(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結具が、各保持部材の水平杆部を略水平方向移動自在に固定して保持部材間の間隔を可変にする間隔可変手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の保形フレーム。
前記連結具が、各保持部材の水平杆部を略水平方向移動自在に軸支する軸支部を備えていて、前記間隔可変手段が各軸支部にそれぞれ配備されていることを特徴とする請求項3に記載の保形フレーム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されている汎用の支柱部材は、鉢内の含水支持層に単に差し込まれているだけなので、比較的軽い力で水平向きに回ってしまう。そのために、鑑賞植物の複数の花房がせっかく見栄え良く形決めされていたとしても、栽培中の照光の向きにより花房が左右に向いて生長したり、展示中に観覧者に触られた場合は各花房が簡単に回動したりして、型崩れするという不具合があった。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、鑑賞植物を支える支持部材の上下移動・水平回動を抑止して、鑑賞植物の見栄えを損ねたり型崩れしたりすることを防止できる保形フレームの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る保形フレームは、鑑賞植物を支えるために鉢内に立てられる側面視天地逆略レの字状の支柱部材の複数を保持して当該複数の支柱部材の形態を一定に保つものであって、鉢内に立てられる各支柱部材の竪柱部を保持する竪柱保持杆部と、各支柱部材の竪柱部の上部から前下がりに延在する斜め柱部を保持する斜め柱保持杆部とを備える保持部材を複数有していて、各保持部材の竪柱保持杆部の下部からそれぞれ略水平方向に延在する水平杆部が、連結されて成ることを特徴とするものである。
【0007】
また、前記構成において、各保持部材の水平杆部が連結具を介して着脱可能に連結されていることを特徴とする
ものである。
【0008】
そして、前記構成において、連結具が、各保持部材の水平杆部を略水平方向移動自在に固定して保持部材間の間隔を可変にする間隔可変手段を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
更に、前記構成において、連結具が各保持部材の水平杆部を略水平方向移動自在に軸支する軸支部を備えていて、間隔可変手段が各軸支部にそれぞれ配備されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る保形フレームによれば、竪柱保持杆部と斜め柱保持杆部とを備える保持部材を支柱部材の使用数ほど有していて、各保持部材の竪柱保持杆部下部にある水平杆部が互いに連結されているから、各保持部材の竪柱保持杆部の水平回動や上下動を回避できる。それに伴って、各保持部材の斜め柱保持杆部の先端も左右に振れにくくなる。これらにより、鑑賞植物を見栄えの良い形のままに保形することができ、鑑賞植物の型崩れや傷みを無くすことができる。
【0011】
また、各保持部材の水平杆部が連結具を介して着脱可能に連結されているものでは、使用する保持部材の数を鑑賞植物の花房の数に応じて加減することができる。例えば、使用する保持部材の数を2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つといったように変えることが可能になる。
【0012】
そして、連結具が間隔可変手段を備えているものでは、間隔可変手段により保持部材間の水平方向の間隔を可変にすることができる。従って、鑑賞植物の栽培時や展示時は保持部材間の間隔を広げることにより、鑑賞植物を見栄えの良い形にすることができたり、商品搬送時は保持部材間を狭めることにより、鑑賞植物の先端が振れにくくなり、配送用箱内にも隙間を持って収めることができて鑑賞植物の傷みを無くしたりといったことが可能になる。
【0013】
更に、連結具が各保持部材の水平杆部を略水平方向移動自在に軸支する軸支部を備えていて、間隔可変手段が各軸支部にそれぞれ配備されているものでは、各保持部材間の間隔をよりいっそう自由に変え得るから、鑑賞植物の形決めをより多彩に変えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、
