(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る車両用シート、シートフレーム及びシートフレーム製造方法について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係るシートフレームは、剛性を維持しつつ、軽量化を実現するために、樹脂部と金属部とから構成されるものである。そして車両用シートは、当該シートフレームを備えるものであり、シートフレーム製造方法は、当該シートフレームを効率よく製造するための方法である。
【0037】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、以下の説明において、上下方向とは、シートの上下方向のことである。前後方向とは、車両の進行方向に一致する方向のことであり、本発明に係る延出方向に交差する方向に相当する。幅方向とは、シートの横幅に沿う方向のことである。
【0038】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態に係る車両用シートS及びシートフレームSFについて、
図1〜
図4を参照して説明する。ここで、
図1は、車両用シートSの概略斜視図、
図2は、シートフレームSFを示す概略斜視図、
図3は、シートバックフレーム1のサイドフレーム22を示す概略斜視図、
図4は、樹脂部22dを除いたサイドフレーム22を示す概略斜視図である。
【0039】
本実施形態に係る車両用シートSは、
図1に示すように、シートバックS1、シートクッションS2及びヘッドレストS3により構成されている。シートバックS1及びシートクッションS2は、シートフレームSFにクッション部材としてのクッションパッド1a,2aを配して表皮材1b,2bでそれぞれ被覆された構成となっている。
ヘッドレストS3は、不図示の芯材にクッション部材としてのクッションパッド3aを配して表皮材3bで被覆された構成となっている。
【0040】
シートフレームSFは、
図1及び
図2に示すように、シートバックS1を構成するシートバックフレーム1、シートクッションS2を構成するシートクッションフレーム2を主たる構成要素として有する。
【0041】
シートバックフレーム1は、上下方向に延出してシート幅方向両側に配設されたサイドフレーム22(詳細については後述する。)と、シート幅方向に延在して、両側に設けられたサイドフレーム22の上部に固定された上部フレーム21と、シート幅方向に延在して、両側に設けられたサイドフレーム22の下部に固定された下部フレーム35と、を備える。
【0042】
上部フレーム21は、パイプ状であり、シート正面視において逆U字状に形成されており、ヘッドレストS3の図示せぬピラーが取り付けられるものである。上部フレーム21は、シート幅方向両側にある下端部がサイドフレーム22の上部に固定されている。
【0043】
下部フレーム35は、長板状であり、サイドフレーム22の下部にある取付ブラケットとしてのロアサイドフレーム部22aに固定されており、シートバックフレーム1の全体的な剛性を高める機能を有する。
【0044】
サイドフレーム22は、
図3及び
図4に示すように、下部に設けられたロアサイドフレーム部22aと、ロアサイドフレーム部22aの上部の前後に固定されて、上方に延出する金属部の一である前パイプ22b及び後パイプ22cと、ロアサイドフレーム部22aの上部と前パイプ22bと後パイプ22cとを覆うように接合された樹脂部22dと、を備える。
なお、シートバックフレーム1若しくはシートクッションフレーム2若しくはサイドフレーム22、又は他の後述するシートバックフレーム3若しくはシートクッションフレーム4,5若しくはサイドフレーム23,24,26,27,28,29,30,31,32,33,34,40,70,71,72若しくはバックフレーム部材3c若しくはフロントフレーム4a,4bのそれぞれは、本発明に係るフレーム部材に相当するものである。
【0045】
図4に示す、ロアサイドフレーム部22a、前パイプ22b及び後パイプ22cは、アルミニウム合金、マグネシウム合金又は炭素鋼等の金属材料から形成されている。
ここで、本発明における金属とは、樹脂よりも剛性の高い物質から成るものを意味するものであり、本実施形態では、特にアルミニウム合金、マグネシウム合金又は炭素鋼等から成るものである。
前パイプ22bと後パイプ22cのそれぞれは、本発明に係る金属部に相当し、前パイプ22bは、サイドフレーム22の前側に配設されており、後パイプ22cは、サイドフレーム22の後側に配設されている。
前パイプ22bと後パイプ22cのそれぞれには、延出方向に沿って中空部22hが形成されている。
【0046】
一方、樹脂部22dは、ガラス繊維強化プラスチックにより形成されている。
ここで、本発明に係る樹脂としては、ガラス繊維強化プラスチック以外の他の樹脂材料、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、炭素繊維なしのプラスチックで形成されていてもよい。
【0047】
樹脂部22dは、詳細には、上下方向に延出する第一延出部分22eと、サイドフレーム22の前後に設けられた第一延出部分22eを前後に連結する第二延出部分22fとを備える。
第一延出部分22eは、ロアサイドフレーム部22aの上部の外表面、前パイプ22b及び後パイプ22cの上面を除く外表面をそれぞれ覆って、前パイプ22b及び後パイプ22cに沿って延出している。
第二延出部分22fは、前後方向に延出して、サイドフレーム22の前後に設けられた第一延出部分22eを連結している。
【0048】
このようにして、樹脂部22dは、ロアサイドフレーム部22aの上部、並びに前パイプ22b及び後パイプ22cの上面以外の全体を覆って、上下及び前後に連続して形成されている。つまり、樹脂部22dは、前パイプ22b及び後パイプ22cと、ロアサイドフレーム部22aとの間を跨るように形成されている。
このように、樹脂部22dは、ロアサイドフレーム部22aの上部まで形成されているため、前パイプ22b及び後パイプ22cとロアサイドフレーム部22aとを溶接なしに固定することができる。さらに、樹脂部22dの第一延出部分22eが前パイプ22b及び後パイプ22cの延出方向に沿って延出しており、これらの接触面積が広いため、樹脂部22dは、前パイプ22b及び後パイプ22cから剥がれにくい。
【0049】
そして、樹脂部22dは、前パイプ22b及び後パイプ22cよりも肉厚に形成されており、前パイプ22bと後パイプ22cとを前後に跨るように取り付けられている。
樹脂部22dにおいて、前パイプ22b又は後パイプ22cを覆う部分の厚さよりも、前パイプ22bと後パイプ22cとの間に形成された部分の厚さが厚く形成されている。
このように樹脂部22dが形成されていることで、金属材料の部分を減らすことができるため軽量にでき、且つ、剛性を備えることができる。
【0050】
このように、サイドフレーム22は、金属材料から形成されたロアサイドフレーム部22a、前パイプ22b及び後パイプ22cを一部に備えて広範囲で剛性を備える一方で、他の一部に樹脂部22dを備えることで軽量化が実現されている。
【0051】
樹脂部22dと、ロアサイドフレーム部22aの上部、前パイプ22b及び後パイプ22cとは、インサート成形により一体的に成形されている。
詳細には、ロアサイドフレーム部22a、前パイプ22b及び後パイプ22cが、所定形状の金型内に前もって設置された状態で、溶融樹脂が流し込まれることで、樹脂部22dと、ロアサイドフレーム部22a、前パイプ22b及び後パイプ22cとが接合される。このように、インサート成形によって、安定した形状でこれらを容易に接合することが可能となる。
