特許第6802471号(P6802471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6802471
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】搬送機構
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20201207BHJP
   A63B 69/40 20060101ALI20201207BHJP
   A63B 47/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   A63B69/36 513F
   A63B69/40 511B
   A63B69/36 522V
   A63B47/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-23899(P2020-23899)
(22)【出願日】2020年2月17日
【審査請求日】2020年3月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518457211
【氏名又は名称】株式会社ウィンタックス
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【弁理士】
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】勝又 大佑
【審査官】 槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0171158(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3135886(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3009646(JP,U)
【文献】 特開平10−179832(JP,A)
【文献】 特開平06−154371(JP,A)
【文献】 特開平06−023079(JP,A)
【文献】 特開昭63−240889(JP,A)
【文献】 米国特許第05895325(US,A)
【文献】 米国特許第05857451(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 69/40
A63B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内路上の第1位置にある被搬送物を前記第1位置とは異なる第2位置へ搬送する搬送機構であって、
前記第1位置にある前記被搬送物を係合する係合ユニットと、
前記係合ユニットを移動させるモータと、を備え、
前記係合ユニットは、
前記モータによって駆動されるアームと、
前記アームに設けられ、前記被搬送物が通過可能な通過孔を有する収容筒と、
前記収容筒に設けられた規制部材と、を備え、
前記アームの駆動により、前記規制部材は前記第1位置にある前記被搬送物が占める空間を通過可能であり、
前記規制部材は、前記被搬送物にかかる第1力に対して前記被搬送物の通過を規制する程度に抗するとともに、前記第1力よりも大きな第2力に対して前記被搬送物の通過を許容する程度に変形するものであり、
前記収容筒における2つの開口のうち、一方を前記被搬送物の入口開口と、他方を前記被搬送物の出口開口と定義した際、前記規制部材は、前記収容筒の入口開口側に設けられ、
前記アームの駆動により、前記収容筒の姿勢は、前記入口開口側が下方をむく入口下方状態と、前記出口開口側が下方をむく出口下方状態と、の間で切り替え自在であり、
前記入口下方状態は、
前記被搬送物が前記案内路を形成する部材と前記規制部材とによって挟まれる第1入口下方状態と、
前記被搬送物との接触により前記規制部材が弾性変形するとともに、前記被搬送物が前記通過孔へ入る第2入口下方状態と、
前記被搬送物の通過により前記規制部材の弾性変形が解除されるとともに、前記被搬送物が前記収容筒に収容される第3入口下方状態と、を含み、
前記アームの駆動により、前記第1入口下方状態、前記第2入口下方状態、及び前記第3入口下方状態の順に切り替わることを特徴とする搬送機構。
【請求項2】
前記被搬送物が収容される収容ユニットを備え、
前記案内路は、前記収容ユニットから前記第1位置まで前記被搬送物を案内するものであり、
底面板と、
前記底面板から起立する支持側面板と、から形成され、
前記第1位置よりも下流側の前記案内路には、前記被搬送物の移動を規制するストッパが設けられ、
前記案内路の移動方向上流側から見た際、前記底面板は、前記支持側面板側が下方となるように傾き、
前記収容筒は、前記案内路に対して前記支持側面板に対して反対側から進入可能となっていることを特徴とする請求項1記載の搬送機構。
【請求項3】
前記規制部材は、前記収容筒の内壁において周方向に並ぶように配されるとともに、前記収容筒の中心に向かって延び、
前記規制部材の先端は、前記収容筒の内壁から離れていることを特徴とする請求項1または2記載の搬送機構。
【請求項4】
