(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802184
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】エラストマーの照射処理および後硬化処理
(51)【国際特許分類】
B29C 35/08 20060101AFI20201207BHJP
B29C 71/00 20060101ALI20201207BHJP
B29C 71/02 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
B29C35/08
B29C71/00
B29C71/02
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-553972(P2017-553972)
(86)(22)【出願日】2016年4月11日
(65)【公表番号】特表2018-513036(P2018-513036A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】US2016026969
(87)【国際公開番号】WO2016168121
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年3月12日
(31)【優先権主張番号】14/688,972
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バヴァロ、ヴィンセント
【審査官】
▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−515806(JP,A)
【文献】
特開2011−012264(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/048455(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/028625(WO,A1)
【文献】
特開2009−156357(JP,A)
【文献】
特開2011−194656(JP,A)
【文献】
特表2010−531900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 35/00 − 35/18
B29C 71/00 − 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー材料を処理する方法であって、前記方法は、
第1の熱への曝露をすでに有し、第1の半径方向強度を有するエラストマー・チュービングのセグメントを提供するステップと、
所定の曝露時間にわたって、特定の温度において、熱への曝露によって前記セグメントを加熱するステップと、
75キログレイの特定の放射線量によって前記セグメントを照射することによって、前記第1の半径方向強度を、前記第1の半径方向強度よりも大きい第2の半径方向強度へ増加させるステップと、
エラストマー・チュービングの強化されたセグメントとして、前記セグメントを提供するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記曝露時間は2時間であり、前記特定の温度は華氏400度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エラストマー・チュービングのセグメントを提供するステップは、シリコン・ベースのエラストマー・チュービングのセグメントを提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
エラストマー・チュービングのセグメントを提供するステップは、シリコン・ベースのエラストマーを含むセグメントを提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
エラストマー・チュービングのセグメントを提供するステップは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むセグメントを提供するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記セグメントをポンプの中に実装するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エラストマーの処理に関する。より具体的には、本開示は、機械的な特性の改善を生み出すために、エラストマーのコンポーネント同士の間の架橋結合を増加させることに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン・ベースのエラストマーが、医療用チュービングなどのような、さまざまな医療用デバイスおよびマシン・コンポーネントに関して、医療産業において使用されてきた。一般的に、これらの材料は、良好な耐久性および長寿命を示すことが可能であり、また、体液および身体組織と反応しない。
【0003】