【0052】
<第1,第2変形例>
上記実施形態に係るサイドフレーム22においては、前パイプ22b及び後パイプ22cが、ロアサイドフレーム部22aの上部の前後から上方に向けて延在して形成されているが、このような構成に係るものに本発明は限定されない。
他の構成についての第1,第2変形例に係るサイドフレーム23,24について
図5及び
図6を参照して説明する。
ここで、
図5は、樹脂部22dを除いた第1変形例に係るサイドフレーム23を示す概略斜視図、
図6は、樹脂部22dを除いた第2変形例に係るサイドフレーム24を示す概略斜視図である。
なお、以下の説明においては、同様の形状及び機能を有する部材には同一の符号を付して、重複する説明を排除し、差異を明確にする。
【0053】
第1変形例に係るサイドフレーム23は、
図5に示すように、シート側方からの側面視においてU字状の形成されたU字パイプ23bを備える。このU字パイプ23bは、本発明に係る金属部に相当し、
図4に示すサイドフレーム22の前パイプ22bと後パイプ22cとを含み、それぞれの下端部が前後に接続された形状を有する。
【0054】
このような構成のサイドフレーム23においては、ロアサイドフレーム部22aの上部にU字パイプ23bを固定する際に、U字パイプ23bの位置決めが容易にできる。
つまり、
図4に示すサイドフレーム22においては、前パイプ22b及び後パイプ22cをロアサイドフレーム部22aに固定する際には、それぞれを位置決めして接合しなくてはならない。
一方、
図5に示すサイドフレーム23においては、U字パイプ23bのみを位置決めすることで、U字パイプ23bを構成する前後の部位の位置を画定することができ、組付作業の効率が高まる。
【0055】
第2変形例に係るサイドフレーム24は、パイプ状の前パイプ22b及び後パイプ22cではなく、
図6に示すように、金属部の一に相当する断面ブラケット状(断面コの字状)の前柱24b及び後柱24cを備える。
詳細には、前柱24b及び後柱24cは、それぞれ本発明に係る金属部に相当し、コの字の開放側が互いに向き合って、ロアサイドフレーム部22aの上部の前後それぞれから連続して上方に延在している。
【0056】
このように、コの字状に形成された前柱24b及び後柱24cを備えるサイドフレーム24においては、剛性が高まるとともに、樹脂部22dとの接触面積が広くなり、接合強度が高まることとなる。
さらに、前柱24b及び後柱24cは、パイプ状ではなく板状であるため、ロアサイドフレーム部22aに溶接することなく、プレス加工によって一体的に成形することが可能である。このため、前柱24b及び後柱24cを有するサイドフレーム24を用いるようにすれば、成形が容易となり、高い効率で組付作業を行うことが可能となる。
なお、金属部としての前柱24b及び後柱24cは、樹脂部22dとの接触面積が広くなればよく、断面コの字状に限定されず、断面C字状やロの字状であってもよい。
【0057】
<第3変形例>
上記実施形態に係る樹脂部22dは、前パイプ22bと後パイプ22cとロアサイドフレーム部22aの上部を覆うよう前後上下に連続して形成されているものとして説明したが、このような構成に係るものに本発明は限定されない。
【0058】
例えば、第3変形例に係るサイドフレーム26においては、
図7に示すように、樹脂部26dが、一部に空間26eを形成していることを特徴とする。
詳細には、サイドフレーム26の樹脂部26dは、前パイプ22bと後パイプ22cとロアサイドフレーム部22aの上部を覆うよう前後上下に形成されている点では、
図3に示すサイドフレーム22の樹脂部22dと同じである。
樹脂部26dにおける樹脂部22dと異なる点は、樹脂部26dの上下の中央部分であって、前パイプ22bと後パイプ22cとの間の部分に、シート幅方向に貫通して形成された空間26eを形成している点である。
【0059】
このように、サイドフレーム26に、空間26eが形成されていることによって、シートフレームSFを軽量化することが可能になるとともに、シート幅方向において、シート外側とシート内側との間に、電子機器を動作させるための配線を通すことが可能となる。
【0060】
<第4変形例>
上記第3変形例に係るサイドフレーム26においては、空間26eが形成されていることで、軽量化を実現できるが、剛性が設計条件よりも低くなることが考えられる。
このため、
図8に示すように、空間26e内に跨ってリブ27aを形成するようにしてもよい。
【0061】
このリブ27aを備える第4変形例に係るサイドフレーム27について、
図8を参照して説明する。ここで、
図8は、サイドフレーム27を示す概略斜視図である。
リブ27aは、本発明に係る補強部に相当し、空間26e内において前パイプ22bと後パイプ22cに交互に接触するように、ジグザグに上下に延在している。
【0062】
リブ27aは、樹脂部26dとともに、前パイプ22b、後パイプ22c及びロアサイドフレーム部22aと一体成形するようにすれば、効率よく組み付けることが可能となる。
一方、リブ27a及び空間26eに嵌る枠体をユニットとして、前パイプ22b、後パイプ22c及びロアサイドフレーム部22aに既に取り付けられた樹脂部26dの空間26eに入れ込み、樹脂部26dに溶着して後付けするようにしてもよい。
そして、リブ27aは、軽量化のために樹脂のみによって形成されているものでよいが、内部に芯材として金属材料を配設するようにしてもよい。このようにすれば、剛性を高くすることができる。
【0063】
<第5変形例>
上記第4変形例に係るサイドフレーム26においては、樹脂部26dの空間26eに、補強のためのリブ27aを備えるものであったが、このような構成に係るものに本発明は限定されない。
例えば、
図9に示すように、空間26eに、補強のためのハニカム部28aを備えるサイドフレーム28を採用するようにしてもよい。
次に、第5変形例に係るサイドフレーム28について、
図9を参照して説明する。ここで、
図9は、サイドフレーム28を示す概略斜視図である。
ハニカム部28aは、本発明に係る補強部に相当し、シート幅方向に貫通する正六角形状の孔部28bと、それを画定するように形成された隔壁部28cとから構成されている。
ハニカム部28aによって、孔部28bの体積分だけ材料が不要となるために軽量化することができ、その構造によってシート幅方向の荷重に対する剛性を高く維持することができる。
【0064】
ハニカム部28aは、樹脂部26dとともに、前パイプ22b、後パイプ22c及びロアサイドフレーム部22aと一体成形するようにすれば、効率よく組み付けることが可能となる。
一方、ハニカム部28a及び空間26eに嵌る枠体をユニットとして、前パイプ22b、後パイプ22c及びロアサイドフレーム部22aに既に取り付けられた樹脂部26dの空間26eに入れ込み、樹脂部26dに溶着して後付けするようにしてもよい。
【0065】
さらには、ハニカム部28aを複数層から構成するようにし、さらに孔部28b及び隔壁部28cの位置をずらして、シート幅方向に層状に組み合わせるようにしてもよい。このようにすることで剛性をより高くすることができる。
【0066】
また、ハニカム部28aは、軽量化のために樹脂のみによって形成されているものでよいが、内部に芯材として金属材料を配設するようにしてもよい。このようにすれば、剛性をより高くすることができる。
【0067】
<第6変形例>
