特許第6802395号(P6802395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6802395紙葉類収納装置及び紙葉類収納装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802395
(24)【登録日】2020年11月30日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】紙葉類収納装置及び紙葉類収納装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/12 20190101AFI20201207BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20201207BHJP
   G07D 11/26 20190101ALI20201207BHJP
【FI】
   G07D11/12
   G07D11/16 101Z
   G07D11/26 121
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-568855(P2019-568855)
(86)(22)【出願日】2018年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2018002910
(87)【国際公開番号】WO2019150423
(87)【国際公開日】20190808
【審査請求日】2020年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 朴人
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄二
(72)【発明者】
【氏名】西田 光孝
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−176073(JP,A)
【文献】 特開2002−150356(JP,A)
【文献】 特開平9−235061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00− 3/16,
9/00−13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を収納する収納部と、
前記収納部へ紙葉類を送る搬入路と、前記搬入路から紙葉類を送る搬出路と、を有する搬送機構と、
前記搬送機構に設けられ、前記搬入路から前記収納部へ紙葉類を送る収納状態と、前記搬入路から前記搬出路へ紙葉類を送る通過状態とに切り替えられるゲート部材と、
前記ゲート部材の移動を規制するロック状態と、前記ロック状態を解除する解除状態とに移動するロック部材を有するロック機構と、
前記ロック部材が前記ゲート部材の移動を規制したロック状態を解除する解除部材と、
を備える紙葉類収納装置であって、
前記解除部材は、前記搬入路及び前記搬出路の一方側から前記紙葉類収納装置の外方へ突出して設けられ、
前記ロック部材は、前記搬入路及び前記搬出路の他方側から前記紙葉類収納装置の外方へ突出して設けられ、前記紙葉類収納装置の搬送機構と、当該紙葉類収納装置とは別の紙葉類収納装置の前記搬送機構とが連結されたときに前記別の紙葉類収納装置の前記解除部材によって前記ロック部材が移動される、紙葉類収納装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ロック部材が前記紙葉類収納装置の外方へ突出する方向へ付勢するバネ部材を有し、
前記ロック部材は、前記バネ部材の付勢力によって、前記ゲート部材が前記収納状態から前記通過状態に移動することを規制する、
請求項1に記載の紙葉類収納装置。
【請求項3】
前記解除部材は、前記ロック部材の移動方向に沿って突出すると共に、前記移動方向に対して当該移動方向に交差する方向に向かって傾斜する一対の傾斜面を有し、当該一対の傾斜面が、前記移動方向に対して対称に形成されている、
請求項1に記載の紙葉類収納装置。
【請求項4】
前記ロック部材の、前記解除部材が接する先端部は、前記ロック部材の前記移動方向に対して当該移動方向に交差する方向に向かって傾斜する一対の傾斜面を有し、当該一対の傾斜面が、前記移動方向に対して対称に形成されている、
請求項3に記載の紙葉類収納装置。
【請求項5】
前記ゲート部材の移動を制御する制御部と、
前記ロック部材の移動を検知する位置センサと、を更に備え、
前記制御部は、前記位置センサの検知結果に基づいて前記ゲート部材を前記収納状態と前記通過状態とに制御する、
