(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信部は、前記外側正極端子又は前記外側負極端子に前記出力トランジスタを介して接続されるオペアンプと、前記オペアンプの出力に接続される微分回路と、前記微分回路の出力に接続されるラッチ回路とを有することを特徴とする請求項3記載の電池形電源装置。
前記無線通信部は、前記受信部により前記外部負荷装置から受信したデータを前記アンテナを介して前記外部情報処理装置に無線送信することを特徴とする請求項3記載の電池形電源装置。
前記外部負荷装置から前記受信部に送信されるデータは、前記外部負荷装置の動作状態、前記外部負荷装置の操作状態、前記外部負荷装置が装備するセンサの検出値の少なくとも一を表すことを特徴とする請求項3記載の電池形電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る無線通信機能を備えた電池形電源装置を説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0009】
本実施形態に係る電池形電源装置は、電池規格に準じた形状及び寸法(外寸)を有し、外部負荷装置の電池ボックスに装着されるとともに、内部にそれにより小型の電池(内蔵電池)を収納する。また電池形電源装置は無線通信部を装備しており、外部のスマートフォン等の外部情報処理装置との間で無線通信する。電池形電源装置は、その両端の外側正極端子及び外側負極端子の一方と内蔵電池との間にスイッチング素子(以下、出力トランジスタという)を介在させ、その出力トランジスタの開閉を外部情報処理装置から受信した指示に従って制御することによりパルス幅変調(PWM)により出力電圧を調整させるPWM電源機能(スイッチング電源機能)を実現している。なお、本実施形態に係る電池形電源装置は、PWM機能を装備させることに限定されるものではなく、出力トランジスタの開閉による電源オン/オフ機能のみ装備するものであってもよい。
【0010】
外部負荷装置は、電池形電源装置の外側正極端子及び外側負極端子を介して電源供給を受けて駆動される。それによりユーザは外部情報処理装置を操作して外部負荷装置を任意の電圧で駆動させることができる。さらに本実施形態に係る電池形電源装置は、電源供給用の外側正極端子及び外側負極端子を、外部情報処理装置との間でのデータ送受信の通信端子と兼用させている。
【0011】
図1は、本実施形態に係る無線通信機能を備える電池形電源装置100の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る電池形電源装置100の内部構造を示す図である。本実施形態に係る無線機能を備えた電池形電源装置100(以下、単に電池形電源装置100と称す)は、電池規格に準じた形状及び外寸で構成される。典型的には電池形電源装置100は、単3形規格に準じた高さ及び直径の円柱体で構成される。しかし、電池形電源装置100は、他の電池規格に準じた形状及び寸法で構成されていてもよい。ここでは電池形電源装置100は単3形規格に準じているものとして説明する。
【0012】
電池形電源装置100の本体部117は単3形電池規格と同一の形状及び寸法で構成された円筒状体のハウジング118に外装されている。本体部117の上端面(前端面ともいう)の中央には、外側正極端子103として円形状の導電板が取り付けられる。本体部の下端面(後端面ともいう)の中央には、外側負極端子104として円形状の導電板が取り付けられる。ハウジング118の周面の一部分は長円形状に切り欠かれている。切り欠き部119の長さは典型的には単4乾電池の長さと同等であり、幅は単4乾電池の幅より若干広い。ユーザは、この切り欠き部119から単4形電池を電池収納部102に対して挿抜することができる。電池収納部102の形状は単4形規格に準じた長さ及び直径の円柱形状のスペースである。電池収納部102の中心軸は電池形電源装置100の円柱中心軸に対して半径方向にオフセットされる。このオフセットは、ハウジング118と電池収納部102との間に僅かなスペースを提供する。この僅かなスペースに電池形電源装置100の各種機能を実現する基板107が搭載される。
【0013】