前記収容筒の前記内壁面のうちの第1部から、前記収容筒の前記内壁面のうち前記第1部とは異なる第2部に掛けて張り出すことを特徴とする請求項1または2記載の搬送機構。
【請求項5】
前記被搬送物は、球体であることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフを一人で練習する場合、ゴルフボールを自動供給する装置が必要になる。このような自動供給する装置としては、ゴルフボールを1つずつ送り出すシャッター機構と、スイングアームと、真空吸着又は電磁クランプによるゴルフボール保持機構とを備えた自動供給装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−177024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の自動供給装置としては、 少なくともゴルフボール保持機構用モータと、アームスイング用モータとの2つのモータが必要になる。このため、部品点数が多くなり、製造コストも高価なものとなる。さらに、真空吸着又は電磁クランプにおいては、安定した保持が難しいという欠点もある。
【0005】
かかる事情は、ゴルフボールの自動供給装置に限られず、野球やテニスのボールや、その他被搬送物に対しても共通の課題がある。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み、部品点数が少なく、製造コストが安価であって、被搬送物に対する安定した保持が可能となる搬送機構を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、案内路上の第1位置にある被搬送物を前記第1位置とは異なる第2位置へ搬送する搬送機構であって、前記第1位置にある前記被搬送物を係合する係合ユニットと、前記係合ユニットを移動させるモータと、を備え、前記係合ユニットは、前記モータによって駆動されるアームと、 前記アームに設けられ、前記被搬送物が通過可能な通過孔を有する収容筒と、前記収容筒に設けられた規制部材と、を備え、前記アームの駆動により、前記規制部材は前記第1位置にある前記被搬送物が占める空間を通過可能であり、前記規制部材は、前記被搬送物にかかる第1力に対して前記被搬送物の通過を規制する程度に抗するとともに、前記第1力よりも大きな第2力に対して前記被搬送物の通過を許容する程度に変形するものであり、前記収容筒における2つの開口のうち、一方を前記被搬送物の入口開口と、他方を前記被搬送物の出口開口と定義した際、前記規制部材は、前記収容筒の入口開口側に設けられ、前記アームの駆動により、前記収容筒の姿勢は、前記入口開口側が下方をむく入口下方状態と、前記出口開口側が下方をむく出口下方状態と、の間で切り替え自在であり、前記入口下方状態は、前記被搬送物が前記案内路を形成する部材と前記規制部材とによって挟まれる第1入口下方状態と、前記被搬送物との接触により前記規制部材が弾性変形するとともに、前記被搬送物が前記通過孔へ入る第2入口下方状態と、前記被搬送物の通過により前記規制部材の弾性変形が解除されるとともに、前記被搬送物が前記収容筒に収容される第3入口下方状態と、を含み、前記アームの駆動により、前記第1入口下方状態、前記第2入口下方状態、及び前記第3入口下方状態の順に切り替わることを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品点数が少なく、製造コストが安価であって、被搬送物に対する安定した保持が可能となる搬送機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)〜(B)は、搬送機構の概要を示す側面図である。
図2】(A)は、搬送機構の概要を示す斜視図である。(B)は、収容ユニットの概要を示す斜視図である。
図3】(A)〜(D)は、それぞれ、収容筒によって搬送されるゴルフボールの状態の概要を示す説明図である。
図4】(A)は、収容筒の概要を示す斜視図である。(B)は、収容筒の概要を示す平面図である。
図5】(A)は、収容筒の概要を示す側面図である。(B)は、収容筒の概要を示すVb−Vb’線断面図である。
図6】収容ユニットの概要を示すVI−VI’線断面図である。
図7】収容ユニットの概要を示す側面図である。
図8】(A)は、収容筒の概要を示す斜視図である。(B)は、収容筒の概要を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜2に示すように、搬送機構2は、第1位置P1(図1(A))にあるゴルフボールGB(被搬送物)を第1位置P1とは異なる第2位置P2(図1(B))へ搬送するものである。
【0011】
搬送機構2は、ゴルフボールGBが収容される収容ユニット10と、第1位置P1にあるゴルフボールGBに対して係合する係合ユニット20と、各ユニット制御をするコントローラ60と、筐体70と、を備える。
【0012】
筐体70は、収容ユニット10、係合ユニット20やコントローラ60の各ユニットや各部品等を収容するものであり、載置面SMに配される。載置面SMのうち筐体70が設置されるエリアから離れた位置に第2位置P2が設定される。