請求項1に記載の紙葉類収納装置。
【請求項6】
紙葉類を収納する収納部へ紙葉類を送る搬入路、及び前記搬入路から紙葉類を送る搬出路を有する搬送機構と、前記搬入路から前記収納部へ紙葉類を送る収納状態と、前記搬入路から前記搬出路へ紙葉類を送る通過状態とに切り替えられるゲート部材と、前記ゲート部材の移動を規制するロック部材を有するロック機構と、前記ロック部材が前記ゲート部材の移動を規制したロック状態を解除する解除部材と、前記ゲート部材の移動を制御する制御部と、前記ロック部材の移動を検知する位置センサと、を備える紙葉類収納装置の制御方法であって、
前記位置センサが、前記紙葉類収納装置の前記搬送機構と、当該紙葉類収納装置とは別の紙葉類収納装置の前記搬送機構とが連結されたときに、前記紙葉類収納装置の前記ロック部材が前記別の紙葉類収納装置の前記解除部材によって移動されたことを検知し、
前記制御部が、前記位置センサの検知結果に基づいて前記ゲート部材を前記収納状態と前記通過状態とに制御する、紙葉類収納装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類収納装置及び紙葉類収納装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、現金自動預け払い機は、紙葉類としての紙幣を収納する紙幣収納装置を備えている。この種の紙幣収納装置としては、紙幣を搬送する搬送機構と、搬送機構によって搬送された紙幣を収納する収納部と、を有しており、複数の紙幣収納装置同士が、搬送機構を介して相互に連結可能に構成されたものがある。この紙幣収納装置は、搬送機構によって搬送された紙幣を収納部に収納する収納状態と、搬送機構によって送られた紙幣を、別の紙幣収納装置へ送る通過状態とに切り替えるゲート部材を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−353103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した複数の紙幣収納装置同士の搬送機構が連結された場合、複数の紙幣収納装置間の紙幣の搬送方向における終端部に配置された紙幣収納装置において、ゲート部材の切り換え動作の制御が誤作動したときや、ゲート部材の切り替え機構が故障したときに、紙幣収納装置の搬送路を紙幣が誤って通過してしまう問題がある。このとき、例えば、終端部に配置された紙幣収納装置における搬送路の終端が外方に開放されている場合、搬送路から排出された紙幣を紛失してしまうおそれがある。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、紙葉類収納装置同士の連結状態に応じた、ゲート部材の切り換え動作の信頼性を高めることができる紙葉類収納装置及び紙葉類収納装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する紙葉類収納装置の一態様は、紙葉類を収納する収納部と、前記収納部へ紙葉類を送る搬入路と、前記搬入路から紙葉類を送る搬出路と、を有する搬送機構と、前記搬送機構に設けられ、前記搬入路から前記収納部へ紙葉類を送る収納状態と、前記搬入路から前記搬出路へ紙葉類を送る通過状態とに切り替えられるゲート部材と、前記ゲート部材の移動を規制するロック状態と、前記ロック状態を解除する解除状態とに移動するロック部材を有するロック機構と、前記ロック部材が前記ゲート部材の移動を規制したロック状態を解除する解除部材と、を備える紙葉類収納装置であって、前記解除部材は、前記搬入路及び前記搬出路の一方側から前記紙葉類収納装置の外方へ突出して設けられ、前記ロック部材は、前記搬入路及び前記搬出路の他方側から前記紙葉類収納装置の外方へ突出して設けられ、前記紙葉類収納装置の搬送機構と、当該紙葉類収納装置とは別の紙葉類収納装置の前記搬送機構とが連結されたときに前記別の紙葉類収納装置の前記解除部材によって前記ロック部材が移動される。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する紙葉類収納装置の一態様によれば、紙葉類収納装置同士の連結状態に応じた、ゲート部材の切り換え動作の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の紙幣取扱装置全体を示す模式図である。
図2図2は、実施例1の紙幣収納装置を示す透視斜視図である。
図3図3は、実施例1の紙幣収納装置を模式的に示す縦断面図である。
図4図4は、実施例1の紙幣収納装置同士の連結状態を模式的に示す縦断面図である。