電池収納部102の前端中央、つまり外側正極端子103と同じ側には内側正極端子105として導電板が取り付けられる。電池収納部102の後端中央、外側負極端子104と同じ側には内側負極端子106としてバネ性を有した導電板が取り付けられる。電池収納部102に収納された単4乾電池の正極端子は内側正極端子105に接触し、単4乾電池の負極端子は内側負極端子106に接触する。内側正極端子105は配線ケーブル108を介して外側正極端子103と基板107とに接続される。内側正極端子105は外側正極端子103と共通導電板で構成されてもよい。内側負極端子106は配線ケーブル109により基板107に接続される。外側負極端子104は配線ケーブル110により基板107に接続される。
【0014】
図3は、
図1の電池形電源装置100の使用状態を示す図である。外部負荷装置200は例えば1本の単3乾電池で駆動する装置である。外部負荷装置200は、電池ボックス201を有し、この電池ボックス201に電池形電源装置が装着される。電池ボックス201に電池形電源装置100が装着された状態で、電池形電源装置100の外側正極端子103は電池ボックス201の正極端子203に接触し、外側負極端子104は電池ボックス201の負極端子204に接触する。外部負荷装置200は、例えばモータ、LED,各種センサ、スピーカ等の負荷を備える装置であり、例えば電動玩具、電動工作玩具、防災センサ、防犯センサ、懐中電灯、自転車ライト、電池式調理器、電気ウキ、電動ペット給餌装置、電池式ファン、電池式ハンドソープディスペンサー等である。ここでは、外部負荷装置200は、赤色LED261、青色LED262、緑色LED263、スピーカ264、押しボタン型スイッチ265及び温度センサ266を備える。これら負荷の駆動は、外部負荷装置200内の通信機能を持った集積回路(IC)250内の制御部により制御される。IC250と電池ボックス201との間の電気的な接続は、電源スイッチ205がオンされたとき確保され、オフされたとき切断される。
【0015】
外部情報処理装置300はスマートフォンや、携帯電話機や、タブレット端末、ラジオコントロール通信機等の通信機能及び操作機能等を備えた装置である。ユーザは、外部情報処理装置300を操作することで、開閉する負荷を選択し、負荷の出力をPWM信号0%(駆動信号出力なし)からPWM信号100%(駆動信号出力値最大)までの間の任意の値にすることができる。これにより、ユーザは、外部情報処理装置300を操作して、赤色LED261を点灯した時には、点灯させた赤色LED261の光量を調整することができる。
【0016】
外部負荷装置200は無線通信機能を備えていない。外部負荷装置200の電池ボックス201に装着された本実施形態に係る電池形電源装置100が、外部負荷装置200に代わって外部情報処理装置300から送られた無線信号を受信する。電池形電源装置100は外部情報処理装置300から受信した出力指示値に応じたPWM信号により、電池形電源装置100の出力トランジスタを開閉制御させることで、電源出力を調整することができる。一方、電池形電源装置100が外部情報処理装置300から動作指示を受信したとき、その動作指示を外部負荷装置200のIC250に送信する必要がある。本実施形態に係る電池形電源装置100は、電池形電源装置100を装着する外部負荷装置200とデータ通信可能に構成される。具体的には、電池形電源装置100と外部負荷装置200との間のデータ通信は、電極端子103,104を介して行われる。
(
図4:全体構成)
図4は、本実施形態に係る電池形電源装置100を装着した外部負荷装置200の等価回路図の一例である。電池形電源装置100は、データ受信回路130とRFIC150と出力トランジスタ120とを有する。外部負荷装置200は、電源回路210とIC250と第2出力トランジスタ220とを有する。電池形電源装置100のPWMスイッチング用トランジスタ120、外部負荷装置200のデータ送信用第2出力トランジスタ220は典型的にはn形のMOS−FETである。
【0017】
(電池形電源装置100)
電池形電源装置100の第1出力トランジスタ120のゲートGはRFIC150のOUTPUT端子に接続され、ソースSは検出抵抗131を介して第1グラウンドGND、つまり電池形電源装置100側のグラウンドに接続され、ドレインDは外側負極端子104に接続される。電池形電源装置100の内側負極端子106は第1グラウンドに接続され、内側正極端子105は外側正極端子103に接続される。なお、内側正極端子105には図示しない例えばDCDCコンバータを接続し、電池収納部102に装着された単4乾電池の電圧をRFIC150の動作用の例えば3.0Vの電源電圧VCCに昇圧するようにしてもよい。
【0018】
