特許第6802223号(P6802223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6802223ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの製造方法、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、並びに架橋エラストマー及び高分子量エラストマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802223
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの製造方法、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、並びに架橋エラストマー及び高分子量エラストマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/08 20060101AFI20201207BHJP
   C08G 69/26 20060101ALI20201207BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20201207BHJP
   C08G 73/04 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   C08G61/08
   C08G69/26
   C08G59/42
   C08G73/04
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-148315(P2018-148315)
(22)【出願日】2018年8月7日
(62)【分割の表示】特願2016-545759(P2016-545759)の分割
【原出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2018-197349(P2018-197349A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2018年8月10日
(31)【優先権主張番号】61/884,594
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】305023366
【氏名又は名称】リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マーティネス,ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒルマイヤー,マーク エー.
(72)【発明者】
【氏名】ムンロ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ウォルトン,キム エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ,モルガン エム.
【審査官】 藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05512635(US,A)
【文献】 特表2009−528434(JP,A)
【文献】 特開2006−249417(JP,A)
【文献】 特表2002−539299(JP,A)
【文献】 特表2009−543781(JP,A)
【文献】 特公昭48−006960(JP,B1)
【文献】 特開平03−273043(JP,A)
【文献】 S. Kobayashi et.al.,Journal of the American Chemical Society,2011年,133,5794-5797
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00−61/12
C08G 59/42
C08G 69/26
C08G 73/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを製造するための方法であって:
「アルキル−シス−シクロオクテン」又は「アルキル−シス−シクロオクテン及びシス−シクロオクテン」を、多官能連鎖移動剤の存在下、開環メタセシス重合条件下で反応させて、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを形成し、
前記不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを水素化して水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを製造することを含む、方法。
【請求項2】
前記水素化が、温度50から80℃、及び圧力350から500psiでの接触水素化(catalytic hydrogenation)であるとともに、前記触媒がシリカ担持プラチナ触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを、触媒の存在下または不在下、前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーに対して反応性を有する多官能化合物で熱架橋し、架橋エラストマーを形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを、触媒の存在下または不在下、前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーに対して反応性を有する二官能化合物で鎖延長することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを、触媒の存在下または不在下、前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーに対して反応性を有する多官能化合物で熱架橋するのと同時に、前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーに対して反応性を有する二官能化合物で鎖延長して、架橋鎖延長エラストマーを形成することをさらに含み前記熱架橋のための多官能化合物が二官能化合物である場合には前記鎖延長のための二官能化合物と同じであっても異なっていてもよい、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記多官能化合物が、ポリアミン及びポリエポキシドからなる群から選ばれる、請求項3又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記二官能化合物が、ジアミン及びジエポキシドからなる群から選ばれる、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
前記多官能化合物が多官能アジリジンである、請求項3又は5に記載の方法。
【請求項9】
前記二官能化合物が二官能アジリジンである、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項10】
前記多官能アジリジンが、トリメチロールプロパントリ(2−メチル−1−アジリジンプロピオネート)である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記二官能アジリジンが、ブタン−1,4−ジイルビス(3−(2−メチルアジリジン−1−イル)プロパノエート)である、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記多官能化合物の官能性の、前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモル比が、1:0.94から1:1.06である、請求項3又は5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの製造方法、ポリオレフ
ィンの反応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマー
に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは、高モル質量のポリマーとして有用な材料である。飽和ポリオレフィ
ン材料の低価格に加えて、高い耐薬品性と耐酸化性は、プラスチック産業にとってポリオ
レフィンを非常に望ましいものにする。これらポリオレフィンへの官能基の制御された組
み入れは、特性の向上につながりうることが証明されている。しかしながら、ポリオレフ
ィン由来の膨大な数の材料及び用途にもかかわらず、即硬化エラストマー形成用のポリオ
レフィンのプレポリマーは、未開の領域である。これは第一に、正確で制御された官能化
が困難であったためである。ポリオレフィンに反応性基を組み込む方法のほとんどは、重
合後の反応を含み、これは通常、官能化の位置及び量の制御が利かず、機械的性質の低下
につながる。成形可能、射出可能、または加工可能で、硬化エラストマーを形成するポリ
オレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの合成は、シリコーン及びウレタンゴムの
所望の代替を提供するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの製造方法、ポリオレフ
ィンの反応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマー
である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、本発明は、アルキル‐シス‐シクロオクテン及び場合によりシス
‐シクロオクテンを、二官能連鎖移動剤及び/または多官能連鎖移動剤の存在下、開環メ
タセシス重合条件下で反応させて、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリ
マーを形成することを含む、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの製造方
法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの製造方法、ポリオレフ
ィンの反応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマー
である。
【0006】
本発明のポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの製造方法は、アルキル‐
シス‐シクロオクテン及び場合によりシス‐シクロオクテンを、二官能連鎖移動剤及び/