【0013】
以降、説明の便宜上、水平面内における任意の方向をX方向と、水平面内においてX方向に直交する方向をY方向と、垂直方向をZ方向とする。
【0014】
収容ユニット10は、ゴルフボールGBの上段案内路を形成する上段通路形成部材11と、上段通路形成部材11の下方に配され、ゴルフボールGBの下段案内路を形成する下段通路形成部材12と、を備える。
【0015】
上段通路形成部材11は、略Y方向に配される案内板11A、11Bを備える。案内板11A、11Bは互いに近接するように配される。案内板11A、11Bの間隔は、上部は、ゴルフボールGBの直径よりも大きく、下部は、下方に向かうに従い狭くなり、下端では、ゴルフボールGBの直径よりも小さい。このような2枚の案内板11A、11Bによって、ゴルフボールGBの上段案内路11Rが形成される。上段案内路11Rは、一端側(図2における左手前側)から他端側(図2における右奥側)に掛けて、高さが次第に低くなる。また、上段案内路11Rの他端には、ゴルフボールGBが通過可能な落下孔11Xが形成される。
【0016】
下段通路形成部材12は、略Y方向に延びる。下段通路形成部材12は、断面コ字状となっているものであり、底面板12Bと、底面板12Bの両側から起立するように形成された2つの側面板12A1、12A2を備える。以降、説明の便宜上、ゴルフボールGBの転動方向右手側を側面板12A1と、左手側の側面板12A2と称する。底面板12Bは、ゴルフボールGBの転動面であり、側面板12A1〜12A2は、ゴルフボールGBが底面板12Bから外れないように案内するものである。このようにして、下段通路形成部材12は、ゴルフボールGBの下段案内路12R(図2(B))を形成する。下段案内路12Rは、他端側から一端側に掛けて、高さが次第に低くなる。また、下段案内路12Rの他端部は、上段通路形成部材11の落下孔11Xの真下に位置する。
【0017】
このため、上段通路形成部材11の上段案内路11Rに載置されたゴルフボールGBは、一端側(図2における左手前側)から他端側(図2における右奥側)に掛けて転動し、落下孔11Xから落下し、下段通路形成部材12の下段案内路12Rに到達する。下段案内路12Rに到達したゴルフボールGBは、他端側から一端側に向かって転動する。
【0018】
さらに、下段通路形成部材12は、ゴルフボールGBの転動を規制するストッパ12Sを備える。ストッパ12Sは、下段案内路12Rの一端部において、側面板12A1から起立するように形成される。ストッパ12Sにより、下段案内路12Rを転動したゴルフボールGBは、第1位置P1においてとどまる(図1(A)、2(A))。複数のゴルフボールGBを上段案内路11Rに配置すると、各ゴルフボールGBは、下段案内路12Rにかけて一端側から他端側にかけて、順次収容される。
【0019】
なお、XZ平面において、2つの側面板12Aのうち一方の側面板12A1(係合ユニット20の収容筒21のスイング軌跡SXと交差しない側の側面)と底面板12BとでゴルフボールGBを支持できるよう、下段通路形成部材12は、スイング軌跡SXに対し後傾していることが好ましい。また、他方の側面板12A2と底面板12Bは、図示するように別体となっていてもよいし、一体となっていてもよい(図2(B))。
【0020】
図2〜3に示すように、係合ユニット20は、ゴルフボールGBを収容可能な収容筒21と、収容筒21に設けられた規制突起22(規制部材)と、Y方向に延びる揺動軸25と、揺動軸25に対して揺動自在に設けられたスイングアーム26と、揺動軸25を駆動するモータ27と、を備える。
【0021】
図3〜6に示すように、収容筒21は、円筒状に形成され、両端に開口(第1開口21AX、第2開口21BX)を有する。また、収容筒21は、ゴルフボールGBが通過可能な通過孔21Xを有する。収容筒21の形成材料は、特に限定されないが、金属やプラスチック等を利用することができる。なお、収容筒21は、ゴルフボールGBが通過可能な通過孔21Xを有するものであれば、三角柱、四角柱などの角柱でもよいし、その内径は、軸方向に一定でもよいし、漸減又は漸増してもよい。
【0022】
規制突起22は、収容筒21の第1開口21AX側において、通過孔21Xの内壁面21Nから突出するように形成される。規制突起22は、収容筒21の周方向において複数配置されることが好ましい。これにより、規制突起22は、収容筒21に収容されたゴルフボールGBを支持することができる。規制突起22は、収容筒21の径方向中心に向かって伸びることが好ましい。また、規制突起22は、一定の力がかかると変形し、当該力が解除されると、元の形状に復元するものである。規制突起22としては、弾性材料から形成されることが好ましい。本実施形態では、ゴルフボールGBから受ける第1力に対してゴルフボールGBの通過を規制する程度に抗するとともに、第1力よりも大きな第2力に対してはゴルフボールGBの通過を許容する程度に変形する。
【0023】