医療用チュービングなどのような用途に関して使用されているエラストマーの機械的な特性についてのいくつかの以前の関心事は、チュービングの中の流体圧力の繰り返される変化またはサイクル変化に応答したバルジング(bulging)を受けやすいということを含んでいた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
エラストマーの特定の機械的な特性を改善するための処理技法が説明されている。そのような特性は、たとえば、半径方向強度またはフープ強度、サイクル疲労強度などを含む。これらの改善した機械的な性質は、下記に説明されているように、後硬化熱処理および照射の組み合わせによって実現され得る。
【0005】
本開示の態様によれば、エラストマーの後硬化は、エラストマーの物理的特性の改善ために、初期硬化に関して使用されるものの他に、照射および加熱のステップを含むことが可能である。第2の(または、「後硬化」の)熱への曝露は、追加的な架橋結合成分または構成要素を変換または活性化させることが可能であり、エラストマーの構成要素コンポーネント同士の間に、たとえば、シリカの高い反応性の表面と隣接するポリマーの間に、架橋を形成または増加させる。また、第2の熱への曝露は、シリカ凝集体のアニーリングを促進させることが可能である。照射プロセスは、架橋結合をさらに強化する。例示的な照射技法は、ガンマ線照射および電子ビーム照射を含む。
【0006】
ここで、これらのおよび他のコンポーネント、ステップ、特徴、利益、および利点は、以下に続く例示目的の実施形態の詳細な説明、添付の図面、および特許請求の範囲の検討から明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面は、例示目的の実施形態のものである。それらは、すべての実施形態を図示しているわけではない。他の実施形態が、それに加えてまたはその代わりに使用され得る。明らかまたは不必要である可能性のある詳細は、スペースを節約するために、または、より効果的な例示のために、省略されている可能性がある。いくつかの実施形態は、追加的なコンポーネントまたはステップとともに実践され、および/または、図示されているコンポーネントまたはステップのすべてがない状態でも実践され得る。同じ参照数字が異なる図面の中に現れるときには、それは、同じまたは同様のコンポーネントまたはステップを表している。
【0008】
【
図1】構造的なシリコーン・エラストマー・モデルを図示する図である。
【
図2A】弛緩した状態の
図1の構造的なシリコン・エラストマー・モデルを図示する図である。
【
図2B】プラスの軸線方向の引っ張りが示されている、応力状態の
図1の構造的なシリコン・エラストマー・モデルを図示する図である。
【
図3】本開示による、改善した半径方向強度を実現するためにエラストマー・チュービングを処理する方法の例に関するフローチャートを図示する図である。
【
図4】5ml注入体積の液体を受け入れている受け取られたままのエラストマー・チュービングのセグメントに関する圧力−対−放射線量のグラフを図示する図である。
【
図5】5ml注入体積の液体を受け入れている後硬化したエラストマー・チュービングのセグメントに関する圧力−対−放射線量のグラフを図示する図である。
【
図6】本開示にしたがって処理された強化されたエラストマー・チュービングの例の水圧破裂リーク検査の間に得られたサイクル疲労データのグラフ600を図示する図である。
【
図7】第3のサイクルの5ml注入体積の液体を受け入れている受け取られたままのエラストマー・チュービングのセグメントに関して、圧力−対−放射線量のグラフを図示する図である。
【
図8】第3のサイクルの5ml注入体積の液体を受け入れている後硬化したエラストマー・チュービングのセグメントに関して、圧力−対−放射線量のグラフを図示する図である。
【
図9】
図4および
図7のデータを備えた複合グラフを図示する図である。
【
図10】
図5および
図8のデータを備えた複合グラフを図示する図である。
【
図11】5ml体積を受け入れたチューブ・セグメント・サンプルの損傷モードを示す写真のセットであり、それらは、それぞれ、(a)受け取られたままのもの、(b)照射だけをしたもの、(c)後硬化だけをしたもの、および、(d)照射および後硬化をしたものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで例示目的の実施形態が説明される。それに加えて、または、その代わりに、他の実施形態も使用され得る。明らかまたは不必要である可能性のある詳細は、スペースを節約するために、または、より効果的な提示のために、省略されている可能性がある。いくつかの実施形態は、追加的なコンポーネントまたはステップとともに実践され、および/または、説明されているコンポーネントまたはステップのすべてがない状態でも実践され得る。
【0010】