データ受信回路130は、外部負荷装置200から送信された信号をRFIC150で扱えるデータに変換するものであり、検出抵抗131と、オペアンプ132と、立下がり検出用の微分回路133と、立上がり検出用の微分回路134と、ラッチ回路135とを有する。検出抵抗131は、第1出力トランジスタ120のソースと第1グラウンドとの間に介在される。オペアンプ132の非反転入力端子(+)には検出抵抗131の両端電圧が入力される。オペアンプ132の反転入力端子(−)には抵抗138を介在した帰還路が接続される。オペアンプ132の出力には微分回路133,134が接続される。立下がり検出用の微分回路133はコンデンサ139と抵抗143からなるCR回路に、抵抗143と並列にダイオード141を順方向に配置してなる。立上がり検出用の微分回路134はコンデンサ140と抵抗144からなるCR回路に、抵抗144と並列にダイオード142を逆方向に配置してなる。ラッチ回路135はペアのNOR回路145,146がたすきがけに構成されるいわゆるSRラッチであり、R端、S端に微分回路133,134がそれぞれ接続される。ラッチ回路135の出力はRFIC150のINPUT2の入力端子に接続される。
【0019】
RFIC150は、電池収納部102に収納された内蔵電池の電源VCC又はDCDCコンバータにより昇圧された電源電圧で駆動し、電池形電源装置100を統括して制御する。RFIC150のANT端子にはハウジング内に収納された無線通信用アンテナ121が接続され、OUTPUT端子には第1出力トランジスタ120のゲートが接続され、INPUT端子にはラッチ回路135の出力が接続される。
【0020】
RFIC150は、制御部151、無線通信部152、データ送信部153、PWM制御部154、データ受信部155及び接続切替部156を機能上備える。無線通信部152は、制御部151の制御に従って、無線通信用アンテナ121を介して外部情報処理装置300とBluetooth(登録商標)規格等に準拠した無線通信を行う。無線通信部152は、外部情報処理装置300から動作指令を表すコード無線信号と出力指示値を表すコード無線信号とを受信する。動作指令とは、例えば「外部負荷装置200の赤色LED261を点灯する」、「外部負荷装置200の温度センサ157をオンする」等の外部負荷装置200の備える複数の機能のうち、ユーザが外部情報処理装置300を操作して選択した機能である。PWM出力指示値は、例えば0%から100%までの割合のうち、ユーザが外部情報処理装置300を操作して選択した値である。これによりユーザは外部情報処理装置300の動作を停止させたり、動作させたり、さらに動作時の強度を可変させたり、例えば赤色LED261を開閉したり、さらに点灯した赤色LED261の光量を調整することができる。
【0021】
PWM制御部154は、制御部151の制御に従って、受信した出力指示値に応じた出力トランジスタ120のゲート制御信号(単に駆動信号ともいう)を発生する。ここでは、駆動信号は、PWM(パルス幅変調)信号で提供される。出力指示値が0%の場合において、PWM制御部154はデューティー比0%(ローレベルのみ)のPWM信号を発生する。PWM出力指示値が100%の場合において、PWM制御部154はデューティー比100%(ハイレベルのみ)のPWM信号を発生する。PWM出力指示値が50%の場合において、PWM制御部154はデューティー比50%(ローレベルとハイレベルの比が半分)のPWM信号を発生する。PWM制御部154により発生されたPWM信号は第1出力トランジスタ120のゲートにゲート制御信号として入力される。
【0022】
電池形電源装置100と外部負荷装置200との間のデータ通信は例えば調歩同期方式のシリアル通信で行われる。ここでは、調歩同期方式のシリアル通信のデータフォーマットとしてスタートビット1ビット、ストップビット1ビット、パリティビットなし、データビット8ビットとして説明する。一般的な調歩同期式として説明したが同期式通信でもよい。また、電池形電源装置100と外部負荷装置200との間の通信レート(1ビット周期の逆数)は予め所定値に設定されている。また電池形電源装置100と外部負荷装置200とは、データ本体と動作指示とを関連付けた対応表のデータを互いに保持する。
【0023】
データ送信部153は、制御部151の制御に従って、受信した動作指令に応じた8ビットのデータ本体にスタートビットとストップビットとを付加した合計10ビットのデータ信号を所定の通信レートで1ビットずつ送信する。例えば、外部負荷装置200から電池形電源装置100に送信するデータ信号のスタートビットはローレベル、ストップビットはハイレベルである。データ信号において、例えばバイナリの「1」はハイレベルの信号で表され、バイナリの「0」はローレベルの信号で表される。データ送信部により発生されたデータ信号は出力トランジスタのゲート制御信号として入力される。
