特許第6802259号(P6802259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6802259洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法および洗濯機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802259
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法および洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/46 20200101AFI20201207BHJP
   D06F 39/10 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   D06F33/46
   D06F39/10 E
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-506825(P2018-506825)
(86)(22)【出願日】2016年8月9日
(65)【公表番号】特表2018-525100(P2018-525100A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】CN2016094134
(87)【国際公開番号】WO2017025017
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2018年5月24日
(31)【優先権主張番号】201510492806.1
(32)【優先日】2015年8月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼金柱
(72)【発明者】
【氏名】李冬
(72)【発明者】
【氏名】車敏
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−113090(JP,A)
【文献】 特開2008−154656(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/021722(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104652095(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104790180(CN,A)
【文献】 特開2007−202686(JP,A)
【文献】 実開昭49−052164(JP,U)
【文献】 特開2002−119794(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104514122(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/30−33/76
D06F 39/08−39/10
B01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法であって、前記制御方法は、洗濯機の洗濯過程が終了した後、
工程1、洗濯水を凝集槽に流入させる;
工程2、最上部に取り付けられた、取水を凝集槽に流入させるノズルと、底部に配置された排水口とを備える凝集槽内で撹拌、凝集、静置して層化する;
工程3、凝集後のきれいな循環水を洗濯槽に還流し、凝集物が残った汚れた水を排出する;
工程4、洗濯槽内にすすぎ水位まで水道水を給水する;
工程5、すすぎを実行する;を順番に実行し、
前記工程2は、以下の制御工程、
工程21、前記凝集槽の水位が、前記凝集槽に設置された攪拌装置より上にある撹拌処理水位L2に達しているかどうかを判断し、達していない場合、引き続き前記凝集槽に洗濯水を流入させ、達している場合、撹拌時間をT1に設定し、凝集剤投入時間をT2に設定し、T1時間>T2時間とし、撹拌を開始し、T2時間で凝集剤を投入し、T1時間で攪拌を終了する;
工程22、工程21を実行するのと同時に、前記撹拌処理水位L2より高い処理水位L1に達しているかどうかを判断し、達していない場合、引き続き前記凝集槽に洗濯水を流入させ;達している場合、前記凝集槽に洗濯水を流入させるのを停止する;
