(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワーク及び切削工具を相対的に回転させる主軸と前記ワーク及び前記切削工具を相対的に送る少なくとも1つの送り軸とを備え、前記切削工具及び前記ワークを相対的に揺動させながら前記ワークの切削加工を行う工作機械の情報を取得して表示する表示装置であって、
前記ワークに対して前記切削工具が相対的に送られた位置を表す第1情報を表示する第1情報表示部と、
前記主軸の位相と前記送り軸の位置との関係を表す第2情報を表示する第2情報表示部と、
前記第1情報における一部を選択範囲として選択する範囲選択部と、
を備え、
前記第2情報は、前記送り軸の位置を表し、揺動により波状の波形をなす情報であって、前記送り軸の位置を前記主軸の1回転又は複数回転ごとに重ねて表す情報であり、前記波形に重なりが存在すると切屑の細断が可能であることを表す情報であり、
前記第2情報表示部は、前記範囲選択部によって選択された前記選択範囲に対応するように、前記第2情報の表示範囲を変更する、
表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0017】
図1は、本実施形態に係る表示装置を備えた加工システムを示す図である。
図1に示す加工システム1は、工作機械10と、工作機械10を制御する制御装置11と、表示装置20とを備える。
【0018】
工作機械10は切削工具14、例えばバイトを有する。切削工具14は、例えば円筒形、円柱形、円錐形、または円錐台形などを有するワークを切削加工する。ワークWの形状は円柱形以外の形状でもよく、工作機械10は切削加工を行うものに限られず、研削や研磨などを行うものでもよい。
但し、以降の説明においては、
図1に示されるように、回転する円柱形のワークWの外周面が切削工具14により旋削加工されるものとする。また、ワークWが回転すると共に切削工具14がワークWの外周面の母線に沿って揺動する構成を例にとって説明する。
【0019】
工作機械10は、複数の駆動軸13を有する。駆動軸13の各々は、CNC(Computer Numerical Controller)、PLC(Programmable Logic Controller)等といった制御装置11によって制御される。
図1には3つの駆動軸13を有する工作機械10が図示されているが、駆動軸13の数は限定されず、工作機械10には必要数の駆動軸を備えることができる。
複数の駆動軸13は、主軸M0と、主軸M0と協調動作する少なくとも2つの送り軸M1、M2とを含む。主軸M0はスピンドルモータまたはサーボモータを備えるものである。送り軸M1、M2は、ボールねじ機構またはリニアスライダ等の送り機構と該送り機構を駆動するサーボモータとを含むものである。
【0020】
図1においては、ワークWの回転軸となる該ワークの中心軸線をZ軸、Z軸に対して垂直な軸線をX軸としている。さらに、主軸M0は、ワークWを該ワークの中心軸線(Z軸)まわりに回転させる。送り軸M1は、Z軸方向に沿った第一方向(以下、加工方向と呼ぶ。)に切削工具14を送ることと該第一方向に切削工具14を往復運動、すなわち揺動させることの両方を行うことができる。送り軸M2は、X軸方向に沿った第二方向(すなわち、切込み方向)に切削工具14を送ることと該第二方向に切削工具14を往復運動、すなわち揺動させることの両方を行うことができる。
円柱形または円筒形のワークを旋削加工する場合、ワークを該ワークの中心軸線(Z軸)まわりに回転するとともに、切削工具14はZ軸方向に沿った第一方向(加工方向)のみに送られる。この場合、送り軸M2は基本的には不要である。
【0021】
円錐形や円錐台形等のワークのように外径がZ軸方向において異なるワークを旋削加工する場合は、ワークWが該ワークの中心軸線(Z軸)まわりに回転するとともに、切削工具14はX軸方向およびZ軸方向の合成方向に送られる。この場合、切削工具14をワークWの外周面の母線に沿って斜め方向に送るために、少なくとも2つの送り軸M1、M2が必要とされる。送り軸M1と送り軸M2の両方を制御することにより、切削工具14はワークWの外周面の母線に沿って斜め方向に送られる。
【0022】
制御装置11においては、主軸回転数(S)や送り速度(F)などの加工条件や各種パラメータを設定可能な加工プログラム(NCプログラム)が作成されて記憶されている。制御装置11は、加工プログラムに設定された加工条件や各種パラメータを変更できる操作盤(不図示)を備えている。
