【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の装置によって実現される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に準拠する。
【0008】
本明細書に記載の装置は、エネルギー源、たとえばエネルギービーム、特にレーザビーム又は電子ビームによって固化することができる粉末状の造形材料(「造形材料」)の層を連続して選択的に層ごとに固化することによって3次元の物体、たとえば技術的構成要素を付加製造する装置である。それぞれの造形材料は、金属、セラミック、又はポリマー粉末とすることができる。それぞれのエネルギービームは、レーザビーム又は電子ビームとすることができる。それぞれの装置は、たとえば、選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置とすることができる。
【0009】
この装置は、その動作中に使用される複数の機能ユニットを備えることができる。例示的な機能ユニットには、プロセスチャンバ、プロセスチャンバ内に配置された造形材料層を少なくとも1つのエネルギービームによって選択的に照射するように適合された照射デバイス、及び所与の流れ特性、たとえば所与の流れプロファイル、流速などでプロセスチャンバを通って少なくとも部分的に流れるガス状流体流を生成するように適合された流れ生成デバイスが挙げられる。ガス状流体流は、プロセスチャンバを通って流れる間に、固化されていない粒子状の造形材料、特に装置の動作中に生成された煙又は煙残留物で充填することが可能である。ガス状流体流は、典型的には不活性であり、すなわち典型的には、不活性ガス、たとえばアルゴン、窒素、二酸化炭素などの流れである。
【0010】
本発明は、光学ユニットが、造形平面から放出された放射の少なくとも一部を判定デバイスの判定ユニットへ案内し、放射の少なくとも1つの案内された部分内で、少なくとも造形平面の固化区間の中心部分から放出された放射を低減させるように適合されるという概念に基づいている。したがって、光学ユニットは、造形平面から放出された放射を、放射の少なくとも1つのパラメータを判定するために使用される判定デバイスへ案内するために使用される。さらに、光学ユニットは、判定デバイスの判定ユニットの方へ収集及び案内された放射内に含まれる固化区間の中心部分から放出された放射を低減させるように適合される。固化区間の中心部分から放出された放射、たとえばエネルギービームのうち特に造形平面内に配置された(金属)造形材料表面で反射された部分を低減させると、少なくとも1つの隣接区間を観察することができ、すなわち少なくとも1つの隣接区間から放出された放射の少なくとも1つのパラメータを判定することができる。固化区間の中心部分から放出された放射を低減させることによって、固化区間の少なくとも1つの隣接区間又は周辺区間から放出された放射、たとえば放射の比が、固化区間の中心部分から放出された放射、たとえば放射の比に比べて増大されることがさらに確実になる。
【0011】
この場合も、固化区間は、造形平面のうち造形材料を直接照射して造形材料を固化する区間として画定され、特にこの区間内で、造形材料は焼結又は溶融される。造形平面、すなわち固化区間から放出された放射の分布は、典型的には均一ではなく、造形平面内の位置とともに変動する。固化区間の中心部分は、典型的には、最も大きい量のエネルギーを受け取るため、固化区間の中心部分は、固化区間全体又は造形平面全体それぞれに比べて、最も高い温度まで加熱される。したがって、固化区間に隣接する区間又は固化区間の周辺区間は、固化区間の中心部分より比較的小さい量のエネルギーを受け取る(典型的な照射パターンの場合)。より小さい量のエネルギーを受け取ることに加えて、隣接区間又は周辺区間はそれぞれ、熱伝達のために加熱される。
【0012】
また、ガウスモードなどの場合、ビーム形状に応じて、エネルギービームのスポットの分布が不均一になる可能性もある。本出願の範囲内で、造形平面、特に固化区間から放出された放射の分布が不均一であることから放射の量が比較的少なくなるそのような区間を、隣接区間又は周辺区間と理解することもできる。したがって、「固化区間の中心部分」という用語は、固化区間のうち少なくとも1つの隣接区間より比較的大きい量のエネルギーを受け取る部分を指す。シルクハット分布などの均一の強度分布に関して、中心部分は、固化区間のうち均一の強度を受け取る部分全体と考えることができ、隣接区間又は周辺区間は、中心部分を少なくとも部分的に取り囲み、比較的小さい量のエネルギーを受け取ることができる。