または多官能連鎖移動剤の存在下、開環メタセシス重合条件下で反応させて、不飽和ポリ
オレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを形成することを含む。
【0007】
別の実施形態において、本発明はさらに、本明細書に開示された本発明の方法の任意の
実施形態で製造された不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの反応生
成物を提供する。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、前記方法が前記不飽和ポリオレフィンの反応性テレ
ケリックプレポリマーを水素化して、水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポ
リマーを製造することをさらに含むこと以外は本明細書に開示の任意の実施形態に従って
、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを製造する方法を提供する。
【0009】
さらに別の実施形態において、本発明は、水素化ポリオレフィンの反応性テレケリック
プレポリマーの反応生成物をさらに提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、前記方法が前記水素化ポリオレフィンの反応性テレ
ケリックプレポリマーを、場合により触媒の不在下、このテレケリックプレポリマーと反
応性の多官能化合物で熱架橋し、架橋エラストマーを形成することをさらに含むこと以外
は本明細書に開示の任意の実施形態に従って、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレ
ポリマーを製造する方法を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、前記方法が前記水素化ポリオレフィンの反応性テレ
ケリックプレポリマーを、場合により触媒の不在下、このテレケリックプレポリマーと反
応性の第一の二官能化合物で鎖延長して高分子量エラストマーを形成することをさらに含
むこと以外は本明細書に開示の任意の実施形態に従って、ポリオレフィンの反応性テレケ
リックプレポリマーを製造する方法を提供する。ここで、高分子量エラストマーとは、前
記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの分子量の少なくとも2倍の分子量
を有するエラストマーを指す。2倍以上のすべての個別値と部分範囲が本明細書に含まれ
、本明細書に開示される。例えば、前記高分子量エラストマーの分子量は、前記ポリオレ
フィンの反応性テレケリックプレポリマーの分子量の2倍の下限からでよく、または代替
的に、前記高分子量エラストマーの分子量は、前記ポリオレフィンの反応性テレケリック
プレポリマーの分子量の5倍の下限からでよく、または代替的に、前記高分子量エラスト
マーの分子量は、前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの分子量の10
倍の下限からでよく、または代替的に、前記高分子量エラストマーの分子量は、前記ポリ
オレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの分子量の15倍の下限からでよい。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、前記方法が前記水素化ポリオレフィンの反応性テレ
ケリックプレポリマーを、場合により触媒の不在下、このテレケリックプレポリマーと反
応性の二官能化合物の混合物で鎖延長及び同時に前記鎖延長中の水素化ポリオレフィンの
反応性テレケリックプレポリマーを、このテレケリックプレポリマーと反応性の多官能化
合物で熱架橋して鎖延長した架橋エラストマーを形成することをさらに含むこと以外は本
明細書に開示の任意の実施形態に従って、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリ
マーを製造する方法を提供する。
【0013】
さらに別の実施形態において、本発明はさらに架橋エラストマーを提供する。
【0014】
さらに別の実施形態において、本発明はさらに鎖延長されたエラストマーを提供する。
【0015】
本発明の実施形態で有用なアルキル‐シス‐シクロオクテンは当分野では公知である。
例示的なアルキル‐シス‐シクロオクテンとしては、3‐置換シス‐シクロオクテン類、
例えば、3‐メチル‐シス‐シクロオクテン、3‐エチル‐シス‐シクロオクテン、3‐
ヘキシル‐シス‐シクロオクテン、及び3‐フェニル‐シス‐シクロオクテンが挙げられ
る。
【0016】
当分野で公知の任意の二官能連鎖移動剤が本発明の実施形態で使用されうる。二官能連
鎖移動剤として、例えば、マレイン酸、シス‐1,4‐ジアセトキシ‐2‐ブテン、1,
8‐ジシアノ‐4‐オクテン、及びジメチルトランス‐3‐ヘキセンジオエートが挙げら
れる。
【0017】
さらに別の実施形態において、1またはそれ以上の多官能連鎖移動剤が用いられうる。
例示的な多官能連鎖移動剤としては、2‐ブテン‐1,1,4,4‐テトロール;(Z)
‐‐ブテ‐2‐エン‐1,4‐ジイルビス(3‐ヒドロキシ‐2‐(ヒドロキシメチル)
‐2‐メチルプロパノエート);及び(Z)‐2,2’‐(ブテ‐2‐エン‐1,4‐ジ
イルビス(オキシ))ビス(オキソメチレン)ビス(2‐メチルプロパン‐3,2,1‐
トリイル)テトラキス(3‐ヒドロキシ‐2‐(ヒドロキシメチル)‐2‐メチルプロパ
ノエート)が挙げられる。多官能連鎖移動剤は、多官能プレポリマーを生じさせ、これは
続いて架橋エラストマーに転換されうる。
【0018】
開環メタセシス重合(ROMP)条件は、当分野では公知であり、例えば、「Regio- a
nd Stereoselective Ring-Opening Metathesis Polymerization of 3-Substituted Cyclo
octenes,」 Shingo Kobayashi et al, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 5794-5797及び「C
arboxy-Telechelic Polyolefins by ROMP Using Maleic Acid as a Chain Transfer Agen
t,」 Pitet and Hillmyer, Macromolecules 2011, 44, 2378-2381に記載されている。多
種多様な触媒がROMPで有用であることが知られており、単純な金属系化合物、例えば
、RuCl/アルコール混合物並びに、第一及び第二世代のGrubbs触媒及びHo
veyda−Grubbs触媒を含む、より複雑なGrubbs触媒が挙げられる。第一
世代のGrubbs触媒は、一般式:
【化1】
の遷移金属カルベン錯体である。第二世代のGrubbs触媒は、一般式:
【化2】
を有する。Hoyveda−Grubbs触媒は、一般式:
【化3】
を有する。当業者であればROMPに適したいかなる触媒も使用されうることが理解され
るであろう。本発明は、上述した触媒の構造によって制限されず、また、かかる触媒の金
属としてのルテニウムの使用にも制限されない。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマーを、シス
‐シクロオクテンのアルキル‐シス‐シクロオクテンに対するモル比が1:0.05から
0.05:1であること以外は本明細書に開示の任意の実施形態に従っての製造する方法
を提供する。1:0.05から0.05:1のすべての個別値と部分範囲が本明細書に含
まれ、本明細書に開示される。例えば、シス‐シクロオクテンのアルキル‐シス‐シクロ
オクテンに対するモル比は、1:0.05から0.05:1でよく、または代替的に、シ
ス‐シクロオクテンのアルキル‐シス‐シクロオクテンに対するモル比は、1:0.08
から0.08:1でよく、または代替的に、シス‐シクロオクテンのアルキル‐シス‐シ
クロオクテンに対するモル比は、1:0.5から0.5:1でよく、または代替的に、シ
ス‐シクロオクテンのアルキル‐シス‐シクロオクテンに対するモル比は、1:0.8か
ら0.8:1でよい。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマーを、前記
不飽和及び/または水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーのモル質量
が1から20kg/モルであること以外は本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造
する方法を提供する。1から20kg/モルのモル質量のすべての個別値と部分範囲が本
明細書に含まれ、本明細書に開示される;例えば、前記不飽和ポリオレフィンの反応性テ
レケリックプレポリマーのモル質量は、1、3、6、9、12、15、または18kg/
モルの下限から2、5、8、11、14、17、または20kg/モルの上限でありうる
【0021】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマーを、前記
不飽和及び/または水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーが、1また
はそれ以上の下記特性を示すこと以外は本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造す
る方法を提供する:(a)分解温度Tが310℃以上;及び(b)ガラス転移温度Tg
が−25℃以下。
【0022】
前記不飽和及び/または水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーが、
310℃以上のTを示すこれら実施形態については、310℃以上のすべての個別値と
部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、前記Tは、310℃の
下限からでよく、または代替的に、前記Tは、320℃の下限からでよく、または代替
的に、前記Tは、330℃の下限からでよく、または代替的に、前記Tは、340℃
の下限からでよく、または代替的に、前記Tは、350℃の下限からでよい。
【0023】
前記不飽和及び/または水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーが、
−25℃以下のガラス転移温度Tgを示す場合、すべての個別値と部分範囲が本明細書に
含まれ、本明細書に開示される。例えば、前記Tgは、−25℃の上限からでよく、また
