特許第6802472号(P6802472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6802472-乗物用シート 図000002
  • 特許6802472-乗物用シート 図000003
  • 特許6802472-乗物用シート 図000004
  • 特許6802472-乗物用シート 図000005
  • 特許6802472-乗物用シート 図000006
  • 特許6802472-乗物用シート 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802472
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/30 20060101AFI20201207BHJP
   B60N 3/06 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   B60N2/30
   B60N3/06
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-57642(P2016-57642)
(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公開番号】特開2017-171042(P2017-171042A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】沼尻 浩行
(72)【発明者】
【氏名】磯村 雄也
(72)【発明者】
【氏名】野中 秀恒
【審査官】 毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−191838(JP,A)
【文献】 特開2005−046302(JP,A)
【文献】 実開昭61−077846(JP,U)
【文献】 特開昭57−004874(JP,A)
【文献】 特開2001−122001(JP,A)
【文献】 特開2000−026046(JP,A)
【文献】 特開平02−127383(JP,A)
【文献】 米国特許第02888099(US,A)
【文献】 特開2015−163488(JP,A)
【文献】 特開2014−100941(JP,A)
【文献】 実開昭55−098249(JP,U)
【文献】 特開平08−132943(JP,A)
【文献】 実開平03−098149(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00− 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに対し回動可能に取り付けられるシートクッションと、
前記フレームに対し回動可能に取り付けられるフットレストと、
前記シートクッションと前記フットレストとを接続し、前記シートクッションと前記フットレストを連動して回動させる接続部材と、を備え、
前記接続部材は前記フレームから離間して配置され、
前記シートクッションと前記フットレストとを展開した状態で、前記フットレストにおいて乗員の踵部を支持する領域は、前記シートクッションよりも前方に位置しており、
前記接続部材は、前記フットレストにおいて前記乗員の踵部を支持する領域の後部に接続され、
前記接続部材の下端部は、前記フットレストのシート幅方向中央に接続され、
前記乗員の踵部を支持する領域と前記接続部材との距離は、前記フレームと前記接続部材との距離より短く形成されていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記シートクッションと前記フットレストは共に、着座可能に展開した状態から前記フレームに対して連動して回動することで折畳み状態となることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記シートクッションと前記フレームとを回動可能に接続する第1軸部と、
前記フットレストと前記フレームとを回動可能に接続する第2軸部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記第1軸部と前記フレームとの距離は、前記第2軸部と前記フレームとの距離よりも短いことを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記シートクッションが前記接続部材に取り付けられる部位は、前記シートクッションが前記フレームに取り付けられる部位よりもシート前方にあることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記シートクッションは、乗員の着座面を構成し、非金属製の非金属部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記シートクッションは、前記非金属部の少なくとも一部を覆い、前記フレームに取り付けられる金属製の金属部、を有することを特徴とする請求項6に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記フレームに取り付けられるシートバックをさらに備え、
前記折畳み状態に前記シートクッションを回動させた場合に、前記シートクッションにおける着座面と前記シートバックの距離が近接することを特徴とする請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記フレームに取り付けられ、乗員の肋骨部を支持する支持部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションとフットレストを備える乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
