(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フレキシブルファブリック信号経路構造は、互いに反対側にある第1の端部及び第2の端部を有し、前記導電性接着剤は、前記第1の端部において形成され、前記カバーは、前記第2の端部において前記フレキシブルファブリック信号経路構造に結合されたコネクタを更に含み、前記電気接点は、前記コネクタの一部を形成する、請求項4に記載のカバー。
前記信号経路は、前記ファブリック上に電気めっきされた金属トレースを含み、前記電気めっきされた金属トレースは、前記ファブリックの前記開口を少なくとも部分的に貫通する金属を含む、請求項5に記載のカバー。
前記ファブリックは、織布を含み、前記金属トレースは、前記織布上に、前記キーボードと前記コネクタとの間で信号を伝達する、電気めっきされた金属トレースを含む、請求項9に記載のカバー。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、フレキシブルファブリック信号経路構造を備え得る例示的な電子機器の概略図を示す。
図1の電子デバイス10及び電子デバイス10’は、独立して動作させることもできるし、互いに結合させることもできる。デバイス10及び/又はデバイス10’などのデバイスは、ラップトップコンピュータ、組み込み型コンピュータを含むコンピュータ用モニタ、タブレットコンピュータ、携帯電話、メディアプレーヤ、又は他のハンドヘルド若しくはポータブル電子デバイスなどのコンピューティングデバイス、腕時計型デバイス、ペンダント型デバイス、ヘッドホン型若しくはイヤホン型デバイス、眼鏡に埋め込まれたデバイス若しくはユーザの頭部に装着する他の機器、又は他の着用可能な若しくはミニチュアデバイス、テレビ、組み込み型コンピュータを含まないコンピュータ用ディスプレイ、ゲーミングデバイス、ナビゲーションデバイス、ディスプレイを有する電子デバイスをキオスク若しくは自動車に搭載するシステムなどの組み込みシステム、ケース、バッグ、時計バンド、又はこれらのデバイスのうちの1つ若しくは他の機器とともに動作する他のアクセサリ、これらのデバイスのうちの2つ以上の機能を実装する機器、又は他の電子デバイスであってもよい。一例として、デバイス10は、携帯電話又はメディアプレーヤなどのポータブルデバイスであってもよく、デバイス10’は、カバー(時にケース又はエンクロージャと呼ばれる)などのアクセサリであってもよい。所望であれば、他の構成をデバイス10及び/又はデバイス10’に使用することができる。
図1の例は単なる例示に過ぎない。
【0026】
電子デバイス10は、制御回路12を有することができる。制御回路12は、デバイス10の動作をサポートするための記憶装置及び処理回路を含むことができる。記憶及び処理回路としては、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、又はソリッドステートドライブを形成するように構成された他の電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、静的又は動的なランダムアクセスメモリ)などの記憶装置を含むことができる。制御回路12内の処理回路を使用して、デバイス10の動作を制御することができる。処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ベースバンドプロセッサ、電力管理ユニット、オーディオチップ、特定用途向け集積回路などに基づき得る。
【0027】
入出力デバイス14などの、デバイス10内の入出力回路を使用して、デバイス10にデータを供給し、かつ、デバイス10から外部デバイスにデータを提供できるようにすることができる。入出力デバイス14は、ディスプレイ、ボタン、ジョイスティック、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイク及びスピーカなどの音声構成要素、音源、バイブレータ、カメラ、センサ、発光ダイオード及び他のステータスインジケータ、データポートなど、を含むことができる。デバイス14内の無線回路は、無線周波数無線信号を送受信するために使用することができる。無線回路は、無線ローカルエリアネットワーク帯域、セルラー電話帯域、及び他の無線通信帯域で動作する、アンテナ並びに無線周波数送受信機を含むことができる。
