(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802224
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】水電解装置
(51)【国際特許分類】
C25B 9/00 20060101AFI20201207BHJP
C25B 9/10 20060101ALI20201207BHJP
C25B 1/10 20060101ALI20201207BHJP
C25B 11/08 20060101ALI20201207BHJP
C25B 15/02 20060101ALI20201207BHJP
A61H 33/14 20060101ALI20201207BHJP
A45D 34/02 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B9/10
C25B1/10
C25B11/08
C25B15/02 302
A61H33/14 B
A45D34/02 510C
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-153155(P2018-153155)
(22)【出願日】2018年8月16日
(65)【公開番号】特開2019-49049(P2019-49049A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年9月27日
(31)【優先権主張番号】201710739861.5
(32)【優先日】2017年8月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515080294
【氏名又は名称】リン,シン−ユン
【氏名又は名称原語表記】Lin,Hsin−Yung
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リン,シン−ユン
【審査官】
関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−342768(JP,A)
【文献】
特開平08−239789(JP,A)
【文献】
特表2014−504680(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/007802(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00− 1/46
C25B 15/00−15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水電解装置であって:
側壁を備える筐体;及び
前記筐体内のイオン交換膜型電解セルであって、第1の側部、前記第1の側部に対応する第2の側部、イオン交換膜、陰極、陽極、水管、水素出力管、及び酸素出力管を備え、前記イオン交換膜は前記陰極と前記陽極との間に構成される、イオン交換膜型電解セル;及び、
前記イオン交換膜型電解セルに結合された一体化流路モジュール;
を備え、
前記一体化流路モジュールは、
前記イオン交換膜型電解セルに結合され、前記イオン交換膜型電解セルに水を補給するように構成された、水槽;
前記水槽から前記イオン交換膜型電解セルへ水を供給するために、前記水管に結合された水通口;及び、
前記水素出力管から水素を受容するように構成された水素通口を有する気体流路;を備える、水電解装置。
【請求項2】
前記陽極は前記イオン交換膜と前記第2の側部との間に存在し、前記陰極は前記イオン交換膜と前記第1の側部との間に存在し;前記酸素出力管は前記イオン交換膜と前記第2の側部との間の領域から前記第2の側部に延在して前記第2の側部を貫通し;前記水素出力管は前記イオン交換膜と前記第1の側部との間の前記領域から前記第2の側部に延在して前記第2の側部を貫通する、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項3】
前記陽極は前記イオン交換膜と前記第1の側部との間に存在し、前記陰極は前記イオン交換膜と前記第2の側部との間に位置し;前記水素出力管は前記イオン交換膜と前記第2の側部との間の前記領域から延在して前記第2の側部を貫通し;前記酸素出力管は前記イオン交換膜と前記第1の側部との間の前記領域から延在して前記第1の側部を貫通する、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項4】
前記イオン交換膜型電解セルは陰極室及び陽極室を備え、前記陰極室は前記陰極、陰極封止板、及び陰極導電板を備え;前記陽極室は前記陽極、陽極封止板、陽極導電板、及び陽極外板を備える、請求項1に記載の電解装置。
【請求項5】
前記水管は、前記陰極導電板、及び前記陰極封止板を貫通して前記陰極室及び水槽を連通させるように構成され、前記水槽の水は前記水管を経由して前記陰極室に流入して前記陰極室を補給する、請求項4に記載の水電解装置。
【請求項6】
前記一体化流路モジュールは、前記酸素出力管から酸素を受容するように構成された酸素通口を備える、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項7】
気体管、及び気体ポンプを更に備え、前記気体管は水素出力管に結合されて水素を受容し、前記気体ポンプは空気を前記気体管中に吸引して前記気体管内部の水素濃度を希釈する、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項8】
前記気体管に結合されて希釈済み水素を受容する気体混合室を更に備え、該気体混合室は水素との混合により健康上有益な気体を形成する霧状気体を選択的に発生させ、該霧状気体は水蒸気、霧化溶液、揮発性芳香油、またはそれらの任意の組合せである、請求項7に記載の水電解装置。
【請求項9】
前記気体ポンプは前記気体管を経由して気体流入口に結合され;前記気体流入口における気体の流動方向と前記気体管における気体の流動方向との間の角度は、90度未満である、請求項7に記載の水電解装置。
【請求項10】
前記一体化流路モジュールは、前記水素通口と結合された分離槽を備える、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項11】
前記気体管に結合され、前記水素濃度が第2の閾値に到達するかどうかを検出するように構成された水素濃度検出器を備え、
前記水素濃度検出器は、前記水素濃度が前記第2の閾値より高いとき第2の警告信号を発生さするように構成され、前記イオン交換膜型電解セルは、前記第2の警告信号が発生した後、停止するように構成されている、請求項7に記載の水電解装置。
【請求項12】
前記水素濃度検出器、前記気体ポンプ、及び前記イオン交換膜型電解セルに結合された制御器を備え、
