特許第6802279号(P6802279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6802279自動車の表示装置への表示すべきメッセージの伝送
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802279
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】自動車の表示装置への表示すべきメッセージの伝送
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/44 20180101AFI20201207BHJP
   H04W 8/18 20090101ALI20201207BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   H04W4/44
   H04W8/18
   H04M11/00 301
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-539143(P2018-539143)
(86)(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公表番号】特表2019-512908(P2019-512908A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2017051073
(87)【国際公開番号】WO2017129466
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2019年7月26日
(31)【優先権主張番号】102016201162.6
(32)【優先日】2016年1月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ノイホイザー・ミヒャエル
【審査官】 三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0047929(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1337120(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送する方法であって、
中央計算機(2)の自動車データベースから、所定の選択基準に基づき、メッセージを伝送すべき少なくとも一つの自動車(5)を選択して、各自動車(5)に割り当てられた、移動体通信システムの移動体通信識別番号を捜し当てる工程と、
選択された少なくとも一つの自動車(5)の通信装置(11)に、移動体通信識別番号を有する加入者識別モジュール(13)が接続されており、移動体通信システムの有効になっていない加入者識別モジュール(13)を移動体通信識別番号に基づき有効化する工程であって、中央計算機(2)が、移動体通信識別番号を含む有効化メッセージを、移動体通信システムの移動体通信プロバイダ計算機(8)に伝送し、移動体通信プロバイダ計算機(8)が、移動体通信識別番号のために移動体通信システムを設定して加入者識別モジュール(13)に移動体無線呼出し番号を割り当て、これにより、加入者識別モジュール(13)が、その移動体通信システムにおける利用に関して有効と認められるようにする形で有効化を行なう工程と、
移動体通信システムを介して、中央計算機(2)から、選択された少なくとも一つの自動車(5)の通信装置(11)までのデータ接続を、加入者識別モジュール(13)に割り当てられた移動体無線呼出し番号を用いて構築する工程と、
データ接続を介して、中央計算機(2)から、通信装置(11)に接続された、捜し当てられた各自動車(5)のプロセッサ装置(4)に表示すべきメッセージを伝送する工程と、
プロセッサ装置(4)によりメッセージを継続処理して、プロセッサ装置(4)に接続された表示装置(15)にメッセージを表示する工程と、
を有する方法。
【請求項2】
中央計算機(2)が、データ接続を介して表示すべきメッセージを伝送する前に、メッセージの継続処理及び/又は表示のために、プロセッサ装置(4)において、一つ又は複数のソフトウェアモジュールが必要であるのか否かを調査し、
必要なソフトウェアモジュールがプロセッサ装置(4)にインストールされていない場合に、相応のソフトウェアモジュールをインストールするために、データ接続を介して、中央計算機(2)からプロセッサ装置(4)に、インストール命令を伝送する、又は相応のソフトウェアモジュールをそのインストール命令と共に伝送するか、
必要なソフトウェアモジュールが実行されない場合に、相応のソフトウェアモジュールを実行するために、データ接続を介して、中央計算機(2)からプロセッサ装置(4)に、実行命令を伝送するかの少なくともいずれか一つを行なう
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
メッセージの継続処理及び/又はメッセージの表示のためにプロセッサ装置(4)においてインストール及び/又は実行されたソフトウェアモジュールの中の一つ又は複数が、中央計算機(2)から伝送されるアンインストール命令を用いてプロセッサ装置(4)においてアンインストールされるか、中央計算機(2)から伝送される停止命令を用いてプロセッサ装置(4)において停止されるか、或いはその両方が行なわれることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
表示装置(15)でのメッセージの表示後に、加入者識別モジュール(13)が無効化されることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
表示すべきメッセージを伝送するために、中央計算機(2)から、先ず捜し当てられた各自動車(5)のプロセッサ装置(4)にトリガーが伝送され、トリガーが、メッセージ又はメッセージへのリンクを中央計算機(2)から呼び出すために、プロセッサ装置(4)を制御し、メッセージへのリンクが中央計算機(2)から呼び出された場合に、プロセッサ装置(4)が、リンクに基づき、中央計算機(2)からメッセージを呼び出すことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
複数の自動車を選択することで、複数の自動車(5)に対して、加入者識別モジュールの有効化と無効化の少なくともいずれか、及び/又は、一つ又は複数のソフトウェアモジュールのインストール、実行、アンインストール及び停止の少なくともいずれかが実施されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