【0028】
ユーザは、入出力デバイス14を通じてコマンドを供給することによってデバイス10の動作を制御することができ、入出力デバイス14の出力リソースを使用してデバイス10からステータス情報及び他の出力を受信することができる。制御回路12を用いて、オペレーティングシステムコード及びアプリケーションなどのソフトウェアを、デバイス10上で実行することができる。デバイス10の動作中、制御回路12上で実行されるソフトウェアは、入出力デバイス14を使用してユーザ入力及び他の入力を収集し、ユーザに視覚出力、音声出力、及び他の出力を提供することができる。
【0029】
デバイス10’は、デバイス10と同じ回路を含むことができ、及び/又は異なる回路を含むことができる。デバイス10及び10’は、それぞれの接続16及び16’と、経路18などの信号経路とを含むことができる。接続16及び16’は、はんだ、導電性接着剤、溶接、コネクタ、並びに/又は電気的及び/若しくは機械的構造を形成するための他の構造を使用して、形成してもよい。経路18は、デバイス10と10’との間で入出力情報を共有するために使用することができる。経路18などの経路の一部は、デバイス10及び/又は10’に含まれてもよい。
【0030】
デバイス10及び10’などデバイスは、一緒に使用することができる。例えば、デバイス10’内の入出力デバイスの入力リソースを使用して、ユーザからの入力を収集することができる。次いで、このユーザ入力を、信号経路18を介してデバイス10に伝送して、デバイス10の動作を制御する際に使用することができる。例えば、デバイス10’がキーボードを含む場合、ユーザは、デバイス10’へのキープレス入力を、経路18(例えば、デバイス10’とは別個の、及び/又はデバイス10’内に含まれる経路)を介して伝送して、デバイス10に供給することができる。デバイス10はまた、デバイス10’のリソースを使用してユーザに出力を提供することもできる。例えば、デバイス10は、特定の発光ダイオード又は他のステータスインジケータをオン又はオフにするようデバイス10’に命令する、又は他の視覚及び/若しくは音声出力をユーザに提供するようデバイス10’に命令する出力を、経路18を介してデバイス10’に供給することができる。
【0031】
デバイス10と10’との間の経路18などの信号経路、並びにデバイス10及び10’の内部に含まれる経路18などの信号経路の一部は、フレキシブルファブリック層から形成することができる。これらのファブリック層は、デバイス10及び/又は10’を構成する構造内での曲がり(例えば、小さな曲がり)に適応し、信号経路を隠すのを容易にすることができる(例えば、薄くフレキシブルな外側筐体を有することで、デバイスの美観を向上する)。
【0032】
図2に、フレキシブルファブリック信号経路を備え得るタイプの例示的なデバイスの斜視図を示す。
図2に示すように、デバイス10’は、タブレットコンピュータ又は他のコンピューティングデバイスなどの電子デバイスを保護するために使用できるフレキシブルカバーであってもよい。デバイス10’(本明細書では、時にカバー10’と呼ばれる)は、本体20を備え得る。本体20は、プラスチック、ファブリック、ポリマー層に埋め込まれたマイクロファイバー、又は他の好適な材料から形成された表面を有することができる。例えば、本体20の一方の側面(例えば、カバー10’がデバイス10周りで閉じられているときの本体20の外側)はポリマーのシートから形成されてもよく、本体20の他方の側面(例えば、本体20の内面)はマイクロファイバー層から形成されてもよい。
【0033】
カバー10’は、キーボード26、タッチ及び/若しくは力入力を収集するタッチパッド(トラックパッド)、並びに/又は他の入出力デバイスなどの入出力構成要素を含むことができる。キーボード26はキー28を含むことができる。キーボード26は、カバー10’の下部20Aに取り付けられてもよい。カバー10’の上部20Bは、セクション22などの折り畳み可能部(水平片)を含むことができる。セクション22は、曲げ軸24などの1つ以上の曲げ軸周りを曲がることができる。