は代替的に、前記Tgは、−30℃の上限からでよく、または代替的に、前記Tgは、−
35℃の上限からでよく、または代替的に、前記Tgは、−40℃の上限からでよい。別
の実施形態において、前記不飽和及び/または水素化ポリオレフィンの反応性テレケリッ
クプレポリマーは、−250℃以上のガラス転移温度を示す。−250℃以上のすべての
個別値と部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、前記Tgは、−
250℃の下限から、または代替的に、−200℃の下限から、または代替的に、−15
0℃の下限から、または代替的に、−100℃の下限からの範囲でありうる。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、ΔHが56Jg−1未満(二度目の加熱)を示す
不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを提供する。前記不飽和ポリオ
レフィンの反応性テレケリックプレポリマーが56Jg−1未満(二度目の加熱)のΔH
を示す実施形態については、56Jg−1未満のすべての個別値と部分範囲が本明細書
に含まれ、本明細書に開示される。例えば、前記ΔHは56Jg−1未満でよく、また
は代替的に、前記ΔHは51Jg−1未満でよく、または代替的に、前記ΔHは46
Jg−1未満でよく、または代替的に、前記ΔHは41Jg−1未満でよい。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、ΔHが277Jg−1未満(二度目の加熱)を示
す水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを提供する。前記水素化ポリ
オレフィンの反応性テレケリックプレポリマーが277Jg−1未満(二度目の加熱)の
ΔHを示す実施形態については、277Jg−1未満のすべての個別値と部分範囲が本
明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、前記ΔHは277Jg−1未満でよ
く、または代替的に、前記ΔHは200Jg−1未満でよく、または代替的に、前記Δ
は150Jg−1未満でよく、または代替的に、前記ΔHは100Jg−1未満で
よい。別の実施形態において、ΔHが0Jg−1以上、または代替的に、前記ΔH
10Jg−1以上、または代替的に、前記ΔHが20Jg−1以上、または代替的に、
前記ΔHが30Jg−1以上、または代替的に、前記ΔHが50Jg−1以上を示す
前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマーを、水素
化が接触水素化(catalytic hydrogenation)であり、水素化触媒の存在下で生じることを
除いて、本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する方法を提供する。水素化触媒
は当分野では周知である。
【0027】
特定の実施形態では、前記水素化触媒は、少なくとも90%の飽和を与え、プレポリマ
ー鎖あたり少なくとも1.7の官能性を有する水素化ポリオレフィンの反応性テレケリッ
クプレポリマーをもたらす触媒である。プレポリマー鎖あたり下限1.7の官能性からの
すべての個別値と部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、前記官
能性は、プレポリマー鎖あたり、下限1.7、1.8、1.9、または2.0からの感応
性でよい。別の実施形態では、プレポリマー鎖あたり10以下の官能性、または代替的に
、プレポリマー鎖あたり7以下の官能性、または代替的に、プレポリマー鎖あたりの4以
下の官能性の前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーである。
【0028】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、高分子量エラストマー、及び架橋鎖
延長エラストマーを、水素化の後で前記官能性の少なくとも60%が残ることを除いて、
本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する方法を提供する。少なくとも60%か
らのすべての個別値と部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、水
素化後に残る官能性の百分率は、下限60、70、80、90、または95からの範囲で
ありうる。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、高分子量エラストマー、及び架橋鎖
延長エラストマーを、前記水素化によりプレポリマーに存在する不飽和の少なくとも90
%が水素化されることを除いて、本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する方法
を提供する。少なくとも90%からのすべての個別値と部分範囲が本明細書に含まれ、本
明細書に開示される;例えば、前記水素化の程度は、下限90、92.5、95、または
97%からでよい。
【0030】
均一及び不均一触媒系の両方が、エチレン性不飽和ポリマーの水素化に広く利用されて
いる。均一触媒法は、米国特許第3595295号明細書、第3595942号明細書、
第3700633号明細書、及び第3810957号明細書に開示されており、これらの
開示は、「Polymer Hydrogenations With Soluble Lithium/Cobalt And Aluminum/Cobalt
Catalysts」; J. C. Falck, Catalysis In Organic Synthesis, E. D. PN Rylander and
H. Greenfield, Academic Press, New York, 1976, pp. 305-24とともに本明細書に引用
して援用する。不均一触媒は、これらの開示を本明細書に引用して援用する米国特許第3
333024号明細書及び第3415789号明細書、並びにベルギー国特許第8713
48号明細書及び英国特許第2011911号明細書に開示されている。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、高分子量エラストマー、及び架橋鎖
延長エラストマーを、前記水素化が温度50から80℃、圧力350から500psiで
の接触水素化であるとともに、前記触媒がシリカ担持プラチナ触媒であることを除いて、
本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する方法を提供する。50から80℃のす
べての個別値と部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される;例えば、前記接触
水素化の温度は、下限50、55、60、65、70、または75℃から、上限52、5
7、63、68、72、77、または80℃まででよい。例えば、前記接触水素化の温度
は、50から80℃に及んでよく、または代替的に、前記接触水素化の温度は65から8
0℃に及んでよく、または代替的に、前記接触水素化の温度は50から68℃に及んでよ
く、または代替的に、前記接触水素化の温度は60から75℃に及んでよい。350から
500psiのすべての個別値と部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される;
例えば、前記接触水素化の圧力は、下限350、400、または450psiから上限3
75、425、475、または500psiまででよい。例えば、前記接触水素化の圧力
は350から500psiに及んでよく、または代替的に、前記接触水素化の圧力は42
5から500psiに及んでよく、または代替的に、前記接触水素化の圧力は350から
425psiに及んでよく、または代替的に、前記接触水素化の圧力は380から475
psiに及んでよい。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、高分子量エラストマー、及び架橋鎖
延長エラストマーを、前記水素化が化学的水素化であることを除いて、本明細書に開示の
任意の実施形態に従って製造する方法を提供する。化学的水素化は当分野において公知で
あり、例えば、Die Makromoleculare Chemie, 163, 1 (1973) 及びDie Makromolekulare
Chemie, 163, 13 (1973)に記載されている。化学的水素化では、水素は、Hガスの代わ
りに「水素供与体」から引き出される(「移される」)。水素供与体は、多くの場合溶媒
としての役割を果たし、ヒドラジン、ジヒドロナフタレン、ジヒドロアントラセン、イソ
プロパノール、及びギ酸を含む。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、高分子量エラストマー、及び架橋鎖
延長エラストマーを、前記製造方法がさらに、場合により触媒の不在下で、前記水素化ポ
リオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの前記ポリオレフィンの反応性テレケリ
ックプレポリマーと反応性の多官能化合物との熱架橋と、前記水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマーの前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
と反応性の二官能化合物での鎖延長を同時に行い、架橋鎖延長エラストマーを形成するこ
とを含むことを除いては、本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する方法を提供
する。
【0034】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、高分子量エラストマー、及び架橋鎖
延長エラストマーを、前記多官能化合物がポリアミン及びポリエポキシドからなる群から
選ばれることを除いて、本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する方法を提供す
る。
【0035】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、高分子量エラストマー、及び架橋鎖
延長エラストマーを、前記二官能化合物がジアミン及びジエポキシドからなる群から選ば
れることを除いて、本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する提供する。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、高分子量エラストマー、及び架橋鎖