図1は、構造的なシリコーン・エラストマー・モデル100を図示している。エラストマーは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含み、それは、非常に弾性的である。モデルは、複数のPDMSポリマー鎖102を含む。フュームド・シリカ104が示されており、それは、充填剤として作用し、また、エラストマーの剛性を増大させる。示されているように、モデル100は、複数の架橋剤106を含み、それは、エラストマーの隣接する構成要素を化学的に結合するように作用する。また、触媒が存在することも可能であり、触媒は、熱を加えることによって、化学的な結合を開始させる役割を果たすことが可能である。また、2つの保持フィクスチャー1−2も示されている。
【0011】
図2Aは、弛緩した状態または引っ張られていない状態の
図1の構造的なシリコン・エラストマー・モデル100を図示している。
図2Bは、応力状態の
図1の構造的なシリコン・エラストマー・モデル100を図示しており、フィクスチャー1−2に適用される張力によって誘発させられるように示されているプラスの軸線方向の引っ張りを伴う。
図2Aおよび
図2Bは、以下のようなエラストマーの中のさまざまな結合の特性を図示している。(i)シリカとシリカとの結合112(それは、極めて脆性である);(ii)ポリマーとシリカとの結合114(それは、剛性またはデュロメーターを増加させる傾向がある);および、(iii)ポリマーとポリマーとの結合116(それは、極めて延性であり、絡み合いおよび架橋結合をもたらし、または、それらを強化する)。
【0012】
本開示の態様によれば、エラストマーまたはエラストマー材料の後硬化処理は、エラストマーの改善した物理的特性を得るために、初期硬化の間に実現される加熱の他に、照射および追加的な加熱のステップを含むことが可能である。例示的な実施形態は、改善した破裂強度を実現するために、シリコン・ベースのエラストマーの照射および熱処理を含むことが可能である。
【0013】
一般的に、たとえば、
図1〜
図2Bに示されているように、第2の熱への曝露は、追加的な架橋結合成分(または、構成要素)を変換または活性化させ、たとえば、シリカの高い反応性の表面と隣接するポリマーとの間に架橋を形成することが可能である。また、第2の熱への曝露は、シリカ凝集体のアニーリングを促進させることが可能である。照射プロセスは、架橋結合をさらに強化する。
【0014】
例示的な照射技法は、ガンマ線照射および電子ビーム照射の使用を含む。ガンマ線照射は、放射線源としてコバルト60を使用することによって得られ得り、典型的に、100MeVを超えて動作する。それとは対照的に、電子ビーム照射は、典型的に、KeVからMeVの範囲で動作する。特定の放射線源への応答は、ポリマーおよび安定化パッケージ依存性である。酸化的分解反応を起こしやすいポリマーは、より高い線量率およびより短い曝露時間に起因して、電子ビーム照射に対してかなり優れている。たとえば、電子ビーム照射が蓄積するのに5分以下であるのと比較して、ガンマ線に関して25キログレイ(kGy)の所望の線量を得るために271分かかる可能性があり、ここで、キログレイ(kGy)は、たとえば、X線の電離放射線の吸収放射線量のメートル法(SI)の測定組立単位である。キログレイは、1000グレイ(1000Gy)に等しく、グレイは、たとえば、エラストマーなどの1キログラムの物質による1ジュールの電離放射線の吸収(1J/kg)として定義される。
【0015】
図3は、本開示による、たとえば、エラストマー・チュービングなどのエラストマー材料を処理する方法300の例に関するフローチャートを図示している。方法300は、302に示されているように、第1の熱への曝露(たとえば、初期硬化プロセスの間)をすでに有しており、また、第1の半径方向強度を有する、硬化したエラストマーを提供するステップを含む。半径方向強度は、代替的に、「フープ」強度または「破裂」強度として記載され得り、「破裂」強度は、印加される圧力の下で破裂することに対する円筒の抵抗を表している。方法300は、304に記載されているように、所望の熱レベルまたは温度レジメにおいて、第2の曝露時間にわたって、第2の熱への曝露によって、エラストマーを加熱するステップを含む。
【0016】
方法300の説明を続けると、306に示されているように、目標放射線量によって硬化したエラストマーを照射するステップが含まれている。ステップ306は、ステップ304の後に起こるものとして示されているが、ステップの順序は、当然のことながら逆にされてもよい。代替的に、加熱および照射のステップは、全体的にまたは部分的に、同時に起こることが可能である。さらに、加熱および照射ステップは、サブ・ステップに分解されてもよく、サブ・ステップは、任意の順序でまたは同時に起こることが可能である。方法300は、308に示されているように、第1の半径方向強度よりも大きい第2の半径方向強度を有するチュービングのセグメントとして、硬化したエラストマーを提供するステップをさらに含む。例示的な実施形態は、チュービングのセグメントとして、たとえば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)など、シリコン・ベースのエラストマーを使用または提供することを含むことが可能である。方法300は、たとえば、ポンプ・チュービング・セグメントなど、エラストマー材料を作製するために使用され得り、それは、医療用デバイスなどのような特定の用途において、半径方向強度などのような改善した物理的な性質または特性を備えて機能することが可能である。当然のことながら、他の実施形態は、非シリコン・ベースのエラストマーを含む、異なるエラストマーを含むことが可能である。
