特許第6802387号(P6802387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6802387-部品供給装置 図000002
  • 特許6802387-部品供給装置 図000003
  • 特許6802387-部品供給装置 図000004
  • 特許6802387-部品供給装置 図000005
  • 特許6802387-部品供給装置 図000006
  • 特許6802387-部品供給装置 図000007
  • 特許6802387-部品供給装置 図000008
  • 特許6802387-部品供給装置 図000009
  • 特許6802387-部品供給装置 図000010
  • 特許6802387-部品供給装置 図000011
  • 特許6802387-部品供給装置 図000012
  • 特許6802387-部品供給装置 図000013
  • 特許6802387-部品供給装置 図000014
  • 特許6802387-部品供給装置 図000015
  • 特許6802387-部品供給装置 図000016
  • 特許6802387-部品供給装置 図000017
  • 特許6802387-部品供給装置 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802387
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   H05K13/02 D
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-542905(P2019-542905)
(86)(22)【出願日】2017年9月22日
(86)【国際出願番号】JP2017034266
(87)【国際公開番号】WO2019058499
(87)【国際公開日】20190328
【審査請求日】2019年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】松本 達
(72)【発明者】
【氏名】濱根 剛
(72)【発明者】
【氏名】杉原 章郎
【審査官】 宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/071984(WO,A1)
【文献】 特開平05−009541(JP,A)
【文献】 実開昭54−130291(JP,U)
【文献】 実開昭56−073571(JP,U)
【文献】 国際公開第2016/092658(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30、13/00−13/08
B65G 19/00−19/30
B65G 47/22−47/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が散在されるステージと、
前記ステージに散在された電子部品と接触可能な高さに配設された接触部と、
前記ステージと前記接触部とを相対的にスライドさせるスライド装置と、
前記スライド装置による前記ステージと前記接触部との相対的なスライドに伴って、前記ステージに散在された電子部品が、前記接触部により堰き止められて落下する落下口と、
前記落下口の前記ステージに散在された電子部品が落下する側と反対側に配設された壁と
を備え、
前記接触部が、
前記スライド装置によるスライド方向と交差する方向に延びるように配設されており、少なくとも一部において、前記スライド方向と直交する方向であって、かつ、前記ステージの上面に沿う方向に対して傾斜する部品供給装置。
【請求項2】
前記接触部が、
両端部の各々から中央部に向かって前記落下口から離れるように傾斜する請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記落下口の前記ステージに散在された電子部品が落下する側の端部と前記壁との間の距離が、前記部品供給装置が供給する電子部品の最大寸法の1.2倍以上である請求項1または請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記部品供給装置が、上方が開口した箱部材を備え、
前記箱部材の上方の開口が、前記落下口として機能し、
前記箱部材の側面が、前記壁として機能する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が散在されるステージを備える部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品供給装置には、ステージの上に散在された状態で部品を供給するものがある。このような部品供給装置には、スクレーパ等の接触部を用いて、接触部とステージとの少なくとも一方をスライドさせることで、ステージ上の部品を落下口に落とし、部品を回収する装置がある。また、下記特許文献に記載されているように、ステージ上の部品を、スクレーパ等の接触部を用いて、所定の箇所に集める技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−132577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献には、ステージ上の部品を落下口に落とすための技術は全く記載されていない。