【0013】
この装置の第1の実施形態によれば、固化区間の中心部分から放出された放射は消去される。固化区間の中心部分から放出された放射を消去することによって、光学ユニットは、隣接区間又は周辺区間から放出された放射だけを判定ユニットへ案内することができ、中心部分からの放射は消去され、たとえば吸収される。したがって、隣接区間又は周辺区間から放出された放射を、固化区間の中心部分から放出された放射から分離することが可能である。言い換えれば、中心部分から放出された放射を消去することによって、隣接区間又は周辺区間から放出された放射(の比)だけが、判定デバイスの対応する判定ユニットへ案内される。
【0014】
したがって、対応する放射は、造形平面から放出された放射全体から分離され、したがって隣接区間から放出された放射の分離された判定及び評価又は分析が実行可能になる。これにより、隣接区間又は周辺区間内の冷却挙動及び/又は温度それぞれに関する情報を提供することが可能になる。したがって、それらの区間内で、付加造形された物体の特性、すなわち機械的特性に関する情報を得ることができる。この情報は、中心部分から放出されたはるかに強い信号又は大きい量の放射によって重畳又は過変調されるため、典型的には取得することができないものである。
【0015】
光学ユニットは、少なくとも1つの第1の鏡及び少なくとも1つの第2の鏡を備えることができ、第1の鏡は、固化区間の中心部分から放出された放射のビーム経路内に配置される。対応するビーム経路は、固化区間の中心部分から判定ユニットへ延び、第1の鏡は、中心部分から放出された放射が第1の鏡に入射し、光学ユニットを介して少なくとも低減されるように配置される。したがって、光学ユニットは、隣接区間又は周辺区間それぞれから放出された放射を判定デバイスへ案内するように、少なくとも1つの第1の鏡及び少なくとも1つの第2の鏡を備える。第1の鏡は、固化区間の中心部分から放出された放射を消去又は低減させるように、固化区間の中心部分から放出された放射のビーム経路内に配置される。
【0016】
したがって、第1の鏡は、固化区間の中心部分から放出された放射を反射するためには使用されず、固化区間の中心部分から放出された放射(の比)を低減させ、特に固化区間の中心部分から放出された放射を消去するためにだけ使用される。第1の鏡は、2つの面を備えることができ、第1の面は、造形平面の方を向いており、第2の面は、判定デバイスの対応する判定ユニットの方を向いている(ビーム経路に関する)。この鏡の第1の面は、固化区間の中心部分から放出された放射がこの鏡の第1の面に入射するように配置することができ、中心から放出された放射の比は、少なくとも低減され、好ましくは消去される。
【0017】
したがって、第1の鏡の第1の面は、固化区間の中心部分から放出された放射の低減が実現される規定の程度まで、(中心部分から放出された放射の波長に対して)不透明又は透過性とすることができる。たとえばこの鏡の第1の面上の対応する被覆を介して、固化区間の中心部分から放出された放射を第1の鏡の第1の面に吸収させることが可能である。この場合も、造形平面の中心部分から放出された放射は、規定の程度まで吸収することができ、特に90%を超える放射が吸収され、好ましくは中心部分からの放射が完全に吸収される。
【0018】
判定デバイスの方を向いている第1の鏡の第2の面は、少なくとも規定の程度まで、好ましくは隣接区間又は周辺区間それぞれから放出された95%を上回る放射に対して反射性とすることができる。当然ながら、「判定デバイスの方を向いている」及び「造形平面の方を向いている」という用語は、造形平面から放出された放射のビーム経路に関して示されている。たとえば、判定デバイスの方を向いている第1の鏡の第2の面で反射された放射は、判定デバイス、特に判定デバイスの対応する判定ユニット、たとえば対応するセンサの方へ案内される。
【0019】
光学ユニットは、少なくとも2つの鏡を備え、第1の鏡は、固化区間の中心部分から放出された放射を低減又は消去するために使用され、固化区間の隣接区間又は周辺区間から放出された放射はそれぞれ、第2の鏡に入射する。少なくとも1つの第2の鏡は、第2の鏡に入射する放射が第1の鏡の第2の面の方へ反射されることを確実にするために、造形平面の方を向いている反射面を備える。したがって、固化区間の隣接区間又は周辺区間から放出された放射は、第2の鏡の反射面に入射し、第1の鏡へ反射され、第1の鏡から再び判定デバイスの方へさらに反射される(当然ながら、放射は、判定デバイスの判定ユニットに入射する前に、光学ユニットの前及び/又は後にある少なくとも1つ又は複数の放射案内ユニットによって案内することが可能である)。
