(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0024】
(ゴム組成物)
本発明に係るゴム組成物は、少なくとも、ポリマー成分P1とポリマー成分P2を少なくとも含むゴム成分と、少なくともシリカを含むフィラーとを含み、さらに必要に応じて、その他の成分を含む。ここで、ポリマー成分P1のガラス転移温度(Tg
1)と、ポリマー成分P2のガラス転移温度(Tg
2)が、0<|Tg
1−Tg
2|≦20の関係を満たし、ポリマー成分P1とP2が互いにサブミクロンオーダーで非相溶であることにより、ゴム組成物のモルフォロジーが微細化し、シリカを含むフィラーがその微細化したポリマー成分P2の相に一定割合以上選択的に存在することにより、ゴム組成物の低ロス性および耐摩耗性を高度に両立することができる。
【0025】
<ゴム成分>
ゴム成分は、ポリマー成分P1とポリマー成分P2とを少なくとも含む。ポリマー成分P1のガラス転移温度(Tg
1)と、ポリマー成分P2のガラス転移温度(Tg
2)は、0<|Tg
1−Tg
2|≦20の関係を満たし、ポリマー成分P1とP2は、互いにサブミクロンオーダーで非相溶である。したがって、各ポリマー成分を配合した後には、ガラス転移温度(Tg)が異なる2つ以上のポリマー相に相分離する。ポリマー成分P1とP2は、互いにサブミクロンオーダーで非相溶であればよく、肉眼での観察で相溶していてもよい。サブミクロンオーダーで非相溶であることを観察するためには、例えば、FIB/SEMを用いて、ゴム組成物の4μm×4μmの領域を観察し、染色具合の違いがあれば非相溶と判断する方法が挙げられる。
【0026】
例えば、ポリマー成分P1、P2およびP3の3種類のポリマーを配合した場合、一実施形態では、P1、P2およびP3のすべてが、互いに非相溶であり、別の実施形態では、例えば、P1およびP2が非相溶であり、P3が、P1またはP2のいずれかに相溶である。
【0027】
<ポリマー成分P1>
ポリマー成分P1としては、上述した0<|Tg
1−Tg
2|≦20の関係を満たし、ポリマー成分P1とP2が互いにサブミクロンオーダーで非相溶であれば、公知のポリマー成分を適宜選択して用いることができる。ポリマー成分P1としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0028】
ポリマー成分P1は、例えば、ジエン系共重合体であってもよい。その中でも、ジエン系単量体と芳香族ビニル化合物との共重合体が好ましく、ポリマー成分P1の全単量体成分に対し、50〜80質量%のジエン系単量体と、20〜50質量%の芳香族ビニル化合物との共重合体であることがより好ましい。
【0029】
ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン化合物が挙げられる。これらの中でも、ポリマー成分P1のガラス転移温度(Tg
1)の調整が容易なため、1,3−ブタジエンが好ましい。共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリマー成分P1のガラス転移温度(Tg
1)の調整が容易なため、スチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
ポリマー成分P1を得るための重合方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。このような重合方法として、例えば、アニオン重合、配位重合および乳化重合などが挙げられる。
【0032】
ポリマー成分P1の分子量は、特に限定はされず、ピーク分子量を50,000以上とすることで良好な耐破壊特性および耐摩耗性が得られ、700,000以下とすることで良好な加工性が得られる。さらに、高度に耐破壊特性および耐摩耗性と加工性を両立するためには、100,000〜350,000のピーク分子量であることが好ましい。
【0033】
<ポリマー成分P2>
ポリマー成分P2としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴムおよびこれらを変性したものなどが挙げられる。ポリマー成分P2は、変性ポリマーであることが好ましい。これにより、ポリマー成分P2の相に存在するフィラーの割合をさらに高めることができ、低発熱性と耐摩耗性という点で有利である。
【0034】
ポリマー成分P2として変性ポリマーを用いて、さらにマスターバッチ化する場合、より高度な低ロス性および耐摩耗性の向上効果が期待される。
【0035】
変性ポリマーにおける変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。変性官能基としては、例えば、後述するフィラーに対して相互作用性を有する変性官能基などが好適に挙げられる。フィラーに対する相互作用性を高めて、低ロス性および耐摩耗性をより高度に両立することができる。ここで、「フィラーに対して相互作用性を有する変性官能基」とは、変性官能基とフィラー(例えば、シリカ)表面との間で、例えば、共有結合;分子間力(イオン−双極子相互作用、双極子−双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力などの分子間力)を形成することが可能な官能基を意味する。フィラー(例えば、シリカ)との相互作用性の高い変性官能基としては、特に制限はなく、例えば、含窒素官能基、含ケイ素官能基、含酸素官能基などが好適に挙げられる。
【0036】
ポリマー成分P2は、ポリマー成分P2の全単量体成分に対し、80〜100質量%のジエン系単量体と、0〜20質量%の芳香族ビニル化合物とを重合してなる(共)重合体であることが好ましい。さらに、ポリマー成分P2は、(共)重合体を変性した変性(共)重合体であることが好ましい。ゴム組成物の低ロス性および耐摩耗性をより向上できるためである。
【0037】
ポリマー成分P2の重合に用いられるジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン化合物が挙げられる。これらの中でも、ポリマー成分P2のガラス転移温度(Tg
2)の調整が容易なため、1,3−ブタジエンが好ましい。共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
