(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、超音波洗浄装置は、洗浄槽の下面に超音波振動子を取り付け、洗浄液を洗浄槽に供給して、洗浄槽に被洗浄物を浸漬して、超音波振動を洗浄槽の下面から印加して洗浄を行うのが一般的である。
【0003】
また、液晶パネルや半導体ウェーハ等の洗浄には、洗浄液を超音波と共にシャワー状に噴出させ、これらの被洗浄物を超音波洗浄するシャワー型超音波洗浄装置が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ノズル先端から被洗浄物までの距離調整を厳密に必要としない、設置調整が容易なスポットシャワー型超音波洗浄装置が開示されている。スポットシャワー型超音波洗浄装置は、ノズルから超音波が印加された洗浄液を被洗浄物に噴出することで、パーティクルなどの汚れを除去するものである。
【0005】
特許文献1によれば、スポットシャワー型超音波洗浄装置は、筐体の先端部に取り付けられたノズルと、ノズルの後端部に対向して配置された円板状の超音波振動子と、筐体の側面に形成された洗浄液の給液口とを有し、ノズルの吐出孔を直径が一定の直線状丸孔に形成するとともに、ノズルの後端部面をその外縁から吐出孔に向かって所定の傾斜角で下降する円錐状に構成する。
【0006】
給液口から供給された洗浄液と超音波振動子から放射された超音波とをノズルの先端から噴射してノズルの前方に配置された被洗浄物を洗浄する。これにより、ノズルから放射される超音波が焦点を形成しないため、被洗浄物からノズル先端までの距離を厳密に調整する必要性がない。
【0007】
また、従来のスポットシャワー型超音波洗浄装置は、共振周波数が400kHz以上の超音波振動子を使用して、洗浄液に超音波振動を印加している。
【0008】
一方、従来の200kHz未満における低周波を使用した超音波洗浄は、洗浄槽を用いて洗浄物の全体を洗浄槽に浸漬して、洗浄槽の底面や側面から超音波を洗浄槽全体に照射して、洗浄を行っていた。
【0009】
また、これらの洗浄装置には、ランジュバン型振動子(BLT振動子)が用いられている。一般的なランジュバン型振動子の振動子入力は、1W/cm2であり大きな電力で駆動できないため、振動が弱く、ランジュバン型振動子1個では十分な洗浄力が得られなかった。このため、強い超音波を照射するようにするために多数のランジュバン振動子を洗浄槽に取付け、洗浄を行っていた。
【0010】
また、低周波帯(200kHz未満)の洗浄装置に主に使用されているランジュバン振動子は、振動子を長手方向に振動させることで超音波振動を発生させている。
【0011】
また、特許文献2には、円盤(円板)型の圧電振動子の一方の面及び他方の面に電極を設け、一方の面及び他方の面の電極をそれぞれ2分割した分割電極を構成し、圧電振動子の一方の面の2分割した一方の分割電極と他方の面の2分割した一方の分割電極とを発振器に接続するとともに、圧電振動子の一方の面の2分割した他方の分割電極と他方の面の2分割した他方の分割電極に負荷インピーダンスを接続し、負荷インピーダンスを変更して、発振器の周波数を変更することにより、円盤型の圧電振動子の径が等価的に変更されて共振周波数を変更するようにした周波数可変振動子が開示されている。
【0012】
また、特許文献3には、従来技術としての、アクチュエータが圧電素子の伸縮による変位を拡大する機構を備え、固定した圧電素子との間で空隙部を形成するための凸部を有する板状である弾性体を有する圧電アクチュエータが示されている。
【0013】
特許文献3によれば、この圧電アクチュエータは、面形状が長方形状である板状圧電素子の表面に、屈曲して形成された尾根状凸部を有する板状の変位拡大素子が固定されている。尾根状凸部は、変位拡大素子の長さ方向の略中央部に形成されており、尾根状凸部の稜線方向と垂直な方向の断面形状が台形状又はアーチ状であり、圧電素子との間で断面台形状の空隙部を形成している。このような空隙部を有する圧電アクチュエータでは、圧電素子は、電圧が印加されると歪みを生じる圧電セラミックスで形成されており、交流電圧(周波電圧)が印加されると、面方向において、規則的に歪みと回復(伸縮運動)を繰り返す。
【0014】
これに対して、変位拡大素子と圧電素子との間には、空隙部が形成されているため、変位拡大素子の尾根状凸部は、圧電素子に固定された部位に比べて、変形し易い構造を有している。そのため、圧電素子が面方向で伸縮することにより、変位拡大素子の尾根状凸部の形状が変形し、圧電素子の面方向に垂直な方向に変位する。
【0015】
また、特許文献3に開示された圧電アクチュエータは、従来金属等を用いていた変位拡大素子を含む弾性体を結晶性樹脂で形成し、軽量化を図り、電気絶縁性及び耐蝕性を向上させるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
