特許第6802186号(P6802186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6802186眼科手術装置ハンドルならびに関連する装置、システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802186
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】眼科手術装置ハンドルならびに関連する装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   A61F9/007 130H
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-557160(P2017-557160)
(86)(22)【出願日】2016年5月5日
(65)【公表番号】特表2018-517461(P2018-517461A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】IB2016052572
(87)【国際公開番号】WO2016178178
(87)【国際公開日】20161110
【審査請求日】2019年4月9日
(31)【優先権主張番号】62/158,208
(32)【優先日】2015年5月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/866,401
(32)【優先日】2015年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ エーグリ
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−095999(JP,A)
【文献】 特開2014−050433(JP,A)
【文献】 特開平07−313520(JP,A)
【文献】 米国特許第05314440(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0082715(US,A1)
【文献】 米国特許第05591184(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/00‐ 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に形成されかつ加圧流体を受け入れるように構成された内腔と、
前記内腔と前記本体の外部との間に流体連通を提供する抜け穴であって、加圧状態と非加圧状態との間で前記内腔内の圧力状態を変更するように選択的に閉塞されるように適合された抜け穴と、
前記加圧状態に応じて作動位置に移動可能であり、前記非加圧状態に応じて非作動位置に移動可能であるピストンと、
前記ピストンが作動位置まで移動する速度を選択的に増減させるように構成された、第1調整部材と、
を備え、
前記第1調整部材が、前記本体に形成されたねじ切りボア内に受け入れられるねじ切り部材であり、前記第1調整部材が、前記本体内で流体圧力が増大する速度を選択的に増減させるように、前記本体の長手方向軸に対して垂直な方向に移動可能である、
眼科手術システム。
【請求項2】
前記本体内に配置された付勢部材であって、前記ピストンを前記非作動位置に付勢するように構成された付勢部材をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ピストンが非作動位置に戻る速度を選択的に増減させるように構成された、第2調整部材をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2調整部材が、前記本体に形成されたねじ切りボア内に受け入れられるねじ切り部材であり、前記第2調整部材が、前記ピストンに隣接するチャンバ内において前記チャンバ内の流体圧力が軽減される速度を選択的に増減させるように、移動可能である、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
流体源に結合されるように構成されたノズルをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記本体が、定の外側円筒形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記本体が複数のセクションを備え、前記複数のセクションが異なるサイズを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記本体の先端部分に配置されたコネクタをさらに備え、前記コネクタが、取外し可能な器具チップとインタフェースするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年5月7日に出願された米国仮特許出願第62/158208号明細書の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、眼科手術装置、システムおよび方法に関する。より詳細には、ただし限定としてではなく、本開示は、装置ハンドル内の流体圧力を選択的に変化させることにより器具チップを作動させる装置、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
顕微手術処置では、さまざまな体内組織を精密に切断しかつ/または除去することが必要であることが多い。たとえば、眼科手術処置によっては、硝子体液、すなわち後眼部を充填する透明なゼリー状物質の一部を切断し除去する必要がある。硝子体液または硝子体は、網膜に付着することが多い多数の微細な原線維から構成される。したがって、硝子体を切断し除去することは、網膜に対する牽引、脈絡膜からの網膜の分離、網膜裂孔、または最悪の場合は網膜自体の切断および除去を回避するように、細心の注意を払って行わなければならない。膜の切断および除去は、可動組織管理(たとえば、網膜の剥離部分または網膜裂孔の近くの硝子体の切断および除去)ならびに硝子体基底部切開等、いくつかの細心の注意を要する手術において、膜の切断および除去は特に困難である可能性がある。
【0004】
顕微手術用鉗子または剪刀等の手持ち式手術器具を用いて、さまざまな体内組織を切断しかつ/または除去することができる。一般に、市販の手持ち式器具は、手動作動式である。すなわち、器具ハンドル内の機構に対して、外科医または他の医療専門家等の術者の手または指を力で押し付けて、器具チップを作動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作動中、器具チップが眼内の標的解剖学的構造の近くで安定したままであることが必須である。手動作動は執刀医には理想的ではなく、それは、執刀医は、自身の手または指において作動機構の摩擦および/またはヒステリシスを感じる可能性があるためである。さらに、器具チップのスティックスリップ効果または意図しない自発的な移動が発生する可能性がある。その結果、安定したチップの位置決めを達成するために、執刀医は、摩擦、ヒステリシスおよび/またはスティックスリップ効果を除去することにより、かつ手術装置の移動を最小限にすることにより、チップの作動および位置決めを注意深く調整しなければならない。器具チップを作動させるために1本または複数本の指を力で押し付ける必要があることにはまた、解剖学的構造の把持または剥離等の手術作業の精度に悪影響を及ぼす。
【0006】
空気圧式システムは、上述した手動作動システムに代わるものである。空気圧式システムでは、器具チップの作動は、たとえば、フットペダルの押下によって達成することができる。この種のシステムでは、執刀医の手から作動動作を取り除くことにより、上記課題のうちのいくつかが解決されるが、手と足との間にある程度の協調が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、本開示は、本体に形成されかつ加圧流体を受け入れるように構成された内腔を有する本体と、内腔と本体の外部との間に流体連通を提供する抜け穴とを含む眼科手術システムについて記載する。抜け穴は、加圧状態と非加圧状態との間で内腔内の圧力状態を変更するように、選択的に閉塞されるように適合され得る。
