(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対し、前記(D)脂肪族系ウレア化合物が、10質量部以上30質量部以下含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、耐薬品性を得つつ、一液型に組成しても、保存中にカルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ化合物との反応が進んでしまうことを防止して、優れたポットライフを有する感光性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)エポキシ化合物と、(D)脂肪族系ウレア化合物と、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0009】
本発明の態様は、前記(D)脂肪族系ウレア化合物が、下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は、それぞれ、独立して、炭素数1〜20個の飽和脂肪族炭化水素基、または少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する炭素数2〜20個の不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。)で表される化合物であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0010】
本発明の態様は、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は、それぞれ、独立して、炭素数1〜5個の飽和脂肪族炭化水素基であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0011】
本発明の態様は、前記R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は、メチル基であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0012】
本発明の態様は、前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対し、前記(D)脂肪族系ウレア化合物が、10質量部以上30質量部以下含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0013】
本発明の態様は、さらに、(E)反応性希釈剤を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0014】
本発明の態様は、さらに、メルカプトベンゾオキサザール及び/またはメルカプトベンゾオキサザール誘導体を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0015】
本発明の態様は、上記感光性樹脂組成物の光硬化物である。
【0016】
本発明の態様は、上記感光性樹脂組成物を有するドライフィルムである。
【0017】
本発明の態様は、上記光硬化物を有するプリント配線板である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、カルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ化合物とを含有する感光性樹脂組成物に、脂肪族系ウレア化合物が配合されることにより、感光性樹脂組成物を一液型としても、保存中にカルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ化合物との反応が進んでしまうことを防止して、優れたポットライフを得ることができ、また、耐薬品性を得ることもできる。
【0019】
本発明の態様によれば、脂肪族系ウレア化合物が、一般式(1)で表される化合物であることにより、ポットライフをさらに向上させることができる。
【0020】
本発明の態様によれば、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対し、脂肪族系ウレア化合物が、10質量部以上30質量部以下含有することにより、ポットライフをさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の感光性樹脂組成物について、以下に説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)エポキシ化合物と、(D)脂肪族系ウレア化合物と、を含有する。
【0022】
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルボキシル基含有感光性樹脂は、特に限定されず、例えば、1分子中に、感光性の不飽和二重結合を1個以上、好ましくは2個以上有する樹脂が挙げられる。カルボキシル基含有感光性樹脂として、例えば、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸やメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得て、生成した水酸基に多塩基酸又はその無水物を反応させて得られる、多塩基酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等の多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0023】
前記多官能性エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であれば、特に限定されず、いずれの化学構造でも使用することができる。多官能性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されないが、その上限値は、3000g/eqが好ましく、1000g/eqがより好ましく、500g/eqが特に好ましい。一方で、多官能性エポキシ樹脂のエポキシ当量の下限値は、100g/eqが好ましく、200g/eqが特に好ましい。
【0024】
多官能性エポキシ樹脂には、例えば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものを使用してもよい。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0025】