また、収容筒21には、自身の軸方向に沿って延びるスリット21K〜21M(図4〜6)が形成されることが好ましい。スリット21Kは、収容筒21のうち、ストッパ12Sと干渉する部分に設けられる。スリット21Lは、収容筒21のうち、搬送のターゲットとなるゴルフボールGBを支持する底面板12Bと干渉する部分に設けられる。スリット21Mは、収容筒21のうち、搬送のターゲットとなるゴルフボールGBの隣にあるゴルフボールGBと干渉する部分に設けられる。スリット21K〜21Mの形成により、搬送のターゲットとなるゴルフボールGBの周辺にある部材と収容筒21との干渉を避けることができるため、収容筒21に対してゴルフボールGBをスムーズに収容することができる。
【0024】
スイングアーム26は、揺動軸25に固定される基端部と、収容筒21が固定された先端部と、を備える。スイングアーム26は、揺動軸25周りに、揺動自在となる。このため、スイングアーム26の先端に設けられた収容筒21は、第1位置P1にあるゴルフボールGBを収容可能な第1状態(図1(A))と、ゴルフボールGBが第2位置P2にある第2状態(図1(B))と、第1状態と第2状態の中間状態(図3(C)〜(D)等)と、の間で切り替え自在となる。モータ27は本発明の趣旨の範囲であれば、公知のものを用いることができる。なお、モータ27には、ギアユニットを備えていてもよい。
【0025】
図3に示すように、規制突起22は、スイングアーム26の揺動によって、第1位置P1にあるゴルフボールGBが占める空間を通過する。これにより、係合ユニット20は、第1位置P1のゴルフボールGBに対して係合可能となる。
【0026】
なお、スイングアーム26が第1状態(図1(A))のとき、下段通路形成部材12の側面板12A1が収容筒21と干渉しないように、側面板12A2の下流端(図7における左側)は、側面板12A1の下流端よりも上流側(図7における右側)に退避していることが好ましい(図5)。また、第1状態(図1(A))のスイングアーム26が、下段通路形成部材12の底面板12Bが収容筒21と干渉しないように、下段通路形成部材12の底面板12Bには、切り欠き12BXが形成されることが好ましい(図2,7)。
【0027】
次に、搬送機構2の利用方法について説明する。
【0028】
図1に示すように、搬送機構2の筐体70が載置面SMに配されると、揺動軸25の位置やスイングアーム26の長さ等によって、載置面SMに第2位置P2が設定される。
【0029】
上段通路形成部材11の上段案内路11RにゴルフボールGBを載置すると、ゴルフボールGBは、一端側から他端側に掛けて転動し、落下孔11Xから落下し、下段案内路12Rに到達する。下段案内路12Rに到達したゴルフボールGBは、他端側から一端側に掛けて転動するとともに、ストッパ12Sによって下段案内路12Rの第1位置P1にとどまる。
【0030】
コントローラ60の制御の下、モータ27が駆動すると、スイングアーム26は、第2状態(図1(B))から第1状態(図1(A))へと切り替わる。第2状態から第1状態までの遷移の詳細を説明すると、まず、収容筒21及び規制突起22は、側面板12A1に近づくように搬送され、ゴルフボールGBに接近する。その後、ゴルフボールGBは収容筒21に収容されるとともに、規制突起22に当接する。続いて、側面板12A1によって反対側から支持されたゴルフボールGBは、規制突起22によって挟み込まれる。規制突起22は、ゴルフボールGBとの当接によって弾性変形する(図3(A))。その後、収容筒21及び規制突起22が側面板12A1に近づくように移動すると、規制突起22が第1位置P1にあるゴルフボールGBが占める空間を通過する。このとき、規制突起22は、ゴルフボールGBとの当接から解除され、元の形状に戻る(図3(B))。こうして、スイングアーム26が第1状態(図2(A))となる。
【0031】
次に、コントローラ60の制御の下、モータ27が駆動すると、スイングアーム26は、第1状態(図1(A))から第2状態(図1(B))へ遷移する。第1状態(図1(A))から退避する際、ゴルフボールGBに接触した規制突起22は、ゴルフボールGBから所定の力を受けるが、ゴルフボールGBの通過を規制する程度に抗する。このようにして、第1位置P1のゴルフボールGBは、規制突起22及び収容筒21によって支持される。その後、スイングアーム26の揺動の結果、第1位置P1にあったゴルフボールGBは、規制突起22及び収容筒21によって、収容ユニット10の外へ搬送される(図3(C))。
【0032】
そして、ゴルフボールGBが規制突起22よりも下側に位置する場合(図3(D))、コントローラ60は、モータ27の駆動により、収容筒21を第2位置P2に向かって移動させる。このときの収容筒21の移動速度は、自由落下におけるゴルフボールGBの速度以上であることが好ましい。これより、ゴルフボールGBが収容筒21から出る前に、ゴルフボールGBを第2位置へ移動させることができる。最終的に、収容筒21の第2開口21BXが載置面SMに近接することによって、スイングアーム26は、第2状態(図1(B))となる。この状態では、スイングアーム26が一時停止するため、収容筒21内のゴルフボールGBは、第2位置P2(載置面SM)にて載置される。
【0033】