前記水素濃度検出器は、前記水素濃度が第1の閾値より高いとき第1の警告信号を発生さするように構成され、前記制御器は、前記第1の警告信号を受信すると前記気体ポンプを作動させるための起動指令を発生させる、請求項11に記載の水電解装置。
【請求項13】
前記水素出力管及び前記酸素出力管は、前記イオン交換膜型電解セルの前記第2の側部から、水素及び酸素を出力するように構成されている、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項14】
前記イオン交換膜型電解セルは、前記イオン交換膜の両側にそれぞれ位置する陰極室及び陽極室を備え、前記イオン交換膜は膜体、陰極触媒層、及び陽極触媒層を備え;前記陰極触媒層及び前記陽極触媒層は前記膜体の2側面にそれぞれ位置し;前記陰極触媒層は前記陰極室に位置し、前記陽極触媒層は前記陽極室に位置し;前記陽極触媒層はPt、Ir、Pd、Pt合金粉末、炭素、及びそれらの組合せから成る群から選択された1種から成り、前記陰極触媒層はPt、Ir、Pd、Pt合金粉末、及びそれらの組合せから成る群から選択された1種から成り、前記膜体はNafion(登録商標)膜である、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項15】
高電力口及び低電力口を備えた電源であって;前記低電力口から出力される電力は前記高電力口からの出力電力の50%未満であり;前記高電力口は第1の電圧及び第1の電流を出力し、前記低電力口は第2の電圧及び第2の電流を出力し;前記第1の電圧は前記第2の電圧より低く、前記第1の電流は前記第2の電流より大きい、電源を更に備える、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項16】
操作盤を備え、前記水電解装置の体積は8.5リットル未満であり、前記操作盤により調整される前記水電解装置の水素生成率は120ml/分〜600ml/分の範囲にある、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項17】
水電解装置であって:
水を収容する水槽;
イオン交換膜、陰極、陽極、水素出力管、及び酸素出力管を備えたイオン交換膜型電解セルであって;水を電気分解すると前記陰極が水素を発生させると共に前記陽極が酸素を発生させ;前記水素出力管は水素を出力するように構成されると共に酸素出力管は酸素及び残存水を出力するように構成される、イオン交換膜型電解セル;及び
水流入口、水流出口、及び酸素導入管を備えた予熱槽であって;前記水流入口は前記水槽に結合されて水を受容し、水は前記水流出口から前記イオン交換膜型電解セルへ出力され、前記酸素導入管は前記酸素出力管に結合され、残存水及び酸素が前記酸素導入管を経由して出力される、水予熱槽;を備え、
前記酸素導入管から出力された残存水は前記水予熱槽の水を予熱することができる、水電解装置。
【請求項18】
前記酸素及び前記水素は前記イオン交換膜型電解セルの同一の側から出力され、
前記水予熱槽の容積は前記水槽の容積より小さい、請求項17に記載の電解装置。
【請求項19】
前記予熱槽は、複数の冷却フィン及び第2のファンを更に備え、前記冷却フィンは前記予熱槽の外壁上に半径方向に構成され、前記第2のファンは前記予熱槽の端部と接しており、前記予熱槽を冷却する、請求項17に記載の水電解装置。
【請求項20】
水電解装置であって:
水を電気分解するように構成されると共に第2の側部、イオン交換膜、陰極、陽極、水素出力管、及び酸素出力管を備え、前記イオン交換膜は前記陰極と前記陽極との間に構成された、イオン交換膜型電解セルであって;該イオン交換膜型電解セルが水を電気分解すると前記陰極は前記水素出力管を経由して出力する水素を発生させ、前記陽極は前記酸素出力管を経由して出力する酸素を発生させる、イオン交換膜型電解セル;及び
一体化流路モジュールであって:
前記イオン交換膜型電解セルに結合された水槽であって、前記イオン交換膜型電解セルに水を補給するように構成されて頂部が前記イオン交換膜型電解セルの頂部より高い、水槽;
前記イオン交換膜型電解セルに結合されて水素を輸送するように構成された気体流路であって;前記イオン交換膜型電解セルの前記第2の側部は前記一体化流路モジュールに対向し、酸素及び水素は前記第2の側部から前記気体流路に出力され、水は前記第2の側部から前記イオン交換膜型電解セルへ入力される、気体流路;及び
前記気体流路から水素を受容する気体混合室であって、水素との混合により健康上有益な気体を形成する霧状気体を選択的に発生させ、前記霧状気体は水蒸気、霧化溶液、揮発性芳香油、またはそれらの任意の組合せである、気体混合室
を備えた、一体化流路モジュールを備える、水電解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水電解装置、より具体的には、同一の側から水素及び酸素を出力するイオン交換膜型電解セルを備えた水電解装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
人々が常時より多くの関心を健康状態に向けるようになっている中で、医療技術の開発の多くは病気の治療及び人間寿命の長寿化を目標とすることが多い。これまでの治療の大部分は受動的なものであり、病気は起きてから初めて治療されていた。治療には、手術、投薬治療、放射線療法、または場合によっては癌に対する医療措置が含まれ得る。しかし、近年では、医療専門家による研究の大部分は、健康食品の研究、検診及び遺伝病の防止等の、予防医療法に徐々に向かいつつあり、これにより将来の疾病の発生は積極的に防止されることになる。寿命長寿化への関心から、スキンケア製品及び酸化防止食品/薬剤等の、多くの抗老化及び酸化防止技術が徐々に開発されており、一般の人々に益々人気を博しつつある。
【0003】
研究により、人体中には遊離基としても公知である不安定酸素種(O+)が存在することが見出されている。通常、疾病、食餌療法、環境及び個人の生活様式に起因して生成される遊離基は、吸入水素との反応により水形態で排泄され得る。この方法により人体中の遊離基の量は低減可能であり、それにより身体状態は酸性からアルカリ性に回復され、酸化防止、抗老化及び美容健康効果の達成及び、慢性疾患の除去さえも可能となる。更に、高濃度の酸素を長期間に亘って吸入する必要のある患者は肺障害を経験することになり得ることを示す臨床実験も存在するが、こうした肺障害は水素の吸入によって回復する可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素の吸入効率を高めるために水素吸入時間を増大させるのは有効な方法である。しかし、先行技術では電解装置は嵩高であった;更に、水素吸入に日中時間を十分に割当てるのは容易でない。したがって、睡眠時間を水素吸入に利用することは有効な方法であろう。しかし、上述のように、従来の電解装置は嵩高である。電解装置の体積を低減させながらも如何に十分な水素量を維持させるかが解決を待ち望まれる課題である。