【0034】
上部20Bは、コネクタ16’などのコネクタを有することができる。コネクタ16’は、デバイス10に関連付けられたコネクタ16などのコネクタと(すなわち、デバイス10がカバー10’と嵌合するときに)嵌合することができる。コネクタ16’は、コネクタ16内の対応するコネクタ接点に結合するための電気的接触を含むことができる。これらのコンタクトは、キーボード26などの、下部20A内の電気構成要素(例えば、キーボード26内のキー28の操作中にキーストローク情報を収集する1つ以上の集積回路)に電気的に結合されてもよい。
【0035】
曲げ軸24周りでの筐体20の曲げに適応するため、筐体20は、セクション22間の境界に沿って(すなわち、軸24に沿って)フレキシブルヒンジ部を備えることができる。コネクタ16’をキーボード26内の回路に結合するための信号経路は、軸24を横切って延在することができる(すなわち、信号経路は、コネクタ16’とキーボード26との間で延びるように、各軸24を直角に横切ることができる)。信号経路が曲げ軸24と重なるため、信号経路は、好ましくはフレキシブルな信号経路構造から形成される。1つの好適な構成では、フレキシブルな信号経路構造は、フレキシブルファブリック基材上に金属トレースを有するか、フレキシブルファブリック基材の一部として形成された導電性ストランド材料を有する、フレキシブルファブリック信号経路構造から形成することができる。
【0036】
カバー10’及びデバイス10などの関連デバイスの側面断面図を、
図3に示す。
図3に示すように、カバー10’は、曲げ軸24に沿って折り畳まれて、デバイス10用のスタンドを形成することができる。デバイス10は、筐体30などの筐体、及び筐体30に取り付けられたディスプレイ32などのディスプレイを有することができる。カバー10’は、ユーザがキーボード26上でタイピングしている間に、ユーザがディスプレイ32を容易に見ることができる位置にデバイス10を支持することができる。デバイス10がカバー10’によって支持されているときに、デバイス10のコネクタ16は、カバー10’のコネクタ16’と嵌合することができる。カバー10’は、軸24、及び/又はカバー10’の幅に広がる他の曲げ軸などの軸に沿って、曲がることができる。
【0037】
図4のカバー10’の例示的な側面断面図に示すように、カバー10’は、繊維ガラス補強材34などの補強材(例えば、硬い矩形パネル材料)を有してもよい。フレキシブルファブリック信号経路構造36は、コネクタ16’とプリント回路38との間で結合された端部36Eを有することができる。プリント回路38は、本体20の下部本体部20Aに配置されてもよく、キーボード26の動作を制御するための回路(例えば、キースイッチ、集積回路、信号トレースなど)を含むことができる。フレキシブルファブリック信号経路構造36は、曲げ軸24に沿ってヒンジとして働く、本体20の局所的に薄くされた部分に広がってもよい。
【0038】
ファブリック構造36は、1つ以上の信号経路を含むことができる。構造36が複数の信号経路を含む構成では、信号経路は、ファブリック構造36の長さに沿って(すなわち、コネクタ16’とプリント回路38との間に)延在する一連の平行な金属トレースから形成され得て、信号バスとして働く。アナログ及び/又はデジタル信号は、このタイプの信号バスに沿って伝送することができる。ファブリック構造36上の信号バスには、任意の好適な数の金属線があってもよい(例えば、1より多い、2、3、3以上、4以上、10以上、10〜20、10〜100、50よりも多い、200未満、5未満、又は他の好適な数)。
【0039】
フレキシブルファブリック構造36上の金属トレースから形成された例示的な3線信号バスの斜視図を、
図5に示す。
図5に示すように、ファブリック構造36は、基材40及び金属トレース42などのファブリック基材を有してもよい。