工程23、工程21および工程22過程がいずれも終了した後、凝集槽を時間T3静置すると、凝集反応物はきれいな循環水の上表面に浮く;を含み、
前記攪拌装置は、
前記凝集槽内に水平に設置された回転軸と、
前記回転軸に取り付けられ、前記回転軸を中心にして垂直に回転するベルトプーリと、
前記ベルトプーリの円周方向に沿って配置され、前記ベルトプーリから径方向に沿って延伸する複数の攪拌ロッドと、
前記攪拌ロッドにそれぞれ設けられる攪拌ブレードと、を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
工程5が終了すると、所定のすすぎ回数に達しているかどうかを判断し、達している場合、凝集槽を洗浄して、洗濯槽内の洗濯水を排出し;達していない場合、工程1から工程5を順番に実行することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法。
【請求項3】
前記工程3で凝集槽のきれいな循環水を洗濯槽に還流する過程を実行する前に、循環水の濁度測定を設け、凝集槽内の循環水が基準に達している場合、工程3を実行し;循環水が基準に達していない場合、洗濯槽および凝集槽内の循環水と、凝集反応物とをすべて排水管から排出し、洗濯槽に新たに水道水を取水することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法。
【請求項4】
凝集槽が工程3で凝集槽のきれいな循環水を洗濯槽に還流する過程において、凝集槽内が水位L3に達しているかどうかを判断し、達していない場合、引き続き水位L3まで還流し;達している場合、還流を停止することを特徴とする、請求項1に記載の洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法。
【請求項5】
洗濯機が洗濯プログラムを開始する前に、ユーザ洗濯モードを選択し、通常モードが選択された場合、洗濯機は、洗い洗濯水を循環利用しない普通の洗濯プログラムを実行し;節水モードが選択された場合、洗濯機は、洗濯機の洗濯過程が終了した後、工程1〜5を順番に実行することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法。
【請求項6】
外槽と、前記外槽内に設けられる洗濯槽と、外槽外部に設けられる循環水処理装置とを含み、前記循環水処理装置は、外槽から排出される水を凝集処理する凝集槽を含み、前記凝集槽中に内部の水を撹拌する撹拌装置が設けられ、請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御方法を採用して洗濯水を循環利用することを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯機分野に関し、具体的に循環節水洗濯機であり、特に洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法である。
【背景技術】
【0002】
人々の生活水準が向上するのに伴い、洗濯機はすでに日常生活における主要な家電の一つとなっている。洗濯機の衣類洗浄過程は主に、洗濯、すすぎ、脱水の数段階を含み、洗濯段階で洗濯機は取水し、洗剤で衣類を洗濯する。すすぎ段階に進むと、汚れおよび残った洗剤を洗い流すため、より多くの水を取水するか、またはより多くの回数で衣類をすすぐ必要があり、これは必然的に大量の水資源を浪費する。たとえ節水のドラム式洗濯機であっても、衣類をすすぐため、少なくとも2回のすすぎが必要であり、この過程は少なくとも30L以上の水道水を消費する。衣類の汚れが比較的少ないか、または投入する洗剤が比較的少なく、2回できれいにすすぐことができることもあるが、ユーザが3回のすすぎを選択することにより、必然的に水資源の浪費となる。例えば6Kgの全自動洗濯機は、一般的に2回すすぐと基本的に100リットル前後の水を使用する。どのようにして衣類を洗浄するのと同時に、節水、節電を行うかは、常に消費者の関心を集める焦点の1つである。
【0003】