【0023】
制御装置11は、主軸M0、送り軸M1、送り軸M2などの各駆動軸13を個別に動作させるための各指令を加工プログラムに従って生成し、生成した各指令を、対応する主軸M0、送り軸M1、送り軸M2などの各駆動軸13に送信することができる。
図1の例のように主軸M0によりワークWを回転させると共に送り軸M1、M2などにより切削工具14を送る構成では、制御装置11は、主軸M0に所定の回転速度の指令を送信し、送り軸M1、M2などには所定の目標位置の指令を送信する。
【0024】
加工システム1は、主軸M0、送り軸M1、送り軸M2などの駆動軸13ごとに、各駆動軸13の位置を検出する位置検出装置15を備えている。特に、
図1に示されるように主軸M0によりワークWを回転させる構成では、主軸M0の位置検出装置15として、ワークWの回転位置(角度)を検出することが可能なセンサ、例えばロータリエンコーダが使用されうる。ロータリエンコーダは、ワークWの回転速度を検出することも可能である。また、
図1に示された送り軸M1の位置検出装置15としては、ワークWの加工方向における切削工具14の位置を検出することが可能なセンサ、例えばエンコーダが使用されうる。送り軸M2の位置検出装置15としては、上記の切込み方向における切削工具14の位置を検出することが可能なセンサ、例えばエンコーダが使用されうる。
但し、送り軸M1、M2の位置検出装置15は、送り軸M1、M2の位置(
図1の例では切削工具14の位置)を取得できれば如何なる装置でもよく、上記のエンコーダに限定されない。送り軸M1、M2の位置検出装置15は、例えば、駆動軸13から離間して配置されていてレーザトラッカまたは3次元位置センサなどを含む位置計測器でもよい。
制御装置11は、上述したように各駆動軸13に送信した指令と、各駆動軸13の位置検出装置15から制御装置11にフィードバックされる各駆動軸13の位置データとが一致するように、各駆動軸13を制御する。
【0025】
さらに、制御装置11は、旋削加工により生じる切屑を細断するために、前述の第一方向(加工方向)に切削工具14とワークWとを相対的に揺動させて断続切削を行うように送り軸M1を制御する機能を有する。
このような断続切削を行うための送り軸M1の送り指令もまた、制御装置11により、加工プログラムに従って生成される。作業者は、制御装置11の操作盤(不図示)を用いて加工条件や各種パラメータを変更することにより、断続切削のための送り指令の周波数や振幅等を決定することができる。
なお、上記の断続切削とは、切削工具14が周期的にワークWに接触およびワークWから離間しながらワークWを切削加工することを意味し、揺動切削または振動切削ともいう。
【0026】
前述した断続切削のための送り指令は、例えば、以下のような方法で生成される。まず、制御装置11は、加工プログラムに設定されている加工開始点、加工終了点、主軸M0の回転速度(
図1の例ではワークWの回転速度)、送り軸M1による送り速度(
図1の例では切削工具14の送り速度)などに基づいて、
図1のZ軸方向に沿った第一方向(加工方向)の送りに関する送り軸M1の位置指令を生成する。続いて、制御装置11は、前述した回転速度および送り速度と各種パラメータとに基づいて、上記の加工方向における切削工具14の揺動(往復運動)を生じさせるための送り軸M1の揺動指令を生成する。さらに、制御装置11は、位置指令に揺動指令を加算して、前述した断続切削のための送り指令(合成指令)を生成する。
【0027】
ここで、
図2Aは、前述の位置指令を示した図であり、横軸は時間を表し、縦軸は加工方向の位置(位置指令値)を表している。位置指令においては、時間の経過とともに送り軸M1の位置指令値が直線的に増加している(直線P参照)。
図2Bは、前述の揺動指令を示した図であり、横軸は時間を表し、縦軸は加工方向の位置(位置指令値)を表している。揺動指令においては、時間の経過とともに周期的に送り軸M1の位置指令値が増減している(波状曲線S参照)。
図2Bから分かるように、揺動指令における振幅および周波数を変更することにより、様々な振動波形の揺動指令を得ることができる。なお、この例ではワークWの回転速度および切削工具14の送り速度をそれぞれ一定の値としているため、揺動指令の周波数も振幅も、時間経過に関わらず一定の値になっている。