【0008】
本開示の別の態様は、流体源、眼科装置ハンドルおよび器具チップを含む眼科手術システムに関する。眼科装置ハンドルは、本体と、本体に形成されかつ流体源と流体連通している内腔と、抜け穴と、ピストンとを含むことができる。抜け穴は、本体に形成され、内腔と本体の外部との間に流体連通を提供することができる。抜け穴は、加圧状態と非加圧状態との間で内腔内の圧力状態を変更するように選択的に閉塞されるように適合され得る。ピストンは、本体に少なくとも部分的に形成され、加圧状態に応じて作動位置に移動可能であり、非加圧状態に応じて非作動位置に移動可能であり得る。器具チップは、眼科装置ハンドルに結合され得る。器具チップは、ピストンの作動位置への移動に応じて作動形態になるように移動可能であり、ピストンの非作動位置への移動に応じて非作動形態になるように移動可能であり得る。
【0009】
本開示の第3態様は、眼科手術処置を行う方法に関する。本方法は、眼科手術器具のハンドルを把持するステップを含むことができる。眼科手術器具は、内腔と、内腔と眼科手術器具の外部との間に流体連通を提供する抜け穴とを含むことができる。眼科手術器具は、内腔を通り抜け穴から出る連続的な流体流を可能にするように構成され得る。本方法はまた、眼の組織の近くに、眼科手術器具の器具チップを位置決めするステップと、内腔内の流体圧力を上昇させるように抜け穴を閉塞するステップと、内腔内の流体圧力の上昇に応じて眼の組織に作用するように、器具チップを作動させるステップとを含むことができる。
【0010】
本開示のさまざまな態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。本体内に、付勢要素を配置することができる。付勢要素は、ピストンを非作動位置に付勢するように構成され得る。ピストンが非作動位置まで戻る速度を選択的に増減させるように、第1調整部材を構成することができる。ピストンが作動位置まで移動する速度を選択的に増減させるように、調整部材を構成することができる。調整部材は、本体に形成されたねじ切りボア内に受け入れられるねじ切り部材であり得る。調整部材は、本体内で流体圧力が増大する速度を選択的に増減させるように、本体の長手方向軸に対して垂直な方向に移動可能であり得る。ピストンが非作動位置に戻る速度を選択的に増減させるように、調整部材を構成することができる。調整部材は、本体に形成されたねじ切りボア内に受け入れられるねじ切り部材であり得る。第2調整部材は、チャンバ内の流体圧力が軽減される速度を選択的に増減させるように、ピストンに隣接するチャンバ内で移動可能であり得る。流体源に結合されるように、ノズルを構成することができる。本体は、実質的に一定の外側円筒形状を有することができる。本体は複数のセクションを含むことができる。複数のセクションは異なるサイズを有することができる。本体の先端部分に、コネクタを配置することができる。コネクタは、取外し可能な器具チップとインタフェースするように構成され得る。
【0011】
本開示のさまざまな態様はまた、以下の特徴のうちの1つまたは複数も含むことができる。手術用コンソールに流体源を組み込むことができる。抜け穴が閉塞されている間に、器具チップを移動させることができる。抜け穴を空けることによって、器具チップを非作動位置に戻すことができる。ハンドルに器具チップを結合することができる。流体源に手術器具を結合することができる。器具チップが非作動位置に戻る速度を調整するように、本体内の調整部材の位置を変更することができる。器具チップが作動位置まで移動する速度を調整するように、本体内の調整部材の位置を変更することができる。
【0012】
上述した全体的な説明ならびに以下の図面および詳細な説明の両方が、本質的に例示的かつ説明的であり、本開示の範囲を限定することなく本開示の理解を提供するように意図されていることが理解されるべきである。それに関して、本開示のさらなる態様、特徴および利点は、以下から当業者には明らかとなろう。
【0013】
添付図面は、本明細書に開示するシステム、装置および方法の実施形態を例示し、説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】眼科装置ハンドル例を含む眼科手術システムの図である。
図2】器具チップに結合された、図1の眼科手術システムの眼科装置ハンドル例の斜視図である。
図3】眼科装置ハンドル例のその基端部を示す斜視図である。
図4図3の眼科装置ハンドルのその先端部を示す別の斜視図である。
図5図3の眼科装置ハンドルの断面図を示す。
図5A図5の眼科装置ハンドルの一部の断面図を示す。
図6】眼科装置ハンドル例のその基端部を示す斜視図である。
図7図6の眼科装置ハンドルのその先端部を示す別の斜視図である。
図8図6の眼科装置ハンドルの断面図を示す。
図9図6の眼科装置ハンドルの一部の断面図を示す。
図10】眼科手術処置を行う方法を示すフローチャート例である。
図11】眼内におけるインサイチュで非作動位置にある器具チップを示す。
図12】眼内におけるインサイチュで作動位置にある器具チップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これらの図は、以下の詳細な説明(発明を実施するための形態)を参照することによってよりよく理解されよう。
【0016】
本開示の原理の理解を促進する目的で、ここで、図面に示す実施形態を参照し、それらを説明するために具体的な文言を使用する。それにも関わらず、本開示の範囲の限定は意図されていないことが理解されよう。記載する装置、器具、方法、および本開示の原理の任意のさらなる応用に対する任意の改変およびさらなる変更は、本開示が関連する技術分野の当業者には通常想到するように、完全に企図されている。特に、1つまたは複数の実施態様に関して記載する特徴、構成要素および/またはステップを、本開示の他の実施態様に関して記載する特徴、構成要素および/またはステップと組み合わせることができることが十分に企図されている。簡単のために、場合によっては、図面を通して同じかまたは同様の部分を指すために同じ参照番号を用いる。
【0017】
本開示は、概して、眼科装置ハンドル内の圧力を変化させることにより器具チップを作動させる装置、システムおよび方法に関する。ハンドルは、内腔と、内腔と外部環境との間の流体連通を提供する抜け穴とを含むことができる。ハンドルは、内腔を通って抜け穴から出る連続的な流体流を提供する空気源または他の流体源に接続することができる。いくつかの実施態様では、空気源は、ハンドルに圧縮空気を提供する圧縮空気源であり得る。執刀医または他の医療専門家等の術者は、抜け穴の上に指を配置することによって抜け穴を閉塞することができる。ハンドルの内部の圧力は、上昇してピストンを作動させ、それにより、ピストンは器具チップを作動させる。術者が抜け穴から自身の指を取り除くと、ハンドルの内部の流体圧力は低下し、それにより、ピストンおよび器具チップが非作動位置に戻る。
【0018】
本開示の装置、システムおよび方法は、多くの利点を提供する。機械式作動が流体流ベースの作動に置き換わるため、術者は、機械的作動に関連する摩擦、ヒステリシスおよび/またはスティックスリップ効果を補償することに重点を置く必要がなくなる。さらに、術者は、(機械的作動の場合にレバーまたはハンドルを押下するために必要な力と比較して)より小さい力を用いてハンドルの流体抜け穴を閉鎖することができる。その結果、解剖学的構造を把持するかまたは剥離する等、手術的操作の精度が向上する。さらに、術者は、自身の解剖学的構造の別の部分で別個の装置を作動させるのを回避することができる。たとえば、フットスイッチを操作することによって作動させることができる器具の場合、術者は、手および足の動きを協調させるのを回避することができる。
【0019】