図5図5は、実施例1の紙幣収納装置同士の連結状態を模式的に示す横断面図である。
図6A図6Aは、実施例1の紙幣収納装置において、ロック部材がゲート部材の移動を規制したロック状態を説明するための斜視図である。
図6B図6Bは、実施例1の紙幣収納装置において、ロック部材がゲート部材の移動を規制したロック状態を説明するための斜視図である。
図7A図7Aは、実施例1の紙幣収納装置において、ロック部材がゲート部材のロック状態を解除した解除状態を説明するための斜視図である。
図7B図7Bは、実施例1の紙幣収納装置において、ロック部材がゲート部材のロック状態を解除した解除状態を説明するための斜視図である。
図8図8は、実施例2の紙幣収納装置同士が連結される状態を模式的に示す縦断面図である。
図9図9は、実施例2の紙幣収納装置同士が連結される状態を模式的に示す横断面図である。
図10図10は、実施例2の紙幣収納装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、実施例3の紙幣取扱装置全体を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する紙葉類収納装置及び紙葉類収納装置の制御方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する紙葉類収納装置及び紙葉類収納装置の制御方法が限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
[紙幣取扱装置の構成]
図1は、実施例1の紙幣取扱装置全体を示す模式図である。図1に示すように、実施例1に係る紙幣取扱装置1は、紙葉類としての紙幣3を入出金する入出金部4と、入出金部4に入金された紙幣3を鑑別する鑑別部5と、鑑別部5から搬送された紙幣3を一時的に収納する一時収納部6と、を備える。また、紙幣取扱装置1は、利用者へ出金する紙幣3が収納された出金部7と、一時収納部6から送られた紙幣3を回収庫8aに収納する回収部8と、を備える。また、紙幣取扱装置1は、各部4、5、6、7、8の間で紙幣3を搬送路9aに沿って搬送する搬送機構9と、各部4、5、6、7、8、9をそれぞれ制御する制御部10と、を備える。
【0011】
説明の便宜上、図1において、紙幣取扱装置1の幅方向をX方向、紙幣取扱装置1の前後方向をY方向、紙幣取扱装置1の上下方向をZ方向と称する。図1以降の図面においても、図1と同様にX、Y、Z方向をそれぞれ示す。
【0012】
図1に示すように、紙幣取扱装置1に組み込まれた回収部8が、実施例1の紙幣収納装置に相当する。以下、回収部8を紙幣収納装置8に言い換えると共に、回収庫8aを収納部8aに言い換えて説明する。紙幣取扱装置1において、紙幣収納装置8は、必要に応じて使用する個数が変更され、例えば、連結された複数の紙幣収納装置8間の搬送方向の終端部(最下流側)に、追加の紙幣収納装置8が更に連結されることにより、いわゆる増設が行われる。同様に、紙幣取扱装置1において、例えば、連結された複数の紙幣収納装置8群の終端部に配置された紙幣収納装置8が取り外されることにより、終端部に位置する紙幣収納装置8が変更される。複数の紙幣収納装置8には、例えば、複数種類の紙幣3が種類毎にそれぞれ収納される。
【0013】
図1に示すように、紙幣収納装置8の内部には、2つの収納部(回収庫)8aが上下方向(Z方向)に並んで配置されている。紙幣収納装置8は、収納部8aの個数や配置が限定されるものではなく、1つの収納部8aを有する構成が適用されてもよい。なお、本実施例では、紙葉類の一例として紙幣3を用いるが、紙幣3に限定するものではない。紙葉類には、例えば、手形、小切手、商品券、各種証券、株券等の有価証券も含まれる。
【0014】
[紙幣収納装置の構成]
図2は、実施例1の紙幣収納装置8を示す透視斜視図である。図3は、実施例1の紙幣収納装置8を模式的に示す縦断面図である。図4は、実施例1の紙幣収納装置8同士の連結状態を模式的に示す縦断面図である。図5は、実施例1の紙幣収納装置8同士の連結状態を模式的に示す横断面図である。
【0015】
図2図3及び図4に示すように、実施例1の紙幣収納装置8は、紙幣3を収納する2つの収納部8aと、図3中の上下(Z方向)に並んだ2つの収納部8aのうち、下側の収納部8aに対して紙幣3を搬送する搬送機構12と、を備える。搬送機構12は、図1に示すように、紙幣取扱装置1の搬送機構9と連結されている。上側の収納部8aは、紙幣取扱装置1の搬送機構9によって搬送された紙幣3が収納される(図1)。
【0016】