図2Cは、
図2Aに示された位置指令に
図2Bに示された揺動指令を加算して得られる送り指令(合成指令)を示した図であり、横軸は時間を表し、縦軸は加工方向の位置(位置指令値)を表している。切削工具14の軌跡は、
図2Cに示された送り指令に追従するようになる。より具体的には、
図2Cに示されるように、送り指令(波状曲線Q参照)によって、切削工具14は、一回の往復運動において、所定の後退量だけ後退してから所定の前進量だけ前進して、その差の進行量だけ移動する。このように本実施形態では、送り軸M1により切削工具14が加工方向に往復運動(揺動)しながら該加工方向に送られることによって、断続切削が行われる。
【0028】
前述の揺動指令は、
図2Bに波状曲線Sで示されたような余弦波状の指令であり、次式のように定義される。
揺動指令=(K×F/2)×cos(2π×S/60×I×t)−(K×F/2)
・・・式(1)
式(1)において、Kは揺動振幅倍率、FはワークWの一回転当たりの切削工具14の移動量、すなわち毎回転送り量[mm/rev]、SはワークWの中心軸線まわりの回転速度[min
−1]又は[rpm]、Iは揺動周波数倍率、である。ここで、揺動周波数、すなわち揺動指令の周波数は式(1)における(S/60×I)の項に相当し、揺動振幅、すなわち揺動指令の振幅は式(1)における(K×F/2)の項に相当する。但し、揺動振幅倍率Kは1以上の数とし、揺動周波数倍率Iはゼロより大きい非整数とする(例えば0.5、0.8、1.2、1.5、1.9、2.3、又は2.5、…等の正の非整数)。揺動振幅倍率Kおよび揺動周波数倍率Iは定数である。
【0029】
上記の式(1)によると、揺動指令は、ゼロの位置を基準軸線とする余弦波に対して(K×F/2)の項がオフセット値として減じられた指令になっている。このため、位置指令に揺動指令を加算して得られる送り指令(
図2Cの波状曲線Q)は、その位置指令(
図2Cの直線)を加工方向において超えない指令になる。このことにより、送り指令(波状曲線Q)に基づく切削工具14の位置軌跡を、切削工具14の加工方向において位置指令による位置を上限として制御することができる。
さらに、式(1)のような余弦波の揺動指令とすることで、
図2Cの波状曲線Qから分かるように、切削工具14の加工開始点(横軸の0°の位置)で切削工具14の送り方向に初めから大きな揺動が出ないようにしている。
なお、揺動周波数倍率Iを整数としない理由は、ワークWの中心軸線まわりの回転数と全く同じになる揺動周波数の場合には、後述するような重なり箇所B1、B2等(
図3参照)を発生させることができず、揺動切削による切屑の細断効果が得られなくなるからである。
【0030】
上記の式(1)は、制御装置11内の加工プログラムに記述されているものとする。工作機械10の操作盤(不図示)は、揺動振幅倍率Kおよび揺動周波数倍率Iの各値を制御装置11内の加工プログラムに記述された式(1)に与えられるようになっている。また、ワークWの回転速度S[min
−1]や切削工具14の送り速度[mm/min]は制御装置11内の加工プログラムに加工条件として事前に設定されているものとする。
制御装置11は、そのような送り速度と回転速度とから、上記の式(1)における毎回転送り量F(=送り速度/回転速度S)を計算し、揺動振幅倍率Kおよび揺動周波数倍率Iの各値が事前に与えられた上記の式(1)により揺動指令を算出することができる。
【0031】
本実施形態の加工システム1は、旋削加工により生じる切屑を細断するために、加工方向に切削工具14とワークWとを相対的に揺動させて断続切削を行う際の、工作機械10に関する情報を表示する表示装置20を備える。
上述したように、断続切削を行うための送り軸M1の送り指令が制御装置11により生成され、表示装置20は、そのような送り指令や、該送り指令により駆動された送り軸M1の実位置を作業者に視認させるための装置とされる。
しかし、断続切削のための送り指令の指令値を表示画面に単純に表示する方法では、切削工具14による切屑の細断が可能であるか否かを作業者が表示画面から判定するのは難しい。断続切削のための送り指令により駆動された送り軸M1の実位置を位置検出装置15により検出し、その検出値を表示画面に表示する方法においても、作業者が切屑の細断の可否を表示画面から判定するのは難しい。
【0032】