上記第5変形例に係るサイドフレーム26においては、樹脂部26dの空間26eに、シート幅方向に連続する孔部28bと隔壁部28cとを有するハニカム部28aを備えるものであったが、このような構成に係るものに本発明は限定されない。
例えば、
図10A及び
図10Bに示すように、上下方向に連続する孔部29bと隔壁部29cとを有するハニカム部29aを空間26eに備えるサイドフレーム29を採用するようにしてもよい。
次に、このハニカム部29aを備える第6変形例に係るサイドフレーム29について、
図10A及び
図10Bを参照して説明する。ここで、
図10Aは、第6変形例に係るサイドフレーム29を示す概略斜視図であり、
図10Bは、
図10AのB−B断面矢視図を示す図である。
【0068】
ハニカム部29aは、本発明に係る補強部に相当し、上下方向に貫通する正六角形状の孔部29bと、それを画定するように形成された隔壁部29cとから構成されている。
ハニカム部29aによって、孔部29bの体積分だけ材料が不要となるために軽量化することができ、その構造によって上下方向の荷重に対する剛性を高く維持することができる。
【0069】
ハニカム部29a及び空間26eに嵌る枠体は、前パイプ22b、後パイプ22c及びロアサイドフレーム部22aに既に取り付けられた樹脂部26dの空間26eに入れ込まれて、樹脂部26dに溶着して後付けされて取り付けられる。
さらには、ハニカム部29aを複数層から構成するようにして、さらに孔部29b及び隔壁部29cの位置をずらして、上下に層状に組み合わせるようにしてもよい。このようにすることで、剛性をより高くすることができる。
【0070】
また、ハニカム部28aは、軽量化のために樹脂のみによって形成されているものでよいが、内部に芯材として金属材料を配設するようにしてもよい。このようにすれば、剛性をより高くすることができる。
【0071】
<第7変形例>
上記第5変形例及び第6変形例に係るサイドフレーム28又はサイドフレーム29においては、本発明に係る補強部材として、ハニカム部28a又はハニカム部29aを備えるものとして説明した。
しかし、本発明は、材料を削減しつつ、所定の剛性を維持できれば、このような構成に限定されない。
例えば、
図9に示す正六角形状の孔部28bを有するハニカム部28aの代わりに、
図11に示すように、円形の孔部70bを有するパンチプレート状の樹脂板70aを備えるサイドフレーム70を採用してもよい。
【0072】
具体的には、サイドフレーム70の樹脂板70aは、本発明に係る補強部に相当し、複数の円形の孔部70bとそれを隔てるように形成された隔壁部70cとを備える。
このようにすれば、樹脂部26dの空間26eに樹脂板70aを取り付ける、又は樹脂部26dと一体成形することで、高い剛性を確保することができる。
さらには、正六角形状の孔部28b,29bや円形の孔部70bに限らず、三角形状、四角形状その他の形状の孔部を備えるようしてもよい。
【0073】
<第8,9変形例>
さらに、孔部28b,29b,70bを形成せずに、高い剛性を確保しつつ、軽量化可能な構成であるミウラ折り(登録商標)状の部位を含むサイドフレーム71,72について
図12及び
図13を参照して説明する。
ここで、
図12は、第8変形例に係るサイドフレーム71を示す概略斜視図、
図13は、第9変形例に係るサイドフレーム72を示す概略斜視図である。
サイドフレーム71は、所定の形状の三角形が複数組み合わさることによってダイヤカット状に形成された補強部としての凹凸部71aを有する。
また、サイドフレーム72は、所定の形状の平行四辺形が複数組み合わさることによって形成された補強部としての凹凸部72aを有する。
このように、サイドフレーム71又はサイドフレーム72が凹凸部71a,72aを有することで、剛性を高めることができ、厚さを薄くして軽量化することが可能となる。
【0074】
<第10〜第13変形例>
次に、サイドフレーム22とは異なる構成例として、前パイプ22bと後パイプ22cとに接合された樹脂部30dを有する第10変形例に係るサイドフレーム30、前パイプ22bを有しない第11変形例に係るサイドフレーム31、後パイプ22cを有しない第12変形例に係るサイドフレーム32、及び前柱24bを有して後柱24cを有しない第13変形例に係るサイドフレーム34について、
図14〜
図18を参照して説明する。
ここで、
図14は、
図3に示すサイドフレーム22のXIV-XIV断面を示す図、
図15は、サイドフレーム30の断面を示す図、
図16は、サイドフレーム31の断面を示す図、
図17は、サイドフレーム32の断面を示す図、
図18は、サイドフレーム34の断面を示す図である。
【0075】
上記実施形態に係るサイドフレーム22の樹脂部22dは、
図14に示すように、前パイプ22b及び後パイプ22cの周面を覆って、前後方向に連続して形成されている。このように樹脂部22dが前パイプ22b及び後パイプ22cの周面を覆っているため、これらに強固に取り付けられることとなる。
一方で、樹脂部22dが高い強度を有し、且つ、前パイプ22b及び後パイプ22cとの取付強度を十分に確保できるのであれば、このような構成に限定されず、
図15に示すように、樹脂部22dによって、前パイプ22b及び後パイプ22cにおける対向する周面の一部同士を接合するようにしてもよい。
このようにすれば、前パイプ22b及び後パイプ22cの全周を覆わない分、材料の削減が可能となる。
【0076】
さらに、
図16及び
図17に示すように、前パイプ22b又は後パイプ22cを設けずに、樹脂部31d,32dが、前パイプ22b又は後パイプ22cが設けられていた位置に延在している構成を採用してもよい。
詳細には、樹脂部31dは、後パイプ22cに接合されて、後パイプ22cから前パイプ22bに対応する位置まで前方に延在している。
同様に、樹脂部32dは、前パイプ22bに接合されて、前パイプ22bから後パイプ22cに対応する位置まで後方に延在している。
このようにすれば、前パイプ22b又は後パイプ22cの一本に用いられる炭素鋼等の金属材料を削減でき、軽量化の高い効果が得られることとなる。
【0077】
また、
図18に示すサイドフレーム34のように、前側のみから上下方向に延在する断面コの字状の前柱24bに、後方に延在する樹脂部34dを一体成形するようにしてもよい。
特に、金属製の前柱24bの無い後方側においても前柱24bのある一方側と同様の外形となるように後柱34cが形成されていることで、剛性が高められる。
【0078】
なお、上記実施形態においては、金型によって成形可能なものについては、前パイプ22b、後パイプ22c又は前柱24b、及びロアサイドフレーム部22aと一体を成すように、樹脂部22d,26d,30d,31d,32d,34dをインサート成形すると、接合及び成形が同時にできるために作業効率が高められることとなる。
【0079】
また、前パイプ22bと後パイプ22cをそれぞれ設ける場合には、前パイプ22bを上部フレーム21と一体に形成するようにし、後パイプ22cを下部フレーム35と一体に形成するようにしてもよく、逆の組合せで形成するようにしてもよい。
このようにすれば、部品点数を減らすことができ、組み付け作業を容易にすることができる。
【0080】
<第14変形例>
上記説明においては、前パイプ22b及び後パイプ22cや、U字パイプ23bの周面における孔の有無については言及しなかったが、
図19に例示するように、サイドフレーム33が、樹脂部22dが導入される導入孔33aをU字パイプ23bの周面に有するものであってもよい。ここで、
図19は、樹脂部22d,26d,30d,31d,32dを除いた第14変形例に係るサイドフレーム33の一部を示す概略斜視図である。