メッセージの表示時に、入力装置を用いることで使用者リアクション、特に、使用者の確認又は入力をプロセッサ装置(4)により検知することが可能であり、使用者リアクションが、データ接続を介して、プロセッサ装置(4)から中央計算機(2)に、保存のために伝送されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
加入者識別モジュール(13)がSIMカードとして構成されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送するプロセッサ装置であって、
プロセッサ装置(4)は、表示すべきメッセージを受信して、自動車(5)の表示装置(15)にメッセージを表示するように構成され、
プロセッサ装置(4)は、表示すべきメッセージを受信して、メッセージを表示するために、データバスインタフェース(14)を介して、自動車(5)のデータバス(12)に接続することが可能であり、
データバス(12)は、表示すべきメッセージを受信する通信装置(11)と、メッセージを表示する表示装置(15)とに接続されており、
プロセッサ装置(4)は、請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法を実施するように構成されている、
プロセッサ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセッサ装置(4)を備えた自動車。
【請求項11】
請求項10に記載の自動車(5)を備えたメッセージ伝送システム。
【請求項12】
メッセージ伝送システム(1)が、表示すべきメッセージを自動車(5)の表示装置(15)に伝送する中央計算機(2)と、中央計算機(2)の操作に利用されるオペレーティングコンピュータ(3)とを備えていることを特徴とする請求項11に記載のメッセージ伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送する方法、プロセッサ装置、そのようなプロセッサ装置を備えた自動車及びメッセージ伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車は、多くの場合、その自動車の運転者及び/又は搭乗者に様々な種類の情報を表示するのに利用できる表示装置を備えている。それらの情報はこのとき、例えば、ナビゲーション機器、ラジオ機器、CDプレーヤ/DVDプレーヤ、(インターネット)モデム、或いは自動車のその他の装置又は機器に由来し得る。
【0003】
ここで、最新の自動車では、表示装置に表示される情報がソフトウェアモジュールにより処理、編集されて、表示装置で再生される。自動車で実行することができ且つ実行もされるそれらのソフトウェアモジュールは、通常は様々なサービスを提供する。それらのサービスは、例えば、システムサービス、ネットワークサービス、電気通信サービス、ナビゲーションサービス、媒体再生サービス、メッセージサービス、並びにそれ以外の情報サービス、娯楽サービス及びアフターサービスを含み得る。
【0004】
サービスはこのとき、無料か、或いはサービスプロバイダにより有料で提供されることもある。このとき、自動車の製造業者がサービスプロバイダとして現れて、自動車の購入者にサービスを申し出ることがよくある。そして、購入者は、必要があれば、そのようなサービスに申し込む。
【0005】
多くの場合、同じ一つの製造業者の別々の自動車は、違ったソフトウェアの状況を有している。一方の自動車では所定のサービスを提供でき、或いは必要なソフトウェアモジュールがそこにインストールされていて実行できる反面、他方の自動車ではそれらのソフトウェアモジュールがないこともあり得る。特に、メッセージサービス用のソフトウェアモジュールが無く、実行されない自動車が存在する。
【0006】
これは、申し込んだサービスの契約期間が終了していると該当する可能性がある。その場合、サービスに必要なソフトウェアモジュールが停止されているか、或いは関連するコンポーネントがアンインストールさえされている可能性がある。
【0007】
特定の状況では、自動車の運転者又は所有者との通信を行なうことが有利なことがある。しかし、多くの場合、購入者、特に二番目の購入者又はその次の購入者に関する情報が、データ保護の理由からも製造業者に提供されないので、連絡を取る手立てがない。これは、購入者と直接連絡をとる手段が製造業者に閉ざされていることを意味する。幾つかの国では、製造業者の側から当局を介して購入者と連絡をとるか、或いは購入者に間接的にメッセージを届けることができるぐらいの手段しかない。これは、例えば、ドイツなどの幾つかの国において、修理又は欠陥除去のためのリコール措置のときにそれを理由とする例外的なケースでしばしば可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送することで、自動車のソフトウェアの状態及び/又は移動体通信状態に関係無く何時でもメッセージを自動車に伝送することができ、自動車の表示装置に表示することができるようにする方法、プロセッサ装置、そのようなプロセッサ装置を備えた自動車及びメッセージ伝送システムを実現することである。
【0009】
本発明の別の課題は、表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送することで、所有者又は運転者に固有の情報が、取得され得るようにし、且つ/又はメッセージが認知されたことを確認できるようにする方法、プロセッサ装置、そのようなプロセッサ装置を備えた自動車及びメッセージ伝送システムを実現することである。
【0010】
更に、本発明の課題は、表示すべきメッセージを複数の自動車の表示装置に伝送することで、利用できる送信容量を効率的に使用できるようにする方法、プロセッサ装置、そのようなプロセッサ装置を備えた自動車及びメッセージ伝送システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの課題の中の一つ以上は、独立請求項に基づく方法又は装置によって解決される。本発明の有利な実施形態は、各従属請求項に記載されている。
【0012】
表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送する方法は、
中央計算機の自動車データベースから、所定の選択基準に基づき、メッセージを伝送すべき少なくとも一つの自動車を選択して、各自動車に割り当てられた、移動体通信システムの移動体通信識別番号を捜し当てる工程と、