【0005】
健康管理に加えて、水素は、加熱または燃焼用の水素炎の発生に、またはエンジンの炭素付着物の除去にも使用され得る。一般に、水素は高運転温度の下で電解水を電気分解することにより発生される。電解装置の温度はファンにより冷却される。ファンに何らかの不具合が存在する場合には、水素爆発が起こり得る。また、電解装置により発生させた気体は、吸入に好適ではない電解質を通常有している。同時に、電解質は電気分解中に消失されるものでもある。
【0006】
上記の課題に鑑みて、本発明の目的は水電解装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は筐体及びイオン交換膜型電解セルを備えた水電解装置を提供する。筐体は側壁を備える。イオン交換膜型電解セルは筐体内の非中央部に構成される。イオン交換膜型電解セルは、第1の側部、第1の側部に対応する第2の側部、イオン交換膜、陰極、陽極、水素出力管、及び酸素出力管を備える。イオン交換膜は陰極と陽極との間に構成される。イオン交換膜型電解セルが水を電気分解すると、陰極は水素を発生させ、この水素が水素出力管を経由して出力される。陽極は酸素を発生させ、この酸素が酸素出力管を経由して出力される。第1の側部は側壁に対向するため、水素及び酸素はイオン交換膜型電解セルの第2の側部から出力される。
【0008】
実施形態では、陽極はイオン交換膜及び第2の側部の間に構成される。陰極はイオン交換膜と第1の側部との間に構成される。酸素出力管はイオン交換膜と第2の側部との間の領域から第2の側部に延在してこの第2の側部を貫通する。水素出力管はイオン交換膜と第1の側部との間の領域から第2の側部に延在してこの第2の側部を貫通する。
【0009】
実施形態では、陽極はイオン交換膜と第1の側部との間に構成される。陰極はイオン交換膜及び第2の側部の間に位置する。水素出力管はイオン交換膜と第2の側部との間の領域から延在してこの第2の側部を貫通する。酸素出力管はイオン交換膜と第1の側部との間の領域から延在してこの第1の側部を貫通する。
【0010】
実施形態では、イオン交換膜型電解セルは陰極室及び陽極室を備える。陰極室は、陰極、陰極封止板、陰極導電板、及び陰極外板を備える。陽極室は、陽極、陽極封止板、陽極導電板、及び陽極外板を備える。
【0011】
実施形態では、イオン交換膜型電解セルは、陰極外板を貫通する水管、陰極導電板、及び陰極室及び水槽の連通に供される陰極封止板を更に備える。水槽の水は水管経由で陰極室に流入して陰極室の補給に供される。
【0012】
実施形態では、電解装置は、気体管、ファン、及び気体ポンプを更に備える。気体管は水素出力管に結合されて水素の受容に供される。ファンは電解装置の外部環境から電解装置中に空気を吸引し、気体ポンプはこの空気を気体管中に吸引して気体管内部の水素濃度を希釈する。
【0013】
実施形態では、電解装置は、気体管に結合されて希釈済み水素を受容する気体混合室を更に備える。気体混合室は、水素との混合により健康上有益な気体を形成する霧状気体を選択的に発生させる。この霧状気体は、水蒸気、霧化溶液、揮発性芳香油、およびそれらの任意の組合せから成る群から選択される1種である。
【0014】
実施形態では、気体ポンプは気体流入口経由で気体管に結合され、気体流入口と気体管との間の連結位置には角度が設けられるが、その角度は90度未満である。別の実施形態では、この角度は25度〜45度の範囲にあり、角度を有する連結位置の形状は弧角を成す。
【0015】
請求項に係る電解装置は、水素濃度検出器及び制御器を更に備える。水素濃度検出器は気体管に結合されて、気体管中の水素濃度が第1の閾値〜第2の閾値の範囲にあるかどうかを検出する。水素濃度検出器は、検出水素濃度が第1の閾値より高いとき第1の警告信号を発生させる。制御器は、水素濃度検出器、気体ポンプ、及びイオン交換膜型電解セルに結合される。制御器は第1の警告信号を受信したとき気体ポンプ作動用の起動指令を発生させる。
【0016】
実施形態では、水素濃度検出器は、検出水素濃度が第2の閾値より高いとき第2の警告信号を発生させる。制御器は、第2の警告信号を受信するとイオン交換膜型電解セルを停止させるための停止指令を発生させる。第1の閾値は4%であり、第2の閾値は6%であり、その範囲は4%〜6%である。
【0017】
実施形態では、イオン交換膜は、膜体、陰極触媒層、及び陽極触媒層を備える。陽極触媒層は、膜体の2側面にそれぞれ位置し、陰極触媒層は陰極室に位置し、陽極触媒層は陽極室に位置する。陽極触媒層は、Pt、Ir、Pd、Pt合金の粉末、炭素、およびそれらの組合せから成る群から選択される1種であり;陰極触媒層はPt、Ir、Pd、Pt合金の粉末、及びそれらの組合せから成る群から選択される1種であり、膜体はNafion膜である。
【0018】
実施形態では、電解装置は、水槽の水位検出用の水位計を更に備える。
【0019】
電解装置は電源を更に備える。電源は高電力口及び低電力口を備える。低電力口から出力される電力は、前記高電力口からの出力電力の50%未満である。高電力口は第1の電圧及び第1の電流を出力し、低電力口は第2の電圧及び第2の電流を出力する。第1の電圧は第2の電圧より低く、第1の電流は第2の電流より大きい。
【0020】
実施形態では、電解装置は操作盤を更に備え得るが;電解装置の体積は8.5リットル未満であり、操作盤により調整される電解装置の水素生成率は120ml/分〜600ml/分の範囲である。
【0021】
本発明はまた、水槽、イオン交換膜型電解セル、及び予熱槽を備えた別の電解装置を提供する。水槽は水を収容する。イオン交換膜型電解セルは水槽からの水を受容する。イオン交換膜型電解セルは、イオン交換膜、陰極、陽極、水素出力管、及び酸素出力管を備える。イオン交換膜型電解セルが水を電気分解すると、陰極は水素を発生させると共に陽極は酸素を発生させる。水素出力管は水素の出力用に使用され、酸素出力管は酸素及び残存水の出力用に使用される。
【0022】
予熱槽は、水流入口、水流出口、及び酸素導入管を備える。水流入口は水槽に結合されて水を受容する。水は水流出口からイオン交換膜型電解セルに出力される。酸素導入管は酸素出力管に結合され、電気分解後の高温度残存水及び酸素は酸素導入管を経由して予熱槽に出力される。酸素及び水素はイオン交換膜型電解セルの同一の側から出力される。酸素導入管から出力された高温度水は予熱槽中の水を予熱する。
【0023】
予熱槽中の水は55℃〜65℃の温度に予熱され、予熱槽の容積は水槽の容積よりも小さい。
【0024】
実施形態では、予熱槽は複数の冷却フィン及び第2のファンを更に備え;冷却フィンは予熱槽の外壁に半径方向に構成され、第2のファンは予熱槽冷却のために予熱槽の端部上に構成される。
【0025】