図1は本発明の一実施形態に係る保形フレームを用いた胡蝶蘭の鉢物を正面から眺めた外観図、
図2は前記保形フレームで3本の支柱部材を保持した状態を示す背面図、
図3は
図2における一部断面を含むA−A線矢視図である。
各図において、この実施形態に係る鉢物Jは、鉢5内に敷き詰められたミズゴケや栽培土などの含水支持層6に鉢植された洋ランの一種である胡蝶蘭(鑑賞植物の例)と、胡蝶蘭の花茎11,11,11および花房K,K,Kを支えるために含水支持層6に差し込まれて立てられた側面視天地逆略レの字状の3本の支柱部材7,7,7と、支柱部材7,7,7の上部を保持してこれらの形態を一定に保つ保形フレーム1と、を備えて構成されている。胡蝶蘭はバルブ10(
図2参照)を有していて、バルブ10は鉢5内に収められている。
【0016】
各支柱部材7は、竪棒状の竪柱部7Aと、竪柱部7Aの上端で屈曲して前下がりに延在する斜め柱部7Bとから構成されている。竪柱部7Aは、その下端が鉢5内の含水支持層6に差し込まれて立てられ、その途中部分が胡蝶蘭の花茎11の直立部分を支えるために固定具9で花茎11を固定している。斜め柱部7Bは、胡蝶蘭の花茎11の前下がり部分を支えるために胡蝶蘭の該当部分を固定具9で固定している。そして、各支柱部材7は、それぞれの数カ所が結束バンドや紐などの固定具8により保形フレーム1の各保持部材2に固定・保持される。これらの支柱部材7は、耐久性、見栄え、入手容易性などの観点から例えばビニル樹脂被覆鋼線が用いられている。胡蝶蘭の各花茎11および各花房Kは、それぞれの数カ所が紐などの固定具9(
図2中の1点鎖線で示す符号9を参照)で各支柱部材7に固定・保持される。
【0017】
前記の保形フレーム1は、中央の保持部材2と、この中央の保持部材2から左右に離間配置された保持部材2,2と、これらの保持部材2,2,2を連結する連結具3である連結用ブロック4と、各保持部材2を各支柱部材7に固定・保持する適宜数の固定具8,8,8,・・・、とから構成されている。この場合、保持部材2は支柱部材7の使用数と同数が用いられる。そして、各保持部材2は、縦向きに配置される直線状の竪柱保持杆部2Aと、竪柱保持杆部2Aの上端で曲折して前下がりに延在する斜め柱保持杆部2Bと、竪柱保持杆部2Aの下端で曲折して水平方向に延在する水平杆部2Cと、から構成されている。また、中央の保持部材2は、左右の保持部材2,2よりも竪柱保持杆部2Aの上端高さを高くされている。前記の竪柱保持杆部2Aは各支柱部材7の竪柱部7Aを固定具8により固定して保持する。前記の斜め柱保持杆部2Bは各支柱部材7の斜め柱部7Bを固定具8により固定して保持する。これらの保持部材2は例えば支柱部材7と同じ素材で構成されている。但し、保持部材2や支柱部材7の素材としては、既述したビニル樹脂被覆鋼線に限らず、例えば合成樹脂線材やステンレス鋼線、あるいは竹線材などを用いることも可能である。
【0018】
前記した連結用ブロック4は、複数の保持部材2,2,2の水平杆部2C,2C,2Cを着脱可能に連結する連結具3の一例である。この連結用ブロック4は、
図4に示すように、それぞれ貫通孔である軸支部17および軸支部18が横並びに平行して形成された平面視矩形盤状の基台部13と、軸支部17の上方位置の基台部13に上積みに形成されていて軸支部17と平行な軸支部16を有する上段部14と、上段部14に上積みに形成されていて名札(図示省略)の軸部が立てられる名札立て穴19を有する起立部15と、から構成されている。前記の軸支部16、軸支部17および軸支部18はいずれも、保持部材2の水平杆部2Cと、円筒半割れ片状の固定部材20,20とを同時に挿入可能な内径に設定されている。固定部材20,20は、その外周面が軸心方向に拡径するテーパ状に形成されており、保持部材2の水平杆部2Cとともに軸支部16,17または18内に挿入され、その挿入量が大きくなるほど水平杆部2Cに対する締め付け固定力が強くなるようにされている。すなわち、3つの各保持部材2,2,2は備えている別個独立に構成されているが、連結用ブロック4を介して着脱可能に連結されている。そして、固定部材20,20と軸支部16、固定部材20,20と軸支部17、固定部材20,20と軸支部18、から成る構成が、それぞれ各保持部材2の水平杆部2Cを水平方向移動自在に固定して保持部材2,2間の間隔を可変にする間隔可変手段25である。
【0019】
上記のように構成された保形フレーム1の作用を次に説明する。