図1は、例としての眼科手術システム100を示す。システム100は、前眼部処置、後眼部処置、網膜硝子体処置、硝子体切除処置、白内障処置および/または他の所望の処置等、さまざまな眼科処置で使用することができる。システム100は、眼科装置ハンドル110を含むことができる。ハンドル110は、術者が把持するためのサイズおよび形状とすることができる。ハンドル110は、任意の所望のまたは好適な材料から作製することができ、たとえば、射出成形または機械加工を含む任意の方法によって形成することができる。たとえば、ハンドル110は、熱可塑性物質または金属から作製することができる。また、握りやすくするために、ハンドル110の一部に対して、凹凸にするかまたはギザギザを付けることができる。
【0020】
図1図5Aを参照すると、ハンドル110は本体111を含むことができる。図1は、ハンドル110の側面図である。図2および図4は、本体111の先端部分113が最前面で示されている、ハンドル110の斜視図である。図2に示すハンドル110の向きに対して、図4のハンドル110は、長手方向軸LAを中心に180°回転している。図3は、本体111の示されている基端部分115が最前面にある、ハンドル110の斜視図である。図5は、ハンドル110の断面図であり、図5Aは、図5のハンドル110の一部を示す。
【0021】
ハンドル110の本体111は、セクション112および114を含むことができる。図示する例では、セクション112および114は円筒状の形状である。しかしながら、他の実施態様では、セクション112および114は異なる形状を有することができる。場合によっては、セクション112および114は同じかまたは同様の形状を有することができる。他の実施態様では、セクション112および114は異なる形状を有することができる。
【0022】
例としての本体111は2つのセクションを有するものとして示されているが、他の実施態様では、本体111はそれより少ないセクションまたは追加のセクションを含むことができる。たとえば、場合によっては、本体111は単一セクションを含むことができる。さらに他の場合では、本体111は、3つ以上のセクションを含むことができる。図示する例としての本体111では、セクション112、114の各々は異なる外径を有する。術者が握りやすくするために、先端セクション112は基端セクション114より大きい直径を有する。場合によっては、本体111の外径は、実質的にその全長に沿って同じであり得る。さらに他の場合では、本体111は3つ以上のセクションを有することができ、その各々が異なる直径を有する。概して、本体111は、術者が握りやすくする任意の方法でサイズを決めかつ成形することができる。
【0023】
システム100は、ハンドル110に取外し可能に結合されるように構成された器具チップ130を含む。図1では、ハンドル110は器具チップ130から分離されている。図2は、器具チップ130に結合されたハンドル110を示す。ハンドル110は、先端部分113に、器具チップ130と機械的にインタフェースするコネクタ116を含む。コネクタ116および/または器具チップ130は、2つの構成要素の間の所望の接続を促進するように、異なる実施態様でさまざまなサイズおよび形状とすることができる。場合によっては、器具チップ130は、単回使用すなわち使い捨てであり得る。他の場合では、器具チップ130は再使用可能であり得る。たとえば、場合によっては、器具チップ130は、滅菌した後に再使用することができる。
【0024】
場合によっては、ハンドル110は再使用可能であり得る。たとえば、場合によっては、ハンドル110は、オートクレーブ処理可能かつ/または他の方法で滅菌可能であり得る。ハンドル110は、異なる手術処置で利用することができる。たとえば、異なる手術処置では、他の手術処置とは異なる1つまたは複数の器具チップが必要である可能性がある。1つまたは複数の異なる器具を必要とする異なる手術処置において、適切な手術用チップを選択しそれをハンドル110に結合することにより、ハンドル110を使用することができる。さらに、単一の手術処置の過程の間に同じハンドル110に異なる器具チップを結合することができる。
【0025】
本明細書における実施態様は、取外し可能な器具チップ130について言及する可能性があるが、ハンドル110は、取外し不可能なかつ/または固定して結合された器具チップがあるように実施することができることが理解される。ハンドル110および器具チップ130は、合わせて、眼科手術器具150と呼ぶことができる。
【0026】
器具チップ130は、任意の手術用具であり得る。たとえば、器具チップ130は、鉗子、剪刀および/または他の所望の器具であり得る。術者は、器具チップ130を用いて手術部位において組織を切断し、引き裂き、取り扱い、かつ/または他の方法で操作することができる。鉗子は、図1図2図11および図12に示す特定の器具チップであるが、ハンドル110とともに任意の好適な器具チップを利用することができることが理解される。
【0027】
図1の例示的な実施態様では、器具チップ130は、本体132、作動チューブ136およびジョー134を含む。ジョー134は、組織を切断し、引き裂き、取り扱い、かつ/または操作等するように、標的手術組織と直接接触する器具チップ130の部分であり得る。場合によっては、ジョー134は、ステンレス鋼またはチタンから形成することができる。しかしながら、他の材料も使用することができる。たとえば、場合によっては、ポリプロピレン等のポリマー材料からジョー134を形成することができる。本開示の範囲はそのようには限定されない。したがって、ジョー134を形成するために他の材料を使用することができる。ジョー134は、チューブ135の先端部から突出する。場合によっては、本体132に対してジョー134を固定することができる。チューブ135は、ジョー134の上をかつジョー134に対して摺動可能とすることができ、それにより、作動チューブ136の先端部135がジョー134と係合して、ジョー134を選択的に開閉する。他の場合では、本体132に対してチューブ作動136を固定することができ、ジョー134は、作動チューブ136に対して摺動可能とすることができ、それにより、ジョー134は、作動チューブ136の先端部135と係合して、ジョー134を選択的に開閉する。
【0028】
ジョー134は、作動チューブ136を通って延在するステムを含むことができる。ジョー134を含むアセンブリの基端部分は、作動チューブ136および本体132内に配置することができる。場合によっては、作動チューブ136は、チタン、ステンレス鋼または好適なポリマー等、任意の好適な医療グレードの管であり得る。作動チューブ136およびジョー134のステムは、作動チューブ136およびステムが互いに対して容易に往復運動するようなサイズとすることができる。たとえば、後眼部における手術処置では、作動チューブ136は、強膜を通って眼球内に伸びることができ、ジョー134は、標的手術組織に近接して配置される。
【0029】
器具チップ130は、少なくとも2つの位置(たとえば、非作動位置、作動位置等)の間で作動可能であり得る。たとえば、器具チップ130が作動すると、作動チューブ136は本体132に対して先端側に(すなわち、矢印137の方向に)並進することができ、ジョー134に作用して閉鎖状態に向かって互いに近づける。器具チップ130が非作動位置に戻ると、作動チューブ136は、本体132に対して基端側に(すなわち、矢印139の方向に)並進し、それによりジョー134が開放する。
【0030】
いくつかの実施態様では、器具チップ130は、3つ以上の位置の間で作動可能であり得る。たとえば、器具チップ130は、閉鎖形態、開放形態、および開放形態と閉鎖形態との間に配置された中間形態に作動可能であり得る。いくつかの実施態様では、ジョー134を閉鎖形態であるように付勢することができ、それにより、器具チップ130を作動させることによってジョー134が開放する。他の実施態様では、ジョー134を開放形態であるように付勢することができ、それにより、器具チップ130を作動させることによってジョー134が閉鎖する。本明細書においてより詳細に記載するように、ハンドル110のピストン550が作動すると、器具チップ130を作動させることができる。