シートクッションとフットレストを備えるシートにおいて、シートクッションとフットレストをカム及びリンク機構により接続して、シートクッションの起伏動作にフットレストを連動させて、両者の折畳みを一動作で実現する機構を備える椅子が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−026063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術に係る椅子では、カム及びリンク機構によりシートクッションとフットレストの動作を連動させているが、こうした連動機構をより簡単な構造で実現し、シートを軽量化することが課題となっている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートクッションとフットレストをフレームに対して回動させる機構を簡単な構造とした乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、フレームと、前記フレームに対し回動可能に取り付けられるシートクッションと、前記フレームに対し回動可能に取り付けられるフットレストと、前記シートクッションと前記フットレストとを接続し、前記シートクッションと前記フットレストを連動して回動させる接続部材と、を備え、前記接続部材は前記フレームから離間して配置され、前記シートクッションと前記フットレストとを展開した状態で、前記フットレストにおいて乗員の踵部を支持する領域は、前記シートクッションよりも前方に位置しており、前記接続部材は、前記フットレストにおいて前記乗員の踵部を支持する領域の後部に接続され、前記接続部材の下端部は、前記フットレストのシート幅方向中央に接続され、前記乗員の踵部を支持する領域と前記接続部材との距離は、前記フレームと前記接続部材との距離より短く形成されていることを特徴とする乗物用シートにより解決される。
【0007】
上記の乗物用シートによれば、シートクッションとフットレストとをフレームに対して連動して回動させる機構を簡易な構造で実現できる。これにより、上記機構を備える乗物用シートを軽量化できる。
また、シートクッションとフットレストをフレームに対して回動させる労力を軽減できる。
また、シートクッションとフットレストが、フレーム及びフレームから離間した接続部材の両者に連結されているため、乗員の荷重がかかるシートクッションとフットレストの強度を向上させることができる。
【0008】
上記の乗物用シートにおいて、前記シートクッションと前記フットレストは共に、着座可能に展開した状態から前記フレームに対して連動して回動することで折畳み状態となることとしてよい。
こうすることで、シートクッションとフットレストとを折畳む労力を軽減できる。
【0009】
上記の乗物用シートにおいて、前記シートクッションと前記フレームとを回動可能に接続する第1軸部と、前記フットレストと前記フレームとを回動可能に接続する第2軸部と、を備えることとしてよい。
こうすることで、シートクッションとフットレストとを連動して回動させる機構を簡単な構造により実現できる。これにより乗物用シートを軽量化することができる。
【0010】
上記の乗物用シートにおいて、前記第1軸部と前記フレームとの距離は、前記第2軸部と前記フレームとの距離よりも短いこととしてよい。
このように、フットレストの回動部分を小さくすることで、シートクッションとフットレストをより小さな力で回動させることができる。これにより、シートクッションとフットレストとを折り畳む労力を軽減できる。
【0011】
上記の乗物用シートにおいて、前記シートクッションが前記接続部材に取り付けられる部位は、前記シートクッションが前記フレームに取り付けられる部位よりもシート前方にあることとしてよい。
こうすることで、シートクッションの回動に要する力を小さくすることができる。これにより、シートクッションとフットレストとを折り畳む労力を軽減できる。
【0012】
上記の乗物用シートにおいて、前記シートクッションは、乗員の着座面を構成し、非金属製の非金属部を有することとしてよい。
こうすることで、シートクッションの着座感を向上させることができる。
【0013】
上記の乗物用シートにおいて、前記シートクッションは、前記非金属部の少なくとも一部を覆い、前記フレームに取り付けられる金属製の金属部、を有することとしてよい。
こうすることで、衝撃荷重を受ける部位の強度を向上できる。また、乗員が受ける衝撃を軽減できる。
【0015】
上記の乗物用シートにおいて、前記フレームに取り付けられるシートバックをさらに備え、前記折畳み状態に前記シートクッションを回動させた場合に、前記シートクッションにおける着座面と前記シートバックの距離が近接することとしてよい。
こうすることで、折畳み状態においてシートを小型化することができる。
【0016】
上記の乗物用シートにおいて、前記フレームに取り付けられ、乗員の肋骨部を支持する支持部を備えることとしてよい。
こうすることで、乗員の姿勢を安定させることができる。また、乗員に対する側部からの衝撃を吸収することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シートクッションとフットレストとをフレームに対して連動して回動させる機構を簡易な構造で実現できる。
【0018】
本発明の一態様によれば、シートクッションとフットレストとを折畳む労力を軽減できる。
【0019】
本発明の一態様によれば、乗物用シートを軽量化することができる。
【0020】