ポリマー成分P2の重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリマー成分P2のガラス転移温度(Tg
2)の調整が容易なため、スチレンが好ましい。芳香族ビニル化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明に係るゴム組成物では、ポリマー成分P1が、天然ゴムまたはイソプレンゴムであり、ポリマー成分P2が、変性ポリマーであることが好ましい。これにより低ロス性および耐摩耗性をより高度に両立することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、これは、ポリマー成分P1が、天然ゴムまたはイソプレンゴムであることにより、ゴム組成物の高い耐破壊性が発揮され、さらに、天然ゴムおよびイソプレンゴムのポリマー骨格はシリカとの相溶性が低く、シリカがポリマー成分P2である変性ポリマー側により存在しやすくなるためと推測される。
【0040】
ポリマー成分P2を得るための重合方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。このような重合方法として、例えば、アニオン重合、配位重合および乳化重合などが挙げられる。ポリマー成分P2としての変性(共)重合体を得るための変性剤は、公知の変性剤から適宜選択して用いることができる。変性剤としては、例えば、アニオン重合または配位重合の重合活性末端と反応する変性剤であってもよいし、重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分等であってもよい。
【0041】
ポリマー成分P2としての変性(共)重合体を得るための変性剤としては、上述した変性官能基を有する公知の変性剤から適宜選択して用いることができる。
【0042】
変性剤は、ケイ素原子、窒素原子および酸素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を有する変性剤であることが好ましい。
【0043】
フィラー(例えば、シリカ)に対して高い相互作用性を有するため、変性剤は、アルコキシシラン化合物、ヒドロカルビルオキシシラン化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0044】
上記アルコキシシラン化合物は、特に限定されないが、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物であることがより好ましい。
R
1a−Si−(OR
2)
4−a ・・・ (I)
一般式(I)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0〜2の整数であり、OR
2が複数ある場合、各OR
2は互いに同一でも異なっていてもよく、また分子中には活性プロトンは含まれない。
【0045】
一般式(I)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−トリエトキシシリル−1−プロパンアミン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトリジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好適である。アルコキシシラン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
上記ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【0047】
【化1】
一般式(II)中、n1+n2+n3+n4=4(但し、n2は1〜4の整数であり、n1、n3およびn4は0〜3の整数である)であり、A
1は、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基、(チオ)エポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ニトリル基、ピリジン基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、アミド基、(チオ)カルボン酸エステル基、(チオ)カルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基またはメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、A
1は、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよく、R
21は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R
23は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R
22は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子および/またはケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一もしくは異なっていてもよく、あるいは、一緒になって環を形成しており、R
24は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
【0048】
加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基または加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0049】
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【化2】
一般式(III)中、p1+p2+p3=2(但し、p2は1〜2の整数であり、p1およびp3は0〜1の整数である)であり、A
2は、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基または含窒素有機基である)、あるいは、硫黄であり、R
25は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R