【0031】
システム100は、ハンドル110と流体連通する流体源142を含むことができる。流体源142は、任意の好適な液体および/または気体等の流体をハンドル110に出力するように構成することができる。流体源142は、手術用コンソール140の一部であり、かつ/または他の方法でその流体工学カセットもしくは流体力学サブシステムと流体連通することができる。他の場合では、流体源142は、手術用コンソールとは別個であり得る。流体源142は、流体のリザーバまたはこうしたリザーバと流体連通する機構を含むことができる。たとえば、そうした機構は、ポンプ、圧縮機、および/または本明細書に記載するようにハンドル110に連続的な流体流を提供するように構成された流体力学サブシステムの構成要素であり得る。
【0032】
いくつかの実施態様では、流体源142は空気源とすることができ、ハンドル110にかつその内部で連続的な空気流を提供することができる。図1に示すように、流体源142は、手術用コンソール140に組み込まれている。同様に説明したように、流体源142は、他の実施態様では、手術用コンソール140とは別個であり得る。チューブ126等、流体を搬送するように構成された任意の好適な導管が、ハンドル110の基端部分115において流体源142とノズル118との間で延在することができる。
【0033】
図5を参照すると、流体源142からの流体は、ノズル118を介してハンドル110に入ることができる。ノズル118の内腔510は、ハンドル110の内腔520と流体連通することができる。図5に示す例では、ノズル118は、(製造中、滅菌された後、手術での使用の前等)ハンドル110の本体111に結合される別個の構成要素である。たとえば、いくつかの実施態様では、ノズル118は本体111のボア内に受け入れることができ、その際、ノズル118の雄ねじ面が、本体111のボアの雌ねじ面と嵌合係合する。他の実施態様では、本体111と一体的にノズル118を形成することができる。
【0034】
再び図1を参照すると、流体源142は、コンピューティングデバイス144に通信可能に結合することができる。コンピューティングデバイス144は、プロセッサ、メモリおよび/または他の好適な構成要素を含む任意の所望の処理回路アーキテクチャを含むことができる。コンピューティングデバイス144は、流体流を開始する、流体流を停止する、流体の流量を増大させる、流体の流量を低減させる等のために、制御信号を生成し、流体源142に送信することができる。コンピューティングデバイス144は、システム100のさまざまな箇所における流体圧力および/または他のパラメータ(たとえば、流体源142の出力圧力、ハンドル110内の圧力等)をモニタリングして、それに基づいて制御信号を生成するように構成することができる。コンピューティングデバイス144はまた、コンピューティングデバイス144に通信可能に結合された1つまたは複数のユーザ入力デバイスを介して受け取られるユーザ入力に応じて、制御信号を生成しかつ送信することも可能である。図1の実施態様では、コンピューティングデバイス144は、手術用コンソール140に組み込まれている。他の場合では、流体源142は、手術用コンソール140とは別個であり得る。
【0035】
図5を参照すると、ハンドル110は内腔520を含む。図示する実施態様では、内腔520は、その全長に沿って一定の直径を有する。他の実施態様では、内腔520の直径は、たとえば相対的に大きいかまたは小さい直径の部分等、その長さに沿って変化することができる。さらに、ハンドル110および内腔520は円形断面を有するものとして示されているが、本開示の範囲はそのように限定されない。むしろ、ハンドル110および/または内腔152は任意の形状を有することができる。たとえば、内腔520は任意の円筒形状を有することができる。さらに、内腔520の円筒形状は、その長さに沿って一定であり得る。他の場合では、内腔520のサイズは、その長さに沿って変化することができる。
【0036】
内腔520は、ハンドル110を通る流体流(たとえば、気体流、液体流等)を可能にする。たとえば、圧縮空気等の空気は、ハンドル110の基端部分115から先端部分113に向かって流れることができる。内腔520は、ハンドル110の実質的な長さに沿って延在することができる。たとえば、内腔520は、ハンドル110の長さに対して約1%〜約99%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、50%を超える、および他の所望の割合で延在することができる。
【0037】
図5および図5Aを参照すると、内腔520は、ハンドル110の先端部分113における抜け穴120と流体連通することができる。抜け穴120は、内腔520とハンドル110の外部との間の流体連通を提供する。場合によっては、ハンドル110から離れる方向に流体を向ける導管に、抜け穴120を結合することができる。したがって、内腔520を通って流れる流体は、抜け穴120を介してハンドル110から出ることができる。
【0038】
図5Aに示す例では、抜け穴120は、取付具542に形成された開口部として画定される。取付具542は、ボア540の内部に形成された対応するねじ切り面と嵌合係合する雄ねじ面を含むことができる。しかしながら、取付具542は、任意の所望の方法でハンドル110に取外し可能にまたは固定して取り付けることができる。場合によっては、取付具542は、ハンドル110の外面から突出することができる。このため、術者は、自身の指で触覚を用いて抜け穴120の位置を触知的に容易に特定することができる。場合によっては、抜け穴120の断面サイズは、小さくするかまたは他の方法で最小限にすることができる。抜け穴120の小さい断面サイズにより、術者は、より大きい断面サイズを有する抜け穴120を閉鎖するために必要な可能性のある力より小さい力で、抜け穴120を閉鎖することができる。
【0039】
取付具542は、本体111に結合される別個の構成要素であり得る。他の実施態様では、取付具542をなくすことができ、抜け穴120のための突起を本体111に一体的に形成することができる。さらに他の実施態様では、抜け穴120は、内腔520と流体連通する本体111の開口部であり得る。
【0040】
図1図5Aに示すように、抜け穴120は、ハンドル110の先端部分113に配置されている。他の実施態様では、抜け穴120は、本体111に沿った任意の所望の位置に配置することができる。たとえば、抜け穴120は、ハンドル110の中心部分または基端部分115に沿って配置することができる。図示する実施態様は単一の抜け穴120を含むが、他の実施態様は、互いに近接するかまたは互いから間隔を空けて配置されている2つ以上の抜け穴を含むことができる。こうした実施態様では、術者は、それぞれの2つ以上の抜け穴の上に2本以上の指を配置して、器具チップ130を制御することができる。
【0041】
再び図5および図5Aを参照すると、内腔520は、内腔530と流体連通している。内腔530は、ボア536およびチャンバ538と交差する。チャンバ538は、チャネル540、取付具542のボア544および抜け穴120と流体連通している。したがって、流体コース142からの流体は、ノズル119を介してハンドルに入り、内腔510、520および530を通過し、チャネル540およびボア544を通過し、抜け穴120を通ってハンドル110から出ることができる。
【0042】
図5Aに示すように、ハンドル110はまた、ボア545も含む。コネクタ116は、嵌合するねじ式接続部547等により、ボア545内に受け入れることができる。ボア545内に、ピストンヘッド551およびピストンステム553を有するピストン550が配置される。ピストン550のピストンステム553は、コネクタ116に形成されたボア555を通って延在する。ボア555の拡大部分557内に付勢要素552が受け入れられ、それは、ボア553のフランジ面559とピストンヘッド551の先端面561との間に配置される。図示する例では、付勢要素552はコイルばねである。しかしながら、本開示の範囲はそのように限定されない。むしろ、付勢要素は、ピストン550を所望の方向に付勢するように動作可能な任意の好適な要素であり得る。
