特許第6802277号(P6802277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802277
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】改善されたイオン源のカソードシールド
(51)【国際特許分類】
   H01J 27/08 20060101AFI20201207BHJP
   H01J 37/08 20060101ALI20201207BHJP
   H01J 27/04 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H01J27/08
   H01J37/08
   H01J27/04
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-534154(P2018-534154)
(86)(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公表番号】特表2019-505960(P2019-505960A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】US2017014106
(87)【国際公開番号】WO2017127525
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2019年12月10日
(31)【優先権主張番号】62/280,567
(32)【優先日】2016年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】コルヴィン,ニール
(72)【発明者】
【氏名】シェ,ツェ−ジェン
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァースタイン,ポール
【審査官】 関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−324050(JP,A)
【文献】 特開2007−214033(JP,A)
【文献】 特表2004−501486(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0230713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J27/00−27/26
37/04
37/06−37/08
37/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン源のためのカソードシールドであって、
本体と、
上記本体の第1端部に関連付けられた第1ガスコンダクタンスリミッタと、
上記本体の第2端部に関連付けられた第2ガスコンダクタンスリミッタと、を備えており、
上記本体は、概ね円筒状であり、かつ、当該本体を貫くように規定された軸方向の穴を有しており、
上記軸方向の穴は、電極に当該軸方向の穴を通らせるように構成されており、
上記第1ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の第1外径から半径方向に外向きに延びており、
上記第1ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の上記第1端部から当該本体の上記第2端部に向かって軸方向に延びているU字形リップを含み、
上記第2ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の上記第1外径から半径方向に内向きに延びており、
上記第2ガスコンダクタンスリミッタは、シールを受容するように構成された表面を有しており、
上記表面は、上記シールの少なくとも一部を概ね囲むように構成されている、カソードシールド。
【請求項2】
上記U字形リップは、上記イオン源のライナ内の凹部と係合するように構成されており、
ギャップが、上記U字形リップと上記ライナとの間に規定されており、
上記U字形リップは、上記ギャップ内に侵入するガスのコンダクタンスを実質的に低下させる、請求項1に記載のカソードシールド。
【請求項3】
上記ギャップは、上記カソードシールドとアークチャンバ本体内の穴との間に、さらに規定されている、請求項2に記載のカソードシールド。
【請求項4】
上記第2ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の第2外径によって概ね規定されるラビリンスシールを含み、
上記シールは、ボロンナイトライドシールを含み、