延長エラストマーを、前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーと反応性の
前記多官能化合物が多官能アジリジンであることを除いて、本明細書に開示の任意の実施
形態に従って製造する方法を提供する。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、及び高分子量エラストマーを、前記ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマーと反応性の前記二官能化合物が二官能アジリジンであるこ
とを除いて、本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する方法を提供する。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマーを、前記
多官能アジリジンがトリメチロールプロパントリ(2‐メチル‐1‐アジリジンプロピオ
ネート)であることを除いて、本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する方法を
提供する。
【0039】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマーを、前記
二官能アジリジンがブタン‐1,4‐ジイルビス(3‐(2‐メチルアジリジン‐1‐イ
ル)プロパノエート)であることを除いて、本明細書に開示の任意の実施形態に従って製
造する方法を提供する。
【0040】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマーを、前記
多官能化合物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性
に対するモル比が1:2から2:1であることを除いて、本明細書に開示の任意の実施形
態に従って製造する方法を提供する。1:2から2:1のすべての個別値と部分範囲が本
明細書に含まれ、本明細書に開示される;例えば、前記多官能化合物の官能性の前記ポリ
オレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモル比は1:2でよく、
または代替的に、前記多官能化合物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリック
プレポリマーの官能性に対するモル比は2:1でよく、または代替的に、前記多官能化合
物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモ
ル比は1.5:2でよく、または代替的に、前記多官能化合物の官能性の前記ポリオレフ
ィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモル比は2:1.5でよく、ま
たは代替的に、前記多官能化合物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプ
レポリマーの官能性に対するモル比は1:1.05でよく、または代替的に、前記多官能
化合物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対す
るモル比は1:0.95でよい。特定の実施形態では、前記多官能化合物の官能性の前記
ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモル比は1:0.9
4から1:1.06でよい。
【0041】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマーを、前記
二官能及び多官能化合物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマ
ーの官能性に対するモル比が1:2から2:1であることを除いて、本明細書に開示の任
意の実施形態に従って製造する方法を提供する。1:2から2:1のすべての個別値と部
分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される;例えば、前記二官能及び多官能化合
物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモ
ル比は1:2でよく、または代替的に、前記二官能及び多官能化合物の官能性の前記ポリ
オレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモル比は2:1でよく、
または代替的に、前記二官能及び多官能化合物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テ
レケリックプレポリマーの官能性に対するモル比は1.5:2でよく、または代替的に、
前記二官能及び多官能化合物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポ
リマーの官能性に対するモル比は2:1.5でよく、または代替的に、前記二官能及び多
官能化合物の官能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に
対するモル比は1:1.05でよく、または代替的に、前記二官能及び多官能化合物の官
能性の前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモル比は
1:0.95でよい。特定の実施形態では、前記二官能及び多官能化合物の官能性の前記
ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモル比は1:0.9
4から1:1.06でよい。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー
、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマー、水素化ポリオレフィンの反
応性テレケリックプレポリマー、架橋エラストマー、及び高分子量エラストマーを、前記
架橋及び/または高分子量エラストマーが、(a)ゲル分率が0.99以下かつ0.3以
上;(b)Tが310℃以上;(c)ガラス転移温度Tgが−25℃以下;(d)ヒス
テリシスが20%以下;及び(e)0℃での弾性率と、分解温度より1℃低い温度での弾
性率の差が35%未満、からなる群から選ばれた1またはそれ以上の特性を示すことを除
いて、本明細書に開示の任意の実施形態に従って製造する方法を提供する。
【0043】
特定の実施形態では、前記架橋及び/または鎖延長架橋エラストマーは、0.99以下
かつ0.3以上のゲル分率を示す。0.99以下かつ0.3以上のすべての個別値と部分
範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される;例えば、前記架橋及び/または鎖延長
架橋エラストマーのゲル分率は、下限0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8
、もしくは0.9から上限0.35、0.46、0.57、0.68、0.73、0.8
2、もしくは0.99でよい。例えば、前記架橋及び/または鎖延長架橋エラストマーの
ゲル分率は、0.3から0.99の範囲でよく、または代替的に、前記架橋及び/または
鎖延長架橋エラストマーのゲル分率は、0.3から0.66の範囲でよく、または代替的
に、前記架橋及び/または鎖延長架橋エラストマーのゲル分率は、0.66から0.99
の範囲でよく、または代替的に、前記架橋及び/または鎖延長架橋エラストマーのゲル分
率は、0.45から0.75の範囲でよく、または代替的に、前記架橋及び/または鎖延
長架橋エラストマーのゲル分率は、0.6から0.8の範囲でよく、または代替的に、前
記架橋及び/または鎖延長架橋エラストマーのゲル分率は、0.65から0.99の範囲
でよい。
【0044】
前記架橋及び/または高分子量及び/または鎖延長架橋エラストマーが310℃以上の
を示す実施形態については、310℃以上のすべての個別値と部分範囲が本明細書に
含まれ、本明細書に開示される。例えば、前記Tは下限310℃からでよく、または代
替的に、前記Tは下限320℃からでよく、または代替的に、前記Tは下限330℃
からでよく、または代替的に、前記Tは下限340℃からでよく、または代替的に、前
記Tは下限350℃からでよい。
【0045】
前記架橋及び/または高分子量及び/または鎖延長架橋エラストマーが−25℃以下の
ガラス転移温度Tgを示す場合、すべての個別値と下位領域が本明細書に含まれ、本明細
書に開示される。例えば、前記Tgは上限−25℃からでよく、または代替的に、前記T
gは上限−30℃からでよく、または代替的に、前記Tgは上限−35℃からでよく、ま
たは代替的に、前記Tgは上限−40℃からでよい。
【0046】
ヒステリシス20%以下からのすべての個別値と部分範囲が本明細書に含まれ、本明細
書に開示される;例えば、前記架橋及び/または鎖延長架橋エラストマーのヒステリシス
は、上限20、18、16、14、または12%からでよい。
【0047】
0℃での弾性率と分解温度より1℃低い温度での弾性率の差が35%未満を示すこれら
実施形態において、35%未満からのすべての個別値と部分範囲が本明細書に含まれ、本
明細書に開示される。例えば、0℃での弾性率と分解温度より1℃低い温度での弾性率の
差は、上限35、30、25、20、15、または10%からでよい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定するも
のではない。
【0049】
材料
シス‐シクロオクテンは、Fisher Scientificから入手し、再蒸留に
よって精製した。Grubbs第二世代(G2)触媒、エチルビニルエーテル、及びマレ
イン酸は、シグマ‐アルドリッチから入手し、そのまま使用した。Pt/シリカ担持触媒
及びトリメチロールプロパントリ(2‐メチル‐1‐アジリジンプロピオネート)は、そ
れぞれThe Dow Chemical Company及びPolyAziridi
ne LLCより入手し、そのまま使用した。Pt/シリカ担持触媒は、米国特許第50
28665号明細書、第5612422号明細書、第5654253号明細書、第609
0359号明細書、第6399538号明細書、第6376622号明細書、及び第63
95841号明細書に記載されており、これらの開示を本明細書に引用して援用する。3
‐ヘキシル‐シス‐シクロオクテンは、Kobayashi, S.; Pitet, L. M.; Hillmyer, M. A.