本発明は、イオン交換膜型電解セル及び一体型流路モジュールを備えた別の電解装置を更に提供する。イオン交換膜型電解セルは水を電気分解するように構成される。イオン交換膜型電解セルは、第2の側部、イオン交換膜、陰極、陽極、水素出力管、及び酸素出力管を備える。イオン交換膜は陰極と陽極との間に構成される。イオン交換膜型電解セルが水を電気分解すると、陰極は水素を発生させて、この水素が水素出力管を経由して出力され、陽極は酸素を発生させて、この酸素が酸素出力管を経由して出力される。一体型流路モジュールは水槽及び気体流路を有する。水槽はイオン交換膜型電解セルに結合されてイオン交換膜型電解セルへ水を補給する。水槽の頂部はイオン交換膜型電解セルの頂部より位置が高い。気体流路はイオン交換膜型電解セルに結合されて水素の輸送に供される。イオン交換膜型電解セルの第2の側部は一体型流路モジュールに対向する。酸素及び水素は第2の側部から気体流路に出力される。水は第2の側部からイオン交換膜型電解セルに入力される。
【0026】
先行技術と比べて、イオン交換膜型電解セルは水素及び酸素を同一の側で出力する。更に、イオン交換膜型電解セル、水槽、気体管、ファン、気体ポンプ、操作盤、気体混合室、及び他の装置は筐体中の限られた容積内に構成される。したがって、本発明は十分な水素生成を維持すると共に筐体中に収容空間を可能な限り広く提供する。本発明は、空間使用上効率的で、小型かつ低騒音の水電解装置を提供するものであり、電解装置はユーザにより好都合に使用可能である。
【0027】
実施形態のうちの一部を図を参照しながら詳細に説明するが、類似する符号は類似する部材を示すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】
図1Aは本発明の電解装置の一実施形態の外観図を示す。
【
図1C】
図1Cは本発明の電解装置の一実施形態の機能ブロック図を示す。
【
図2A】
図2Aは本発明のイオン交換膜型電解セルの一実施形態の概略断面図を示す。
【
図2B】
図2Bは本発明のイオン交換膜型電解セルの別の実施形態の概略断面図を示す。
【
図3】
図3は本発明のイオン交換膜型電解セルの一実施形態の分解図を示す。
【
図4】
図4は本発明のイオン交換膜型電解セルの
図3の別の分解図を示す。
【
図5A】
図5Aは本発明のイオン交換膜型電解セルの別の視角による組立図を示す。
【
図5B】
図5Bは本発明のイオン交換膜型電解セルの別の視角による組立図を示す。
【
図6】
図6は本発明の電解装置の一実施形態の分解図を示す。
【
図7A】
図7Aは本発明の電解装置の別の視角による分解図及を示す。
【
図7B】
図7Bは本発明の電解装置の別の視角による組立図を示す。
【
図8A】
図8Aは本発明の電解装置の一実施形態の上面図を示す。
【
図10】
図10は本発明の電解装置の一実施形態の概略図を示す。
【
図11】
図11は本発明の一体型流路モジュールの一実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の利点、趣旨、及び特徴を実施形態及び図を用いて以下に説明及び検討を行う。
【0030】
開示に係る設備及び方法の実施形態の詳細な説明を、図を参照しながら限定的ではない例示を用いて本明細書中に以下行うこととする。ある特定の実施形態を示すことによりこれらを詳細に説明するが、添付の請求項の適用範囲から逸脱しない限り種々の変更及び修正が可能であると理解すべきである。本発明の適用範囲は、構成部品数、それらの材料、それらの形状、それらの相対的配置等に限定されることは決してなく、本発明の実施形態の単なる例として開示されるものである。
【0031】
本明細書の説明中、「実施形態では」、「別の実施形態では」、または「一部の実施形態では」の用語は、本実施形態の特有の特徴、構造、材料または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態にも含まれることを意味する。本明細書の説明中、上記用語に係る説明図は必ずしも同一の実施形態を指すとは限らない。更に、説明に係る特有の特徴、構造、材料または特性は、適当な方法で任意の1つ以上の実施形態に含まれ得る。
【0032】
本明細書の実施形態中、用語「または」には、列記した部品の一部の組合せ、及び列記した部品の全部の組合せが含まれる。例えば、「AまたはB」の説明には、Aのみ、Bのみ、及びAとBの両方が含まれる。更に、本発明の要素または部品の前に付した語「a」および「the」は、要素または部品の数を限定するものではない。したがって、用語「a」及び「the」は、1つまたは少なくとも1つを含むように読取られるべきである。また、要素または部品の単数形態は、単数形態の数を明確に指すものでない限り複数形態も含む。
【0033】
図1A〜
図1Cを参照する。
図1Aは本発明の電解装置の一実施形態の外観図を示す。
図1Bは外殻を除去した本発明の
図1Aの電解装置の外観図を示す。
図1Cは本発明の電解装置の一実施形態の機能ブロック図を示す。本発明の電解装置は筐体100及び操作盤102を備える。筐体100は側壁及び基部を備える。水槽10及びイオン交換膜型電解セル12は筐体100内に構成される。水槽10は操作盤102とは反対側の側面に構成される。水槽10はイオン交換膜型電解セル12に水を提供するように構成される。イオン交換膜型電解セル12は操作盤102と水槽10との間に構成され、イオン交換膜型電解セル12は筐体内の非中央部に配置される。イオン交換膜型電解セル12は水を電気分解して水素を発生させる。実施形態では、水は高純度水素調製用の脱イオン化水である。しかし、水は脱イオン化水に限定されない。
【0034】
図2A及び
図2Bを参照する。
図2Aは本発明のイオン交換膜型電解セルの一実施形態の概略断面図を示す。
図2Bは本発明のイオン交換膜型電解セルの別の実施形態の概略断面図を示す。
図2A及び
図2Bを使用して本段落において本発明の主な特徴を簡単に説明する。
図2Aを参照する。イオン交換膜型電解セル12は、第1の側部S1、第1の側部S1に対応する第2の側部S2、イオン交換膜120、陰極123、陽極124、水素出力管21、及び酸素出力管22を備える。イオン交換膜120は第1の側部S1と第2の側部S2との間に構成される。陰極123は第1の側部S1とイオン交換膜120との間に構成される。陽極124は第2の側部S2とイオン交換膜120との間に構成される。第1の側部S1及び陰極123を有する領域を陰極室1201と呼ぶこととする。第2の側部S2及び陽極124を有する領域を陽極室1202と呼ぶこととする。しかし、陰極室1201及び陽極室1202に対応する位置をより明確に表現するために、陰極室1201及び陽極室1202の位置を
図2A中に破線で示す。水素出力管21はイオン交換膜120及び第1の側部S1の間の領域から第2の側部S2に延在し、この第2の側部S2を貫通する。酸素出力管22はイオン交換膜120及び第2の側部S2の間の領域から第2の側部S2に延在し、この第2の側部S2を貫通する。イオン交換膜型電解セル12は水を電気分解する一方、陰極123は水素を発生させると共に陽極124は酸素を発生させる。本発明の主な特徴は、水素及び酸素がイオン交換膜型電解セル12の第2の側部S2からそれぞれ水素出力管21及び酸素出力管22を経由して出力されることである。本実施形態では、水素出力管21及び酸素出力管22は水素及び酸素をイオン交換膜型電解セル12の陽極室1202の近傍の側部から出力させる。