上記ラビリンスシールは、上記ボロンナイトライドシールを受容するように構成されている、請求項1に記載のカソードシールド。
【請求項5】
上記ラビリンスシールは、
上記ラビリンスシールに関連付けられたエリア内に侵入する腐食性ガスのガスコンダクタンスを低下させることにより、
上記ボロンナイトライドシールに関連付けられたシール面を、上記イオン源に関連付けられた上記腐食性ガスから概ね保護する、請求項4に記載のカソードシールド。
【請求項6】
イオン源のためのアークチャンバであって、
アークチャンバ本体と、
上記アークチャンバ本体の内部領域へと延びている電極と、
カソードシールドと、
上記アークチャンバ本体に関連付けられたライナと、を備えており、
上記カソードシールドは、
本体と、
上記本体の第1端部に関連付けられた第1ガスコンダクタンスリミッタと、を備えており、
上記本体の第2端部に関連付けられた第2ガスコンダクタンスリミッタと、
上記本体は、概ね円筒状であり、かつ、当該本体を貫くように規定された軸方向の穴を有しており、
上記軸方向の穴は、上記電極に当該軸方向の穴を通らせるように構成されており、
上記第1ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の第1外径から半径方向に外向きに延びており、
上記第1ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の上記第1端部から当該本体の上記第2端部に向かって軸方向に延びているU字形リップを含み、
上記第2ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の上記第1外径から半径方向に内向きに延びており、
上記第2ガスコンダクタンスリミッタは、シールを受容するように構成された表面を有しており、
上記表面は、上記シールの少なくとも一部を概ね囲むように構成されており、
上記ライナは、開口を有しており、
上記開口は、上記カソードシールドに当該開口を通らせるように構成されており、
上記ライナは、当該ライナの内部に規定された凹部を有しており、
ギャップが、上記U字形リップと上記ライナとの間に規定されており、
上記U字形リップは、上記ギャップ内に侵入するガスのコンダクタンスを実質的に低下させる、アークチャンバ。
【請求項7】
上記ギャップは、上記カソードシールドとアークチャンバ本体内の穴との間に、さらに規定されている、請求項6に記載のアークチャンバ。
【請求項8】
上記第2ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の第2外径によって規定されるラビリンスシールを含んでいる、請求項7に記載のアークチャンバ。
【請求項9】
上記シールは、上記ラビリンスシールと上記アークチャンバ本体との間に配置されたボロンナイトライドシールを含み、
上記ボロンナイトライドシールは、上記電極を上記アークチャンバ本体から電気的に絶縁する、請求項8に記載のアークチャンバ。
【請求項10】
上記ラビリンスシールは、
上記ラビリンスシールに関連付けられたエリア内に侵入する腐食性ガスのガスコンダクタンスを低下させることにより、
上記ボロンナイトライドシールに関連付けられたシール面を、上記イオン源に関連付けられた上記腐食性ガスから概ね保護する、請求項9に記載のアークチャンバ。
【請求項11】
イオン源であって、
アークチャンバ本体を有するアークチャンバと、
上記アークチャンバ本体の内部領域へと延びている電極と、
カソードシールドと、
上記アークチャンバ本体の上記内部領域へとガスを導入するように構成されたガス源と、
上記アークチャンバ本体に関連付けられたライナと、を備えており、
上記カソードシールドは、
本体と、
上記本体の第1端部に関連付けられた第1ガスコンダクタンスリミッタと、
上記本体の第2端部に関連付けられた第2ガスコンダクタンスリミッタと、を備えており、
上記本体は、概ね円筒状であり、かつ、当該本体を貫くように規定された軸方向の穴を有しており、
上記軸方向の穴は、上記電極に当該軸方向の穴を通らせるように構成されており、
上記第1ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の第1外径から半径方向に外向きに延びており、
上記第1ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の上記第1端部から当該本体の上記第2端部に向かって軸方向に延びているU字形リップを含み、
上記第2ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の上記第1外径から半径方向に内向きに延びており、
上記第2ガスコンダクタンスリミッタは、シールを受容するように構成された表面を有しており、
