(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1のような従来の緊急通報システムを用いた場合,緊急通報装置を介して所定のセンターに緊急通報が通知されるため,無線送信機の電波が届く範囲内に使用が限られる。これは,正規の通報であるのか,誤報であるのかを確認するため,緊急通報をセンターで受け取ると,緊急通報者の自宅に対して,センターから架電を行う構成をとっているためである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上述の課題を解決する緊急通報システムを発明した。
【0007】
第1の発明は,所定場所に設置されたセンサから発報信号を受け付ける端末充電装置と,可搬型通信端末とを用いた緊急通報システムであって,前記緊急通報システムは,前記可搬型通信端末または前記端末充電装置から緊急通報を受け付ける緊急通報受付処理部と,利用者に関する情報を記憶する利用者情報記憶部と,前記緊急通報に基づいて,前記緊急通報における利用者を前記利用者情報記憶部から特定する利用者特定処理部と,前記特定した利用者に関する情報を表示させる担当者通知処理部と,を有しており,前記端末充電装置は,前記可搬型通信端末との近距離無線通信の可否により前記利用者が在宅か不在かを判定しており,前記センサから通知された発報信号を前記端末充電装置において受け付けると,前記利用者が在宅の場合には,前記可搬型通信端末に前記緊急通報を行わせ,前記利用者が不在であると判定した場合には,前記端末充電装置に備えたデータ通信装置を用いて前記緊急通報を行う,緊急通報システムである。
【0008】
本発明を用いることによって,センサから発報信号が通知された場合,利用者が自宅などの所定場所にいる場合には利用者の可搬型通信端末から緊急通報が行われ,利用者が不在の場合には端末充電装置から緊急通報が行われることとなる。これによって,利用者の場所にかかわらず,緊急通報を行うことができる。
【0009】
上述の発明において,前記緊急通報は,前記発報信号を通知したセンサのセンサ種別情報と,利用者識別情報とを含み,前記緊急通報システムは,さらに,前記緊急通報におけるセンサ種別情報に基づいて,前記発報信号を通知したセンサの種別を特定するセンサ情報処理部,を備えており,前記利用者特定処理部は,前記緊急通報における利用者識別情報に基づいて,前記利用者情報記憶部から前記緊急通報における利用者を特定し,前記担当者通知処理部は,さらに,前記センサの種別を表示させる,緊急通報システムのように構成することができる。
【0010】
本発明のように構成することで,センサの種別を特定することができるので,それに応じた対応を担当者が取ることができる。すなわち,火災センサが反応していた場合には消防署,ガスセンサが反応していた場合にはガス会社,防犯センサが反応していた場合には警備会社や警察など,事案に応じて適切に対応することが可能な通報先に対して通報をすることが可能となる。
【0011】
上述の発明において,前記緊急通報は,さらに,前記利用者の在・不在の情報を含み,前記緊急通報システムは,さらに,前記緊急通報における在・不在の情報に基づいて,前記利用者が在宅か不在かを判定する在・不在情報処理部,を備えており,前記担当者通知処理部は,さらに,前記利用者が在宅か不在かの情報を表示させる,緊急通報システムのように構成することができる。
【0012】
緊急通報に利用者が所定場所にいるか否かの情報が含まれることで,担当者はそれを認識することができる。そのため,担当者は利用者の安否確認を迅速に行うことが可能となる。
【0013】
上述の発明において,前記可搬型通信端末は,前記端末充電装置から所定の情報を受け付けると,前記緊急通報を送るとともに,あらかじめ定められた電話番号に対してハンズフリーモードによる架電を行う,緊急通報システムのように構成することができる。
【0014】
可搬型通信端末から緊急通報を送る場合は,利用者が自宅にいる場合である。そのため,利用者が可搬型通信端末を所持,携帯していない場合も考えられる。そこで,ハンズフリーモードによって可搬型通信端末から架電を行うことで,担当者から利用者に対する呼びかけに利用者が気づきやすくなる。また,ハンズフリーモードなので,可搬型通信端末のマイクでその周囲の音が集音され,担当者に伝わる。そのため,担当者は,周囲の状況,特に音を認識できるので,利用者の状況を認識しやすくなる。
【0015】