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸などを挙げることができ、このうち、入手の容易性の点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0026】
エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法は、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とを適当な希釈剤(例えば、有機溶剤)中で加熱することにより反応させることができる。
【0027】
多塩基酸又は多塩基酸無水物は、前記エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応により生成した水酸基に反応し、感光性樹脂に遊離のカルボキシル基を導入するためのものである。感光性樹脂に遊離のカルボキシル基が導入されることで、アルカリ現像性が付与される。多塩基酸又はその無水物は、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、フタル酸誘導体(例えば、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸)、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられる。また、多塩基酸無水物としては、これら多塩基酸の無水物が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明においては、上記した多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂もカルボキシル基含有感光性樹脂として使用できるが、必要に応じて、上記多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有するグリシジル化合物を反応させて、側鎖にラジカル重合性不飽和基を更に導入し、感光性をより向上させたカルボキシル基含有感光性樹脂としてもよい。
【0029】
この感光性をより向上させたカルボキシル基含有感光性樹脂は、前記グリシジル化合物の反応によって、ラジカル重合性不飽和基が、多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂骨格の側鎖に結合するため、光重合反応性、すなわち、光硬化性がより向上し、より優れた感光特性を有する。1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリメタアクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価は、特に限定されないが、その下限値は、確実なアルカリ現像性を得る点から、30mgKOH/gが好ましく、40mgKOH/gが特に好ましい。一方で、カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部の溶解防止の点から、200mgKOH/gが好ましく、硬化物の耐湿性と絶縁性の低下防止の点から、150mgKOH/gが特に好ましい。
【0031】
また、カルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、その下限値は、硬化物の強靭性及び指触乾燥性の点から、6000が好ましく、7000が特に好ましい。一方で、カルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量の上限値は、アルカリ現像性の低下を確実に防止する点から、200000が好ましく、50000が特に好ましい。
【0032】
カルボキシル基含有感光性樹脂は、上記各原材料を用いて上記反応にて合成してもよく、上市されているカルボキシル基含有感光性樹脂を使用してもよい。上市されているカルボキシル基含有感光性樹脂としては、例えば、「SP−4621」(昭和電工(株))、「ZAR−2000」、「ZFR−1122」、「FLX−2089」、「ZCR−1569H」(以上、日本化薬(株))、「サイクロマーP(ACA)Z−250」(ダイセル・オルネクス(株))等を挙げることができる。また、これらのカルボキシル基含有感光性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
(B)光重合開始剤
光重合開始剤は、特に限定されず、いずれも使用することができる。光重合開始剤としては、例えば、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)、2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、1,8−オクタンジオン,1,8−ビス[9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル]−,1,8−ビス(O−アセチルオキシム)、1,8−オクタンジオン,1,8−ビス[9−(2−エチルヘキシル)−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル]−,1,8−ビス(O−アセチルオキシム)、(Z) −(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)(4−((1−メトキシプロパン−2−イル)オキシ) −2−メチルフェニル)メタノン O−アセチルオキシム等のオキシムエステル系光重合開始剤、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン‐n‐ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、2,2‐ジエトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、1−ベンジル−1−(ジメチルアミノ)プロピル−4−モルフォリノフェニル−ケトン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル‐2‐(ヒドロキシ‐2‐プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p‐フェニルベンゾフェノン、4,4′‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2‐メチルアントラキノン、2‐エチルアントラキノン、2‐ターシャリーブチルアントラキノン、2‐アミノアントラキノン、2‐メチルチオキサントン、2‐エチルチオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2,4‐ジメチルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P‐ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部(固形分、以下同じ。)に対して、1.0〜10質量部が好ましく、2.0〜8.0質量部が特に好ましい。