上記表面は、上記シールの少なくとも一部を概ね囲むように構成されており、
上記ライナは、開口を有しており、
上記開口は、上記カソードシールドに当該開口を通らせるように構成されており、
上記ライナは、当該ライナの内部に規定された凹部を有しており、
ギャップが、上記U字形リップと上記ライナとの間に規定されており、
上記U字形リップは、上記ギャップ内に侵入するガスのコンダクタンスを実質的に低下させる、イオン源。
【請求項12】
上記ギャップは、上記カソードシールドとアークチャンバ本体内の穴との間に、さらに規定されている、請求項11に記載のイオン源。
【請求項13】
上記第2ガスコンダクタンスリミッタは、上記本体の第2外径によって規定されるラビリンスシールを含んでいる、請求項12に記載のイオン源。
【請求項14】
上記シールは、上記ラビリンスシールと上記アークチャンバ本体との間に配置されたボロンナイトライドシールを含み、
上記ボロンナイトライドシールは、上記電極を上記アークチャンバ本体から電気的に絶縁する、請求項13に記載のイオン源。
【請求項15】
上記ラビリンスシールは、
上記ラビリンスシールに関連付けられたエリア内に侵入する腐食性ガスのガスコンダクタンスを低下させることにより、
上記ボロンナイトライドシールに関連付けられたシール面を、上記イオン源に関連付けられた上記腐食性ガスから概ね保護する、請求項14に記載のイオン源。
【請求項16】
リペラと、
アークスリットと、をさらに備えた、請求項11に記載のイオン源。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本願は、「改善されたイオン源のカソードシールド」(INPROVED ION SOURCE CATHODE SHIELD)というタイトルが付された米国仮出願No.62/280,567(2016年1月19日出願)の利益を主張する。当該出願の全体の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔分野〕
本発明は、一般的にはイオン注入システムに関し、より具体的には、イオン源のカソード(陰極)のための改善されたシールドに関する。当該シールドは、ボロンナイトライドシール(窒化ホウ素のシール)(boron nitride seal)の寿命を改善し、その結果、イオン源からのガスの漏出を概ね防止できる。
【0003】
〔背景〕
半導体デバイスの製造において、イオン注入は、半導体に不純物をドープ(ドーピング)するために用いられている。多くの場合、イオン注入システムは、集積回路の製造時に、(i)n型材料またはp型材料のドーピングを生じさせるために、または、(ii)パッシベーション層を形成するために、イオンビームに由来するイオンによってワークピース(例:半導体ウェハ)をドープすることを目的として使用される。多くの場合、集積回路の製造時に、半導体材料を生成するために、所定のエネルギーレベルで、かつ、制御された濃度によって、ウェハに特定のドーパント材料の不純物を選択に注入するために、このようなビーム処理が利用される。イオン注入システムが半導体ウェハをドーピングするために使用される場合、イオン注入システムは、所望の外因性材料(extrinsic material)を生成するために、ワークピースの内部に選択されたイオン種を注入する。アンチモン、砒素、またはリン等のソース材料に由来して生成されたイオンを注入することにより、例えば「n型」の外因性材料のウェハが得られる。一方、多くの場合、「p型」の外因性材料のウェハは、ボロン(ホウ素)、ガリウム、またはインジウム等のソース材料を用いて生成されたイオンから得られる。
【0004】
一般的なイオン注入器は、イオン源(イオンソース)、イオン引出(抽出)(extraction)装置、質量分析装置、ビーム輸送装置、およびウェハ処理装置を含む。イオン源は、所望の原子または分子のドーパント種のイオンを生成する。これらのイオンは、引出システムによって上記ソースから引き出される。当該引出システムは、一般的には電極のセットである。当該引出システムは、ソースから来たイオン流(flow of ions)にエネルギーを与え、かつ、当該イオン流を方向付けることにより、イオンビームを形成する。質量分析装置において、イオンビームから所望のイオンが分離される。当該質量分析装置は、一般的には、引き出されたイオンビームに対して質量分散または質量分離を行う磁気ダイポール(双極子)である。イオン輸送装置は、一般的には、一連の焦点調整(合焦)(focusing)装置を含む真空システムである。当該イオン輸送装置は、イオンビームの所望の特性を維持しつつ、ウェハ処理装置に向けてイオンビームを輸送する。最終的には、半導体ウェハは、ウェハハンドリングシステムを用いて、ウェハ処理装置の内外へと輸送される。当該ウェハハンドリングシステムは、処理予定のウェハをイオンビームの前面に配置し、かつ、処理後のウェハをイオン注入器から取り出すために、1つ以上のロボットアームを含んでいてもよい。