【0017】
図4〜
図11は、本開示にしたがって準備されたエラストマー・チュービングの改善した物理的な性質または特性を示す性能検査および比較を図示している。
【0018】
図4は、5ml注入体積の液体を受け入れている受け取られたままのエラストマー・チュービングのセグメントに関して、圧力−対−放射線量のグラフ400を図示している。テストされた材料は、Biosil6プラチナ硬化型エラストマーであり、それは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に関するSaint−Gobainの商品名であり、それは、0.130”の内径および0.03”の壁部厚さを有するチュービングとして形成されており、5.75”の長さを有していた。プロットは、ガンマ線による照射(ダイヤモンドを伴う線)および電子ビーム照射(正方形を伴う線)に関して示されている。示されているように、壁部半径方向強度を示すチューブ圧力は、増加する放射線量とともに増加した。
【0019】
図5は、加熱処理を受けた後の、5ml注入体積の液体を受け入れている後硬化したエラストマー・チュービングのセグメントに関して、圧力−対−放射線量のグラフ500を図示しており、第2の加熱処理は、初期硬化プロセスに関して起こるものとは別のものである。テストされた材料は、Saint−Gobain Biosil6プラチナ硬化型エラストマーであり、それは、0.130”の内径および0.03”の壁部厚さを有するチュービングとして形成されており、5.75”の長さを有していた。プロットは、ガンマ線による照射(ダイヤモンドを伴う線)および電子ビーム照射(正方形を伴う線)に関して示されている。後硬化熱処理は、従来型のオーブンの中で2時間わたって400°Fにおける熱にチュービングを曝すことから構成されていた。示されているように、壁部半径方向強度を示すチューブ圧力は、増加する放射線量とともに増加した。示されている値は、
図4に示されている値よりも著しく大きくなっており、そこでは、同じ材料を用いたチュービングは、単に放射線処理だけを受け、第2の熱処理は受けていなかった。
【0020】
図6は、本開示にしたがって処理された強化されたエラストマー・チュービングの例の水圧破裂リーク検査の間に得られたサイクル疲労データのグラフ600を図示している。エラストマー材料は、Saint−Gobain Biosil6プラチナ硬化型エラストマーであり、それは、2時間の持続期間にわたり400°Fにおける後硬化熱処理を受けた。材料は、コバルト60ガンマ線供給源によって照射され、チュービングが75kGy放射線量を供給されるようになっていた。5ml注入体積の3つのサイクルに関するピーク圧力が示されている。
【0021】
図7は、第3のサイクルの5ml注入体積の液体を受け入れている受け取られたままのエラストマー・チュービングのセグメントに関して、圧力−対−放射線量のグラフを図示している。テストされた材料は、Biosil6プラチナ硬化型エラストマーであり、それは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に関するSaint−Gobainの商品名であり、それは、0.130”の内径および0.03”の壁部厚さを有するチュービングとして形成されており、5.75”の長さを有していた。プロットは、ガンマ線による照射(ダイヤモンドを伴う線)および電子ビーム照射(正方形を伴う線)に関して示されている。示されているように、壁部半径方向強度を示すチューブ圧力は、増加する放射線量とともに増加した。
【0022】
図7において、それぞれのタイプの放射線源に関するチューブ圧力値は、水平状態になるように見え、または、実際には、75kGyへ放射線量が増加するとともに低下するということが留意され得る。この傾向は、追加的な架橋結合がエラストマー材料の中に生じることができないということを暗示しており、追加的な熱処理が材料の物理的特性(壁部半径方向強度を含む)を改善することとはならないという結論につながる。
【0023】
図8は、加熱処理を受けた後の、第3のサイクルの5ml注入体積の液体を受け入れている後硬化したエラストマー・チュービングのセグメントに関して、圧力−対−放射線量のグラフを図示している。テストされた材料は、Saint−Gobain Biosil6プラチナ硬化型エラストマーであり、それは、0.130”の内径および0.03”の壁部厚さを有するチュービングとして形成されており、5.75”の長さを有していた。プロットは、ガンマ線による照射(ダイヤモンドを伴う線)および電子ビーム照射(正方形を伴う線)に関して示されている。後硬化熱処理は、従来型のオーブンの中で2時間わたって400°Fにおける熱にチュービングを曝すことから構成されていた。示されているように、壁部半径方向強度を示すチューブ圧力は、増加する放射線量とともに増加した。示されている値は、