搬送機構12は、下側の収納部8aへ紙幣3を送る搬入路12aと、搬入路12aから紙幣3を送る搬出路12bと、を有する。また、搬送機構12は、図3に示すように、複数の搬送ローラ12cと、搬送ローラ12c間に掛け渡された搬送ベルト12dと、搬送ローラ12cを回転駆動する駆動モータ(図示せず)と、を有する。なお、図中において便宜上、搬入路12a及び搬出路12bは、板状に示されているが、搬送ベルト12dの搬送面に沿って構成されている。
【0017】
また、紙幣収納装置8は、図4及び図5に示すように、搬入路12aから収納部8aへ紙幣3を送る収納状態と、搬入路12aから搬出路12bへ紙幣3を送る通過状態とに切り替えられるゲート部材13を有する切り替え機構14を備える。切り替え機構14は、ゲート部材13を支持する回転軸14aと、回転軸14aを回転させるロータリソレノイド14bと、を有する。回転軸14aには、後述するロック機構16のロック部材18に係合する係合片14cが設けられている。切り替え機構14は、制御部10と接続されており、制御部10によって、ゲート部材13が収納状態と通過状態とに切り替えられる。
【0018】
ゲート部材13は、搬送機構12における搬入路12aと搬出路12bとの間に配置されており、図5に示すように、複数のゲート部材13が回転軸14aの軸方向に沿って間隔をあけて配置されている。ゲート部材13に隣接する位置には、紙幣3を搬送する搬送ローラ15が回転可能に設けられている(図1)。
【0019】
また、紙幣収納装置8は、図3図4及び図5に示すように、ゲート部材13の移動をロックするロック機構16と、ロック機構16によるロック状態を解除する解除部材17と、を備える。ロック機構16は、ゲート部材13の移動を規制するロック状態と、ロック状態を解除する解除状態とに移動するロック部材18を有する。また、ロック機構16は、ロック部材18が紙幣収納装置8の外方へ突出するY方向へ付勢するバネ部材19を有する。
【0020】
ロック部材18は、紙幣収納装置8の搬出路12b側の側面20bから紙幣収納装置8の外方へ突出して設けられており、搬出路12bに沿ってY方向に移動可能に搬送機構12に支持されている。ロック部材18は、紙幣収納装置8の側面20bから外方へ突出する先端部18aを有する。先端部18aは、ロック部材18の移動方向(Y方向)に対して、この移動方向に直交する上下方向(Z方向)に向かって傾斜する一対の傾斜面18bを有する。一対の傾斜面18bは、ロック部材18の移動方向に対して対称に形成されており、先端部18aが三角形状に形成されている。また、ロック部材18は、切り替え機構14の回転軸14aの係合片14cに係合する係合凸部18cを有する。
【0021】
ロック部材18は、バネ部材19の付勢力によって、係合凸部18cが回転軸14aの係合片14cに係合することで、ゲート部材13が収納状態から通過状態に移動することを規制する。すなわち、ロック部材18は、収納部8a内へ紙幣3を送る収納状態にゲート部材13をロックする。
【0022】
解除部材17は、紙幣収納装置8の搬入路12a側の側面20aから紙幣収納装置8の外方へ突出して設けられている。解除部材17は、紙幣収納装置8の側面20aに固定されている。解除部材17は、ロック部材18がゲート部材13の移動を規制したロック状態を解除する。紙幣収納装置8の搬送機構12と、この紙幣収納装置8とは別の紙幣収納装置8の搬送機構12とが連結されたときに別の紙幣収納装置8の解除部材17によってロック部材18が移動される。
【0023】
また、解除部材17は、ロック部材18の移動方向(Y方向)に沿って突出すると共に、この移動方向に対してこの移動方向に直交する上下方向(Z方向)に向かって傾斜する一対の傾斜面17aを有する。一対の傾斜面17aは、ロック部材18の移動方向に対して対称に形成されており、解除部材17が三角形状に形成されている(図3)。このため、紙幣収納装置8同士を連結する際に、紙幣取扱装置1に連結された紙幣収納装置8に対して、連結させる紙幣収納装置8を上下方向(Z方向)に沿って、例えば、上方から下降させる。これにより、ロック部材18の先端部18aに対して下降する解除部材17の傾斜面17aによってロック部材18が徐々に押し込まれ、ロック部材18をY方向に沿ってスムースに移動させることができる。
【0024】
[紙幣収納装置同士の連結動作]
以上のように構成された紙幣収納装置8同士が連結されるときのロック部材18及び解除部材17の動作を説明する。図6Aは、実施例1の紙幣収納装置8において、ロック部材18がゲート部材13の移動を規制したロック状態を説明するための斜視図である。図6Bは、実施例1の紙幣収納装置8において、ロック部材18がゲート部材13の移動を規制したロック状態を説明するための斜視図である。