【0081】
サイドフレーム33を構成するU字パイプ23bには、前後に対向する側の側面のそれぞれから中空部22hにつながるように、上下に5つの導入孔33aが形成されている。
このように導入孔33aが形成されていることで、樹脂部22d,26dを射出成形する場合に、導入孔33aを通ってU字パイプ23bの中空部22hまで樹脂部22d,26dが行き渡ることとなり、接合強度を高くすることができる。
なお、導入孔33aを形成する対象としては、U字パイプ23bに限られず、前パイプ22b及び後パイプ22cに形成するようにしてもよい。
【0082】
なお、このような導入孔33aを、U字パイプ23bや前パイプ22b及び後パイプ22cに形成せずに、樹脂部22d,26d,30d,31d,32dの元になる溶融樹脂を金型内に流し込んだ後に、中空部22hに水や空気を通すようにして、樹脂部22d,26dの冷却速度を早めるようにしてもよい。
このサイドフレーム22等の製造方法について
図20A〜
図20Cを参照して説明する。
ここで、
図20Aは、サイドフレーム22を射出成形する際の型締め工程を示す模式図、
図20Bは、射出工程を示す模式図、
図20Cは、冷却工程を示す模式図である。
まず、
図20Aに示すように、図示せぬ射出成形機内に設置した金型M内に、前パイプ22b、後パイプ22c及びロアサイドフレーム部22aを配設して、型締めする。
次に、
図20Bに示すように、前パイプ22b、後パイプ22c及びロアサイドフレーム部22aの周囲に溶融樹脂を流しこむ。
そして、
図20Cに示すように、前パイプ22b、後パイプ22cの中空部22hの中に水又は空気を流しこんで溶融樹脂を冷却して、樹脂部22d,26d,30d,31d,32dを成形するようにする。
このような工程によれば、サイドフレーム22等の生産効率を高めることが可能となる。
【0083】
<<第2実施形態>>
上記実施形態においては、樹脂部22d,26d,30d,31d,32dによってシートバックS1の軽量化しつつ、剛性を維持する例について説明したが、本発明は、シートバックS1のみに適用されるものに限定されない。
例えば、シートクッションフレーム2を構成するサイドフレーム40を同様の構成で方向を上下方向から前後方向に変えて採用するようにしてもよい。
【0084】
さらに、シートクッションフレーム2のサイドフレーム40の側面に樹脂製のカバー41を接合する例について、
図21及び
図22を参照して次に説明する。
ここで、
図21は、第2実施形態に係るシートクッションフレーム2のサイドフレーム40を示す斜視図、
図22は、第2実施形態に係るシートクッションフレーム2の
図21のXXII-XXII断面を示す図である。
【0085】
サイドフレーム40は、下縁40bと上縁40cとこれらの間にある中間部40dとから構成される梁材40aと、樹脂材料から形成されて、梁材40aのシート幅方向外側を覆うカバー41とから構成される。
【0086】
梁材40aは、本発明に係る金属部に相当し、下縁40bと上縁40cとがシート内側に折り曲げられて断面コの字状(ブラケット状)を有しており、前後方向に延在している。このサイドフレーム40のシート幅方向外側に、本発明に係る樹脂部に相当するカバー41が配設されている。
【0087】
カバー41は、本発明に係る樹脂部に相当し、梁材40aにおける中間部40dの外側側面の少なくとも一部に、シート幅方向外側に延出する連結部41bが形成されており、連結部41bの先端側において、上下に下縁41a及び上縁41cが形成されている。
上記構成によれば、カバー41によって、外観を良好にすることができ、カバー41を樹脂製で形成することで、金属材料で形成するよりも軽量化することができる。
そして、梁材40aの少なくとも一部を覆うように、樹脂部22dと同様の樹脂部を設けて、これと一体にカバー41を形成するようにすることで、製造効率を高めることができる。
【0088】
<<第3実施形態>>
本発明の他の実施形態としての第3実施形態に係るシートフレームF1について、
図23〜
図29を参照して説明する。
ここで、
図23は、第3実施形態に係るシートフレームF1を示す模式的な斜視図、
図24は、シートバックフレーム3を示す模式的な斜視図である、また、
図25は、
図23のヘッドレストステーHSのXXV-XXV断面を示す断面図、
図26は、シートバックフレーム3に形成されてSバネ36を保持するフック50を示す模式的な正面断面図である。また、
図27は、第15変形例に係るフック51の断面図であり、
図23のXXVII-XXVII断面に相当する部位を示す断面図、
図28は、
図23に示すフック76dのXXVIII-XXVIII断面を示す模式的な断面図、
図29は、シートクッションフレーム4を示す模式的な斜視図である。
【0089】
シートフレームF1は、シートバックS1を構成するシートバックフレーム3、シートクッションS2を構成するシートクッションフレーム4を主たる構成要素として有する。
【0090】
(シートクッションフレームについて)
シートクッションフレーム4は、
図23及び
図29に示すように、平面視で略ロの字形状に形成されており、シートバックフレーム3に連結された左右の連結フレーム75a,75bと、左右の連結フレーム75a,75bに跨って形成されたフロントフレーム4aとを備える。
【0091】
連結フレーム75a,75bは、金属製であって、高い剛性を備え、シートクッションフレーム4のサイドフレームを構成する。
連結フレーム75a,75bには、シート後方に突出するように段差部が形成されている。この段差部は、車両に衝撃に加わったときに変形する脆弱部として機能して、着座者に加わる荷重を低減するように機能することとなる。
脆弱部としては、この段差部の代わりに、シート幅方向に延在して、連結フレーム75aと連結フレーム75bとに両端を接合された連結シャフト75dによって構成するようにしてもよい。
詳細には、連結シャフト75dの両端と、連結フレーム75a,75bとが接合されることで、接合部の剛性が必然的に高められることとなる。
一方で、接合部の周囲の剛性は相対的に低くなる。
このため、連結フレーム75a,75bにおける連結シャフト75dとの接合部の周囲部分が脆弱部として機能させることができる。
【0092】
また、連結フレーム75a,75bそれぞれの前端側であって、後述するパンフレーム76の接続部76aに接続される部位には、係合孔75cが前後に二つ、シート幅方向に貫通して形成されている。
後述するパンフレーム76を一体成形する際に、パンフレーム76の溶融樹脂が係合孔75cに入り込むことで、接続部76aと連結フレーム75a,75bとの接触面積が増え、連結強度が高められることとなる。
フロントフレーム4aは、骨組みとしての上パイプ48a及び下パイプ48bと、これらを内部に備えてインサート成形されたパンフレーム76と、から構成されている。
なお、上パイプ48a及び下パイプ48bは、本発明に係る金属部の一及び線状フレームに相当する。
パンフレーム76は、カーボン樹脂やガラス繊維強化プラスチックから成るものであり本発明に係る樹脂部の一及び板状のパンフレームに相当し、シートクッションフレーム4の前部を構成する部材であり、シート幅方向両側の後端にある接続部76aによって、連結フレーム75a,75bと接続されている。
なお、連結フレーム75a,75b及びパンフレーム76のシート幅方向両側の接続部76aには、シート幅方向に受圧部材としてのSバネ36が架設されている。Sバネ36の取付構造については後述する。
【0093】