図7(
図7がその他に暗示しているものにかかわらず)に示されている値よりも著しく大きくなっており、そこでは、同じ材料を用いたチュービングは、単に放射線処理だけを受け、第2の熱処理は受けていなかった。
【0024】
図9は、
図4および
図7のデータを備えた複合グラフを図示している。
【0025】
図10は、
図5および
図8のデータを備えた複合グラフを図示している。
【0026】
図11は、5ml体積を受け入れたチューブ・セグメント・サンプルの損傷モードを示す写真のセットであり、それらは、それぞれ、(a)受け取られたままのもの、(b)照射だけをしたもの、(c)後硬化だけをしたもの、および、(d)照射および後硬化をしたものである。見ることができるように、(d)の照射および後硬化したチューブ・セグメントが、最良の性能を示している。
【0027】
したがって、本開示の実施形態は、たとえば、医療用途において使用するための適切なエラストマー材料を作製または提供するための先行技法を上回る利益および利点を提供することが可能である。例示的な実施形態は、ポンプの中で使用されるチュービング・セグメントの形態のそのような改善したエラストマーを利用することが可能であり、ポンプは、たとえば、米国特許第8,790,305号において示されて説明されているようなものであり、その全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0028】
別段の指示がない限り、本明細書で議論されてきた、熱、照射、および検査を適用する方法およびステップは、本明細書で説明されてきた機能を果たすように構成されているコンピューター・システムの助けを借りて実装され得る。それぞれのコンピューター・システムは、1つまたは複数のプロセッサー、タンジブル・メモリー(たとえば、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)、リード・オンリー・メモリー(ROM)、および/または、プログラマブル・リード・オンリー・メモリー(PROMS)、タンジブル・ストレージ・デバイス(たとえば、ハード・ディスク・ドライブ、CD/DVDドライブ、および/またはフラッシュ・メモリー)、システム・バス、ビデオ処理コンポーネント、ネットワーク通信コンポーネント、入力/出力ポート、および/またはユーザー・インターフェース・デバイス(たとえば、キーボード、ポインティング・デバイス、ディスプレイ、マイクロホン、音声再生システム、および/またはタッチ・スクリーン)を含む。
【0029】
それぞれのコンピューター・システムは、デスクトップ・コンピューターまたはポータブル・コンピューター、たとえば、ラップトップ・コンピューター、ノートブック・コンピューター、タブレット・コンピューター、PDA、スマートフォンなど、または、車両、電化製品、および/もしくは、テレフォン・システムなどのような、より大きいシステムの一部であることが可能である。照射および/または加熱の制御のためのそれぞれのコンピューター・システムは、同じ場所または異なる場所において、1つまたは複数のコンピューターを含むことが可能である。異なる場所にあるときに、コンピューター同士は、有線ネットワーク通信システムおよび/または無線ネットワーク通信システムを通して、互いに通信するように構成され得る。
【0030】
それぞれのコンピューター・システムは、ソフトウェア(たとえば、1つまたは複数のオペレーティング・システム、デバイス・ドライバー、アプリケーション・プログラム、および/または通信プログラム)を含むことが可能である。ソフトウェアが含まれているときに、ソフトウェアは、プログラミング・インストラクションを含み、また、関連のデータおよびライブラリを含むことが可能である。含まれているときに、プログラミング・インストラクションは、本明細書で記載されているように、コンピューター・システムの機能のうちの1つまたは複数を実装する1つまたは複数のアルゴリズムを実装するように構成されている。また、それぞれのコンピューター・システムによって果たされるそれぞれの機能の説明は、その機能を果たすアルゴリズムの説明も構成する。
【0031】
ソフトウェアは、1つまたは複数のハード・ディスク・ドライブ、CD、DVD、および/またはフラッシュ・メモリーなどのような、1つまたは複数の非一時的なタンジブル・ストレージ・デバイスの上または中に保存され得る。ソフトウェアは、ソース・コードおよび/またはオブジェクト・コード・フォーマットになっていることが可能である。関連のデータは、任意のタイプの揮発性のメモリーおよび/または不揮発性のメモリーの中に保存され得る。ソフトウェアは、非一時的なメモリーの中にロードされ、1つまたは複数のプロセッサーによって実行され得る。
