(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体の液面を検出する工程は、前記液体の液面を、前記計量管に所定の間隔で複数設けられた検出部のうちのいずれかにより行い、前記複数設けられた検出部のうちいずれかによる前記液体の液面の検出により、前記液体の供給を停止させることを特徴とする請求項5に記載の計量方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る計量装置1を例示するための模式図である。
図1に示すように、計量装置1には、計量部2、検出部3、ガス供給部4、導入部5、および制御部6が設けられている。
【0011】
計量部2には、計量管2a、排出管2b、排気管2c、および開閉弁2d〜2gが設られている。
計量管2a、排出管2b、および排気管2cは、管状を呈している。
計量管2a、排出管2b、および排気管2cは、例えば、円筒管などとすることができる。
計量管2aは、ガスが供給される端部2a1(第1の端部の一例に相当する)が、薬液が供給される端部2a2(第2の端部の一例に相当する)よりも重力方向における上側に位置するように設けられている。計量管2aは、例えば、鉛直方向に伸びるようにして起立させて設けることができる。
【0012】
後述するように、計量管2aの内部に供給された薬液の液面位置を求めることで、計量管2aの内部にある薬液の量(体積)を計量する。 そのため、計量管2aの中心軸に垂直な方向における断面の面積は、ほぼ一定となって
いるようにすることが好ましい。
その様にすれば、精度の高い計量を容易に行うことができる。
計量管2aの断面積、長さ、肉厚などには特に限定はなく、計量する薬液の量や粘度、ガス供給部4による加圧に対する耐性(耐圧性)などを考慮して適宜決定することができる。
この場合、計量管2aの肉厚は、検出部3による薬液の液面の検出が可能となる寸法である必要がある。そのため、計量管2aの肉厚は、検出部3における検出方法(例えば、検出光の透過率など)をも考慮して適宜決定することができる。
【0013】
計量管2aの材料には、特に限定はなく、検出部3における検出方法、計量する薬液に対する耐性(耐薬品性)、ガス供給部4による加圧に対する耐性(耐圧性)などを考慮して適宜決定することができる。
計量管2aの材料は、検出部3による薬液の液面の検出が可能となるのであれば特に限定はない。計量管2aの材料は、例えば、ガラスなどとすることができる。
【0014】
排出管2bは、計量管2aの端部2a2の側において、計量管2aと接続されている。 排出管2bは、計量管2aにおいて計量された薬液を計量管2aの外部に排出するために設けられている。
排出管2bは、例えば、計量管2aの中心軸に垂直な方向に伸びている。
排出管2bの内部の空間は、計量管2aの内部の空間とつながっている。
【0015】
排出管2bの中心軸に垂直な方向における断面積、長さ、肉厚、材料には特に限定はなく、計量する薬液の量や粘度、計量する薬液に対する耐性(耐薬品性)、ガス供給部4による加圧に対する耐性(耐圧性)などを考慮して適宜決定することができる。
この場合、排出管2bの断面積、肉厚、材料などは、計量管2aと同様とすることができる。
【0016】
排気管2cは、計量管2aの端部2a1の側において、計量管2aと接続されている。
排気管2cは、ガス供給部4により計量管2aの内部に供給されたガスを計量管2aの外部に排出するために設けられている。
排気管2cは、例えば、計量管2aの中心軸に垂直な方向に伸びている。
排気管2cの内部の空間は、計量管2aの内部の空間とつながっている。
【0017】
排気管2cの中心軸に垂直な方向における断面積、長さ、肉厚、材料には特に限定はなく、計量する薬液に対する耐性(耐薬品性)、ガス供給部4による加圧に対する耐性(耐圧性)などを考慮して適宜決定することができる。
この場合、排気管2cの断面積、肉厚、材料などは、計量管2aと同様とすることができる。