【0043】
使用時、流体は、流体源142からチューブ126を介してハンドル110に流れる。流体は、ノズル118の内腔510に入り、内腔520、内腔530、チャンバ538、チャネル540およびボア544内に流れ込む。抜け穴120が閉塞されていないとき、流体は、抜け穴120を介してハンドル110から出る。抜け穴120が閉塞されていない限り、流体は、連続的に、内腔520を通って、基端部分115から先端部分113に向かって流れ、抜け穴120から出ることができる。コンピューティングデバイス144は、流体がハンドル110に連続的に流れるように、一定のまたは可変の出力圧力、流量等を提供するように、制御信号を流体源142に提供することができる。抜け穴120が閉塞されていないとき、流体は連続的にハンドル110を通って抜け穴120から流れ出るため、ハンドル110内の流体圧力は同じままであり得る。抜け穴120が、術者の指によって覆われること等によって閉塞されると、ハンドル110内の流体圧力は上昇する。術者は、抜け穴120を完全にまたは部分的に閉塞して、ハンドル110内の流体圧力が上昇するようにすることができる。術者は、ピストン550の作動の量を制御するために、抜け穴120を閉塞することができる。抜け穴120が部分的にまたは完全に閉塞されると、ハンドル110は、加圧状態にあるとみなすことができる。ハンドル110は、抜け穴120が閉塞されていないとき、非加圧状態にあるとみなすことができる。流体圧力は、ピストンヘッド551に作用してピストン550を変位させる。付勢要素552によってかけられる力を克服するために十分高いレベルで、上昇した流体圧力は、矢印137の方向においてピストン550を先端側に変位させる。矢印137の方向におけるピストン550の移動により、器具チップが作動する。たとえば、器具チップ130に関して、ピストン550を先端側に変位させることにより、作動チューブ136が先端側に変位し、ジョー134の閉鎖をもたらすことができる。したがって、ハンドル110内の流体圧力を上昇させることにより、術者は、たとえば、ジョー134によって解剖学的構造を把持する等のために器具チップ130を作動させることができる。抜け穴120が閉塞されていないとき、流体圧力は、抜け穴120を介してハンドル110から抜けることができる。流体圧力の低下に応じて、付勢要素552は拡張し、矢印139の方向において基端側にピストン550を変位させる。その結果、器具チップ130は、非作動位置に戻される。したがって、図示する例では、ジョー134は、開放位置に戻される。
【0044】
例としてのハンドル550は、チャンバ538内で流体圧力が上昇すると、ピストン550を先端側に移動させるように構成されているが、他の実施態様は異なるように機能することができる。たとえば、他の場合では、チャンバ538内の流体圧力が上昇したときに、ピストン550が矢印139の方向において基端側に変位し、チャンバ538内の流体圧力の低下により、ピストン550が矢印137の方向において先端側に変位するように、ハンドル110を構成することができる。図5および図5Aに示す例としてのハンドル110は、ピストン550のリニア並進によって作動するが、本出願の範囲はそのように限定されない。むしろ、他の実施態様では、ピストン550は、作動したときに、回転し、枢動し、かつ/または他の方法で移動することができる。
【0045】
術者は、器具チップ130(たとえば、ジョー134)を作動位置で維持することを望む限り、抜け穴120の上に自身の指を維持することができる。たとえば、術者が解剖学的構造を把持して移動させる間、抜け穴120を覆うことができる。術者が自身の指を抜け穴120から取り除くとき等、抜け穴120が閉塞された後に開放されると、ハンドル110内部の流体圧力が低下し、器具チップ130は非作動位置に戻る。たとえば、流体圧力が低下すると、付勢要素552に作用している(たとえば、チャンバ538内の)流体の力は、付勢要素552の力を克服するには十分でなくなる。付勢要素552は、ピストン550を付勢して、ピストン550が非作動位置まで基端側に並進するようにする。たとえば、術者は、抜け穴120から自身の指を取り除くことにより、ジョー134から解剖学的構造を解放することができる。
【0046】
本開示の範囲内のハンドルはまた、調整部材も含むことができる。たとえば、ハンドル110は、ハンドル110内の流体流を制御する調整部材122および124を含む。調整部材122および124は、本体111の先端部分113に配置される。場合によっては、調整部材122および124は、抜け穴120の反対側に配置することができる。しかしながら、長手方向軸LAに対して任意の半径方向位置に、調整部材122および/または124を配置することができる。調整部材122および124の位置により、器具チップ130が作動位置まで移動し非作動位置に戻る速度(velocity)(または速度(rate))を決めることができる。
【0047】
調整部材124は、ピストン550および器具チップ130が作動位置まで移動する速度を選択的に増減させるように構成されている。概して、調整部材124は、チャンバ538内の流体圧力が増大する速度を選択的に増減させるようにさまざまなサイズおよび形状とすることができる。調整部材124は、ボア564内に受け入れられるねじまたは他のねじ切り構成要素であり得る。図示する実施態様では、調整部材124は、本体111の長手方向軸LAに対して垂直な方向に移動可能である。他の実施態様では、調整部材124は、長手方向軸LAに対して他の向きで配置することができる。図示するように、たとえば、調整部材124は、内腔520に対して横切る方向に移動可能であり得る。概して、調整部材124は、ハンドル110内の任意の流体通路(たとえば、内腔510、内腔520、内腔530等)に対して横切る方向に移動可能であり得る。術者は、調整部材124の一部が流体通路を閉塞するか、すべてが閉塞するか、またはいずれも閉塞しないように、調整部材124を位置決めすることができる。
【0048】
図5Aを参照すると、調整部材124は、調整部材124が内腔530を完全に閉塞するように配置するか、調整部材124のいずれの部分も内腔530を閉塞しないように配置するか、またはそれらの間の任意の場所に配置することができる。調整部材124が内腔530を完全に閉塞するとき、調整部材124の先端部はボア536内に受け入れられる。調整部材124が内腔530内にさらに移動すると、内腔530の断面積は低減する。したがって、調整部材124は、ハンドル110を通って流れる流体に対する障害物を生成する。その結果、ノズル118の内腔510を介してハンドルに入る流体が、調整部材124の周囲で流れなければならなくなる。したがって、調整部材124に対して基端側の(たとえば、矢印139の方向における)流体圧力は、調整部材124に対して先端側の(たとえば、矢印137の方向における)流体圧力より大きい。術者の指が抜け穴120の上に配置されるとき等、抜け穴120が閉塞されると、調整部材124の先端側における流体圧力が低下することによってまた、チャンバ538内の流体圧力が増大してピストン550を作動させる時間が比較的長くなる。したがって、調整部材124が内腔530を横切って延在するほど、ピストン550が作動する速度が遅くなる。対照的に、調整部材124が内腔530を閉塞する程度が低くなる(またはまったく閉塞しない)とき、流体流に対する障害物は少なくなる(または、障害物はなくなる)。したがって、調整部材124の基端側に対する流体圧力は、調整部材124の先端側に対する流体圧力より、比較的小さい量、高くなる可能性がある(または、基端側および先端側の流体圧力が等しい可能性がある)。したがって、チャンバ538内の流体圧力は、比較的高速に増大し、ピストン550は、それに応じて、比較的高速に作動する。