【0020】
第1の鏡の第2の面の湾曲は、第2の鏡で反射されて第1の鏡の第2の面に入射する放射が判定デバイスの方へ案内され、好ましくは視準されるように調整される。第1の鏡、特に第1の鏡の第2の面の湾曲は、凸面、特に球面とすることができる。したがって、ビーム経路に関して、第1の鏡は第2の鏡より造形平面に近く、第2の鏡は第1の鏡より判定デバイスの近くに位置決めされる。したがって、少なくとも1つの隣接区間又は少なくとも1つの周辺区間から放出された放射は、第1の鏡の外側を通過して(中心部分から放出された放射は消去する)、第2の鏡に入射することができ、第2の鏡から第1の鏡の第2の面へ反射され、再び判定デバイスの方へ反射される。
【0021】
第2の鏡は、好ましくはリング形状とすることができ、このリング形状は、開口を囲む。したがって、第2の鏡に入射する放射は、リング形状の第2の鏡の少なくとも一部で第1の鏡の第2の面の方へ反射される。第1の鏡の第2の面から放出された放射は、第2の鏡の開口を通過する。言い換えれば、固化区間の中心部分から放出された放射のビーム経路は、第2の鏡の開口と一致しているが、固化区間の中心部分から放出された放射は、やはりこの開口及び固化区間の中心部分から放出された放射のビーム経路と一致して配置されている第1の鏡を介して消去又は低減される。
【0022】
この装置の別の実施形態によれば、第2の鏡は、先細りした横断面を含むことができる。先細りした横断面により、中心に配置された第1の鏡の方へ放射を案内することが可能になる(固化区間から放出された放射のビーム経路に関する)。言い換えれば、第1の鏡の外側を通過して第2の鏡に入射する放射は、第1の鏡の第2の面の方へ反射され、第1の鏡は、固化区間の中心部分から放出された放射と一致している。
【0023】
第2の鏡に入射する放射の案内を改善するために、第1の鏡の方を向いている第2の鏡の面を湾曲させることができ、特に凹面にすることができる。第1の鏡の方を向いており、特に第1の鏡の第2の面の方を向いている第2の鏡の面の湾曲は、特に、第1の鏡の第2の面の湾曲に依存することができる。好ましくは、造形平面から放出されて光学ユニットの方へ案内(又は伝搬)された放射は、第1の鏡の第2の面の方を向いている第2の鏡の面で反射され、再び第1の鏡の第2の面で判定デバイスの方へ反射される。どちらの鏡の湾曲も、所望の放射パターンが判定デバイス上で実現されるように、互いに対して調整することができる。
【0024】
好ましくは、光学ユニットは、回転対称である。「回転対称」という用語は、光学ユニットが、光軸(造形平面の中心部分から放出された放射のビーム経路)の周りの向きとは独立して、造形平面から放出された放射を判定デバイスへ案内することが可能であることを指す。したがって、光軸の周りの光学ユニットの回転は、好ましくは、造形平面の異なる又は同じ位置から放出された放射が光学ユニットによって案内される通路に影響を与えず、又はそれほど作用しない。
【0025】
この装置の別の実施形態によれば、光学ユニットをビーム経路、特に光学ユニットの第1の鏡の内外へ選択的に動かすように適合された位置決めユニットを設けることができる。光学ユニットをビーム経路の内外へ選択的に動かすように適合された位置決めユニットを有することによって、光学ユニットがビーム経路内にある状態でも光学ユニットがビーム経路内にない状態でも、造形平面から放出された放射の少なくとも1つのパラメータを測定又は判定することが可能になる。したがって、位置決めユニットは、光学ユニットが造形平面、特に固化区間の中心部分から放出された放射のビーム経路内に位置決めされる第1の位置、及び光学ユニットがビーム経路内にない第2の位置に、光学ユニットを位置決めすることを可能にする。また、第1の鏡を単に動かすことによって、中心部分から放出された放射は、第2の鏡の開口を通過することができ、隣接区間からの放射は、第2の鏡で反射されるため、放射の中心部分を分離することが可能になる。
【0026】
特に、光学ユニットが第1の位置にある状態で、第1の測定又はパラメータ判定を実行することができ、光学ユニットが第2の位置にある状態で、第2の測定又はパラメータ判定を実行することができる。したがって、比の低減(又は中心部分若しくは隣接部分それぞれの消去)を行うか否かに応じて、中心部分から放出された放射の少なくとも1つのパラメータを判定する可能性を提供するために、光学ユニットの選択的な調整が可能になる。