また、計量管2a、排出管2b、および排気管2cは、一体に形成されたものとすることもできるし、接合により形成されたものとすることもできる。
【0018】
開閉弁2dは、計量管2aの端部2a2に接続されている。
開閉弁2dは、導入部5を介した薬液の供給と供給の停止、計量管2aの内部から導入部5への薬液の逆流の防止を行う。
開閉弁2e(第2の開閉弁の一例に相当する)は、排出管2bの計量管2a側とは反対側の端部に接続されている。
開閉弁2eは、排出管2bを介した薬液の排出と排出の停止、計量管2aの内部への薬液の逆流の防止を行う。
開閉弁2eの排出管2bが接続される側とは反対側には、計量した薬液を外部のタンクや処理装置などに供給するための配管112を接続することができる。
開閉弁2f(第1の開閉弁の一例に相当する)は、排気管2cの計量管2a側とは反対側の端部に接続されている。
開閉弁2fは、排気管2cを介したガスの排出と排出の停止、計量管2aの内部へのガスの逆流の防止を行う。
開閉弁2gは、計量管2aの端部2a1に接続されている。
開閉弁2gは、ガス供給部4から計量管2aの内部へのガスの供給と供給の停止、計量管2aの内部からガス供給部4へのガスの逆流の防止を行う。
【0019】
開閉弁2d〜2gの種類には特に限定はなく、計量する薬液に対する耐性(耐薬品性)、ガス供給部4による加圧に対する耐性(耐圧性)などを考慮して適宜決定することができる。
開閉弁2d〜2gは、例えば、薬液用のエアオペレートバルブなどとすることができる。
【0020】
ここで、計量管2aの内部への薬液の供給の停止が行われる際に、開閉弁2dの内部の薬液が通過する部分にある薬液が計量管2aの内部に押し出される場合がある。
薬液が通過する部分にある薬液が計量管2aの内部に押し出されると、薬液の液面位置が所望の停止位置よりも上方になる。
つまり、計量管2aの内部にある薬液の量が所望の量よりも多くなり、薬液の供給量がばらつくことになる。
また、計量管2aの内部からの薬液の排出の停止が行われる際に、開閉弁2eの内部の薬液が通過する部分にある薬液が外部に押し出される場合がある。
薬液が通過する部分にある薬液が外部に押し出されると、薬液の供給量がばらつくことになる。
【0021】
そのため、開閉弁2d、2eは、薬液が通過する部分の容量がなるべく小さいものとすることが好ましい。
例えば、開閉弁2d、2eとしては、内部における流路の長さがなるべく短いものを選択することが好ましい。
【0022】
検出部3には、下端検出部3a(第2の検出部の一例に相当する)、上端検出部3b(第1の検出部の一例に相当する)、および気泡検出部3cが設けられている。
下端検出部3aおよび上端検出部3bは、計量管2aの内部にある薬液の液面を検出する。
下端検出部3aは、排出管2bの開口部2b1よりも上側に設けられている。
また、下端検出部3aは、上端検出部3bよりも下側に設けられている。
上端検出部3bは、排気管2cの開口部2c1よりも下側に設けられている。
上端検出部3bは、計量管2aが伸びる方向に沿って複数設けることができる。
例えば、複数の上端検出部3bを等間隔で並べて、薬液の量を計ったり、薬液の量が許容範囲内にあるか否かを判定したりすることができる。
この場合、下端検出部3aによる検出位置と、複数の上端検出部3bのうちの所定のものにより検出された液面との間にある薬液の量が、計量された薬液の量となる。
なお、
図1においては、6個の上端検出部3b1〜3b6を例示したが、上端検出部3bの数や間隔、下端検出部3aと上端検出部3bとの間の距離は適宜変更することができる。
例えば、上端検出部3b1〜3b6同士の間隔は、1mm程度とすることができる。
例えば、下端検出部3aと上端検出部3bとの間の距離は、外部のタンクや処理装置などに供給する薬液の量に応じて適宜設定することができる。
また、例えば、上端検出部3bを1個設けて、下側の下端検出部3aを薬液の計量に用い、上側の上端検出部3bを薬液量の許容限界の検出に用いることができる。
【0023】
ただし、上端検出部3bの数を増やせば、薬液の量の計量範囲を拡げることができる。