一方で、本発明は、ステージ上の部品を好適に落下口に落とすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、電子部品が散在されるステージと、前記ステージに散在された電子部品と接触可能な高さに配設された接触部と、前記ステージと前記接触部とを相対的にスライドさせるスライド装置と、前記スライド装置による前記ステージと前記接触部との相対的なスライドに伴って、前記ステージに散在された電子部品が、前記接触部により堰き止められて落下する落下口と、前記落下口の前記ステージに散在された電子部品が落下する側と反対側に配設された壁とを備え、前記接触部が、前記スライド装置によるスライド方向と交差する方向に延びるように配設されており、少なくとも一部において、前記スライド方向と直交する方向であって、かつ、前記ステージの上面に沿う方向に対して傾斜する部品供給装置を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示では、接触部が、少なくとも一部において、ステージと接触部とのスライド方向と直行する方向に対して傾斜している。これにより、部品をスライド方向と交差する方向に押すことが可能となり、ステージ上の部品を好適に落下口に落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】部品実装機を示す斜視図である。
図2】部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
図3】ばら部品供給装置を示す斜視図である。
図4】部品供給ユニットを示す斜視図である。
図5】部品供給ユニットを示す透過図である。
図6】部品供給ユニットを示す透過図である。
図7】部品散在装置を示す斜視図である。
図8】部品散在装置を示す斜視図である。
図9】部品保持ヘッドを示す斜視図である。
図10】電子回路部品が収納された状態の部品受け部材を示す図である。
図11】部品実装機の制御装置を示すブロック図である。
図12】部品詰まりの発生した状態のスクレーパ及びステージを示す概略図である。
図13】部品詰まりを解消可能な実施例のスクレーパ及びステージを示す概略図である。
図14】部品詰まりを解消可能な実施例のスクレーパ及びステージを示す概略図である。
図15】部品詰まりを解消可能な実施例のスクレーパ及びステージを示す概略図である。
図16】部品詰まりを解消可能な変形例のスクレーパ及びステージを示す概略図である。
図17】部品詰まりを解消可能な変形例のスクレーパ及びステージを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
(A)部品実装機の構成
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、撮像装置26,28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御装置(図11参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0010】
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0011】
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62は、吸着ノズル(図2参照)66を有しており、吸着ノズル66によって部品を保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、図2に示すように、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
【0012】
撮像装置26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、撮像装置26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。撮像装置28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、撮像装置28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
【0013】
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図示省略)とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置は、テープフィーダ(図示省略)、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
【0014】
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。以下に、部品供給装置32の構成について詳しく説明する。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等の電子部品が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
【0015】
ばら部品供給装置32は、図3に示すように、本体80と、部品供給ユニット82と、撮像装置84と、部品引渡し装置86とを有している。
【0016】
(a)部品供給ユニット
部品供給ユニット82は、部品供給器88と部品散在装置(図4参照)90と部品戻し装置(図4参照)92とを含み、それら部品供給器88と部品散在装置90と部品戻し装置92とが一体的に構成されたものである。部品供給ユニット82は、本体80のベース96に着脱可能に組み付けられており、ばら部品供給装置32では、5台の部品供給ユニット82が、X方向に1列に並んで配設されている。
【0017】
部品供給器88は、概して直方体の箱形状をなし、図4及び図5に示すように、Y方向に延びるように配設されている。なお、Y方向を部品供給器88の前後方向と記載し、部品供給ユニット82において、部品戻し装置92が配設されている側に向かう方向を、前方と記載し、部品供給器88が配設されている側に向かう方向を、後方と記載する。
【0018】