【0049】
調整部材122は、ピストン550および器具チップ130が非作動位置に戻る速度を選択的に増減させるように構成することができる。概して、調整部材122は、抜け穴120の断面積を制限し、それにより抜け穴120から出る流体流量を低減させること等により、ハンドル110内の圧力が軽減される速度を選択的に増減させるように、さまざまなサイズおよび形状とすることができる。たとえば、調整部材122は、ボア560内に受け入れられるねじまたは他のねじ切り構成要素であり得る。ボア560は、チャンバ538と流体連通している。チャンバ538は、ピストン550に隣接し、内腔530および抜け穴120と流体連通している。図示する実施態様では、調整部材122は、チャンバ538内で移動可能である。術者は、チャンバ538を占有する調整部材122の量を変化させるように、調整部材122を位置決めすることができる。他の実施態様では、調整部材122は、チャンバ538以外のハンドル110の流体通路内等、ハンドル110の別の場所に配置することができる。図示する実施態様では、調整部材の端部562がチャンネル540の入口564に対して近接して存在するように、調整部材122を、チャンバ538内に延在するようにすることができる。調整部材122がチャンバ538内にさらに移動し、端部562が入口564内にさらに移動すると、入口564の断面積および抜け穴120から出る流体流の量が低減する。調整部材122のいずれの部分もチャンバ538の一部を占有しないように、調整部材122を位置決めすることも可能である。こうした状況では、調整部材122は、チャネル540の入口564の断面積を低減させない。ピストン550が矢印139の方向に移動することによって非作動位置に戻るとき、ピストン550の所望の移動速度を提供するように、チャンバ538内の任意の所望の位置にかつ入口564に対して、調整部材122を位置決めすることができる。
【0050】
ピストン550を非作動位置まで戻すために、術者は、抜け穴120の上から自身の指を取り除いて抜け穴120から流体が流れ出るのを可能にする。調整部材122が、入口564の断面積を低減させるように、かつ抜け穴120から出る流体流を低減させるように位置決めされた状態で、チャンバ538内の流体圧力は、比較的低速で軽減される(すなわち、低下する)。チャンバ538内の圧力低下が低速になることにより、ピストン550は対応して低速で非作動位置に戻るようになる。調整部材122の端部562が入口564からさらに遠くに位置決めされる場合、入口564の断面積は、より低い程度まで低減し(または全く低減せず)、比較的多くの流体が抜け穴120から流れ出る。したがって、術者が、抜け穴120から自身の指を取り除くと、ピストン550は比較的高速で非作動位置に戻り、それは、流体圧力が、より少ない流体が抜け穴120から流れ出るときより高速でチャンバ538内で軽減されるためである。
【0051】
状況によっては、調整部材122は、ピストン550が作動する速度を選択的に増減させることができる。概して、調整部材122は、ピストン550に隣接するチャンバ538の容積を選択的に増減させることができる。調整部材122がチャンバ538内にさらに移動し、チャンバ538のより多くの部分を占有すると、流体が占有することができるチャンバ538の容積が低減する。術者は、指で抜け穴120を覆ってピストン550を作動させることができ、それにより、チャンバ538内の流体圧力が上昇する。チャンバ538の容積は、調整部材122の結果として小さくなるため、チャンバ538内の流体圧力は比較的高速で上昇する。調整部材122がチャンバ538のより少ない部分を占有する(またはまったく占有しない)場合、チャンバ538の容積は比較的大きい。したがって、抜け穴120が閉塞されると、ピストン550は比較的低速で作動し、それは、チャンバ538の容積が比較的大きいためである。
【0052】
図6図9は、別の例としての眼科装置ハンドル610を示す。図6および図7は、ハンドル610の斜視図である。図6の最前面には、本体612の基端部分615が示されている。図7の最前面には、本体612の先端部分613が示されている。図6に示すハンドル610の向きに対して、図7におけるハンドル610は、長手方向軸LAを中心に180°回転している。図8および図9は、ハンドル610の断面図である。
【0053】
図1に示す手術システム100等の手術システムにおいて、ハンドル610を実装することができる。ハンドル610は、本明細書に記載したハンドル110に対して多くの点で同様であり得る。ハンドル610は、本体612を含む。本体612は、概して円筒状であり、その全長に沿って実質的に一定の直径を有する。他の実施態様では、本体612は、さまざまなサイズおよび形状であり得る。本体612のサイズおよび形状は、術者が把持しやすいように選択することができる。ハンドル610は、コネクタ616を介して、図1に示す器具チップ130と同様の器具チップ等の器具に、取外し可能に結合することができる。コネクタ616および/または器具チップは、2つの構成要素の間の所望の接続を促進するように、異なる実施態様においてさまざまなサイズおよび形状とすることができる。
【0054】
ハンドル610は、図1に示す流体源142と同様の流体源と流体連通することができる。たとえば、流体源とハンドル610との間に、流体を搬送するように構成された任意の好適な導管が延在することができる。流体導管は、基端部分613等において、ハンドル610のポート611に結合することができる。流体は、ハンドル610内のさまざまな流体通路を通って連続的に流れることができる。ハンドル610は、その長さに沿って延在する内腔614を含む。内腔614は、流体源から流体を受け取る。例としての内腔614は、一定の直径を有するように示されているが、本開示の範囲はそのように限定されない。むしろ、他の実施態様では、内腔614の直径は変化する可能性がある。さらに、他の実施態様では、内腔614は、断面が円形でない場合がある。むしろ、内腔614の任意の所望の形状およびサイズを選択することができる。内腔614が本体612内で延在する長さもまた変更することができる。内腔520に関して記載したように(図5)、内腔614の長さを、さまざまな割合で本体612の長さに関連付けることができる。たとえば、内腔614は、本体612の長さに対して、約1%〜約99%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、50%を超える、および他の所望の割合で延在することができる。内腔614は、内腔930と流体連通する。内腔930は、チャンバ938と流体連通する。したがって、内腔614から、流体は、内腔930およびチャンバ938に流れ込むことができる。チャンバ938は、抜け穴620と流体連通している。したがって、流体は、ポート611を介してハンドルに入り、内腔614および930ならびにチャンバ938を介してハンドル610を通って流れ、抜け穴620を介してハンドル610から出ることができる。
【0055】
術者が抜け穴620の上に自身の指を配置する場合等、抜け穴620が閉塞されると、ハンドル610から出る流体流が妨げられるため、ハンドル610内で流体圧力が上昇する。図9に最もよく示すように、チャンバ938内の流体圧力は、隣接するピストン950に対して力をかける。抜け穴620が閉鎖された状態で、付勢要素952の力を克服するために十分な流体圧力により、ピストン950が矢印937の方向に変位し、それにより、付勢部材952が圧縮される。図8および図9に示すように、付勢要素952はコイルばねであり得る。しかしながら、付勢要素952は、所望の方向にピストン950を付勢するように動作可能な任意の所望の要素であり得る。図8および図9に示す例は、ピストン950が、作動したときに先端側に直線状に並進可能であることを示すが、ピストン950は、異なる方法で作動可能であり得る。たとえば、他の実施態様では、ピストン950は、作動したとき、回転し、枢動し、かつ/または他の方法で移動することができる。術者は、抜け穴620を閉塞し、チャンバ938内の流体圧力によってピストン950が変位するようにすることによって、ハンドル610に結合された器具チップを作動させる。術者が抜け穴620から自身の指を取り除くとき等、抜け穴620が閉塞されなくなると、流体が抜け穴620を介してハンドル610から出るため、ハンドル610内の流体圧力は低下する。その結果、ピストン950は、矢印938の方向において基端側に非作動位置まで移動する。たとえば、付勢要素952は、ピストン950を基端方向において非作動位置まで付勢する。それにより、ハンドル610に結合された器具チップは非作動位置に戻る。
