特許第6802124号(P6802124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三協立山株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6802124-サッシ 図000002
  • 特許6802124-サッシ 図000003
  • 特許6802124-サッシ 図000004
  • 特許6802124-サッシ 図000005
  • 特許6802124-サッシ 図000006
  • 特許6802124-サッシ 図000007
  • 特許6802124-サッシ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802124
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20201207BHJP
   E06B 1/70 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   E06B7/28 J
   E06B1/70 Z
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-156207(P2017-156207)
(22)【出願日】2017年8月10日
(65)【公開番号】特開2019-35237(P2019-35237A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】増山 新作
(72)【発明者】
【氏名】坂田 満
(72)【発明者】
【氏名】藤本 毅
(72)【発明者】
【氏名】山崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 知夏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】菊田 真代
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−227534(JP,A)
【文献】 特開2005−232790(JP,A)
【文献】 特開2004−313217(JP,A)
【文献】 特開2008−202308(JP,A)
【文献】 特開2002−213156(JP,A)
【文献】 実公昭62−22620(JP,Y2)
【文献】 独国特許出願公開第102015100586(DE,A1)
【文献】 米国特許第5540019(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第1724842(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/70
E06B 7/16−7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に配置される枠体と、枠体に開閉自在に配置される障子と、枠体の下枠の室外側に取付けられるカウンタを備え、
下枠は、室外側の上面にカウンタを取付けるための取付部を有する下枠本体と、下枠本体の上面を覆うカバー部材を有し、
カバー部材は、カウンタが取付けられた下枠本体の取付部の上面を覆っており、下枠は、見込み方向の全域にわたって略面一に形成されている
ことを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置されるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に配置されるサッシに対して、棚等を取り付けて鉢植等を置くことのできるサッシは、公知となっている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−202308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献1の建具は、サッシに取り付けた棚等にものを置いたりすることはできるが、窓を通しての室内外のものの出し入れを考慮したものではなかった。
また、近年、例えば、室内で調理したものを室外で食べるなど、簡易なアウトドアを楽しむ人が増え、それらに対応した建具が求められる傾向にあった。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑み、建物開口部に設けられた下枠の上面が略面一であるサッシに対してカウンタを設けることで、建物開口部を介してのものの出し入れをスムーズにすることのでき、使い勝手の良いサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態は、建物開口部に配置される枠体と、枠体に開閉自在に配置される障子と、下枠の室外側に取付けられるカウンタを備え、枠体の下枠は、室外側の上面にカウンタを取付けるための取付部を有する下枠本体と、下枠本体の上面を覆うカバー部材を有し、カバー部材は、カウンタが取り付けられた下枠本体の取付部の上面を覆っており、下枠は、見込み方向の全域にわたって略面一に形成されているサッシである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建物に設けられたサッシを介して、室内外のものの出し入れをスムーズにすることができ、使い勝手を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る上げ下げ窓の内観図である。