低周波帯(200kHz未満)における超音波洗浄用の振動子は、主にランジュバン振動子が使用されている。しかしながら、ランジュバン型振動子における長手方向の長さは振動周波数の波長に比例するため、低周波帯では、ランジュバン型振動子のサイズが長手方向に長くなってしまうため、超音波洗浄装置の小型化が難しかった。
【0018】
また、一般的なランジュバン型振動子の振動子入力は、1W/cm2であり大きな電力で駆動できないため、振動が弱く、1つの振動子では十分な洗浄力が得られない。このため、複数のランジュバン振動子を複数使用して洗浄槽に取付け、強い超音波を照射して洗浄を行っていた。
【0019】
また、従来のスポットシャワー型の洗浄装置の筐体は小型であるため、筐体にランジュバン振動子を組み込むことは難しく、さらに、1つのランジュバン振動子では、十分な洗浄効果が得られないため、ランジュバン振動子を使用した低周波用の小型洗浄装置は現実的ではなかった。
【0020】
これにより、洗浄槽型の洗浄装置は、洗浄槽に被洗浄物の全体を浸漬して、複数のランジュバン振動子で洗浄槽に超音波を照射して洗浄するため、スポットシャワー型の洗浄装置のように、被洗浄物での洗浄が必要な箇所に、超音波洗浄液を放出して洗浄することができなかった。このため、多量の洗浄液を用いて洗浄を行う必要があり、少量の洗浄液で洗浄することは困難であった。
【0021】
特許文献2に開示された共振周波数を変更する周波数可変振動子は、従来のように異なる周波数の超音波を発生するために、超音波振動子の径を変更したり、ランジュバン振動子の金属ブロックの長さを変えることが不要となる。しかしながら、特許文献2の周波数可変振動子では、振動子の一方の面及び他方の面にそれぞれ2分割した分割電極が設けられており、2分割した分割電極の一方に負荷インピーダンスを接続し、負荷インピーダンスを変更して、発振器の周波数を変更する構成であるため、2分割した電極の構成及び分割電極の一方に負荷インピーダンスを接続することにより、構成が複雑化してしまう。
【0022】
また、従来のスポットシャワー型の洗浄装置に使用される円盤型の圧電素子は、圧電素子の厚さ方向の共振周波数及び径方向の共振周波数を有しており、圧電素子の径方向の共振周波数は、厚さ方向の共振周波数よりも低いことが知られている。また、圧電素子の径の大きさを変更することにより、圧電素子の径方向の共振周波数を変更することができる。
【0023】
しかしながら、径方向振動は、従来のスポットシャワー型に使用されている厚さ方向における円板の厚み振動の振動形態と異なるため、実用化されていなかった。このため、スポットシャワー型等の洗浄用の小型化された低周波用超音波振動子が求められている。
【0024】
そこで、本発明は、拡がり振動モードの横効果を有する圧電素子と、圧電素子の主面を囲繞する空間を形成する振動部材とを備え、振動部材の先端部分に圧電素子の主面から離間し、主面と平行に配置され、液体と接触する振動面が設けられ、振動面を拡がり振動モードの振動方向と直交する方向に振動させて、液体に超音波振動を印加するようにした小型で低周波の超音波振動が可能な超音波振動子及びこの超音波振動子を用いた低周波のスポットシャワー型又は洗浄槽型の超音波洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的達成のため、本発明に係る超音波振動子は、液体に
振動周波数200kHz以下の超音波振動を印加して洗浄、分散又は乳化するための超音波振動子であって、
主面の一方と他方とで分極されて、拡がり振動モードを有する板状の圧電素子と、
当該圧電素子の
前記主面から離間し、かつ、当該主面と平行に配置され、
前記液体と接触する振動面と、前記圧電素子の側面に接して当該圧電素子を固定する圧電素子収納部と、前記振動面と前記圧電素子収納部とを接続する振動伝達部とから構成され、前記振動面と前記圧電素子収納部と
前記振動伝達部によって、前記主面を囲繞する空間を形成する振動部材と、を備え、前記振動面は、前記圧電素子収納部と
前記振動伝達部とによって前記圧電素子の振動
が伝達されて、拡がり振動モードの振動方向と直交する方向に振動されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係る超音波振動子における前記拡がり振動モードは、横効果の振動であって、長さ振動、面積振動又は径方向振動であることを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る超音波振動子における前記圧電素子は、円板状に構成され、前記振動部材は、前記振動面を先端とする円錐台状又は円柱状に構成されていることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る超音波振動子における前記圧電素子は、凸多角形状に構成され、前記振動部材は、前記振動面を先端とする前記凸多角形状の形状に対応する角錐台状又は角柱状に構成されていることを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る超音波振動子は、前記圧電素子収納部に連設され、前記拡がり振動モードの振動方向に延伸する鍔部が設けられることを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係る超音波振動子における前記圧電素子には、前記主面を貫通する孔部が設けられていることを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係る超音波振動子における前記孔部は前記主面の略中央部に設けられていることを特徴とする。