また、上端検出部3b同士の間隔を狭くすれば、薬液の計量における許容範囲が狭まるので、計量精度を高めることができる。
例えば、上端検出部3bをファイバーセンサなどとすれば、上端検出部3b同士の間隔を狭くすることができる。
【0024】
気泡検出部3cは、気泡を含む薬液を後述する供給部101に戻す際に気泡の通過を検出する。
気泡検出部3cにより、気泡が検出された場合には、計量管2aの内部にある薬液を排出管2bを介して廃棄したり、導入部5を介して供給部101に戻したりすることができる。
なお、気泡検出部3cは、必ずしも必要ではなく、必要に応じて設けるようにすればよい。
下端検出部3a、上端検出部3b、および気泡検出部3cは、例えば、投光部と受光部とを有する光電センサなどとすることができる。
この場合、薬液の屈折率と、ガスや気泡の屈折率とは異なるため、薬液の有無あるいは気泡の有無に応じて屈折角が変化する。
すなわち、計量管2aから出射する光の進行方向が変化する。計量管2aから出射する光の進行方向が変化すると、受光部に入射する光の量が変化するので、薬液の液面や気泡を検出することができる。
なお、下端検出部3a、上端検出部3b、および気泡検出部3cは、光電センサに限定されるわけではなく、薬液の液面や気泡が検出できるものであればよい。
【0025】
ガス供給部4は、計量管2aの端部2a1から計量管2aの内部にガスを供給する。
ガス供給部4は、例えば、大気圧よりも高い圧力のガスが収納されたボンベなどとすることができる。
ガス供給部4に収納されるガスは、薬液と反応し難いものとすることができる。
ガス供給部4に収納されるガスは、例えば、窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス、空気、これらを含む混合ガスなどとすることができる。
【0026】
また、ガス供給部4から供給されるガスの圧力や流量などを制御するガス制御部4aを設けることができる。
ガス制御部4aは、配管4b1を介してガス供給部4と接続されている。
ガス制御部4aは、配管4b2を介して開閉弁2gと接続されている。
【0027】
導入部5は、後述する供給部101から供給された薬液を計量管2aの内部に導く。
導入部5には、第1の導入管5a、第2の導入管5b、および開閉弁5cが設けられている。
第1の導入管5aおよび第2の導入管5bは、管状を呈している。
第1の導入管5aおよび第2の導入管5bは、例えば、円筒管などとすることができる。
【0028】
第1の導入管5aは、接続部5a1、気液分離部5a2、およびガス排出部5a3を有する。
気液分離部5a2の一方の端部には、接続部5a1が接続されている。気液分離部5a2の他方の端部には、ガス排出部5a3が接続されている。
この場合、接続部5a1、気液分離部5a2、およびガス排出部5a3は、一体に形成されたものとすることもできるし、接合により形成されたものとすることもできる。
【0029】
接続部5a1の一方の端部は、供給部101に接続されている。
なお、接続部5a1は必ずしも必要ではなく、気液分離部5a2が供給部101に接続されるようにすることもできる。
また、接続部5a1の形態も例示をしたものに限定されるわけではなく、計量装置1と供給部101との位置関係などに応じて適宜変更することができる。
【0030】
気液分離部5a2は、薬液と気泡などのガスとを分離する。
例えば、気液分離部5a2は、水平方向に伸びるようにして設けることができる。
この様にすれば、気泡などのガスが気液分離部5a2の内部において上側に集まるので、薬液と気泡などのガスとを分離することができる。
なお、気液分離部5a2の形態は例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。すなわち、気液分離部5a2の形態は、薬液と気泡などのガスとを分離することができるものであればよい。
【0031】
ガス排出部5a3は、分離されたガスを集めて外部に排出する。
ガス排出部5a3は、気液分離部5a2から上側に伸びるようにして設けることができる。