【0005】
イオン源(一般的には、アークイオン源とも称される)は、イオン注入器において使用されるイオンビームを生成する。そして、イオン源は、イオンを生成するための加熱フィラメントカソードを含んでいてもよい。当該イオンは、ウェハ処理のために適切なイオンビームへと成形される。例えば、SferlazzoらのUS特許5,497,006は、カソードを有するイオン源を開示している。当該カソードは、ベースによって支持されており、かつ、イオン化電子(ionizing electrons)をガス閉じ込めチャンバの内部へと排出するために、当該ガス閉じ込めチャンバに対して配置されている。Sferlazzoらのカソードは、ガス閉じ込めチャンバの内部へと部分的に延びるエンドキャップを有する、導電性を有する環状のボディ(tubular conductive body)である。フィラメントは、環状のボディの内部において支持されており、かつ、電子を放出する。当該電子は、電子衝撃(electron bombardment)によってエンドキャップを加熱する。これにより、イオン化電子をガス閉じ込めチャンバの内部へと熱電子的に(thermionically)放出できる。
【0006】
従来のイオン源は、フッ素または他の揮発性を有する腐食性種等(volatile corrosive species)のガスを使用している。シールは、カソードに関連付けられている。当該カソードは、時間の結果に伴って、カソードシール(カソードのシール)の内径をエッチング(食刻)しうる。その結果、揮発性ガスが漏出し、付近の絶縁体(例:カソードアセンブリの絶縁体)にダメージを与えうる。この漏出は、イオン源の耐用寿命を低減させてしまうであろう。その結果、イオン注入器内の各部品を交換(リプレース)するために、当該イオン注入器をシャットダウン(動作停止)させることに至る。
【0007】
〔概要〕
本開示は、イオン源の寿命を増加させるためのシステムおよび装置を提供する。そこで、以下では、本発明の一部の態様についての基本的な理解を提供するために、本開示についての簡略的な概要を示す。本概要は、本発明の広範囲に亘る総括ではない。本概要は、本発明の主要な点または重要な要素を特定することを意図しているわけではないし、本発明の範囲を規定することを意図しているわけでもない。本概要の目的は、後述するより詳細な説明の序文として、簡略化された形態によって、本発明の一部のコンセプトを示すことにある。
【0008】
本開示の一態様によれば、イオン源のためのカソードシールドが提供される。カソードシールドは、本体(ボディ)を備える。本体は、概ね円筒状であり、かつ、当該本体を貫くように規定(画定)された軸方向の穴を有する。例えば、軸方向の穴は、電極(例:カソード)に当該軸方向の穴を通らせるように構成されている。さらに、第1ガスコンダクタンスリミッタは、本体の第1端部に関連付けられている。例えば、第1ガスコンダクタンスリミッタは、本体の第1外径から半径方向に外向きに延びている。第1ガスコンダクタンスリミッタは、本体の第1端部から当該本体の第2端部に向かって軸方向に延びているU字形リップ(U字形のリップ,U字形の縁)を含む。
【0009】
さらに、第2ガスコンダクタンスリミッタは、本体の第2端部に関連付けられていてもよい。第2ガスコンダクタンスリミッタは、本体の第1外径から半径方向に内向きに延びている。第2ガスコンダクタンスリミッタは、シールを受容するように構成された表面(面)を有する。例えば、表面は、シールの少なくとも一部を概ね囲むように構成されている。
【0010】
一例として、U字形リップは、イオン源のライナ内の凹部(recess)と係合(mate)するように構成されている。例えば、ギャップ(空隙)が、U字形リップとライナとの間に規定されている。U字形リップは、ギャップ内に侵入するガスのコンダクタンスを実質的に低下させる。一例として、ギャップは、カソードシールドとアークチャンバ本体内の穴との間に、さらに規定されている。
【0011】
例えば、カソードシールドの第2ガスコンダクタンスリミッタは、ラビリンスシールをさらに含んでいてもよい。ラビリンスシールは、本体の第2外径において概ね規定されている。ラビリンスシールは、ボロンナイトライドシールを受容するように構成されてよい。一例として、ラビリンスシールは、当該ラビリンスシールに関連付けられたエリア内に侵入する腐食性ガスのガスコンダクタンスを低下させることにより、ボロンナイトライドシールに関連付けられたシール面(シーリング面)を、イオン源に関連付けられた当該腐食性ガスから概ね保護する。