【0033】
また、本発明に係る超音波振動子における前記圧電素子は、前記振動部材に嵌合又は接着剤を介して固定されることを特徴とする。
【0034】
本発明に係る超音波洗浄装置は、超洗浄液をシャワー状に噴出するスポットシャワー型の超音波洗浄装置であって、当該超音波洗浄装置内に配された前記超音波振動子により前記洗浄液に超音波振動を印加することを特徴とする。
【0035】
本発明に係る超音波洗浄装置は、洗浄槽内に洗浄液を貯留し、被洗浄物を浸漬して洗浄を行う超音波洗浄装置であって、前記洗浄槽内に配された前記超音波振動子により前記洗浄液に超音波振動を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、従来のように圧電素子の円板の厚み振動を使用することなく、圧電素子の拡がり振動の横効果の振動である径方向振動を、振動部材を用いて拡がり振動モードにおける径方向振動の振動方向と直交する方向の振動に変換して低周波で振動させるため、低周波であっても超音波振動子の小型化が可能となる。
【0037】
また、拡がり振動モードを有する圧電素子を用いて圧電素子が小型化したことにより、従来のスポットシャワー洗浄装置の筐体に取付けることが可能となる。
【0038】
また、洗浄形態をスポットシャワー型にすることにより、被洗浄物の洗浄が必要な箇所を選択することが可能となり、洗浄に必要な洗浄液の量を減らすことができる。
【0039】
また、従来使用していたランジュバン振動子は、振動周波数によってランジュバン振動子の長手方向の長さが変わるため、低周波の振動周波数では振動子の厚みが増加する。一方、圧電素子としての円板型圧電セラミックスの共振周波数は、円板型圧電セラミックスの径の大きさを変えることで共振周波数を可変することが可能となる。このため、円板型圧電セラミックスは、振動周波数によって振動子の厚みが増すことがなく、小型化が可能となる。
【0040】
また、圧電素子としての圧電セラミックスの振動子入力は、10W/cm2程度までの電力を入力することが可能であり、大きな振動を得ることができるため、1つの圧電素子でも十分な洗浄力を得ることができる。
【0041】
また、本発明の超音波振動子の圧電素子は、拡がり振動モードを有しており、圧電素子の形状を円板状、凸多角形状のような振動部材により囲繞して、シールドしやすい形状とすることが可能であり、圧電素子に液体が触れることを容易に防止可能である。
【0042】
また、本発明の超音波振動子は、洗浄槽を有する超音波洗浄装置にも使用することが可能である。
【0043】
また、圧電素子としての圧電セラミックスは、強力な振動を発生することができるため、超音波振動を用いた分散処理や乳化処理等にも応用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下図面を参照して、本発明による超音波振動子及び超音波振動子を用いた超音波洗浄装置を実施するための形態について、図面を参照して説明する。尚、本発明は、液体に超音波振動を印加するための超音波振動子及び超音波振動子を用いた超音波洗浄装置に関し、特に、超音波振動子は、小型で低周波の超音波振動が可能であり、この超音波振動子をスポットシャワー型又は洗浄槽型の超音波洗浄装置に用いることにより、200kHz以下の低周波の超音波振動が可能となり、低周波の超音波振動でも装置の小型化を可能にしたものである。
【0046】
[超音波振動子の構成]
最初に、洗浄液等の液体に超音波振動を印加する超音波振動子について
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1は、本発明による超音波振動子の外観を示す図であり、
図1(a)は超音波振動子を上方から見た斜視図、
図1(b)は超音波振動子を下方から見た斜視図、
図2(a)は本発明による超音波振動子の正面図、
図2(b)は超音波振動子の平面図、
図2(c)は超音波振動子の底面図、
図3は、
図2(a)に示すA−A線断面図である。
【0047】
図1乃至
図3に示すように、超音波振動子1は、超音波振動を発生する圧電素子3と洗浄液に超音波振動を印加する振動部材15とを有している。
【0048】
[圧電素子について]
圧電素子3は、板状の圧電部材と圧電部材の両面に設けられた電極とを有している。圧電素子の圧電部材は、多種の酸化物を圧縮成形して、高温で焼結したセラミックスからなる。セラミックスは、電極に直流電界を加えて分極処理されて圧電性を有する圧電セラミックスで形成されている。