この様にすれば、気泡などのガスは、薬液の流れにより下流側にあるガス排出部5a3に集められる。そして、集められたガスは、上側に伸びるガス排出部5a3の内部に捕捉される。
【0032】
第2の導入管5bは、U字状の形態を有している。
第2の導入管5bの一端は、気液分離部5a2の下側の面に接続されている。
この場合、第1の導入管5aおよび第2の導入管5bは、一体に形成されたものとすることもできるし、接合により形成されたものとすることもできる。
第2の導入管5bの一端が、気液分離部5a2の下側の面に接続されていれば、気液分離部5a2の内部において上側に集まったガスが第2の導入管5bの内部に侵入するのを抑制することができる。U字状の形態を有する第2の導入管5bとすれば、第2の導入管5bの内部に気泡などのガスが侵入したとしても、気泡などのガスは上側に移動しようとする。そのため、気泡などのガスが下流側に流されるのを抑制することができる。
【0033】
開閉弁5cは、ガス排出部5a3の端部に接続されている。
開閉弁5cは、ガス排出部5a3からのガスの排出と排出の停止(ガス排出部5a3への異物の侵入の防止)を行う。
開閉弁5cの種類には特に限定はなく、計量する薬液に対する耐性(耐薬品性)などを考慮して適宜決定することができる。
開閉弁5cは、例えば、薬液用のエアオペレートバルブなどとすることができる。
【0034】
制御部6は、計量装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
制御部6は、例えば、検出部3からの出力に基づいて、開閉弁2dを制御して導入部5を介した薬液の供給と供給の停止を行わせる。すなわち、制御部6は、薬液の計量動作を行わせる。
制御部6は、例えば、開閉弁2gおよびガス供給部4を制御して、計量された薬液中にある気泡を除去させる。
制御部6は、ガス制御部4aを制御して、開閉弁2eが閉じられている際(薬液中にある気泡を除去する際)に計量管2aの内部に供給するガスの圧力と、開閉弁2eが開かれている際(薬液を排出する際)に計量管2aの内部に供給するガスの圧力とを異なるものとする。
この場合、開閉弁2eが閉じられている際に供給するガスの圧力は、開閉弁2eが開かれている際に供給するガスの圧力よりも高くする。
制御部6は、例えば、開閉弁2fを制御して、計量された薬液の上方にあるガスの圧力を所定の値(例えば、大気圧)にさせる。
制御部6は、例えば、開閉弁2e、開閉弁2g、およびガス供給部4を制御して、計量された薬液を計量管2aの外部に排出させる。
制御部6は、例えば、開閉弁5cを制御して、ガス排出部5a3からのガスの排出と排出の停止を行わせる。
【0035】
次に、計量装置1の作用について説明する。
まず、開閉弁2dが開かれ、導入部5を介して薬液が計量管2aの内部に供給される。
この際、開閉弁2fが、開閉弁2dと同時または先に開かれる。この様にすれば、計量管2aの内部の圧力が上昇するのを抑制することができるので、薬液の供給を円滑に行うことができる。
また、所定の圧力を薬液に加えることで、薬液が計量管2aの内部に供給されるようにすることができる。
計量管2aの内部に供給された薬液の液面は、下端検出部3aにより検出される。
下端検出部3aにより薬液の液面が検出されると、計量に関する制御が開始される。
薬液の液面がさらに上昇して、複数設けられた上端検出部3bのうちの所定のものにより薬液の液面が検出された場合には、開閉弁2dが閉じられて薬液の供給が停止される。
この際、開閉弁2dを閉じた後、開閉弁2fを閉じる。
なお、検出部3を用いずに薬液の計量を行うこともできる。
例えば、所定の上端検出部3bにより液面が検出されるまでの供給時間を予め求め、求められた供給時間に基づいて開閉弁2dを閉じるようにしてもよい。
下端検出部3aによる検出位置と、所定の上端検出部3bにより検出された液面との間にある薬液の量が、計量された薬液の量となる。
【0036】
ここで、計量された薬液中には気泡が存在する場合がある。この場合、計量管2aの内壁などに気泡が付着すると薬液中から気泡が抜けず、計量の精度が悪化するおそれがある。