【0025】
紙幣収納装置8同士を連結する際、例えば、紙幣取扱装置1の搬送機構9に連結された紙幣収納装置8に対して、追加の紙幣収納装置8を例えば、上方から下降させて、搬送機構12同士を介して連結する。このとき、紙幣収納装置8のロック部材18の先端部18aは、図6A及び図6Bに示すように、紙幣収納装置8の搬出路12b側の側面20bから外方へ突出されており、ロック部材18の係合凸部18cが、切り替え機構14の回転軸14aの係合片14cに係合されている。このため、切り替え機構14によって回転軸14aが回転不能となり、ロック部材18によって、ゲート部材13は、搬入路12aによって送られた紙幣3を収納部8a内へ収納する収納状態にロックされており、搬出路12bへ紙幣3を送ることが機械的に規制されている。
【0026】
図7Aは、実施例1の紙幣収納装置8において、ロック部材18がゲート部材13のロック状態を解除した解除状態を説明するための斜視図である。図7Bは、実施例1の紙幣収納装置8において、ロック部材18がゲート部材13のロック状態を解除した解除状態を説明するための斜視図である。
【0027】
続いて、上述のようにロック部材18が外方へ突出する紙幣収納装置8の搬出路12b側と、追加の紙幣収納装置8の搬入路12a側とが連結されるように、追加の紙幣収納装置8を下降させることで、解除部材17の傾斜面17aが、ロック部材18の先端部18aの傾斜面18bに接する。追加の紙幣収納装置8を更に下降させて、搬送機構12同士が連結されることで、図7A及び図7Bに示すように、ロック部材18の先端部18aは、解除部材17によって、バネ部材19の付勢力に抗して紙幣収納装置8の内側へ押し込まれる。解除部材17によってロック部材18の先端部18aが押し込まれることで、ロック部材18は、係合凸部18cが、切り替え機構14の回転軸14aの係合片14cから離れ、係合凸部18cと係合片14cとの係合状態が解除される。これにより、ゲート部材13は、切り替え機構14によって回転軸14aまわりに回転されることで、収納状態から通過状態に切り換えることが可能になる。したがって、追加の紙幣収納装置8が連結された紙幣収納装置8は、搬出路12bから、追加の紙幣収納装置8の搬入路12aへ紙幣3を送ることが可能になる。
【0028】
また、このように紙幣収納装置8に連結された追加の紙幣収納装置8は、搬出路12b側の側面20bからロック部材18が外方へ突出されており、ロック部材18によってゲート部材13が収納状態にロックされている。したがって、複数の紙幣収納装置8間の紙幣3の搬送方向において、終端部に位置する紙幣収納装置8のゲート部材13は、収納状態にロックされており、搬出路12bから紙幣3を排出することが規制される。すなわち、終端部の紙幣収納装置8は、追加の紙幣収納装置8が搬出路12b側に連結されていない状態でゲート部材13が収納状態にロックされており、追加の紙幣収納装置8が搬出路12b側へ連結された状態でゲート部材13が収納状態から通過状態に切り換えることが可能になる。
【0029】
同様に、追加の紙幣収納装置8が取り外された場合、追加の紙幣収納装置8が連結されていた紙幣収納装置8は、ロック部材18の先端部18aを押し込む解除部材17が先端部18aから離れる。このため、ロック部材18は、バネ部材19の付勢力によって移動され、先端部18aが搬出路12b側の側面20bから外方へ突出すると共に、係合凸部18cが回転軸14aの係合片14cに係合される。これにより、ゲート部材13は、ロック部材18によって収納状態に規制される。
【0030】
上述した実施例1の紙幣収納装置8は、搬出路12b側から紙幣収納装置8の外方へ突出して設けられたロック部材18と、搬入路12a側から紙幣収納装置8の外方へ突出して設けられた解除部材17と、を備えており、紙幣収納装置8の搬送機構12と、この紙幣収納装置8とは別の紙幣収納装置8の搬送機構12とが連結されたときに別の紙幣収納装置8の解除部材17によってロック部材18が移動される。これにより、例えば、切り替え機構14の故障や制御部10の誤作動等により、紙幣3を搬出路12bから排出する通過状態にゲート部材13が移動することが避けられる。したがって、紙幣収納装置8同士の連結状態に応じた、ゲート部材13の切り換え動作の信頼性を高めることができる。また、相互に連結される紙幣収納装置8の個数の増減に応じて、終端部の紙幣収納装置8のゲート部材13の移動が規制されるので、終端部の紙幣収納装置8の搬出路12b側へ紙幣3が送られることを防ぐことができる。
【0031】