【0035】
しかし、本発明の水素出力管21及び酸素出力管22の位置は説明した実施形態に限定されない。
図2Bを参照する。
図2Bに示すイオン交換膜型電解セル12の部品は、
図2A中の部品と同一である。相違は、
図2B中の第1の側部S1及び第2の側部S2の位置が
図2A中の位置とは反対側にある点にある。したがって、
図2Bでは、陽極124は第1の側部S1とイオン交換膜120との間に構成される。陰極123は第2の側部S2とイオン交換膜120との間に構成される。陽極室1202は第1の側部S1及び陽極124を有する。陰極室1201は第2の側部S2及び陰極123を有する。水素出力管21はイオン交換膜120及び第2の側部S2の間の領域から第2の側部S2に延在し、この第2の側部S2を貫通する。酸素出力管22はイオン交換膜120及び第1の側部S1の間の領域から第2の側部S2に延在し、この第2の側部S2を貫通する。イオン交換膜型電解セル12は水を電気分解する一方、陰極123は水素を発生させると共に陽極124は酸素を発生させる。本発明の主な特徴は、水素及び酸素がイオン交換膜型電解セル12の第2の側部S2からそれぞれ水素出力管21及び酸素出力管22を経由して出力される点にある。本実施形態では、水素出力管21及び酸素出力管22は、水素及び酸素をイオン交換膜型電解セル12の陰極室1201近傍の側部から引出される。このことは、設計またはユーザの要求に応じて水素出力管21及び酸素出力管22をイオン交換膜型電解セル12のいずれの側にも構成可能であることも示唆している。
【0036】
図2Cを参照する。
図2Cは本発明の
図2Aに従った一実施形態の概略断面図を示す。イオン交換膜型電解セル12は
図2C示すように、イオン交換膜120、陰極室1201、及び陽極室1202を備える。陰極室1201は陰極123を収容し、陽極室1202は陽極124を収容する。イオン交換膜型電解セル12は陰極室1201と陽極室1202との間に構成される。イオン交換膜型電解セル12は水を電気分解する一方、陰極123は水素を発生させると共に陽極124は酸素を発生させる。実施形態では、陽極室1202は水を収容する。陽極室1202中の水は、イオン膜120を介して陰極室1201中に更に浸透し得る。一方、
図2A、
図2B、及び
図2Cはイオン交換膜型電解セル12内部の構造を説明するための概略断面図であるが、実際のイオン交換膜型電解セル12を開示するものではない。
図2C中の空白領域は、イオン交換膜型電解セル12の筐体を示す。
【0037】
イオン交換膜120は
図2Cに示すように、イオン交換膜体1203、陽極触媒層128及び陰極触媒層127を備える。イオン交換膜体1203はプロトン交換膜であり得る。より望ましい実施形態では、イオン交換膜体はNafion膜である。陽極触媒層128は、Pt、Ir、Pd、Pt合金の粉末、炭素またはそれらの任意の組合せから成る群から選択され得る。陰極触媒層127は、Pt、Ir、Pd、Pt合金の粉末、またはそれらの任意の組合せから成る群から選択され得る。実施形態では、陽極触媒層128または陰極触媒層127の材料は、陽極触媒層128及び陰極触媒層127を形成するようイオン膜の2側面上に配したスラリーであり得る。実際には、触媒層により水素は発生可能であり、陰極123によって水素は発生させ得ない;水素はイオン交換膜体1203と陰極123との間で発生され得る。したがって、先行技術と比較して、本発明のイオン交換膜型電解セル12は、セルの腐食、環境汚染、または不完全濾過による電解質気体吸入等の、いくつかの問題を防止可能である。
【0038】
図2A〜
図2Cを参照する。陰極室1201は、陰極圧板121、陰極123、陰極封止板125、及び陰極触媒層127を内部に備える。陽極室1202は、陽極圧板122、陽極124、陽極封止板126、及び陽極触媒層128を内部に備える。
図2A中の第1の側部S1及び第2の側部S2は、
図2C中の陰極圧板121及び陽極圧板122にそれぞれ対応する。他方、
図2B中の第1の側部S1及び第2の側部S2は、
図2C中の陽極圧板122及び陰極圧板121にそれぞれ対応する。イオン交換膜型電解セル12は、水素出力管21、酸素出力管22、及び水管24を備える。酸素出力管22は酸素を出力させるように構成され、水素出力管21は陰極室1201内に発生させた水素を出力させるように構成される。水素出力管21は
図2Cに示すように、陰極封止板125、陽極封止板126、陽極124、及び陽極圧板122を貫通する。したがって、陰極室1201はイオン交換膜型電解セル12外部の環境に接続されて水素を出力させ得る。酸素出力管22は陽極室1202内に発生した酸素を出力させるように構成される。酸素出力管22は、陽極室1202がイオン交換膜型電解セル12の外部環境に接続されて酸素の出力を可能にするように、陽極124及び陽極圧板122を貫通する。水管24は陽極124及び陽極圧板122を貫通する。水管24は、水槽10に接続されて水槽10中の水を陽極室1202中に導入させ得る。したがって、イオン交換膜型電解セル12中の電気分解用の水は補給されることになる。水素出力管21及び酸素出力管22はイオン交換膜型電解セル12の同一の側に構成されるため、酸素及び水素はイオン交換膜型電解セル12の同一の側で出力される。本実施形態では、水素出力管21、酸素出力管22、及び水管24の全ては、陽極圧板122を貫通し、陽極圧板122に構成される。本発明は説明した実施形態には限定されない。同様の構造であれば、
図2B中に第2の側部S2として示したように、水素出力管21、酸素出力管22、及び水管24は、陰極圧板121を貫通させてこの上に配設させることも可能である。
【0039】
先行技術では、気体及び水をイオン交換膜型電解セルの2側、場合によっては3側から出力させていたため、イオン交換膜型電解セル用の大型の収容空間ならびに続配管及び接続管路を確保しなければならなかった。本発明では、酸素及び水素をイオン交換膜型電解セル12の同一の側で出力させるため、イオン交換膜型電解セル周囲空間の有効使用が可能である。
【0040】
図3及び
図4を参照する。
図3は本発明のイオン交換膜型電解セルの一実施形態の分解図を示す。
図4は本発明のイオン交換膜型電解セルの
図3とは別の分解図を示す。イオン交換膜120はイオン交換膜周縁板1204を更に備え、イオン交換膜体1203、陰極触媒層127、及び陽極触媒層128の相対的位置のイオン交換膜型電解セル12中での固定に供される。
図3及び
図4はイオン交換膜型電解セル12の各部品の相対的位置を示す。このように、イオン交換膜型電解セル12に含まれる各部品は、
図3及び