現在までに、家庭用洗濯機に組み合わせて使用する水浄化および循環利用装置は未だない。たとえいわゆる節水機能を備えた洗濯機であっても、一般的には洗濯機の側部に貯水タンクを取り付け、水ポンプで注水および排水を行う。一般的に1回の注水ですすぎを3回行うことができ、節水機能を示すものである。しかし、洗濯後の水を保存することができず、それと同時に洗濯機自体の構造が複雑、膨大になり、輸送、回収処理などに不利である。体積、構造および適応性などの制限により、洗濯機が元々有する機能および節水タンク自体の機能を充分に発揮するのに影響を及ぼしている。さらに、該技術の節水効率は低い。
【0004】
さらに、既存の衣類洗浄方式を基にして、水資源をより良好に節約するため、技術方式で洗濯および/またはすすぎ水を浄化することにより、洗濯過程で循環利用し、節水の目的を達成する。凝集の方法を採用して洗濯水を処理し、処理後の水をすすぎに用いる。凝集剤および洗濯水中の汚れおよび洗剤が反応して凝集物が生成され、沈殿または浮遊し、これにより水および汚染物を分離し、浄化する目的を達成する。
【0005】
したがって、凝集方式を採用して洗濯水を浄化し、すすぎに用いる洗濯機の制御方法を提供し、これにより洗濯機の洗濯、すすぎ過程および水処理過程を組み合わせ、1つの槽の水のみを使用して洗濯およびすすぎの全過程を完了することができる。しかし、既存技術において、洗濯水の循環利用を実現する類似の制御方法はない。
【0006】
このことを考慮して、本発明を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は既存技術の不足を克服することであり、洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法を提供し、水の凝集過程および洗濯機の洗濯、すすぎ過程を組み合わせて、1つの洗濯過程全体を形成する。洗濯水を循環利用することができ、節水の目的を達成する。該方法は撹拌の方式も採用し、水の凝集過程の循環水を充分に浄化する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
該目的を実現するため、本発明は以下の技術案を採用する。洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法において、前記方法は以下の工程を含む。
工程1、洗濯機の洗濯が終了した後、洗濯水を凝集槽に流入させる。
工程2、凝集槽内で撹拌、凝集、静置して層化する。
工程3、凝集後のきれいな循環水を洗濯槽に還流し、凝集物が残った汚れた水を排出する。
工程4、洗濯槽内にすすぎ水位まで水道水を給水する。
工程5、すすぎを実行する。
【0009】
さらに、前記工程2において、先に凝集槽中の洗濯水を一定時間撹拌し、撹拌過程で凝集剤を投入して凝集反応を行う。撹拌の終了後、一定時間静置し、凝集物および水を層化する。
【0010】
本発明において、洗濯槽内にすすぎ水位まで水道水を給水し、さらに洗濯槽内の洗濯水がすすぎ水位L4に達しているかどうかを判断する。達している場合、工程5を実行し;達していない場合、すすぎ水位L4に達するまで工程4を実行する。
【0011】
好ましくは、1回目のすすぎプログラムの前のみ水位を判断し、さらにすすぎ水位L4まで給水する。
【0012】
さらに、工程5が終了すると、所定のすすぎ回数に達しているかどうかを判断する。達している場合、凝集槽を洗浄してから、洗濯槽内の洗濯水を排出し;達していない場合、工程1を実行する。
【0013】
さらに、前記工程2の制御工程は以下の通りである。
工程21、凝集槽が撹拌処理水位L2に達しているかどうかを判断する。達していない場合、引き続き凝集槽に洗濯水を流入させ:達している場合、撹拌プログラムを起動する。前記撹拌プログラムの時間をT1に設定し、前記撹拌プログラムでT2時間まで撹拌した後、凝集剤を投入する。
工程22、工程21過程を実行するのと同時に、処理水位L1に達しているかどうかを判断する。達していない場合、引き続き凝集槽に洗濯水を流入させ;達している場合、凝集槽に洗濯水を流入させるのを停止する。
工程23、工程21および工程22過程がいずれも終了した後、凝集槽を時間T3静置すると、凝集反応物はきれいな循環水の上表面に浮く。
【0014】
さらに、前記L1処理水位はL2処理水位より高く、T1時間はT2時間より長い。
【0015】