図2】本発明の実施形態に係る上げ下げ窓の縦断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る上げ下げ窓の横断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る上げ下げ窓の下枠の金属下枠の部分を拡大した縦断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る上げ下げ窓の下枠の室外側のカバー部材の図であり、(a)は断面図、(b)は平面図、(c)は室内側から見た正面図である。
図6】本発明の実施形態に係る上げ下げ窓の下枠の室内側のカバー部材の図であり、(a)は断面図、(b)は平面図、(c)は室内側から見た正面図である。
図7】本発明の実施形態に係る上げ下げ窓の下枠の部分を拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の上げ下げ窓について、図面を参考にして説明する。
(全体の構成)
本発明の実施形態の上げ下げ窓は、図1に示すように、上枠11、下枠12及び左、右縦枠13,14により形成され、建物開口部に固定される枠体1と、枠体1の見込み方向室外側に配置され、戸先框31、召合せ框32(図示なし)、及び左、右縦框33,34を四周に組んでその内周にガラス等のパネルが嵌め込まれてなる外障子3と、枠体1の見込み方向室内側に配置され、召合せ框21、戸先框22、及び左、右縦框23,24を四周に組んでその内周にガラス等のパネルが嵌め込まれてなる内障子2を備えている。
本実施形態の上げ下げ窓は、外障子3は、枠体1の上方位置において固定されており、内障子2が上下方向に移動することで、窓を開閉することができる。
【0010】
(枠体の構成)
上枠11は、アルミ合金等の金属材料からなる金属上枠111と、金属上枠111の室内側内周面に配置される樹脂材料からなる樹脂上枠112を備えている。
【0011】
金属上枠111は、図2に示すように、建物開口部の内周面に沿って配置される上枠本体部111aと、上枠本体部111aの室内側端に連設される室内見付け部111bと、上枠本体部111aの室外側端より垂設される室外壁部111cとを有している。そして、室内見付け部111bの下端と上枠本体部111aの見込み方向略中央位置の内周面に、樹脂上枠112が係合される被係合部が形成されている。
【0012】
樹脂上枠112は、見付け方向、すなわち下方に向かって複数の中空部が積層されて形成されてなる樹脂上枠本体部112aと、樹脂上枠本体部112aの室内側端部から室内方向に延設されたアングル部112bを有し、樹脂上枠本体部112aの室内外両端の上方には、上枠本体部111aの被係合部に係合する係合部が設けられている。
【0013】
下枠12は、図2に示すように、アルミ合金等の金属材料からなる金属下枠121と、金属下枠121の室内側端部に配置された樹脂材料からなる樹脂下枠122と、金属下枠121の室内側内周面に配置された樹脂材料からなる室内側カバー部材123と、金属下枠121の室外側内周面に配置されたアルミ合金等の金属材料からなる室外側カバー部材124を備えている。
【0014】
下枠12を構成する金属下枠121は、建物開口部の内周面に沿って配置される下枠取付部121aと、下枠取付部121aの上方に設けられた下枠中空部121bと、下枠中空部121bの室内側に連続して延設された下枠室内側部121cと、下枠中空部121bの室外側端部近傍から立設された室外壁部121dと、下枠中空部121bの室内側端部付近から立設された中央壁部121eと、下枠室内側部121cの室内側端に連設された室内壁部121fを有している。
【0015】
室外壁部121dの上端には、上方に開口する係合溝部121gが下枠12の長手方向に沿ってほぼ全長に亘って形成されている。また、中央壁部121eの上端には第1の気密材s2が取付けられている。そして、室外壁部121dの上端と中央壁部121eに保持される気密材s2の上面は、略同じ高さとなるように形成されており、室外壁部121dと中央壁部121eと下枠中空部121bの上面で、上方に開口する室外排水溝121hが形成されている。
【0016】
下枠室内側部121cは、下枠12の室内側の底壁を構成し、室外側から室内側に向かって段部が形成されている。