上述の発明において,前記緊急通報システムは,さらに,前記可搬型通信端末と担当者との間の通話の処理を行う通話処理部,を有しており,前記通話処理部は,前記可搬型通信端末から前記架電を受け付けると,前記利用者に関する情報を表示させた担当者との間で前記通話を行わせる,緊急通報システムのように構成することができる。
【0016】
担当者が利用者に関する情報を認識できるので,可搬型通信端末からの架電は,その利用者に関する情報が表示される担当者との間で行われることが好ましい。
【0017】
上述の発明において,前記通話処理部は,前記利用者に関する情報が表示された担当者端末から所定の操作を受け付けることで,前記緊急通報における利用者の前記可搬型通信端末に対して架電を行う,緊急通報システムのように構成することができる。
【0018】
端末充電装置から緊急通報を受け付けた場合などは,担当者から利用者の可搬型通信端末に架電を行い,その状況確認を行うこととなる。そこで本発明のように構成することで,それに対応することが可能となる。
【0019】
上述の発明において,前記センサとして人感センサを含み,前記端末充電装置は,前記人感センサから,あらかじめ定められた時間,反応がない場合の発報信号を受け付け,前記利用者が在宅であると判定する場合には,前記可搬型通信端末に前記緊急通報を行わせる,緊急通報システムのように構成することができる。
【0020】
利用者が所定場所にいるにもかかわらず,人感センサに一定時間,反応がない場合,当該利用者が倒れているなどの状況も想定される。そこで本発明のように構成することで,それに対応することが可能となる。
【0021】
上述の発明において,前記可搬型通信端末は電源切替装置を有しており,前記電源切替装置は,通常時は前記端末充電装置から前記可搬型通信端末に対して給電がされるよう制御しており,
前記端末充電装置から所定の通知を受け付けると,前記可搬型通信端末のバッテリーから前記端末充電装置に対して給電がされるよう切り替える制御を行う,緊急通報システムのように構成することができる。
【0022】
通常は,可搬型通信端末に対しては端末充電装置から給電がされる。しかし停電等の事象が発生した場合にはそれが行うことができなくなる。その場合,端末充電装置がセンサから発報信号を受け付けたとしても,緊急通報が行えない可能性が発生する。そこで,本発明のように,可搬型通信端末のバッテリーから端末充電装置への給電を可能とせしめる電源切替装置を可搬型通信端末で備えることで,端末充電装置に給電がされるので,端末充電装置を機能させることが可能となる。
【0023】
第1の発明の緊急通報システムは,本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで実現することができる。すなわち,コンピュータを,所定場所に設置されたセンサから発報信号を受け付ける端末充電装置または可搬型通信端末から緊急通報を受け付ける緊急通報受付処理部,前記緊急通報に基づいて,前記緊急通報における利用者を,利用者に関する情報を記憶する利用者情報記憶部から特定する利用者特定処理部,前記特定した利用者に関する情報を表示させる担当者通知処理部,として機能させる緊急通報プログラムであって,前記端末充電装置は,前記可搬型通信端末との近距離無線通信の可否により前記利用者が在宅か不在かを判定しており,前記センサから通知された発報信号を前記端末充電装置において受け付けると,前記利用者が在宅の場合には,前記可搬型通信端末に前記緊急通報を行わせ,前記利用者が不在であると判定した場合には,前記端末充電装置に備えたデータ通信装置を用いて前記緊急通報を行う,緊急通報プログラムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の緊急通報システムを用いることで,利用者の所在場所にかかわらずに緊急通報を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の緊急通報システム1のシステム構成の一例の概念図を
図1に示す。また,本発明の緊急通報システム1を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を
図2に示す。
【0027】