【0024】
なお、PWM制御部154により発生されるPWM信号のハイレベルとデータ送信部153により発生されるデータ信号のハイレベルとは、第1出力トランジスタ120の閾値電圧Vthよりも十分高い電圧値であり、典型的には同一の電圧値である。ハイレベルの信号がゲートに入力された状態で、第1出力トランジスタ120はオン状態になる。ローレベルとは、第1出力トランジスタ120の閾値電圧Vthよりも十分低い電圧値であり、典型的には同一の電圧値である。ローレベルの信号がゲートに入力された状態で、第1出力トランジスタ120はオフ状態になる。
【0025】
データ受信部155はINPUT2端子に入力される信号を常時監視する。データ受信部155は、スタートビットを検出してから、所定の通信レートで8ビットのデータ本体を受信し、次のビットがストップビットであることを確認して受信を完了する。無線通信部152は、制御部151の制御に従って、外部負荷装置200から送信され、データ受信部155で受信したデータ本体に応じたコード無線信号を外部情報処理装置300に送信する。外部負荷装置200から送信されるデータ本体は、例えば、温度センサ157による温度の検出値、押ボタン型スイッチ265が押下された回数等に関する。
【0026】
接続切替部156は、制御部151の制御に従って、第1出力トランジスタ120のゲートの接続先を、PWM制御部154又はデータ送信部153に切り替える。データ送信は所定の送信規則に従って所定のタイミングで繰り返され、典型的には電源スイッチ205をオンした直後、さらに電源スイッチ205のオンの後に一定周期で繰り返される。データ送信に同期して外部負荷装置200でデータ受信が行なわれるように、制御部251はデータ送信と同じ規則でデータ受信を実行するようにデータ受信部255を制御する。
【0027】
(外部負荷装置200)
電池ボックス201の負極端子204は第2グラウンド、つまり外部負荷装置200側のグラウンドに接続される。電池ボックス201の正極端子203は、電源スイッチ205、電源回路210を介してIC250(外部負荷装置200側のIC)のVDD端子に接続される。電源回路210は、入力される電圧波形からICの駆動電圧を発生する。電源回路210は、整流用のダイオード211と平滑用のコンデンサ212とを有する。ダイオード211の入力端子は電池ボックス201の正極端子203に接続され、出力端子はIC250のVDD端子に接続される。平滑コンデンサ212はダイオード210の出力端子と第2グラウンドとの間に介在される。
【0028】
また、電源スイッチ205に繋がる電源線SLから分岐する分岐線BL1はIC250のINPUT端子に接続される。この分岐線BL1には、対のプルダウン抵抗213,214が互いに並列に設けられ、一方のプルダウン抵抗214はスイッチ素子(トランジスタ)215を介してグラウンドに接続される。トランジスタ215のベースはIC250のEN端子に接続され、制御部251の制御により所定の受信規則又は受信データの受信有無の判定に応じてプルダウン抵抗値を可変させるためにトランジスタ215が開閉される。
【0029】
電源線SLから分岐する分岐線BL2は抵抗221および第2出力トランジスタ220のソースを介して負極端子204に接続され、第2出力トランジスタ220のゲートはICのOUTPUT端子に接続される。第2出力トランジスタ220は送信部253により送信データに従って開閉される。第2出力トランジスタ220の開閉に応じて電池形電源装置100の検出抵抗131の両端電圧は変動する。
【0030】
ICの出力端子には、赤色LED261、青色LED262、緑色LED263、スピーカ264、押しボタン型スイッチ265及び温度センサ266が接続される。IC250は、電源回路210から供給された電源電圧で駆動し、外部負荷装置200を統括して制御する。IC250は、機能上、制御部251、データ送信部253及びデータ受信部255を有する。
【0031】