そこで、本実施形態の表示装置20は、
図1に示されるように、情報取得部21と、範囲選択部23と、範囲変更部25と、表示部30とを具備する。
【0033】
図1に示された構成例においては、表示装置20は制御装置11の外部に離れて配置されているが、表示装置20は工作機械10の操作盤(不図示)に備えられていてもよいし、あるいは、表示装置20は制御装置11と一体的に備えられていてもよい。表示部30は、LCD(Liquid crystal display)パネルやOLED(Organic light emitting diode)パネルなどの表示パネル部でありうる。
【0034】
情報取得部21は、断続切削を行うときの送り軸M1,M2の位置情報を一定時間間隔で取得する。この一定時間間隔は、例えば、制御装置11のサンプリング制御周期(例えば指令パルスの分配周期)の整数倍とすることができる。また、情報取得部21が取得する位置情報は、断続切削のための送り指令の値または該送り指令により駆動された送り軸M1,M2の実位置(位置フィードバック)のいずれか一方である。
さらに、送り軸M1,M2の位置情報として送り軸M1,M2の実位置を取得する場合、その実位置は、送り軸M1,M2のサーボモータに備わるエンコーダの出力値でもよいし、レーザトラッカまたは3次元位置センサ等の位置計測器により遠隔計測された送り軸M1,M2の移動端の位置、例えば切削工具14の先端部の位置でもよい。
【0035】
また、情報取得部21は、断続切削を行うときの送り軸M1,M2の位置情報以外の制御情報、例えばトルク情報、速度情報又は加速度情報を一定時間間隔で取得する。情報取得部21が取得するトルク情報、速度情報及び加速度情報は、断続切削のための送り指令値であってもよいし、該送り指令により駆動された送り軸M1,M2のフィードバック値であってもよい。
実トルク(トルクフィードバック)は、例えば、送り軸M1,M2のサーボモータの駆動電流を検出することにより求められてもよい。実速度(速度フィードバック)は、例えば、送り軸M1,M2のサーボモータに備わるエンコーダの出力値から求められてもよい。実加速度(加速度フィードバック)は、例えば、切削工具14の先端部に設けられた加速度センサの出力値から求められてもよい。
【0036】
また、情報取得部21は、ワークWおよび切削工具14の相対的な回転速度および回転角度を回転情報として取得する。
図1に示された構成の場合は、制御装置11に記憶された加工プログラムに主軸M0の回転速度(ワークWの回転速度)が予め設定されており、情報取得部21は、制御装置11から主軸M0の回転速度を回転情報として取得する。さらに、前述したように主軸M0の位置検出装置15としてロータリエンコーダが使用されており、制御装置11は、断続切削の間、ロータリエンコーダにより主軸M0の回転角度を検出することができる。このため、情報取得部21は、制御装置11から主軸M0の回転速度とともに回転角度も回転情報として取得することができる。
情報取得部21は、取得した送り軸M1,M2の時系列の位置情報、及びその他の制御情報(トルク情報、速度情報又は加速度情報)、並びに主軸M0の回転速度および回転
角度をメモリ(不図示)に記憶させる機能も備える。
【0037】
表示部30は、情報取得部21により取得された情報を表示する。表示部30は、第1情報表示部31と、第2情報表示部32と、第3情報表示部33と、拡大情報表示部34とを含む。
第1情報表示部31は、ワークWに対して切削工具14が相対的に送られた位置を表す第1情報を表示する。具体的には、第1情報表示部31は、情報取得部21により取得された送り軸M1,M2の時系列の位置情報に基づいて、送り軸M1,M2の移動経路(移動軌跡)、すなわち切削工具14の移動経路(移動軌跡)を表す第1情報を表示する。
拡大情報表示部34は、第1情報の拡大情報を表示する。
但し、表示される第1情報は、送り軸M1,M2のサーボモータに搭載されたエンコーダの出力値、あるいは位置計測器により遠隔計測された切削工具14の先端位置であってもよい。つまり、第1情報は、送り軸M1に対する位置指令値に基づいたデータでもよいし、送り軸M1,M2の実位置(位置フィードバック)に基づいたデータでもよい。
【0038】
