(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記リム部は、上記斜め前方部における上記外縦壁と上記内縦壁との間の幅が、上記前端部における上記外縦壁と上記内縦壁との間の幅よりも小さく且つ上記側部における上記外縦壁と上記内縦壁との間の幅よりも小さくなるように形成されている、請求項1又は2に記載の水洗大便器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に示すような水洗大便器においても、また、水洗大便器の基本的な形状としても、ボウル部は、前後方向に縦長となるように、前方側がやや突出するような楕円形状を形成するので、ボウル部は、上面視で、リム部の前端部の曲りがきつく形成されることとなる。従って、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には、リム部の前端部において洗浄水に急激な遠心力が作用し、洗浄水がリム部の左右の斜め前方部から便器本体外に流出又は飛散するおそれがあり、水勢が弱い場合には洗浄水が前端部の曲りに沿って汚物受け面の内側向きに流下してしまうという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、リム部の前端部における洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができ、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面の内側向きに流下してしまうこと、を抑制することができ、リム吐水部から吐水された洗浄水がリム部に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、ボウル形状の汚物受け面と、汚物受け面の外縁の上方に立ち上がるリム部と、を備えたボウル部と、このボウル部の下部に接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、リム部に設けられてボウル部内に洗浄水を吐水するリム吐水部と、を有し、ボウル部のリム部は、リム部の外側において縦方向に延びる外縦壁と、リム部の内側において外縦壁から間隔を空けて縦方向に延び、リム吐水部から吐水された洗浄水を導く内縦壁と、を備え、内縦壁
の上部内縦壁は、この上部内縦壁のうちで最も外方側に位置する基部から最も内方側に位置する頂部まで、ボウル部の内方に向けて傾斜するように形成され、上部内縦壁の基部から頂部までの突出長さは、リム部の前端部よりも斜め前方部の方が
大きく、且つリム部の斜め前方部よりも側部の方が
小さくなるように形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、
上部内縦壁の
突出長さは、リム部の前端部よりも斜め前方部の方が
大きく、且つリム部の斜め前方部よりも側部の方が
小さくなるように形成されているので、リム部の斜め前方部において内縦壁の下部が外方側に拡がるように形成され、リム部の前端部における洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面の内側向きに流下してしまうこと、を抑制することができる。従って、リム吐水部から吐水された洗浄水がリム部に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、リム部は、斜め前方部における外縦壁と内縦壁との間の幅が、前端部における外縦壁と内縦壁との間の幅よりも小さく且つ側部における外縦壁と内縦壁との間の幅よりも小さくなるように形成されている。
このように構成された本発明においては、リム部の斜め前方部における外縦壁と内縦壁との間の幅が前端部及び左右の側部におけるこれらの幅よりも小さくなるように形成されているので、リム部の斜め前方部における内縦壁が外方側に拡がるように形成され、リム部の前端部における洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面の内側向きに流下してしまうこと、を抑制することができる。従って、リム吐水部から吐水された洗浄水がリム部に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる。また、リム部の斜め前方部における外縦壁と内縦壁との間の幅を小さく形成することにより、ボウル部の斜め前方部を広く見せることができ、座り小便時に使用者に安心感を与えると共に、小便跳ねを抑制することができる。これにより、使用者が安心して且つ清潔に水洗大便器を使用することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、リム部の前端部において、内縦壁の上面視における曲率半径と、外縦壁の曲率半径との比は、1:2〜2:1の範囲とされている。