27は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基またはハロゲン原子であり、R
26は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基または含窒素有機基であり、いずれも窒素原子および/またはケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは、一緒になって環を形成しており、R
28は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0050】
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IV)または(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【化3】
一般式(IV)中、q1+q2=3(但し、q1は0〜2の整数であり、q2は1〜3の整数である)であり、R
31は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R
32およびR
33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R
34は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R
35は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
【0051】
【化4】
一般式(V)中、r1+r2=3(但し、r1は1〜3の整数であり、r2は0〜2の整数である)であり、R
36は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R
37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R
38は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
【0052】
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(VI)または(VII)で表される2つ以上の窒素原子を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。これにより低ロス性および耐摩耗性をより高度に両立することができる。
【化5】
一般式(VI)中、R
40はトリメチルシリル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R
41は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R
42は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
【0053】
【化6】
一般式(VII)中、R
43およびR
44はそれぞれ独立して炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R
45は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、各R
45は、同一でも異なっていてもよい。
【0054】
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(VIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【化7】
一般式(VIII)中、r1+r2=3(但し、r1は0〜2の整数であり、r2は1〜3の整数である)であり、R
46は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R
47およびR
48はそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR
47またはR
48は、同一でも異なっていてもよい。
【0055】
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IX)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【化8】
一般式(IX)中、Xはハロゲン原子であり、R
49は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R
50およびR
51はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であるか、あるいは、R
50およびR
51は結合して二価の有機基を形成しており、R
52およびR
53はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。R
50およびR
51としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基またはtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0056】
一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(X)〜(XIII)で表される構造を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
一般式(X)〜(XIII)中、記号U、Vはそれぞれ0〜2かつU+V=2を満たす整数である。一般式(X)〜(XIII)中のR
54〜
92は同一でも異なっていても良く、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。一般式(XIII)中のαおよびβは0〜5の整数である。
【0057】
一般式(X)〜(XII)の化合物の中でも、N1,N1,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)−1,7へプタン、2−((ヘキシル−ジメトキシシリル)メチル)−N1,N1,N3,N3−2−ペンタメチルプロパン−1,3−ジアミン、N1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル−N3,N3−ジメチル−N1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン−1,3−ジアミン、4−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N1,N1,N7,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)へプタン−1,7−ジアミンが好ましい。