図5には3つの金属トレース42があるが、所望であれば、より多くの金属トレース42又はより少ない金属トレース42を形成することができる。例示的な曲げ軸24によって示されるように、金属トレース42は、曲げ軸24に垂直に延在し、かつ曲げ軸24に(及び所望であれば、複数の曲げ軸24)に重なる、細長いトレースであってもよい。所望であれば、金属トレース42は、曲げ軸24と他の角度で交差する部分を含んでもよく、曲げ軸24と平行に延在する部分などを含んでもよい。
【0040】
トレース42は、任意の好適なデジタル信号及び/又はアナログ信号を取り扱うために使用されてもよい。1つの好適な構成では、
図5の3つのトレース42のうちの最も中央のものがデータトレースであってもよく、中央トレースの左右横側に位置する外側トレースは接地トレースであってもよい(一例として)。中央トレースは幅W4を有し得て、外側トレースはそれぞれ幅W6及びW2を有し得る。ファブリック基材40のうちのトレースのない部分は、それぞれW7、W5、W3、及びW1の幅を有し得る。W1、W2、W3、W4、W5、W6、及びW7の値は、0.1mm〜100mmであってもよく、0.5cm〜3cmであってもよく、0.5〜10cmであってもよく、0.3cmよりも大きい値であってもよく、0.5cmより大きい値であってもよく、1cmより大きい値であってもよく、1〜4cmであってもよく、1〜10cmであってもよく、2cmより大きい値であってもよく、10cm未満であってもよく、5cm未満であってもよく、2cm未満であってもよく、又は任意の他の好適な幅であってもよい。トレース42に対して比較的広いトレース幅を使用すれば、トレース抵抗を下げるのに役立てることができる。カバー10’の回路が広帯域の信号経路を介してデバイス10と通信する必要がない(例えば、キーストロークデータ及び同様の低帯域幅のデータのみが、カバー10’からデバイス10へ転送される場合)シナリオでは、多数のトレースを使用する必要はない。
【0041】
基材40用のファブリックは、
図6のストランド44などの織り込まれたストランド材料から形成することができる。ストランド44は、ポリマーなどの誘電材料、及び/又は金属などの導電性材料から形成することができる。例えば、ストランド44は、金属(例えば金属ワイヤ)から形成されてもよく、ポリマーから形成されてもよく、金属コーティングされたポリマーから形成されてもよく、絶縁コーティングされてもよく、若しくは絶縁コーティングされなくてもよく、モノフィラメントから形成されてもよく、織り込まれてマルチフィラメントストランドを形成する複数のフィラメントから形成されてもよく、及び/又は他の好適な材料のストランド材料から形成されてもよい。ストランド44は、金属又は他の添加材料の堆積を選択的に防止するレジスト印刷技術を使用して処理することができ、(例えば、金属を除去するために)選択的にエッチングすることができ、金属エッチング剤を選択的に活性化することによってエッチングすることができ、金属又は他の材料の堆積を制御するように触媒を選択的に活性化するよう処理することができ、又は他の処理技術を使用して処理することができる。ストランド44は、編成技術を使用して、編布技術を使用して、編組技術を使用して、及び/又は他の繊維織り込み技術(例えば、フェルト製造技術)を使用して、織り込まれて基材40を形成することができる。
図6の例では、ファブリック40は、垂直のストランド材料と、織り込まれた水平ストランド材料とを有する。垂直ストランド材料は縦糸繊維であってもよく、水平ストランド材料は横糸繊維であってもよい(一例として)。ファブリック40は、平織り、バスケット織り、リップストップ構造(例えば、強度を高められたストランド材料が通常強度のストランドに散在して、破れの伝播を防止するのに役立つ、強化ファブリック構造)を有する織布であってもよい。1つの好適な構成では、ファブリック基材40はナイロンリップストップ織布である。所望であれば、基材40を形成する際に、他のタイプのファブリックを使用することができる。
【0042】
ファブリック構造36の導電性信号経路は、ファブリック40内の導電性ストランド材料から、ファブリック40の一部上にコーティングされた金属から、又は他の好適な導電性経路から形成することができる。