部品供給器88は、上面と前面とにおいて開口しており、上面の開口は、部品の投入口97とされ、前面の開口は部品の排出口98とされている。部品供給器88では、投入口97の下方に、傾斜板104が配設されている。傾斜板104は、部品供給器88の後方側の端面から中央方向に向かって、下方に傾斜するように配設されている。
【0019】
また、傾斜板104の前方側に、図5に示すように、コンベア装置106が配設されている。コンベア装置106は、傾斜板104の前方側端部から部品供給器88の前方に向かって、上方に傾斜するように配設されている。なお、コンベア装置106のコンベアベルト112は、図5での反時計回りに回転する。つまり、コンベア装置106による搬送方向は、傾斜板104の前端部から前方に向かって斜め上方とされている。
【0020】
また、コンベア装置106の前方側端部の下方には、傾斜板126が配設されている。傾斜板126は、部品供給器88の前方側の端面からコンベア装置106の下方に向かって配設されており、後方側の端部が斜め下方に傾斜している。さらに、その傾斜板126の下方にも、傾斜板128が配設されている。傾斜板128は、コンベア装置106の中央部の下方から部品供給器88の排出口98に向かって、前方側の端部が下方に位置するように傾斜している。
【0021】
部品散在装置90は、部品支持部材150と部品支持部材移動装置152とを含む。部品支持部材150は、ステージ156と1対の側壁部158とによって構成されている。ステージ156は、概して長手形状の板形状をなし、部品供給器88の下方から前方に延び出すように、配設されている。なお、ステージ156の上面は、概して水平とされており、図5に示すように、部品供給器88の傾斜板128の前方側の端部と僅かなクリアランスのある状態で配設されている。また、1対の側壁部158は、図4に示すように、ステージ156の長手方向の両側部に立設された状態で固定されている。
【0022】
また、部品支持部材移動装置152は、部品支持部材150をエアシリンダ(図11参照)166の作動によりY方向にスライドさせる。この際、部品支持部材150は、部品供給器88の下方に格納された格納状態(図6参照)と、部品供給器88の下方から露出した露出状態(図5参照)との間で移動する。
【0023】
部品戻し装置92は、図7に示すように、部品回収容器180と容器揺動装置181とを含む。部品回収容器180は、図7及び図8に示すように、概して箱状をなし、1対の側壁面182と湾曲面184と仕切面186とによって構成されている。1対の側壁面182の各々は、概して扇形状をなし、外縁が円弧形状とされている。箱部材の一側面としての壁である湾曲面184は、側壁面182の円弧形状の外縁に沿って湾曲されており、湾曲面184の湾曲された両縁部に、1対の側壁面182の外縁が固定されている。また、仕切面186は板状をなし、1対の側壁面182によって挟まれた状態で、湾曲面184の湾曲方向における中央部に立設されている。これにより、部品回収容器180の内部が、1対の側壁面182と湾曲面184とによって区画され、その部品回収容器180の内部が、仕切面186によって仕切られている。
【0024】
また、1対の側壁面182の間の距離は、部品支持部材150のステージ156の幅方向(X方向)の寸法より僅かに大きくされており、ステージ156の前方側の端部が、1対の側壁面182によって挟まれている。そして、部品回収容器180が、1対の側壁面182において、ステージ156の前方側の端部によって揺動可能に支持されている。また、部品回収容器180は、容器揺動装置181の作動により、揺動する。この際、部品回収容器180は、開口188を上方に向けた収容姿勢(図7参照)と、開口188を部品支持部材150のステージ156の上面に向けた戻し姿勢(図8参照)との間で揺動する。なお、部品回収容器180が収容姿勢とされている際に、湾曲面184の上端部は、ステージ156の上面より上方に延び出している。
【0025】
(b)撮像装置
撮像装置84は、図3に示すように、カメラ290とカメラ移動装置292とを含む。カメラ移動装置292は、ガイドレール296とスライダ298とを含む。ガイドレール296は、部品供給器88の上方において、ばら部品供給装置32の幅方向(X方向)に延びるように、本体80に固定されている。スライダ298は、ガイドレール296にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(図11参照)299の作動により、任意の位置にスライドする。また、カメラ290は、下方を向いた状態でスライダ298に装着されている。
【0026】
(c)部品引渡し装置
部品引渡し装置86は、図3に示すように、部品保持ヘッド移動装置300と部品保持ヘッド302と2台のシャトル装置304とを含む。
【0027】
部品保持ヘッド移動装置300は、X方向移動装置310とY方向移動装置312とZ方向移動装置314とを含む。Y方向移動装置312は、X方向に延びるように、部品供給ユニット82の上方に配設されたYスライダ316を有しており、Yスライダ316は、電磁モータ(図11参照)319の駆動により、Y方向の任意の位置に移動する。X方向移動装置310は、Yスライダ316の側面に配設されたXスライダ320を有しており、Xスライダ320は、電磁モータ(図11参照)321の駆動により、X方向の任意の位置に移動する。Z方向移動装置314は、Xスライダ320の側面に配設されたZスライダ322を有しており、Zスライダ322は、電磁モータ(図11参照)323の駆動により、Z方向の任意の位置に移動する。
【0028】