【0049】
図1(b)、
図2(c)及び
図3に示すように、圧電素子3は所定の厚さを有し、例えば、円板形状をなす圧電セラミックス4(「円板型圧電セラミックス」と記す)からなり、圧電セラミックス4の円形の両面(主面5)には、電極が形成されている。
【0050】
圧電セラミックス4の一方の電極(第1の電極)7は、表面である一方の主面5aの中心付近に圧電部材の径よりも小さい円形で設けられ、他方の電極(第2の電極)8は、裏面である他方の主面5bから側面6(
図3に示す)を導電性部材で囲んで、側面6を介して円形の一方の主面5aの径の端部に環状に設けられている。
【0051】
圧電素子3の圧電セラミックス4は、径方向振動の共振周波数を有する交流電圧(電力)を電極に印加することにより、円板型圧電セラミックス4が、拡がり振動モードで振動して、例えば、円板型圧電セラミックス4の側面(端面)6が径方向に変位して振動する。
【0052】
尚、拡がり振動とは、圧電素子に電界を加えて分極を起こさせて、電界方向に対して応力が垂直の方向に発生する横効果を利用した振動モードであり、長さ振動、面積振動又は径方向振動をいい、圧電素子の分極方向に対して垂直方向に振動する形態である。また、各振動モードにおける共振周波数は、長さ振動では、表面が長方形の長辺の長さに反比例し、面積振動では表面が正方形の一辺の長さに反比例し、径方向振動では表面が円形の直径に反比例して変化する。
【0053】
圧電セラミックス4を用いた圧電素子3の大きさは、一例として、直径が20mm、厚さ7mmであり、共振周波数は140kHzである。尚、圧電素子3は、例示した大きさや共振周波数に限定するものではなく、適宜変更して使用するようにしてもよい。
【0054】
また、圧電素子3の圧電部材は、圧電セラミックスが好適であるが、これに限定するものではない。
【0055】
また、圧電素子3の形状は、円板型に限定するものではなく、他の形状であってもよく、例えば、
図4、
図5に示すような圧電素子であってもよい。
図4は、主面の略中央部に孔部を有する円環形状の圧電素子を用いた超音波振動子を下方から見た斜視図、
図5は、
図4に示すB−B線断面図である。
【0056】
図4及び
図5に示すように、円環形状の圧電素子は、圧電素子3の両面(主面5)を貫通する孔部9が主面5の略中央部に設けられており、円環形状を成す圧電セラミックス4(「円環型圧電セラミックス」と記す)からなる。
【0057】
円環型圧電セラミックス4を用いた圧電素子は、円板型圧電セラミックス4と同様に、両面(主面5)には、電極が形成されており、一方の電極(第1の電極)7は、表面である一方の主面5aの中心付近に圧電部材の径よりも小さい環状で設けられ、他方の電極(第2の電極)8は、裏面である他方の主面5bから側面6(
図5に示す)を導電性部材で囲んで、側面6を介して円形の一方の主面5aの径の端部に環状に設けられている。尚、
図5に示す振動部材15は、
図1に示す振動部材15と同一の構成である。
【0058】
また、圧電素子3は、凸多角形状に構成するようにしてもよく、例えば、正六角形等の正多角形であってもよい。
【0059】
このように、圧電セラミックス4を使用した圧電素子3の拡がり振動における振動周波数は、200kHz以下の低い周波数であり、これにより200kHz以下の低周波の超音波振動が可能となる。
【0060】
前述したように円板型等の圧電素子3は、圧電素子3の厚さ方向の共振周波数及び径方向の共振周波数を持っている。圧電素子3の径方向の共振周波数は、厚さ方向の共振周波数よりも低いことが知られている。また、圧電素子3の径を変更することにより、圧電素子3の径方向の共振周波数を変更することができる。
【0061】
しかしながら、圧電素子3の径方向振動は、従来のスポットシャワー型に使用されている圧電素子の縦効果の振動である円板の厚み振動の振動形態とは異なっている。このため、発明者は、洗浄用の小型化された低周波用超音波振動子を実用化すべく、圧電素子における径方向振動の振動方向と直交する方向の振動に変換して使用することに試行錯誤の結果、思い至ったものである。即ち、圧電素子3に振動部材15を設けて、振動部材15が、圧電素子3の径方向振動の振動方向と直交する方向の振動に変換する振動方向変換器として作用するようにする。
【0062】
[振動部材の構成]
以下に、超音波振動子1における振動部材について
図1乃至
図3を用いて説明する。振動部材15は、圧電素子3の径方向振動の振動方向と直交する方向の振動に変換して、洗浄液等の液体に超音波振動を印加するものである。
【0063】
図1、
図2(a)及び
図3に示すように、洗浄液等の液体に超音波振動を印加する振動部材15は、圧電素子の振動を液体に印加する振動面17と、圧電素子3を収納して固定する圧電素子収納部21と、円錐台状の形状をなし、振動面17と圧電素子収納部21とを接続する振動伝達部16と、筐体に固定するための鍔部23とを有し、一体に構成されている。
【0064】