J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 5794に開示の手順を用いて合成した。重合用のテトラヒ
ドロフラン及び接触水素化用のシクロヘキサンは、M.Braun(Stratham,
NH)溶媒精製システムで精製した。
【0050】
連鎖移動剤としてマレイン酸を用いたシス‐シクロオクテン重合による比較不飽和プレ
ポリマー1(P−0)の製造
【0051】
通常の共重合手順に従って、マレイン酸(71.9mg、0.62mmol)、シス‐
シクロオクテン(2.5g、22.7mmol)、G2(4.8mg、5.6μmol)
、及び無水THF(10mL)を混合した。単離により、下記に示す構造を有する、固体
状、真っ白でない(white−off)ポリマーが得られた(96%)。
【化4】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 7.08(H,dt,J
=15.57,7.04 Hz),5.82(H,d,J=15.58),5.46−
5.26(H,broad),2.23(H,m),1.82−2.13(H,b
m),1.10−1.55(CH’s,broad).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):repeat unit−δ
130.4(Trans),129.9(Cis),32.6,29.77,29.6
6,29.20,29.10,29.06,27.23.
【0052】
連鎖移動剤としてマレイン酸を用いた、シス‐シクロオクテンと3‐ヘキシル‐シス‐
シクロオクテンのモル比3:1での共重合による本発明の不飽和プレポリマー1(P−2
5)の製造
通常の共重合手順に従って、マレイン酸(75.6mg、0.65mmol)、シス‐
シクロオクテン(1.65g、15mmol)、3‐ヘキシル‐シス‐シクロオクテン(
0.97g、5mmol)、G2(4.2mg、4.9μmol)、及び無水THF(1
0mL)を混合した。単離により、粘稠な淡黄色ポリマーが得られた(89%)。
【化5】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 7.08(H,dt,J
=15.58,7.04 Hz),6.85(Hb’,dd,J=15.63,9.7
Hz),5.82(H,d,J=15.17),5.77(Ha’,d,J=15.2
3 Hz),5.44−5.25(H,H,broad),5.11−5.02(H
,m),2.23(CH−CH,m),2.12−1.76(H,bm),1.
53−1.04(CH’s),0.88(CH,t,J=6.68 Hz).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):repeat unit−δ
135.1(C−H),δ 130.4(trans)(C−H),129.9(
cis)(C−H),130.0(C−H)δ 42.8(CH−Hex)δ,35
.6,35.6,32.6,32.0,29.8−27.2,22.7(CH’s),
δ 14.2(CH). End group δ 152.4(CO).
【0053】
連鎖移動剤としてマレイン酸を用いた、シス‐シクロオクテンと3‐ヘキシル‐シス‐
シクロオクテンのモル比1:1での共重合による本発明の不飽和プレポリマー2(P−5
0)の製造
通常の共重合手順に従って、マレイン酸(87.8mg、0.76mmol)、シス‐
シクロオクテン(1.10g、10mmol)、3‐ヘキシル‐シス‐シクロオクテン(
1.94g、10mmol)、G2(4.2mg、4.9μmol)、及び無水THF(
10mL)を混合した。単離により、下記構造の粘稠な淡黄色ポリマーが得られ(93%
)、H NMR、13C NMR、SEC、及びDSCにて特性づけられた。
【化6】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 7.08(H,dt,J
=15.57,7.04 Hz),6.82(Hb’,dd,J=15.77,9.7
Hz),5.82(H,d,J=15.58),5.77(Ha’,d,J=15.6
5 Hz),5.38−5.26(H,H
broad),5.09−5.04(H,m),2.25(CH−CH,m),2
.09−1.80(H,bm),1.55−1.10(CH’s),0.88(CH
,t,J=6.75 Hz).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):repeat unit−δ
135.2(C−H),δ 130.5(trans)(C−H),130.1(
cis)(C−H),130.0(C−H)δ 42.8(CH−Hex),δ 3
5.6,32.6,32.0,29.8−27.2,22.7(CH’s),δ 14
.1(CH).End group δ 152.4(CO).
(NMR,)=5.0kg.mol−1;M(LS,THF)=10.4kg.m
ol−1;D(dRI,THF)=2.1.
非晶性ポリマー、Tg=−66℃。
【0054】
連鎖移動剤としてマレイン酸を用いた、シス‐シクロオクテンと3‐ヘキシル‐シス‐
シクロオクテンのモル比1:3での共重合による本発明の不飽和プレポリマー3(P−7
5)の製造
通常の共重合手順に従って、マレイン酸(100mg、0.86mmol)、シス‐シ
クロオクテン(550g、5mmol)、3‐ヘキシル‐シス‐シクロオクテン(2.9
1g、15mmol)、G2(4.2mg、4.9μmol)、及び無水THF(10m
L)を混合した。単離により、下記構造の粘稠な淡黄色ポリマーが得られ(87%)、
H NMR、13C NMR、SEC、及びDSCにて特性づけられた。
【化7】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 7.08(H,dt,J
=15.57,7.04 Hz),6.85(Hb’,dd,J=15.77,9.7
Hz),5.82(H,d,J=15.55),5.77(Ha’,d,J=15.5
0 Hz),5.38−5.25(H,H,broad),5.10−4.98(H
,m),2.23(CH−CH,m),2.07−1.78(H,bm),1.
51−1.07(CH’s),0.89(CH,t,J=6.75 Hz).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):repeat unit−δ
135.1(C−H),δ 130.4(trans)(C−H),130.0(
C−H)δ 42.8(CH−Hex),δ 35.6,32.6,32.0,29.
8−27.2,22.7(CH’s),δ 14.1(CH).
(NMR,)=4.2kg.mol−1;M(LS,THF)=8.3kg.mo
−1;D(dRI,THF)=1.9.