部品保持ヘッド302は、図9に示すように、ヘッド本体330と吸着ノズル332とノズル旋回装置334とノズル回転装置335とを含む。ヘッド本体330は、Zスライダ322と一体的に形成されている。吸着ノズル332は、部品を保持するものであり、ホルダ340の下端部に着脱可能に装着されている。ホルダ340は、支持軸344において屈曲可能とされており、ノズル旋回装置334の作動により、ホルダ340が上方向に90度屈曲する。これにより、ホルダ340の下端部に装着されている吸着ノズル332は、90度旋回し、旋回位置に位置する。つまり、吸着ノズル332は、ノズル旋回装置334の作動により、非旋回位置と旋回位置との間で旋回する。もちろん、非旋回位置と旋回位置との間の角度で位置決め停止させることも可能である。また、ノズル回転装置335は、吸着ノズル332をそれの軸心周りに回転させる。
【0029】
また、2台のシャトル装置304の各々は、図3に示すように、部品キャリヤ388と部品キャリヤ移動装置390とを含み、部品供給ユニット82の前方側に横方向に並んで、本体80に固定されている。部品キャリヤ388には、5個の部品受け部材392が、横方向に一列に並んだ状態で装着されており、各部品受け部材392に、部品が載置される。
【0030】
なお、ばら部品供給装置32は、種々の部品を供給することが可能であり、部品受け部材392は、部品の形状に応じて種々のものが用意されている。ここでは、ばら部品供給装置32により供給される部品として、図10に示すように、リードを有する電子回路部品410に対応する部品受け部材392について説明する。電子回路部品410は、ブロック状の部品本体412と、部品本体412の底面から突出する複数のリード414とから構成されている。
【0031】
また、部品受け部材392には、電子回路部品410に応じた形状の部品受容凹部416が形成されている。部品受容凹部416は、段付き形状の凹部であり、部品受け部材392の上面に開口する本体部受容凹部418と、その本体部受容凹部418の底面に開口するリード受容凹部420とから構成されている。そして、電子回路部品410は、リード414が下方を向く姿勢で、部品受容凹部416の内部に挿入される。これにより、リード414がリード受容凹部420に挿入されるとともに、部品本体412が本体部受容凹部418に挿入された状態で、電子回路部品410が部品受容凹部416の内部に載置される。
【0032】
また、部品キャリヤ移動装置390は、図3に示すように、板状の長手部材であり、前後方向に延びるように、部品供給ユニット82の前方側に配設されている。部品キャリヤ移動装置390の上面には、部品キャリヤ388が前後方向にスライド可能に配設されており、電磁モータ(図11参照)430の駆動により、前後方向の任意の位置にスライドする。なお、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82に接近する方向にスライドした際には、部品保持ヘッド移動装置300による部品保持ヘッド302の移動範囲内に位置する部品受取位置までスライドする。一方、部品キャリヤ388が、部品供給ユニット82から離れる方向にスライドした際には、作業ヘッド移動装置64による作業ヘッド60,62の移動範囲内に位置する部品供給位置までスライドする。
【0033】
また、制御装置34は、図11に示すように、統括制御装置450と、複数の個別制御装置(図では1つのみ図示されている)452と、画像処理装置454とを含む。統括制御装置450は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に接続されている。これにより、統括制御装置450は、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32を統括して制御する。複数の個別制御装置452は、コンピュータを主体として構成されたものであり、基材搬送保持装置22,部品装着装置24,撮像装置26,撮像装置28,部品供給装置30,ばら部品供給装置32に対応して設けられている(図では、ばら部品供給装置32に対応する個別制御装置452のみが図示されている)。
【0034】
ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、部品散在装置90,部品戻し装置92,カメラ移動装置292,部品保持ヘッド移動装置300,部品保持ヘッド302,シャトル装置304を制御する。また、画像処理装置454は、撮像装置84に接続されており、撮像装置84により撮像された撮像データを処理する。その画像処理装置454は、ばら部品供給装置32の個別制御装置452に接続されている。これにより、ばら部品供給装置32の個別制御装置452は、撮像装置84により撮像された撮像データを取得する。
【0035】
(B)部品実装機の作動
部品実装機10は、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、撮像装置26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置の誤差に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。なお、ばら部品供給装置32による部品の供給に関しては、後で詳しく説明する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって部品を保持する。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、撮像装置28の上方に移動し、撮像装置28によって、吸着ノズル66に保持された部品が撮像される。これにより、部品の保持位置の誤差に関する情報が得られる。そして、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、保持している部品を、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正し、回路基材12上に装着する。
【0036】
(C)ばら部品供給装置の作動
(a)ばら部品供給装置による電子回路部品の供給