さらに、前記工程3で凝集槽のきれいな循環水を洗濯槽に還流する過程を実行する前に、循環水の濁度測定を設ける。凝集槽内の循環水が基準に達している場合、工程3を実行し;循環水が基準に達していない場合、洗濯槽および凝集槽内の循環水と、凝集反応物とをすべて排水管から排出し、洗濯槽に新たに水道水を取水する。
【0016】
さらに、前記工程3において、凝集槽から初めにきれいな循環水を洗濯槽に還流するとき、凝集回数に達しているかどうかを判断する。達していない場合、引き続き工程2を実行し;達している場合、工程4を実行する。
【0017】
さらに、凝集槽が工程3で凝集槽のきれいな循環水を洗濯槽に還流する過程において、凝集槽内が水位L3に達しているかどうかを判断する。達していない場合、引き続き水位L3まで還流し;達している場合、還流を停止する。
【0018】
さらに、洗濯機が洗濯プログラムを開始する前に、ユーザが洗濯モードを選択する、および/または洗濯機が洗濯モードを自動的に判断する。ユーザが通常モードを選択した場合、洗濯機は普通の洗濯プログラムを実行し;ユーザが節水モードを選択した場合、洗濯機は工程1〜5に応じて順番に実行する。
【0019】
さらに、前記制御方法は節水洗濯プログラムをさらに含む。洗濯機の起動後、節水洗濯プログラムモードに設定する。衣類量の測定を実行し、取水量、洗剤使用量および洗濯時間などの洗濯パラメータを計算し、さらに計算量に基づいて洗濯過程を実行し、その後、工程1を実行する。
【0020】
本発明は、洗濯機の洗濯過程およびすすぎ過程を、凝集過程と組み合わせるように設置することにより、洗濯過程の終了後、洗濯水を凝集槽に流入させる。排水過程で同時に洗濯水を撹拌し、一定時間撹拌して凝集剤を投入し、さらに引き続き撹拌することにより、洗濯水を充分に浄化し、処理した洗濯水を再び洗濯槽に還流する。さらに洗濯槽内のすすぎ水位L4を測定し、すすぎ水位に達していない場合、取水弁からすすぎ水位に達するまで取水してから、すすぎ過程を行う。すすぎ過程の終了後、洗濯水を凝集槽に流入させ、上記工程に応じて洗濯水を処理する。その後、洗濯槽に還流し、すすぎ回数に達すると、洗濯を終了する。
【0021】
本発明のもう1つの目的は洗濯機を提供することであり、外槽と、外槽内に設けられる衣類洗浄構造と、外槽外部に設けられる循環水処理装置とを含む。前記循環水処理装置は、外槽から排出される水を凝集処理する凝集槽を含み、前記凝集槽内に内部の水を撹拌する撹拌装置が設けられる。本発明の前記洗濯機は、上記制御方法を採用して洗濯水を循環利用する。
【0022】
さらに、前記洗濯機は主制御盤、洗剤自動投入装置、水位測定装置、および衣類量取得装置を含む。前記主制御盤が洗濯プログラムを設定してから、衣類量取得装置が衣類量を取得し、端末が洗濯水量、洗剤投入量および洗濯時間などの洗濯パラメータを計算し、その後洗濯を起動する。計算量に基づいて、洗剤自動投入装置が洗剤を投入し、水位測定装置が取水量を測定する。
【0023】
さらに、前記凝集槽中に水平に設置される回転軸が設けられ、回転軸に回転軸を中心にして回転する少なくとも1つの撹拌ロッドが取り付けられ、撹拌ロッドにそれぞれ撹拌ブレードが設けられる。凝集槽に駆動モータが設けられ、駆動モータはベルトにより回転軸を回転させる。
【0024】
さらに、前記凝集槽の最上部に、取水を凝集槽に流入させるノズルが設けられる。前記ノズルが取水水流を凝集槽の側壁の各部分に均等に噴射することにより、取水水流は凝集槽の側壁に付着した凝集物を効果的に自動洗浄することができる。
【0025】
さらに、前記凝集槽に取水口、出水口および排水口が設けられる。外槽の出水口は、第1水ポンプを有する管路を介して凝集槽の取水口と通じ、凝集槽の出水口は、第2水ポンプを有する管路を介して外槽の取水口と通じ、これにより洗濯水が外槽および凝集槽の間で制御可能に循環する回路が形成される。前記凝集槽の排水口は、排水弁を有する管路を介して洗濯機の外部と通じる。
【0026】
さらに、循環水処理装置はろ過装置も含むことができる。ろ過装置の両端はそれぞれ凝集槽の出水口、外槽の取水口と通じ、外槽中に還流される凝集水に対して凝集物および清浄水の分離を行い、凝集処理後の清浄水を外槽に還流する目的を実現する。
【0027】