非晶性ポリマー、Tg=−61℃。
【0055】
連鎖移動剤としてマレイン酸を用いた3‐ヘキシル‐シス‐シクロオクテン重合による
本発明の不飽和プレポリマー4(P−100)の製造
通常の共重合手順に従って、マレイン酸(57.7mg、0.50mmol)、3‐ヘ
キシル‐シス‐シクロオクテン(2.0g、10.3mmol)、G2(2.18mg、
2.6μmol)、及び無水THF(5mL)を混合した。単離により、粘稠な淡黄色ポ
リマーが得られた(89%)。
【化8】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 7.05(H,dt,J
=15.49,7.03 Hz),6.85(Hb’,dd,J=15.53,9.7
Hz),5.82(H,d,J=15.55),5.77(Ha’,d,J=15.5
0 Hz),5.39−5.22(H,m),5.11−4.95(H,m),2.
21(CH−CH,m),2.04−1.77(H,bm),1.51−1.07
(CH’s),0.89(CH,t,J=6.76 Hz).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):repeat unit−δ
135.1(C−H),130.0(C−H)δ 42.8(CH−Hex),δ
35.6,32.6,32.0,29.8,29.5,29.3,27.3,27.2
,22.7(CH’s),δ 14.1(CH).
【0056】
表1は、本発明の不飽和プレポリマー1−4及び比較不飽和プレポリマー1の各々の分
子量、ガラス転移温度、融点、結晶化温度、ΔH、及び分解温度を示す。
【表1】
【0057】
水素化によるカルボキシ‐テレケリック低密度ポリエチレン(LDPE)の合成
一般的水素化条件
X−300触媒1.2gを高圧反応器(Pressure Products Ind
ustries,Inc.)に入れた。この反応器を密閉し、前記触媒を真空下、80℃
で3時間乾燥した。この反応器を次にアルゴン(80psi)で満たし、室温まで冷却し
た。150mLのシクロヘキサン中12gのポリオレフィンを含む溶液をこの反応器に加
えた。攪拌しながら、この反応器を350psiのHで満たし、その後50−55℃に
1.5時間加熱した。この時間ののち、反応器の温度を80℃に上げ;この系がこの温度
で平衡化した後、この反応器に追加の水素をHの圧力が500psiになるまで充填し
た。15時間後(全体で16.5時間)、この系を室温まで冷却し、アルゴンで1回パー
ジし、この反応器を取り外した。この溶液をミリポア(0.45マイクロメータのHVH
P膜)でろ過し、元の体積の半分まで濃縮し、室温のメタノール1L中に沈殿させた。こ
の溶液を1時間攪拌し、その後メタノールをデカントして固体または粘稠な液状ポリマー
を残した。粘稠なポリマーは最小限の量のCHClに溶解し、その後ガラスバイアル
に移した。溶媒を除去し、ポリマーを高真空下70℃で乾燥した。乾燥したポリマーを
H NMR、13C NMR、SEC、TGA、及びDSCにて特性づけた。
【0058】
比較不飽和プレポリマー1の水素化による比較水素化プレポリマー1の製造
比較不飽和プレポリマー1を前述の通り水素化した。下記構造を有するオフホワイトの
固形物が収率95%で得られた。オレフィン水素化>99%及び酸官能化>1.99。
【化9】
H NMR(500 MHz,ClCDCDCl,ppm):δ 2.38(H
,t,J=7.10 Hz),δ 1.33(CH’s,broad).
【0059】
本発明の不飽和プレポリマー1の水素化による本発明の水素化プレポリマー1の製造
本発明の不飽和プレポリマー1を前述の通り水素化した。下記構造を有するオフホワイ
トの固形物が収率95%で得られた。オレフィン水素化>99%及び酸官能化>1.99

【化10】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 2.36(H,t,J=
7.39 Hz),1.37−δ 1.16(CH’s,CH’s,bm),δ 0.
88(CH,t,J=6.7 Hz).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):δ 37.2,33.7,3
2.0,30.2,29.9,29.7,26.7,26.7,22.7,14.1.
【0060】
本発明の不飽和プレポリマー2の水素化による本発明の水素化プレポリマー2の製造
本発明の不飽和プレポリマー2を前述の通り水素化した。無色、低溶融、ろう状物質が
収率93%で得られた。オレフィン水素化>99%及び酸官能化>1.99。
【化11】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 2.35(H,t,J=
7.40 Hz),1.40−δ 1.10(CH’s,CH’s,bm),δ 0.
88(CH,t,J=7.05 Hz).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):δ 37.6,33.7,3
2.0,30.2,29.9,29.8,26.7,26.7,22.7,14.3.
【0061】
本発明の不飽和プレポリマー3の水素化による本発明の水素化プレポリマー3の製造
本発明の不飽和プレポリマー3を前述の通り水素化した。無色、粘稠材料が収率90%
で得られた。オレフィン水素化98%及び酸官能化>1.95
【化12】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 2.35(H,t,J=
7.40 Hz),1.40−δ 1.15(CH’s,CH’s,bm),δ 0.
89(CH,t,J=7.05 Hz).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):δ 37.6,33.7,3
2.0,30.2,29.9,29.8,26.7,26.7,22,7,14.2.
【0062】
本発明の不飽和プレポリマー4の水素化による本発明の水素化プレポリマー4の製造
比較不飽和プレポリマー2を前述の通り水素化した。無色、粘稠材料が収率92%で得
られた。オレフィン水素化95%及び酸官能化>1.92
【化13】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 2.33(H,t,J=
7.41 Hz),1.40−δ 1.09(CH’s,CH’s,bm),δ 0.
89(CH,t,J=6.95 Hz).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):δ 37.5,33.7,3
2.0,30.2,29.9,29.8,26.7,26.7,22.8,14.2.