次に、コントローラ60の制御の下、モータ27が駆動すると、スイングアーム26は、第2状態(図1(B))から第1状態(図1(A))へ遷移する。ここで、第2位置P2にはゴルフボールGBが残り、収容筒21や規制突起22は第1位置P1へ向かい、次のゴルフボールGBに対して係合を行う。
【0034】
以上を繰り返すことにより、第1位置P1にあるゴルフボールGBを第2位置P2へ搬送することができる。
【0035】
このように、搬送機構2は、収容筒21に設けられた規制突起22により、ゴルフボールGBの安定した保持が可能となるばかりか、ゴルフボールGBの保持の解除に別途の部品が不要となる。また、引用文献1のような装置で用いられる真空吸着又は電磁クランプ方式では、ゴルフボールのように表面に凹凸のある物体に対しては、安定保持が難しい。しかしながら、搬送機構2では、そのような表面形状にかかわらず安定した保持が可能となる。したがって、搬送機構2によれば、部品点数が少なく、製造コストが安価であって、被搬送物に対する安定した保持が可能となる。
【0036】
なお、上記実施形態では、載置面SMの上に第2位置P2を設定したが、本発明はこれに限られず、載置面SMに差し込まれたピンやゴルフティーの上に第2位置P2を設定してもよい。
【0037】
スイングアーム26を第1状態から第2状態へ切り替えるタイミングは、載置面SMの第2位置P2にゴルフボールGBの有無を検知するボールセンサを設け、第2位置P2におけるゴルフボールGBが無いとボールセンサが検知したときとしてもよい。加えて、ゴルフクラブの戻り(スイング方向とは逆方向)を検知するクラブセンサを設け、ゴルフクラブの戻りを検知したときを、スイングアーム26を第1状態から第2状態へ切り替えるタイミングとしてもよい。このクラブセンサは、所定の位置を基準にして、スイング軌道の前側にゴルフクラブがある前状態と、スイング軌道の後側にゴルフクラブがある後状態と、を検出するものであることが好ましい。コントローラ60は、クラブセンサからのセンシング信号に基づき、前状態から後ろ状態へ切り替わったときに、ゴルフクラブの戻りを判定すればよい。所定の位置として、例えば、第2位置P2(図1(B))を採用することが好ましい。また、スイングアーム26を第2状態から第1状態へ切り替えるタイミングは、第1位置P1にゴルフボールGBの有無を検知するセンサを設け、第1位置P1にゴルフボールGBがあると検知したとき、としてもよい。各センサは、筐体70や載置面SMに適宜設ければよい。
【0038】
上記実施形態では、基端部は、通過孔21Xの内壁面21Nに接し、先端部は、通過孔21Xの内壁面21Nから離れた規制突起22を用いたが、本発明はこれに限られない。両端部が、通過孔21Xの内壁面21Nに接していてもよい。例えば、図8に示すように、収容筒21に紐32を設けてもよい。紐32は、通過孔21Xを通過するゴルフボールGBを係合する程度に、通過孔21Xに張り出すことが好ましい。紐32は、一定の力がかかると変形し、当該力が解除されると、元の形状に復元するものである。紐32としては、弾性部材から形成されることが好ましい。紐32は、収容筒21の第1開口21AX側に設けられた孔に通されるとともに、孔に対して両端が係止されることが好ましい。また、紐32は、収容筒21の第1開口21AX側において周方向において、所定のピッチで設けられることが好ましい。
【0039】
上記実施形態では、スイングアーム26を用いたが、スライド移動するアームを用いてもよい。
【0040】
上記実施形態では、被搬送物として、ゴルフボールGBを用いたが本発明はこれに限られず、テニスボールや野球のボールなどの球形のものや、工場のラインを流れるワークの搬送、その他搬送が求められる物体に対して広く適用可能である。
【0041】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
2 搬送機構
10 収容ユニット
20 係合ユニット
21 収容筒
21AX 第1開口
21BX 第2開口
21N 内壁面
21X 通過孔
22 規制突起
25 揺動軸
26 スイングアーム
27 モータ
32 紐
60 コントローラ
70 筐体

【要約】
【課題】部品点数が少なく、製造コストが安価であって、被搬送物に対する安定した保持が可能となる搬送機構を提供する。
【解決手段】収容筒21は、筒状に形成され、両端に開口を有する。収容筒21は、ゴルフボールGBが通過可能な通過孔21Xを有する。規制突起22は、収容筒21の第1開口21AX側において、通過孔21Xの内壁面21Nから突出するように形成される。規制突起22は、収容筒21に収容されたゴルフボールGBを支持する。規制突起22は、一定の力がかかると変形し、当該力が解除されると、元の形状に復元する。規制突起22としては、弾性部材から形成されることが好ましい。本実施形態では、ゴルフボールGBから受ける第1力に対してゴルフボールGBの通過を規制する程度に抗するとともに、第1力よりも大きな第2力に対してはゴルフボールGBの通過を許容する程度に変形する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8