移動体通信識別番号に基づき、移動体通信システムの有効になっていない加入者識別モジュールを有効化する工程であって、加入者識別モジュールが、選択された少なくとも一つの自動車の通信装置に接続されている工程と、
移動体通信システムを介して、中央計算機から、選択された少なくとも一つの自動車の通信装置までのデータ接続を構築する工程と、
データ接続を介して、中央計算機から、通信装置に接続された、捜し当てられた各自動車のプロセッサ装置に表示すべきメッセージを伝送する工程と、
プロセッサ装置によりメッセージを継続処理して、プロセッサ装置に接続された表示装置にメッセージを表示する工程と、
を有する。
【0013】
所定の選択基準に基づき、メッセージを伝送すべき少なくとも一つの自動車を選択することによって、狙い通り所定の一つ又は複数の自動車にメッセージを伝送することができる。
【0014】
少なくとも一つの自動車を選択する選択基準は、車両識別番号、自動車型式、自動車モデル、自動車鍵番号、製造年、移動体通信状態及び/又はソフトウェア状態を含む。これらの基準は、自動車を選択するために個々に、或いは組み合わせて適用又は使用することができる。
【0015】
この場合、メッセージの伝送は、選択された少なくとも一つの自動車の通信装置を介して行なわれる。このような伝達装置は、多くの場合は加入者識別モジュールに接続されている。加入者識別モジュールは、各移動体通信ネットワークの加入者を一義的に特定するので、移動体通信システムを介した通信を確立できるようにするためには、これらの加入者識別モジュールが必要である。加入者識別モジュールの特定はこのとき、移動体通信識別番号に基づき行なわれる。
【0016】
そのような加入者識別モジュールはここで、例えば、SIMカードとして構成することができる。
【0017】
そのような加入者識別モジュールは、多くは自動車の製造時に予め自動車に組み込まれる。購入者により申し込まれたサービスに応じて、相応の加入者識別モジュールが有効化されているか、無効化されている。
【0018】
有効になっていない加入者識別モジュールを有効化することによって、加入者識別モジュールを備えた各自動車の表示装置に表示すべきメッセージを伝送する手段が実現される。それは、自動車の移動体通信状態に関係無く通信を実行できることを意味する。それによって、加入者識別モジュールそれ自体が無効化された状態にあっても、運転者(多くの場合、購入者と同じである。)や自動車の搭乗者との直接的な通信が可能となる。
【0019】
加入者識別モジュールの有効化はここで、それが属する移動体通信システムの移動体通信プロバイダにより行なわれるが、これは、移動体通信プロバイダが、その移動体通信識別番号のために移動体通信システムを設定(コンフィギュレーション)することで、その加入者識別モジュールが、その移動体通信システムにおける利用に関して有効と認められるようにする形で行なわれる。
【0020】
「移動体通信状態」とは、本発明の範囲内においては、自動車の移動体通信コンポーネントがその通信能力に関して占めている状態のことである。
【0021】
中央計算機は、表示すべきメッセージをデータ接続を介して伝送する前に、プロセッサ装置において、メッセージの継続処理及び/又は表示のために一つ又は複数のソフトウェアモジュールが必要かどうかを調べることができる。必要なソフトウェアモジュールがプロセッサ装置にインストールされていない場合、相応のソフトウェアモジュールをインストールするために、データ接続を介して、中央計算機からプロセッサ装置に宛ててインストール命令を伝送するか、或いは然るべきソフトウェアモジュールをそのインストール命令と共に伝送することができる。必要なソフトウェアモジュールが実行されない場合、該当するソフトウェアモジュールを実行するために、データ接続を介して、中央計算機からプロセッサ装置に宛てて実行命令を伝送することができる。
【0022】
ソフトウェアモジュールのインストール及び/又は実行によって、何時でも、自動車のソフトウェア状態に関係無く、表示すべきメッセージを自動車に伝送して、その自動車の表示装置に表示することができる。
【0023】
「ソフトウェア状態」とは、本発明の範囲内において、ソフトウェアモジュールがそのインストール状態及びその現在の実行状態に関して占めている状態のことである。
【0024】
インストール状態はこのとき、以下の状態を含む。
−インストールされた状態、
−インストールされておらず、インストールできる状態、
−インストールされておらず、インストールできない状態。
【0025】
ここで、インストールされておらず、直接インストール可能なソフトウェアモジュールは、プロセッサ装置に接続された、自動車内のメモリ装置に保存されていて、そこからインストールできるのでもよい。しかし、インストールされておらず、インストールできないソフトウェアモジュールが存在する場合、中央計算機は、そのソフトウェアモジュールをインストールのために伝送することができる。この場合、そのようにして伝送されたソフトウェアモジュールは、インストールできるソフトウェアモジュールとして、メモリ装置に保存されて、伝送されて来るインストール命令によって、そこからインストールが行なわれる。
【0026】
実行状態は、以下の状態を含む。
−実行される状態、
−実行されておらず、実行可能な状態、
−実行されておらず、実行不可能な状態。
【0027】
「実行されておらず、実行不可能なソフトウェアモジュール」とは、本発明の範囲内において、そのソフトウェアモジュールの実行可能性に関して、所定の別のソフトウェアモジュールが必要であるが、その別のソフトウェアモジュールがその時点で実行されないか、インストールされていないか、或いはその両方であるソフトウェアモジュールのことである。
【0028】
中央計算機は、プロセッサ装置のソフトウェア状態に関する情報が与えられているので、メッセージの伝送を実行できるように、ソフトウェア状態を変更するのに必要な措置を講じることができる。即ち、中央計算機は、メッセージの表示に必要な全てのソフトウェアモジュールが「インストールされている」インストール状態にあるとともに、「実行される」実行状態にあるようにする。そのようにしてからようやく中央計算機は、表示すべきメッセージを伝送する。
【0029】
プロセッサ装置においてメッセージの継続処理及び/又はメッセージの表示のためにインストールされた(インストール済みの)ソフトウェアモジュール及び/又は実行された(実行済みの)ソフトウェアモジュールの中の一つ又は複数は、中央計算機から伝送されるアンインストール命令を用いたプロセッサ装置におけるアンインストール及び/又は中央計算機から伝送される停止命令を用いたプロセッサ装置における停止を行なうことができる。