上パイプ48aは、連結フレーム75a,75bの前側上部のそれぞれに端部側が接続されて上面視コの字状(U字状)に形成されている。詳細には、上パイプ48aは、両端部から前方に延出してシート幅方向内側に屈曲して延出した後、下方に屈曲し、さらにシート幅方向内側に屈曲してシート幅方向中央部が直線的に延出するように形成されている。
このように形成された上パイプ48aの一部は、シートクッションフレーム4の上部においてシート幅方向内側に屈曲して延出していることで、剛性が高められている。このためシートクッションフレーム4の変位量を小さく抑えることができる。
【0094】
下パイプ48bは、連結フレーム75a,75bの前側下部それぞれに端部側が接続されて上面視台形状に形成されている。詳細には、下パイプ48bは、上パイプ48aよりも長い長さで両端部から前方に延出した後、上向き及びシート幅方向内側に若干屈曲して、シート幅方向中央部が上パイプ48aのシート幅方向中央部よりも高い位置で直線的に延出するように形成されている。
【0095】
このように、上パイプ48aが下パイプ48bよりも前方に短く形成されており、シート幅方向中央部において、上パイプ48aが下パイプ48bよりも下方に位置していることで、車両の前突時におけるサブマリン現象の発生を回避し易い構成となっている。
【0096】
そして、上パイプ48aにおける上部位置からシート幅方向内側に屈曲する部位よりも後方の一部と、その下方にある下パイプ48bの一部とは、図示せぬ連結ブラケットによって支持されている。
この連結ブラケットは、図示せぬシートリフターのリンクに対して回動可能に取り付けられている。
【0097】
不図示のシートリフターのリンクと不図示の連結ブラケットとは、リンクと一体的に形成された樹脂製の不図示のブッシュとブッシュを挿通する回動軸によって、回動可能に取り付けられている。
特に、ブッシュにおける回動軸の頭部の座り面に当接する部位は、他の部位よりも厚く形成されていることで、回動中心のズレが生じないようにされており、且つ、剛性が高められている。
【0098】
上パイプ48a及び下パイプ48bにおけるシート幅方向両側にあるそれぞれの後端部側は、シート幅方向両側の連結フレーム75a,75bにおけるシート幅方向内側の上下に、溶接により接合されている。
また、上パイプ48aと下パイプ48bのシート幅方向両側における連結フレーム75a及び連結フレーム75bから直線的に延出する部位においては、シート上下方向において略重なる位置に形成されている。
そして、上パイプ48a及び下パイプ48bの後端部側が径方向に潰れるように形成されていると好ましい。このように上パイプ48a及び下パイプ48bが形成されていれば、連結フレーム75a,75bとの間に溶接代が形成されることとなり、接合強度を高めることができる。
【0099】
なお、上記においては、シートクッションフレーム4のパンフレーム76のみ樹脂材料によって形成されるものとして説明したが、他の部品を樹脂材料で形成してもよい。
例えば、図示せぬシートリフターのギア及びギアに連結されたリンクを金属部と、金属部をインサートした樹脂部から構成するようにしてもよい。このようにすれば、金属部の一部の代わりに樹脂部を用いることで軽量化することができる。
【0100】
(シートバックフレームについて)
シートバックフレーム3は、開放側を下側とする正面視コの字状の樹脂部としての樹脂フレーム38と、樹脂フレーム38と一体的に成形されて骨組みとして機能し、本発明に係る金属部の一に相当する金属製の前パイプ37a及び後パイプ37bとを主に備える。
さらに、シートバックフレーム3は、樹脂フレーム38のシート幅方向両側の下端にそれぞれ設けられて前パイプ37a及び後パイプ37bと接合されたロアサイドフレーム部22aと、シート幅方向両側のロアサイドフレーム部22aに架け渡されたロアメンバー39とを備える。
【0101】
ここで、樹脂フレーム38、前パイプ37a、後パイプ37b、ロアサイドフレーム部22a及びロアメンバー39によって、本発明に係るフレーム部材に相当するバックフレーム部材3cが構成されているものとする。
【0102】
ロアメンバー39は、板状の金属部材と金属部材を内部に含んでインサート成形された樹脂部材とから構成されており、表面にある樹脂部材には、剛性を高めるための図示せぬリブが形成されていると好ましい。
【0103】
線状フレームとしての前パイプ37a及び後パイプ37bは、正面視において下側を開放側とするコの字状(逆U字状)に形成されており、前パイプ37aと後パイプ37bのシート幅方向両側の部位においては、シート前後方向において略重なる位置に形成されている。
そして、前パイプ37aの上部は、シート幅方向に延出しており、
図23〜
図25に示すように、後述するヘッドレストステーHSの上下且つ前後を固定できるように、後パイプ37bにおけるシート幅方向に延出する上部よりも低い位置に形成されている。
【0104】
前パイプ37a及び後パイプ37bにおけるシート幅方向両側にあるそれぞれの下端部は、シート幅方向両側のロアサイドフレーム部22aにおける内面側の前後に、溶接により接合されている。
【0105】
また、上パイプ48aと下パイプ48bとの一部、又は前パイプ37aと後パイプ37bとの一部を連結するように構成してもよい。
このように連結することで、剛性を高めることができるため、より薄くすることが可能となることで軽量化することができる。
特に、シートバックフレーム3の前後の長さを小さくすることで、側突時の衝撃によって着座者が車両用シートSに当接して荷重を受けることを回避しやすくできる。
【0106】
また、上パイプ48aと下パイプ48bとは別体で構成されるものに限定されず、
図5に示すような下部で連結されて前後に一体的に形成されたU字パイプ23bを備えるサイドフレーム23のように、後端部側において連結されていてもよい。
このような構成であれば、上パイプ48aと下パイプ48bが一体的に形成されていることで、剛性を高めることができ、さらに部品点数が少なくなりシート製造作業を効率化することができる。
【0107】
また、上パイプ48a、下パイプ48b、前パイプ37a及び後パイプ37bの外径は、本実施形態においては、部品管理性を良好にするために同じ外径のサイズのもので構成されている。
しかしながら、本発明は、このような形態のパイプに限定されず、異なるサイズのものを用いるようにしてもよい。
例えば、前パイプ37aを後パイプ37bの外径よりも小さな外径のものとし、クッションパッド1aの割合を前側において高くすることで、車両用シートSの前側の剛性を低めるようにしてもよい。このようにすることで、車両が後突や側突されたときに、着座者の体が車両用シートSに後方に入り込み易くなり、後突や側突による着座者への荷重を緩和することができる。
同様の理由により、上パイプ48aを下パイプ48bの外径よりも小さな外径のものとし、クッションパッド2aの割合を上側において高くすることで、車両用シートSの前側の剛性を低めるようにしてもよい。
【0108】
樹脂フレーム38は、ガラス繊維入りのプラスチック等の樹脂材料から形成されており、その前側端部が前パイプ37aを覆い、後ろ側端部が後パイプ37bを覆うようにして板状に連続して形成されている。なお、ガラス繊維入りのプラスチックの他、CFRP等のプラスチック樹脂材料、ガラス繊維又は炭素繊維なしのプラスチックで形成されていてもよい。
そして、
図25に示すように、前パイプ37aの上部と、後パイプ37bの上部との間に挟み込まれるようにして、上下連続する角筒状の筒状部材としての二本のヘッドレストステーHSが固定されている。さらに、前パイプ37aと後パイプ37bと二本のヘッドレストステーHSの少なくとも一部とを内部に含んで樹脂フレーム38がインサート成形されている。