ばら部品供給装置32では、電子回路部品410が、作業者によって部品供給器88の投入口97から投入され、その投入された電子回路部品410が、部品供給ユニット82,部品引渡し装置86の作動により、部品キャリヤ388の部品受け部材392に載置された状態で供給される。
【0037】
詳しくは、作業者は、部品供給器88の上面の投入口97から、電子回路部品410を投入する。この際、部品支持部材150は、部品支持部材移動装置152の作動により、部品供給器88の下方に移動しており、格納状態とされている(図6参照)。なお、部品支持部材150が格納状態とされている際に、部品回収容器180は、部品供給器88の前方に位置しており、部品回収容器180の開口を上方に向けた姿勢(収容姿勢)とされている。
【0038】
部品供給器88の投入口97から投入された電子回路部品410は、コンベアベルト112によって前方側の斜め上方に向かって搬送される。そして、コンベアベルト112により搬送された電子回路部品410は、傾斜板126,128を経由して、部品供給器88の前方側の排出口98から排出される。
【0039】
これにより、部品供給器88の排出口98から排出された電子回路部品410は、部品回収容器180の内部に収容される。そして、部品供給器88から所定量の電子回路部品410が排出されると、つまり、コンベア装置106が一定量作動すると、コンベア装置106が停止する。次に、部品支持部材150が、部品支持部材移動装置152の作動により、格納状態から前方に向かって移動する。
【0040】
そして、部品支持部材150が格納状態から所定量、前方に向かって移動したタイミングで、部品戻し装置92の容器揺動装置181が作動し、部品回収容器180が揺動する。これにより、部品回収容器180の姿勢が、開口を上方に向けた姿勢(収容姿勢)から、開口をステージ156に向けた姿勢(戻し姿勢)に勢いよく変化する。この際、部品回収容器180に収容された電子回路部品410が、ステージ156に向かって勢いよく放出される。これにより、部品回収容器180からステージ156の上に電子回路部品410が散在される。
【0041】
続いて、部品支持部材150のステージ156の上に電子回路部品410が散在されると、撮像装置84のカメラ290が、カメラ移動装置292の作動により、部品支持部材150の上方に移動し、電子回路部品410を撮像する。そして、部品支持部材150の上面に散在された複数の電子回路部品410が、撮像データに基づいて、吸着ノズル332によってピックアップ可能な電子回路部品(以下、「ピックアップ対象部品」と記載する場合がある)と、吸着ノズル332によってピックアップ不可能な電子回路部品(以下、「非ピックアップ対象部品」と記載する場合がある)とに分けられる。
【0042】
ピックアップ対象部品と非ピックアップ対象部品との区分け手法は、本発明とは関係ないため、簡単に説明するが、凹凸面等の吸着し難い面が上を向いた状態の電子回路部品410,傾いた状態の電子回路部品410等が、非ピックアップ対象部品に区分けされ、それ以外の電子回路部品410が、ピックアップ対象部品に区分けされる。また、ピックアップ対象部品に区分けされた電子回路部品410に対して、撮像データに基づいて、部品支持部材150上での位置、電子回路部品410の姿勢等の情報が取得される。
【0043】
そして、取得されたピックアップ対象部品の位置情報に基づいて、ピックアップ対象部品の上方に、部品保持ヘッド302が、部品保持ヘッド移動装置300の作動により移動し、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される。なお、吸着ノズル332によってピックアップ対象部品が吸着保持される際には、吸着ノズル332は、非旋回位置に位置している。
【0044】
次に、電子回路部品410が吸着ノズル332によって保持された後に、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する。この際、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品受取位置に移動している。また、部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動する際に、吸着ノズル332は、旋回位置に旋回される。なお、旋回位置の吸着ノズル332に保持された電子回路部品410のリード414が、鉛直方向での下方を向くように、吸着ノズル332は、ノズル回転装置335の作動により、回転される。
【0045】
部品保持ヘッド302が部品キャリヤ388の上方に移動すると、リード414が鉛直方向での下方を向いた状態の電子回路部品410が、部品受け部材392の部品受容凹部416内に挿入される。これにより、電子回路部品410は、図10に示すように、リード414を鉛直方向での下方に向けた状態で、部品受け部材392に載置される。
【0046】
そして、電子回路部品410が部品受け部材392に載置されると、部品キャリヤ388は、部品キャリヤ移動装置390の作動により、部品供給位置に移動する。部品供給位置に移動した部品キャリヤ388は、作業ヘッド60,62の移動範囲に位置しているため、ばら部品供給装置32では、この位置において電子回路部品410が供給される。このように、ばら部品供給装置32では、リード414が下方を向き、リード414が接続された底面と対向する上面が上方を向いた状態で、電子回路部品410が供給される。このため、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66は、適切に電子回路部品410を保持することが可能となる。
【0047】
(b)電子回路部品の部品回収容器への収容、及びステージへの散在
ばら部品供給装置32では、部品支持部材150のステージ156の上にピックアップ対象部品が散在されている際には、散在されているピックアップ対象部品のピックアップが繰り返され、ピックアップされたピックアップ対象部品が部品受け部材392に載置される。そして、部品受け部材392の装着された部品キャリヤ388が部品供給位置に移動することで、電子回路部品410の供給が行われる。