本発明において、前記洗濯機は上記装置を採用し、前記方法により、洗濯、すすぎプログラムを凝集プログラムと組み合わせ、洗濯水の循環利用を実現し、最終的に1つの槽の水のみを使用して、衣類の洗濯およびすすぎ過程を完了することができることを実現した。本発明は構造が簡単で、節水効果は顕著であり、製造コストが低い利点を有する。
【0028】
以下、図を組み合わせて、本発明の発明を実施するための形態について、さらに詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の実施例における洗濯水を循環利用するフローチャートである。
図2図2は、本発明の実施例における洗濯機動作のフローチャートである。
図3図3は、本発明のもう1つの実施例におけるフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施例における洗濯機の構造概要図である。
図5図5は、本発明の実施例における循環水処理装置の構造概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の上記目的、特徴および利点をより明確に分かりやすくするため、以下、図および発明を実施するための形態を組み合わせて、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0031】
図4に示すように、本発明の実施例の前記洗濯機は、内部に既存の洗濯機構造が設けられ、循環水処理装置も設けられる。洗濯機構造は外槽、外槽内に設けられる内槽、ドア体、制御パネル、取水システムおよび洗濯モータを含む。外槽底部および上部は、それぞれダンパおよびサスペンションスプリングを介して筐体のフレームと接続され、取水システムは取水構造および洗剤自動投入装置を含む。前記外槽は洗濯水を収容する収容構造であり、外槽内に設けられる内槽は衣類洗浄構造である。外槽は、取水構造と通じる。
【0032】
本発明の実施例の前記循環水処理装置は、少なくとも凝集処理ユニットを含む。凝集処理ユニットは、外槽と通じる凝集槽と、凝集槽内に凝集剤を投入する凝集剤投入装置とを含み、外槽から凝集槽内に排水して凝集処理を行う。
【0033】
図5に示すように、前記凝集槽に取水口、出水口および排水口が設けられる。外槽の出水口は、第1水ポンプ2を有する管路を介して凝集槽1の取水口と通じ、凝集槽1の出水口は、第2水ポンプ3を有する管路を介して外槽の取水口と通じ、これにより洗濯水が外槽および凝集槽の間で制御可能に循環する回路が形成される。前記凝集槽1の排水口は、排水弁4を有する管路を介して洗濯機の外部と通じる。
【0034】
好ましくは、循環水処理装置はろ過ユニットも含むことができる。ろ過ユニットは、凝集処理ユニットが処理した後の凝集処理水をろ過処理して、凝集物および清浄水を分離する。凝集物および清浄水の分離を実現するのに、ろ過装置を採用しなくてもよい。例えば、凝集槽中に水位センサを設置することにより、凝集槽中の液面を終始一定の高さに保持する。これにより、凝集槽の水面部分に浮いた凝集物は終始凝集槽中に残り、凝集水中の凝集物を除去する目的も達成した。
【0035】
本発明において、前記凝集槽1に取水口、出水口および排水口が設けられる。外槽の出水口は、第1水ポンプ2を有する管路を介して凝集槽1の取水口と通じ、凝集槽1の出水口は、第2水ポンプ3を有する管路を介して外槽の取水口と通じ、これにより洗濯水が外槽および凝集槽1の間で制御可能に循環する回路が形成される。前記凝集槽1の排水口は、排水弁4を有する管路を介して洗濯機の外部と通じる。
【0036】
本発明において、凝集槽中に、内部の水を撹拌する撹拌装置が設けられる。前記撹拌装置は、既存技術のいずれか1つの構造で、凝集槽中の水を撹拌することができる装置でよい。例えば、図5に示すように、凝集槽用撹拌構造において、撹拌構造は凝集槽1中に水平に設置される回転軸を含み、回転軸に回転軸を中心にして垂直に回転するベルトプーリ8が取り付けられ、ベルトプーリ8は径方向に沿って複数の撹拌ロッドを延伸する。撹拌ロッドに、それぞれ撹拌ブレード5が設けられる。凝集槽1の最上部に駆動モータ6がさらに設けられ、駆動モータはベルトによりベルトプーリ8を回転させる。これにより、凝集槽中の水を撹拌することができ、撹拌水流は凝集物をばらばらにして水と混合することができる。さらに、取水水流は凝集槽の最上部のノズル7から凝集槽中に流入する。