鉢5内で栽培された鉢物Jの花房K,K,Kを支持している保持部材2,2,2は、それぞれの水平杆部2C,2C,2Cが連結用ブロック4の軸支部16,17,18に挿通され、適宜の挿通位置でそれぞれ固定部材20,20により挟持・固定されている。栽培時や展示時に、保持部材2,2間の間隔は鉢物Jの見栄えを良くするような所定間隔に設定されている。
【0020】
ところで、宅配便で配送可能な配送用箱23は、決まったサイズが規定されている。すなわち、配送用箱23のサイズ規格は、奥行D+横幅W+高さHの合計が160cm以下と規定されている。例えば、鉢物Jを支障なく収容可能な配送用箱23の高さHを85cmとし奥行Dを35cmにすると、横幅Wは40cm未満となる。
【0021】
前記の配送用箱23内に鉢物Jを収容しようとすると、鉢物Jの両側の花房K,Kの左右外端間を30cm程度と、かなり狭めなければならない。そこで、連結用ブロック4の軸支部17,18から固定部材20が少し引き出されて緩められ、左右の保持部材2,2間の間隔が狭められ、花房K,Kの左右外端間が30cm未満にされる(
図5(a)参照)。そうして、固定部材20が再び挿し入れられて各保持部材2が固定される。この状態の鉢物Jが配送用箱23内に収容されて梱包され、宅配便などで客先に配送される。配送用箱23内の鉢物Jは、保持部材2,2,2が保形フレーム1によりしっかり固定・保持されているので、各花房Kを係止している支柱部材7がその軸心回りに回ることがなく、中央の花房Kの高さもそのままに保持される。更には、支柱部材7の斜め柱部7Bに係止されている部分の花房Kが上下左右に振れることもないし、左右の花房K,Kが配送用箱23の左右の内壁に接して傷むといったこともない。
【0022】
このようにして客先に搬送された鉢物Jは配送用箱23から取り出され、連結用ブロック4の軸支部17,18から固定部材20が弛められ、左右の保持部材2,2の水平杆部2C,2Cが外向き(矢印F,FA方向)に適当量引き出されたのち、再び固定部材20の挿し入れにより固定される(
図5(a)参照)。このときの水平杆部2C,2Cの引き出し量は鉢物Jが最も見栄え良くなる形となる量である。そうして、保持部材2,2がいったん固定部材20により固定されたのちは、花房K,K,Kは水平回りに回ったり上下左右に揺れたりすることがなく、見栄えの良い姿勢のまま安定している。尚、その姿勢から左右の支柱部材7,7の斜め柱部7B,7Bを左右外向き(矢印G,GA方向(
図5(b)))に少し曲げてやると、よりいっそう大振りで豪華な鉢物Jが得られる。
【0023】
上記したように、この実施形態の保形フレーム1によれば、支柱部材7の使用数だけ保持部材2を有していて、各保持部材2の水平杆部2Cが互いに連結されているから、各保持部材2の竪柱保持杆部2Aは回動すること無く固定されている。それに伴って、各保持部材2の斜め柱保持杆部2Bも左右に振れない。これらにより、鉢物Jを見栄えの良い形のままに保形することができ、鉢物Jの型崩れや傷みを無くすことができる。
【0024】
また、各保持部材2の水平杆部2Cが連結具3を介して着脱可能に連結されているので、使用する保持部材2の数を鉢物Jの花房Kの数に応じて加減することができる。例えば、使用する保持部材の数を変えることが可能になり、鉢物Jの様々な美観を得ることができる。
【0025】
そして、連結具3が間隔可変手段25を備えているので、間隔可変手段25により保持部材2,2間の水平方向の間隔を可変にすることができる。従って、鉢物Jの栽培時や展示時には保持部材2,2間の間隔を広げることにより、鉢物Jを見栄えの良い形にすることができる。また、商品搬送時には保持部材2,2間を狭めることにより、鉢物Jの先端が振れにくくなり、配送用箱内23内にも隙間を持って収めることができて鉢物Jの傷みを無くすことができる。
【0026】
更に、連結具3が各保持部材2の水平杆部2Cを略水平方向移動自在に軸支する軸支部16,17,18を備えた連結用ブロック4であり、間隔可変手段25が各軸支部16,17,18にそれぞれ配備されているので、各保持部材2,2間の間隔をよりいっそう自由に変えることができる。従って、鉢物Jの形決めをより多彩に変えることができる。
【0027】
尚、前記の実施形態では、間隔可変手段25として、連結用ブロック4の軸支部16,17,18と、固定部材20との組合せ構成を例示したが、本発明はそれに限らない。例えば、