【0012】
別の例示的な態様では、イオン源のためのアークチャンバが提供される。例えば、アークチャンバは、(i)アークチャンバ本体と、(ii)当該アークチャンバ本体の内部領域(内側領域)(interior region)へと延びている電極と、を備える。アークチャンバは、カソードシールドをさらに備える。
【0013】
一例として、ライナは、アークチャンバ本体にさらに関連付けられている。ライナは、開口を有する。開口は、カソードシールドに当該開口を通らせるように構成されている。例えば、ライナは、当該ライナの内部に規定された凹部を有する。ギャップが、カソードシールドのU字形リップとライナとの間に規定されている。U字形リップは、ギャップ内に侵入するガスのコンダクタンスを実質的に低下させる。一例として、ギャップは、カソードシールドとアークチャンバ本体内の穴との間に、さらに規定されている。
【0014】
別の例として、ボロンナイトライドシールが、ラビリンスシールとアークチャンバ本体との間にさらに配置されてもよい。ボロンナイトライドシールは、電極をアークチャンバ本体から電気的に絶縁する。例えば、ラビリンスシールは、当該ラビリンスシールに関連付けられたエリア内に侵入する腐食性ガスのガスコンダクタンスを低下させることにより、ボロンナイトライドシールに関連付けられたシール面を、イオン源に関連付けられた当該腐食性ガスから概ね保護する。
【0015】
本開示の別の例示的な態様では、イオン源(例:イオン注入システムのためのイオン源)が提供される。例えば、イオン源は、アークチャンバとガス源とを備える。ガス源は、アークチャンバ本体の内部領域へとガスを導入するように、さらに構成されている。
【0016】
別の例として、イオン源は、カソードとは反対側に(対向するように)(opposite)配置されたリペラ(リペラ電極)をさらに備える。アークチャンバからイオンを引き出すために、当該アークチャンバ内に、アークスリットがさらに設けられてもよい。
【0017】
上述の目的および関連する目的を達成するために、本開示は、以下に十分に説明され、かつ、特許請求の範囲において具体的に示された構成を備えている。以下の説明および添付の図面は、本発明の所定の例示的な実施形態を詳細に開示する。これらの実施形態は、本発明の原則において採用されうる様々な手法の一部を例示している。本発明の他の目的、利点、および新たな構成は、図面とともに考慮されることにより、以下の本発明の詳細な説明から、明確になるであろう。
【0018】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本開示の様々な態様に基づくイオン源のカソードシールドを利用した例示的な真空システムのブロック図である。
【0019】
図2は、本開示の様々な態様に基づくイオン源の斜視図を示す。
【0020】
図3は、従来のイオン源の断面斜視図である。
【0021】
図4は、従来のアークチャンバの断面図である。
【0022】
図5は、本開示の様々な態様に基づく例示的なアークチャンバの断面図である。
【0023】
図6は、本開示の様々な態様に基づく例示的なアークイオン源の断面斜視図を示す。
【0024】
図7Aは、本開示の様々な態様に基づく例示的なイオン源のカソードシールドの斜視図を示す。
【0025】
図7Bは、本開示の様々な態様に基づく例示的なイオン源のカソードシールドの断面図を示す。
【0026】
図8は、本開示の様々な態様に基づく、図7A図7Bのイオン源のカソードシールドを受容するように構成されたアークチャンバライナの斜視図を示す。
【0027】
〔詳細な説明〕
本開示は、イオン注入システム、および、当該イオン注入システムに関連付けられたイオン源を全般的に対象としている。より具体的には、本開示は、(i)イオン源の寿命を向上させ、(ii)メンテンナンスを低減させ、かつ、(iii)イオン源の生産性を向上させるための、システムおよび装置を対象としている。本開示では、当該イオン源に対して、改善されたカソードシールドが提供される。
【0028】
そこで、図面を参照して本発明を説明する。同様の参照番号は、同様の部材を一貫して参照するために用いられてよい。様々な態様についての説明は単なる例示であると理解されるべきであり、限定的な意味合いで解釈されるべきではない。以下の記載では、説明のために、様々な具体的な細部が、本発明に対する十分な理解を与えるために開示されている。但し、本発明はこれらの具体的な細部がなくとも実施されてよいことは、当業者にとって明白であろう。さらに、本発明の範囲は、添付の図面を参照して以下に説明される実施形態または実施例に限定されることは意図されていない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその実質的な均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【0029】