そのため、次に、計量された薬液中にある気泡を除去する。
薬液中にある気泡を除去する際には、開閉弁2gが開かれ、ガス供給部4から所定の圧力(第1の圧力の一例に相当する)のガスが計量された薬液の上方に供給される。
薬液の上方にガスが供給されると、計量管2aの内部にある薬液が加圧され、薬液中にある気泡が押しつぶされるようにして除去される。
気泡の量が多い場合には、液面の位置が下降することになる。下降した液面の位置は、複数設けられた上端検出部3bのうちのいずれかにより検出される。
この場合、液面の位置が所定の範囲内から外れたことを上端検出部3bにより検出した場合には、計量不良とすることができる。計量不良となった場合には、計量管2aの内部にある薬液を排出管2bと開閉弁2eを介して廃棄したり、供給部101に戻したりすることができる。
なお、薬液を廃棄、若しくは供給部101に戻した後に、再度、前述した薬液の計量を行うこともできる。または、廃棄、若しくは供給部101に戻すのではなく、供給部101により薬液を追加して、薬液の計量をやり直すこともできる。
導入部5を介して供給部101に薬液を戻す際には、気泡検出部3cにより薬液に含まれる気泡の通過を検出することができる。
【0037】
ここで、計量された薬液の上方にあるガスの圧力は、気泡を除去可能な圧力になるようにする。なお、気泡を除去可能な圧力は、実験等で求めることができる。
次に、開閉弁2fを開いて、計量された薬液の上方にあるガスを排出して、計量された薬液の上方にあるガスの圧力を所定の値(例えば、大気圧)にする。
つまり、薬液の上方にあるガスの圧力を所定の値まで低減させる。
【0038】
次に、開閉弁2fが閉じられ、開閉弁2gが開かれて、薬液の排出速度が適正なものとなるような圧力(第2の圧力の一例に相当する)のガスがガス制御部4aを介して計量された薬液の上方に供給される。また、開閉弁2eが開かれる。
すると、計量管2aの内部にある計量された薬液がガス供給部4からのガスの圧力によって押し出され、排出管2bを介して後述する薬液収納部102や処理部103などに送られる。
ここで、計量された薬液の上方にあるガスの圧力が高いと、計量された薬液が排出管2bを介して排出される際に、排出速度が速くなりすぎて液面の周縁部分にある薬液が計量管2aの内壁に付着した状態で取り残される場合がある。薬液が計量管2aの内壁に付着した状態で取り残されると、排出された薬液の量が不足することになる。
そこで、薬液の排出速度が適正なものとなるような圧力にする。
【0039】
次に、薬液の液面が下端検出部3aにより検出された場合には、開閉弁2eが閉じられる。
ここで、下端検出部3aの検出位置が、排出管2bの開口部2b1よりも上側にないと開閉弁2dの上方にある薬液が巻き込まれて排出されるおそれがある。開閉弁2dの上方にある薬液が巻き込まれて排出されると、排出された薬液の量が過大となる。
本実施の形態においては、下端検出部3aの検出位置が排出管2bの開口部2b1よりも上側にあるので、開閉弁2dの上方にある薬液が、計量管2aの内部で計量された薬液と一緒に薬液収納部102や処理部103などに送られるのを抑制することができる。
また、薬液の量を正確に計量できるだけでなく、計量した薬液を計量した時点と同じ量、同じ状態で薬液収納部102や処理部103などに送ることができる。
【0040】
なお、気泡を除去するのに適した圧力と、薬液の排出速度が適正なものとなるような圧力は、薬液の粘度、計量管2aの断面積、計量管2aの内壁の性状などの影響を受ける。
そのため、これらの圧力は、実験やシミュレーションを行うことで予め求めるようにすることが好ましい。
【0041】
また、必要に応じて開閉弁5cを開き、ガス排出部5a3の内部にあるガスを排出する。
開閉弁5cの開閉は、例えば、所定の時間毎に行うようにすることができる。
本実施の形態に係る計量装置1によれば、液体の量を正確に計量することができる。
【0042】
[第2の実施形態]
図2は、第2の実施形態に係る計量システム11を例示するための模式図である。