図4内に2点鎖線でしますように、軸支部16,17,18を臨む位置の連結用ブロック4にそれぞれ内外貫通して形成された雌ネジ孔21,21,21と、これらの雌ネジ孔21,21,21に螺合して軸支部16,17,18内の水平杆部2C,2C,2Cを固定する係止ボルト22と、の組合せ構成を間隔可変手段25として用いることも可能である。
【0028】
また、上記では、3本の保持部材2,2,2を別個独立構成とし、それらの水平杆部2C,2C,2Cを連結具3としての連結用ブロック4および固定部材20で固定・連結するようにしたが、本発明はそれに限定されるものでない。例えば、
図6(a)に示すような保形フレーム1aも本発明に含まれる。この保形フレーム1aでは、3本の保持部材2,2,2の水平杆部2C,2C,2Cが束ねられて結束バンドなどの固定部材24で固定・連結されている。固定部材24は締付け・弛緩自在に連結する連結具3の役目をするものであり、緩めることにより保持部材2,2間の間隔を可変にする間隔可変手段25の役目も果たしている。このように簡素な構成の保形フレーム1aであっても鉢物Jの形を一定に保持できることは無論のこと、左右の花房K,Kを外向きに広げたり内向きに狭めたりすることが可能である。
【0029】
一方で、
図6(b)に示すような保形フレーム1bも、本発明に含まれる。この保形フレーム1bは最も簡素な構成であり、3つの保持部材2a,2a,2aの水平杆部2Ca、2Ca,2Caが溶接などで一体に連結されている。このような保形フレーム1bは竪柱保持杆部2A,2A間の水平間隔を可変にはできないが、この保形フレーム1bを用いた鉢物Jであっても、良好な見栄えが得られるとともに型崩れが無く、花房Kの先端も上下左右に大きく揺れたりしない。また、中央の竪柱保持杆部2Aは最も高く配置されている。
【0030】
また、上記では、鑑賞植物として洋ランの一種である胡蝶蘭を例示したが、胡蝶蘭以外に、シンビジウム、テンドロビウム、デンファレなどを本発明の鑑賞植物に適用しても構わない。
【0031】
尚、上記では、1本もののビニル樹脂被覆鋼線をレの字状に折り曲げた支柱部材7に、本発明を適用した例を示したが、例えば
図7(c)に示されるような支柱部材7aに本発明を適用しても構わない。この支柱部材7aは、それぞれ分離独立である、竪柱部7Aa、曲柱部7C、斜め柱部7Ba、およびこれらをつなぐ粘着テープなどの固定具26から構成されている。竪柱部7Aaはその末端が鉢5内の含水支持層6に差し込まれて起立する。固定具26としては、粘着テープ以外に、紐、結束コード、針金などを用いてよい。
胡蝶蘭の栽培において、0〜2か月期は支柱部材7aを用いずに栽培される。そして、2〜3か月期になって胡蝶蘭M1の花茎が30cm位に伸びてくると、
図7(a)に示すように、支柱部材7aの竪柱部7Aaが鉢5内の含水支持層6に差し込まれて立てられ花茎を支持する。引き続き、3〜4か月期になって蕾が2つ位出てくると、
図7(b)に示すように、竪柱部7Aaの上端に曲柱部7Cがつながれて固定具26で固定される。これらの曲柱部7Cおよび竪柱部7Aaにより、胡蝶蘭M2の蕾付きの花茎が支持される。この時期の胡蝶蘭M2は花茎が柔らかいので、花茎の形を自由に変えることができる。この時期以降になると、花茎が硬くなって思うように変えさせることができなくなる。そうして、4か月以降になり蕾が2〜5つ位に増えるかまたは蕾が開花したときに、
図7(c)に示すように、曲柱部7Cの先端に斜め柱部7Baがつながれて固定具26で固定される。これらの斜め柱部7Baおよび曲柱部7Cにより、胡蝶蘭M3の花茎および花房が支持される。このようにして、花房の形を思い通りの形に添わせることができる。
【0032】
そうして、鑑賞期間が終了して鉢物を片づける際に、支柱部材は鉢5から引き抜かれて処分されるが、既述した1本ものの支柱部材7において切断機を帯同している場合は複数本に短く切断されて処分されていた。しかしながら、通常は切断機を持ち合わせていないことが多いので、支柱部材7を折り返して丸くし処分していたのであるが、嵩張る産業廃棄物とならざるを得なかった。それに対し、この支柱部材7aは、それぞれ分離独立の、竪柱部7Aa、曲柱部7Cおよび斜め柱部7Baで構成されているので、鉢物の片づけの際には、切断機を帯同していなくても、これらを手でバラバラに分解することができ、コンパクトに片づけることができる。従って、廃棄処分が楽になるという利点がある。
【0033】
そして、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。