図3に示すように、振動部材15は内部が中空であり、振動面17は、圧電素子3の主面5(他方の主面5b)から延びた垂線の成す領域内に位置し、外部が液体(洗浄液)に接し、圧電素子3の主面5(他方の主面5b)から離間し、かつ、主面5と平行に配置されている。
【0065】
図1(a)及び
図2(b)に示すように、振動伝達部16の先端に位置する振動面17は、振動伝達部16の先窄まり方向の中心軸との交点を中心として、表面が円形を成している。
【0066】
図1(a)に示すように、振動伝達部16の上部に位置する振動面17の端部17aと反対側の振動伝達部16の下端部19との間の面は、曲面からなる傾斜面を成している。
【0067】
図3に示すように、振動伝達部16の下部に位置する圧電素子収納部21は、内部に圧電素子3を収納し、振動伝達部16の下端部19に沿って設けられた短い円柱から成る。
【0068】
図3に示すように、振動部材15の圧電素子収納部21は、圧電素子3の側面6に接して圧電素子3の周囲を囲繞し、圧電素子3の拡がり振動モードの振動方向と同一の方向に伸縮して振動する。また、圧電素子3の側面6は、振動部材15の圧電素子収納部21に嵌合又は接着剤を介して固定されている。これにより、振動面17は、圧電素子収納部21と振動伝達部16によって圧電素子3の振動を伝達されて、拡がり振動モードの振動方向と直交する方向に振動される。
【0069】
また、圧電素子収納部21の短い円柱における下部の端部は、鍔部23を連設している。圧電素子収納部21の下部の端部に連設されている鍔部23は、振動面17と反対側に位置し、圧電素子3の拡がり振動モードの振動方向に伸縮するリング状の平板からなる。尚、洗浄装置の筐体等への超音波振動子1の取付は、鍔部23の表面を押圧するようにして行われる。
【0070】
振動部材15の部材は、例えばSUSが用いられている。尚、振動部材15の部材は、SUSに限定するものではなく、他の部材、例えば、チタンであってもよい。
【0071】
このように、振動部材15における振動面17と圧電素子収納部21とを接続する振動伝達部16は、圧電素子3の主面5から延びた垂線の成す領域内に位置するように延伸するように設けられており、圧電素子3が拡がり振動モードの振動方向に伸縮して振動することにより、圧電素子3と離間して平行に設けられている振動面17の表面は、圧電素子3の拡がり振動モードの振動方向に対して直交する方向に振動する。このため、振動伝達部16の上部に位置する振動面17は、洗浄液に超音波振動を印加するための主振動面を成している。また、振動部材15は、振動面17と圧電素子収納部21と振動伝達部16によって、圧電素子3の主面5(他方の主面5b)を囲繞する空間を形成している。
【0072】
尚、振動部材が、振動面を先端とする円錐台状に構成された形態について述べたが、振動部材は、円錐台の形状に代えて、円柱状の形状で構成してもよい。振動部材を円柱状の形状で構成することにより、圧電素子の径の大きさに近い振動面を設けることができる。
【0073】
また、圧電素子3が、凸多角形状に構成されている場合には、振動部材15は、振動面17を先端とする圧電素子3の凸多角形状の形状に対応する角錐台状又は角柱状に構成される。
【0074】
また、
図4及び
図5に示す超音波振動子における圧電素子に円環型圧電セラミックス4を使用することにより、円環型圧電セラミックス4は、中心付近に設けられた孔部9から、超音波振動子の組立工程で振動伝達部16の内部に発生する接着剤の揮発成分を外部に排出することができる。また、円環型セラミックスは、洗浄装置等における振動部材15の内部を超音波振動子1の周囲の気圧、温度に維持することができる。このため、円環型圧電セラミックス4は、使用環境によって適宜使用することができる。
【0075】
[振動部材の振動形態]
次に、超音波振動子の振動部材の振動形態について
図6を用いて説明する。
図6は、超音波振動子の振動部材の振動変位形態について説明する図であり、
図6(a)は、圧電素子が径方向に縮むときの振動部材の変形状態を示す図、
図6(b)は、超音波振動子の振動部材が正常形状に復帰した状態を示す図、
図6(c)は、圧電素子が径方向に延びるときの振動部材の変形状態を示す図である。尚、
図6において圧電素子表面の電極は記載を省略している。
【0076】
圧電素子3に超音波発振器(図示せず)によって拡がり振動モードの共振周波数を有する電力を入力して、圧電素子3に径方向振動を発生させる。例えば、超音波発振器によって
図3に示す圧電素子3の第1の電極7に正極性の電圧(電力)を印加し、第2の電極8に負極性の電圧(電力)を印加することにより、振動部材15は、圧電素子3の拡がり振動によって、セラミック振動子3の側面6が径方向に変位する。これにより、圧電素子3の側面6と接着されている振動部材15の圧電素子収納部21が径方向に変位する。
【0077】
図6(a)に示すように、振動部材15は、圧電素子3が矢印で示す径方向に縮むように変位することにより、振動部材15の圧電素子収納部21が圧電素子3と同一の方向に縮むように変位する。このとき振動部材15における振動伝達部16(の傾斜面)が変形して、傾斜面の高さ方向における中心付近(