緊急通報システム1を実現するコンピュータは,プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置90と,情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置91と,ディスプレイ(画面)などの表示装置92と,キーボードやポインティングデバイス(マウスやテンキーなど)などの入力装置93と,演算装置90の処理結果や記憶装置91に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置94とを有している。コンピュータ上で実現する各機能(各手段)は,その処理を実行する手段(プログラムやモジュールなど)が演算装置90に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は,記憶装置91に記憶した情報をその処理において使用する場合には,該当する情報を当該記憶装置91から読み出し,読み出した情報を適宜,演算装置90における処理に用いる。また,
図2では緊急通報システム1が一台のサーバ2で実現される場合を示したが,複数のコンピュータまたはサーバ2に,その機能が分散配置されていても良い。また,複数のコンピュータによって多重化することによって,システムダウンなどの障害に対応可能としていてもよい。またサーバ2としてクラウドサーバ2を用いてもよい。
【0028】
本発明における各手段は,その機能が論理的に区別されているのみであって,物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。
【0029】
緊急通報システム1は,高齢者などの利用者が所持する可搬型通信端末3と電話回線およびインターネット回線によって音声通話,データ通信が可能である。可搬型通信端末3は,従来のように自宅などに設置した中継装置を介さずに,独立して,後述するセンターと音声通話および/またはデータ通信が可能である。また緊急通報システム1は,可搬型通信端末3に対して電力を供給する端末充電装置4とインターネット回線によってデータ通信が可能である。そして可搬型通信端末3は端末充電装置4と接続することによって,その電力が充電される。利用者が可搬型通信端末3を持ち歩く場合には,端末充電装置4から取り外す。
【0030】
可搬型通信端末3および端末充電装置4の一例を
図3に示す。
図3(a)は可搬型通信端末3および端末充電装置4の正面図であり,
図3(b)は可搬型通信端末3および端末充電装置4の背面図である。
【0031】
可搬型通信端末3は電話回線による電話回線による音声通話と,インターネット回線によるデータ通信とが行え,さらに端末充電装置4との間で近距離無線通信が可能である。近距離無線通信としては,たとえば無線LAN等の宅内通信用電波を用いた通信のほか,Bluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)による通信などを用いてもよい。すなわち,利用者宅内が通信圏内となるような範囲での無線通信であればよい。
【0032】
可搬型通信装置94には,端末充電装置4と近距離無線通信を行うための近距離無線通信装置31,GPS装置32,電源切替装置33を備えている。近距離無線通信装置31は可搬型通信端末3が端末充電装置4との間で近距離無線通信を行うための装置である。GPS装置32は可搬型通信端末3の位置情報を取得するための装置である。電源切替装置33は,通常時は端末充電装置4から可搬型通信端末3のバッテリーに対して給電がされ,利用者宅などが停電などにより端末充電装置4に電源が供給されなくなった場合,可搬型通信端末3のバッテリーから端末充電装置4に給電を切り替えるためのスイッチ装置(回路など)である。
【0033】
また,可搬型通信端末3は受話口34とマイク35と緊急通報ボタン36を備えている。受話口34では発話者の音声を出力し,マイク35では可搬型通信端末3の利用者の発話音声を集音する。また,非常事態があった場合には緊急通報ボタン36が押下されることで,あらかじめ記憶された操作を開始する。すなわち,可搬型通信端末3のGPS装置32を起動させ,その位置情報を取得する。そして緊急通報を位置情報ととともに,所定のサーバ2に通知する。この際の緊急通報としては,緊急通報ボタン36が押下された緊急通報を示す情報と,可搬型通信端末3またはその利用者を識別する情報(電話番号,利用者IDなどの利用者識別情報)が通知される。
【0034】