第3情報表示部33は、送り軸M1,M2の位置情報の時間変化を表す第3情報を表示する。具体的には、第3情報表示部33は、情報取得部21により取得された送り軸M1,M2の時系列の位置情報に基づいて、送り軸M1,M2の位置の時間変化を表す第3情報を表示する。例えば、断続切削のための送り指令を情報取得部21により取得する場合は、
図2Cに示されるような波状曲線Qが第3情報に相当する。
但し、表示される第3情報は、送り軸M1,M2のサーボモータに搭載されたエンコーダの出力値と時間を対応付けたもの、あるいは位置計測器により遠隔計測された切削工具14の先端位置と時間とを対応付けたものであってもよい。つまり、第3情報は、送り軸M1,M2に対する位置指令値に基づいたデータもよいし、送り軸M1,M2の実位置に基づいた波形データでもよい。
【0039】
また、第3情報表示部33は、情報取得部21により取得された送り軸M1,M2の位置情報以外の時系列の制御情報、例えば時系列のトルク情報、時系列の速度情報又は時系列の加速度情報に基づいて、送り軸M1,M2の制御情報(トルク、速度又は加速度)の時間変化を表す第3情報を表示する。
第3情報は、送り軸M1,M2に対するトルク、速度又は加速度の指令値に基づいたデータもよいし、送り軸M1,M2の実トルク(トルクフィードバック)、実速度(速度フィードバック)、実加速度(加速度フィードバック)に基づいた波形データでもよい。
【0040】
第2情報表示部32は、主軸M0の位相と送り軸M1,M2の位置との関係を表す第2情報を表示する。具体的には、第2情報表示部32は、情報取得部21により取得された送り軸M1,M2の時系列の位置情報と主軸M0の回転情報とに基づいて、送り軸M1,M2の位置を、主軸M0の1回転(又は、2回転、3回転・・・)ごとに重ねて(折り返して)表す第2情報を表示する。
例えば、第2情報表示部32は、第3情報表示部33で表示された第3情報を、主軸M0の1回転分の回転角度(360°又は2π)(又は、複数回転分(2回転分、3回転分・・・)の回転角度)ごとに部分データに分割し、各々の部分データを第3情報の開始点(例えば、
図3の横軸上の原点)に合わせるように順次シフトすることにより、第2情報を表示する。
【0041】
制御装置11内の加工プログラムに設定された設定値である回転速度から、ワークWの回転角度を計算してもよいし、主軸M0に搭載されたロータリエンコーダから実際にワークWの回転角度を検出してもよい。表示装置20は、このようなワークWの回転角度の検出と送り軸M1,M2の位置情報の取得とを同じ一定時間間隔で行うことにより、実際の回転角度と送り軸M1,M2の位置情報とを互いに関連付けた第2情報を表示してもよい。
【0042】
図3は、第2情報表示部32によって表示される第2情報の一例を示した図である。
図3における横軸は主軸M0の回転角度(すなわち、位相)を示し、縦軸は加工方向(すなわち、
図1のZ軸方向に沿った第一方向)における位置(すなわち、送り軸M1,M2の位置)を示している。
図3に示される曲線A1および曲線A2は、例えば
図2Cに示された送り指令の時系列データ(波状曲線Q)をワークWの1回転ごとに分割して得られた部分データ、すなわち第2情報に相当する。曲線A1はワークWの第1回転目における第2情報を表し、曲線A2はワークWの第2回転目における第2情報を表している。簡潔にする目的で、ワークWの第3回転目以降の第2情報は図示を省略している。これら曲線A1、A2等のような第2情報は、回転するワークW上における切削工具14の軌跡を表したものでもある。
また、
図3には斜方向に延びる複数の直線状破線C1、C2、C3…が示されている。各破線C1、C2、C3は、
図2Cに示された位置指令(点線の直線P)に相当し、
図3の縦軸方向における各破線C1、C2、C3の間隔は毎回転送り量Fに相当する。
【0043】
図3によると、曲線A1と曲線A2とが2箇所B1、B2で互いに重なっている。箇所B1、B2においては破線C1に対する曲線A1の最大値は、破線C2に対する曲線A2の最小値よりも大きい。
この重なり箇所B1、B2においては、切削工具14が曲線A2の軌跡で加工しているときにワークWから離間するので、ワークWは加工されない。このような重なり箇所B1、B2が周期的に発生するので、前述した断続切削が実現する。
図3に示される例においては、曲線A2に従った動作により切屑が箇所B1、B2においてそれぞれ発生することとなる。つまり、第2回転目の曲線A2においては二つの切屑が発生する。
【0044】