【0109】
この二本のヘッドレストステーHSは、ヘッドレストS3の不図示のヘッドレストピラーを受け入れることで、ヘッドレストS3を取り付ける部位である。
上記のように、ヘッドレストステーHSは、前パイプ37aと後パイプ37bの間に挟持されることによって、高い強度で取り付けられて保持されている。そして、樹脂フレーム38を成形する際に、ヘッドレストステーHSを、前パイプ37a及び後パイプ37bの間に挟持させることができる。
【0110】
詳細には、ヘッドレストステーHSは、前パイプ37a及び後パイプ37bとともに、樹脂フレーム38にインサート成形されることによって樹脂フレーム38に接合されている。このような構成にすれば、ヘッドレストステーHSを前パイプ37a及び後パイプ37bに取り付けるための別個の取付部材を必要とせず部品点数を削減することができ、溶接工程が不要となり、製造が容易となる。
【0111】
一方で、このヘッドレストステーHSは、下部を前パイプ37aに、上部を後パイプ37bに溶接された後に、樹脂フレーム38に一体成形によって結合されていてもよい。
このように溶接が施されていることで、シートバックフレーム3に含まれるヘッドレストステーHSの取付剛性をさらに高めることができる。
【0112】
また、樹脂フレーム38の上側であり、前パイプ37aよりも下方には、板状のブラケット38aが、樹脂フレーム38のシート幅方向両側に両端を接続するように形成されている。
板状のブラケット38aは、樹脂フレーム38の一部を構成して連続的に一体成形されており、中央にウェイト38bが配設されるように成形されている。
ウェイト38bを備えるブラケット38aは、ダイナミックダンパーとして機能することとなり、シートバックフレーム3の振動を抑制して乗り心地を良好にすることが可能となる。
【0113】
また、樹脂フレーム38のシート幅方向内側には、フック50が形成されており、
図26に示して後述するSバネ36がフック50に架け渡されている。なお、シートバックフレーム3に設けられるSバネ36については、
図23上、図示を省略している。
【0114】
(Sバネの取り付けについて)
次に、Sバネ36の取り付けについて説明する。
車両用シートSには、上記のように、シートバックS1及びシートクッションS2にクッション性を付与するSバネ36が取り付けられている。
シートクッションS2側のSバネ36は、
図23に示すように、シートクッションフレーム4を構成するパンフレーム76の接続部76aに取り付けられている。
具体的には、Sバネ36は、シート幅方向両側の接続部76aに連続的に一体成形されたフック76dに、両端を取り付けられている。
フック76dは、
図28に示すように、両側の接続部76aのシート幅方向内側に突出して前後に延出して形成されており、前後方向に形成されてSバネ36の端部を保持する保持穴76bを有する。
【0115】
このように、パンフレーム76の一部である接続部76aと一体成形されたフック76dにSバネ36を保持できることによって、Sバネ36を保持するための別個の取付部材を設ける必要がない。また、Sバネ36を保持するためにシートクッションフレーム4を切り起こす等の加工も不要であるため、Sバネ36の取付作業の効率を高めることができる。
【0116】
シートバックS1側のSバネ36は、
図23においては省略しているが、
図27に一部を示すように、ロアサイドフレーム部22a及び樹脂フレーム38のそれぞれのシート幅方向内側に取り付けられている。
具体的には、シートバックS1の下方のSバネ36は、ロアサイドフレーム部22aにおいてシート幅方向内側に切り起こされて形成されている不図示のフックによって取り付けられている。
特に、ロアサイドフレーム部22aが樹脂フレーム38に通常覆われる位置に、不図示のフックが設けられる場合には、そのフックが形成される部位のみ樹脂フレーム38からロアサイドフレーム部22aを露出するように樹脂フレーム38を形成するとよい。
【0117】
また、シートバックS1の上方のSバネ36は、
図26に示すように、樹脂フレーム38のシート幅方向両側の部位から連続的に一体成形されシート幅方向内側に突出するフック50に両端を取り付けられている。
取付部としてのフック50は、樹脂フレーム38のシート幅方向両側にシート幅方向に形成されてSバネ36の端部を保持する保持孔50aを有し、保持孔50aにシート前方向及びシート幅方向内側に侵出するように突出して形成された突出部50bを備える。
換言すると、突出部50bは、樹脂フレーム38のシート幅方向両側から、シート幅方向内側に切り起こされたように、保持孔50aとともに形成されている。
【0118】
このように、樹脂フレーム38と一体成形されたフック50にSバネ36を保持できることによって、Sバネ36を保持するための別個の取付部材を設ける必要がない。また、Sバネ36を保持するためにシートバックフレーム3を切り起こす等の加工も不要であるため、Sバネ36の取付作業の効率を高めることができる。
【0119】
<第15変形例>
フック50と異なる第15変形例に係る取付部としてのフック51は、
図27に示すように、先端51cが他の部位よりも大きく形成された突出部51bを有する。
突出部50bには、保持孔51aの貫通部に面する縁において、他の部位よりもシート幅方向外側に突出する突起である先端51cが上下方向に延在して形成されている。
このように先端51cが形成されていることで、保持孔51aを通って突出部51bに組み付けられたSバネ36が先端51cに引っ掛かることで、フック51から抜け落ちることを防止することができる。
さらに、Sバネ36をフック50に取り付ける作業者が、突出部51bの先端51cへのSバネ36の係止を触覚で感じ取ることができるため、係止状態を認識して組み付け作業を素早く行うことが可能となる。
なお、このような構成のフック51をシートクッションフレーム4のフック76dに適用してもよい。
【0120】
また、Sバネ36を樹脂バネとして、樹脂フレーム38と一体成形するようにしてもよい。このようにし、Sバネ36の引っ掛け箇所の樹脂にバネ性をもたせることで、Sバネ36の全長を短くすることができる。
【0121】
<第16変形例>
第16変形例に係るシートクッションフレーム5について、
図30を参照して説明する。なお、
図30は、第16変形例に係るシートクッションフレーム5を示す模式的な斜視図である。
シートクッションフレーム5は、上記第3実施形態の実施例に係るシートクッションフレーム4の上パイプ48a及び下パイプ48bと異なる形状を有する、金属部の一及び線状フレームとしての上パイプ49a及び下パイプ49bを備えるものである。
【0122】
詳細には、上パイプ49aは、連結フレーム75a,75bの前側上部のそれぞれに端部側が接続されて上面視コの字状に形成されており、両端部から前方に延出した後、高さ方向に大きく屈曲することなく、シート幅方向中央部が直線的に延出して略一定の高さで形成されている。ここで、パンフレーム76と上パイプ49a及び下パイプ49bとによって、本発明に係るフレーム部材に相当するフロントフレーム4bが構成されているものとする。
下パイプ49bは、連結フレーム75a,75bの前側下部のそれぞれに端部側が接続されて上面視コの字状に形成されており、上パイプ49aよりも短い長さで両端部から前方に延出した後、高さ方向に大きく屈曲することなく、シート幅方向中央部が直線的に延出して略一定の高さで形成されている。
【0123】