【0048】
ただし、部品支持部材150のステージ156の上にピックアップ対象部品が散在されていない場合には、ステージ156から電子回路部品410をピックアップすることができない。つまり、ピックアップ可能な電子回路部品410が全てピックアップされ、非ピックアップ対象部品のみがステージ156の上に残存している場合には、ステージ156から電子回路部品410をピックアップすることができない。
【0049】
このため、ばら部品供給装置32では、そのような場合に、ステージ156の上に残存している電子回路部品410が部品回収容器180に回収される。そして、部品回収容器180に回収された電子回路部品410が、ステージ156の上に、再度、散在され、電子回路部品410の姿勢が変更されることで、ステージ156からの電子回路部品410のピックアップが再開される。
【0050】
具体的には、ステージ156の上のピックアップ対象部品が全てピックアップされると、部品支持部材150が、部品支持部材移動装置152の作動により、部品供給器88の下方に向かって移動する。つまり、部品支持部材150が、露出状態(図5参照)から格納状態(図6参照)に向かって移動する。この際、散在された電子回路部品410が落下する側である部品支持部材150の前端部側に配設されている箱部材である部品回収容器180は、電子回路部品410の落下口である開口を上方に向けた姿勢(回収姿勢)とされている。そして、部品支持部材150が露出状態から格納状態に向かって移動する際に、部品支持部材150のステージ156上の電子回路部品410は、部品供給器88の傾斜板128の前方側の端部によって堰き止められる。つまり、ステージ156上の電子回路部品410は、ステージ156の移動に伴って、スクレーパ460として機能する傾斜板128の前端部に接触し、堰き止められる。
【0051】
さらに、部品支持部材150が、図6に示すように、格納状態に至るまで移動すると、ステージ156上の電子回路部品410が、スクレーパ460の堰き止めにより、落下口を介して、部品回収容器180の内部に掻き落とされる。これにより、ステージ156の上の電子回路部品410が、部品回収容器180に回収される。このように、ステージ156の上の電子回路部品410が部品回収容器180に回収されると、その回収された電子回路部品410が、ステージ156の上に補給される。
【0052】
詳しくは、部品回収容器180への電子回路部品410の回収が完了した際に、部品支持部材150は、図6に示すように、格納状態とされている。このため、部品支持部材150が、部品支持部材移動装置152の作動により、格納状態から前方に向かって移動する。そして、部品支持部材150が格納状態から所定量、前方に向かって移動したタイミングで、部品戻し装置92の容器揺動装置181が作動し、部品回収容器180が揺動する。
【0053】
これにより、部品回収容器180の姿勢が、開口188を上方に向けた姿勢(収容姿勢)から、開口188をステージ156に向けた姿勢(戻し姿勢)に勢いよく変化する。この際、部品回収容器180に収容された電子回路部品410が、ステージ156に向かって勢いよく放出される。これにより、部品回収容器180からステージ156の上に電子回路部品410が散在される。つまり、部品回収容器180に回収された電子回路部品410が、ステージ156に補給される。
【0054】
(c)部品回収時における部品詰まりの解消
このように、ばら部品供給装置32では、ステージ156の上の電子回路部品410が部品回収容器180に回収され、部品回収容器180に回収された電子回路部品410がステージ156の上に散在される。これにより、ステージ156の上での電子回路部品410の姿勢を変更することが可能となり、ステージ156の上から再度、電子回路部品410をピックアップすることが可能となる。
【0055】
しかしながら、従来のばら部品供給装置では、ステージ156の上の電子回路部品410が部品回収容器180に回収される際に、電子回路部品410の詰まりが発生し、電子回路部品410を部品回収容器180に適切に回収できない場合がある。具体的には、従来のばら部品供給装置では、図12に示すように、ステージ156の上の電子回路部品410を堰き止める傾斜板128の前端部、つまり、スクレーパ470が、X方向に直線的に延び出している。つまり、電子回路部品410の回収時にステージ156がスライドする方向(Y方向)に対して、ステージ156の上面に沿って直行している。
【0056】
そして、ステージ156の上の複数の電子回路部品410が、部品支持部材150のスライド方向、つまり、Y方向に一直線上に並ぶ場合がある。このような場合に、部品支持部材150が格納状態に向かってスライドすると、図12に示すように、複数の電子回路部品410が、スクレーパ470と、電子回路部品410が落下する側と反対側の壁として機能する部品回収容器180の湾曲面184との間に挟まれた状態で詰まる虞がある。特に、電子回路部品410が、ステージ156上のX方向における縁部、つまり、側壁部158に近い側に多く散在されていると、その側壁部158に沿って一直線上に詰まる虞がある。
【0057】
また、ばら部品供給装置32では、ある程度、大きな部品が供給される。具体的には、例えば、最大寸法Bが30mmの電子回路部品410が供給される場合がある。一方で、部品回収容器180の大きさは、配設スペースなどを考慮して、ある程度、コンパクトにされている。このため、ばら部品供給装置32では、部品回収容器180の開口の電子回路部品410が落下する側の端部と、湾曲面184との間の距離(以下、「開口寸法」と記載する)Aが、40mmとされている。つまり、ばら部品供給装置32では、開口寸法A(=40mm)が電子回路部品410の最大寸法B(=30mm)の1.2倍以上とされている。なお、厳密に言えば、開口寸法A(=40mm)は最大寸法B(=30mm)の1.3倍以上であるが、誤差などを考慮して、開口寸法Aは最大寸法Bの1.2倍以上としている。