【0037】
本実施例において、前記洗濯機装置の洗濯、すすぎプログラムを凝集プログラムと組み合わせて、1つの洗濯過程全体を形成する。該装置は、洗濯水を循環利用する機能を有する洗濯機である。
【0038】
図1に示すように、前記洗濯機の洗濯水の循環利用を実現するため、本発明は、洗濯水の循環利用機能を有する洗濯機の制御方法を示す。以下の工程を含む。
工程1、洗濯機の洗濯が終了した後、洗濯水を凝集槽に流入させる。
工程2、凝集槽内で撹拌、凝集、静置して層化する。
工程3、凝集後のきれいな循環水を洗濯槽に還流し、凝集物が残った汚れた水を排出する。
工程4、洗濯槽内にすすぎ水位まで水道水を給水する。
工程5、すすぎを実行する。
【0039】
前記方法は、洗濯、すすぎプログラムを凝集プログラムと組み合わせることにより、洗濯水の循環利用を実現し、最終的に1つの槽の水のみを使用して、衣類の洗濯およびすすぎ過程を完了することができることを実現した。
【実施例】
【0040】
実施例1
本実施例において、工程4で洗濯槽内にすすぎ水位まで水道水を給水し、さらに洗濯槽内の洗濯水がすすぎ水位L4に達しているかどうかを判断する。達している場合、工程5を実行し;達していない場合、すすぎ水位L4に達するまで工程4を実行する。
【0041】
好ましくは、1回目のすすぎプログラムの前のみ水位を判断し、さらにすすぎ水位L4まで給水する。
【0042】
本実施例において、工程5が終了すると、所定のすすぎ回数に達しているかどうかを判断する。達している場合、凝集槽を洗浄してから、洗濯槽内の洗濯水を排出し;達していない場合、工程1を実行する。
【0043】
本実施例において、1回目のすすぎプログラムの前のみ水位を判断し、目標水位まで洗濯水を補充する。主に、凝集槽内に残った凝集層に一定量の水が残留し、循環過程における管路、フィルタ中に同様に一定量の水が残留するため、洗濯槽内の水量が減少し、洗濯モータが過負荷となり、寿命に影響を及ぼす。さらに通常プログラムですすぎに比較的高い水位を使用すると、すすぎ効果を上昇させることができる。循環利用は、給水を1回行えば、すべての循環のすすぎ効果を上昇させることができるため、水位を測定して給水するのは、1回目のすすぎのみである。
【0044】
実施例2
本実施例において、前記工程2で、先に凝集槽内で撹拌してから、凝集剤を投入する。凝集剤を投入した後、引き続き一定時間撹拌して終了し、最後に静置して層化する。
【0045】
本実施例において、前記工程2の制御工程は以下の通りである。
工程21、凝集槽が撹拌処理水位L2に達しているかどうかを判断する。達していない場合、引き続き凝集槽に洗濯水を流入させ;達している場合、撹拌プログラムを起動する。前記撹拌プログラムの時間をT1に設定し、前記撹拌プログラムでT2時間まで撹拌した後、凝集剤を投入する。
工程22、工程21過程を実行するのと同時に、処理水位L1に達しているかどうかを判断する。達していない場合、引き続き凝集槽に洗濯水を流入させ;達している場合、凝集槽に洗濯水を流入させるのを停止する。
工程23、工程21および工程22過程がいずれも終了した後、凝集槽を時間T3静置すると、凝集反応物はきれいな循環水の上表面に浮く。
【0046】
本実施例において、前記L1処理水位はL2処理水位より高いが、L1およびL2水位は近い。前記L1は凝集槽の満載水位であり、L2水位は撹拌装置が埋まる水位であり、撹拌装置の空撹拌を防止し、撹拌装置の使用寿命を延長させる。前記T1時間はT2時間以上であり、T1時間は撹拌プログラム全体の時間である。前記T2時間は凝集剤を投入する時点であり、凝集剤を投入する時間は極めて短い。撹拌プログラムの開始後、撹拌時間が短い場合、T2時間に達すると凝集剤を投入する。
【0047】
本実施例において、前記工程2でT2時間まで撹拌した後、凝集剤を投入し、さらに引き続き一定時間撹拌し、凝集剤および洗濯水を充分に接触反応させる。前記水位L1はL2より高く、洗濯水を凝集槽に流入させる過程で洗濯水を撹拌し、洗濯水を混合して均等にし、より良好に凝集剤と接触反応させることを保証する。
【0048】
実施例3
本実施例において、前記凝集槽内に濁度測定装置がさらに設けられ、凝集槽内の処理後の循環水に対して濁度の測定を行う。
【0049】