【0043】
図7は、ファブリック基材40上に金属を堆積させてパターニングすることによって金属トレース42が形成された、例示的な構成のファブリック構造36の側面断面図である。
図7の例では、ファブリック40は、金属層46が基材40上に堆積されたときに内側金属層46の一部を受け容れる開口47(例えば、ストランド44などのストランド材料間の開口)を有する。開口47の存在により、金属層46はファブリック40を貫通することができる。金属層47はファブリック40の一方の面に形成されてもよく、又は金属層47はファブリック40の上面及び反対側の下面の両方をコーティングしてもよい。
【0044】
金属トレース42は、堆積した金属のパターニングされた部分から形成されてもよい。ファブリック40上の金属層は、1つ以上の層(例えば、異なる堆積技術を使用して、及び/又は異なる元素若しくは合金金属を使用して形成された層46、48、及び50などの層)を有することができる。一例として、内側金属層46は、無電解銅又は無電解ニッケルなどの高導電性金属から形成することができる。層48及び50などの1つ以上の付加的な層は、ファブリック36の片面又は両面に(例えば、層46の上面及び/又は底面に)堆積させることができる。付加的な層(単数又は複数)を使用して、層46を保護するのに役立て、及び/又は付加的な望ましい品質(強度、低抵抗、接着性、酸化保護、はんだ相溶性など)を提供することができる。一つの例示的な構成では、層48及び/又は50は、無電解若しくは電解めっきされた銀、並びに/又は銅若しくはスズなどの他の無電解及び/又は電解めっきされた金属などの、高導電性を有する材料から形成されてもよい。任意選択的な層50(例えば、ニッケル層)が金属トレース42の最外層であってもよく、トレース42とのはんだ相溶性を助けるか、又は省略されてもよい(この場合、層48が最も外側の金属層として働く)。
図7に示す例示的な構造は、ファブリック40の上面及び下面の両方の上にある金属トレース42についての金属トレース層を含む。これは単なる例示に過ぎない。金属層46、48及び/又は50などのファブリック40上の金属の一部又は全部は、ファブリック40の一方の側にのみ配置されてもよい(すなわち、構造36は、その互いに反対側にある2つの表面のうちの一方の上に、主に又は専ら形成された金属トレース42を含むことができる)。
【0045】
信頼性を高めるために、ファブリック基材40内のストランド材料を、曲げ軸24に対してゼロ度以外の角度(例えば、ゼロ度以外の鋭角)で配向させることが望ましい場合がある。
図8の例に示すように、ストランド44は、曲げ軸24に対してゼロ度以外の角度Aで配向されてもよい。角度Aは、例えば、3°、0〜10°、1〜10°、2°よりも大きい角度、20°未満、又は他の好適な角度であり得る。トレース42はまた、局所的に広げられて、曲げに適応するのに役立てられてもよい。例えば、
図9に示すように、トレース42は、トレース42が曲げ軸24と重なる場所で広げられて、クラック誘発開回路を防止するのに役立てることができる。
図10は、ファブリック40が曲げ軸24と重なる局所領域52などの局所領域を除いて、ストランド44がどのようにして曲げ軸24に平行(又は垂直)に延在し得るかを示す。
図8を参照して説明したように、領域52では、ストランド44を曲げ軸24に対してゼロ度以外の角度Aで配向させることができる。
【0046】
図11に示すように、構造36の信号経路(金属経路42)は、導電性の金属ストランド(ストランド44C)から形成することができる。絶縁ファイバ44Iは、異なる経路42間の短絡を防止することができる。導電性ストランド44Cは、裸の金属ワイヤであってもよく、金属(及び任意選択的に、デバイス10及び/又は10’内の回路との接続を形成するときに選択的に除去し得る外部絶縁コーティング)でコーティングされたポリマーストランドであってもよい。
【0047】
図12は、ファブリック構造36を含むデバイス(例えば、カバー10’)を形成する際に使用され得る構造の例示的な側面図である。