図6(a)に示すa)から振動面17の周端(
図6(a)に示すb)側に位置する傾斜面は、中心付近(
図6(a)に示すa)から急激な傾斜を成し、振動面17付近で徐々に緩やかな傾斜を成している。この状態で振動面17は、圧電素子3の径方向振動と直交する方向(矢印で示す)に延伸して、変位する。
【0078】
また、圧電素子3が径方向に縮むことにより、振動伝達部16の傾斜面の中心付近から振動伝達部16の下部の先端(
図6(a)に示すc)側の圧電素子収納部21側に位置する振動伝達部16の傾斜面は、緩やかな傾斜を成すように変形する。
【0079】
また、圧電素子収納部21は、圧電素子3と同一の方向に変位し、同時に鍔部23も径方向に縮むように変位する。これにより、振動
部材15における振動面17の位置が高くなる。
【0080】
次に、超音波発振器によって圧電素子3の第1の電極7及び第2の電極8の電圧(電力)の大きさを減らしていき、電圧をゼロにすることにより、
図6(b)に示すように、超音波振動子1の振動部材15は、一時的に正常形状に復帰する。
【0081】
次に、圧電素子3の第1の電極7に負極性の電圧(電力)を印加し、第2の電極8に正極性の電圧(電力)を印加することにより、振動部材15は正常形状に復帰後に、圧電素子3が径方向に伸びるように変位する。
【0082】
図6(c)に示すように、振動部材15は、圧電素子3が矢印で示す径方向に伸びるように変位することにより、振動部材15の圧電素子収納部21が圧電素子3と同一の方向に変位する。このとき振動部材15における振動伝達部16の傾斜面が変形して、傾斜面の高さ方向における中心付近(
図6(c)に示すd)から振動面の端部17a(
図6(c)に示すe)側に位置する傾斜面は、傾斜面の中心付近からほぼ平坦な傾斜を成し、振動面17付近で多少緩やかな傾斜を有している。この状態で振動面17は、圧電素子の振動方向と矢印で示す直交する方向に収縮して、変位する。
【0083】
また、圧電素子3が径方向に延びることにより、振動伝達部16の傾斜面の中心付近から振動伝達部16の下部の先端(
図6(c)に示すf)側の圧電素子収納部21側に位置する傾斜面は、急激な傾斜を成すように変形する。
【0084】
また、圧電素子収納部21は、圧電素子3と同一の方向に変位し、同時に鍔部23も径方向に伸びるように変位する。これにより、振動部材15における振動面17の位置が低くなる。
【0085】
このように、圧電素子3が径方向に変位して伸縮を繰り返すことにより、振動部材15の振動収納部16は、圧電素子と同一の方向に変位して、振動部材15の振動面17は圧電素子の振動方向に対して直交する方向に振動する。また、振動部材15は、圧電素子3の径方向振動を、振動の方向を変換する振動方向変換器としても作用する。
【0086】
以上述べたように、本発明の超音波振動子によれば、従来のように圧電素子の縦方向の振動を使用することなく、圧電素子の拡がり振動の横効果の振動である径方向振動を、振動部材を用いて径方向振動の振動方向と直交する方向の振動に変換して低周波で振動させるため、超音波振動子の小型化が可能となる。
【0087】
[スポットシャワー型超音波洗浄装置の構成]
次に、超音波振動子を用いた洗浄装置の第1の実施形態としてのスポットシャワー型超音波洗浄装置について
図7乃至
図9を用いて説明する。
【0088】
図7は、スポットシャワー型超音波洗浄装置を示す斜視図、
図8はスポットシャワー型超音波洗浄装置の断面図、
図9は、スポットシャワー型超音波洗浄装置の筐体に組み込まれた各部を示す展開斜視図である。尚、
図8において圧電素子表面の電極は記載を省略している。
【0089】
図7及び
図8に示すように、スポットシャワー型超音波洗浄装置30は、筐体32と、筐体32に内蔵された超音波振動子1と、筐体32の先端部に取り付けられたノズル35とが設けられている。超音波振動子1は、
図1に示す超音波振動子1と構成は同一であるため、説明は省略する。
【0090】
図7及び
図8に示すように、スポットシャワー型超音波洗浄装置30の筐体32は、略円筒状の形状を成し、筐体32の側面には、超音波振動子1に洗浄液を供給する給液口34及び超音波振動子1に電力を供給する給電口(図示せず)が設けられている。また、超音波振動子1における圧電素子3と平行に配された振動面17が、ノズル35と対向するように取り付けられている。
【0091】
図8及び
図9に示すように、スポットシャワー型超音波洗浄装置30の筐体32内部には、先端部に洗浄液を放出するノズル35と、筐体32内部に超音波振動子1を取付固定するためのリング状の受け部33が突出して設けられており、受け部33の上面にリング状のパッキン40が取り付けられている。パッキン40の上面に超音波振動子1の鍔部23が位置し、超音波振動子1は、鍔部23の上面から押さえリング体42によって筐体32に押圧、固定されている。
【0092】