また、実施例1の紙幣収納装置8において、ロック機構16は、ロック部材18が紙幣収納装置8の外方へ突出する方向へ付勢するバネ部材19を有し、ロック部材18が、バネ部材19の付勢力によって、ゲート部材13が収納状態から通過状態に移動することを規制する。これにより、ロック機構16は、簡素な構成でゲート部材13を収納状態に規制することができる。
【0032】
また、実施例1の紙幣収納装置8において、解除部材17は、ロック部材18の移動方向(Y方向)に沿って突出すると共に、この移動方向に交差する方向(Z方向)に対して傾斜する一対の傾斜面17aを有し、この一対の傾斜面17aが、ロック部材18の移動方向に対して対称に形成されている。これにより、紙幣収納装置8同士を連結する際に、紙幣収納装置8をZ方向に対して双方向に移動させて連結可能となると共に、紙幣収納装置8の連結動作に伴って解除部材17によってロック部材18をスムースに移動させることができる。
【0033】
さらに、実施例1の紙幣収納装置8において、ロック部材18の、解除部材17が接する先端部18aは、ロック部材18の移動方向(Y方向)に対してこの移動方向に交差する方向(Z方向)に向かって傾斜する一対の傾斜面18bを有し、この一対の傾斜面18bが、ロック部材18の移動方向に対して対称に形成されている。これにより、解除部材17の傾斜面17aによるロック部材18の操作性が高められるので、紙幣収納装置8同士を連結する際に、紙幣収納装置8の連結動作に伴って解除部材17によってロック部材18を更にスムースに移動させることができる。
【0034】
なお、実施例1では、ロック部材18の先端部18aが、紙幣収納装置8の搬出路12b側の側面20bから紙幣収納装置8の外方へ突出され、解除部材17が紙幣収納装置8の搬入路12a側の側面20aから紙幣収納装置8の外方へ突出されて設けられたが、搬入路12aと搬出路12bに対して、ロック部材18と解除部材17とが逆に配置されてもよい。すなわち、ロック部材18が、紙幣収納装置8の搬入路12a側の側面20aから紙幣収納装置8の外方へ突出され、解除部材17が紙幣収納装置8の搬出路12b側の側面20bから紙幣収納装置8の外方へ突出されてもよく、実施例1と同様の効果が得られる。
【0035】
また、実施例1における解除部材17の傾斜面17aは、ロック部材18の移動方向(Y方向)に対して上下方向(Z方向)に向かって傾斜され、紙幣収納装置8同士が上下方向に沿ってスライド動作させて相互に連結されるように構成されたが、この構成に限定されるものではない。解除部材17の傾斜面17aは、ロック部材18の移動方向(Y方向)に対して水平方向(X方向)に向かって傾斜され、紙幣収納装置8が水平方向(X方向)に沿ってスライド動作させて相互に連結されるように構成されてもよい。これと同様に、ロック部材18の先端部18aの傾斜面18bについても、ロック部材18の移動方向(Y方向)に対して上下方向(Z方向)に向かって傾斜される構成に限定されず、ロック部材18の移動方向(Y方向)に対して水平方向(X方向)に向かって傾斜されてもよい。
【0036】
また、実施例1におけるロック部材18は、Y方向に対してスライド移動するように設けられたが、例えば、図示しない回動軸まわりに回動可能に設けられ、ロック部材18の回動に伴ってゲート部材13をロックするロック状態と、ロック状態を解除する解除状態とに移動するように構成されてもよい。
【0037】
以下、他の実施例について図面を参照して説明する。他の実施例において、実施例1と同一の構成部材には、実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0038】
図8は、実施例2の紙幣収納装置8同士が連結される状態を模式的に示す縦断面図である。図9は、実施例2の紙幣収納装置8同士が連結される状態を模式的に示す横断面図である。実施例2は、位置センサによってロック部材18の移動を検知する点が、実施例1と異なる。
【0039】
図8及び図9に示すように、実施例2の紙幣収納装置8は、ロック部材18の移動を検知する位置センサ25を備える。位置センサ25は、光センサが用いられており、図示しないが、検知光を発する発光部と、発光部が発した検知光を受光する受光部と、を有する。位置センサ25は、搬出路12bに配置されており、制御部10と接続されている。位置センサ25の検知結果に基づいて制御部10は、ゲート部材13を収納状態と通過状態とに切り替えるように制御する。
【0040】