図12に示すように、コネクタ16’は、フレキシブルプリント回路54(例えば、コネクタ16’がはんだ付けされ得る金属相互接続トレースを含むプリント回路)及び(プリント回路54のトレースをファブリック構造36に結合し得る)導電性感圧接着剤56などの構造を使用して、ファブリック構造36に結合され得る。
【0048】
キーボード26は、構造36の端部のうちの1つにおいてファブリック構造36に結合されてもよい。キーボード26は、プリント回路38を含んでもよい。集積回路66及び/又は他の回路は、プリント回路38上に取り付けられて、キーボード26を制御するための制御回路として働くことができる。プリント回路38上の集積回路66及び/又は他の制御回路は、キーボード26内のキーからキーストロークデータを収集し、プリント回路相互接続64、ファブリック構造36内の金属トレース42、及びコネクタ16’を介して、この情報をデバイス10に通信することができる。
【0049】
キーボード26用のキーは、プリント回路38の上面に取り付けられたキースイッチ68のアレイから形成することができる。プラスチックキーウェブ72は、キーキャップ70を受け入れる開口を有してもよい。キーキャップ70は、それぞれのキースイッチ68に位置合わせされて、キーボード26のキーを形成することができる。ファブリックカバー74又は他のカバー材料を使用して、キーボード26の外面を覆うことができる。プリント回路38は、接着剤層58を使用して、ファブリック構造36内の金属トレース42に結合することができる。接着剤層58は、非導電性(絶縁性)接着剤60によって囲まれた導電性接着剤62を含むことができる。
図13は、導電性接着剤62がどのようにしてファブリック40上で矩形領域を形成し得るかを示す、ファブリック構造36の上面図である。導電性接着剤62は、トレース42の端部と重なり、絶縁性接着剤60によって囲まれてもよい。
【0050】
図14は、構造36がどのようにしてプリント回路38に結合され得るかを示す。プリント回路38は、プリント回路38内のトレース64に短絡された金属コンタクトパッド64Pを有することができる。ファブリック構造36はファブリック基材40を含むことができる。金属トレース42は基材40上に形成することができる。薄い絶縁体コーティング(すなわち、薄い絶縁性ポリマー保護層)が、基材40及び金属トレース42の表面を覆うことができる。導電性接着剤62は、矩形又は他の好適な形状(例えば、
図13の導電性接着剤62を参照)でパターニングされて、金属トレース42の端部に重なることができる。絶縁性接着剤60は、導電性接着剤62の各矩形を囲むことができる。プリント回路38及びファブリック構造36が一緒にプレスされると、接着剤62中の金属粒子62Pがコーティング76を貫通し、トレース42に短絡させることができる。金属粒子62Pはまた、パッド64Pに電気接続を形成して、それによってトレース42をパッド62Pに短絡し、プリント回路38をファブリック構造36に電気的に結合することができる。
【0051】
所望であれば、
図15に示すタイプのインターロック構造のセットを使用して、ファブリック構造36をプリント回路38に固定するのに役立てることができる。プリント回路38(又はファブリック構造36を取り付けることが望ましい他の構造)は凹部を備え、クランプ構造78は嵌合用突起を備えることができる。構造78が構造38に取り付けられるときに、構造78上の突起は、ファブリック構造36の一部をプリント回路38の嵌合用凹部内に保持し、それによって構造36及びプリント回路38を取り付けるのに役立てることができる。所望であれば、
図15に示すタイプの構成を、
図14の導電性接着剤構造とともに使用することができる。ファブリック構造36を、プリント回路38及び/又はカバー10’内の他の回路に固定する際に、他のタイプのクランプ、クリップ、締め具、接着剤、及び取り付け構造を使用することもできる。
図15の例は単なる例示に過ぎない。
【0052】
図16に示すように、電子構成要素80などの構成要素をファブリック構造36に取り付けることができる。例えば、構成要素80上の接点を、はんだ又は導電性接着剤を使用して構造36内の金属トレース42に結合することができる。構成要素80は、入出力デバイス及び/又は制御回路(例えば、集積回路、並びに