このように構成された本発明においては、リム部の斜め前方部において、内縦壁の曲率半径は、所定の比の範囲において、外縦壁の曲率半径より大きくなるように形成されているので、リム部の斜め前方部における内縦壁が外方側に拡がるように形成され、リム部の前端部における洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面の内側向きに流下してしまうこと、を抑制することができる。従って、リム吐水部から吐水された洗浄水がリム部に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる。また、内縦壁の曲率半径を、所定の比の範囲において、外縦壁の曲率半径より大きくなるように形成することにより、ボウル部の斜め前方部を広く見せることができ、使用者が安心して且つ清潔に水洗大便器を使用することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、リム部の外縦壁及び内縦壁は、ボウル部の前方側において楕円形状を形成し、リム部の前端部において、内縦壁の上面視における曲率半径は、外縦壁の曲率半径よりも大きくなるように形成されている。
このように構成された本発明においては、内縦壁の曲率半径は、外縦壁の曲率半径をオフセットせずに前端部の曲率半径が大きくなるように形成されているので、リム部の斜め前方部における内縦壁が外方側に拡がるように形成され、リム部の前端部における洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面の内側向きに流下してしまうこと、を抑制することができる。従って、リム吐水部から吐水された洗浄水がリム部に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水洗大便器によれば、リム部の前端部における洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができ、リム吐水部から吐水された洗浄水がリム部に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、
図1〜
図3を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器について説明する。
まず、
図1は本発明の一実施形態による水洗大便器の便器本体部分を斜め後方から見た状態を示す概略斜視図であり、
図2は
図1に示す本発明の一実施形態による水洗大便器の概略平面図であり、
図3は本発明の一実施形態による水洗大便器における左右方向の中央断面を左側から見た断面図であり、便蓋及び便座を下方位置まで回動させた状態を示す。以下、本発明の実施形態における説明において、便器本体2を使用する使用者側から見て手前側を前方側とし、使用者から見て奥側を後方側とし、便器本体2を前方(使用者側)から見て右側を右側とし、前方から見て左側を左側として説明している。
【0014】
図1〜
図3に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器1は、陶器製の便器本体2と、この便器本体2の上面に上下方向に回動可能に配置された便座4と、この便座4を覆うように上下方向に回動可能に配置された便蓋6と、便器本体2の後方に配置された機能部8とを備えている。
また、
図3に示すように、機能部8は、便器本体2の後方上部に配置されて、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄部として機能する衛生洗浄系機能部10と、この衛生洗浄系機能部10に近接して配置されて、便器本体2への給水機能に関与する給水系機能部12とを備えている。
【0015】
つぎに、
図1〜
図3に示すように、便器本体2は、ボウル形状の汚物受け面14と、この汚物受け面14の外縁の上方に立ち上がるリム部18とを備えたボウル部20を備えている。リム部18は、後述する
図4〜
図7においても示すように、そのリム部18の内周面がほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成されている。リム部18は、そのリム部の内周面の頂部を内側に大きく突出させるような一般的なオーバーハング形状を省略し、上方に向かってほぼ直線的に延びるようないわゆるオーバーハングの形状を省略したいわゆるフチなし形状を構成している。
また、
図3に示すように、便器本体2は、ボウル部20の下方に入口部22aが接続されて、ボウル部20内の汚物を排出する排水路である排水トラップ管路22を備えている。
汚物受け面14は、汚物受け面14の上部に周状(例えば一周にわたる帯状)に形成され且つリム吐水口26から吐水された洗浄水が周方向に導水されやすくなることによりボウル部20内に旋回流を形成させる導水路15を形成している。
【0016】
つぎに、
図2に示すように、ボウル部20は、便器本体2の前方から見てボウル部20の前方側領域内の右側のリム部18の内部には、リム吐水部の一部であるリム通水路24が形成されている。また、このリム通水路24の下流端には、リム吐水部の一部であるリム吐水口26が形成されている。