図4に示すような積重ね順に従って組立て可能である。
【0041】
図3及び
図4を参照する。実施形態では、イオン交換膜周縁板1204、陰極封止板125、及び陽極封止板126は、絶縁及び気密等の効果が得られるように極板周囲に構成可能である。イオン交換膜周縁板1204の材料はシリコーンゲルであり得る。しかし、イオン交換膜周縁板1204の材料及び設置方法は上記の材料及び設置方法に限定されない。実際には、イオン交換膜周縁板1204の材料及び設置方法は、絶縁及び気密等の効果を付与し得る任意の種類の材料または設置方法であり得る。
【0042】
図3及び
図4に示すように、水素出力管21は、陰極室1201内に発生した水素が陽極圧板122の側面から水素出力管21及びイオン交換膜周縁板1204を経由して出力され得るように、陰極封止板125、イオン交換膜周縁板1204、陽極封止板126、陽極124、及び陽極圧板122を貫通し;酸素出力管22は、陽極室1202内に発生した酸素が陽極圧板122の側面から酸素出力管22を経由して出力され得るように、陽極124及び陽極圧板122を貫通する。水管24は陽極124及び陽極圧板122を貫通する。水管24は、水槽10に接続されて水槽10中の水の陽極室1202中への導入に供される。これにより、イオン交換膜型電解セル12中の電気分解用の水は補給されることになる。ガスケット25は水素出力管21、酸素出力管22、水管24、及び陽極圧板122の間に構成される。ガスケット25は、水素出力管21、酸素出力管22、水管24、及び陽極圧板122の間で空間を封止するように構成される。
【0043】
図3及び
図4に示すように、陰極123は陰極導電板123−1及び陰極導電板123−2を備え;陽極124は陽極導電板124−1及び陽極導電板124−2を備える。実施形態では、各導電板はチタン粉末鋳片であり、各導電板の材料はチタンであり得る。しかし、実際には、上記の材料または成型方法に限定されない。
図3に示すように、実施形態では、陰極導電板123−2はイオン交換膜120/イオン交換膜体1203と陰極導電板123−1との間に構成可能であり;陽極導電板124−2はイオン交換膜120/イオン交換膜体1203と陽極導電板124−1との間に構成可能である。イオン交換膜型電解セル12は、陰極導電板123−1及び陽極導電板124−1によって電源と接続され得る。実施形態では、
図3に示す陽極導電板124−1中及び
図4に示す陰極導電板123−1中にそれぞれ設計された流路が存在している。陰極導電板123−1及び陰極導電板123−2が重なり合う一方、複数の陰極空洞123−3が陰極室1201中に形成される。陽極導電板124−1及び陽極導電板124−2が重なり合う一方、複数の陽極空洞124−3が陽極室1202中に形成される。陰極空洞123−3及び陽極空洞124−3は空気及び水をその中で循環させるように使用され得る。陽極空洞124−3は酸素出力管22に接続され、陰極空洞123−3は水素出力管21に接続される。
【0044】
図5A及び
図5Bを参照する。
図5A及び
図5Bは本発明のイオン交換膜型電解セルの別の視角による組立図を示す。陰極圧板121及び陽極圧板122は、イオン交換膜型電解セル12の2外側面にそれぞれ配設されてイオン交換膜型電解セル12全体の固定、分離、及び保護に供される。陰極圧板121及び陽極圧板122の材料はステンレス鋼であり得る。実施形態では、イオン交換膜型電解セル12の組立後、イオン交換膜型電解セル12は
図6に示す固定要素により固定され得る。しかし、量、型式及び固定方法は同図に限定されない。
図6に示すように、組立状態のイオン交換膜型電解セル12の体積は比較的小さい。このように、本発明の電解装置の体積はコンパクトである。
【0045】
図1C、
図6、
図7A及び
図7Bを参照する。
図6は本発明の電解装置の一実施形態の分解図を示す。
図7A及び
図7Bは本発明の電解装置の別の視角による分解図及び組立図を示す。説明の明確化のために必要な部品のみを示す。本発明の電解装置1は水槽10及び上記のイオン交換膜型電解セル12を備え;更に、電解装置1はまた気体管11、気体ポンプ13、ファン15、気体混合室16、水素濃度検出器18、制御器14、分離槽30、及び水位計40を備える。分離槽30は水槽10中の分離室に配置される。実施形態では、水位計40は水槽10の水位検出に供される。水位計40は水槽10の外面に構成されて、水槽10中の水領域と無水領域との間の容積差を測定することにより水槽10中の水体積を測定するように使用される。
【0046】
図6、
図8A及び
図8Bを参照する。
図8Aは本発明の電解装置の一実施形態の上面図を示す。
図8Bは本発明の
図8A中の線D―Dに従った概略断面図を示す。イオン交換膜型電解セル12の水素出力管21は、水素通口211により分離槽30に結合及び接続される。イオン交換膜型電解セル12の酸素出力管22は、酸素通口222により水槽10に結合及び接続される。滅菌器50が水槽10中に収納される。本実施形態では、滅菌器50はストレート型UV滅菌器である。滅菌器50は分離槽30とは反対側の水槽10中の側面に配置される。水管24は、水槽10中の滅菌済みの水が電気分解用のイオン交換膜型電解セル12に補給されるように、水通口242により滅菌器50近傍の水槽10中の側面に直接接続される。
【0047】
分離槽30は、ばね弁32、浮き子34、及び水素排出管36をその中に備える。イオン交換膜型電解セル12により発生された水素は、水素出力管21及び水素通口211を経由して分離槽30に輸送される。分離槽30中の水素が閾値に向けて蓄積されている間、ばね弁32は水素圧力によって開放されている。したがって、水素は水素排出管36を経由してフィルタ60に出力され得る。フィルタ60は水素中の不純物を濾過する。また、イオン交換膜型電解セル12から水素が出力されたとき、この水素は多少の残存電解水を含有している可能性がある。残存電解水は分離槽30中に蓄積されて、浮き子34が水位上昇に伴って浮上する。その後、浮き子34により覆われた水流出口が露出され、蓄積した残存電解水は水流出口を経由して水槽10に排出されて再利用に供される。
【0048】
電気分解により発生した酸素は、酸素通口222及び酸素出力管22を経由して水槽10に直接排出される。酸素は水槽10の上部から外気に直接消散される。イオン交換膜型電解セル12から出力された酸素は多少の残存電解水を含有している可能性がある。残存電解水は水槽10に排出されて再利用に供される。
【0049】
図7A、
図7B、
図8A、及び
図9を参照する。
図9は本発明の