そして、下枠中空部121bの室内側壁と、中央壁部121eと、下枠室内側部121cと、室内壁部121fとで、上方に開口する室内排水溝121iが形成されている。金属下枠121の段部の上面には、室内側カバー部材123が配置されており、金属下枠121の中央壁部121eと室内側カバー部材123の室外側壁との間に、後述する内障子2の垂下片221cが挿入される排水孔121t(図7)が形成されている。
【0017】
樹脂下枠122は、金属下枠121の室内壁部121fに固定される固定部122aと、固定部122aの上端から室内方向に延設されたアングル部122bを有している。アングル部122bの上面は、中央壁部121eに保持された気密材s2の上面と、略同じ高さとなるように形成されている。
【0018】
室内側カバー部材123は、断面中空形状をなしており、下枠室内側部121cの段部の上面に設けられた被係合部に係合されて、金属下枠121に固定されている。
金属下枠121に固定された室内側カバー部材123の上面と、樹脂下枠122のアングル部122bの上面と、中央壁部121eの上端に取り付けられた気密材s2の上面は、略同じ高さに形成されており、下枠12の気密材s2の上面から室内側は、略面一(フラット)に形成されている。
【0019】
室外側カバー部材124は、室外排水溝121hの上面を覆う室外カバー板124aを有しており、室外排水溝121hを覆うように取り付けられた室外側カバー部材124の上面と、中央壁部121eの上端に取り付けられた気密材s2の上面は、略同じ高さに形成されている。また、室外カバー板124aは、室外排水溝121hの上面を覆うとともに、室外壁部121dの上端の係合溝部121gを覆い、下枠12の気密材s2の上面から室外側は、略面一(フラット)に形成されている。
【0020】
左、右縦枠13,14は、略同一の構成を備えているので、ここでは、主に、左縦枠13を用いて説明する。
左縦枠13は、アルミ合金等の金属材料からなる金属(左)縦枠131と、金属縦枠131の内周面に配置される樹脂材料からなる樹脂(左)縦枠132と、金属縦枠131の室内側端の内周面に配置される樹脂材料からなる室内樹脂(左)縦枠133と、左縦枠13の下方領域において金属縦枠131及び樹脂縦枠132の内周に配置される金属カバー部材134を、有している。
【0021】
金属縦枠131は、図3に示すように、建物開口部の内周面に沿って配置される縦枠本体部131aと、縦枠本体部131aの室内側端部に連設される室内壁部131bと、縦枠本体部131aの室外側に形成される縦枠中空部131cと、縦枠中空部131cの室外側端より内周に延設される室外壁部131dを有している。
【0022】
金属縦枠131の縦枠本体部131aの室内側端部近傍に内周に突出部が形成されており、室内壁部131bと突出部とで室内樹脂縦枠133が係合する被係合部が形成されている。
縦枠中空部131cの室内側面には、樹脂縦枠132が係合される被係合部が形成されており、室外壁部131dの室内側面には、金属カバー部材134の室外側端部が係合される被係合部が形成されている。
【0023】
樹脂(左)縦枠132は、複数の中空部を有する室外側中空部132aと、室外側中空部132aの外周部が室内方向に向かって延設された室内側枠部132bと、室内側枠部132bの室内側端から内周方向に向かって延設された室内壁部132cを有している。
樹脂(左)縦枠132は、室外側中空部132aの室外側が縦枠中空部131cの室内側面に形成された被係合部に係合され、室内側枠部132bが金属縦枠131の縦枠本体部131aにねじ止めされて、金属縦枠131に固定されている。
室外側中空部132aの内周面には、金属カバー部材134が係止される被係止部が形成されている。
【0024】
そして、樹脂縦枠132の室内側枠部132bと室外側中空部132aの室内側面と室内壁部132cとによって、内周方向に開口する室内側溝部132dが形成されており、室内側溝部132dには、内障子2の下方両側から突出する回転軸81が上下方向に案内されている。
【0025】
室内樹脂縦枠133は、複数の中空部からなる室内壁部133aと、室内壁部133aの室内側面から室内方向に延設されたアングル部133bを有している。室内壁部133aの外周端には、縦枠本体部131aに係合する係合部が形成されているとともに、室内壁部133aの室外側面には,樹脂縦枠132に係合する係合部が形成されている。
そして、室内壁部133aの外周端の係合部が縦枠本体部131aの室内側端部近傍に形成された被係合部に係合されるとともに、室内壁部133aの室外側面の係合部が樹脂縦枠132の室内側溝部132dの内周端に係合されている。
【0026】
樹脂縦枠132の室外側中空部132aの室内側面と室内樹脂縦枠133の室内壁部132cの室外側面には、それぞれスライダ案内溝が形成されており、スライダ案内溝にスライダ82が上下方向に移動自在にガイドされている。