図1の回路12及びデバイス14を参照して説明したタイプの他の構成要素)を含むことができる。構成要素80及び構造36は、本体20内に封入することができる。
図16の平面繊維ガラス部材34などの任意の補強部材を使用して、構成要素80の近傍でのファブリック36の曲がりを防止し、それによって構成要素80がファブリック36から外れてしまいかねないリスクを低減するのに役立てることができる。
【0053】
ファブリック構造36を形成する際に伴われる例示的な操作を、
図17に示す。ファブリック基材40は、ポリマーストランド材料(例えば、ナイロン)、又は他の好適な材料から形成することができる。これらのストランドは一緒に織られてもよく、又は編組技術、編布技術、若しくは他の繊維織り込み技術を使用して織り込まれてもよい。
【0054】
基材40は、化学的、光、機械的処理(例えば、磨耗)、又は他の前処理操作を使用して、ステップ100において前処理されて、基材40が電気めっき触媒材料を適用するために準備され得る。
【0055】
ステップ102では、触媒(例えば、金属シード層)をファブリック基材層40に適用することができる(例えば、物理蒸着又は他の堆積技術を使用して)。
【0056】
ステップ104では、金属電気めっき操作又は他の適切な金属成長操作を使用して、基材40の片面又は両面に1つ以上の金属層を堆積させることができる。
図7を参照して説明したように、例えば、電気めっき技術を使用して、基材40上に金属層46、48、及び50を形成することができる。金属46の一部は、ファブリック40内のストランド材料44間の空間を貫通することができる(例えば、金属46の一部が貫通している
図7の開口47を参照)。
【0057】
ステップ106では、ファブリック40上に堆積した金属層(単数又は複数)から形成されているブランケット金属膜がパターニングされて、金属トレース42を形成することができる。1つの好適な構成では、ポリマー層などのマスキング層を金属層の上部に堆積してパターニングすることができる。ポリマーは、スクリーン印刷を使用して、インクジェット印刷を使用して、ブランケット堆積とそれに続く露光及び現像(例えば、ポリマーはフォトリソグラフィ技術を使用してパターニングされたフォトレジストであってもよい)を使用して、又はパターニングされたマスクを形成するための他の技術を使用して、堆積しパターニングすることができる。ポリマーマスクの形成に続いて、湿式及び/又は乾式金属エッチングプロセスを使用して、堆積した金属の望ましくない部分を除去し、それによってパターニングされた金属トレース42を形成することができる。次いで、ポリマーマスクをはがすことができる。所望であれば、薄い絶縁体層を、環境保護のためにトレース上に堆積させることができる(例えば、
図14の層76を参照)。
【0058】
図18に示すように、所望であれば、電気めっき触媒をパターニングすることによって、金属トレースパターニングを実現することができる。
【0059】
ステップ108では、触媒(例えば、金属シード層)を、ファブリック基材40上に所望のパターンで堆積させることができる(例えば、シャドーマスクを通じた物理蒸着を使用して、インクジェット印刷又はスクリーン印刷を使用して、ブランケット膜堆積とこれに続くフォトリソグラフィパターニングを使用して、など)。
【0060】
ステップ110では、電気めっき操作を行って、
図7の層46、48、及び50などの金属層(単数又は複数)を成長させることができる。これらの金属層は、触媒が存在する領域で選択的に成長し、触媒が存在しない場所では成長せず、それによってパターニングされた金属トレース42を形成する。
【0061】
図14の層76などの環境保護層は、ステップ112にて、金属トレース42上に形成することができる。
【0062】
所望であれば、ファブリック構造36について所望のパターンの金属トレース42を形成する際に、他のパターニング技術(金属ペイントのスクリーン印刷及び/又はインクジェット印刷、吹き付け、滴下など)を使用することができる。