【0058】
一般式(XIII)の化合物の中でも、N,N−ジメチル−2−(3−(ジメトキシメチルシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−2−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ジメチル−2−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ジメチル−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−1−アミンが好ましい。
【0059】
上記一般式(II)〜(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、ポリマー成分P2の変性剤として用いることが好ましいが、ポリマー成分P1および任意のその他のポリマー成分の変性剤として用いてもよい。
【0060】
一般式(II)〜(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
【0061】
ポリマー成分P2としての変性重合体をアニオン重合によって得る場合に好適な変性剤としては、例えば、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)−1−ビニルベンゼン、3,4−ビス(トリメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、2−シアノピリジン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよび1−メチル−2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0062】
上記変性剤は、アニオン重合における重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であることが好ましい。このようなリチウムアミド化合物としては、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドおよびこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピペリジドのアミド部分となる変性剤はピペリジンである。
【0063】
ポリマー成分P2としての変性重合体を配位重合によって得る場合に好適な変性剤としては、例えば、2−シアノピリジンおよび3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0064】
ポリマー成分P2としての変性重合体を乳化重合によって得る場合に好適な変性剤としては、例えば、3,4−ジトリメチルシリルオキシベンズアルデヒドおよび4−ヘキサメチレンイミノアルキルスチレンから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。乳化重合において好ましく用いられるこれらの変性剤は、窒素原子および/またはケイ素原子を含むモノマーとして、乳化重合時に共重合されることが好ましい。
【0065】
変性ポリマーにおける変性率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。変性率は、例えば、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。これにより、シリカを含むフィラーがポリマー成分P2の相により選択的に存在するようになり、低ロス性および耐摩耗性をより高度に両立することができる。
【0066】
ポリマー成分P2としての変性重合体の一例を説明する。まず、スチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体(ミクロ構造:スチレン10質量%/1,3−ブタジエン由来のビニル結合量40質量%、ベース分子量(ポリスチレン換算):180,000)であるポリマーを作製し、末端をアニオンとした状態で、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミンを用いて変性して、変性ポリマー(変性率:70%、重量平均分子量(Mw):200,000)を得る。
【0067】
ポリマー成分P1とP2は、上述した0<|Tg
1−Tg
2|≦20の関係を満たし、ポリマー成分P1とP2が互いにサブミクロンオーダーで非相溶であればよいが、例えば、ポリマー成分P1のSP値(SP
1)とP2のSP値(SP
2)が異なり、0.15<|SP
1−SP
2|であることが好ましい。これにより、互いにサブミクロンオーダーで非相溶な状態となりやすい。
【0068】
ゴム成分中のポリマー成分P1およびP2の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分の総量に対するポリマー成分P2の割合が、5〜60%であることが好ましく、10〜60%であることがより好ましい。これにより低ロス性および耐摩耗性をより高度に両立することができる。
【0069】
ポリマー成分P2の相のドメイン幅は、特に限定されないが、200nm以下であることが好ましい。
【0070】
<その他のポリマー成分>
ゴム成分は、上記ポリマー成分P1およびP2の他に、必要に応じて、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体などのその他のポリマー成分を含有することができる。その他のポリマー成分は、上述したポリマー成分P1およびP2から、当該ポリマー成分P1およびP2以外のポリマーを選択してもよい。
【0071】
<フィラー>