なお、室内側溝部132dの上方領域は、回転軸81が案内されないので、図3の右縦枠14の部分に示されるように、スライダ案内部の外周側位置においてカバー部材135が取り付けられて覆われている。
【0027】
金属カバー部材134は、室内側に中空部134aを有する板状をなしており、金属縦枠13の室外壁部131dの室内側面に形成された被係合部に係合されるとともに、樹脂縦枠132の内周面に形成された被係合部に係合されることで、縦枠13の内障子2よりも室外側の内周面を覆うように配置される。
縦枠13の室外側の内周面を覆うように配置された金属カバー部材134の中空部134aの室内側面が、内障子2の縦框23の室外側面に取り付けられたモヘア等の気密材m1に当接する当接面として形成されている。
【0028】
そして、内障子2は、回転軸81及びスライダ82,82を、左、右縦枠13,14内周の室内側溝部132d,142d及びスライダ案内溝に沿って上下スライドさせることにより、枠体1の下方位置の開口部を開閉することができると共に、回転軸81,81を中心にスライダ82,82等を含む周知の開閉機構により室内側に内倒して開閉することができる。
なお、内障子2の上下方向への開閉機構及び内倒し開閉機構については、特に限定されるものではない。
【0029】
(内障子の構成)
内障子2について、図2,3を参考にして、説明する。
内障子2を構成する召合せ框21は、図2に示すように、主に、金属召合せ框211と、金属召合せ框211の室内側面及び外周面を覆う樹脂召合せ框212とから構成されている。
金属召合せ框211は、ガラス等パネル25の室外側外周に配置される中空部211aと、中空部211aの室外側端から内周方向に延設されガラス間口を構成するガラス間口部211bを有しており、室外側面に煙返しを形成する屈曲片が設けられている。
【0030】
樹脂召合せ框212は、金属召合せ框211の室内側を覆う見込み方向に複数の中空部が積層されてなる室内側部212aと、室内側部212aの室内端で内周方向に延設してガラス間口を構成するガラス間口中空部212bと、室内側部212aの室外側外周端から室外方向に延設され金属召合せ框211の外周面を覆う外周部212cを有している。
【0031】
外周部212cの内周面には、金属召合せ框211の外周面に向かって隔壁が延設されており、外周部212cと金属召合せ框211とによって中空部が形成されている。
樹脂召合せ框212の外周部212cの室外側端面には、気密材s51が配置され、後述する外障子3の召合せ框32の室内側面に当接している。
【0032】
内障子2を構成する戸先(下)框22は、図2に示すように、主に、金属戸先框221と、金属戸先框221の室内側面を覆う樹脂戸先框222とから構成されている。
金属戸先框221は、ガラス等パネルの室外側外周に配置される中空部221aと、中空部221aの室外側端から内周方向に延設されガラス間口を構成するガラス間口部221bと、中空部221aから外周方向に向けて延設される垂下片221cを有している。
【0033】
樹脂戸先框222は、金属戸先框221の中空部221aの室内側面を覆う見込み方向に複数の中空部を有する室内側部222aと、室内側部222aの室内端で内周方向に延設してガラス間口を構成するガラス間口中空部222bを有している。
室内側部222aを構成する複数の中空部は、金属戸先框221の室内側面から室内方向に行くに従ってその見込み方向寸法が小さくなっており、その下面は傾斜して形成されている。
【0034】
内障子2を構成する左、右縦框23,24は、略同一の構成を備えているので、内障子2の左、右縦框23,24について、左縦框23を用いて説明する。
左縦框23は、図3に示すように、主に、左金属縦框231と左金属縦框231の室内側に配置される左樹脂縦框232とから構成されている。
左金属縦框231は、中空部231aと、中空部231aの室外側内周に延設されガラス間口を構成するガラス間口部231bを有している。また、中空部231aの室外側面には、モヘア等の気密材m1が長さ方向に沿って略全長に亘って配置されており、気密材m1は、金属カバー部材134の中空部134aの室内側面に当接している。
【0035】
左樹脂縦框232は、左金属縦框231の室内側面を覆う室内側中空部232aと、室内側中空部232aの室内端部から内周側に延設されたガラス間口部232bを有している。
【0036】
室内側中空部232aは、見込み方向に複数の中空部が積層されてなり、略中間に積層されている中空部の外周には、モヘア等の気密材m2が取付けられている。室内側中空部232aに取り付けられた気密材m2は、左縦枠13の室内樹脂縦枠133の内周面に当接しており、室外側面に配置された気密材m1と協働して二重の気密構造を形成している。
また、室内側に積層されている中空部の外周端は、左縦枠13の室内樹脂縦枠133の内周端よりもさらに外周方向に延設され、室内樹脂縦枠133と室内外方向に重複している。
【0037】
(外障子の構成)