【0034】
(C)エポキシ化合物
エポキシ化合物は、感光性樹脂組成物の光硬化物の架橋密度を上げて、十分な機械的強度を有する硬化塗膜を得るためのものである。エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのうち、ポットライフをさらに向上させる点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
エポキシ化合物の含有量は、特に限定されず、十分な機械的強度の光硬化物を確実に得る点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、10〜150質量部が好ましく、30〜80質量部が特に好ましい。
【0036】
(D)脂肪族系ウレア化合物
カルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ化合物とを含有する本発明の感光性樹脂組成物に脂肪族系ウレア化合物が配合されることにより、感光性樹脂組成物を一液型としても、常温(25℃)での保存中にカルボキシル基含有感光性樹脂とエポキシ化合物との反応が進んでしまうことを防止して、常温でも優れたポットライフを得ることができる。従って、常温での取り扱い可能時間を長期化できるので、本発明の感光性樹脂組成物の塗工作業等における取り扱い性が向上する。また、本発明の感光性樹脂組成物に脂肪族系ウレア化合物が配合されることにより、感光性樹脂組成物の光硬化物の耐薬品性も得ることもできる。
【0037】
脂肪族系ウレア化合物は、その化学構造中に芳香環を有さない、脂肪族ウレア化合物である。脂肪族系ウレア化合物としては、下記一般式(1)
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は、それぞれ、独立して、炭素数1〜20個の飽和脂肪族炭化水素基、または少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する炭素数2〜20個の不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。)で表される化合物を挙げることができる。
【0038】
これらのうち、ポットライフをさらに向上させる点から、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7が、それぞれ、独立して、炭素数1〜5個の飽和脂肪族炭化水素基である一般式(1)の脂肪族系ウレア化合物がより好ましく、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7が、それぞれ、独立して、炭素数1〜3個の飽和脂肪族炭化水素基である一般式(1)の脂肪族系ウレア化合物がさらに好ましく、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7が、いずれもメチル基である一般式(1)の脂肪族系ウレア化合物が特に好ましい。R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7が、いずれもメチル基である一般式(1)の脂肪族系ウレア化合物は、N’−[3−[[[(ジメチルアミノ)カルボニル]アミノ]メチル]−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル]−N,N−ジメチルウレアである。
【0039】
脂肪族系ウレア化合物の含有量は、特に限定されないが、その下限値は、ポットライフをさらに向上させる点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して5.0質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、15質量部が特に好ましい。一方で、脂肪族系ウレア化合物の含有量の上限値は、優れた感度を確実に得る点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して50質量部が好ましく、30質量部がより好ましく、25質量部が特に好ましい。
【0040】
本発明の感光性樹脂組成物では、上記(A)成分〜(D)成分に加えて、必要に応じて、さらに(E)反応性希釈剤を配合してもよい。反応性希釈剤とは、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の光硬化を十分にして、光硬化物の耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性等の向上に寄与する。
【0041】
反応性希釈剤としては、例えば、単官能の(メタ)アクリレートモノマー、2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピル(メタ)アクリルレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
反応性希釈剤の含有量は、特に限定されないが、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、5.0〜100質量部が好ましく、10〜50質量部が特に好ましい。
【0043】
本発明の感光性樹脂組成物には、上記した(A)〜(E)成分の他に、さらに必要に応じて、他の成分、例えば、各種添加剤、着色剤、難燃剤、非反応性希釈剤等を、適宜、配合してもよい。
【0044】
各種添加剤には、シリコーン系、炭化水素系及びアクリル系等の消泡剤、メルカプトベンゾオキサザール及びその誘導体、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等の硬化触媒、タルク、硫酸バリウム、疎水性シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、マイカ等の体質顔料等を挙げることができる。硬化触媒を配合する場合、上記した各種硬化触媒のうち、感光性樹脂組成物の光硬化物に塩酸(HCl)耐性をより確実に付与する点からメルカプトベンゾオキサザール及びその誘導体が好ましい。