したがって、作業者は、前の曲線A1と後の曲線A2とが部分的に互いに重なる箇所B1、B2の存在を確認することにより、切屑の細断の可否を判断することができる。重なり箇所B1、B2等が生じていないとき、作業者は、
図2Bに示された揺動指令における揺動周波数や揺動振幅を変更する。この変更は、制御装置11内の加工プログラム上の設定値、例えば主軸回転速度S、毎回転送り量F、揺動周波数倍率Iなどの調整により行える。作業者は、意図した重なり箇所B1、B2が生じるように、後述の表示装置20の表示部30に表示された第2情報を視認しながら揺動周波数や揺動振幅の変更を行うとよい。
【0045】
以上のように構成された表示部30は、第1情報と第2情報とを表示する。すなわち、第1情報表示部31が第1情報を表示し、第2情報表示部32が第2情報を表示する。このとき、第2情報表示部32は、後述する範囲選択部23によって選択された選択範囲に対応するように、第2情報の表示範囲を変更する。
表示部30は、第1情報の拡大情報及び第3情報のうちの少なくとも1つを更に表示してもよい。すなわち、拡大情報表示部34が第1情報の拡大情報を更に表示してもよいし、第3情報表示部33が第3情報を更に表示してもよい。或いは、表示部30は、第2情報を、第1情報の拡大情報及び第3情報のうちの少なくとも1つに、一時的に切り替えて表示してもよい。すなわち、第2情報表示部32及び拡大情報表示部34が第2情報と切り替えるようにして拡大情報を表示してもよいし、第2情報表示部32及び第3情報表示部33が第2情報と切り替えるようにして第3情報を表示してもよい。或いは、第2情報表示部32、第3情報表示部33及び拡大情報表示部34は、第2情報又は第3情報と切り替えるようにして拡大情報を表示してもよい。このとき、拡大情報表示部34は、範囲選択部23によって選択された選択範囲に対応するように、拡大情報の表示範囲を変更してもよいし、第3情報表示部33は、範囲選択部23によって選択された選択範囲に対応するように、第3情報の表示範囲を変更してもよい。
【0046】
図4は、第1情報及び第2情報の表示の一例を示す図であり、
図5は、第1情報、第1情報の拡大情報、及び第3情報の表示の一例を示す図である。
図4では、第1情報表示部31は、第1情報、すなわち送り軸M1の位置(加工方向のZ位置)及び送り軸M2の位置(切り込み方向のX位置)で表される移動経路(移動軌跡)を表示し(左図)、第2情報表示部32は、第2情報、すなわち送り軸M1の位置(加工方向のZ位置)を主軸M0の1回転ごとに重ねて表す情報を表示する(右図)。また、第1情報表示部31は、範囲選択部23によって選択された選択範囲Aを、第1情報に対応させて表示してもよい(左図)。なお、第2情報(右図)は、上述した
図3に対応する情報である。
【0047】
このように第2情報、すなわち送り軸M1の位置(加工方向のZ位置)を主軸M0の1回転ごとに重ねて表す情報を表示することにより(右図)、上述したように、作業者は、第2情報において曲線の重なりの存在を確認することにより、切屑の細断の可否を容易に判断することができる。
また、第1情報、すなわち送り軸M1の位置(加工方向のZ位置)及び送り軸M2の位置(切り込み方向のX位置)で表される移動経路(移動軌跡)とともに、第2情報の表示範囲に対応する選択範囲Aを表示することにより(左図)、作業者は、移動経路(移動軌跡)におけるどこの第2情報が表示されているのかを確認することができる。
【0048】
なお、第2情報表示部32は、第2情報として、送り軸M2の位置(切り込み方向のX位置)を主軸M0の1回転ごとに重ねて表す情報を表示してもよいし、送り軸M1の加工方向と送り軸M2の切り込み方向との合成方向の位置を主軸M0の1回転ごとに重ねて表す情報を表示してもよい。
【0049】
一方、
図5では、第2情報表示部32及び拡大情報表示部34は、
図4に示す第2情報を、第1情報の拡大情報、すなわち選択範囲Aに対応するように表示範囲が変更された第1情報の拡大情報に、一時的に切り替えて表示する(右上図)。更に、第2情報表示部32及び第3情報表示部33は、
図4に示す第2情報を、第3情報、すなわち送り軸M1の位置(加工方向のZ位置)の時間変化を表す情報に、一時的に切り替えて表示する(下図)。
【0050】
ここで、第1情報の拡大情報(右上図)において、曲線はワークWの外周面の母線に対応する。これにより、第1情報の拡大情報を表示することにより、作業者は、ワークWの過剰切り込み又は切り込み不足等を確認することができる。