【0027】
判定デバイスは、固化区間の中心部分から放出された放射が、案内された放射内で光学ユニットを介して低減される第1の位置に光学ユニットがある状態で判定される少なくとも1つのパラメータと、固化区間の中心部分から放出された放射が、案内された放射内で光学ユニットを介して低減されない第2の位置に光学ユニットがある状態で判定される少なくとも1つのパラメータ、特に同じパラメータとを組み合わせるようにさらに適合することができる。前述したように、光学ユニットが両方の位置にある状態で判定される少なくとも1つのパラメータの両方の測定又は判定を組み合わせて、固化区間の中心部分及び隣接区間又は周辺区間それぞれの情報を提供することができる。これにより、物体を形成するために造形材料が選択的に照射される区域全体における物体及び/又はプロセス品質を示すことが可能になる。たとえば、プロセス中の温度、及び/又は規定の区域若しくは区間がどのように調温されているか、特にたとえば冷却挙動若しくは温度勾配若しくは絶対温度に関して、情報を生成することができる。
【0028】
この装置の別の実施形態によれば、判定デバイスは、少なくとも2つの判定ユニットを備え、ビーム分割ユニットが、造形平面から放出された放射の少なくとも一部を2つの放射部分に分割するように適合され、一方の放射部分は、第1の判定ユニットへ誘導され、他方の放射部分は、第2の判定ユニットへ誘導され、光学ユニットは、ビーム分割ユニットと第1又は第2の判定ユニットとの間に配置される。この実施形態によれば、造形平面から放出された放射を少なくとも2つの放射部分に分割することが可能であり、2つの放射部分は、異なる判定ユニット、特に第1の判定ユニット及び第2の判定ユニットへ案内される。
【0029】
光学ユニットは、ビーム分割ユニットと第1又は第2の判定ユニットとの間に配置される。そうすることによって、固化区間の中心部分から放出された放射が第1の鏡を介して低減又は消去されるように、光学ユニットを介して一方の放射部分を「濾過」することが可能になり、第2の放射部分又は他方の放射部分は、造形平面から放出されたすべての放射部分を含み(又は隣接区間は消去される)、特に固化区間の中心部分及び少なくとも1つの隣接区間又は周辺区間それぞれから放出された放射を含む。
【0030】
光学ユニットは、造形平面及び/又は装置の判定デバイスの判定ユニットに対してさらに可動に配置することができる。これにより、ビーム経路に沿って、造形平面と光学ユニットとの間の距離及び/又は判定デバイスの判定ユニットと光学ユニットとの間の距離を調整することが可能になる。さらに、第1の鏡と第2の鏡との間の距離が調整可能になるように、光学ユニットを可動に配置することも可能である。したがって、光学ユニット又は判定デバイスの判定ユニットそれぞれの作業距離を調整することができる。
【0031】
さらに、本発明は、エネルギー源によって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって3次元の物体を付加製造する装置、特に前述した本発明の装置向けの判定デバイスに関し、判定デバイスは、造形平面から放出された放射の少なくとも1つのパラメータを判定するように適合され、光学ユニットが、造形平面から放出された放射の少なくとも一部を判定デバイスの少なくとも1つの判定ユニットへ案内し、放射の少なくとも1つの案内された部分内で、少なくとも造形平面の固化区間の中心部分から放出された放射を低減させるように適合される。したがって、光学ユニットは、判定デバイスに割り当てることができ、判定デバイス及び光学ユニットは、判定アセンブリを形成することができる。
【0032】
加えて、本発明は、エネルギー源によって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって3次元の物体を付加製造する少なくとも1つの装置、特に前述した本発明の装置を動作させる方法に関し、造形平面から放出された放射の少なくとも1つのパラメータが判定され、造形平面から放出された放射の少なくとも一部が収集され、放射(8)の少なくとも一部内で、固化区間の中心部分から放出された放射が低減される。
【0033】
本発明の装置に関して記載するすべての特徴、詳細、及び利点は、本発明の判定デバイス及び本発明の方法に完全に移行可能であることは自明である。
【0034】
本発明の例示的な実施形態について、図を参照して説明する。これらの図は概略図である。