端末充電装置4は,可搬型通信端末3と近距離無線通信を行うための近距離無線通信装置42,電源コネクタ44,センサ5と接続するための端子45,緊急通報システム1とインターネット回線によってデータ通信を行うためのデータ通信装置43を備えている。また端末充電装置4は,端子45を介して外部に設置するセンサ5と接続するのではなく,端末充電装置4と一体化したセンサ5であってもよい。端末充電装置4は,電源コネクタ44を介してコンセントから電力の供給を受けている。なお,端末充電装置4にはバッテリーやコンデンサを備えておき,電源コネクタ44を介したコンセントからの電力の供給がなくなった場合には,当該バッテリーやコンデンサにより駆動するとよい。なお,端末充電装置4では電源コネクタ44からの給電,バッテリーやコンデンサなどの蓄電量を監視し,給電の停止,あるいは蓄電量が一定以下になった場合には,可搬型通信端末3の電源切替装置33による給電の切り替えの通知を行い,給電の再開が合った場合には,可搬型通信端末3の電源切替装置33による給電の切り替えの再度の通知を行う。
【0035】
センサ5は,可搬型通信端末3の利用者宅内に設置されるセンサ5であって,人感センサ5a,火災センサ5b,ガスセンサ5c,防犯センサ5dなど各種のセンサ5が該当する。人感センサ5aは人の有無を検知するためのセンサ5である。火災センサ5bは火災の発生を検知するためのセンサ5であり,熱を検知する熱検知器,煙を検知する煙検知器などがある。ガスセンサ5cはガス漏れを検知するためのセンサ5である。防犯センサ5dは外部からの侵入者の有無を検知するためのセンサ5であり,窓やドアの開閉,破損を検知するセンサ5である。
【0036】
センサ5は端末充電装置4の端子45を介して有線により端末充電装置4と接続するか,センサ5と端末充電装置4との間で無線により接続している。したがってセンサ5の発報信号は有線および/または無線によって端末充電装置4で受け付ける。センサ5が複数ある場合には,たとえば火災センサ5bは有線で,防犯センサ5dは無線で接続していてもよい。もちろん,すべてのセンサ5が有線で接続していてもよいし,無線で接続していてもよい。無電圧接点(有線)と,小電力セキュリティシステムおよび特定小電力(無線)の双方を接続可能としてもよい。センサ5は何らかの異常を検知した場合,異常があったことを示す発報信号を端末充電装置4に通知する。この際にどのセンサ5が発報信号を送ったのかを示すセンサ種別情報をあわせて通知する。
【0037】
担当者端末6は,緊急通報を受け付けるセンターの担当者が利用するコンピュータである。担当者端末6において異常が表示された場合には,所定の通報先7,たとえば消防署7a,ガス会社7b,警備会社7c,警察署7d,地域協力員7eなどに異常の情報を通知する。この通知は架電でもよいし,電子メールなどによる通知でもよい。
【0038】
サーバ2は,緊急通報受付処理部20と利用者情報記憶部21と利用者特定処理部22と担当者通知処理部23と位置特定処理部24と通話処理部25とセンサ情報処理部26と在・不在情報処理部27とを有する。
【0039】
緊急通報受付処理部20は,可搬型通信端末3または端末充電装置4からの緊急通報を受け付ける。
【0040】
利用者情報記憶部21は,本発明の緊急通報システム1の利用者に関する情報を記憶する。
図5に利用者情報記憶部21の一例を模式的に示す。利用者に関する情報としては,利用者の属性情報(氏名,住所,自宅の目標物,登録している電話番号,自宅の固定電話番号,性別,血液型,年齢,生年月日,既往歴,健康保険の種別,かかりつけ医療機関,住居の種別(一戸建て,マンションなど),住居構造(平屋,2階建て,鉄筋3階建てなど)などのほか,利用者の同居人に関する情報(氏名,生年月日,電話番号,続柄,既往歴,かかりつけ医療機関など),親族に関する情報(氏名,続柄,住所,固定電話番号,携帯電話番号,駆けつけるのに要する時間,鍵の保管の有無など)の情報を記憶している。
【0041】
利用者特定処理部22は,緊急通報受付処理部20で受け付けた緊急通報における利用者識別情報に基づいて,緊急通報をした利用者を,利用者情報記憶部21に記憶する利用者に関する情報から特定する。具体的には,緊急通報における利用者識別情報に基づいて,利用者情報記憶部21を検索することで,合致する利用者を特定する。
【0042】
担当者通知処理部23は,利用者に関する情報を利用者情報記憶部21から抽出し,担当者端末6で表示させる。たとえば,利用者特定処理部22で緊急通報を行った利用者が特定されると,その利用者に関する情報を利用者情報記憶部21から抽出し,緊急通報があったこととともに,担当者端末6で表示をさせる。
【0043】
位置特定処理部24は,緊急通報受付処理部20で受け付けた緊急通報に位置情報が含まれている場合に,その位置情報に基づいて地図上における場所を特定し,担当者端末6で表示をさせる。これによって,緊急通報を行った利用者の可搬型通信端末3の現在の位置を地図上で表示することが可能となる。