本発明の一態様によれば、フットレストの回動部分を小さくすることで、シートクッションとフットレストをより小さな力で回動させることができる。
【0021】
本発明の一態様によれば、シートクッションの回動に要する力を小さくすることができる。
【0022】
本発明の一態様によれば、シートクッションの着座感を向上させることができる。
【0023】
本発明の一態様によれば、衝撃荷重を受ける部位の強度を向上できる。
【0024】
本発明の一態様によれば、接続部材をシートに着座した乗員と干渉しない位置に配置できる。
【0025】
本発明の一態様によれば、折畳み状態においてシートを小型化することができる。
【0026】
本発明の一態様によれば、乗員の姿勢を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】乗物用シートの斜視図である。
図2】乗物用シートに乗員が着座した状態を示す図である。
図3】シートクッションとフットレストを接続する接続部材の取付状態を説明する図である。
図4】着座可能に展開した状態の乗物用シートの側面図である。
図5】折畳み状態に移行している乗物用シートの側面図である。
図6】折畳み状態の乗物用シートの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図1乃至図6を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る乗物用シートについて説明する。
【0029】
本実施形態は、フレームと、前記フレームに対し回動可能に取り付けられるシートクッションと、前記フレームに対し回動可能に取り付けられるフットレストと、前記シートクッションと前記フットレストとを接続し、前記シートクッションと前記フットレストを連動して回動させる接続部材と、を備え、前記接続部材は前記フレームから離間して配置される乗物用シートの発明に関するものである。なお、以下に説明する実施形態においては、本発明を宇宙船(乗物の一例)に搭載されるシートに適用した場合について説明する。また、以下の説明中における、上下、前後、左右の各方向は、シートに着座する乗員から見たときの各方向と一致することとする。
【0030】
まず、各図の概要について説明する。図1は、本実施形態に係るシート1の斜視図であり、図2はシート1に乗員100が着座した状態を示す図である。図3は、シートクッション30とフットレスト40との連結機構を説明する図である。図4は、着座可能に展開した状態のシート1の側面図である。図5は、図4の状態から折畳み状態に移行しているシート1の側面図である。図6は、折畳み状態のシート1の側面図である。
【0031】
図1に示されるように、シート1は、主な構成要素として、固定フレーム2、ヘッドレスト10、シートバック20、シートクッション30、フットレスト40を備える。
【0032】
固定フレーム2は、乗物に固定されたフレームであり、例えば鉄等の金属により構成される。シート1に対して、固定フレーム2は平行に離間して2本設けられている。例えば、固定フレーム2は宇宙船の乗員室の床に取り付けられる。この場合には、乗員100は、乗員室の床に対して仰向けの状態でシート1に着座することとなる。
【0033】
ヘッドレスト10は、乗員100の頭部を支持する部材であり、例えばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)等のカーボン樹脂により構成される。本実施形態では、ヘッドレスト10は、ヘッドレストフレーム11を介して固定フレーム2に取り付けられている。すなわち、ヘッドレストフレーム11は、一端が固定フレーム2に固定されているとともに、他端がヘッドレスト10に固定されている。なお、ヘッドレストフレーム11は、例えばアルミ等の金属により構成されることとしてよい。
【0034】
シートバック20は、乗員100の背部及び腰部を支持する部材であり、例えばCFRP等のカーボン樹脂により構成される。シートバック20は、ヘッドレスト10側に湾曲した上部がシートバック支持フレーム21により支持されているとともに、シートクッション30側の下部が固定フレーム2に直接固定されている。なお、シートバック支持フレーム21は、固定フレーム2に固定されており、例えばアルミ等の金属により構成される。
【0035】
シートバック20は、人間の身体形状に沿った形状となっており、具体的には乗員100の腰部に当接する部位に関しては中央からシート側方にかけて湾曲しており、乗員100の上背部に当接する部位に関してはシート前方に湾曲している。また、シートバック20においてシートバック支持フレーム21による支持部と、固定フレーム2に固定した固定部との間には切欠き部が設けられており、この切欠き部の位置にサイド支持部22が配置される。ここでサイド支持部22は、乗員100の肋骨部を支持する部材であり、例えばアルミ等の金属により構成される。なお、サイド支持部22は左右に1つずつ設けられており、それぞれのサイド支持部22は左右の異なる固定フレーム2に取り付けられている。このように、サイド支持部22は、左右の異なる固定フレーム2に取り付けられることで、離間して配置される。また、本実施形態では、左右のサイド支持部22を別体の部品として構成したが、左右のサイド支持部22を一体の部品として構成し、一体に構成した部品を固定フレーム2に取り付けることとしてもよい。
【0036】
シートクッション30は、乗員100の臀部を支持する部材である。シートクッション30は、クッションフレーム31と、クッション支持フレーム32を備える。
【0037】