【0030】
それによって、ソフトウェアモジュールのその前のソフトウェア状態、即ち、インストール前のインストール状態及び実行前の実行状態を復元することができる。
【0031】
この場合、アンインストール時に、アンインストールすべきソフトウェアモジュールをメモリ装置に保存することができ、その結果、新たに必要となった場合に、そのメモリ装置から、そのソフトウェアモジュールを支障なく、素早く再インストールすることが可能である。しかし、中央計算機によって、インストール可能なソフトウェアモジュールをメモリ装置から消去することもできる。
【0032】
表示装置にメッセージを表示した後、加入者識別モジュールは無効化することができる。
【0033】
それによって、その前の移動体通信状態を復元することができる。
【0034】
この場合、加入者識別モジュールの無効化は、有効化と同様に、それが属する移動体通信システムの移動体通信プロバイダによって行なわれる。
【0035】
表示すべきメッセージを伝送するために、先ず、中央計算機から、捜し当てられた各自動車のプロセッサ装置にトリガーを伝送することができる。トリガーは、中央計算機からメッセージ又はメッセージへのリンクを呼び出すようにプロセッサ装置を制御することができる。このプロセスでメッセージへのリンクが中央計算機から呼び出される場合は、プロセッサ装置は、そのリンクに基づいてメッセージを呼び出すことができる。
【0036】
それによって、利用できる送信容量及び/又は利用できるリソースが効率的に使用される。
【0037】
「利用できる送信容量」とは、本発明の範囲内において、移動体通信システムにより単位時間当たり送信可能なデータ量のことである。
【0038】
「リソース」とは、本発明の範囲内において、コンピュータの動作又はコンピュータプログラムの実行に必要なコンピュータの動作手段又はシステム資源のことである。
【0039】
「トリガー」とは、本発明の範囲内において、そのトリガーの受信者の識別とデータソースへの参照指示とを含む小さなメッセージのことである。データソースへの参照指示とは、そのデータソースからデータを呼び出すためのコマンドであると理解することができる。トリガーはしかし、その呼び出しに対するコマンドを含んでいるのでもよい。
【0040】
そのようなトリガーは、僅かなデータ量しか持たないので、何度も伝送可能である。個別の自動車にあてたトリガーの伝送に基づいて呼び出されるデータの成功率がそれほど高くないとしても、伝送すべきデータの負担は許容できる。有利には、トリガーは、256バイト又は256文字(Zeichen)を超えない。
【0041】
複数の自動車を選択することによって、複数の自動車に対して、加入者識別モジュールの有効化及び/又は無効化と、一つ又は複数のソフトウェアモジュールのインストール、実行、アンインストール及び/又は停止と、の中の一つ以上を行なうことができる。
【0042】
それによって、複数の自動車に対して、以前の移動体通信状態及び/又はソフトウェア状態を同時に且つそれ故に効率的に復元することができる。
【0043】
この場合、複数の自動車の選択は、上で説明した選択基準に基づき行なうことができる。
【0044】
入力装置を用いた形でメッセージを表示する場合、プロセッサ装置によって、使用者のリアクション、特に、使用者の確認又は入力を検知することができる。使用者のリアクションは、保存のためにデータ接続を介してプロセッサ装置から中央計算機に伝送することができる。
【0045】
それによって、使用者による伝送されたメッセージの確認を検知して、中央計算機に記録することができる。これは、確認が法律に係るようなメッセージ、例えばリコール時のメッセージなどを伝送する場合に有利である。幾つかの国では、例えば、当局や新聞を介してリコールを伝える代わりに、自動車の各運転者又は購入者に直接リコールを伝送することで法律の規則に応じるようにできる。
【0046】
更に、使用者によるデータ入力を請う手段がある。この場合、個人に関係するデータ、例えば、名前、宛て名及び/又は電子メールアドレス、電話番号等の更に別の連絡手段などを問い合わせることができる。それによって、自動車の購入後に自動車の購入者と連絡を取ることでさらなるサービス及び/又はサポートの提供を提示でき且つそれにより顧客満足度を向上させる手段が実現される。
【0047】
「使用者」とは、本発明の範囲内において、自動車の運転者又は搭乗者の中の一人、有利には、自動車の購入者又は所有者、或いはそのような者から権限を与えられた人のことである。
【0048】
本発明の別の観点では、表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送するためのプロセッサ装置が意図されている。この場合、プロセッサ装置は、表示すべきメッセージを受信して、自動車の表示装置に表示するように構成されている。プロセッサ装置は、表示すべきメッセージを受信してメッセージを表示するために、データバスインタフェースを介して自動車のデータバスに接続することが可能である。データバスは、表示すべきメッセージを受信する通信装置と、メッセージを表示する表示装置とに接続されている。プロセッサ装置はここで、上で説明した方法を実施するように構成されている。
【0049】
本発明の別の観点では、そのようなプロセッサ装置を備えた自動車が意図されている。
【0050】
本発明の別の観点では、そのような自動車を備えたメッセージ伝送システムが意図されている。
【0051】
更に、メッセージ伝送システムは、表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送する中央計算機と、中央計算機の操作に利用されるオペレーティングコンピュータとを備えている。
【0052】
中央計算機を用いて、メッセージ伝送システムを中央で制御することが可能であり、中央計算機において、中央から全ての制御データにアクセスすることができる。
【0053】
以下に、図面に基づき本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送するメッセージ伝送システムの概略図である。
図2】表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下において、表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送するメッセージ伝送システム1の実施例を説明する(図1)。
【0056】