尚、スポットシャワー型超音波洗浄装置30の筐体32の内部の上部32aにはネジ部(図示せず)が設けられており、側面42aにネジ(図示せず)が設けられて押さえリング体42を筐体の内部の上部に螺入して超音波振動子1を押圧して固定するようにする。
【0093】
ノズル35は、外周に雄ネジ(図示せず)が設けられ、内部に吐出孔36を有する円筒状の形状であり、筐体32の先端部に取り付けられており、ノズル35の上部は超音波振動子1における振動部材15の振動面17と対向している。ノズル35の上部の設けられた吐出孔36の穴径の外周は面取りされており、上部の吐出孔36の穴径は、下部の吐出孔36の穴径よりも大きくなるように形成されている。
【0094】
スポットシャワー型超音波洗浄装置の超音波振動子1は、
図1に示す超音波振動子1であり、超音波発振器により200kHz以下の周波数を有する電力を供給して、超音波振動を発生させる。これにより、超音波振動子1の振動面17が直交する方向に振動して、給液口34から供給される洗浄液に超音波振動が印加されて、ノズル35上部の吐出孔36に流入して、ノズル35先端から超音波振動が印加された洗浄液が放出される。
【0095】
このように、スポットシャワー型超音波洗浄装置は、給液口34から供給された洗浄液に超音波振動子1から放射された超音波を印加してノズル35の先端から超音波洗浄液を放出(噴射)してノズル35の前方に配置された被洗浄物を洗浄する。
【0096】
これにより、スポットシャワー型超音波洗浄装置30は、被洗浄物の特定の箇所の狭い範囲に洗浄液を放出することができ、洗浄液を減らすことができる。
【0097】
また、超音波振動子1は、圧電素子3が200kHz以下の径方向振動の共振周波数を有し、径方向振動の振動方向と直交する方向の振動に変換する振動部材15を設けることにより、この超音波振動子1を用いたスポットシャワー型超音波洗浄装置は、小型化が可能となる。
【0098】
また、超音波振動子1は、従来の高周波を使用したスポットシャワー型超音波洗浄装置とほぼ同一の寸法を維持することにより、従来のスポットシャワー洗浄装置との共用、置き換えが可能となる。
【0099】
[洗浄槽型超音波洗浄装置の構成]
次に、超音波振動子を用いた洗浄装置の第2の実施形態としての洗浄槽型超音波洗浄装置について
図10乃至
図13を用いて説明する。
【0100】
図10は、洗浄槽型超音波洗浄装置における洗浄槽の底部に組み込まれた超音波振動子の取付を示す斜視図、
図11は、洗浄槽型超音波洗浄装置における洗浄槽の底部に組み込まれた超音波振動子の取付を示す上方から見た斜視図、
図12は洗浄槽型超音波洗浄装置における洗浄槽の底部に組み込まれた超音波振動子の取付を示す断面図、
図13は洗浄槽型超音波洗浄装置の洗浄槽に組み込まれた超音波振動子を含む各部を示す展開斜視図、
図14は、振動子取付平板に複数の超音波振動子を取り付けた洗浄槽を示す構成図であり、
図14(a)は、洗浄槽を底部から見た斜視図、
図14(b)は、洗浄槽の平面図、
図14(c)は、
図14(b)に示すC−C線の断面図である。
【0101】
尚、
図8及び
図12において圧電素子表面の電極は記載を省略している。また、
図11は、超音波振動子の取付を説明のために洗浄槽61を図示していない斜視図である。さらに、
図14(c)において圧電素子表面の電極は記載を省略している。
【0102】
図10及び
図11に示すように、洗浄槽型超音波洗浄装置60の洗浄槽61の底部に設けられた超音波振動部62は、振動子取付平板63に超音波振動子1が取り付けられている。
図12及び
図13に示すように、振動子取付平板63の主面には、中央部に開口部64(
図13に示す)が設けられており、振動子取付平板63の一方の面には、スタットボルト68が設けられている。振動子取付平板63の他方の面は、洗浄槽側に位置し、洗浄液と接することとなる。また、振動子取付平板63の一方の面には、パッキン66を介在して超音波振動子1が取り付けられている。
【0103】
超音波振動子1は、
図1に示す超音波振動子1であり、圧電素子3と平行に配された振動面17が、振動子取付平板63の開口部64から洗浄槽61に突出するように取り付けられている。
【0104】
また、
図13に示すように、押さえ板69は、略正方形状を成し、中心付近に開口部71が設けられ、開口部
71の端面の全周にはリング状の突起部70が設けられている。押さえ板69の四隅には、スタットボルト68を通すための孔が備えられている。
【0105】
押さえ板69の孔をスタットボルト68を通すように取り付けて、超音波振動子1は、リング状の突起部70により鍔部23の下面から押さえ板69によってパッキン66を介して振動子取付平板63に押圧されて、固定される。
図13に示すように、押さえ板69は、ワッシャー74、スプリングワッシャー75を介してナット76で固定される。
【0106】
図10に示す実施形態では、1つの振動子取付平板63に1個の超音波振動子1を取り付けている。本発明の超音波洗浄装置は、振動子取付平板63に複数の超音波振動子1を取り付けることも可能となっている。