また、図面は本開示の実施形態の様々な態様の例を与えるために提供されていることに留意されたい。このため、図面は単に概略的なものとみなされるべきである。特に、図面に示された各部材は必ずしも互いにスケール通りに描かれているわけではない。また、図面における様々な部材の位置は、各実施形態に対する明確な理解をもたらすために選択されたものである。このため、当該位置は、本発明の実施形態に係る実装における、様々な部材の実際の相対的な位置関係を必ずしも示しているわけではないと解釈されるべきである。さらに、本明細書において説明される様々な実施形態および実施例の構成は、特に明記されない限り、互いに組み合わせられてもよい。
【0030】
また、以降の説明において、図面に示されたまたは明細書において説明された機能ブロック、デバイス、部品、回路素子、またはその他の物理的または機能的なユニット間における任意の直接的な接続または連結は、間接的な接続または連結によって実現されてもよいと理解されるべきであることに留意されたい。さらに、図面における機能ブロックまたはユニットは、ある実施形態では、個別の構成または回路として実装されてよい。あるいは、当該機能ブロックまたはユニットは、別の実施形態では、全体的または部分的に、共通の構成または回路として実現されてもよい。
【0031】
図1は、本開示の一態様に基づく、例示的な真空システム100を示す。本実施例の真空システム100は、イオン注入システム101を備える。但し、様々な他のタイプの真空システム(例:プラズマ処理システムまたは他の半導体処理システム)も、考慮されてよい。イオン注入システム101は、例えば、ターミナル102、ビームラインアセンブリ104、およびエンドステーション106を備える。
【0032】
一般的には、ターミナル102内のイオン源(イオンソース)108は、電源110に接続されている。この場合、当該イオン源に供給されるソースガス112(ドーパントガスとも称される)は、イオンビーム114を形成するために、複数のイオンへとイオン化させられる。本実施例のイオンビーム114は、ビームステアリング装置116を通過して、開口118を出て、エンドステーション106に向かうように方向付けられている。エンドステーション106において、イオンビーム114は、ワークピース120(例:シリコンウェハ等の半導体、ディスプレイパネル、等)に衝突する。当該ワークピースは、チャック122(例:静電チャックまたはESC)に選択的にクランプまたは取付される。注入されたイオンがワークピース120の格子の内部に埋め込まれると、当該注入されたイオンは、ワークピースの物理的および/または化学的な特性を変化させる。このため、イオン注入は、材料科学の研究における様々な用途と同様に、半導体デバイスの製造および金属の仕上げ加工にも用いられている。
【0033】
本開示のイオンビーム114は、任意の形状(例:ペンシルビーム、スポットビーム、リボンビーム、スキャンビーム、または他の形状)を取りうる。これらの形状のイオンビーム内のイオンは、エンドステーション106に向けられる。これらの形状は全て、本開示の範囲に含まれると考慮される。
【0034】
1つの例示的な態様において、エンドステーション106は、プロセスチャンバ124(例:真空チャンバ126)を備える。プロセス環境128は、プロセスチャンバと関連付けられている。一般的に、プロセス環境128は、プロセスチャンバ124の内部に存在する。一例として、プロセス環境128は、真空源(真空ソース)130(例:真空ポンプ)によって生成された真空を含む。真空源130は、プロセスチャンバに接続されており、当該プロセスチャンバを十分に減圧排気(evacuate)するように構成されている。さらに、真空システム100を全体的に制御するために、コントローラ132が設けられている。
【0035】
本開示は、上述のイオン注入システム101におけるイオン源108の稼働時間(utilization)を増加させ、かつ、当該イオン源108の不稼働時間(downtime)を低減させるように構成された装置を提供する。但し、本開示の装置は、他の半導体処理装置(例:CVD、PVD、MOCVD、エッチング装置、および様々なその他の半導体処理装置)において実施されてもよいことが理解されるであろう。これらの実施は全て、本開示の範囲内に含まれると考慮される。有利なことに、本開示の装置は、予防保全(preventive maintenance)サイクル間のイオン源108の使用期間(length of usage)を増加させる。その結果、真空システム100の全体的な生産性および寿命を向上させることができる。