メッセージ伝送システム1は、中央計算機2、オペレーティングコンピュータ3、自動車5のプロセッサ装置4及びプロセッサ装置4を備えた自動車5を有する。
【0057】
中央計算機2は、表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送する方法の実施に関連するデータを保存するメモリ装置6に接続されている。これらのデータは、ソフトウェアモジュール、インストール情報、個人を識別するための識別子、使用者リアクションの記録、或いは入力された使用者データ、認証データ、承認データ及び/又は通信接続データ及び自動車固有の複数のパラメータを含む。自動車固有のパラメータは、自動車データベースに保存することができる。
【0058】
自動車固有のパラメータは、自動車5の製造時に設定されるパラメータ、所定のパラメータ及び/又は自動車5に割り当てられているパラメータを含む。これらのパラメータは、例えば、車台番号などの車両を特定するための車両識別番号、自動車型式番号又は自動車鍵番号、モデル符号、自動車5と通信するための通信接続データ、自動車にあるデバイス、装置、機器、ソフトウェアモジュール等の識別番号及び/又はバージョン番号である。
【0059】
保存された通信接続データはこのとき、例えば、IPアドレス、移動体通信データ、移動体通信プロバイダデータ、通信装置データ及び加入者識別モジュールデータなどの計算機2,3又は自動車5との通信に必要な全てのデータを含む。
【0060】
中央計算機2は、データネットワーク7に接続されている。データネットワーク7は、ローカルデータネットワーク(LAN)、或いは、例えば、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)とすることができる。
【0061】
オペレーティングコンピュータ(Bedienrechner)3は、中央計算機2と通信できるように、同じくデータネットワーク7に接続されている。オペレーティングコンピュータ3はここで、中央計算機2の操作のために利用され、有利には、オペレーティングコンピュータ3には、オペレーティングコンピュータ3のオペレータが中央計算機2において異なる役割及び権限でログインするためのログインプロセスが装備されている。
【0062】
更に、移動体通信プロバイダ計算機8がデータネットワーク7に接続されており、データネットワーク7を介して中央計算機2と通信することができる。移動体通信プロバイダ計算機8はここで、移動体通信システムの移動体通信プロバイダの計算機システムであり、中央計算機2は、加入者識別モジュールの有効化と無効化のためにこのシステムにアクセスすることができる。この場合、有利には、承認された中央計算機2だけが移動体通信プロバイダ計算機8と通信できるように、認証プロセスを実行することができる。
【0063】
更に、設置型通信装置9がデータネットワーク7に接続されており、これにより、中央計算機2と設置型通信装置9は互いに通信することができる。
【0064】
設置型通信装置9は、通信接続10を介して、自動車5に配置された通信装置11に接続されている。通信装置11は、自動車5内のデータバス12に接続されており、例えば、移動体通信システムにデータを伝送するように構成されている。この場合、移動体通信システムは、GSM、UMTS、LTE、4G又は5Gなどの移動体通信標準に準拠するシステムであってもよい。通信装置11がそのような移動体通信標準に従って構成されている場合、IMEI(英語でInternational Mobile Station Equipment Identity:IMEI)と称される通信装置識別番号を有する。通信装置識別番号は、通信装置データに含まれている。
【0065】
通信装置11には、加入者識別モジュール13が接続されており、このモジュールが移動体通信識別番号を有し、移動体無線呼出し番号を有することができる。加入者識別モジュール13は、移動体通信識別番号を用いて一義的に特定することができるとともに、移動体無線呼出し番号によってアドレス指定することが可能である。SIMカードとして構成された加入者識別モジュール13の場合、移動体通信識別番号は、ICC−ID(英語でIntegrated Circuit Card−Identification Number:ICC−ID)と称され、移動体無線呼出し番号は、MSISDN(英語でMobile Subscriber Integrated Services Digital Network Number又はMobile Station Integrated Services Digital Network Number:MSISDN)と称される。これらの移動体無線呼出し番号及び移動体通信識別番号は、加入者識別モジュールデータに含まれている。
【0066】
自動車データベースにおいて各自動車5を車両識別番号により一義的に特定することが可能であるので、それを介して、その自動車5の通信装置識別番号、移動体通信識別番号及び移動体無線呼出し番号にアクセスすることができる。自動車5において、例えば修理又は改修のために、通信装置11が別の通信装置11と交換された場合及び/又は加入者識別モジュール13が別の加入者識別モジュール13と交換された場合、自動車データベースにおいて、通信装置識別番号、移動体通信識別番号及び/又は移動体無線呼出し番号が更新される。
【0067】
プロセッサ装置4は、データバスインタフェース14を備えている。このデータバスインタフェース14を介して、プロセッサ装置4はデータバス12に接続されており、その結果、最終的に中央計算機2とプロセッサ装置4は、上で説明したコンポーネントを介して互いに通信することができる。
【0068】
データバス12は、自動車5の別の装置又は機器を互いに接続するとともに、プロセッサ装置4に接続する。自動車5のそれらの装置及び機器は、データバス12を介して、互いに通信するとともに、プロセッサ装置4と通信することができる。
【0069】
メッセージ、特に本発明に基づき伝送すべきメッセージを表示するために利用される表示装置15が、データバス12に接続されている。表示装置15には、例えば、ナビゲーション地図、走行指示、インターネットコンテンツ、音楽一覧、マルチメディアコンテンツ等の別のコンテンツ又は情報も表示可能である。
【0070】
以下に、プロセッサ装置4のさらに他のコンポーネントを説明する。
【0071】
プロセッサ装置4を制御するマイクロプロセッサ16が、データバスインタフェース14に接続されている。マイクロプロセッサ16は、データバスインタフェース14を介してデータバス12と通信することができる。
【0072】