外障子3を構成する召合せ框32は、図2に示すように、主に、金属召合せ框321と金属召合せ框321の室内側に配置される樹脂召合せ框322を有している。
金属召合せ框321は、パネルの外周面を覆う中空形状をなす中空部321aと、中空部321aの室外側端から内周方向に延設されガラス間口を構成するガラス間口部321bと、中空部321aの室内側の下端から室内方向に延設される気密材保持片321cを有している。
気密材保持片321cの室内側端面には、気密材s52が保持されて、内障子2の召合せ框21の室外側面に当接している。
【0038】
樹脂召合せ框322は、金属召合せ框321の室内側面を覆う室内側部322aと、室内側部322aの室内側から内周方向に延設してガラス間口を構成するガラス間口中空部322bを有しており、室内側面には、内障子2の召合せ框21に設けた気密材s51が当接している。
【0039】
外障子3を構成する戸先(上)框31は、図2に示すように、主に、金属戸先框311と、金属戸先框311の室内側に配置される樹脂戸先框312とから構成されている。
金属戸先框311は、ガラス等パネル35の室外側の外周面に配置される中空部311aと、中空部311aの室外側から内周方向に延設されガラス間口を構成するガラス間口部311bと、中空部311aの室内側から外周方向に延設された当接片311cを有している。
中空部311aの室外側面には上枠11の金属上枠111の室外壁部111cの室内面に当接する気密材が配置されている。
【0040】
樹脂戸先框312は、金属戸先框311の室内側面を覆う室内側中空部312aと、室内側中空部312aの室内側端から内周側に延設されたガラス間口部312bを有している。
【0041】
外障子3の左、右縦框33,34は、略同一の構成を備えているので、外障子3の左、右縦框33,34について、図3に示される、右縦框34を用いて説明する。
右縦框34は、主に、右金属縦框341と右金属縦框341の室内側に配置される右樹脂縦框342とから構成されている。
右金属縦框341は、ガラス等パネルの室外側外周に配置される中空部341aと、中空部341aの室外側端から内周側に延設されたガラス間口部341bを有している。中空部341aの室外側面には、気密材が長さ方向に沿って略全長に亘って配置され、右縦枠14の右金属縦枠141の室外壁141aの室内側面に当接してFIX窓である外障子3の右縦枠14に対する気密を行っている。
【0042】
右樹脂縦框342は、右金属縦框341の室内側面を覆う中空部342aと、中空部342aの室内側端から内周側に延設されたガラス間口部342bを有している。
中空部342aの外周には、右縦枠14の右主樹脂縦枠142に当接する気密材が配置され、外障子3と右縦枠14との間に二重の気密構造を形成している。
【0043】
―下枠部分の構造−
本実施形態の特徴である下枠について、さらに詳細に説明する。
図4に示すように、下枠12を構成する金属下枠121は、下枠取付部121aの上方に設けられた下枠中空部121bの下面が、室内側から室外側に向かって下方に傾斜して形成されている。そして、下枠中空部121bの室外側の壁の下端位置には、見付け方向で複数の位置に屋外に連通する排出孔121nが形成されている。
【0044】
また、下枠中空部121bの上壁は、室内、外方向に向かって若干延設されており、室内側に延設された上壁の室内側端から上方に向かって中央壁部121eが延設されるとともに、室外側に延設された上壁の室外端から上方に向かって室外壁部121dが延設されている。
そして、室内外に延設された下枠中空部121bの上壁と、中央壁部121eと、室外壁部121dとによって、上方に開口する室外排水溝121hが形成されており、下枠中空部121bの上壁の下枠中空部121bから室外側に延設された部位には、見付け方向で複数の位置に下方に貫通する排出孔121mが形成されている。
なお、室外排水溝121hを形成する中央壁部121e及び室外壁部121dの内面には、室外側カバー部材124を係止するための、係止部121r,121rが形成されている。
【0045】
下枠中空部121bの上壁に形成された排出孔121mと下枠中空部121bの室外側の壁に形成された排出孔121nは、見付け方向に位置をずらして形成されており、下枠中空部121bの室外側の壁に形成された排出孔121nには、屋外からの水の侵入を防止する逆止弁が取り付けられている。
これにより、上壁に形成された排出孔121mから落下する雨水等が下枠中空部の室外側の壁に形成された排出孔121nから侵入することを防ぐことができる。
【0046】
下枠中空部121bの室内側に連設された下枠室内側部121cは、室内側に一段高い段部121pが形成されており、段部121pの上面には、室内側カバー部材123を係止する係止部121q,121qが形成されている。
そして、下枠中空部121bの室内壁と、中央壁部121eと、下枠室内側部121cと、室内壁部121fとによって、上方に開口する室内排水溝121iが形成されており、下枠中空部121bの室内壁の見付け方向で複数の位置に下枠中空部121bに連通する連通孔121jが形成されている。