【0032】
議論されてきたコンポーネント、ステップ、特徴、利益、および利点は、単に例示目的のものである。それらのいずれも、または、それに関する議論ものいずれも、決して保護の範囲を限定することを意図していない。また、多数の他の実施形態も企図される。これらは、より少ない追加的なおよび/または異なるコンポーネント、ステップ、特徴、目的、利益、および利点を有する実施形態を含む。また、これらは、コンポーネントおよび/またはステップが異なって配置および/または順序にされている実施形態を含む。
【0033】
別段の記述がない限り、本明細書に述べられている(以下に続く特許請求の範囲のなかのものを含む)すべての測定、値、レーティング、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、おおよそのものであり、正確なものではない。それらは、合理的な範囲を有することが意図されており、合理的な範囲は、それらが関連する機能と一貫し、また、それらが関連する技術分野において慣習的であるものを有する。
【0034】
本開示の中に引用されてきたすべての記事、特許、特許出願、および他の刊行物は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0035】
特許請求の範囲の中で使用されるときに、「するための手段(means for)」という語句は、説明されてきた対応する構造体および材料ならびにそれらの均等物を包含することが意図されており、また、そのように解釈されるべきである。同様に、特許請求の範囲の中で使用されるときに、「ためのステップ(step for)」という語句は、説明されてきた対応する行為およびそれらの均等物を包含することが意図されており、また、そのように解釈されるべきである。請求項にこれらの語句がないということは、請求項がこれらの対応する構造体、材料、もしくは行為、または、それらの均等物に限定されるということは意図されておらず、また、そのように解釈されるべきではないということを意味している。
【0036】
保護の範囲は、ここで以下に続く特許請求の範囲のみによって限定される。その範囲は、本明細書および今後続く審査過程を参照して解釈されるときに、特別の意味が記述されている場合を除いて、特許請求の範囲の中で使用されている言語の通常の意味と一貫するような同じ広さであることを意図しており、また、そのように解釈されるべきであり、また、すべての構造的なおよび機能的な均等物を包含するということを意図しており、また、そのように解釈されるべきである。
【0037】
「第1の」および「第2の」などのような関係を表す用語は、単に、1つのエンティティまたはアクションを別のエンティティまたはアクションから区別するために使用され得り、必ずしも、それらの間の任意の実際の関係または順序を要求または暗示しているわけではない。「含む(comprises)」および「含む(comprising)」という用語、ならびに、その任意の他の変化形は、明細書または特許請求の範囲の中のエレメントのリストに関連して使用されるときに、リストが排他的でないということ、および、他のエレメントが含まれ得るということが意図されている。同様に、「1つの(a)」または「1つの(an)」が前に付くエレメントは、さらなる制約なしに、同一のタイプの追加的なエレメントの存在を排除していない。
【0038】
特許請求の範囲のいずれも、米国特許法の101条、102条、または103条の要件を満たさない主題を包含することを意図しておらず、また、特許請求の範囲のが、そのように解釈されるべきではない。そのような主題の任意の意図しない包含は、請求を放棄する。この段落に今述べられていることを除いて、記述または図示されてきたものはいずれも、それが特許請求の範囲の中に記載されているかいないかということにかかわらず、任意のコンポーネント、ステップ、特徴、目的、利益、利点、または均等物の、公衆への献上を生じさせることを意図しておらず、または、そのように解釈されるべきではない。
【0039】
要約書は、読者が技術的開示の性質を直ぐに確認することを助けるために提供される。要約書は、それが特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されることとはならないという理解とともに提出されている。それに加えて、先述の詳細な説明の中のさまざまな特徴が、さまざまな実施形態において、本開示を合理化するために一緒にグループ化されている。本開示のこの方法は、特許請求されている実施形態がそれぞれの請求項の中に明示的に記載されているものよりも多くの特徴を必要とすることを要求するように解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示されている実施形態のすべての特徴よりも少ない部分の中に存在する。したがって、以下の特許請求の範囲は、詳細な説明の中に組み込まれており、それぞれの請求項は、別々に特許請求されている主題として自立している。