【0043】
図2に示すように、計量システム11には、複数の計量装置1、混合部13、および制御部16が設けられている。
なお、
図2においては、煩雑となるのを避けるために、計量装置1に設けられる一部の要素を省いて描いている。
【0044】
混合部13には、混合容器12、ガス供給部14、ガス制御部14a、開閉弁15a、および開閉弁15bが設けられている。
混合容器12は、管状を呈している。
混合容器12は、一方の端部12a1が他方の端部12a2よりも重力方向における上側に位置するように設けられている。混合容器12は、例えば、鉛直方向に伸びるようにして起立させて設けることができる。
なお、混合容器12の形態は管状に限定されるわけではないが、管状の形態を有する混合容器12とすれば、撹拌性を向上させることができる。
【0045】
混合容器12の側壁には、供給管12b1および供給管12b2が接続されている。
供給管12b1の混合容器12側とは反対側の端部は、一方の計量装置1に設けられた開閉弁2eに接続されている。そのため、一方の計量装置1により計量された薬液を混合容器12の内部に供給できるようになっている。
供給管12b2の混合容器12側とは反対側の端部は、他方の計量装置1に設けられた開閉弁2eに接続されている。そのため、他方の計量装置1により計量された薬液を混合容器12の内部に供給できるようになっている。
【0046】
混合容器12、供給管12b1および供給管12b2は、一体に形成されたものとすることもできるし、接合により形成されたものとすることもできる。
混合容器12、供給管12b1および供給管12b2の材料は、計量する薬液に対する耐性(耐薬品性)があれば特に限定はない。
【0047】
ガス供給部14は、混合により生成された薬液を排出するために混合容器12の内部にガスを供給する。
ガス供給部14は、前述したガス供給部4と同様とすることができる。また、ガス供給部14から供給されるガスは、ガス供給部4から供給されるガスと同様とすることができる。
ガス制御部14aは、ガス供給部14から供給されるガスの圧力や流量などを制御する。
ガス制御部14aは、配管14b1を介してガス供給部14と接続されている。
ガス制御部14aは、配管14b2を介して開閉弁15aと接続されている。
開閉弁15aは、混合容器12の端部12a1に接続されている。
開閉弁15aは、ガス供給部14から混合容器12の内部へのガスの供給と供給の停止、混合容器12の内部からガス供給部14へのガスの逆流の防止を行う。
開閉弁15bは、混合容器12の端部12a2に接続されている。
開閉弁15bは、混合容器12の内部からの薬液の排出、排出の停止などを行う。
また、開閉弁15bには、配管122などを介して、後述する薬液収納部102や処理部103などを接続することができる。
開閉弁15aおよび開閉弁15bは、例えば、薬液用のエアオペレートバルブなどとすることができる。
【0048】
制御部16は、複数の計量装置1および混合部13に設けられた各要素の動作を制御する。
制御部16は、例えば、開閉弁15a、開閉弁15b、およびガス供給部14を制御して、混合容器12の内部からの薬液の排出、排出の停止を行わせる。
制御部16は、例えば、供給管12b1に接続された開閉弁2eと、供給管12b2に接続された開閉弁2eとを制御して、薬液の希釈や混合による薬液の生成を行わせる。
【0049】
図2においては、2つの計量装置1が設けられた場合を例示したが計量装置1の数は適宜変更することができる。
この場合、複数の計量装置1のそれぞれにおける上端検出部3bの数、配置、下端検出部3aと上端検出部3bとの間の距離などは、薬液の種類や粘度などに応じて適宜変更することができる。
例えば、下端検出部3aと上端検出部3bとの間の距離は、後述する薬液収納部102や処理部103などに供給する薬液の量に応じて適宜設定することができる。
【0050】
また、計量装置1が複数設けられる場合には、少なくとも1つの計量装置1により純水などを計量することもできる。