【0107】
以下に、洗浄槽に複数の超音波振動子を設けた超音波洗浄装置について
図14を用いて説明する。
【0108】
図14(a)に示すように、超音波洗浄装置80は、洗浄槽81の底面には、超音波振動部82が設けられており、洗浄槽81の
底面をなす振動子取付平板83には、複数の超音波振動子1が取り付けられている。 振動子取付平板83の主面には、取り付ける超音波振動子1の数に相当する開口部84(
図14(c)に示す)が所定の間隔で設けられており、振動子取付平板83の一方の面には、押さえ板89の外周形状
に沿った位置にスタットボルト88が設けられており、振動子取付平板83の他方の面は、洗浄槽81の底を成し、洗浄液と接することとなる。
【0109】
超音波振動子1は、
図1に示す超音波振動子1であり、
図14(b)及び
図14(c)に示すように、圧電素子
3と平行に配された振動面17が、振動子取付平板83の開口部84から洗浄槽81に突出するように取り付けられている。
【0110】
また、
図14(a)及び
図14(c)に示すように、押さえ板89は、長六角形方形状を成し、中心付近に開口部91が設けられ、開口部91の端面の全周にはリング状の突起部90が設けられている。押さえ板89の外周には、スタットボルト88を通すための孔が備えられている。
【0111】
押さえ板89の孔にスタットボルト88を通すように取り付けて、超音波振動子1は、リング状の突起部90により鍔部23の下面から押さえ板89によって振動子取付平板83にパッキン93を介して押圧されて、固定されている。
図12と同様に、押さえ板89は、ワッシャー、スプリングワッシャーを介してナットで固定される。
【0112】
尚、本発明による超音波振動子を用いた超音波洗浄装置は、
図14に示す振動子取付平板における超音波振動子の配置、使用個数を限定するものではなく、洗浄槽の底面の超音波振動子の配置、使用個数等は適宜選択するようにしてもよい。
【0113】
図15は、超音波洗浄装置の洗浄槽に組み込まれた超音波振動子の振動による洗浄槽内の超音波の照射状態を示す一部断面を含む図である。尚、
図15において圧電素子表面の電極は記載を省略している。
図15に示すように、超音波振動子1の圧電素子3が矢印で示す径方向に振動することにより、振動部材15の振動面17が矢印で示す上下に振動して洗浄液100に超音波振動を印加する。また、洗浄槽の底面の大きさに応じて、超音波振動子1を複数設けることにより、洗浄槽内の洗浄液の全域に超音波を照射することができる。
【0114】
本発明の超音波洗浄装置は、超音波振動子が洗浄槽に直に接合されている構造でないため、超音波振動子1の故障時には、故障した超音波振動子1を交換することができるため、交換、メンテナンス等を容易に行うことができる。
【0115】
以上述べたように、本発明によれば、従来のように圧電素子の円板の厚み振動を使用することなく、圧電素子の拡がり振動の横効果の振動である径方向振動を、振動部材を用いて拡がり振動モードにおける径方向振動の振動方向と直交する方向の振動に変換して低周波で振動させるため、低周波であっても超音波振動子の小型化が可能となる。
【0116】
また、拡がり振動モードを有する圧電素子を用いて圧電素子が小型化したことにより、従来のスポットシャワー洗浄装置の筐体に取付けることが可能となる。
【0117】
また、洗浄形態をスポットシャワー型にすることにより、被洗浄物の洗浄が必要な箇所を選択することが可能となり、洗浄に必要な洗浄液の量を減らすことができる。
【0118】
また、従来使用していたランジュバン振動子は、振動周波数によってランジュバン振動子の長手方向の長さが変わるため、低周波の振動周波数では振動子の厚みが増加する。一方、圧電素子としての円板型圧電セラミックスの共振周波数は、円板型圧電セラミックスの径の大きさを変えることで共振周波数を可変することが可能となる。このため、円板型圧電セラミックスは、振動周波数によって振動子の厚みが増すことがなく、小型化が可能となる。
【0119】
また、圧電素子としての圧電セラミックスの振動子入力は、10W/cm
2程度までの電力を入力することが可能であり、大きな振動を得ることができるため、1つの圧電素子でも十分な洗浄力を得ることができる。
【0120】
また、本発明の超音波振動子の圧電素子は、拡がり振動モードを有しており、圧電素子の形状を円板状、凸多角形状のような振動部材により囲繞して、シールドしやすい形状とすることが可能であり、圧電素子に液体が触れることを容易に防止可能である。
【0121】
また、本発明の超音波振動子は、洗浄槽を有する超音波洗浄装置にも使用することが可能である。
【0122】
また、圧電素子としての圧電セラミックスは、強力な振動を発生することができるため、超音波振動を用いた分散処理や乳化処理等にも応用することができる。
【0123】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。