本発明において、フィラーは、少なくともシリカを含み、フィラーの総量の80%以上が、ポリマー成分P2の相に存在している。これにより、ゴム組成物の低ロス性および耐摩耗性を高度に両立することができる。フィラーの総量の90%以上が、ポリマー成分P2の相に存在していることがより好ましい。これにより、低ロス性および耐摩耗性をより高度に両立することができる。
【0072】
フィラーとしては、少なくともシリカを含めばよく、目的に応じてタイヤ用ゴム組成物などに用いられている公知のフィラーから適宜選択することができる。フィラーは、例えば、シリカ単独、シリカとカーボンブラックとの混合物などが挙げられる。
【0073】
フィラーの平均凝集塊面積は、特に限定されないが、2100nm
2以下であることが好ましく、1800nm
2以下であることがより好ましい。これにより、低ロス性および耐摩耗性をより高度に両立することができる。
【0074】
<シリカ>
フィラー中のシリカの含有率は、特に限定されず、目的に応じて適宜調整することができる。フィラー中のシリカの割合は、一実施形態では、60質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。これにより、ポリマー成分P2の相に選択的に存在するフィラーの割合を増やし、ゴム組成物の補強効果を高め、破壊特性および耐摩耗性を向上させることができる。カーボンブラックなどの他のフィラーを併用するためには、フィラー中のシリカの割合は、40質量%以下であることが好ましい。
【0075】
シリカの種類は特に限定されず、一般グレードのシリカ、シランカップリング剤などで表面処理を施した特殊シリカなど、用途に応じて使用することができる。シリカは、例えば、湿式シリカを用いることが好ましく、これにより、加工性、機械強度および耐摩耗性をより向上することができる。
【0076】
<カーボンブラック>
カーボンブラックは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カーボンブラックは、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ましい。
【0077】
フィラー中のカーボンブラックの含有率は、フィラーにシリカが含まれる限り特に限定されず、目的に応じて適宜調整することができる。例えば、フィラーの総量の0〜40質量%とすることができる。
【0078】
<その他の成分>
本発明に係るゴム組成物は、上述したゴム成分およびフィラーの他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤を適宜選択して配合することができる。このような配合剤としては、例えば、老化防止剤、シランカップリング剤、熱可塑性樹脂、加硫促進剤(例えば、ステアリン酸)、加硫促進助剤(例えば、亜鉛華)、加硫剤(例えば、硫黄)、軟化剤(例えば、オイル)、ワックスなどが挙げられる。配合剤は、市販品を好適に使用することができる。
【0079】
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂は、C
5系樹脂、C
5〜C
9系樹脂、C
9系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂およびアルキルフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である。ゴム組成物が一定量の熱可塑性樹脂を含むことで、ゴムのTgが高くなり、0℃での損失正接(tanδ)が向上するため、タイヤのウェットグリップ性を向上させることができる。
【0080】
熱可塑性樹脂は、天然ゴムとの相溶性が高いため、ゴム成分として天然ゴムを用いる場合、熱可塑性樹脂の相溶性が高くなる点で有利となる。
【0081】
熱可塑性樹脂の配合量としては、特に限定されず、適宜調整することができる。熱可塑性樹脂の配合量は、例えば、ゴム成分100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の配合量が、5〜50質量部であることにより、低ロス性およびウェットグリップ性をより高度に両立することができる。
【0082】
<ゴム組成物の調製方法>
ゴム組成物の調製方法は、特に限定されず、公知のゴム組成物の調製方法を用いることができる。例えば、ゴム成分に、フィラーと、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
【0083】
(タイヤ)
本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物をトレッド部材に用いたことを特徴とする。これにより、低ロス性および耐摩耗性を高度に両立させたタイヤを提供することができる。トレッド部材としては、例えば、トレッドゴムが挙げられるがこれに限定されない。
【0084】
本発明に係るタイヤは、上記ゴム組成物をトレッド部材のいずれかに用いること以外は、特に制限はなく、常法に従って製造することができる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0086】
実施例で用いた材料の詳細は以下のとおりである。
変性剤1:N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミン、一般式(IV)のヒドロカルビルオキシシラン化合物に相当
変性剤2:N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−トリエトキシシリル−1−プロパンアミン、一般式(V)のヒドロカルビルオキシシラン化合物に相当
シリカ:東ソー・シリカ株式会社製の商品名NipSil AQ
カーボンブラック:旭カーボン株式会社製の商品名#80
プロセスオイル:三共油化工業株式会社製の商品名A/Oミックス
シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ペルテトラスルフィド、エボニックデグッサ社製の商品名Si69
熱可塑性樹脂:JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名日石ネオポリマー140
老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクラック 6C
ワックス:マイクロクリスタリンワックス、日本精蝋株式会社製の商品名オゾエース0701