マイクロプロセッサ16は、更に、内部メモリ17に接続されている。内部メモリ17は、マイクロプロセッサ16により実行可能且つプロセッサ装置4の動作時に実行されるプログラム、例えば、インターネットブラウザ、ニュースアプリケーション、ショートメッセージサービス等のプログラムを保存する他、プロセッサ装置4の動作中のさらに別のデータを保存する役割を持つ。
【0073】
マイクロプロセッサ16は更に、外部メモリ装置19を繋ぐためのメモリ装置インタフェース18に接続されている。マイクロプロセッサ16は、メモリ装置インタフェース18を介して、データを外部メモリ装置19に書き込むか、或いはそこから読み出すことができる。これは、特に、データ量が大きいインストール可能なソフトウェアモジュールを保存する場合に、データを保存するのに出来るだけ有利なメモリ媒体を使用できるようにするのに利用される。外部メモリ装置19は、有利には、電源の停止又は障害時でもデータが失われないように、不揮発性メモリとして形成されている。外部メモリ装置19は、例えば、記憶用のフラッシュメモリを備えたドライブ機構である。
【0074】
内部メモリ17及び/又は外部メモリ装置19には、自動車固有のパラメータ、通信接続データ、認証データ、表示すべきメッセージ、使用者リアクション、インストール可能なソフトウェアモジュール及び/又はインストールされたソフトウェアモジュールを保存することができる。
【0075】
以下に、表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送する実施例を説明する(図2)。この方法は、上で説明したメッセージ伝送システム1を用いて実施することが可能である。
【0076】
この方法は、工程S1から始まる。
【0077】
工程S2では、オペレータのオペレーティングコンピュータ3において、少なくとも一つの自動車5で表示すべき少なくとも一つのメッセージが生成される。この場合、メッセージの生成は、(図示されていない)メモリ媒体、中央計算機2、或いはデータネットワーク7に接続された(図示されていない)それ以外の計算機システムから、既に生成されたメッセージをロードすることをも含む。有利には、中央計算機2からのメッセージのロードは、オペレータがその前に中央計算機へのログインを行なって、認証に成功することが前提となる。
【0078】
次に、オペレータは、メッセージを伝送すべき少なくとも一つの自動車5を選択する(工程S3)。そのために、オペレータは、(好ましくは、或いは未だなされていなければ)中央計算機2へのログインを行なう。オペレータは、少なくとも一つの自動車5を選択し、その選択のために、少なくとも一つの相応の選択基準、或いは選択基準の範囲又は組合せを入力する。複数の自動車5を選択することもでき、その後、本方法の別の手順において、最終的に同じメッセージが伝送される。
【0079】
中央計算機2は、入力された選択基準に基づき、メモリ装置6に保存されている自動車データベースから、各自動車5と通信するための然るべき通信接続データと、自動車の移動体通信状態及びソフトウェア状態を捜し当てる(工程S4)。これらの通信接続データは、各自動車5において自動車の通信装置11に接続されている相応の加入者識別モジュール13に割り当てられている移動体通信識別番号を含む。加入者識別モジュール13が本方法の実施前に少なくとも一回有効化されたか、或いは移動体無線呼出し番号が自動車データベースに保存されている場合、これらの通信接続データは移動体無線呼出し番号も含むことができる。移動体通信状態は、加入者識別モジュール13が有効化されているのか否かを表す一方、ソフトウェア状態は、自動車5にインストールされたソフトウェアモジュールとその実行状態を表す。
【0080】
次に、中央計算機2は、各自動車5の加入者識別モジュール13が無効化されているか否かを調査する(工程S5)。中央計算機は、前もって捜し当てられた移動体通信状態に基づき、この調査を行なうことができる。
【0081】
加入者識別モジュール13が無効化されている場合、本方法の手順は、加入者識別モジュール13を有効化する工程S6の実施に進む。中央計算機2が、加入者識別モジュール13に割り当てられた移動体通信識別番号を含む有効化メッセージを移動体通信プロバイダ計算機8に伝送することによって、この有効化を実施する。この場合、有利には、移動体通信プロバイダ計算機8において、中央計算機2の認証が行なわれ、その結果、承認された中央計算機2だけが有効化メッセージを伝送できるようになる。
【0082】
加入者識別モジュール13がそれまでに未だ有効化されたことが無く、その時に初めて有効化される場合、移動体無線呼出し番号が、その加入者識別モジュール13に未だ割り当てられていないか、或いは自動車データベースに保存されていないことが起こり得る。その場合、移動体通信プロバイダ計算機8が、有効化メッセージを取得した後、新しい移動体無線呼出し番号を加入者識別モジュール13に割り当てる。移動体通信プロバイダ計算機8は、有効化メッセージに対する応答として、割り当てられた移動体無線呼出し番号を中央計算機2に伝送する。次に、中央計算機2は、入手した移動体無線呼出し番号を車両識別番号と組み合わせて自動車データベースに保存することができる。
【0083】
その後、中央計算機2により、加入者識別モジュール13に割り当てられた移動体無線呼出し番号を用いて、通信接続部10を介した自動車5とのデータ接続が構築される(工程S7)。
【0084】
それに続く工程S8では、中央計算機2により、自動車5のソフトウェア状態が調査される。即ち、メッセージの伝送に必要なソフトウェアモジュールがプロセッサ装置4にインストールされており、実行されるのか否かを調査する。
【0085】
