とする。
【0043】
<効果>
本実施形態に係る情報処理装置、方法及びプログラムによれば、目的の種類の情報を簡便且つ正確に取得することが出来る。また、倉庫業務や修理保守業務、運送業務などにおいて本実施形態に係る情報処理装置、方法及びプログラムが用いられる場合には、外箱に貼られた製品ラベルや製品本体に貼られた製品ラベルに記載されている情報(シリアル番号やMACアドレスなど)を識別する作業における作業品質と作業効率を向上させることが出来る。
【符号の説明】
【0044】
1 情報処理装置
3 サーバー
図1
図2
図3
図4