さらに、
図2に示すように、リム通水路24の上流側は、洗浄水源である水道(図示せず)から供給される洗浄水をリム通水路24に供給する導水管28に接続されている。この導水管28の上流側は、洗浄水源である水道(図示せず)に直結されており、この水道の給水圧力を利用して、導水管28からリム通水路24内に供給された洗浄水は、リム通水路24内で前方へ導かれ、その後、内側且つ後方側に屈曲し、下流側のリム吐水口26まで導かれるようになっている。
そして、リム吐水口26に導かれた洗浄水は、後方に向けて吐水(リム吐水)され、リム吐水口26の下流側近傍からボウル部20内を旋回することにより、ボウル部20内に旋回流が形成されるようになっている。
【0017】
なお、本実施形態の水洗大便器1においては、リム吐水部であるリム通水路24及びリム吐水口26について、便器本体2の前方から見てボウル部20の前方側領域内の右側のリム部18の内部に配置した形態について説明するが、このような形態に限定されず、リム吐水口を便器本体2の前方から見てボウル部20の前方側領域内の左側、又はボウル部20の後方側領域内の右側、又はボウル部20の後方側領域内の左側のリム部18に配置してもよい。例えば、リム吐水口は、ボウル部20の後方側領域内の左側のリム部18に配置され、前方側に向かって導水路上に吐水するように配置されてもよい。また、リム吐水部であるリム通水路24及びリム吐水口26については、本実施形態のボウル部20内の1か所に配置した形態に限られず、2カ所に配置されていてもよい。例えば、リム吐水口を、ボウル部20の後方側領域内の左側の第一リム吐水口と、ボウル部20の後方側領域内の右側の第二リム吐水口とにより形成してもよい。
また、本実施形態の水洗大便器1においては、リム吐水部であるリム通水路24及びリム吐水口26は、陶器を加工することで便器本体2に一体に形成されているが、例えば、樹脂等で便器本体2とは別体として形成し、樹脂等の通水路を便器本体2内に取り付ける構成としてもよい。
【0018】
さらに、
図2に示すように、ボウル部20の下部において、排水トラップ管路22の入口部22aに向けて差し向けられるように開口されたゼット吐水部33が形成されている。ゼット吐水部33は、ジェット噴流を吐水する吐水口部を形成している。ゼット吐水部33は、貯水タンク34(或いは給水源)とボウル部20の下部の流路とを接続するゼット導水路31の下流端部に形成されている。ゼット導水路31の上流側が加圧ポンプ36を介して貯水タンク34に接続されている。ゼット導水路31は、このような流路形状が陶器により形成されている。このゼット吐水部33による吐水(ジェット吐水)に関しては、給水系機能部12に設けられている貯水タンク34に貯水された洗浄水が、給水系機能部12の加圧ポンプ36によって加圧されて、ゼット吐水部33から吐出されるようになっている。
【0019】
また、ゼット吐水部33から吐出された洗浄水は、排水トラップ管路22の入口部22aから、この入口部22aの後方側の上昇管路22b内に流入した後、この上昇管路22b内を排水トラップ管路22の頂部22cから下降管路22dに流出するようになっている。
なお、ゼット導水路31に洗浄水を給水する給水源としては、貯水タンク34の他に、水道又は設備の給水圧力を利用する水道等であってもよい。給水系機能部12の加圧ポンプ36は省略されてもよい。例えば、水道直圧式の給水方式を採用する場合には、水道の給水圧力により加圧された水が供給されるため、加圧ポンプ36は省略されてもよい。
【0020】
ここで、衛生洗浄系機能部10及び給水系機能部12のそれぞれの具体的な構造については、従来のものと同様であるため、詳細な説明については省略するが、衛生洗浄系機能部10には、ボウル部20の上方の使用者に向けて洗浄水を噴射するノズル装置(図示せず)を含む局部洗浄装置(図示せず)が設けられている。
その他、衛生洗浄系機能部10には、局部洗浄装置(図示せず)に供給される洗浄水を貯水する貯水部(図示せず)、この貯水部(図示せず)内の洗浄水を適温に温めて温水にする加熱器(図示せず)、換気ファン(図示せず)、脱臭ファン(図示せず)、温風ファン(図示せず)、及び、これらの機器の作動を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
一方、給水系機能部12の給水路(図示せず)は、その上流側が給水源である水道(図示せず)に接続されており、貯水タンク(図示せず)の上流側の給水路には、定流量弁(図示せず)、電磁弁(図示せず)、貯水タンク(図示せず)への給水とリム吐水口26への吐水とを切り替える切替弁(図示せず)等が設けられている。また、給水系機能部12には、これら以外にも、電磁弁(図示せず)の開閉操作、切替弁(図示せず)の切替操作、及び、加圧ポンプ(図示せず)の回転数や作動時間等を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
【0021】