図8A中線Q―Qに従った概略断面図を示す。先の段落で述べたように、水素は水素排出管36を経由してフィルタ60に出力され、その後フィルタ60に収納されたフィルタカートリッジ602の使用により水素中の不純物が濾過される。濾過済み水素は気体管11に輸送され、希釈されて気体混合室16に流入する。気体管11はフィルタ60に接続されて濾過済み水素を受容する。気体管11はまた気体ポンプ13に接続される。ファン15は電解装置1の外部環境から電解装置1中に空気を吸引し、気体ポンプ13はこの空気を気体管11中に吸引して気体管11内の水素濃度の希釈に供される。上述の全部品は筐体100中に収納される。筐体100は複数の小孔を有する。ファン15は筐体100の小孔により電解装置1中に外気を吸引し、その後この吸引空気が気体ポンプ13により気体管11中に吸引される。本発明では、気体ポンプ13は渦流ファンであり得る。ファン15による吸引空気は、この空気が気体管11に輸送され得るように、気体ポンプ13の吸入口134を経由して気体ポンプ13中に吸引される。
図7B及び
図9に示すように、気体ポンプ13の気体ポンプ管132は気体流入口112を経由して気体管11に結合される。気体管11は第1の流動方向D1を有し、気体流入口112は第2の流動方向D2を有する。気体管11中の気体は指示線上の矢印により示すように、第1の流動方向D1に気体混合室16に流入する。気体流入口112中の気体は指示線上の矢印により示すように、気体管11に第2の流動方向D2で流入する。そのため、気体ポンプ管132からの気体は、気体流入口112を経由して気体管11に入力される。第1の流動方向D1及び第2の流動方向D2の交差部にある気体流入口112と気体管11との間の連結位置には、角度Aが設けられる。角度Aは90度未満である。角度Aの好ましい角度は25度〜45度の範囲内である。角度Aを有する連結位置の形状は弧角を成す。角度Aの設計により、気体ポンプ管132中の空気は気体管11中に輸送されて気体管11中で水素を希釈させ得る。
【0050】
図9を参照する。気体混合室16は気体管11に接続されて濾過済、希釈済の水素を受容する。気体混合室16は水素との混合により健康上有益な気体を形成する霧状気体を選択的に発生させる。この霧状気体は、水蒸気、霧化溶液、揮発性芳香油、及びそれらの任意の組合せから成る群から選択された1種である。気体混合室16は加振器162を備える。加振器162は気体混合室16中で水蒸気、霧化溶液、または揮発性芳香油を振動させることによりこれを霧化して霧状気体を発生させる。その後、霧状気体は気体混合室16中で水素と混合されて、吸入に供される健康上有益な気体が形成される。気体混合室16は要求に応じて選択的に作動または停止する。このことはまた、気体混合室16及び加振器162が起動されて、吸入用の霧状気体を含む水素を提供し得るか;さもなければ、気体混合室16及び加振器162が停止されて吸入用に水素のみを供給し得ることを意味する。ユーザは、水素または健康上有益な気体を外気中に放出させることにより、水素または健康上有益な気体を吸入し得る。また、ユーザは、管路またはマスク経由で健康上有益な気体を吸入し得る。
【0051】
水素濃度検出器18は気体管11に接続されて気体管11内の水素濃度の検出に供される。制御器14は水素濃度検出器18、気体ポンプ13及びイオン交換膜型電解セル12に結合される。実施形態では、水素濃度検出器18は水素出力管21及び水素通口211に結合されてイオン交換膜型電解セル12から出力される気体管11内の水素濃度の検出に供され得る。水素濃度検出器18は気体管11中の水素濃度が範囲内にあるかどうかを検出する。この範囲は第1の閾値〜第2の閾値である。例えば、第1の閾値は4%であり第2の閾値は6%であり、水素濃度検出器18は気体管中の水素濃度が4%〜6%にあるかどうかを検出する。第1の閾値及び第2の閾値の値は操作盤102を介して要求に応じて調節可能である。本実施形態では、水素濃度検出器18は、水素出力管21及び水素通口211中の検出水素濃度が第1の閾値4%より高ければ第1の警告信号を発生させる。制御器14は第1の警告信号を受信すると起動指令を発生させる。起動指令は、気体ポンプ13に送出されて気体ポンプ13が作動される。水素濃度検出器18は、水素出力管21及び水素通口211中の検出水素濃度が第2の閾値の6%より高ければ第2の警告信号を発生させる。制御器14は第2の警告信号を受信すると停止指令を発生させる。停止指令はイオン交換膜型電解セル12に送出されてイオン交換膜型電解セル12を停止させる。例えば、イオン交換膜型電解セル12への入力電力が遮断されて高水素濃度による気体爆発が回避され、更には安全性全体が改善され得る。上記の第1の閾値は、気体の全体積に対する3.5%水素体積とし得る。第1の警告信号は、検出水素濃度が3.5%を超えると発生される。しかし、閾値はこの値に限定されない。
【0052】
図10を参照する。
図10は本発明の電解装置の一実施形態の概略図を示す。実施形態では、電解装置1は、水槽10とイオン交換膜型電解セル12との間に構成された予熱槽17を備える。予熱槽17は概ね円筒状または円形の管体である。予熱槽17は
図10では水槽10より大きく示すが、予熱槽17の容積は他の実施形態では水槽10の容積より小さい。予熱槽17は水槽10の底部通口10−2に結合された水流入口172を備える。予熱槽17はイオン交換膜型電解セル12の水管24に結合された水流出口174を更に備える。予熱槽17は酸素出力管22に結合された酸素導入管176を更に備える。予熱槽17は水槽10の頂部通口10−1結合された酸素送出管178を更に備える。水槽10中の水は先ず底部通口10−2を経由して予熱槽17に流入し、次いで水流出口174を経由してイオン交換膜型電解セル12に流入して電気分解に供される。酸素及び水の電気分解中に発生した残存電解水の一部は、酸素導入管176を経由して予熱槽17中に排出される。残存電解水の一部は予熱槽17中に残留することになる。酸素は頂部通口10−1及び酸素送出管178を経由して水槽10中に排出される。
【0053】
ところで、イオン交換膜型電解セル12の温度は電気分解中に上昇する。電解水の温度は電気分解の効率と関連付けられる。約55℃〜65℃の温度範囲の電解水により電気分解効率は向上する。このため、予熱槽17中の電解水は、イオン交換膜型電解セル12の酸素出力管22により排出された高温電解水の予熱槽17中への回収により、適合温度に予熱される。この適合温度は55℃〜65℃の範囲とし得る。予熱槽17中で電解水を適合温度に維持するために、予熱槽17は複数の冷却フィン171及び第2のファン173を更に備える。冷却フィン171は予熱槽17の外壁上に半径方向に構成され、第2のファン173は予熱槽17の端部上に構成される。冷却フィン171は第2のファン173と共に作動して予熱槽17を冷却させる対流を発生させる。説明単純化のために冷却フィン171を予熱槽17外壁の一部上のみに示すが、冷却フィン171は他の実施形態では予熱槽17の予熱槽17上に配列可能である。
【0054】
本発明の目的は、睡眠中に電解装置1を好適に使用可能なように、十分な量の水素生成を維持しながら電解装置1の騒音及び体積を低減させることにある。したがって、本発明の主な目的は電解装置1の体積を低減させることである。例えば、本発明の電解装置1は概ね円筒状である。底部の断面最大長は200mmであり装置の高さは最大で270mmであるため、最大体積は約8500cm