上記変形例に係るシートクッションフレーム5によれば、上パイプ49a及び下パイプ49bが上下に重なることを防ぎやすく、所定形状に組合せをした上でパンフレーム76にインサート成形ができるため、製造が容易となる。
一方、
図29に示す上記第3実施形態の実施例に係るシートクッションフレーム4によれば、着座者からの荷重が加わりやすく、剛性が必要であるパンフレーム76の後方部分の縁に沿って上パイプ48aを配設することができ、耐久性を向上させることが可能となる。
【0124】
<第17変形例>
次に第17変形例に係る上パイプ55a及び下パイプ55bについて、
図31を参照して説明する。
図31は、第17変形例に係る上パイプ55a及び下パイプ55bを示す斜視図である。
金属部の一及び線状フレームとしての上パイプ55a及び下パイプ55bの主な形状は、
図29に示す上パイプ48a及び下パイプ48bと同一であり、異なる点は、導入孔56a,56b,潰れ57a,57bが形成されている点である。
【0125】
詳細には、上パイプ55a及び下パイプ55bにおける、
図23に示す連結フレーム75a,75bの前側であって、パンフレーム76の接続部76aに覆われる部位には、導入孔56a,56bがそれぞれの前後に2個形成されている。
この導入孔56a,56bは、パンフレーム76が上パイプ55a及び下パイプ55bを覆うようにインサート成形される際に、上パイプ55a及び下パイプ55bの内部の空間に樹脂を導入するための孔である。
このように、導入孔56a,56bが形成されていることで、パンフレーム76を形成するとともに、パンフレーム76と上パイプ55a及び下パイプ55bとを連結することが可能となる。
【0126】
そして、上パイプ55a及び下パイプ55bにおける、導入孔56a,56bよりも前側には、潰れ57a,57bがそれぞれ形成されている。
潰れ57a,57bは、上パイプ55a及び下パイプ55bの内部空間の一部を閉ざすように形成されている。
このように、潰れ57a,57bが形成されていることにより、導入孔56a,56bから上パイプ55a及び下パイプ55bの内部に導入される樹脂を、潰れ57a,57bの手前までに制限することが可能となる。
つまり、潰れ57a,57bによって、樹脂が侵入する領域をパンフレーム76と上パイプ55a及び下パイプ55bとの連結に必要な領域としての潰れ57a,57bよりも導入孔56a,56b側の領域に制限することができる。このように制限することで、上パイプ55a及び下パイプ55bの潰れ57a,57bよりも前側(導入孔56a,56bの逆側)に樹脂が充填されないこととなる。このため、シートクッションフレーム4を軽量化することが可能となる。
また、例えば、連結フレーム75a、75bと上パイプ55a及び下パイプ55bとが溶接されている場合には、潰れ57a,57bが形成されていることによって、溶接代を確保することができ、接合強度を高めることができる。
【0127】
さらには、上パイプ55a又は下パイプ55bの導入孔56a,56bは、パンフレーム76の接続部76aに覆われる部位に限られず、任意の位置に形成されていてもよい。そして、その導入孔56a,56bを介して、溶融樹脂が上パイプ55a,下パイプ55bの内部に充填されるように、充填する領域の両側において、中空空間を閉じるように上パイプ55a又は下パイプ55bに潰れが形成されている構成であってもよい。
【0128】
上記のように、導入孔56a,56bによって、パイプ内部に樹脂を充填する技術、及び潰れ57a,57bによって樹脂の充填領域を制限する技術は、当然シートクッションフレーム4を構成するものに限定されず、シートバックフレーム1,3に適用することが可能である。
【0129】
上記実施形態においては、上パイプ48aと下パイプ48bのシート幅方向両側における連結フレーム75a及び連結フレーム75bから直線的に延出する部位においては、シート上下方向において略重なる位置に形成されているものと説明した。
同様に、前パイプ37aと後パイプ37bのシート幅方向両側の部位においては、シート前後方向において略重なる位置に形成されているものと説明した。
しかしながら、本発明はこのような形態に限定されない。
【0130】
例えば、シートバックフレーム3の前パイプ37aを後パイプ37bよりもシート幅方向外側に配置するようにしてもよい。
このようにすれば、車両の後突時に着座者の体が入り込みやすくなり、着座者の体に過大な荷重が加わることを抑制することができる。
【0131】
また、シートクッションフレーム4の下パイプ48b,49bを上パイプ48a,49aよりもシート幅方向外側に配置するようにしてもよい。
このようにすれば、下パイプ48b,49bと上パイプ48a,49aとが左右方向にずれることで、両者を重ね合わせてパンフレーム76をインサート成形する際に、溶融樹脂が行き渡りやすくなり成形性が向上する。
また、同様に、上記の前パイプ37aと後パイプ37bとを左右方向にずらした場合にも、同様に成形性を向上させることができる。
【0132】
上記実施形態においては、1本又は2本の金属製のパイプからシートフレームの少なくとも一部を構成する例について説明したが、本願発明はこのような構成に限定されない。
例えば、より剛性を高めることを目的として、複数の金属製のパイプを設けるようにしてもよく、さらに、パイプではなく、ワイヤ等の中実の材料であり線状のもの又は棒状のものを採用するようにしてもよい。特に線状のものは、曲げ加工によって変形が容易であるため、シートフレームの形状の自由度を高めることができる。
【0133】
さらには、第3実施形態において、シートバックフレーム3には、前パイプ37a及び後パイプ37bが別個に設けられているものとして説明したが、これらが連結された一本のパイプから成るものであってもよい。具体的には、前パイプ37aと後パイプ37bとがロアサイドフレーム部22a側で連結されていてもよい。
同様に、シートクッションフレーム4には、上パイプ48a,49a及び下パイプ48b,49bがそれぞれ別個に設けられているものとして説明したが、これらが連結されたそれぞれ一本のパイプから成るものであってもよい。具体的には、上パイプ48a,49aと下パイプ48b,49bとが連結フレーム75a側で連結されていてもよい。
【0134】
また、これらの金属製のパイプが、その中空の内部と外部とを連結する複数の導入孔を有するものであってもよい。
このような構成によれば、樹脂フレームやパンフレームをこれらのパイプを覆うようにインサート成形する際に、溶融樹脂をこれらの導入孔を通すようにしてこれらのパイプの中空の内部に流し込んで一体成形することが可能となるため、剛性を高めることができる。
【0135】
また、上記実施形態においては、車両用シートについて説明したが、本願発明は車両用シートに係るものに限定されない。剛性を確保しつつ、軽量化することによって燃費を向上させるため、船舶、航空機、産業用機械等の乗物用シートに適用することが可能である。
【0136】
上記の実施形態については、以下の付記のようにも記載され得る。
(付記1)
逆U字状に形成された線状フレームを有してシートの骨格を成すシートフレームであって、ヘッドレストを支持する筒状部材を備え、前記線状フレームは前後に少なくとも2個配置されており、前記筒状部材は、前記線状フレームに前後に挟み込まれて保持されていることを特徴とするシートフレーム。
上記構成によれば、筒状部材が線状フレームに挟み込まれて取り付けられていることにより、筒状部材の剛性向上を向上させることができる。
【0137】
(付記2)