【0047】
また、下枠12は、室外壁部121dの上端に、後述するカウンタ5のカウンタ上面51に形成された係合部を係合する係合溝部121gが形成されており、下枠取付部121aの室外側には、カウンタのカウンタ下面に形成された嵌合凸部をはめ込む嵌合凹部121kが形成されている。嵌合凹部121kは、下方に開口しており、嵌合凹部121kの開口部の室外側壁の下端が室内側に屈曲して、被係止片121uが形成されている。
【0048】
下枠12を構成する室外側カバー部材124は、図5に示すように、室外排水溝121hの上面を覆う室外カバー板124aと、室外カバー板124aの見付け方向の両端部に取り付けられたスペーサ124bを有している。
【0049】
室外カバー板124aは、アルミ合金等の金属材料からなる平板状の部材であり、図5(c)に示すように、長手方向に沿って両側の下面にホルダー溝部124cが形成されている。室外カバー板124aのホルダー溝部124cにスペーサ124bの側面に形成された装着凸部等を挿入するなどして、室外カバー板124aの両端にスペーサ124bが装着している。また、室外カバー板124aの長手方向中間位置にも、スペーサ124bがホルダー溝部124cを介して固定されている。
【0050】
スペーサ124bは、樹脂材料等からなるブロック状のスペーサ本体と、スペーサ本体の見込み方向で離れた位置の下面に下方に向かって延設された脚部124d,124dを有している。
また、スペーサ124bは、見込み方向の寸法が、室外排水溝121hの見込み寸法とほぼ同一、もしくは若干小さくなるように形成されている。一方、室外カバー板124aの見込み方向の寸法は、スペーサ124bに比べて大きく形成されており、室外カバー板124aの室内側縁部がスペーサ124bの室内側端部に比べて室外側にずれるようにスペーサ124bが装着されている。
【0051】
そして、図7に示すように、金属下枠121の室外排水溝121hに装着された室外側カバー部材124は、脚部124d,124dが中央壁部121e及び室外壁部121dの内面に形成された係止部121r,121rに係止されて、室外カバー板124aが室外排水溝121hの上面を覆うように配置される。このとき、スペーサ124bは、スペーサ124bの室内側端部が室外カバー板124aの室内側縁部に比べて室内側にずれるように、室外カバー板124aに装着されているので、スペーサ124bの室内側端部が中央壁部121eに当接させた状態で中央壁部121eと室外カバー板124aの室内側縁部との間に、下枠12の長手方向に沿って連続する隙間が形成されている。
さらに、スペーサ124bの室外側端部よりも室外側に突出する室外カバー板124aの室外側部分が、室外壁部121dの上端に形成された係合溝部121gを覆っている。
【0052】
室外側カバー部材124の室外カバー板124aと中央壁部121eとの間に形成された隙間は、室外排水溝121hに連通する排水孔121sとして機能しており、内障子2の下框22と下枠12に取付けた気密材s2の当接面によって形成される気密ラインの室外側の領域に、排水孔121sから室外排水溝121hを通って排出孔121mに至る気圧差のない第1の排水経路Aが形成される。
以上の第1の排水経路Aは、下枠12と障子との間の気密ラインの室外側領域において、下枠の上面に排水孔121sが形成されており、室外に生じる雨水をすばやく室外排水溝121hに導くとともに、室外排水溝121hに導かれた雨水等は、気圧差等の抵抗を受けることなく、室外排水溝121hの室外側下面に形成された排出孔mから、排出されるので、障子と下枠との間の気密ラインの室外側において、雨水等が停滞することがなく、吹き込み等を生じることがない。
【0053】
なお、長手方向中間に配置したスペーサ124bは必ずしも必要なものではないが、室外側カバー部材124の長手方向における変形を防止する上では好ましい。ただし、長手方向中間位置にスペーサ124bを配置した場合には、室外排水溝121hにおける排水の長手方向の移動を妨げないように、スペーサ124bは前後に離隔した脚部124d,124dもしくはいずれか一方の脚部124dによって下枠12に載置されることが好ましい。
【0054】
下枠12を構成する室内側カバー部材123は、樹脂材料からなり、図6に示すように、断面略矩形の中空形状の室内カバー本体123aと、室内カバー本体123aの下面に形成された係止爪部123bを有している。室内カバー本体123aの室外側面には、軟質の樹脂部材等からなる半円ホロー形状の気密材123cが設けられており、室内カバー本体123aの上面には、浅溝部123dが形成されている。
【0055】