【0058】
このように、開口寸法Aが、電子回路部品410の最大寸法Bの1.2倍未満では、電子回路部品410が部品回収容器180の内部に落下して収容される前に、複数の電子回路部品410が、スクレーパ470と、電子回路部品410が落下する側と反対側の壁として機能する部品回収容器180の湾曲面184との間に挟まれた状態で詰まる虞がある。なお、部品回収容器180の開口寸法Aが、電子回路部品410の最大寸法Bの1.0倍より大きければ、物理的に、電子回路部品410を部品回収容器180に収容することは可能である。しかしながら、これを実行するためには、部品支持部材150の移動速度を非常に遅くする必要があり、電子回路部品410の回収作業に要する時間が長くなる。このため、与えられた処理時間内に電子回路部品410の回収作業を行うことを考慮した場合に、部品回収容器180の開口寸法を、電子回路部品410の最大寸法Bの1.2倍未満にすることは、制動制御技術をもってしても困難である。一方で、部品回収容器180の開口寸法Aは、部品回収容器180のコンパクト化を考慮して、電子回路部品410の最大寸法Bの1.5〜2.0倍以下であることが好ましい。
【0059】
また、電子回路部品410が、部品回収容器180に回収される際に、部品回収容器180の側壁面182の近くに、偏って収容されると、寸法が小さくても、詰まりが生じる虞がある。具体的には、例えば、電子回路部品410が、ステージ156上の側壁部158に近い側に多く散在されていると、部品回収容器180に収容された電子回路部品410は、側壁面182の近くに偏る。このように、部品回収容器180の側壁面182の近くに、電子回路部品410が偏って収容されると、部品回収容器180の側壁面182に沿って、電子回路部品410が積層される。この際、積層された電子回路部品410が部品回収容器180の開口188付近まで至る場合がある。このような場合に、部品回収容器180の内部で積層された電子回路部品410と、ステージ156から部品回収容器180の内部に落下する直前の電子回路部品410とが接触すると、その接触箇所において、ステージ156の上で電子回路部品410が停滞し、詰りが発生する虞がある。
【0060】
このようなことに鑑みて、ばら部品供給装置32では、図13にしめすように、ステージ156の上の電子回路部品410を堰き止める傾斜板128の前端部、つまり、スクレーパ460が、X方向に延びるように配設されているが、X方向に対して傾斜している。つまり、スクレーパ460は、電子回路部品410の回収時にステージ156がスライドする方向(Y方向)とステージ156の上面に沿って直行する方向に対して傾斜している。
【0061】
詳しくは、スクレーパ460は、全域において、両端から中央に向かって部品回収容器180から離れるように、直線的に傾斜している。つまり、スクレーパ460は、V字型に屈曲しており、屈曲した先端部が、電子回路部品410の回収時におけるステージ156のスライド方向に向かって延び出している。また、別の言い方をすれば、スクレーパ460は、中央部において、ステージ156のスライド方向に向かって凹んだ状態で傾斜している。なお、スクレーパ460の傾斜角度は、X方向に対して、概ね5度とされている。
【0062】
このように、スクレーパ460を傾斜させることで、ステージ156のスライドに伴って、ステージ156の上の電子回路部品410がスクレーパ460に接触した際に、電子回路部品410に加えられる力が、部品支持部材150のスライド方向に対して斜め方向となる。これにより、例えば、複数の電子回路部品410がステージ156のスライド方向に直線的に並んでいる場合に、スクレーパ460が電子回路部品410に接触することで、図14に示すように、複数の電子回路部品410が、部品支持部材150のスライド方向に対して斜め方向に並んだ状態となる。この際、並んだ状態の複数の電子回路部品410のうちの最も前方側の電子回路部品410は、部品回収容器180の湾曲面184に、傾斜した状態で接触する。このため、並んだ状態の複数の電子回路部品410は、スクレーパ460と湾曲面184とに挟まれることなく、最も前方側の部品回収容器180が、部品回収容器180の内部に落下する。
【0063】
続いて、ステージ156が、更にスクレーパ460に向かってスライドすることで、並んだ状態の複数の電子回路部品410が、図15に示すように、徐々に、ステージ156のスライド方向と交差する方向にズレる。そして、このように複数の電子回路部品410が、ステージ156のスライド方向と交差する方向にズレることで、複数の電子回路部品410が直線的に並んだ状態で、スクレーパ460と湾曲面184との間に挟まれて詰まる現象が防止される。これにより、開口寸法Aが40mmの部品回収容器180に、最大寸法Bが30mmの電子回路部品410を好適に収容することが可能となる。
【0064】
また、スクレーパ460は、V字型に屈曲し、中央部において、ステージ156のスライド方向に向かって凹んだ状態で傾斜している。このように、スクレーパ460が傾斜していると、ステージ156のスライドに伴って、スクレーパ460から電子回路部品410に加えられる力は、ステージ156のX方向における中央部に向かう方向の力となる。このため、ステージ156の上の複数の電子回路部品410が、側壁部158に沿って直線的に並んでいる場合(図13参照)に、電子回路部品410がスクレーパ460により堰き止められると、それら複数の電子回路部品410は、図14に示すように、側壁部158から離間する。そして、スクレーパ460により堰き止められた電子回路部品410は、ステージ156のX方向における中央部に向かって、スクレーパ460により押される。