【0036】
イオン源108(イオン源チャンバとも称される)は、例えば、好適な高い温度性能(temperature performance)を提供するために、耐熱金属(refractory metal)(W、Mo、Ta、等)およびグラファイト(黒鉛)を用いて製作されてよい。この場合、これらの材料は、半導体チップの製造者によって一般的に容認される。ソースガス112は、イオン源108の内部において使用される。ソースガスは、自然状態では、導電性を有していてもよいし、あるいは、導電性を有していなくともよい。但し、ひとたびソースガス112が分解される(cracked or fragmented)と、イオン化ガスの副生成物(ionized gas by-product)は、非常に高い腐食性を有しうる。
【0037】
ソースガス112の一例は、三フッ化ホウ素(ボロントリフルオリド)(BF)である。三フッ化ホウ素は、イオン入システム101において、ボロン−11またはBFのイオンビームを発生させるためのソースガスとして使用されうる。BF分子のイオン化時には、3つのフッ素のフリーラジカルが生成される。耐熱金属(例:モリブデンまたはタングステン)は、約700℃付近の動作温度において、イオン源チャンバ108の構造上の健全性(structural integrity)を維持するために、当該イオン源チャンバ108を構成または補強(line)するために使用されうる。但し、耐熱金属のフッ素化合物は、揮発性を有しており、室温においてさえも、非常に高い蒸気圧を有する。イオン源チャンバ108内において生成されたフッ素ラジカルは、タングステン金属(モリブデンまたはグラファイト)を攻撃(侵食)(attack)し、六フッ化タングステン(タングステン(VI)ヘキサフルオリド)(WF)(フッ化モリブデンまたはフッ化炭素)を形成する。すなわち、
【0038】
【化1】
【0039】
または、
【0040】
【化2】
【0041】
の通りである。
【0042】
六フッ化タングステンは、通常、高温の表面上において分解する。例えば、図2図3には、イオン源200が示されている。この場合、六フッ化タングステンまたは他の結果物(resultant material)は、イオン源の様々な内部コンポーネント204の表面202(例:カソード206の表面、リペラ208の表面、および、イオン源のアークチャンバ212に関連するアークスリット光学部材(arc slit optics)210(図3に図示されている)の表面)上において分解しうる。式(1)に示されるように、このことは、ハロゲンサイクルと称される。但し、結果物も、アークスリット光学部材210における場合と同様に、アークチャンバ212の表面202上に、汚染物質(汚染材料)214(例:固体の粒子の汚染物質または導電膜)の形態で沈殿および/または凝縮しうる。
【0043】
カソードが間接的に加熱される場合(例:カソードはタングステンまたはタンタルによって構成されたカソードの場合)、内部コンポーネント上に堆積される汚染物質214の別のソース(源)は、カソード206から生じる。この場合、間接的に加熱されたカソードは、イオン源プラズマを発生および維持するために使用される(例:熱電子放出)。間接的に加熱されたカソード206およびリペラ208(例:アンチカソード(対陰極))は、例えば、アークチャンバ212の本体216に対して、負の電位にある。そして、カソードおよびリペラの両方は、イオン化ガスによってスパッタ(スパッタリング)されうる。リペラ208は、例えば、タングステン、モリブデン、またはグラファイトによって構成されてよい。アークチャンバ212の内部コンポーネント上に堆積される汚染物質214のさらに別のソースは、ドーパント材料(ドーパント物質)(不図示)それ自体である。時間の経過に伴い、これらの汚染物質214(例:導電性材料)の堆積膜は、表面202(特に、カソード206の近傍の表面)を被覆しうる。その結果、イオン源200の寿命が低減する。
【0044】