すなわち、本明細書における薬液は、液体であればよく、例えば、化学物質を含む液体、または希釈用の純水などとすることができる。
薬液は、例えば、フッ酸、フッ化アンモニウム、アンモニア、硫酸、塩酸、過酸化水素、希釈用の純水、アルコールなどとすることができる。
この場合、フッ化アンモニウムを含むアンモニア系の薬液や、アルコール系の薬液などのような揮発性が高い薬液は、気泡が発生しやすい。そのため、揮発性が高い薬液を、バラツキなく正確に計量するのは困難である。
本実施の形態に係る計量装置1、計量システム11によれば、揮発性が高い薬液であってもバラツキなく正確に計量することができる。
そのため、計量した薬液を混合して、安定した所定濃度の薬液を生成することができる。
例えば、少なくとも1つの計量装置1により純水などを計量すれば、希釈された薬液における濃度のばらつきを抑制することができる。
また、2つ以上の薬液を混合する場合には、混合により生成された薬液における成分比のばらつきを抑制することができる。
【0051】
次に、計量システム11の作用について説明する。
まず、前述したものと同様にして、一方の計量装置1により第1の薬液が計量され、他方の計量装置1により第2の薬液が計量される。
次に、供給管12b1に接続された開閉弁2eと、供給管12b2に接続された開閉弁2eが開かれて、第1の薬液および第2の薬液が混合容器12の内部に同時あるいは順次供給される。
第1の薬液および第2の薬液は、混合容器12の内部で混合され、所定の濃度を有する希釈された薬液や、所定の成分比を有する薬液が生成される。
【0052】
次に、供給管12b1に接続された開閉弁2eと、供給管12b2に接続された開閉弁2eが閉じられる。その後、開閉弁15a、15bが開かれ、所定の圧力のガスがガス制御部14aを介して混合容器12の内部に供給される。
混合容器12の内部にある希釈された薬液や、混合により生成された薬液が図示しない配管などを介して後述する薬液収納部102や処理部103などに送られる。
【0053】
以上のようにして、希釈された薬液や、混合により生成された薬液を薬液収納部102や処理部103などに送ることができる。
【0054】
なお、以上においては、薬液を希釈したり混合したりして処理に用いる薬液を生成する場合を例示したがこれに限定されるわけではない。
例えば、処理対象の材質などに応じて、処理部103に供給される薬液の量を変えたり、薬液の種類を変えたりすることもできる。
また、薬液収納部102に収納されている薬液の成分の一部が消費されていたり、薬液の成分の一部が揮発していたりする場合には、失われたり、不足したりする薬液の成分を含む液を計量して薬液収納部102に供給することもできる。
【0055】
本実施の形態に係る計量装置1、計量システム11によれば、薬液の量を正確に計量できるだけでなく、計量した薬液を計量した時点と同じ量、同じ状態で薬液収納部102や処理部103などに送ることができる。そのため、希釈された薬液における濃度のばらつきを抑制することができる。あるいは、混合により生成された薬液における成分比のばらつきを抑制することができる。
【0056】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る処理装置100を例示する。
図3は、第3の実施形態に係る処理装置100を例示するためのブロック図である。
図3は、複数の計量装置1と混合部13が設けられる場合、すなわち、計量システム11が設けられる場合である。なお、1つの計量装置1が設けられる場合も同様とすることができる。
図3に示すように、処理装置100には、計量システム11、供給部101、薬液収納部102、処理部103、および制御部106が設けられている。
【0057】
供給部101は、計量装置1に計量される薬液を供給する。
薬液は、例えば、フッ酸、フッ化アンモニウム、アンモニア、硫酸、塩酸、過酸化水素、希釈用の純水などとすることができる。
供給部101は、例えば、ガスによる加圧により薬液を供給するものであってもよいし、ケミカルポンプなどにより薬液を供給するものであってもよい。