なお、本実施形態による水洗大便器1においては、リム吐水口26によるリム吐水について水道の給水圧力を利用して行い、ゼット吐水部33によるジェット吐水について加圧ポンプ(図示せず)を制御することにより貯水タンク(図示せず)内の洗浄水を供給する、いわゆる、ハイブリット式の水洗大便器の形態について説明するが、このような形態に限られず、他の形態についても適用可能である。すなわち、他の形態として、水道のみから直接的に供給される洗浄水について、バルブを切り替えることによってリム吐水口26によるリム吐水とゼット吐水部33によるジェット吐水とを切り替えるような形態であってもよいし、貯水タンク内の洗浄水について、ポンプの下流のバルブを切り替えることによって、リム吐水口26によるリム吐水とゼット吐水部33によるジェット吐水とを切り替えるような形態であってもよい。また、ゼット吐水部を備えない水洗大便器や、サイホン作用が発生しない洗い落とし式の水洗大便器に本発明を適用することもできる。
【0022】
つぎに、
図1乃至
図7を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器1のボウル部20のリム部18の詳細について説明する。
図4は
図2のIV−IV線に沿った断面図であり、
図5は
図2のV−V線に沿った断面図であり、
図6は
図2のVI−VI線に沿った断面図であり、
図7は
図2のVII−VII線に沿った断面図である。
【0023】
ボウル部20のリム部18は、リム部18の外側において縦方向に延びる外縦壁30と、リム部18の内側において外縦壁30から間隔を空けて縦方向に延びる内縦壁32と、を備えている。
【0024】
リム部18の外縦壁30は、便器本体2の外面を形成するように上下方向に延びている縦壁を形成している。リム部18の外縦壁30は、ボウル部20の前方側において便器本体2の後方から前方側に突出するような楕円形状を形成している。外縦壁30は、楕円形状の弧の少なくとも一部を形成している。より具体的には、リム部18の外縦壁30は、上面視においてリム部18の前端部18aから右側斜め前方部18bを通って右側側部18cまで、及び前端部18aから左側斜め前方部18dを通って左側側部18eまでの弧を合わせたような楕円形状を形成している。
【0025】
ここで、リム部18の前端部18aは、リム部18の前端部分をいい、例えばリム部18の前端側においてボウル部20のボウル開口を左右に概ね二等分する前後方向軸線A1と交差する部分の近傍部分をいう。リム部18の右側側部18cは、リム部18の右側における側方部分をいい、例えばリム部18の右側側方においてボウル部20のボウル開口を前後に概ね二等分する左右方向軸線A2と交差する部分の近傍部分をいう。リム部18の左側側部18eは、リム部18の左側における側方部分をいい、例えばリム部18の左側側方においてボウル部20のボウル開口を前後に概ね二等分する左右方向軸線A2と交差する部分の近傍部分をいう。
【0026】
リム部18の右側斜め前方部18bは、リム部18の右側における斜め前方部分をいい、例えばリム部18の前端部18aと右側側部18cとの間の中間部分をいう。また、別の言い方によれば、リム部18の右側斜め前方部18bは、前後方向軸線A1と左右方向軸線A2との交点を原点(中心点)Cとし、この原点Cを中心として、前後方向軸線A1に対して下流側且つ前後方向軸線A1からの中心角15度〜45度の範囲の領域Bにおいて形成されている。
また、リム部18の左側斜め前方部18dは、リム部18の左側における斜め前方部分をいい、例えばリム部18の前端部18aと左側側部18eとの間の中間部分をいう。また、別の言い方によれば、リム部18の左側斜め前方部18dは、前後方向軸線A1と左右方向軸線A2との交点を原点(中心点)Cとし、この原点Cを中心として、前後方向軸線A1に対して上流側且つ前後方向軸線A1からの中心角15度〜45度の範囲の領域Bにおいて形成されている。
【0027】
リム部18の内縦壁32は、ボウル部20の前方側において楕円形状を形成している。内縦壁32は、上面視において卵型の楕円形状を形成している。内縦壁32は、外縦壁30の内側において外縦壁30よりも一回り小さい楕円形状を形成している。内縦壁32は、楕円形状の弧の少なくとも一部を形成している。より具体的には、リム部18の内縦壁32は、上面視においてリム部18の前端部18aから右側斜め前方部18bを通って右側側部18cまで、及び前端部18aから左側斜め前方部18dを通って左側側部18eまでの弧を合わせたような楕円形状を形成している。内縦壁32は、上面視において前端部18a側にやや突出するような楕円形状を形成していることから、前端部18aから右側斜め前方部18b又は左側斜め前方部18dに至る内縦壁32の曲り角度が全周の他の領域よりも大きく(例えば曲率半径が全周の他の領域よりも小さく)なるように形成されている。
【0028】
図4乃至