クッションフレーム31は、乗員100の着座面を構成する部材であり、例えばCFRP等のカーボン樹脂により構成される非金属部である。クッションフレーム31は、座面を構成する座面部と、座面部の左右及び後方において座面部の縁から立ち上がる壁部が設けられている。このように、座面部に壁部を設けることで乗員100が安定してクッションフレーム31に着座可能となっている。
【0038】
クッション支持フレーム32は、クッションフレーム31の壁部に当接して取り付けられる部材であり、例えばアルミ等の金属により構成される金属部である。クッション支持フレーム32の左右の端部にはそれぞれ第1軸部材33が挿通される孔が形成されており、クッション支持フレーム32は第1軸部材33により第1支点フレーム34に対し回動可能に取り付けられている。
【0039】
第1支点フレーム34は、固定フレーム2に固定される部材であり、例えばアルミ等の金属により構成される。第1支点フレーム34の左右の端部にはそれぞれ第1軸部材33が挿通される孔が形成されており、第1軸部材33により第1支点フレーム34の内側にクッション支持フレーム32が取り付けられている。
【0040】
上述したように、シートクッション30は、第1軸部材33を回転軸として回動することで、固定フレーム2に対してシートクッション30の座面部が略垂直となり着座可能な展開状態から、固定フレーム2に対して略平行となる折畳み状態に移行する。また同様に、シートクッション30は、第1軸部材33を回転軸として回動し、固定フレーム2に対してシートクッション30の座面部が略平行となる折畳み状態から、固定フレーム2に対して略垂直となる着座可能な展開状態に移行する。なお、展開状態と折畳み状態とにおいてそれぞれシートクッション30の回動を停止させる回動停止機構を備えることとしてもよい。
【0041】
フットレスト40は、乗員100の脚部を支持する部材であり、例えばCFRP等のカーボン樹脂により構成される。フットレスト40は、シート左右方向に平行に離間して配置された2つの板状体の前端部を連結してなる部材である。本実施形態では、フットレスト40の前端部には、乗員100の踵置き部41が左右に1つずつ取り付けられる。
【0042】
踵置き部41は、後端部及びシート外側の側端に壁部が形成され、乗員100の踵部が踵置き部41よりもシート後方やシート外側にずれないように支持可能となっている。なお、乗員100の踵部とは、乗員100が靴を履いている場合には、靴の踵に相当し、靴を履いていない場合には足裏の後端部に相当する。
【0043】
また、フットレスト40の左右の後端部にはそれぞれ、第2軸部材43が挿通される孔が形成されており、第2軸部材43によりフットレスト40が第2支点フレーム42に対し回動可能に取り付けられている。
【0044】
第2支点フレーム42は、固定フレーム2に固定される部材であり、例えばアルミ等の金属により構成される。第2支点フレーム42の前方端部には第2軸部材43が挿通される孔が形成されており、第2軸部材43によりフットレスト40が第2軸部材43に対し回動可能に取り付けられている。
【0045】
上述したように、フットレスト40は、第2軸部材43を回転軸として回動することで、固定フレーム2に対して踵置き部41の足置き面が略垂直となる展開状態から、固定フレーム2に対して略平行となる折畳み状態に移行する。また同様に、フットレスト40は、第2軸部材43を回転軸として回動し、固定フレーム2に対して踵置き部41の足置き面が略平行となる折畳み状態から、固定フレーム2に対して略垂直となる展開状態に移行する。なお、展開状態と折畳み状態とにおいてそれぞれフットレスト40の回動を停止させる回動停止機構を備えることとしてもよい。
【0046】
ここで、シートクッション30とフットレスト40の回動を連動させるための機構について説明する。
【0047】
図1及び図3に示されるように、シート1には、シートクッション30とフットレスト40とを連結する接続部材50が設けられる。接続部材50は、上下方向に延出した部材であり、例えばアルミ等の金属により構成される。
【0048】
図3に示されるように、シートクッション30の座面部の裏面側には第1連結部35が設けられており、第1連結部35には、接続部材50の上端部である第1端部51が連結されている。なお、第1連結部35に形成された孔と、第1端部51に形成された孔に軸部材53が挿通され両者を連結することで、シートクッション30と接続部材50とは軸部材53を中心として回転可能となっている。
【0049】
接続部材50の下端部である第2端部52はT字部を有し、T字部のシート幅方向の端部がそれぞれフットレスト40に設けられた第2連結部44に挿通されることで、接続部材50とフットレスト40とを連結している。なお、フットレスト40は第2端部52を中心として回転可能となっている。
【0050】
第2連結部44は、フットレスト40に設けられる踵置き部41と、第2軸部材43の取り付け箇所との間に設けられている。なお、第2連結部44は、例えばアルミ等の金属により構成される。
【0051】
シート1においては、シートクッション30、フットレスト40、接続部材50、固定フレーム2に固定された第1支点フレーム34及び第2支点フレーム42によりリンク機構を構成することにより、シートクッション30とフットレスト40の回動が連動するようになっている。
【0052】
以下、図4乃至図6に基づいて、シート1のシートクッション30及びフットレスト40を展開状態から折畳み状態に回動させたときの両者の動きについて説明する。
【0053】
図4には、着座可能に展開した状態のシート1の側面図を示す。図4に示されるように、シートクッション30及びフットレスト40は、固定フレーム2に対して起立した(すなわち垂直)状態となっている。図2に示すように、図4に示す状態のシート1に対して、乗員100は着座可能となっている。