【0065】
このように、ステージ156のX方向における中央部に向かって押された電子回路部品410は、ステージ156のスライドに伴って、図15に示すように、部品回収容器180のX方向における中央部に落下する。つまり、側壁部158に沿ってステージ156の上に並んでいた複数の電子回路部品410が、V字型に屈曲するスクレーパ460により堰き止められて、部品回収容器180のX方向における中央部に落下する。この際、複数の電子回路部品410が、部品回収容器180のX方向における中央部において積層されても、積層された複数の電子回路部品410は、側壁面182から離れているため、容易に左右方向に崩れる。このため、複数の電子回路部品410が、積層され難くなり、積層された電子回路部品410が部品回収容器180の開口188付近まで至り難くなる。これにより、部品回収容器180の内部で積層された電子回路部品410と、ステージ156から部品回収容器180の内部に落下する直前の電子回路部品410との接触を抑制し、ステージ156での電子回路部品410の停滞に伴う詰りを防止することが可能となる。
【0066】
ちなみに、ばら部品供給装置32は、部品供給装置の一例である。部品支持部材移動装置152は、スライド装置の一例である。ステージ156は、ステージの一例である。部品回収容器180は、箱部材の一例である。湾曲面184は、壁の一例である。開口188は、落下口の一例である。スクレーパ460は、接触部の一例である。
【0067】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、V字型に屈曲されたスクレーパ460が採用されているが、図16に示すように、屈曲されることなく、ステージ156のスライド方向(Y方向)と交差する方向に直線的に延びるように配設されたスクレーパ480を採用することが可能である。このようなスクレーパ480は、ステージ156のスライド方向(Y方向)とステージ156の上面に沿って直行する方向に対して、傾斜していればよい。
【0068】
また、上記スクレーパ460,480は、全域に亘って傾斜しているが、一部のみが傾斜しているスクレーパを採用することも可能である。具体的には、例えば、図17に示すように、1対の傾斜部500,502と、非傾斜部504とにより構成されるスクレーパ506を採用することが可能である。1対の傾斜部500,502は、ステージ156のスライド方向(Y方向)とステージ156の上面に沿って直行する方向に対して、傾斜しており、スクレーパ506のX方向における両端部に位置する。なお、1対の傾斜部500は、スクレーパ506の両端から中央部に向かって、部品回収容器180から離れるように傾斜している。また、非傾斜部504は、ステージ156のスライド方向(Y方向)とステージ156の上面に沿って直行しており、スクレーパ506のX方向における中央部に位置することで、1対の傾斜部500,502に連続している。このようなスクレーパ506を採用することでも、スクレーパ460と同様の効果を奏することができる。なお、上記スクレーパ460,480,506は、直線状に傾斜しているが、湾曲形状,円弧形状等に傾斜してもよい。さらに言えば、上記記載の態様とは逆形状、詳しくは、スクレーパ460の形状の一部または全てを逆V字型や逆円弧形状にすれば、並んだ状態の複数の電子回路部品410をステージ156のスライド方向と交差する方向とズラして堰き止めることは可能である。これにより、スクレーパ460と湾曲面184との間に、電子回路部品410が挟まれて詰まる現象を防止するという同様の効果を奏することができる。
【0069】
また、上記実施例では、部品支持部材150がスライドすることで、ステージ156の上の電子回路部品410が部品回収容器180に収容されるが、スクレーパ460がスライドすることで、電子回路部品410が部品回収容器180に収容されてもよい。また、部品支持部材150とスクレーパ460とが接近する方向にスライドすることで、電子回路部品410が部品回収容器180に収容されてもよい。
【0070】
また、上記実施例では、部品回収容器180の開口寸法Aが電子回路部品410の最大寸法Bの1.2倍以上とされているが、部品支持部材150の移動速度を、ある程度、遅い速度にすることで、部品回収容器180の開口寸法Aを電子回路部品410の最大寸法Bの1.2倍未満とすることも可能である。具体的には、例えば、部品回収容器180の開口寸法Aを電子回路部品410の最大寸法Bの1.1倍以上とすることも可能である。
【0071】
また、電子回路部品410が落下する側と反対側の壁として機能する部品回収容器180の湾曲面184は、部品回収容器180への電子回路部品410の収容、若しくは、部品回収容器180から電子回路部品410を散在させる際に電子回路部品410に負荷が掛かることで損傷や破損を防止するために採用した形状であって湾曲面である必然性はない。
【0072】
また、上記実施例では、リードを有する部品などの電子回路部品410に本発明が適用されているが、種々の種類の部品に本発明を適用することが可能である。具体的には、例えば、太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品,リードを有さない電子回路部品等に、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
32:ばら部品供給装置(部品供給装置) 152:部品支持部材移動装置(スライド装置) 156:ステージ 180:部品回収容器(箱部材) 184:湾曲面(壁) 188:開口(落下口) 460:スクレーパ(接触部) 480:スクレーパ(接触部) 506:スクレーパ(接触部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17