【0063】
表2に本発明の水素化プレポリマー1−4及び比較水素化プレポリマー1の各々につい
ての分子量、ガラス転移温度、融点、結晶化温度、ΔH、結晶性%、及び分解温度を示
す。
【表2】
【0064】
熱架橋、一般的手順
方法A.トリスアジリジン(TAz)と前記水素化カルボキシ‐テレケリックポリオレフ
ィンをモル比2.11:3(酸/アジリジン=1/1.06)で、スピードミキサ(DA
C 150.1FVZ、FlackTek Inc.)において、1800rpm、20
区分で、各45秒混合した。この混合物を次にゆっくりとテフロン型に移した。この型を
180℃に予熱した炉に入れ、この材料を5分間硬化した。無色透明の熱硬化エラストマ
ーが得られた。この材料をDSC、DMA、TGA、及び機械的試験で特徴づけた。
【0065】
方法B(鎖延長架橋エラストマーの製造).トリスアジリジン(TAz)、ビスアジリジ
ン(BAz)、及び前記水素化カルボキシ‐テレケリックポリオレフィンをスピードミキ
サ(DAC 150.1FVZ、FlackTek Inc.)において、1800rp
m、20区分で、各45秒混合した。酸/アジリジンのモル比=1/1.06、TAz/
BAzのモル比=1/1。これは、これらアジリジンの60モル%が架橋剤(TAz)に
よって供給され、40モル%が鎖延長剤(BAz)によって供給されるということを意味
する。この混合物をその後ゆっくりとテフロン型に移した。この型を180℃に予熱した
炉に入れ、この材料を5分間硬化した。無色透明の熱硬化エラストマーが得られた。この
材料をDSC、DMA、TGA、及び機械的試験で特徴づけた。
【0066】
ブタン‐1,4‐ジイルビス(3‐(2‐メチルアジリジン‐1‐イル)プロパノエー
ト)(BAz)の合成
1,4‐ブタンジオールジアクリレート(1.11ml、5.3mmol)及び2‐メ
チルアジリジン(1.25ml、15.9mmol)を混合し、室温で19時間攪拌した
(フラスコはアルミホイルで覆って光を避けた)。この時間ののち、過剰の2‐メチルア
ジリジンを高真空下で除去し、生成物を収率97%で得た。
【化14】
H NMR(500 MHz,CDCl,ppm):δ 4.07(2H,CH
O,m),δ 2.51(4H,N−CH CH−CO),δ 1.35(1H,C
H,m),δ 1.67(2H,CH−CH2O),δ 1.43,(1H,CH
ring)−N,d,J=3.55 Hz),δ 1.21(1H,CH(ring)
−N,d,J=6.40 Hz),δ 1.10(CH,d,J=5.5).
13C NMR(125 MHz,CDCl,ppm):δ 172.3(CO),δ
64.09(CH−O),δ 56.3(CH−N),δ 35.06(CH
CO),δ 34.8(CH),δ 34.8(CH(ring)−N),δ 25.
3(CH−CHO),δ 18.4(CH).Calculated HRMS:
312.2049g/mol.Obtained HRMS:312.2093g/mo
l.
【0067】
鎖延長、一般的手順
方法A:ビスアジリジン(BAz)と前記水素化酸‐テレケリックポリオレフィンをモル
比1:1でスピードミキサ(DAC 150.1FVZ、FlackTek Inc.)
において、1800rpm、20区分で、各45秒混合した。この混合物を次に、120
℃で粘度の増分を時間関数として測定しながら、透明無色の軟固体になるまでレオメータ
で攪拌した。このポリマーをSEC及びDSCで特徴づけた。
【0068】
方法B:CHCl、ビスアジリジン(BAz)、及び前記水素化酸‐テレケリックポリ
オレフィンのモル比1:1の混合物を60℃で48時間攪拌した。溶媒を除去して透明無
色の軟固体を得た。このポリマーをSEC及びDSCで特徴づけた。
【化15】
【0069】
本発明の水素化プレポリマー2の鎖延長による本発明の高分子量エラストマー2の製造
本発明の水素化プレポリマー2 1.5g及びBAz 97mgを前述の通り混合した

方法A:(dRI,THF)=34kg.mol−1;M(LS,THF)=28
4kg.mol−1;D(dRI,THF)=6.2.半結晶性ポリマー、T=−52
℃。T:−38‐45℃ Tc:4℃ ΔH:5J.g−1
方法B:(dRI,THF)=50kg.mol−1;M(LS,THF)=17
0kg.mol−1;D(dRI,THF)=3.7.
DSCによる熱的性質は、方法Aによるものと同じであった。
【0070】
本発明の水素化プレポリマー3の鎖延長による本発明の高分子量エラストマー3の製造
本発明の水素化プレポリマー3 1.5g及びBAz 116mgを前述の通り混合し
た。M(dRI,THF)=38kg.mol−1;M(LS,THF)=168k
g.mol−1;D(dRI,THF)=4.5.非晶性ポリマー、T=−64℃.
方法B:(dRI,THF)=19kg.mol−1;M(LS,THF)=34
kg.mol−1;D(dRI,THF)=2.3.DSCによる熱的性質は、方法Aに
よるものと同じであった。
【0071】
本発明の水素化プレポリマー2の架橋による本発明の架橋エラストマー2の製造
本発明の水素化プレポリマー1 7g及びトリスアジリジン(PZ−28)450mg
を前述の通りに混合し、硬化した。
【0072】
この試料の硬化時間は180℃で87秒であった。半結晶性ポリマー、Tg=−51℃
。Tm:−38‐40℃ T:2 ΔH:4J.g−1.破断点ひずみ(ε)=19
3±12%;破断点引張強さ(σ)=1540±74kPa.密度=0.8822±0.
007g/ml.エンタングルメントM(25℃)=970g/モル。
【0073】
本発明の水素化プレポリマー3の架橋による本発明の架橋エラストマー3の製造
本発明の水素化プレポリマー2(P2H)7g及びトリスアジリジン(PZ−28)5
50mgを前述の通りに混合し、硬化した。この試料の硬化時間は180℃で85秒であ
った。非晶性ポリマー、Tg=−62℃.破断点ひずみ(ε)=149±11%;破断点
引張強さ(σ)=1052±58kPa.密度=0.8850±0.003g/ml.エ
ンタングルメントM(25℃)=1200g/モル.