【0054】
図4に示す状態から、フットレスト40をシートクッション30側に倒すと、シート1は図5の状態に移行する。すなわち、フットレスト40は第2軸部材43を中心としてシートクッション30側に回動するとともに、フットレスト40と接続部材50により接続されるシートクッション30は、第1軸部材33を軸としてシートバック20側に回動する。そして、フットレスト40をシートクッション30側に倒し続けると、図6に示す折畳み状態で停止する。
【0055】
図6に示されるように、折畳み状態においては、シートクッション30の座面部が固定フレーム2と略平行となり、シートクッション30の座面部と固定フレーム2とが最も近接することとなる。また同様に、フットレスト40の踵置き部41が固定フレーム2と略平行となり、フットレスト40の踵置き部41と固定フレーム2とが最も近接することとなる。そのため、折畳み状態においては、シート1の可動部材であるシートクッション30とフットレスト40を固定フレーム2に近接させ、シート1の可動部材をコンパクトに収容することができる。
【0056】
本実施形態に係るシート1によれば、シートクッション30とフットレスト40とを、固定フレーム2に取り付けられる第1支点フレーム34、第2支点フレーム42に対して連動して回動させる機構を簡易かつ、軽量な構造で実現できる。
また、シートクッション30とフットレスト40が、第1支点フレーム34、第2支点フレーム42、及びこれらのフレームから離間した接続部材50に連結されているため、乗員100の荷重がかかるシートクッション30とフットレスト40の強度を向上させることができる。
【0057】
また、図4に示されるように、シート1では、固定フレーム2と第1軸部材33との距離を、固定フレーム2と第2軸部材43との距離よりも短くしたことで、シートクッション30とフットレスト40が折畳まれた状態をよりコンパクトにすることができる。
【0058】
また、図4に示されるように、シート1では、シートクッション30を回動させるための力点となる第1連結部35と、支点となる第1軸部材33とを離したことにより、小さな力でシートクッション30を回動させることができる。
すなわち、フットレスト40をシートクッション30に倒すことで、シートクッション30を容易に倒すことができるため、シートクッション30とフットレスト40とを折り畳む労力を軽減することができる。同様に、折畳み状態からシートクッション30とフットレスト40とを着座可能な状態にまで展開させる労力も軽減することができる。
【0059】
また、シートクッション30の着座面を構成するクッションフレーム31をCFRP等の非金属の材料により構成したことで、シートクッション30の着座感を向上させることができる。
【0060】
また、シートクッション30において第1支点フレーム34に取り付けられるクッション支持フレーム32を金属により構成したことで、シートクッション30において衝撃荷重を受ける部位の強度を向上させることができる。これにより、シート1に着座する乗員が受ける衝撃を軽減できる。
【0061】
また、接続部材50をシートクッション30の座面部の裏面と、フットレスト40の踵置き部41の後部とに接続したことで、接続部材50をシート1に着座した乗員100と干渉しない位置に配置できる。
【0062】
また、シート1では、乗員100の側部を支持するサイド支持部22を備えることで、乗員100の着座姿勢を安定させることができる。また、乗員100への側部からの衝撃を吸収することができる。
【0063】
また、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、シートクッション30及びフットレスト40の回動状態をロックするロック機構を設けてもよい。ロック機構は、シートクッション30及びフットレスト40が着座可能な展開状態である場合、折畳み状態である場合において作動するものとしてよい。こうすることで、意図しない場合にシートクッション30及びフットレスト40が回動してしまうことを抑制できる。
【0064】
また、ヘッドレスト10、シートバック20、サイド支持部22、第1支点フレーム34、第2支点フレーム42の固定フレーム2に対する取り付け位置を調整する機構を設けてもよい。これにより、シート1を乗員100の体格に合わせることができる。
【0065】
また、上記の実施形態におけるシート1の各部の材料は一例であり、他の材料により構成してもよい。
【0066】
また、上記の実施形態において、フットレスト40に踵置き部41を設けることとしたが、踵置き部41を設けなくともよい。
【0067】
また、接続部材50の少なくとも一部が固定フレーム2と直接又は他の部材(例えば糸等)を介して間接的に接触していても構わない。
【0068】
また、シート1が搭載される乗物は宇宙船に限定されるものではなく、車両、飛行機、船舶、ローラーコースター等の多様な乗物に搭載してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 シート
2 固定フレーム
10 ヘッドレスト
11 ヘッドレストフレーム
20 シートバック
21 シートバック支持フレーム
22 サイド支持部
30 シートクッション
31 クッションフレーム
32 クッション支持フレーム
33 第1軸部材
34 第1支点フレーム
35 第1連結部
40 フットレスト
41 踵置き部
42 第2支点フレーム
43 第2軸部材
44 第2連結部
50 接続部材
51 第1端部
52 第2端部
53 軸部材
100 乗員
図1
図2
図3
図4
図5
図6