また、第1情報の拡大情報、又は、第3情報、すなわち送り軸M1の位置(加工方向のZ位置)の時間変化を表す情報として、位置指令値と実位置(位置フィードバック)とを重ねて表示することにより(右上図、下図)、作業者は、位置指令値と実位置(位置フィードバック)とのずれを確認することにより、工作機械10及び制御装置11の調整(例えば、サーボパラメータの調整)が適切か否かを確認することができる。
【0051】
なお、第3情報表示部33は、第3情報として、送り軸M1,M2の位置以外の制御情報、例えばトルク、速度又は加速度の時間変化を表す情報を表示してもよい。
このように送り軸M1,M2のトルク、速度又は加速度の時間変化を表す情報として、指令値と実検出値(フィードバック)とを重ねて表示することにより、作業者は、指令値と実検出値(フィードバック)とのずれを確認することにより、工作機械10及び制御装置11の調整(例えば、サーボパラメータの調整)が適切か否かを確認することができる。
【0052】
なお、第3情報表示部33は、第3情報として、送り軸M2の位置(切り込み方向のX位置)の時間変化を表す情報を表示してもよいし、送り軸M1の加工方向と送り軸M2の切り込み方向との合成方向の位置の時間変化を表す情報を表示してもよい。
【0053】
さらに、第2情報及び第3情報を表示するときに、
図4および
図5に示される表示方法に代え、時間もしくは回転角度を縦軸方向に示し、送り軸の位置指令値または実位置を横軸方向に示してもよい。
【0054】
範囲選択部23は、第1情報における一部を選択範囲Aとして選択する。このとき、範囲変更部25は、範囲選択部23によって選択された選択範囲Aに対応するように、第2情報の表示範囲、第3情報の表示範囲、及び、第1情報の拡大情報の表示範囲の少なくともいずれか1つを変更する
。例えば、範囲選択部23は、第1情報における一部の始点と終点を指定することにより選択範囲を選択してもよい。このとき、範囲変更部25は、選択された選択範囲に対応する時間範囲に相当する情報を表示するように、第2情報および第3情報の縦軸あるいは横軸の表示スケールを変更することで、表示範囲を選択範囲と同期してもよい。
第1情報、第2情報および第3情報は、情報取得部21により同じ時間で取得された時系列の情報であるので、範囲選択部23が第1情報の一部を選択範囲として選択した場合、範囲変更部25は選択範囲に相当する時間範囲を求めることができ、この時間範囲の第2情報および第3情報の一部を表示することで、第1情報と第2情報の表示範囲を対応させることができる。
これにより、例えば、第3情報表示部33は、選択範囲に対応する時間範囲の第3情報を表示するように、選択された第1情報に相当する時間範囲を抜き出し、時間範囲の第3情報を表示するよう表示範囲を変更することで、選択範囲と表示範囲を同期することができる。
【0055】
また、範囲変更部25は、第2情報の表示範囲、第3情報の表示範囲、及び、第1情報の拡大情報の表示範囲の少なくともいずれか1つを変更する。このとき、範囲選択部23は、範囲変更部25によって変更された第2情報の表示範囲、第3情報の表示範囲、又は、第1情報の拡大情報の表示範囲に対応するように、選択範囲を変更する。
【0056】
範囲選択部23は、例えば表示部30に設けられたタッチパネルを含んでもよい。これにより、範囲選択部23で選択された選択範囲が変更される。このとき、表示部30は、変更された選択範囲に対応して、第2情報の表示範囲、第3情報の表示範囲、及び、第1情報の拡大情報の表示範囲を連動して変更する。
例えば
図4において、作業者がタッチパネルを操作することにより、第1情報に対応する選択範囲Aがシフトされると、第2情報の表示範囲も連動してシフトされる。また、例えば
図5において、作業者がタッチパネルを操作することにより、第1情報に対応する選択範囲Aがシフトされると、第1情報の拡大情報の表示範囲、及び、第3情報の表示範囲も連動してシフトされる。
このように、第1情報の選択範囲A、第2情報の表示範囲、第3情報の表示範囲、及び、第1情報の拡大情報の表示範囲の変更を連動させることにより、作業者の確認作業を容易にすることができる。
【0057】
また、範囲変更部25は、例えば表示部30に設けられたタッチパネルを含んでもよい。例えば