そして、図7に示すように、室内排水溝121i内の金属下枠121の段部121pの上面に取付けられた室内側カバー部材123は、係止部121qに係止爪部123bが係止され、室内側カバー部材123の上面の高さが樹脂下枠122の上面高さ及び気密材s2の高さと略同一となるように配置され、樹脂下枠122のアングル部122bから気密材s2に至る下枠の室内側の上面を略面一に形成している。
【0056】
そして、室内排水溝121i内に室内側カバー部材123が取り付けられることで、中央壁部121eと室内側カバー部材123の室外側面との間に障子の下框の垂下片221cが挿入される排水孔121tが形成される。
排水孔121tには、室内カバー本体123aの室外側面に取り付けられた気密材123cが配置されており、内障子2の閉鎖時に、内障子2の下框22の垂下片221cが気密材123cと当接して、気密ラインが形成される。
すなわち、下枠12と内障子2の下框22との間には、下枠の中央壁部121eの上面に配置された気密材s2と下框の下面との上下方向の当接による第1の気密ラインと、下枠12の室内側カバー部材123に取付けられた気密材123cと垂下片221cの室内側面との見込み方向の当接による第2の気密ラインが形成されている。
【0057】
そして、下枠12は、障子と枠との第1の気密ラインよりも室内側の領域に進入した水を、排水孔121tによって受け入れて室内排水溝121iに導くとともに、室内排水溝121iから連通孔121iを介して下枠中空部121bの内部に導き、逆止弁6を備えた排出孔121nから気密ラインよりも室外側の領域に排水する第2の排水経路Bを形成している。
なお、室内側カバー部材123の上面の浅溝部123dの底面の適宜位置には、室内側カバー部材123の内部に連通する排水孔が形成されており、室内側カバー部材123には、排水孔を介して室内側カバー部材123の内部空間を室内排水溝121iに連通する排水孔が形成されている。
【0058】
また、本実施形態のサッシは、下枠12の室外側にテーブル等のカウンタを取り付けることができる。
カウンタ5は、アルミ合金等の金属材料からなり、図7に示すように、略水平面を形成するカウンタ上面51と、室内側に向かって下方に傾斜するカウンタ下面52と、カウンタ上面51とカウンタ下面52とを室外側で連結する垂直面53とを有している。
カウンタ上面51の室内側端部は、下方に略L字状に屈曲してなる上部取付部51aが形成されている。一方、カウンタ下面52の室内側は、上方に凸の嵌合凸部52aが形成されており、嵌合凸部52aよりも室内側にビス等を固定するための固定片52bを有している。嵌合凸部52aの上壁は室外側に延びており、係止片52cが形成されている。
【0059】
そして、下枠12にカウンタ5を取り付ける際には、下枠12の室外壁部121dの上端に設けられた係合溝部121gにカウンタ上面51の上部取付部51aを配置し、該上部取付部51aを中心にしてカウンタ下面52を下枠12の下面に近づけることで、カウンタ下面52の嵌合凸部52aを下枠12の嵌合凹部121kに挿入する。それによって、カウンタ5を下枠12に仮固定することができる。
その後、下枠12に仮固定されたカウンタ5の上部取付部51aを下枠12の係合溝部121gにネジ止めすると共に、カウンタ下面52の固定片52bを下枠取付部121aの下面にネジ止め固定することで、下枠12の室外側にカウンタ5を取り付けることができる。
このように、本実施形態においては、下枠12の室外側にカウンタ5を取付けることができ、その取付けは、下枠12にカウンタ5を仮固定させた状態でのネジ止めによって行うことができるので、ネジ止め時に複数の作業者によってカウンタを支持する必要がなく、施工を容易にすることができる。
また、カウンタの取付後、ビスが緩んだりした際にも、カウンタ下面52に形成された係止片52cが下枠12の嵌合凹部121kの被係止片121uに係止することで、カウンタ5の脱落を防止することができる。
【0060】
そして、下枠12の室外側に取り付けられたカウンタ5のカウンタ上面51は、室外側カバー部材124の上面と略同一高さに形成されており、サッシの下枠12の上面に連続したテーブルを形成することができる。
さらに、カウンタ5の上部取付部51aがねじ止め固定された下枠12の係合溝部121gは、室外排水溝121hを覆うように配置された室外側カバー部材124の室外カバー板124aによって覆われるので、下枠12は、室内側の顎部からカウンタに至るまで見込み方向の全域にわたって、略面一に形成されている。
【0061】
以上のように、本実施形態においては、上面が略フラットな下枠に上げ下げ障子を降下させて、下枠の上面に配置した気密材に下框の下面を当接することで、第1の気密ラインを形成しており、第1の気密ラインの室外側において発生する雨水等排水は、第1の気密ラインの室外側領域に形成される第1の排水経路を介して排水している。
また、第1の気密ラインの室内側において発生する排水は、気密ラインの室内側領域から室外側領域に続く第1の排水経路とは完全に独立した第2の排水経路を介して排水している。