【0044】
通話処理部25は,緊急通報を行った利用者の利用する可搬型通信端末3と担当者との間で通話の処理を行う。たとえば可搬型通信端末3から架電を受け付けた場合には,担当者が利用する担当者端末6またはその電話機との間で通話を可能とする。また,担当者から可搬型通信端末3に架電をする場合には,利用者特定処理部22で特定した,利用者の登録している電話番号の情報に基づいて,担当者が利用する担当者端末6またはその電話機との間で通話を可能とする。これによって,担当者端末6と可搬型通信端末3との間で電話回線を介して通話が可能となる。
【0045】
センサ情報処理部26は,可搬型通信端末3または端末充電装置4から受け付けた緊急通報におけるセンサ種別情報に基づいて,センサ5の種別を特定する。センサ種別情報としては,たとえば人感センサ5a,火災センサ5b(熱検知器),火災センサ5b(煙検知器),ガスセンサ5c,防犯センサ5dなどの各種センサ5の種類を識別する情報であればよい。特定したセンサ5の種別は,担当者通知処理部23に渡し,担当者通知処理部23が担当者端末6で表示させる。
【0046】
在・不在情報処理部27は,緊急通報を可搬型通信端末3または端末充電装置4のいずれから受け付けたかを判定することにより,利用者が利用者宅などの所定場所にいるか否かを判定する。また判定した結果は,担当者通知処理部23に渡し,担当者通知処理部23が担当者端末6で表示させる。
【0047】
つぎに本発明の緊急通報システム1の処理プロセスの一例を
図4のフローチャートを用いて説明する。なお,以下の説明ではセンサ5が利用者の自宅に設置されている場合を説明する。
【0048】
まず可搬型通信端末3の近距離無線通信装置31と端末充電装置4の近距離無線通信装置42とでは,近距離無線通信が可能であるので,それを用いて端末充電装置4は,利用者が在宅か不在であるかを,一定時間ごとに判定している。すなわち,端末充電装置4の通信圏内に可搬型通信端末3がいる場合には「在宅」と判定し,端末充電装置4の通信圏内に可搬型通信端末3がいない場合には「不在」と判定し,可搬型通信端末3のステータス(在宅か不在か)の情報を,端末充電装置4の記憶装置(図示せず)に記憶している。
【0049】
利用者の自宅内には一または複数のセンサ5が設置されている。そしてセンサ5で何らかの異常,たとえば火災,ガス漏れ,侵入者などを検知した場合,異常を検知したセンサ5から端末充電装置4に対して,有線または無線により発報信号が通知される。たとえば通知された発報信号は,端末充電装置4に備えた無電圧接点(端子45)を介して受け付ける(S100)。
【0050】
そして端末充電装置4は,端末充電装置4の記憶装置に記憶した,可搬型通信端末3のステータスの情報に基づいて,利用者が在宅であるか(可搬型通信端末3が端末充電装置4の通信圏内にあるか),不在であるか(可搬型通信端末3が端末充電装置4の通信圏内にないか)を判定する(S110)。
【0051】
そして端末充電装置4は,利用者が在宅であると判定すると,端末充電装置4は,可搬型通信端末3に対して,センサ5から受け取ったセンサ5種別の情報と在宅していることを示す情報とを渡す。なお,端末充電装置4から可搬型通信端末3へ情報を渡すのは,端末充電装置4の近距離無線通信装置42と,可搬型通信端末3の近距離無線通信装置31との間で近距離無線通信を行うことで,情報を渡すことが好ましい。
【0052】
可搬型通信端末3は,センサ種別の情報と在宅していることを示す情報と受け取ると(S120),緊急通報システム1におけるサーバ2に対して,緊急通報として,センサ種別情報と,可搬型通信端末3または利用者を識別するための利用者識別情報(電話番号,電子メールアドレス,氏名など)と,在宅していることを示す情報とを含む緊急通報を通知する。なお,緊急通報には,可搬型通信端末3からの緊急通報であることを示す情報が含まれていてもよい。この通知は電子メールであってもよいし,メッセージングサービスにおけるメッセージなどであってもよいし,ほかの方法であってもよい。
【0053】
サーバ2の緊急通報受付処理部20で可搬型通信端末3から通知された緊急通報を受け付けると(S130),利用者特定処理部22は,緊急通報受付処理部20で受け付けた緊急通報における利用者識別情報に基づいて利用者情報記憶部21を参照することで,合致する利用者を特定する(S140)。
【0054】