図4において、作業者がタッチパネルを操作することにより、第2情報の表示範囲が上下にシフトされると、第1情報に対応する選択範囲Aも連動して左右にシフトされる。また、例えば
図5において、作業者がタッチパネルを操作することにより、第1情報の拡大情報の表示範囲又は第3情報の表示範囲がシフトされると、第1情報に対応する選択範囲Aも連動してシフトされると共に、シフトされた選択範囲Aに対応して第1情報の拡大情報の表示範囲もシフトされる。
このように、第1情報の選択範囲A、第2情報の表示範囲、第3情報の表示範囲、及び、第1情報の拡大情報の表示範囲の変更を連動させることにより、作業者の確認作業を容易にすることができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の表示装置20によれば、断続切削(揺動切削)における切屑の細断の可否を作業者が容易に判断できるようになる。それにより、作業者は、より確実に切屑の細断のための揺動振幅の調整を行うことができ、意図したとおりに切屑を細断化する断続切削を実現することができる。
【0059】
切削工具14の駆動機構部にバックラッシが在る場合やその駆動機構部の剛性が低い場合には、断続切削中に振動が発生し、切削工具14の位置精度が安定しないことがある。例えば、断続切削のための送り指令に基づいて送り軸M1を駆動したとしても、切削工具14の実位置は、
図3に示されるような曲線A1、A2に完全には追従しない場合がある。つまり、切屑の細断が可能であると見做せる指令値であっても、実際には、意図したとおりに切屑の細断が行われない可能性がある。この点において、本実施形態の表示装置20は、送り軸M1の実位置の時間による変化をエンコーダ等の位置検出装置15によって検出し、この検出データに基づいて前述の第2情報を生成して表示部30に表示することもできる。このため、作業者は、そのような送り軸M1,M2の実位置に基づく第2情報を見ることで、実際に切屑の細断が行われるか否かを正確に判断することができる。
【0060】
なお、円柱形のワークWを旋削加工する場合、ワークWの回転速度Sは一定値であればよい。一方、円錐形または円錐台形等のワークWを旋削加工する場合、切削工具14の加工方向(
図1のZ軸方向に沿った方向)における送り位置に応じて、切削工具14の先端が当接するワークの部位の直径が変わる。この場合、ワークWの回転速度Sが一定値であると、ワークWにおける切削工具14の当接部位の周速(すなわち、切削速度)が切削工具14の加工方向の位置によって変わってしまい、均質な加工表面が得られない可能性がある。このため、ワークWの回転速度Sは、上記の周速が一定になるように、切削工具14の先端が当接するワークの部位の直径に応じて変化する関数により定められていてもよい。
【0061】
また、上述した制御装置11および表示装置20は、バスを介して互いに接続された、ROM(read only memory)やRAM(random access memory)などのメモリ、CPU(control processing unit)、および通信制御部を備えたコンピュータを用いて構成されている。さらに、表示装置20を構成する情報取得部21、第1情報表示部31、第2情報表示部32、第3情報表示部33、拡大情報表示部34等の各機能部は、上記コンピュータに搭載されたCPU、メモリ、および該メモリに記憶された制御プログラムが協働することにより達成されうる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、ワークWが回転すると共に切削工具14がワークWの外周面の母線に沿って揺動する構成を例示したが、本発明はこの構成に限定されない。
本発明に係る工作機械は、ワークWと切削工具14をワークWの中心軸線まわりに相対的に回転させる主軸M0と、該中心軸線に沿った加工方向にワークWと切削工具14とを相対的に送る少なくとも一つの送り軸M1、M2等とを制御して、ワークWを旋削加工する構成であればよい。例えば、切削工具14がワークWの中心軸線まわりに回転すると共にワークWが切削工具14に対して揺動する構成、あるいは、ワークWが回転すると共に切削工具14に対してワークWがワークWの外周面の母線に沿った方向に揺動する構成が想定されうる。本発明では、切削工具14がワークWの中心軸線まわりに回転してワークWを切削する加工方法も旋削加工の一種とする。