【0045】
着色剤は、顔料、色素等、特に限定されず、また、白色着色剤、青色着色剤、緑色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤、黒色着色剤、橙色着色剤等、いずれの色彩の着色剤も使用可能である。上記着色剤には、例えば、白色着色剤である酸化チタン、黒色着色剤であるカーボンブラック等の無機系着色剤や、緑色着色剤であるフタロシアニングリーン及び青色着色剤であるフタロシアニンブルーやリオノールブルー等のフタロシアニン系、アントラキノン系、橙色着色剤であるクロモフタルオレンジ等のジケトピロロピロール系等の有機系着色剤などを挙げることができる。
【0046】
難燃剤は、本発明の感光性樹脂組成物の光硬化物に難燃性を付与するためのものである。難燃剤としては、例えば、リン系の難燃剤を挙げることができる。リン系の難燃剤としては、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェートなどのノンハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどのノンハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどのホスフィン酸の金属塩、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド(以下HCA)、HCAとアクリル酸エステルの付加反応生成物、HCAとエポキシ樹脂の付加反応生成物、HCAとハイドロキノンの付加反応生成物等のHCA変性型化合物、ジフェニルビニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリアルキルホスフィンオキサイド、トリス(ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。このうち、有機リン酸塩系の難燃剤が好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
非反応性希釈剤は、感光性樹脂組成物の塗工性や乾燥性を調節するためのものである。非反応性希釈剤として、例えば、有機溶剤を挙げることができる。有機溶剤には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチレングリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート等のエステル類等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
上記した本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されず、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、室温(常温)にて、三本ロール、ボールミル、サンドミル等の混練手段、またはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の攪拌手段により混練または混合して製造することができる。また、前記混練または混合の前に、必要に応じて、室温(常温)にて、予備混練または予備混合してもよい。
【0049】
次に、上記した本発明の感光性樹脂組成物の使用方法例について説明する。ここでは、銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有するプリント配線板上に、本発明の感光性樹脂組成物を塗工したドライフィルムを用いて、ソルダーレジスト膜を形成する方法を例にとって説明する。
【0050】
ドライフィルムは、支持フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルム)と、該支持フィルムに塗工されたソルダーレジスト層と、該ソルダーレジスト層を保護するカバーフィルム(例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム)と、を有する積層構造となっている。支持フィルム上に本発明の感光性樹脂組成物を、ローラコート法、バーコータ法等の公知の方法で塗工して塗膜を形成後、該塗膜を乾燥処理することで、支持フィルム上にソルダーレジスト層を形成する。その後、形成したソルダーレジスト層上にカバーフィルムを積層することでドライフィルムを作製できる。
【0051】
上記ドライフィルムのカバーフィルムを剥がしながらソルダーレジスト層とプリント配線板をはり合わせることで、プリント配線板上にソルダーレジスト膜を形成する。その後、必要に応じて、感光性樹脂組成物中の非反応性希釈剤(有機溶剤)を揮散させるために100〜120℃程度の温度で1〜10分間程度加熱する予備乾燥を行い、感光性樹脂組成物から非反応性希釈剤(有機溶剤)を揮発させてソルダーレジスト膜の表面をタックフリーの状態にする。形成したソルダーレジスト膜上に、回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルムを密着させ、その上から紫外線(例えば、波長300〜400nmの範囲)を照射させる。その後、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することによりソルダーレジスト膜が現像される。現像方法には、スプレー法、シャワー法等が用いられ、使用される希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。現像後、130〜170℃の熱風循環式の乾燥機等で20〜80分間ポストキュアを行うことにより、プリント配線板上に、目的とするパターンを有するソルダーレジスト膜を形成させることができる。
【実施例】
【0052】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
【0053】
実施例1〜5、比較例1〜6
下記表1に示す各成分を下記表1に示す配合割合にて配合し、3本ロールを用いて室温(25℃)にて混合分散させて、実施例1〜5、比較例1〜6にて使用する感光性樹脂組成物を調製した。下記表1に示す各成分の配合量は、特に断りのない限り質量部を示す。なお、下記表1中の配合量の空欄部は、配合なしを意味する。