図3には、従来のアークチャンバ200の一例が示されている。当該アークチャンバには、従来のカソードシールド232、カソードシール234、およびカソードライナ236が設けられている。本開示を参照した当業者であれば理解できるように、従来のカソードシールドおよびカソードシールは、カソード206を、アークチャンバ212の本体216から絶縁(隔離)(isolate)することを目的としている。しかしながら、こうした従来のカソードシールド232およびカソードシール234を使用した場合、一般的には、時間の経過に伴い、当該従来のカソードシールドとカソードライナ236との間のギャップ238へと、イオン化ガス(例:フッ素または他の揮発性を有する腐食性ガス種)が侵入することを許してしまうであろう。その結果、カソードシールの内径240がエッチングされる。こうしたエッチングは、イオン化ガスが漏出し、近傍の部材(例:カソード206に関連する絶縁体)にダメージを与えることを許してしまう。その結果、エッチングに起因してイオン源200の耐用寿命が低下してしまうであろう。そして、イオン源または各部材のメンテナンスおよび/または交換に関連する不稼働時間が覚悟される(expected)であろう。
【0045】
図5には、従来の装置に関連するこのような問題点を改善するために、本開示の1つの例示的な態様に基づくアークチャンバ300が示されている。当該アークチャンバは、図6に示されるイオン源301内における使用に適している。この場合、アークチャンバの寿命が十分に改善される。図5に示されるように、アークチャンバ300は、カソードシールド302(時には、カソードリペラと称される)を備える。図7A図7Bにより詳細に示されるように、当該カソードシールドは、U字形リップ304を備える。U字形リップ304は、例えば、カソードシールド302の端部306に配置されている。この場合、U字形リップは、図5のアークチャンバ300のアークチャンバライナ310内の凹部308(例:溝)と概ね係合する。例えば、アークチャンバライナ310内の凹部308は、カソードシールド302内のU字形リップ304とともに、図6に示された、カソードシールドとアークチャンバ本体316内の穴(ホール)314との間のギャップ312内に侵入するガスのコンダクタンスを実質的に低下させる。カソード318は、穴314を通るように延びている。
【0046】
一例として、ラビリンスシール320は、カソードシールド200の外径の内部に組み込まれている。当該ラビリンスシールは、シール322(例:ボロンナイトライドシール)を受容するように構成されている。シール322は、図6のイオン源301の外部へのガスの漏出を概ね防止する。従って、図5に示されるように、アークチャンバライナ310内の凹部308およびカソードシールド302内のU字形リップ304は、ギャップ312内に侵入する腐食性ガスのコンダクタンスを低下させることにより、シール322とアークチャンバ本体316との間のシール面324を、当該腐食性ガスから保護する。
【0047】
本発明は特定の好適な1つ以上の実施形態に関して図示および説明されているが、上述の実施形態は本発明の一部の実施形態の実施に関する例としてのみの役割を果たしており、本発明の適用例はこれらの実施形態に限定されないことに留意されたい。特に、上述の部材(アセンブリ、デバイス、および回路等)によって実現される様々な機能に関して、これらの部材を説明するために使用される用語(「手段」(means)への言及を含む)は、特に明示されない限り、説明された部材の特定の機能を実現する任意の部材(つまり、機能的に等価である部材)に対応するものであると意図されている。このことは、例え当該任意の部材が、本明細書において、本発明の例示的な実施形態にて説明された機能を実現する開示された構造と、構造的に等価でない場合にも当てはまる。さらに、本発明の特定の構成は、複数の実施形態のうちの1つの実施形態のみに関して開示されている場合がある。但し、任意または特定の応用例について、望ましくかつ有益である場合には、このような構成は、他の実施形態の1つ以上の構成と組み合わせられてもよい。従って、本発明は、上述の実施形態に限定されるべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本開示の様々な態様に基づくイオン源のカソードシールドを利用した例示的な真空システムのブロック図である。
図2】本開示の様々な態様に基づくイオン源の斜視図を示す。
図3】従来のイオン源の断面斜視図である。
図4】従来のアークチャンバの断面図である。
図5】本開示の様々な態様に基づく例示的なアークチャンバの断面図である。
図6】本開示の様々な態様に基づく例示的なアークイオン源の断面斜視図を示す。
図7A】本開示の様々な態様に基づく例示的なイオン源のカソードシールドの斜視図を示す。
図7B】本開示の様々な態様に基づく例示的なイオン源のカソードシールドの断面図を示す。
図8】本開示の様々な態様に基づく、図7A図7Bのイオン源のカソードシールドを受容するように構成されたアークチャンバライナの斜視図を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8