図7に示すように、内縦壁32は、その基部32a及び頂部32bが外縦壁30とは、独立して且つ離間して形成された縦壁を形成している。内縦壁32の基部32aと、外縦壁30とは横方向に延びるリム下方接続部38により接続されている。また、内縦壁32の頂部32bと、外縦壁30とは横方向に延びるリム上方接続部40により接続されている。
内縦壁32は、上面視において、リム部18の全周のうち、少なくとも前端部18a及び右側側部18c及び左側側部18eにおいては、外縦壁30とほぼ平行に形成されている。また、内縦壁32及び外縦壁30は、上面視において、リム部18の全周のうち、少なくとも右側側部18c及び左側側部18eにおいては、前後方向軸線A1に対して右側部分と左側部分とが概ね左右対称となるように形成されている。また、内縦壁32及び外縦壁30は、上面視において、リム部18の全周のうち、少なくとも右側側部18c及び左側側部18eにおいては、前後方向軸線A1に対して右側部分と左側部分とが概ね左右対称となるように形成されている。
なお、上面視において、リム部18のうち、例えば右側側部18cと左側側部18eと、及び/又は、左側斜め前方部18dと右側斜め前方部18bとにおける内縦壁32及び外縦壁30が、前後方向軸線A1に対して左右非対称となるように形成されていてもよい。
【0029】
図2及び
図4に示すように、前端部18aにおいて、内縦壁32の上面視における曲率半径R1は、外縦壁30の上面視における曲率半径R2より大きくなるように形成されている。(なお、
図4に示すR1、R2は上面視における曲率半径を示すものである。)リム部18の左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bにおいて、内縦壁32の曲率半径R1と、外縦壁30の曲率半径R2との比は、1:2〜2:1の範囲とされている。
【0030】
従来の水洗大便器においてはリム部18の前端部18、左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bに該当する領域は、楕円形のリム部18の旋回方向の曲りがきつく(急激に)なりやすく、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面の内側向きに流下してしまうこと、が発生しやすい領域となっていた。これに対し、本発明においては、リム部18の左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bにおいて、リム部18の内縦壁32の曲率半径R1が比較的大きくされ、旋回方向の湾曲が緩やかに形成されているので、旋回流がリム部18に沿って流れやすくなっている。従って、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合や水勢が弱い場合においても、洗浄水をリム部18に沿って旋回させやすくすることができる。また、リム部18の左側斜め前方部18dと右側斜め前方部18bとの間の便器本体2の左右方向の横幅が広げられるように形成されている。
【0031】
内縦壁32は、汚物受け面14の上縁に接続された基部32aから上方に立ち上がる縦壁を形成している。内縦壁32は、平坦な壁面に限られず、複数の平面が接合された壁面であってもよく、また、湾曲された曲面を含んでいてもよい。内縦壁32の上部の上部内縦壁32cは、リム部18の前端部18aから左右の斜め前方部(左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18b)にかけて縦壁の鉛直線V(鉛直方向の線)からの傾斜が大きくなり、且つ上記リム部18の左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bから左側側部18e及び右側側部18cにかけて縦壁の鉛直線Vからの傾斜が小さくなるように形成されている。
【0032】
内縦壁32の上部内縦壁32cは、リム部18の前端部18aにおいては、鉛直線Vからの傾斜角度がα1度となるように形成されている。リム部18の前端部18aの内縦壁32の傾斜角度α1は、−5度〜10度の範囲とされている(なお、本明細書においては、ボウル部20の上方に向かって内方に傾いた傾斜角度を正の傾斜角度、外方に傾いた傾斜角度を負の傾斜角度としている。即ち、傾斜角度=0(鉛直)は負の傾斜角度よりもボウル部の内方側に向いており、正の傾斜角度は傾斜角度=0よりもボウル部の内方側に向いている。)。内縦壁32又は上部内縦壁32cの傾斜角度は、縦壁の中央近傍の接線の角度又は縦壁の上端と下端とを結ぶ線の角度等により規定されることができる。
内縦壁32の上部内縦壁32cは、リム部18の右側斜め前方部18bにおいては、鉛直線Vからの傾斜角度がα2度となるように形成されている。リム部18の右側斜め前方部18bの内縦壁32の傾斜角度α2は、−4度〜25度の範囲とされている。内縦壁32の上部内縦壁32cは、リム部18の右側側部18cにおいては、鉛直線Vからの傾斜角度がα3度となるように形成されている。リム部18の右側側部18cの内縦壁32の傾斜角度α3は、−5度〜20度の範囲とされている。