全ての必要なソフトウェアモジュールがインストールされておらず、実行されない場合、本方法の手順は、中央計算機2が、インストールメッセージを用いて、必要なソフトウェアモジュールをプロセッサ装置4にインストールするか、或いは実行メッセージを用いて、必要なソフトウェアモジュールをプロセッサ装置で実行する工程S9の実施に進む。この場合、中央計算機2は、先ず、インストールされていないソフトウェアモジュール毎に、各ソフトウェアモジュールが、インストール可能なソフトウェアモジュール、例えば、ソフトウェアパッケージとして、内部メモリ17又は外部メモリ装置19に保存されているのか否かを調査する。インストールされていない各ソフトウェアモジュールがそこに保存されていない場合、中央計算機2は、データ接続を介して、そのソフトウェアモジュールをプロセッサ装置4に伝送し、そのプロセッサ装置が、伝送されて来たソフトウェアモジュールをインストール可能なソフトウェアモジュールとして内部メモリ17又は外部メモリ装置19に一時保存する。インストールされていないソフトウェアモジュールがインストール可能なソフトウェアモジュールとして保存又は一時保存されていない場合、インストールされていないソフトウェアモジュールをインストールするために、中央計算機2によって、インストールメッセージがプロセッサ装置4に伝送される。この場合、プロセッサ装置4の拡張されたプログラムメモリとして利用される外部メモリ装置19の特定の領域または内部メモリ17においてインストールが行なわれる。全ての必要なソフトウェアモジュールがインストールされた後、プロセッサ装置4がそれらの全てを実行するのか否かが調査される。実行されていないソフトウェアモジュールを実行するために、中央計算機2は、それらのソフトウェアモジュールの各々に対して、相応の実行メッセージを伝送する。異なるソフトウェアモジュールに対する実行メッセージが、一つの実行メッセージにおいて一緒に伝送され得ることで、移動体通信システムの送信容量に僅しか負荷がかからないようになる。実行メッセージを取得したら、プロセッサ装置4は、各ソフトウェアモジュールをインストールしてそれらを実行し、それにより全ての必要なソフトウェアモジュールが実行されることになる。
【0086】
その後、中央計算機2は、少なくとも一つの表示すべきメッセージをプロセッサ装置4に伝送する(工程S20)。この場合、メッセージの伝送は、先ず、トリガーが中央計算機2からプロセッサ装置4に伝送されるようにして行なわれる。トリガーは、メッセージ又はそのメッセージへのリンクを中央計算機2から呼び出すように、プロセッサ装置4を制御する。このプロセスにおいて、メッセージへのリンクが中央計算機2から伝送されて来た場合、次にプロセッサ装置4がそのリンクに基づきメッセージを呼び出すことで、中央計算機2がそのメッセージを伝送することになる。このプロセスでは、複数の表示すべきメッセージを順次伝送することもできる。
【0087】
この場合、トリガー、リンク及び/又はメッセージは、例えば、ショートメッセージサービス(英語でShort Message Service:SMS)毎に加入者識別モジュールの移動体無線呼出し番号に伝送するか、ネットワークアクセス毎に通信装置11の一つのIP(英語でInternet Protocol)アドレスに伝送するか、或いはその両方が可能である。この場合、ネットワークアクセスは、プロセッサ装置4で実行されるプログラムにより提供することができる。
【0088】
そして、プロセッサ装置4が、データバス12を介して、表示すべきメッセージを表示装置15に伝送することによって、一つの表示すべきメッセージ又は複数の表示すべきメッセージが、プロセッサ装置4により表示装置15に表示される(工程S11)。
【0089】
表示プロセスが実行された後、中央計算機2は、前に工程S9で実行されたソフトウェアモジュールの停止及び/又は前に工程S9でインストールされたソフトウェアモジュールのアンインストールを行なう(工程S12)。これは、ソフトウェアモジュールのインストール又は実行と同様に、即ち、中央計算機2からプロセッサ装置4への停止メッセージ及び/又はアンインストールメッセージの伝送によって行なわれる。このとき、内部メモリ17又は外部メモリ装置19に一時保存されるインストール可能なソフトウェアモジュールは、その後新たにインストールして利用するために、保存されたままにすることができる。それらはしかし、中央計算機2の消去メッセージに応じて消去することもできる。
【0090】
その後、中央計算機2は、前に工程S6で有効化された加入者識別モジュール13を無効化する(工程S13)。これは、工程S6での有効化と同様に、即ち、中央計算機2が、加入者識別モジュール13に割り当てられた移動体通信識別番号を含む無効化メッセージを移動体通信プロバイダ計算機8に伝送することによって行なわれる。この場合、有利には、中央計算機2の認証が移動体通信プロバイダ計算機8で行なわれ、その結果、承認された中央計算機2だけが無効化メッセージを伝送することができる。
【0091】
次に、本方法の手順は、この動作を続行するのか否かを決定する工程S14の実行に進む。
【0092】
この動作を続行する場合、工程S2が新たに実行される。そうでない場合、本方法は、工程S15で終了する。
【0093】
工程S5で、中央計算機2が、各加入者識別モジュールが無効化されていないことを確認した場合、本方法の手順は、直に工程S7の実行に進む。
【0094】
工程S8で、中央計算機2が、全ての必要なソフトウェアモジュールがプロセッサ装置4にインストールされて、実行されることを確認した場合、本方法の手順は、直に工程S10の実行に進む。
【0095】
以下において、メッセージ伝送システム1の代替実施構成を説明する。
【0096】
プロセッサ装置4は、この実施例では、自動車5の説明していない他のコンポーネントからは独立した制御装置として表されている。しかし、プロセッサ装置は、別の機能も実行可能な、自動車5の中央制御装置と同じ装置であってもよい。それにより、何れにせよ最新の自動車5に装備されている中央制御装置をメッセージの伝送のために利用することができる。ただし、それによって中央制御装置の計算能力と利用可能なリソースとに負荷をかけることになる。
【0097】
異なる移動体通信プロバイダの複数の移動体通信プロバイダ計算機8及び/又はそれらの異なる移動体通信プロバイダの複数の設置型通信装置9をデータネットワーク7に接続することができる。異なる移動体通信プロバイダの複数の移動体通信プロバイダ計算機8がある場合、それらの異なる移動体通信プロバイダの各々には、その移動体通信プロバイダだけが使用できる少なくとも一つの設置型通信装置9を割り当てることができる。
【0098】
異なる移動体通信プロバイダの複数の設置型通信装置9が存在する場合、それらの設置型通信装置9は、異なる移動体通信システムにおいて、異なる周波数帯域及び/又は異なる多重化方式及び/又は符号化方式により動作させることができる。
【0099】
加入者識別モジュール13は、その加入者識別モジュールに特定の移動体通信プロバイダをいつでも柔軟に割り当てることができるように構成されていてもよい。これは、異なる移動体通信プロバイダの中の一つを介して通信するために、加入者識別モジュール・コンフィギュレーションメッセージを用いて、加入者識別モジュール13をコンフィギュレーションできることを意味する。そして、加入者識別モジュール13には、通信装置11への組み込み前、或いは、加入者識別モジュール13を備えた通信装置11の自動車5への組み込み前に、(第一の)移動体通信プロバイダが割り当てられる。加入者識別モジュール13がSIMカードとして構成されている場合、そのようなSIMカードは、所謂ホワイト・レーベル・SIMであり、加入者識別モジュール・コンフィギュレーションメッセージは、SIMサブスクリプションと称される。