そして担当者通知処理部23は,特定した利用者に関する情報を利用者情報記憶部21から抽出し,担当者端末6で表示させる。たとえば,利用者特定処理部22で緊急通報を行った利用者が特定されると,その利用者に関する情報を利用者情報記憶部21から抽出し,緊急通報があったこととともに,担当者端末6で表示をさせる。また,センサ情報処理部26は,緊急通報におけるセンサ種別情報に基づいて,発報したセンサ5の種別を特定し,異常を検知したセンサ5の情報を担当者通知処理部23が担当者端末6で表示させる。たとえばセンサ情報処理部26が火災センサ5b(熱検知器)が発報したことを特定した場合には,担当者通知処理部23は,火災センサ5b(熱検知器)が反応したことを担当者端末6に表示させ,ガスセンサ5cが発報したことを特定した場合にはガスセンサ5cが反応したことを担当者端末6に表示させる。さらに,在・不在情報処理部27は,緊急通報における在宅していることを示す情報に基づいて,利用者が利用者宅に在宅であることを判定し,その情報を担当者通知処理部23に渡し,担当者通知処理部23は,担当者端末6に利用者が在宅であることを表示させる。
【0055】
さらに可搬型通信端末3は,上記緊急通報の通知とともに,あらかじめ定められた電話番号に対して,ハンズフリーモードで架電を行う(S150)。ハンズフリーモードとは,可搬型通信端末3において通話を行う際に,通話の音声が受話口34ではなくスピーカーから再生され,また利用者の発話音声をマイク35で集音する通話モードであり,利用者が耳に可搬型通信端末3を当てなくても通話が可能な状態を示す通話モードである。
【0056】
可搬型通信端末3からの架電を通話処理部25で受け付けると,通話処理部25は,緊急通報を行った通報者の利用する可搬型通信端末3と担当者との間で通話を可能とする処理を実行する。たとえば可搬型通信端末3と担当者が利用する電話機との間を接続し,通話可能状態とする。通話処理部25は,担当者通知処理部23が緊急通報を行った利用者に関する情報を表示させた担当者が利用する担当者端末6に対して,可搬型通信端末3との間の通話を可能にするとよい。
【0057】
なお,可搬型通信端末3からの架電をサーバ2で受けるのではなく,センターの担当者が利用する電話に直接,架かるようになっていてもよい。
【0058】
このように利用者の可搬型通信端末3と担当者との間で通話が可能になると,担当者からは緊急通報がなされたことなどを利用者に告知し,利用者に状況の確認を求めることができる(S160)。また,その回答の内容,あるいは回答がなされない状況から,必要と判断した場合には,あらかじめ定められた通報先7に対して,担当者は通報を行う。この通報先7を特定する際には,担当者端末6に表示される異常を検知したセンサ5の情報に基づいて,対応する通報先7に通報を行えばよい。
【0059】
なお,可搬型通信端末3から緊急通報をサーバ2に送る場合,可搬型通信端末3におけるGPS装置32を起動し,その位置情報を緊急通報に含めて送信してもよい。これによって,位置特定処理部24は,緊急通報受付処理部20で受け付けた利用者の可搬型通信端末3からの緊急通報における位置情報の緯度経度情報に基づいて,地図上におけるその場所を特定し,特定した利用者の位置情報とともに地図情報を担当者端末6に表示させることもできる。
【0060】
一方,端末充電装置4がセンサ5から発報信号を受け付けた後,利用者が不在である(可搬型通信端末3が端末充電装置4の通信圏内にない)ことを判定すると(S110),端末充電装置4は,そのデータ通信装置43を介して,サーバ2に対して,発報信号を通知したセンサ5のセンサ種別情報,利用者識別情報,不在であることを示す情報とを含む緊急通報を通知する。なお,緊急通報には,端末充電装置4からの緊急通報であることを示す情報が含まれているとよい。この通知は電子メールであってもよいし,メッセージングサービスにおけるメッセージなどであってもよいし,ほかの方法であってもよい。
【0061】
サーバ2の緊急通報受付処理部20で端末充電装置4から通知された緊急通報を受け付けると(S170),利用者特定処理部22は,緊急通報受付処理部20で受け付けた緊急通報における利用者識別情報に基づいて利用者情報記憶部21を参照することで,合致する利用者を特定する(S180)。
【0062】