内縦壁32及び外縦壁30は、上面視において、左側斜め前方部18dと右側斜め前方部18bと、及び右側側部18cと左側側部18eとに関して、前後方向軸線A1に対して右側部分と左側部分とが概ね左右対称となるように形成されている。従って、内縦壁32の上部内縦壁32cは、リム部18の左側斜め前方部18dにおいては、鉛直線Vからの傾斜角度がα2度となるように形成されている。内縦壁32の上部内縦壁32cは、リム部18の左側側部18eにおいては、鉛直線Vからの傾斜角度がα3度となるように形成されている。なお、内縦壁32の上部内縦壁32cは、リム部18のリム吐水口26の近傍においては、鉛直線Vからの傾斜角度がα4度となるように形成されている。リム部18のリム吐水口26の近傍の内縦壁32の傾斜角度α4は、−5度〜10度の範囲とされている。
【0033】
ここで、リム部18の前端部18aの内縦壁32の上部内縦壁32cの傾斜角度α1とリム部18の右側斜め前方部18bの内縦壁32の上部内縦壁32cの傾斜角度α2との角度の差(α2−α1)は、1度〜30度の範囲とされている。また、リム部18の右側側部18cの内縦壁32の上部内縦壁32cの傾斜角度α3とリム部18の右側斜め前方部18bの内縦壁32の上部内縦壁32cの傾斜角度α2との角度の差(α2−α3)は、1度〜30度の範囲とされている。また、リム部18のリム吐水口26の近傍の内縦壁32の傾斜角度α4とリム部18の右側斜め前方部18bの内縦壁32の上部内縦壁32cの傾斜角度α2との角度の差(α2−α4)は、1度〜30度の範囲とされている。
【0034】
内縦壁32の上部内縦壁32cは、前端部18aにおいて、上部内縦壁32cの頂部32bがその上部内縦壁基部32dに対して内側向きにL1mmの長さだけ突出するように形成されている。また、内縦壁32の上部内縦壁32cは、左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bにおいて、上部内縦壁32cの頂部32bがその上部内縦壁基部32dに対して内側向きにL2mmの長さだけ突出するように形成されている。また、内縦壁32の上部内縦壁32cは、左側側部18e及び右側側部18cにおいて、上部内縦壁32cの頂部32bがその上部内縦壁基部32dに対して内側向きにL3mmの長さだけ突出するように形成されている。また、内縦壁32の上部内縦壁32cは、リム吐水口26の近傍においては、上部内縦壁32cの頂部32bがその上部内縦壁基部32dに対して内側向きにL4mmの長さだけ突出するように形成されている。左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bにおける上部内縦壁32cの頂部32bの突出長さL2は、前端部18aにおける上部内縦壁32cの頂部32bの突出長さL1より大きくなるように形成されている。また、左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bにおける上部内縦壁32cの頂部32bの突出長さL2は、リム吐水口26の近傍における上部内縦壁32cの頂部32bの突出長さL4及び、左側側部18e及び右側側部18cにおける上部内縦壁32cの頂部32bの突出長さL3より大きくなるように形成されている。
【0035】
さらに、リム部18は、リム部18の左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bにおける外縦壁30と内縦壁32の上部内縦壁32cとの間の幅W2が、リム部18の前端部18aにおける外縦壁30と内縦壁32の上部内縦壁32cとの間の幅W1よりも小さくなるように形成されている。また、リム部18は、リム部18の左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bにおける外縦壁30と内縦壁32との間の幅W2が、リム部18のリム吐水口26の近傍における外縦壁30と内縦壁32の上部内縦壁32cとの間の幅W4よりも小さくなるように形成されている。また、リム部18は、リム部18の左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bにおける外縦壁30と内縦壁32の上部内縦壁32cとの間の幅W2が、リム部18の右側側部18c及び左側側部18eにおける外縦壁30と内縦壁32との間の幅W3よりも小さくなるように形成されている。
ここで、リム部18の前端部18aの幅W1とリム部18の右側斜め前方部18b及び左側斜め前方部18dの幅W2との幅の差(W1−W2)は、0mm〜10mmの範囲とされている。また、リム部18の右側側部18c及び左側側部18eの幅W3とリム部18の右側斜め前方部18b及び左側斜め前方部18dの幅W2との幅の差(W3−W2)は、0mm〜10mmの範囲とされている。また、リム部18のリム吐水口26の近傍の幅W4とリム部18の右側斜め前方部18b及び左側斜め前方部18dの幅W2との幅の差(W4−W2)は、0mm〜10mmの範囲とされている。