図8及び図9に示すように、ロック部材18には、位置センサ25によってロック部材18の移動を検知するための検知片18dが設けられている。検知片18dは、ロック部材18の先端部18aが紙幣収納装置8から外方へ突出したロック状態において位置センサ25から離れるように設けられると共に、解除部材17によってロック部材18が移動された解除状態において位置センサ25に対向するように設けられている。
【0041】
位置センサ25は、解除部材17によってロック部材18が押し込まれたとき、ロック部材18の移動に伴って検知片18dが移動する。このように移動した検知片18dは、位置センサ25の受光部と発光部との間に進入し、検知片18dによって位置センサ25の検知光が遮られることで、位置センサ25がロック部材18の移動を検知する。制御部10は、ロック部材18によって位置センサ25の検知光が遮られたとき、切り替え機構14によってゲート部材13を収納状態と通過状態とに適宜切り替える。また、制御部10は、ロック部材18によって位置センサ25の検知光が遮られていないとき、切り替え機構14を駆動せず、収納状態のゲート部材13の移動を行わない。
【0042】
[紙幣収納装置の制御方法]
上述した実施例2の紙幣収納装置8の制御方法について説明する。図10は、実施例2の紙幣収納装置8の制御方法を説明するためのフローチャートである。図10に示すように、紙幣収納装置8は、搬送機構12と、この紙幣収納装置8とは別の紙幣収納装置8の搬送機構12とが相互に連結される(ステップS1)。このとき、紙幣収納装置8のロック部材18が、別の紙幣収納装置8の解除部材17によって押されて移動され(ステップS2)、ロック部材18が移動したか否かを、位置センサ25の検知結果に基づいて制御部10が判断する(ステップS3)。
【0043】
ステップS3において、ロック部材18が移動していないと制御部10が判断した場合(No)、再度、ステップS3へ戻り、位置センサ25によってロック部材18の移動の検知を続ける。紙幣収納装置8同士が各搬送機構12を介して適正に連結されることによりロック部材18が適正に移動されたときに、位置センサ25がロック部材18の移動を検知し、位置センサ25の検知結果に基づいて制御部10は、ロック部材18が移動したと判断する(ステップS3のYES)。制御部10は、位置センサ25の検知結果に基づいてゲート部材13を収納状態と通過状態とに移動するように制御する(ステップS4)。
【0044】
上述のように実施例2の紙幣収納装置8は、ロック部材18の移動を検知する位置センサ25を備えることにより、位置センサ25の検知結果に基づいて制御部10がゲート部材13の切り換え動作を制御することが可能になる。このため、ゲート部材13の切り換え動作の信頼性を更に高めることができる。また、実施例2においても、ロック部材18及び位置センサ25は、紙幣収納装置8の搬入路12a側に配置されてもよい。
【実施例3】
【0045】
図11は、実施例3の紙幣取扱装置全体の他の例を示す模式図である。図11に示す実施例3は、収納部8a及び搬送機構12の構成が、図1に示す実施例1と異なる。図11に示すように、実施例3の紙幣収納装置8は、1つの収納部8aを有しており、この収納部8aに紙幣3を搬送する搬送機構12が、紙幣取扱装置1の搬送機構9と連結される。実施例3におけるゲート部材13、解除部材17、ロック部材18等の構成は、実施例1同様であるので省略する。
【0046】
実施例3の紙幣収納装置8は、図11に示すように、例えば、複数の紙幣収納装置8間の紙幣3の搬送方向における終端部に配置される紙幣収納装置8の搬出路12bが、紙幣取扱装置1の搬送機構9の搬送路9aと連結される。なお、この構成に限定されるものではなく、終端部に位置する紙幣収納装置8の搬出路12bは、搬送路9aに連結されずに開放されてもよい。
【0047】
なお、上述した実施例1、2、3では、複数の紙幣収納装置8が水平方向(Y方向)に沿って連結されるように並べられたが、この構成に限定されるものではない。複数の紙幣収納装置8は、上下方向(Z方向)に沿って重ねて配置されてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 紙幣取扱装置
3 紙幣(紙葉類)
8 紙幣収納装置、回収部(紙葉類収納装置)
8a 収納部、回収庫
10 制御部
12 搬送機構
12a 搬入路
12b 搬出路
13 ゲート部材
14 切り替え機構
14a 回転軸
16 ロック機構
17 解除部材
17a 傾斜面
18 ロック部材
18a 先端部
18b 傾斜面
18c 係合凸部
19 バネ部材
20a、20b 側面
25 位置センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11