図17及び
図18の技術は、単なる例示に過ぎない。
【0063】
一実施形態によれば、ファブリック基材と、複数の平行な金属トレースを形成するようにパターニングされたファブリック基材上の金属層と、を備える、電子デバイス内の信号を伝送するためのフレキシブルファブリック信号経路構造が提供される。
【0064】
別の実施形態によれば、ファブリック基材は織布層を含む。
【0065】
別の実施形態によれば、織布層は、ポリマーストランド材料を含む。
【0066】
別の実施形態によれば、ポリマーストランド材料は、ナイロンを含む。
【0067】
別の実施形態によれば、金属層は、異なる金属の複数の金属層を含む。
【0068】
別の実施形態によれば、金属層は、第1の金属層と、第1の金属層上の第2の金属層と、を含む。
【0069】
別の実施形態によれば、第1の金属層は、銅及びニッケルからなるグループから選択される金属を含む。
【0070】
別の実施形態によれば、第2の層は、銀、銅、及びスズからなるグループから選択される材料を含む。
【0071】
別の実施形態によれば、金属層は、無電解金属及び電解質めっきされた金属からなるグループから選択される複数の金属層を含む。
【0072】
別の実施形態によれば、金属トレースの幅は0.5cmよりも大きい。
【0073】
一実施形態によれば、少なくとも1つの曲げ軸周りで曲がることを可能とするヒンジ部を有する本体と、曲げ軸と重なり、かつ、曲げ軸を横切って信号を伝える信号経路を有する、本体内のフレキシブルファブリック信号経路構造と、を備える、電子デバイス用カバーが提供される。
【0074】
別の実施形態によれば、カバーは、金属パッドを有するプリント回路と、フレキシブルファブリック信号経路構造上の信号経路とプリント回路との間に挟まれて信号経路をプリント回路上の金属パッドに電気的に結合する導電性接着剤と、を含む。
【0075】
別の実施形態によれば、カバーは、導電性接着剤を囲む絶縁性接着剤を含む。
【0076】
別の実施形態によれば、カバーは、キーボードの一部を形成するプリント回路上に取り付けられたキースイッチを含む。
【0077】
別の実施形態によれば、フレキシブルファブリック信号経路構造は、互いに反対側にある第1の端部及び第2の端部を有し、導電性接着剤は第1の端部において形成され、カバーは第2の端部においてフレキシブルファブリック信号経路構造に結合されたコネクタを更に含む。
【0078】
別の実施形態によれば、信号経路は導電性ストランド材料を含み、フレキシブルファブリック信号経路構造は、ストランド材料を含むファブリック層を含む。
【0079】
別の実施形態によれば、フレキシブルファブリック信号経路構造はファブリック基材を有し、信号経路はファブリック基材上に金属トレースを含む。
【0080】
別の実施形態によれば、金属トレースは電気めっきされた金属を含む。
【0081】
別の実施形態によれば、金属トレースは曲げ軸に垂直に延在し、ファブリック基材は曲げ軸から1〜10°のゼロ度以外の角度で配向されたストランド材料を含む。
【0082】
一実施形態によれば、互いに反対側にある第1の端部及び第2の端部を有し、かつ、第1及び第2の端部間の位置にて曲げ軸周りで曲がることを可能とするヒンジ部を有する、本体と、プリント回路を有するキーボードと、コネクタと、第1にてキーボードに結合され、かつ、第2の端部にてコネクタに結合された金属トレースを有する、本体内のフレキシブルファブリック信号経路構造と、を備える、タブレットコンピュータ用カバーが提供される。
【0083】
別の実施形態によれば、フレキシブルファブリック信号経路構造は、キーボードとコネクタとの間で信号を伝える、電気めっきされた金属トレースでコーティングされた織布を含む。
【0084】
別の実施形態によれば、金属トレースの幅は0.5cmよりも大きい。
【0085】
前述の内容は単なる例示に過ぎず、説明した実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者によって種々の修正を行うことができる。前述の実施形態は、個々に、又は任意の組み合わせで実施することができる。