【0036】
つぎに、
図1〜
図7を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器の動作(作用)について説明する。
使用者が、便器使用後に、例えば、大洗浄用の操作ボタン(図示せず)を押すと、この操作ボタン(図示せず)からの信号がコントローラ(図示せず)に送信され、水洗大便器1の大洗浄用の洗浄動作が開始される。
使用者が操作ボタン(図示せず)を操作すると、コントローラは洗浄水を水道等の給水源から導水管28、リム通水路24を通過させ、リム吐水口26から吐出させる。
【0037】
リム吐水口26から吐出される洗浄水は、矢印F1に示すように、リム吐水口26から導水路15上に吐水される。矢印F2に示すように、リム吐水口26から吐水された洗浄水は、導水路15上を周回するような向き(リム部18内を内縦壁32に沿うように一周するような向き)で導水路15上に周回流(旋回流)を形成する。このような周回流は、リム部18の内縦壁32の内周に沿う流れとして形成される。矢印F3に示すように、洗浄水が導水路15上の周回流から徐々に内側の汚物受け面14に流下することにより、汚物受け面14の中心に向かって螺旋状に集束するような旋回流を形成することができる。
【0038】
矢印F4に示すように、内縦壁32に沿うように流れる洗浄水が、左側側部18eから左側斜め前方部18dに流れるときは、左側側部18eの内縦壁32の鉛直方向からの傾斜よりも左側斜め前方部18dの内縦壁32の鉛直方向からの傾斜が大きくなるように形成されている。従って、左側斜め前方部18dにおいて内縦壁32の下部が外方側に拡がるように形成され、左側側部18eから左側斜め前方部18dにかけてのリム部18の内縦壁32の曲りの曲率半径を比較的大きくすることができ、且つ左側斜め前方部18dにおける洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、内縦壁32に沿って流れる洗浄水が、導水路15及び内縦壁32の急な曲りにより、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体2外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面14中心側に流下してしまうこと、を抑制することができ、リム吐水口26から吐水された洗浄水がリム部18に沿って周回しやすくなり、洗浄水の旋回性能を向上させることができる。洗浄水の旋回性能が向上されることにより、洗浄水が汚物受け面14を旋回するように洗浄することができるため、汚物受け面14の洗浄能力が向上されることができる。ひいては便器本体2の汚物の排出性能が向上される。
【0039】
内縦壁32に沿って流れる洗浄水が、左側斜め前方部18dから前端部18aに流れるときは、前端部18aの内縦壁32の鉛直方向からの傾斜よりも左側斜め前方部18dの内縦壁32の鉛直方向からの傾斜が大きくなるように形成されているので、左側斜め前方部18dにおいて内縦壁32の下部が外方側に拡がるように形成され、左側斜め前方部18dから前端部18aにかけてのリム部18の内縦壁32の曲りの曲率半径を比較的大きくすることができ、且つ左側斜め前方部18dにおける洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、内縦壁32に沿って流れる洗浄水が、導水路15及び内縦壁32の急な曲りにより、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体2外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面14中心側に流下してしまうこと、を抑制することができ、リム吐水口26から吐水された洗浄水がリム部18に沿って周回しやすくなり、洗浄水の旋回性能を向上させることができる。
【0040】
矢印F5に示すように、内縦壁32に沿って流れる洗浄水は、前端部18a近傍を通過して右側斜め前方部18bに向かって流れる。
矢印F6に示すように、内縦壁32に沿って流れる洗浄水が、前端部18aから右側斜め前方部18bに流れるときは、前端部18aの内縦壁32の鉛直方向からの傾斜よりも右側斜め前方部18bの内縦壁32の鉛直方向からの傾斜が大きくなるように形成されている。従って、右側斜め前方部18bにおいて内縦壁32の下部が外方側に拡がるように形成され、前端部18aから右側斜め前方部18bにかけての内縦壁32の曲りの曲率半径を比較的大きくすることができ、且つ右側斜め前方部18bにおける洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、内縦壁32に沿って流れる洗浄水が、導水路15及び内縦壁32の急な曲りにより、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体2外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面14の中心側に流下してしまうこと、を抑制することができ、リム吐水口26から吐水された洗浄水がリム部18の内縦壁32に沿って周回しやすくなり、洗浄水の旋回性能を向上させることができる。洗浄水の旋回性能が向上されることにより、洗浄水が汚物受け面14を旋回するように洗浄することができるため、汚物受け面14の洗浄能力が向上されることができる。ひいては便器本体2の汚物の排出性能が向上される。