3、即ち8.5リットルである。本発明の電解装置1の外観は円筒状に限定されず;電解装置1の外観は他の形状であってもよい。例えば、電解装置1の外観は楕円、正方形または多角形であってもよい。したがって、電解装置1の筐体により画成される収容空間は可能な限り有効に利用される。電解装置1の水素発生率の調節に対して6種類の出力設定が存在し、気体(健康上有益な気体)総量2L/分、4L/分、及び6L/分にそれぞれ対応する120ml/分、240ml/分、または360ml/分の水素発生率が含まれる。また、電解装置1は400ml/分、500ml/分、または600ml/分の水素を出力させ得る。ユーザは操作盤によって水素発生率及び気体種類を調節し得る。ユーザは睡眠中水に素発生率を調節して騒音を低減可能であり、本発明をユーザ頭部の近傍に配置可能である。
【0055】
図1Cを再び参照する。実施形態では、電解装置1は、本管を切換えて240ワットの直流電流を電解装置1に出力可能な電源80を備える。電源80は高電力口801及び低電力口802を備える。高電力口801はイオン交換膜型電解セル12に結合されて電気分解反応での電力の供給に供される。低電力口802は、気体ポンプ13、制御器14、ファン15、及び水素濃度検出器18等の、電解装置1の他の装置への電力の供給に好適である。図面単純化のために、
図1Cには電源80及び高電力口801のみを示す。しかし、当業者であれば、電解水装置中の電力線を低電力口802に如何に構成して電解装置1の運転に要する電力を供給させ得るかを認識し得るに相違ない。
【0056】
低電力口802からの出力電力は、高電力口801からの出力電力の50%未満である。電源80により供給される240ワットDCのうちの172ワットは、高電力口801からイオン交換膜型電解セル12に出力される。高電力口801は第1の電圧及び第1の電流を出力する。第1の電圧は3ボルト〜6.3ボルトの範囲であり、第1の電流は10アンペア〜27.3アンペアの範囲である。低電力口802は電解装置1の作動用に60ワットDCを供給する。低電力口802は第2の電圧及び第2の電流を出力する。第2の電圧は24ボルトであり、第2の電流は2.5アンペアであり得る。別の実施形態では、第2の電圧は5ボルトであり、第2の電流は0.5アンペアであり得る。比較により、第1の電圧が第2の電圧より低く、第1の電流が第2の電流より大きいことが理解され得る。高電力口801はDCを高電流、低電圧で出力する。低電力口802はDCを低電流、高電圧で出力する。
【0057】
図1C、
図2A、
図2B、
図10、及び
図11を参照する。
図11は本発明の一体型流路モジュールの一実施形態の概略図を示す。別の実施形態では、本発明はイオン交換膜型電解セル12及び一体型流路モジュール19を備えた別の電解装置1を更に提供する。イオン交換膜型電解セル12は水を電気分解するように構成される。イオン交換膜型電解セル12は、第2の側部S2、イオン交換膜120、陰極123、陽極124、水素出力管21、及び酸素出力管22を備える。イオン交換膜120は陰極123と陽極124との間に構成される。イオン交換膜型電解セル12が水を電気分解すると、陰極123で水素が発生されてこの水素が水素出力管21を経由して出力され;陽極124で酸素が発生されてこの酸素が酸素出力管22を経由して出力される。一体型流路モジュール19は水槽199及び気体流路を有する。水槽199はイオン交換膜型電解セル12に結合されてイオン交換膜型電解セル12への水の補給に供される。水槽199の頂部はイオン交換膜型電解セル12の頂部より高位置にある。気体流路はイオン交換膜型電解セル12に結合されて水素の輸送に供される。イオン交換膜型電解セル12の第2の側部S2は一体型流路モジュール19に対向する。酸素及び水素は、第2の側部S2から気体流路に出力される。水は、第2の側部S2からイオン交換膜型電解セル12に入力される。
【0058】
一体型流路モジュール19は水素通口1922、酸素通口1924及び水通口1926を更に有する。水素通口1922は、水素出力管21結合されてイオン交換膜型電解セル12により発生させた水素の一体型流路モジュール19への入力に供される。酸素通口1924は、酸素出力管22に結合されてイオン交換膜型電解セル12により発生させる酸素の一体型流路モジュール19への入力に供される。水通口1926は、水槽199に結合されて水槽199からイオン交換膜型電解セル12中への水の出力に供される。また、予熱槽17、分離槽、及び通口、流入口、流出口、または装置間の流路は、一体型流路モジュール19に対して一体化させ得る。
【0059】
本実施形態では、イオン交換膜型電解セル12の機能、構造設計、及び種々の変更は、他の実施形態中のイオン交換膜型電解セル12と同様である。電解装置中の他の部品の機能、構造設計、及び種々の変更も他の実施形態中の機能、構造設計、及び種々の変更と同様である。しかし、気体及び水の収容及び輸送用の部品は系統構造体に一体化可能であり;更に、一体型流路モジュール19は一体的に形成可能である。したがって、電解装置の体積はコンパクト化され、電解装置中の空間は有効利用され、流路破壊の懸念は軽減され得る。
【0060】
要するに、本発明は、イオン交換膜型電解セルの周囲空間の有効利用を可能にするように、同一の側から水素及び酸素を出力するイオン交換膜型電解セルを備えた水電解装置を提供する。電解装置は、気体管、気体ポンプ、及び気体混合室を更に備える。イオン交換膜型電解セルは水を電気分解して水素を発生させる。水素は気体管に輸送される。気体ポンプは、空気を一方向に気体管中に角度を成して吸引して気体管中での水素の希釈に供される。次いで、希釈済み水素は気体混合室中に輸送されて霧状気体と混合される。その後、健康上有益な気体が形成されてこれがユーザに吸入される。
【0061】
先行技術と比較して、イオン交換膜型電解セルは水素及び酸素を同一の側で出力させる。更に、イオン交換膜型電解セル、水槽、気体管、ファン、気体ポンプ、操作盤、気体混合室、及び他の装置は、筐体中の限られた容積内に構成される。したがって、本発明は十分な水素生成を維持すると共に、収容空間を筐体内に可能な限り広く提供し得る。本発明は、空間使用上効率的であり、安全で小型かつ低騒音である水電解装置を提供し、電解装置はユーザによる好都合な利用が可能である。
【0062】
上述の実施例及び説明により、本発明の特徴及び趣旨申し分なく説明されたと思われる。より重要なことは、本発明は本明細書に説明した実施形態に限定されないことである。当業者であれば、本発明の教示を維持しながら装置の様々な修正及び改変が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、以上の開示は添付の請求項の境界及び限定によってのみ限定されるものと解されるべきである。