そして担当者通知処理部23は,特定した利用者に関する情報を利用者情報記憶部21から抽出し,担当者端末6で表示させる(S190)。たとえば,利用者特定処理部22で緊急通報を行った利用者が特定されると,その利用者に関する情報を利用者情報記憶部21から抽出し,緊急通報があったこととともに,担当者端末6で表示をさせる。また,センサ情報処理部26は,緊急通報におけるセンサ種別情報に基づいて,発報したセンサ5の種別を特定し,異常を検知したセンサ5の情報を担当者通知処理部23が担当者端末6で表示させる。たとえばセンサ情報処理部26が火災センサ5b(熱検知器)が発報したことを特定した場合には,担当者通知処理部23は,火災センサ5b(熱検知器)が反応したことを担当者端末6に表示させ,ガスセンサ5cが発報したことを特定した場合にはガスセンサ5cが反応したことを担当者端末6に表示させる。さらに,在・不在情報処理部27は,緊急通報における不在であることを示す情報に基づいて,利用者が利用者宅に不在であることをを判定し,その情報を担当者通知処理部23に渡し,担当者通知処理部23は,担当者端末6に利用者が不在であることを表示させる。
【0063】
担当者端末6で利用者に関する情報の表示がされると,たとえばその画面において「電話発信」のボタンが設けられ,それが押下されることで,通話処理部25は,抽出した可搬型通信端末3の電話番号に対して,担当者端末6から可搬型通信端末3に架電を行う(S200)。これによって,担当者と可搬型通信端末3の利用者との間で会話が行え(S210),緊急通報が発せられた利用者に対して,緊急通報があったこと,利用者の状況を確認することができる。また,その回答の内容,あるいは回答がなされない状況から,必要と判断した場合には,あらかじめ定められた通報先7に対して,担当者は通報を行う。この通報先7を特定する際には,担当者端末6に表示される異常を検知したセンサ5の情報に基づいて,対応する通報先7に通報を行えばよい。
【0064】
さらに,センサ5として人感センサ5aを用いる場合,端末充電装置4は利用者が在宅であることを示す情報が記憶装置91に記憶されている場合(可搬型通信端末3が端末充電装置4の通信圏内にあることを示す情報が記憶装置91に記憶されている場合)であって,あらかじめ定められた時間(たとえば24時間など),人感センサ5aの反応がない場合には,緊急通報として可搬型通信端末3から緊急通報を行うように構成してもよい。
【0065】
この場合,センサ種別情報としては人感センサ5aを示す情報と,利用者識別情報と,在宅を示す情報とが緊急通報として可搬型通信端末3からサーバ2に送られ,それを緊急通報受付処理部20で受け付けると,利用者特定処理部22で上述と同様に,利用者識別情報に基づいて利用者に関する情報を特定する。またセンサ情報処理部26で人感センサ5aであることを特定し,在・不在情報処理部27で利用者は在宅であることを判定する。この場合の緊急通報は,利用者は在宅ではあるが人感センサ5aに反応がない場合であるので,利用者が倒れている,動けないなどの状況が想定される。そのため,上記のように判定をした場合には担当者通知処理部23は,利用者に関する情報と,利用者は在宅であるが人感センサ5aには反応がないことを意味する情報とを,担当者端末6に表示させる。
【0066】
そして可搬型通信端末3からは上述と同様に,ハンズフリーによる架電が行われているので,担当者は,当該通話で利用者に対して呼びかけを行うとともに,反応がない場合には所定の通報先7,たとえば地域協力員7eに対して状況の確認の依頼を行う。
【0067】
上述の実施態様に加えて,バッテリーやコンデンサを端末充電装置4で備えていない,あるいはすでに蓄電している電力を消費したなどの事由がある場合には,利用者宅において長時間の停電が発生した場合には,端末充電装置4が機能しなくなることが想定される。そこで,可搬型通信端末3が端末充電装置4に取り付けられている場合には,可搬型通信端末3は端末充電装置4から電力がなくなることの通知を受け付けると,電源切替装置33によって給電を切り替え,可搬型通信端末3のバッテリーから端末充電装置4に給電を開始する。これによって,端末充電装置4を,可搬型通信端末3のバッテリーによって機能させることができる。なお,停電からの復旧などにより端末充電装置4が外部から電力の供給を受けることが可能となった場合には,端末充電装置4は可搬型通信端末3に復電したことを通知し,可搬型通信端末3の電源切替装置33は,その通知に基づいて,端末充電装置4から可搬型通信端末3に給電されるように,再度,切り替える。
【0068】
なお,停電,復電があった場合には,端末充電装置4はそれを緊急通報の一種別としてサーバ2に緊急通報をするように構成してもよい。
【0069】
また,上述の各説明においては,センサが利用者の自宅に設置された場合を説明したが,それに限定されるものではなく,たとえば公共施設など,自宅以外の場所に設置されている場合であってもよい。