加硫促進剤1:ビス(2−ベンゾチアゾリル)ペルスルフィド、大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクセラーDM−P
加硫促進剤2:1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業株式会社製の商品名ノクセラーD
加硫促進剤3:N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製の商品名サンセラーNS−G
【0087】
(ポリマー成分P1の調製)
以下の手順にしたがって、ポリマー成分P1として、未変性重合体Aおよび未変性重合体Bを調製した。各ポリマー成分P1の変性官能基の位置、変性剤の種類、変性率(%)およびTg(℃)を、表1に示す。変性率、Tgおよびピーク分子量の測定方法は上述した方法により測定した。
【0088】
(未変性重合体A)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン45gおよびスチレン30gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.6mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で3.0時間重合を行った。
【0089】
(未変性重合体B)
未変性重合体Aの重合において、1,3−ブタジエンが50g、スチレンが25gになるように変更したこと以外は未変性重合体Aの重合と同様に重合反応を行った。
【0090】
(ポリマー成分P2の調製)
以下の手順にしたがって、ポリマー成分P2として、変性重合体C〜E、未変性重合体Fを調製した。各ポリマー成分P2の変性官能基の位置、変性剤の種類、変性率(%)およびTg(℃)を、表1に示す。変性率、Tgおよびピーク分子量の測定方法は上述した方法により測定した。
【0091】
(変性重合体C)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤として変性剤1を0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性重合体Cを得た。得られた変性重合体Cのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ピーク分子量が200,000であった。
【0092】
(変性重合体D)
変性剤として変性剤1に代えて変性剤2を用いたこと以外は、変性重合体Cと同様に重合反応および変性反応を行い、変性重合体Dを得た。得られた変性重合体Dのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ピーク分子量が200,000であった。
【0093】
(変性重合体E)
変性重合体Cの重合において、1,3−ブタジエンが57g、スチレンが19gになるように変更し、さらに変性剤1の添加量を0.4mmolに変更したこと以外は変性重合体Cの重合と同様に重合反応と変性反応を行った。得られた変性重合体Eのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ピーク分子量が200,000であった。
【0094】
(未変性重合体F)
重合反応までを行い、変性反応を行わなかったこと以外は、変性重合体Cの重合反応と同様にして、未変性重合体Fを得た。得られた未変性重合体Fのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ピーク分子量が200,000であった。
【0095】
【表1】
【0096】
(実施例1〜6および比較例1)
表2に示すゴム成分に、以下のフィラーなどを配合してゴム組成物を調製した。
シリカ:55質量部
カーボンブラック:3.8質量部
プロセスオイル:1.0質量部
シランカップリング剤:4.4質量部
熱可塑性樹脂:15質量部
ステアリン酸:2質量部
老化防止剤:1質量部
ワックス:2質量部
亜鉛華:2.5質量部
加硫促進剤1:1.2質量部
加硫促進剤2:1.2質量部
加硫促進剤3:1質量部
硫黄:1.8質量部
【0097】
調製した各ゴム組成物について、以下の(1)〜(6)の評価を行った。(1)〜(3)については上述した方法により測定した。(4)〜(6)については、後述する方法により測定した。
(1)ポリマー成分P2の相のフィラー存在率(%)
(2)ドメイン幅(nm)
(3)フィラーの平均凝集塊面積(nm
2)
(4)低ロス性(tanδ)
(5)耐摩耗性
(6)耐破壊特性
【0098】
(4)低ロス性の評価
各ゴム組成物について、損失正接(tanδ)を、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を用いて、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzの条件で測定した。得られたtanδの値は、比較例1の値を100として、指数表示した。結果を表2に示す。指数値が大きいほど低ロス性に優れる。
【0099】
(5)耐摩耗性の評価
各ゴム組成物について、ランボーン式摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定した。得られた摩耗量の値は、その逆数をとり、比較例1の値を100として、指数表示した。結果を表2に示す。指数値が大きいほど摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れる。
【0100】
(6)耐破壊特性の評価
各ゴム組成物について、JIS K 6251に準拠して室温で引張試験を行い、加硫したゴム組成物の引張強さを測定し、比較例1の値を100として、指数表示した。結果を表2に示す。指数値が大きいほど耐破壊特性に優れる。
【0101】
【表2】
【0102】
表2に示すように、Tg
1とTg
2の差が20よりも大きい比較例1と比べて、0<|Tg
1−Tg
2|≦20の関係を満たし、ポリマー成分P1とP2がサブミクロンオーダーで非相溶である実施例では、低ロス性と耐摩耗性が高度に両立している。さらに、ポリマー成分P2が未変性重合体である実施例1に比べて、ポリマー成分P2を変性SBRとした実施例2および3では、ポリマー成分P2の相により多くのフィラーが存在し、低ロス性と耐摩耗性がより高度に両立している。