データ送信部253は、制御部251の制御に従って、温度センサ266による温度の検出値、押ボタン型スイッチ265の押下回数等に応じた8ビットのデータ本体にスタートビットとストップビットとを付加した合計10ビットのデータ信号を所定の通信レートで送信する。例えば、外部負荷装置200から電池形電源装置100に送信するデータ信号のスタートビットはローレベル、ストップビットはハイレベルである。データ信号において、例えばバイナリの「1」はハイレベルの信号で表され、バイナリの「0」はローレベルの信号で表される。データ送信部253により発生されたデータ信号は第2出力トランジスタ220のゲートにゲート制御信号として入力される。なお、データ送信部253により発生されるデータ信号のハイレベルとは、第2出力トランジスタ220の閾値電圧Vthよりも十分高い電圧値であり、ハイレベルの信号がゲートに入力された状態で、第2出力トランジスタ220はオン状態になる。ローレベルとは、第2出力トランジスタ220の閾値電圧Vthよりも十分低い電圧値であり、ローレベルの信号がゲートに入力された状態で、第2出力トランジスタ220はオフ状態になる。
【0032】
データ受信部255はINPUT2端子に入力される信号を常時監視する。データ受信部255は、スタートビットを検出してから、所定の通信レートで8ビットのデータ本体を受信し、次のビットがストップビットであることを確認してデータ信号の受信を完了する。制御部251は、データ本体と動作指令とを関連付けたテーブルを参照し、データ受信部183で受信したデータ本体に対応する動作指令を特定し、特定した動作指令に応じた処理を実行する。赤色LED261、青色LED262、緑色LED263、スピーカ264それぞれにはドライバ252が接続される。ドライバ252は電源線SLに接続される。ドライバ252は、電源線SLから供給される電源電圧から、接続される負荷用の駆動電圧を発生し、制御部251の制御に従って、負荷を駆動する。制御部251は、データ受信部255で受信した動作指令に従って、これらドライバ252を個別に開閉するとともに、各ドライバ252に制御信号を送信する。例えば、動作指令が「赤色LED261を点灯させる」であれば、制御部251は赤色LED261のドライバ252をオンするとともに、そのドライバに赤色LED261を点灯させるための制御信号を送信する。動作指令が、「スピーカ264から音楽を流す」であれば、制御部251はスピーカ264のドライバ252をオンするとともに、そのドライバ252にスピーカ264からビープ音、音声又は音楽を発生させるためのオーディオ信号を出力する。
【0033】
(電池形電源装置100から外部負荷装置200へのデータ送信)
図4および
図5を参照して電池形電源装置100から外部負荷装置200にデータを送信するときの回路動作について説明する。
図4でのA点、B点およびINPUT1での観測波形を
図5に示した。電源スイッチ205がオン状態であるときにデータ送信が可能である。電池形電源装置100と外部負荷装置200との間で電流ループが形成される。具体的には、電流ループのプラス電源側は、電池101から電極端子105,103,203及び電源スイッチ205を介してIC250の第2電源VDDに至る経路で形成される。そして負荷はここではIC250、抵抗221、抵抗213、抵抗214、ドライバ252、LED261〜263、スピーカ264からなり、これら負荷を介して、グラウンド(電流のリターン)が、第2グラウンド(IC250のグラウンド、LED261〜263のカソード、トランジスタ220のソース、抵抗213のグラウンド側、トランジスタ215のソース)から、電池ボックス201の負極端子204及び外側負極端子104を介して、出力トランジスタ120のドレイン、出力トランジスタ120のソース、検出抵抗130、第1グラウンド、内側負極端子106、内蔵電池101に至る経路で形成される。
【0034】
第1出力トランジスタ120がオフ状態であるとき、負極端子側の第2グラウンドと第1グラウンドとの間が第1出力トランジスタ120により遮断されるため、内蔵電池101からIC250に電流が流れない。つまり、IC250に接続される信号線BL1上のB点で観測できる電圧波形のハイレベルとローレベルとが切り替わるタイミングは、第1出力トランジスタ120のゲートに入力される電圧波形(
図5のA点の信号波形)のハイレベルとローレベルとが切り替わるタイミングと同じである。
【0035】
外部情報処理装置300から出力指示を受信したとき、制御部151の制御に従って、接続切替部156は、第1出力トランジスタ120のゲートにPWM制御部154を接続し、PWM制御部154は出力指示値に応じたデューティー比のPWM信号を発生する。第1出力トランジスタ120はゲートに入力されたPWM信号により開閉される。一方、外部情報処理装置300から動作指示を受信したとき、制御部151の制御に従って、接続切替部156は、第1出力トランジスタ120のゲートにデータ送信部153を接続し、データ送信部153は動作指示に応じたデータ信号を発生する。第1出力トランジスタ120はゲートに入力されたデータ信号により開閉される。