【0056】
ハンドル610は、本体612の外面に窪み626を含むことができる。窪み626は抜け穴620を包囲することができる。窪み626により、術者は、自身の指によって窪み626を触知的に感知することにより、抜け穴620の位置を迅速に特定することができる。図示する実施態様は、単一の抜け穴620および単一の窪み626を含むが、他の実施態様は、2つ以上の抜け穴および/または2つ以上の窪みを含むことができる。複数の抜け穴および窪みは、互いに近接しているか、または間隔を空けて配置され得る。こうした実施態様では、術者は、それぞれの2つ以上の抜け穴の上に2本以上の指を配置して、ハンドル610に結合された器具チップを制御することができる。
【0057】
ハンドル610はまた、上述した、それぞれ調整部材122および124と同様に機能する、調整部材622および624も含むことができる。図示する実施態様では、調整部材622および624は、本体612の先端部分615に、かつ抜け穴620の反対側に配置される。しかしながら、調整部材622および624は、長手方向軸LAから延在する任意の所望の半径に沿って配置することができる。さらに、他の実施態様では、調整部材622および624の一方、他方または両方を、ハンドル610の他の位置に配置することができる。調整部材622および624のサイズおよび形状は、たとえば、ピストン950が調整部材622および624の位置の所与の変化に反応する方法を制御するように選択することができる。
【0058】
調整部材624は、ボア625とねじ式係合することができる、ねじまたは他のねじ切り構成要素であり得る。内腔930内に調整部材624を前進させることができ、それにより、調整部材624の先端部627はスロット936内に受け入れられる。さらに、調整部材624が内腔930内に延在する量は、任意の所望の量であるように選択することができる。上述した調整部材124と同様に、調整部材624が内腔930内に延在する量により、ピストン950(および任意の結合された器具チップ)が作動する速度が制御される。調整部材624が内腔930内に延在するほど、ピストン950が低速で作動するようになる。同様に、調整部材624が内腔930内に延在しなくなるほど、ピストン950が高速で作動するようになる。
【0059】
調整部材622は、ピストン950(および任意の結合された器具チップ)が非作動位置に戻る速度を制御する。図9に最もよく示すように、調整部材622は、ボア623内で移動可能であり、チャンバ938内に延在する。調整部材622は、ボア623とねじ式係合することができる。調整部材622がチャンバ938内にさらに移動すると、抜け穴620の断面積が低減する。術者は、調整部材622がチャンバ938を占有し、抜け穴620の断面積に影響を与える量を、あるとすれば変更するように、調整部材622を位置決めすることができる。上述した方法と同様に、調整部材622がチャンバ938および抜け穴620内に延在する量として、ピストン950が非作動位置に戻る速度が遅くなる。逆に、調整部材622がチャンバ938および抜け穴620内に延在する量が低減すると、ピストン950は、より高速で非作動位置に戻る。同様に上述したように、調整部材622の位置はまた、チャンバ938の容積に影響を与えることにより、ピストン950が作動する速度を選択的に増減させることも可能である。調整部材622がチャンバ938内でより多くの容積を占有すると、チャンバ938内の流体圧力はより迅速に上昇し、ピストン950は比較的高速で作動する。調整部材622が占有するチャンバ938の部分が小さくなると、チャンバ93内の流体圧力はより低速で上昇し、ピストン950は比較的低速で作動する。
【0060】
調整部材622は頭部922を含むことができ、調整部材624は頭部924を含むことができる。術者は、頭部922および924を回転させて、それに応じて調整部材622および624を移動させること等により、頭部922および924をそれぞれ用いて、調整部材622および624の位置を調整することができる。頭部922および924は、ハンドル610の外面を越えて延在することができる。図示する実施態様では、頭部922および924は、拡大しており、概して円筒状である。しかしながら、頭部922および924は、任意の形状またはサイズを有することができる。頭部922および924はまた、術者が把持しやすいように、溝、ギザギザおよび/または凹凸を含むことも可能である。概して、術者が、調整部材922および924の位置を調整するために迅速に頭部922および924の位置を特定しかつそれらを回転させることができるように、異なる実施態様では、頭部924および922のサイズおよび形状を変更することができる。
【0061】
図10は、眼科手術処置を行う例としての方法1000のフローチャートを示す。図示するように、方法1000は複数の列挙されたステップを含むが、方法1000の実施態様は、列挙されたステップの前、後および間に、追加のステップを含むことができる。いくつかの実施態様では、列挙されたステップのうちの1つまたは複数を省略するか、または異なる順序で行うことができる。
【0062】
ステップ1010において、方法1000は、内腔およびピストンを有する眼科手術ハンドルを把持することを含む。眼科手術器具は、内腔を通って抜け穴から出る連続的な流体流を可能にするように構成することができる。ハンドルは、本明細書に記載するハンドルのうちの任意ものと同様であり得る。たとえば、ハンドルは、図5に示すハンドル110と同様であり得る。ピストンは、ハンドル内の流体圧力が上昇するときに作動するように構成することができる。術者が、抜け穴の上に指を配置してハンドルの内腔から出る流体の連続的な流れを停止させるとき、流体圧力は上昇することができる。
【0063】
ステップ1020において、方法1000は、図1および図2に示すように、器具チップ130がハンドル110に結合される等、器具チップをハンドルに結合することを含む。器具チップおよびハンドルは、合わせて、眼科手術器具と呼ぶことができる。ピストンの作動により、器具チップを動作させる(たとえば、鉗子のジョーを開閉する、剪刀の刃を枢動させる等)ことができる。ステップ1030において、方法1000は、手術器具を流体源に結合することを含む。たとえば、流体がハンドルの内腔を通って抜け穴を出て連続的に流れるように、流体源にハンドルを流体結合することができる。
【0064】
ステップ1040において、方法1000は、眼科手術器具の器具チップが、手術対象の眼の組織の近くに配置されるように、眼科手術器具を位置決めすることを含む。その組織は、前眼部または後眼部にある可能性がある。組織は、眼の表面またはその近くにある可能性がある。標的組織は、眼球内である可能性がある。たとえば、眼の内部にアクセスするために、術者は、眼の強膜に1つまたは複数の切開部を生成することができる。1つまたは複数の切開部により、硝子体腔等、後眼部にアクセスすることができる。本明細書に記載するタイプの眼科手術器具、吸引プローブ、切断プローブ、硝子体切除プローブ、照明器、注入ラインと同様に他のものを含むさまざまな手術用デバイスを、1つまたは複数の切開部を介して硝子体腔内に挿入することができる。たとえば、器具チップのジョーが、術者が把持しようとする眼の組織に近接して位置決めされるように、器具チップを挿入することができる。これは、図11に示されており、眼内の標的解剖学的構造の近くの器具チップの一部(すなわち、作動チューブ136およびジョー134)を示す。ジョーは、ハンドルの抜け穴が閉塞されていないときには非作動位置にあり、流体がハンドルを通って抜け穴から出るように流れるのを可能にすることができる。抜け穴が閉塞されていないことは、図11において陰影のないボックス1010によって示す。たとえば、術者の指を、抜け穴を覆わないかまたは部分的にのみ覆うように配置することができる。