そして、室外側領域に形成される第1の排水経路へ続く排水孔は、下枠の上面に長手方向に沿って広い範囲に形成されている。
したがって、気密ラインの室外側領域の雨水等排水を、気密ラインに至る前に下框と気密材の当接面の近傍に滞留させることなく、素早く排水することができ、室内への侵入を防ぐことができるとともに、建具の室外側の雨水が室内側排水経路に影響を与えることなく、第2の排水経路の負荷を抑制し、効率的な排水構造を実現できる。
【0062】
また、障子と下枠との第1の気密ラインの室内側に、下框の垂下片221cが挿入可能な排水孔を下枠上面に形成するとともに、排水孔の側面には、室内樹脂カバーに取り付けられためくれ上がることがない半円ホロー形状の軟質の気密材が配置されて垂下片221cの側面に当接させて第2の気密ラインを形成しているので、第1の気密ラインを超えて進入した雨水等を垂下片221cによって室内側溝に導くことができるとともに、それ以上室内側に侵入することを防ぐことができる。
【0063】
さらに、第1の気密ラインを形成する下框の下面と気密材の当接方向を上下方向とし、第2の気密ラインを形成する垂下片221cと第2止水材との当接方向を見込み方向とすることで、上下方向と内外方向の異なる二方向の当接による二つの気密ラインを形成しているので、障子の下框が上下内外のいずれか一方にずれる誤差が発生したとしても、必ずいずれかの気密ラインを維持することができ、多少の誤差が発生した場合でも、所定の止水性能を維持することができる。
【0064】
さらに、障子と下枠との気密ラインの室内側に配置した室内樹脂カバーの上面に浅溝部を形成しているので、垂下片221cを越えて乗り上げてきた雨水を浅溝部で受け止めるとともに、浅溝部の底面に穿設した排水孔から、下枠内部の室内排水領域に落下させ、そして、排水孔から室内流入領域に流下してきた水と合流させて、逆止弁を経由して屋外に排出させることができ、雨水の室内への侵入をより確実に防止することができる。
【0065】
また、第1の排水経路及び第2の排水経路を構成する室内排水溝及び室外排水溝を、取り外し可能である室外側カバー部材や室内側カバー部材により覆って形成しているので、下枠上面を略フラットにすることができるとともに、異物が進入しやすい室内外排水溝内を容易に開放でき、清掃性を向上できる。
【0066】
さらに、下枠の室外側にテーブルなどのカウンタを固定することができ、かつ、下枠に固定したカウンタは、面一に形成した下枠上面と略面一に取付けているので、下枠上面を、室内側からカウンタの室外側端に至るまで面一に形成することができ、使い勝手にすぐれた開口部を形成することができる。
また、カウンタを固定するための固定部は、室外カバー部材の室外端部によって覆われているので、部品点数を増やすことなく、カウンタの取付如何にかかわらずカウンタの固定部を隠すことができ、腐食を防ぐと共に意匠性を向上させることができる。
【0067】
なお、第1排水経路及び第2排水経路の各排水孔を設ける位置は何ら限定されるものではないが、下枠の長手方向で異なる位置に、室外流入領域の排出孔と、室内流入領域の逆止弁を備えた排出孔を配置することで、室外流入領域の排水が下枠の長手方向に飛散したとしても、より確実に逆止弁の開閉動作に不具合を起こすことを抑制でき、高い排水性能を維持できて好ましい。
なお、本実施形態においては、サッシとして上げ下げ窓を用いて説明したが、本発明が採用されるサッシは、上げ下げ窓に限定されるものではなく、また、枠体と障子との気密ラインの構成等についても、何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
1 :枠体
11 :上枠
12 :下枠
121 :金属下枠
121a :下枠取付部
121b :下枠中空部
121c :下枠室内側部
121d :室外壁部
121e :中央壁部
121f :室内壁部
121g :係合溝部(取付部)
121h :室外排水溝
121i :室内排水溝
121j :排水孔
121k :嵌合凹部
121m :排出孔
121n :排出孔
121p :段部
121q :係止部
121r :係止部
121s :排水孔
121t :排水孔
122 :樹脂下枠
122a :固定部
122b :アングル部
123 :室内側カバー部材
123a :室内カバー本体
123b :係止爪部
123c :気密材
123d :浅溝部
124 :室外側カバー部材
124a :室外カバー板
124b :スペーサ
124c :ホルダー溝部
124d :脚部
13 :左縦枠
14 :右縦枠
2 :内障子
221 :金属戸先框
221a :中空部
221b :ガラス間口部
221c :垂下片
3 :外障子
5 :カウンタ
51 :カウンタ上面
51a :上部取付部
52 :カウンタ下面
52a :嵌合凸部
52b :固定片
53 :垂直面
6 :逆止弁
A :第1の排水経路
B :第2の排水経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7