図3に示すように、前記工程3で凝集槽のきれいな循環水を洗濯槽に還流する過程を実行する前に、循環水の濁度測定を設ける。凝集槽内の循環水が基準に達している場合、工程3を実行し;循環水が基準に達していない場合、洗濯槽および凝集槽内の循環水と、凝集反応物とをすべて排水管から排出し、洗濯槽に新たに水道水を取水する。
【0050】
本実施例において、洗濯機に数種の洗濯モードが設けられ、異なるモードでは、対応する取水量および衣類洗濯のパラメータが異なる。したがって、洗濯機に様々な凝集回数を対応して設定する必要があり、これにより凝集プログラム後の水受け槽における洗濯水の清浄度がすすぎの要求を満たすことを保証する。したがって、工程3に凝集回数を満たしているかどうかの判断を加える。前記工程3で凝集槽から初めにきれいな循環水を洗濯槽に還流するとき、凝集回数に達しているかどうかを判断する。達していない場合、引き続き工程2を実行し;達している場合、工程4を実行する。
【0051】
凝集回数が目標に達しているかどうかを判断する具体的な過程は、以下の通りである。
工程31、洗濯水の取水量および/または衣類洗濯のパラメータに基づいて、基礎的な凝集回数N1を対応して設定する。洗濯プログラムの終了後、水受け槽中の洗濯水の濁度を測定し、濁度の測定値に基づいて、変量の凝集回数N2を対応して設定する。
工程32、洗濯機が洗濯水からすすぎ水を得るのに必要な凝集回数N=N1+N2を得る。
工程33、上記実施例1の工程3を実行した後、累計値に1を加え、得られた累計値を凝集回数Nと比較する。累計値がNより小さいとき、工程34を実行し;累計値がNに達しているとき、工程35を実行する。
工程34、再度、上記実施例1の工程2を実行する。
工程35、凝集が完了し、上記実施例1の工程4を実行する。
【0052】
上記方式により、洗濯機は取水量および/または衣類のパラメータおよび/または洗濯水の清浄度により、対応して凝集槽の洗濯水に対する凝集回数Nを予め設定する。毎回の凝集後、きれいな循環水を洗濯槽に還流する前に、所定の回数Nに達しているかどうかを判断し、凝集が完了したかどうかを判断する。これにより様々な洗濯プログラム下の対応する様々な容量、様々な清浄度の洗濯水が、凝集処理されて、後続のすすぎの要求を満たすことができることを保証する。
【0053】
これにより、洗濯水を凝集処理した後の循環水の清浄度を保証し、凝集後に依然として濁度が比較的高い水が還流して、洗濯衣類の二次汚染が引き起こされるのを防止し、衣類の洗濯およびすすぎ過程の高い洗浄能力を保証する。
【0054】
実施例4
本実施例において、凝集槽が工程5で循環水を洗濯槽に還流する過程を実行するとき、凝集槽が水位L3に達しているかどうかを判断する。達していない場合、引き続き水位L3まで還流し;達している場合、還流を停止し、その後、洗濯槽はすすぎプログラムを行い、前記すすぎ過程の時間はT4に設定する。すすぎプログラムが完了すると、所定のすすぎ回数に達しているかどうかを判断する必要がある。達している場合、凝集槽を洗浄してから、洗濯槽内の洗濯水を排出し;達していない場合、工程1を実行する。
【0055】
本実施例において、L3水位は凝集槽から還流する最低水位であり、該水位は凝集槽内の凝集物を全て凝集槽内に残すことを保証するため、洗濯槽に還流しない。前記T4時間は、洗濯機が実行する洗濯モードに基づいて、計算し、設定したすすぎ時間である。
【0056】
本実施例において、洗濯槽内の洗濯水を凝集槽に流入させて、凝集槽を洗い流し、その後、凝集槽から排出する。または、取水弁を開いて凝集槽内に取水し、凝集槽を洗い流して排出する。すすぎプログラムの終了後、洗濯水を利用するか、または新たに取水して、凝集槽を速やかに洗浄することにより、凝集槽の内壁の清浄度を保証し、凝集槽内に細菌が繁殖するのを防止する。
【0057】
実施例5
本実施例において、凝集槽から凝集物を除く過程で、先に凝集槽内の水位が設定水位に達しているかどうかを測定する。達していない場合、凝集槽に設定水位まで取水し;達している場合、貯水を一定時間T5撹拌してから、凝集槽の排水を実行する。排水過程で、排水量が設定量Qの倍に達するたびに、凝集槽中の水を一定時間T6撹拌する。排水過程で間隔を開けて撹拌工程を実行することにより、一定時間排水した後、凝集物が集まって浮くとき、水を再び撹拌して、凝集物を終始水と混合させる。凝集物が排水過程で水面に集まるのを防止し、凝集槽の清浄度を高める。