前記筒状部材は、前記線状フレームに溶接されて接合されていることを特徴とする付記1に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、筒状部材が線状フレームに溶接によって接合されていることで、筒状部材の剛性を向上させることができる。
【0138】
(付記3)
前記筒状部材は、前記線状フレームと他部材とに一体的に成形されていることを特徴とする付記1に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、筒状部材が線状フレームと他部材とに一体的に成形されていることで、部品点数を削減でき、及び作業性を向上させることが可能となる。
【0139】
(付記4)
前記線状フレームは、パイプであることを特徴とする付記1乃至3のいずれか一に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、線状フレームがパイプであることで、中実のものよりも軽量化することができる。
【0140】
(付記5)
前記パイプの径は同じである付記4に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、パイプの径を同じにすることで、部品管理性を高め、作業性を向上させることができる。
【0141】
(付記6)
前記パイプの径は前後のパイプで異なり、シート前方側のパイプの径がシート後方側のパイプの径よりも小さいことを特徴とする付記4に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、前側のパイプの径が小さいことで、車両の後突時に着座者の体が入り込みやすくなり、着座者の体に過大な荷重が加わることを抑制することができる。
【0142】
(付記7)
前記パイプの端部側は、潰されて形成されていることを特徴とする付記4乃至6のいずれか一に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、パイプの端部側が潰れていることにより、溶接代の確保が容易となり作業性が向上する。
【0143】
(付記8)
前記パイプには、外部と内部とを連通する穴が形成されており、前記パイプの内部に溶融樹脂が充填されて前記穴を通じて外部まで樹脂材料が形成されていること特徴とする付記4に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、パイプの内部に溶融樹脂を充填してパイプの外部まで樹脂材料を形成することで、剛性向上を向上させることができる。
【0144】
(付記9)
前記線状フレームは、少なくとも2つの部材で形成されていることを特徴とする付記1に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、形状を単純化することで作業性を向上させることができる。
【0145】
(付記10)
前記線状フレームは、一つの部材で形成されていることを特徴とする付記1に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、形状を単純化することで作業性を向上させることができる。
【0146】
(付記11)
前記線状フレームの端部側には、他部材との取り付けを行う取付部材が設けられていることを特徴とする付記1に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、作業性を向上させ、剛性向上させることが可能となる。
【0147】
(付記12)
前記線状フレームの空間を埋めるように他の部材が設けられていることを特徴とする付記1に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、線状フレームの空間を埋めるように他の部材が設けられていることで剛性を向上させることができる。
【0148】
(付記13)
前記他の部材には、乗員を支持する受圧部材を取り付ける取付部が設けられていることを特徴とする付記12に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、他の部材に受圧部材を取り付ける取付部が設けられていることで、別個に取付部を用いる必要がないために部品点数を削減することができ、取付部を取り付ける手間がないため作業性を向上させることができる。
【0149】
(付記14)
前記取付部は、他の部材に一体的に設けられており、前記取付部の端部側は他の部分よりも大きく形成されていることを特徴とする付記13に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、取付部が他の部材に一体的に設けられていることで作業性を向上させることができ、取付部の端部側が他の部分よりも大きく形成されていることで受圧部材が取付部から外れることを抑制することができる。
【0150】
(付記15)
前記受圧部材は、前記他の部材と一体的に成形されていることを特徴とする付記14に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、部品点数の削減しつつ、軽量化することができる。
【0151】
(付記16)
シートクッションフレームを備えるシートの骨格を成すシートフレームであって、前記シートクッションフレームは、略U字状に形成された複数の線状フレームと、該複数の線状フレームを繋ぐように形成された板状のパンフレームと、を有し、前記複数の線状フレームの少なくとも一つは上下方向に屈曲していることを特徴とするシートフレーム。
上記構成によれば、線状フレームの少なくとも一つが上下に屈曲していることで剛性が高められ、衝突時にシートフレームの撓むことを抑制できる。
【0152】
(付記17)
前記上下方向に屈曲している線状フレームは、シートクッションの上方に設けられた線状フレームであることを特徴とする付記16に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、上方の線状フレームが屈曲して形成されていることで剛性を高めて、シートフレームが撓むことを抑制することができる。
【0153】
(付記18)
前記複数の線状フレームは、板状のパンフレームの前端と後端に少なくとも設けられていることを特徴とする付記16に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、複数の線状フレームが板状のパンフレームの前端と後端に少なくとも設けられていることで、板状のパンフレームを安定して支持することができる。
【0154】
(付記19)
前記複数の線状フレームを取り付ける取付部材が設けられていることを特徴とする付記16に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、複数の線状フレームを取り付ける取付部材が設けられていることで、複数の線状フレームの取付作業性を向上させることができる。
【0155】
(付記20)
前記板状のパンフレームはカーボン樹脂で形成されていることを特徴とする付記16に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、板状のパンフレームがカーボン樹脂で形成されていることで軽量化することができる。
【0156】
(付記21)
前記シートクッションフレームは、シートの高さを調節するハイト機構を有し、該ハイト機構は、複数のリンクから構成されるリンク構造から成り、前記複数のリンクは、周囲を樹脂で覆われていることを特徴とする付記16に記載のシートフレーム。
上記構成によれば、リンクが樹脂で覆われる分、全体として金属の割合を減らすことで、軽量化することができる。