【0036】
図5に示すように、電池形電源装置100からの電源出力と、電池形電源装置100から外部負荷装置200へのデータ送信とは時分割で行われる。PWM信号もデータ信号も第1出力トランジスタ120を開閉するゲート制御信号である。PWM信号とデータ信号との間の違いは、PWM信号はハイレベルとローレベルとが所定の周期で規則的に変化する信号であり信号波形自体にデータが含まれていないのに対して、データ信号はハイレベルとローレベルとで動作指令に応じたデータ本体のデータを表す信号である点である。したがって、第1出力トランジスタ120のゲートにPWM信号が入力されたとき、IC250のINPUT1端子には、そのPWM信号と同じ周期でハイレベルとローレベルとが切り替わる波形の電圧波形が入力される。一方、第1出力トランジスタ120のゲートにデータ信号が入力されたとき、IC250のINPUT1端子にはデータ信号と相似で電圧波形が入力される。IC250のデータ受信部255は、INPUT1端子に入力された電圧波形を監視し、電池形電源装置100から送信されたデータ信号に応じた信号を受信することができる。
【0037】
ここで電池形電源装置100から外部負荷装置200への送信される信号波形が鈍ってしまい、それによりデータ受信部255によるデータ信号の受信エラーが発生する場合がある(
図8(a))。電極端子203,204間の過大な容量があるときには、急峻な矩形波等の受信信号の電圧変化を鈍らせる。これを回避するために、IC250の制御部251は、データ受信時又はデータ受信部255によるデータ信号の受信エラーが発生したときに、制御部251はEN端子からハイレベルのゲート制御信号を出力し、トランジスタ215をオンさせる。これにより、プルダウン抵抗値は、第1プルダウン抵抗213と第2プルダウン抵抗214との合成抵抗値で表されるため、単独の第1プルダウン抵抗213の抵抗値よりも小さくなり、第1出力トランジスタ120がオフになるときの時定数を低下させて、信号波形の鈍りを改善することができる(
図8(b))。
【0038】
(電池形電源装置100が外部負荷装置200からデータを受信)
図4、
図6、
図7を参照して電池形電源装置100が外部負荷装置200からデータを受信するときの動作について説明する。
図7は
図6のデータ受信期間の拡大図である。電源スイッチ205はオン状態とする。
図6に示すように、電池形電源装置100はその第1出力トランジスタ120がオン状態である期間に、外部負荷装置200からデータを受信することが可能である。
【0039】
図6のデータ受信期間において、外部負荷装置200から電池形電源装置100がデータを受信するとき、外部負荷装置200のデータ送信部253は送信データを所定の通信レートで変動するゲート信号をOUTPUT端子から出力する(
図6のC点の電圧波形)。第2出力トランジスタ220はデータ信号のハイレベルが入力されたときオンし、ローレベルが入力されたときオフする。第2出力トランジスタ220がオンすることで、電池ボックス201の正極端子203は抵抗221を介して第2グラウンドに接続され、電流が生じる。
【0040】
外部負荷装置200を内蔵電池101に直列に接続された1つの負荷とみなしたとき、外部負荷装置200の抵抗値は、第2出力トランジスタ220の開閉により変動する。第2出力トランジスタ220がオンされたとき、抵抗221が電池ボックス201の正極端子203と第2グラウンドとの間に、IC250と並列に接続された状態になるため、外部負荷装置200の抵抗値は、第2出力トランジスタがオフした状態のときのそれに比べて小さくなる。したがって、第2出力トランジスタ220がオンしたときに回路全体に流れる電流の値は、第2出力トランジスタ220がオフしたときに回路全体に流れる電流の値よりも大きい。これにより第2出力トランジスタ220がオンしたときの検出抵抗131の両端にかかる電圧は、第2出力トランジスタ220がオフしたときのそれよりも大きい。つまり、検出抵抗131にかかる電圧波形は、IC250のOUTPUT端子から出力されたデータ信号の波形と相似波形を示す。
【0041】
検出抵抗131で検出された検出電圧はデータ受信回路130のオペアンプ132により同相で増幅される(