【0058】
薬液収納部102は、計量システム11から供給された希釈された薬液、あるいは混合により生成された薬液を収納する。
また、薬液収納部102は、収納された薬液を処理部103に供給する。薬液収納部102は、例えば、ガスによる加圧により薬液を供給するものであってもよいし、ケミカルポンプなどにより薬液を供給するものであってもよい。
【0059】
なお、薬液収納部102は必ずしも必要ではなく、計量システム11から処理部103に希釈された薬液、あるいは混合により生成された薬液を供給することもできる。
ただし、薬液収納部102を設けるようにすれば、希釈された薬液、あるいは混合により生成された薬液を安定して処理部103に供給することができる。
【0060】
処理部103は、希釈された薬液、あるいは混合により生成された薬液を用いるエッチング装置や洗浄装置などとすることができる。
この場合、処理部103は、枚葉式の装置(例えば、回転させた処理物に薬液を供給する装置)やバッチ式の装置(例えば、複数の処理物を薬液中に浸漬させる装置)などとすることができる。
なお、処理部103には、既知のエッチング装置や洗浄装置などを用いることができるので詳細な説明は省略する。
計量装置1、計量システム11により計量された薬液、希釈された薬液、混合することで生成された薬液を、例えば、エッチング装置において用いると、エッチングレートの変動を抑制することができるので、安定したエッチング処理が可能となる。
【0061】
また、図示しない回収装置を設けて、処理部103において使用された薬液を回収し、金属イオンなどを除去した後に薬液収納部102に戻すこともできる。すなわち、薬液の再利用を行うこともできる。
また、薬液を循環させて再利用する場合には、薬液の劣化状態によっては薬液を廃棄して、新しい薬液を計量装置1、計量システム11により生成して用いることができる。
薬液を廃棄、または、新しい薬液を生成する基準は、所定の処理をした時間、薬液の劣化の検出結果などに基づいて適宜決定することができる。
また、計量装置1、計量システム11を複数設置して、薬液を処理部103に供給することもできる。
【0062】
制御部106は、処理装置100に設けられた各要素の動作を制御する。
制御部106は、例えば、供給部101を制御して計量システム11に薬液を送る。
制御部106は、例えば、計量システム11を制御して希釈された薬液、あるいは混合により生成された薬液を生成させ、これらを薬液収納部102に供給させる。
制御部106は、例えば、薬液収納部102を制御して、収納された薬液を処理部103に供給させる。
制御部106は、例えば、処理部103を制御して、薬液による処理を処理物(例えば、半導体ウェーハ等)に施す。
【0063】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態に係る計量方法について例示する。
第4の実施形態に係る計量方法は、例えば、以下の工程を備えることができる。
管状を呈する計量管2aの内部に所定の量となるまで液体を供給する工程。
計量管2aの内部にある液体の上方に第1の圧力のガスを供給する工程。
液体の上方にあるガスの圧力を所定の値まで低減させる工程。
計量管2aの内部にある液体の上方に第2の圧力のガスを供給して、計量管2aの内部にある液体を排出させる工程。
この場合、第1の圧力は、第2の圧力よりも高くすることができる。
また、複数の計量管2aの内部から排出された液体を混合する工程をさらに備えることができる。
なお、各工程における内容は、前述したものと同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
【0064】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、計量装置1、計量システム11に設けられた各要素の形状、寸法、材料、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。