【0100】
タッチスクリーンとして表示装置15を構成する代わりに、表示装置15をタッチ検知式でない形で構成することもできる。その場合、有利には、データバス12に接続可能で且つ使用者リアクションにより検知できる(図示されていない)入力装置が設けられている。入力装置はここで、キーボード、ボタン、カメラ、有利には、ジェスチャー制御を備えたカメラ等として構成することができる。
【0101】
そのような入力装置は、タッチスクリーンとして構成された表示装置15に追加して設けられていてもよい。
【0102】
外部メモリ装置19を省略することもできる。その場合、更に、メモリ装置インタフェース18を省略することができる。そして、プロセッサ装置4の動作に必要な全てのデータを内部メモリ17に保存することができる。その場合、内部メモリ17は、電源の停止又は障害時でもデータが失われないようにするために、有利には不揮発性メモリとして構成される。
【0103】
それに代わって、或いはそれに追加して、図1で破線により表示された特別なメッセージ計算機20が、メッセージ伝送機能の全体又は一部を引き受けることができる。その場合、中央計算機2は、メッセージ伝送機能を実行しないか、或いは部分的にしか実行しない。メッセージ計算機20は、データネットワーク7に接続されており、中央計算機2は、そのデータネットワークと通信することができる。メッセージ計算機20は、メッセージ、メッセージへのリンク及び/又はトリガーを伝送することができる。その場合、中央計算機2は、メッセージ計算機20が引き受けない機能だけを実行する。有利には、メッセージ計算機20は、少なくともメッセージを伝送する。メッセージ計算機20の使用は、特に多数のメッセージ及び/又は大量のメッセージの伝送時に中央計算機2のリソースを節約する。
【0104】
以下において、上述した表示すべきメッセージを自動車の表示装置に伝送する方法の代替実施構成を説明する。
【0105】
工程S2及びS3を実行する順番を入れ換えることができる。
【0106】
工程S2〜S4を実行する順番をS3,S4,S2の順番に変更することができる。
【0107】
異なる移動体通信プロバイダの複数の移動体通信プロバイダ計算機8が存在する場合、中央計算機2は、工程S4において、自動車データベースに基づき、それらの移動体通信プロバイダ計算機8の中の何れを介して加入者識別モジュール13を有効化できるのかを捜し当てる。工程S6が実行された場合、中央計算機2は、工程S4で捜し当てられた移動体通信プロバイダ計算機8に有効化メッセージを伝送する。
【0108】
中央計算機2は、工程S4において、加入者識別モジュール13が、その加入者識別モジュールに移動体通信プロバイダを可変に割り当てることができるように構成されていることを確認した場合、先ず、実際に如何なる移動体通信プロバイダが加入者識別モジュール13に割り当てられているのか捜し当てる。何故なら、その移動体通信プロバイダを介してのみ、加入者識別モジュール13と通信することができるからである。その場合、中央計算機2は、例えば、可能性のある移動体通信プロバイダのリストに基づき、別の移動体通信プロバイダが有利にも加入者識別モジュール13に割り当てられているか否かを捜し当てることができる。別の移動体通信プロバイダを使用することによって、例えば、送信容量の効率的な使用及び/又は効率的なデータ送信、速いデータ送信及び/又は安価なデータ伝送などの利点を得ることができる。
【0109】
中央計算機2は、工程S4において、加入者識別モジュール13に割り当てられた別の移動体通信プロバイダ又は新しい移動体通信プロバイダを捜し出した場合、工程S6において、先ず、現在割り当てられている移動体通信プロバイダの移動体通信プロバイダ計算機8を介して、別の移動体通信プロバイダ又は新しい移動体通信プロバイダを加入者識別モジュール13に割り当てるための加入者識別モジュール・コンフィギュレーションメッセージを伝送することができる。そして、中央計算機2は、新たに割り当てられた移動体通信プロバイダの移動体通信プロバイダ計算機8を介して、上で説明した通り、加入者識別モジュール13を有効化する(工程S6)。
【0110】
工程S10では、メッセージを直接伝送することもできる。これは、中央計算機2からプロセッサ装置4にトリガー又はリンクを事前に伝送すること無く、メッセージが伝送されることを意味する。
【0111】
メッセージ計算機20が存在する場合、中央計算機2は、工程S10において、伝送すべきトリガー、リンク及び/又は伝送すべきメッセージを相応の通信接続データと共にメッセージ計算機20に伝送することができる。そして、メッセージ計算機20は、これらのトリガー、リンク及び/又はメッセージを相応の自動車5に伝送する。
【0112】
工程S11では、メッセージの表示後に、例えば、使用者の確認又は使用者の入力などの一つ又は複数の使用者リアクションをプロセッサ装置4により検知することができる。そして、この一つの使用者リアクション又は複数の使用者リアクションは、プロセッサ装置4から中央計算機2に伝送して、その後の使用又は伝送のために、内部メモリ17又は外部メモリ装置19に一時保存することができる。それによって、自動車の運転者又は搭乗者が、例えば個人に関するデータなどの情報の入力を表示メッセージによって要求され、それを実行した場合に、所有者又は運転者に固有の情報が取得され得る。自動車の運転者又は搭乗者が、表示されたメッセージを用いて、確認することを要求されて、例えば、入力装置でのキーの押下を実行することによって、それを実行した場合、自動車の運転者又は搭乗者が表示されたメッセージの認知を確認することもできる。
【0113】
プロセッサ装置4でのソフトウェアモジュールの停止、アンインストール、消去及び/又は無効化を実施すべきでない場合、工程S12及び/又はS13の実行を省略するか、或いはこれらの工程を飛ばすことができる。
【符号の説明】
【0114】
1 メッセージ伝送システム
2 中央計算機
3 オペレーティングコンピュータ
4 プロセッサ装置
5 自動車
6 メモリ装置
7 データネットワーク
8 移動体通信プロバイダ計算機
9 設置型通信装置
10 通信接続部
11 通信装置
12 データバス
13 加入者識別モジュール
14 データバスインタフェース
15 表示装置
16 マイクロプロセッサ
17 内部メモリ
18 メモリ装置インタフェース
19 外部メモリ装置
20 メッセージ計算機
図1
図2