【0074】
表3に本発明の架橋エラストマー2−3及び本発明の鎖延長架橋エラストマー2−3の
各々のゲル分率、ガラス転移温度、分解温度、弾性率、及び比重を示す。
【表3】
【0075】
表4に本発明の架橋エラストマー2−3及び本発明の鎖延長架橋エラストマー2−3の
各々の引張特性及びヒステリシスを示す。
【表4】
【0076】
試験方法
試験方法は以下を含む:
【0077】
NMR
H及び13C NMRスペクトルは、溶媒としてCDClを用い、室温でBruk
er AV500分光計で記録した。プロトンの化学シフトは、TMS(0.00ppm
)を基準とした。炭素の化学シフトは、CDCl(77.23ppm)を基準とした。
【0078】
数平均分子量(M)は、H NMRの末端基分析によって測定した。重量平均分子
量(M)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)機器にて、THFを移動相とし
て流量1mL/分で用いて25℃で測定した。用いたSEC機器は、Wyatt Tec
hnologyのDAWN Heleos IIマルチアングルレーザ光散乱(MALL
S)を備えている。サイズ排除は、5μmの硬質スチレンジビニルベンゼン粒子で充填さ
れた1つのウォーターズStyragelガードカラム並びに3つの連続したウォーター
ズStyragelカラム(HR6、HR4、及びHR1)で行った。これらカラムが総
合して、分子量範囲が100−10,000,000g mol−1の試料の効率的な分
離をもたらす。分散度(D)は、同じSEC機器を用いて測定し、RI検出器はWyat
t Optilab T−rEXを用いた。
【0079】
DSC
示差走査熱量測定(DSC)は、インジウム標準で較正したTA Instrumen
tsのDiscovery DSCで行った。最小質量の4mgの試料を密閉されたアル
ミニウムパンにて調製し、N2下、加熱速度10℃/分で分析した。熱転移温度は、熱履
歴を除去するためガラス転移点または融点より上で少なくとも1分間のアニーリング後の
二度目の加熱から測定した。
【0080】
比重
比重は、密度勾配カラム(イソプロパノール/エチレングリコール)で測定した。この
カラムは、公知の密度のフロートを用いて較正し、温度は25℃に調整した。表示された
密度の値は、1時間平衡化された5つの試料の平均と標準偏差である。
【0081】
レオメトリー
硬化時間は、TA InstrumentsのARESレオメータで、コーンプレート
配置(25mm平行、0.1ラジアン)、窒素パージしたチャンバ、及びボトムプレート
下に直接配置された熱電対を用いて測定した。硬化時間の実験は、180℃、定常せん断
速度20s−1で行った。試料が固体になるまで粘度の増加を時間関数として追った。
【0082】
引張試験
架橋及び/または鎖延長架橋エラストマーの引張ひずみ及び引張ヒステリシス試験は、
Rheometrics Scientific Minimat Instrumen
tで行った。ASTM D1708ミクロ引張バーの引張特性は、ひずみ速度127mm
/分で試験し;すべての値は、少なくとも4つの試料の平均と標準偏差で表示している。
ASTM D1708ミクロ引張バーの引張ヒステリシスは、ひずみ速度110mm/分
で試験した。このヒステリシス値は、試料の拡張と収縮の引張応力‐ひずみ曲線下の面積
の差として算出される。
【0083】
動的機械的温度分析
動的機械的温度分析(DMTA)は、ARES−G2レオメータ(TA Instru
ments)を用いて、12.7x50mm(厚さ〜1mm)の矩形形状でのねじり試験
で行った。この実験の際、温度を−90から200℃に5℃/分の速度で上げた。振動数
及びひずみはそれぞれ6.28rad/s及び0.05%で一定であった。
【0084】
本発明は、その趣旨と本質的な特性を逸脱することなく別の形で具体化されてもよく、従って、前述の明細書ではなく、本発明の範囲を示す添付の特許請求の範囲を参照されたい。
本願発明には以下の態様が含まれる。
[1]
ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを製造するための方法であって:
アルキル‐シス‐シクロオクテン及び場合によりシス‐シクロオクテンを、二官能連鎖移動剤及び/または多官能連鎖移動剤の存在下、開環メタセシス重合条件下で反応させて、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを形成することを含む方法。
[2]
前記アルキル‐シス‐シクロオクテンが、3‐ヘキシル‐シス‐シクロオクテンである、上記[1]に記載の方法。
[3]
前記連鎖移動剤が、二官能連鎖移動剤であって、マレイン酸である、上記[1]に記載の方法。
[4]
シス‐シクロオクテンが前記反応工程で存在し、シス‐シクロオクテンのアルキル‐シス‐シクロオクテンに対するモル比が1:0.05から0.05:1である、上記[1]に記載の方法。
[5]
前記反応がGrubbs触媒の存在下で起こる、上記[1]に記載の方法。
[6]
上記[1]に記載の方法によって製造された、不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの反応生成物であって、前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーがモル質量1から20kg/モルを有し、下記特性:(a)Tが310℃以上;(b)ガラス転移温度Tgが−25℃以下;(c)ΔHが56Jg−1未満(二度目の加熱)、のうちの1またはそれ以上を示す反応生成物。
[7]
前記不飽和ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを水素化して水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを製造することをさらに含む、上記[1]に記載の方法。
[8]
前記水素化が、温度50から80℃、及び圧力350から500psiでの接触水素化(catalytic hydrogenation)であるとともに、前記触媒がシリカ担持プラチナ触媒である、上記[7]に記載の方法。
[9]
前記水素化が化学的水素化である、上記[7]に記載の方法。
[10]
上記[7]に記載の方法によって製造された、水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの反応生成物であって、モル質量1から20kg/モル並びに:(a)Tが310℃以上;(b)ガラス転移温度Tgが−25℃以下;(c)ΔHが277Jg−1未満(二度目の加熱);並びに(d)25℃での粘度が5000Pa sec以下及び50Pa sec以上、からなる群から選ばれた1またはそれ以上の特性を有する反応生成物。
[11]
前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを、場合により触媒の不在下、前記テレケリックプレポリマーと反応性の多官能化合物で熱架橋し、架橋エラストマーを形成することをさらに含む、上記[7]に記載の方法。
[12]
前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを、場合により触媒の不在下、前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーと反応性の二官能化合物で鎖延長して高分子量エラストマーを形成することをさらに含む、上記[7]に記載の方法。
[13]
場合により触媒の不在下、前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを、前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーと反応性の多官能化合物で熱架橋及び同時に前記水素化ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーを、前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーと反応性の二官能化合物で鎖延長して、架橋鎖延長エラストマーを形成することをさらに含む、上記[7]に記載の方法。
[14]
前記多官能化合物が、ポリアミン及びポリエポキシドからなる群から選ばれる、上記[11]及び[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
前記二官能化合物が、ジアミン及びジエポキシドからなる群から選ばれる、上記[12]及び[13]のいずれか一項に記載の方法。
[16]
前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーと反応性の前記多官能化合物が、多官能アジリジンである、上記[11]に記載の方法。
[17]
前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーと反応性の前記二官能化合物が、二官能アジリジンである、上記[12]に記載の方法。
[18]
前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーと反応性の前記多官能化合物が、多官能アジリジンであり、前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーと反応性の前記二官能化合物が、二官能アジリジンである、上記[13]に記載の方法。
[19]
前記多官能アジリジンが、トリメチロールプロパントリ(2‐メチル‐1‐アジリジンプロピオネート)である、上記[16]及び[18]に記載の方法。
[20]
前記二官能アジリジンが、ブタン‐1,4‐ジイルビス(3‐(2‐メチルアジリジン‐1‐イル)プロパノエート)である、上記[17]及び[18]に記載の方法。
[21]
前記多官能化合物の官能性の、前記ポリオレフィンの反応性テレケリックプレポリマーの官能性に対するモル比が、1:0.94から1:1.06である、上記[11]に記載の方法。
[22]
上記[11]または[13]に記載の方法によって製造された架橋エラストマーであって、前記架橋、または鎖延長架橋エラストマーが:(a)ゲル分率が0.99以下かつ0.3以上;(b)Tが310℃以上;(c)ガラス転移温度Tgが−25℃以下;(d)ヒステリシスが20%以下;及び(e)0℃での弾性率と、前記分解温度より1℃低い温度での弾性率の差が35%未満、からなる群から選ばれた1またはそれ以上の特性を有する架橋エラストマー。