【0054】
なお、下記表1中の各成分についての詳細は、以下の通りである。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
・KAYARAD ZAR-2000:固形分(樹脂分)65質量%、日本化薬(株)
なお、KAYARAD ZAR-2000は、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸を反応させて、エポキシアクリレートを得、エポキシアクリレートの生成した水酸基に多塩基酸を反応させて得られる、多塩基酸変性エポキシアクリレート樹脂である。
【0055】
(B)光重合開始剤
・IRGACURE369:チバスペシャリティケミカルズ(株)
・EAB:保土谷化学工業(株)
・IRGACURE OXE02:チバスペシャルティケミカルズ(株)
(C)エポキシ化合物
・NC-3000:日本化薬(株)
・エピクロン860、エピクロンN-695:DIC(株)
・YX-4000HK:三菱化学(株)
・YSLV-80XY:新日鐵住金化学(株)
【0056】
(E)反応性希釈剤
・DPCA-120:日本化薬(株)
硬化触媒
・ジシアンジアミド:東京化成工業(株)
・メラミン:東京化成工業(株)
・2−メルカプトベンゾオキサザール:東京化成工業(株)
難燃剤
・エクソリット OP-935:クラリアントジャパン(株)
着色剤
・クロモフタルDPPオレンジTR:チバスペシャルティケミカルズ(株)
・リオノールブルーFG-7351:東洋インキ製造(株)
消泡剤
・KS-66:信越化学工業(株)
非反応性希釈剤
・EDGAC:三洋化成品(株)
【0057】
試験片作製工程
塗布基板:ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)
塗工法:バーコータ
予備乾燥:110℃、5分
評価基板:二層銅張積層板(CCL)(ポリイミド(厚さ25μm)基板、銅箔(厚さ12.5μm))
表面処理:5質量%硫酸処理
ラミネート条件:50℃、加圧50MPa、真空30秒/加圧30秒
DRY膜厚:25μm
露光:塗膜上に150mJ/cm
2、USHIO(株)製投影露光装置(光源は高圧水銀灯)
現像:1質量%炭酸ナトリウム水溶液 温度30℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間60秒
ポストキュア:150℃、60分
【0058】
評価項目
(1)ポットライフ
上記のように調製した感光性樹脂組成物を塗布基板であるPETフィルムに塗工して塗膜を形成後、塗布基板を予備乾燥してから25℃に放置した。25℃に放置した塗布基板を24時間毎に取り出し、評価基板である二層CCLにラミネート後、露光をせずに現像を行なった。現像開始から塗膜下地の銅箔が見えるまでの時間を計測した。現像開始から塗膜下地の銅箔が見えるまでの時間が30秒以内を○、現像開始から塗膜下地の銅箔が見えるまでの時間が30秒超を×と評価し、72時間放置以上で○評価を、合格とした。なお、表1には、○評価を維持できた最大放置時間を記載し、24時間放置にて×評価の場合には、「24時間×」と表記した。
【0059】
(2)感度
塗布基板の塗膜上に感度測定用ステップタブレット(Stouffer 21段)を設置し、感度測定用ステップタブレットを通して、波長のメインピ−クが365nmの紫外線を、150mJ/cm
2照射したものをテストピ−スとした。紫外線の照射光量は、オ−ク製作所(株)製の積算光量計を用いて測定した。紫外線を露光後、上記試験片作製工程に準じて現像を行い、露光部分の除去されない部分を数字(ステップ数)で表した。ステップ数が大きいほど感度が良好であることを示す。
【0060】
(3)塩酸(HCl)耐性
上記試験片作製工程で得られた試験片を10質量%のHCl水溶液に常温で30分間浸漬し、浸漬後、十分に水洗を行ない、柔らかい布で水分を除去した。その後、塗膜表面を200倍の光学顕微鏡で観察して、塗膜の剥離(浮き)の状況を、下記3段階にて評価し、○評価を合格とした。
○:剥離(浮き)の発生無し
△:若干の剥離(浮き)有り
×:大きな剥離(浮き)有り
【0061】
(4)イソプロピルアルコール(IPA)耐性
上記試験片作製工程で得られた試験片を10質量%のイソプロピルアルコール(IPA)水溶液に常温で30分間浸漬し、浸漬後、十分に水洗を行ない、柔らかい布で水分を除去した。その後、塗膜表面を200倍の光学顕微鏡で観察して、塗膜の剥離(浮き)の状況を、下記3段階にて評価し、○評価を合格とした。
○:剥離(浮き)の発生無し
△:若干の剥離(浮き)有り
×:大きな剥離(浮き)有り
【0062】
評価結果を、下記表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
上記表1に示すように、脂肪族系ウレア化合物であるN’−[3−[[[(ジメチルアミノ)カルボニル]アミノ]メチル]−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル]−N,N−ジメチルウレアを配合した実施例1〜5では、感度を損なうことなく、ポットライフ試験について72時間以上で○評価であり、常温時における優れたポットライフを得ることができた。特に、実施例3、5から、エポキシ化合物として、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂を使用すると、192時間以上で○評価であり、常温時において、特に優れたポットライフを得ることができた。
【0065】
また、実施例1〜5では、HCl耐性とIPA耐性にも優れ、酸とアルコールに対して耐性が優れていた。従って、実施例1〜5では、耐薬品性にも優れていることが判明した。
【0066】
一方で、エポキシ樹脂としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を使用し、脂肪族系ウレア化合物に代えて芳香族系ジメチルウレア化合物を配合した比較例1では、良好なポットライフ、HCl耐性、IPA耐性は得られなかった。また、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂を使用し、脂肪族系ウレア化合物に代えて芳香族系ジメチルウレア化合物を配合した比較例2、3では、HCl耐性、IPA耐性が得られなかった。
【0067】
また、脂肪族系ウレア化合物を配合しなかった比較例4〜6では、良好なポットライフが得られなかった。