図7のD点の電圧波形)。ここでは、増幅後の電圧波形のハイレベルの電圧値をn1、ローレベルの電圧値をn2とする。オペアンプの増幅率は、n1は次に続くロジック回路の閾値以上、n2は閾値未満となるように調整されている。増幅後の電圧波形は立下がり微分回路133と立上がり微分回路134とに入力される。立下がり微分回路133及び立上がり微分回路134では、それぞれのコンデンサ139,140により、電圧波形の立上がりと立下りとが検出される。
【0042】
D点の出力が立上がり時は立上り微分回路134ではコンデンサ140と抵抗144の時定数でS点にパルスが入力される。このとき立下がり微分回路133にはVCC以上の電圧が印加されるがダイオード141を介して放電される。またD点の出力が立下がりの時は立下がり微分回路133ではコンデンサ139と抵抗143の時定数でインバータ147に負のパルスが入力される。このとき立上り微分回路134には負の電圧が入力されるがダイオード142により放電される。したがって、立下がり微分回路133で電圧波形の立下りだけが検出され(
図7のS点の電圧波形)、立上がり微分回路134で電圧波形の立上がりだけが検出される(
図7のR点の電圧波形)。S点が「ハイレベル」を示すとき、ラッチ回路135の出力は「ハイレベル」になり、R点が「ハイレベル」を示すまで維持される。この動作により、RFIC150のINPUT2端子に、IC250のOUTPUT端子から出力されたデータ信号と略同一の信号を入力することができる。RFIC150のデータ受信部155は、外部負荷装置200から送信されたデータを制御部151に出力する。
【0043】
検出抵抗131で検出される電圧値は、回路全体に流れる電流の大きさ、つまり外部負荷装置200でLED261等を駆動している負荷量によって変動する。そのため、検出抵抗131で検出された電圧値を直接RFIC150のINPUT端子に入力されてしまうと、ハイレベルの判定が不安定になる。ハイレベルと判定する閾値を高くしてしまうと、検出抵抗131で検出する電圧値が小さいときに、ハイレベルと判定できなくなってしまい、閾値を低く設定すると、ノイズに弱くなってしまう。本実施形態に係る電池形電源装置100のデータ受信回路130は、増幅後に電圧波形の立上がりと立下りとを検出することで、元のデータ信号の波形の復元精度を向上させる。これにより、データ受信回路130は検出抵抗131の電圧値が変動することを許容し、電池形電源装置100と外部負荷装置200とのデータ通信の通信精度を向上することができる。
【0044】
なお、
図6の出力トランジスタ120のオン時、PWM期間、さらにLED261−263の点灯変化等の負荷変動期間には、データ受信回路130の検出電圧値が変動する。この変動の立ち上がり、立下りで電池形電源装置100の微分回路133,134はパルスを発生し、ラッチ回路135で矩形信号に変換され、電池形電源装置100のデータ受信部155に供給される。この矩形信号の変動周期は、電池形電源装置100および外部負荷装置200で既定されている調歩同期方式の通信レートによるものと相違する。従ってデータ受信部155でデータ受信とそれ以外を判別することが可能である。
【0045】
以上説明した本実施形態に係る電池形電源装置100によれば、ゲート制御信号として、データ信号を第1出力トランジスタ120のゲートに入力し、第1出力トランジスタ120を開閉することで、データ信号に応じた波形を外部負荷装置200のIC250のINPUT1端子に入力することができる。一方、外部負荷装置200は、ゲート制御信号として、データ信号を第2出力トランジスタ220のゲートに入力し、第2出力トランジスタ220を開閉することで、データ信号に応じた波形を検出抵抗131に生じさせることができ、データ受信回路130を介することで、検出抵抗131で検出された電圧波形からデータ信号を復元することができ、復元したデータ信号を電池形電源装置100のRFIC150のINPUT2端子に入力することができる。つまり、電池形電源装置100は、電池形電源装置100を装着する外部負荷装置200と、互いの電極を介してデータ通信することができる。
【0046】
なお、外部負荷装置200にセンサ類が搭載されていない場合において、電池形電源装置100から外部負荷装置200へのデータ送信だけできればよい。このとき、電池形電源装置100の受信回路及びデータ受信部は省略することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。