【0058】
本実施例において、排水量が設定量Qの倍に達するたびに、凝集槽の水位を測定する必要がある。測定値が0であるとき、凝集槽は空であり、凝集槽の自動洗浄過程が終了し;そうでなければ、撹拌工程を開始する。これにより、凝集槽がすでに空になった後も、凝集槽が依然として撹拌工程を実行するのを防止する。その後、凝集槽中に取水して洗い流し、排出する。
【0059】
実施例6
本実施例において、前記洗濯機はさらに主制御盤、洗剤自動投入装置、水位測定装置、および衣類量取得装置を含む。前記主制御盤が洗濯プログラムを設定してから、衣類量取得装置が衣類量を取得し、端末が洗濯水量、洗剤投入量および洗濯時間などの洗濯パラメータを計算し、その後洗濯を起動する。計算量に基づいて、洗剤自動投入装置が洗剤を投入し、水位測定装置が取水量を測定する。
【0060】
図2に示すように、ユーザは衣類を投入した後、電源を起動し、ユーザが洗濯モードを選択する。ユーザが通常モードを選択した場合、洗濯機は普通の洗濯プログラムの洗濯を実行する。
ユーザが節水モードを選択した場合、節水モードの洗濯を実行する。先に衣類量を測定し、洗濯機の主制御盤が、衣類量の結果およびユーザが選択したプログラムに基づいて、取水量/目標水位および洗剤投入量(洗濯機に衣類量取得装置を有さない場合、ユーザは手動により水位/水量を選択することができる)を計算する。洗濯機は取水弁から洗濯槽に取水して洗剤を自動投入し、設定水位/水量に達すると、洗濯を開始する。洗濯プログラムは、設定した洗濯過程が完了するまで通常プログラムと一致する。この過程において、洗濯機の主制御盤は、取水量および洗剤投入量に基づいて、水を凝集処理する循環回数、および毎回の循環過程における凝集剤投入量を計算する。
【0061】
洗濯終了後、洗濯水は洗濯槽から凝集槽に排出され、さらにこの過程で凝集槽の水位を続けて測定する。撹拌水位L2に達したとき、設定時間T1の撹拌を開始し、撹拌を開始してT2後、凝集剤を投入し、続けて目標処理水位L1まで取水すると取水を停止する。このうちL1>L2;T2>T1である。撹拌終了後、静置過程に進み、これにより凝集物および処理水を層化し、T3時間計時すると、静置を終了する。処理後の水を底部から排出し、水ポンプを使用して主槽に回収する。水位測定値がL3に達すると、排水を終了し、L3は設定値である。これにより可能な限り多くの処理後の水を洗濯槽に戻して、凝集層が凝集槽内に残るのを確保し、洗濯機はすすぎを開始する。
【0062】
水の還流が終了してからすすぎを開始するまでに、給水過程を追加する。給水の目標水位は、通常プログラムにおけるすすぎ水位と一致する。すすぎの終了後、計数し、計数値が設定値、すなわち設定したすすぎ回数に達するまで、次の循環を開始する。すすぎの終了後、洗濯水を排出して、凝集槽を洗浄する。排水の終了後、ユーザが選択したプログラムに基づいて、後続の脱水および/または乾燥などのプログラムを実行する。
【0063】
凝集槽の洗浄プログラムに進み、洗浄プログラムの終了後、排水、脱水過程に進み、終了する。
【0064】
要約すると、本発明は、洗濯機の洗濯過程およびすすぎ過程を、凝集過程と組み合わせるように設置することにより、洗濯過程の終了後、洗濯水を凝集槽に流入させる。排水過程で同時に洗濯水を撹拌し、一定時間撹拌して凝集剤を投入し、さらに引き続き撹拌することにより、洗濯水を充分に浄化し、処理した洗濯水を再び洗濯槽に還流する。さらに洗濯槽内の洗濯水位を測定し、洗濯水位に達していない場合、取水弁から洗濯水位に達するまで取水してから、すすぎ過程を行う。すすぎ過程の終了後、洗濯水を凝集槽に流入させ、上記工程に応じて洗濯水を処理する。その後、洗濯槽に還流し、すすぎ回数に達すると、洗濯を終了する。
【0065】
以上の記載は、本発明の好ましい実施方式に過ぎない。当業者は、本発明の原理を逸脱しない前提で、数種の変形および改良を行うこともできるが、これも本発明の保護範囲と見なすべきであると指摘しなければならない。
【符号の説明】
【0066】
1 凝集槽
2 第1水ポンプ
3 第2水ポンプ
4 排水弁
5 撹拌ブレード
6 駆動モータ
7 ノズル
8 ベルトプーリ
図1
図2
図3
図4
図5