【0065】
ステップ1050において、方法1000は、たとえば調整部材122および622等、上述した調整部材を選択的に位置決めすることにより、ピストンが非作動位置に戻る速度を調整することを含む。たとえば、執刀医は、ハンドル内の圧力が軽減される速度を変更しかつ/またはハンドルから出る流体流量を変更するように、調整部材の位置を調整することができる。
【0066】
ステップ1060において、方法1000は、たとえば調整部材124および624等、上述した調整部材を選択的に位置決めすることにより、ピストンが作動する速度を調整することを含む。たとえば、術者は、ハンドルの本体内で流体圧力が増大する速度を選択的に増減させるように、調整部材の位置を調整することができる。たとえば、調整部材の位置は、ピストンに近接するチャンバの流体圧力が変化する速度を変更することができる。方法1000の他のステップの前、間および/または後に、ステップ1050および1060のいずれかを行い、両方を行い、またはいずれも行わないことが可能である。たとえば、器具チップにハンドルを結合する前、手術器具および流体源を結合する前、手術器具が眼の標的手術組織に近接して位置決めされる前/間/後、眼の組織に対する手術を行う前/間/後等に、調整部材のうちの一方、他方または両方の位置を調整することができる。
【0067】
ステップ1070において、方法1000は、器具チップを用いて眼の組織に対して手術するかまたは他の方法で操作することを含む。術者は、抜け穴からの流体流を低減させるように抜け穴の上に指を配置することができ、それにより、内腔内の流体圧力が上昇し、ハンドルのピストンを作動させ、それが、眼の組織に作用するように器具チップに作用する。ハンドル110に関して、たとえば、術者は、ハンドル110の内部からそれ以上流体が出ることができないように、ハンドル110の抜け穴120を覆うことにより、器具チップ130を動作させることができる。術者は、抜け穴に指腹を押し付けることができる。流体は抜け穴を介して出ることができないため、ハンドル内の流体圧力は上昇し、ピストンおよび器具チップを作動させる。
【0068】
ステップ1080において、方法1000は、器具チップが作動位置にあり続ける間、器具チップを移動させることを含む。すなわち、術者は、器具チップを移動させる間、抜け穴の上に指を維持することができる。抜け穴が覆われている間、抜け穴を介してハンドルから出る流体流が遮られ、ピストンおよび器具チップは作動状態のままである。ステップ1080は、術者が、器具チップのジョーを用いて眼の組織を把持して剥離する場合等、いくつかの手術処置で行われる可能性がある。図12に、ステップ1070および1080を示す。陰影のあるボックス1020によって示すように、抜け穴は閉塞されている。たとえば、抜け穴は、術者の指によって部分的にまたは完全に覆うことができる。こうした状況の下で、作動チューブ136を先端側に並進させて、ジョー134を作動位置に付勢して眼内の組織を把持する。抜け穴120が覆われたままであるためジョー134が組織をつかみ続ける間、器具チップ134を移動させることができる。たとえば、器具チップが剪刀の刃を含む場合等、他の手術処置では、ステップ1080を省略することができる。
【0069】
ステップ1090において、方法1000は、ピストンおよび器具チップが非作動位置に戻るように、指を抜け穴から取り除くことを含む。たとえば、抜け穴が覆われていないとき、流体が抜け穴から出るため、ハンドル内の流体圧力は低下する。その結果、ピストンおよび器具チップは非作動位置に戻る。
【0070】
当業者は、本開示によって包含される実施態様が、上述した特定の例示的な実施態様に限定されないことを認めるであろう。それに関して、例示的な実施態様を示し記載したが、上述した開示では、広範囲の変更、変形、組合せおよび置換が企図される。本開示の範囲から逸脱することなく、上述したことに対してこうした変更を行うことができることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広くかつ本開示と一貫するように解釈されることが適切である。
なお、本願発明の実施態様として以下のものも含まれる。
[実施態様11]
流体源と、
眼科装置ハンドルであって、
本体と、
前記本体に形成されかつ前記流体源と流体連通している内腔と、
前記本体に形成されかつ前記内腔と前記本体の外部との間に流体連通を提供する抜け穴であって、加圧状態と非加圧状態との間で前記内腔内の圧力状態を変更するように選択的に閉塞されるように適合された抜け穴と、
前記本体内に少なくとも部分的に配置され、かつ前記加圧状態に応じて作動位置に移動可能であり、前記非加圧状態に応じて非作動位置に移動可能であるピストンと、
を備える眼科装置ハンドルと、
前記眼科装置ハンドルに結合された器具チップであって、前記ピストンの作動位置への移動に応じて作動形態になるように移動可能であり、前記ピストンの前記非作動位置への移動に応じて非作動形態になるように移動可能である器具チップと、
を備える、眼科手術システム。
[実施態様12]
前記流体源が、手術用コンソールに組み込まれている、実施態様11に記載のシステム。
[実施態様13]
前記ピストンが作動位置まで移動する速度を選択的に増減させるように構成された第1調整部材、および
前記ピストンが非作動位置まで戻る速度を選択的に増減させるように構成された第2調整部材
のうちの少なくとも一方をさらに備える、実施態様11に記載のシステム。
[実施態様14]
前記器具チップが鉗子または剪刀のうちの少なくとも一方を含む、実施態様11に記載のシステム。
[実施態様15]
眼科手術処置を行う方法であって、
眼科手術器具のハンドルを把持するステップであって、前記眼科手術器具が、内腔と、前記内腔と前記眼科手術器具の外部との間に流体連通を提供する抜け穴とを備え、前記眼科手術器具が、前記内腔を通り前記抜け穴から出る連続的な流体流を可能にするように構成される、ステップと、
前記眼の組織の近くに、前記眼科手術器具の器具チップを位置決めするステップと、
前記内腔内の流体圧力を上昇させるように前記抜け穴を閉塞するステップと、
前記内腔内の流体圧力の上昇に応じて前記眼の前記組織に作用するように、前記器具チップを作動させるステップと、
を含む方法。
[実施態様16]
前記抜け穴が閉塞されている間に前記器具チップを移動させるステップ
をさらに含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様17]
前記抜け穴を空けることによって前記器具チップを非作動位置に戻すステップ
をさらに含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様18]
前記ハンドルに前記器具チップを結合するステップ、または
流体源に前記手術器具を結合するステップ
のうちの少なくとも一方をさらに含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様19]
前記器具チップが非作動位置に戻る速度を調整するように、前記本体内の調整部材の位置を変更するステップ
をさらに含む、実施態様15に記載の方法。
[実施態様20]
前記器具チップが作動位置まで移動する速度を調整するように、前記本体内の調整部材の位置を変更するステップ
をさらに含む、実施態様15に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12