【0041】
さらに、矢印F7に示すように、内縦壁32に沿って流れる洗浄水が、右側斜め前方部18bから右側側部18cに流れるときは、右側側部18cの内縦壁32の鉛直方向からの傾斜よりも右側斜め前方部18bの内縦壁32の鉛直方向からの傾斜が大きくなるように形成されているので、右側斜め前方部18bにおいて内縦壁32の下部が外方側に拡がるように形成され、右側斜め前方部18bから右側側部18cにかけてのリム部18の内縦壁32の曲りの曲率半径を比較的大きくすることができ、且つ右側斜め前方部18bにおける洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、内縦壁32に沿って流れる洗浄水が、導水路15及び内縦壁32の急な曲りにより、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体2外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面14の中心側に流下してしまうこと、を抑制することができ、リム吐水口26から吐水された洗浄水がリム部18に沿って周回しやすくなり、洗浄水の旋回性能を向上させることができる。洗浄水の旋回性能が向上されることにより、洗浄水が汚物受け面14を旋回するように洗浄することができるため、汚物受け面14の洗浄能力が向上されることができる。ひいては便器本体2の汚物の排出性能が向上される。
【0042】
洗浄水は、内縦壁32に沿って周回しようとする中で、徐々に内側の汚物受け面14に流下し、汚物受け面14の中心に向かって集束するような旋回流を形成する。汚物受け面14を流下した洗浄水は、溜水部17に流下され、排水トラップ管路22内に流入する。前後して、コントローラにより作動された加圧ポンプ36によりゼット吐水部33から吐出された洗浄水が排水トラップ管路22内に流入し、排水トラップ管路22を満水にしてサイホン現象を引き起こす。このサイホン現象により、ボウル部20内の溜水及び汚物は、排水トラップ管路22に吸引され、下流側の排水管(図示せず)から排出される。
便器本体2に洗浄水が供給されてから所定時間経過後、コントローラ(図示せず)は、リム吐水口26からの吐水を終了させ、加圧ポンプ36の作動を停止させ、ゼット吐水部33からの吐水も停止させ、一連の洗浄動作が終了する。
【0043】
つぎに、上述した本発明の一実施形態による水洗大便器1における作用について説明する。
まず、本実施形態による水洗大便器1によれば、内縦壁32は、リム部18の前端部18aから左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにかけて縦壁の鉛直方向からの傾斜が大きくなり(内縦壁32の傾斜が、前端部18aよりも左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bの方がボウル部20の内方側に向いている)、且つリム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bから左側側部18e及び/又は右側側部18cにかけて縦壁の鉛直方向からの傾斜が小さくなる(内縦壁32の傾斜が、左側斜め前方部18d及び右側斜め前方部18bよりも左側側部18e及び右側側部18cの方が夫々ボウル部20の外方側に向いている)ように形成されているので、リム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにおいて内縦壁32の下部が外方側に拡がるように形成され、リム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにおける洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体2外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面14の内側向きに流下してしまうこと、を抑制することができる。従って、リム吐水口26から吐水された洗浄水がリム部18に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる。
【0044】
つぎに、本実施形態による水洗大便器1によれば、リム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにおける外縦壁30と内縦壁32との間の幅W2が前端部18a及び左側側部18e及び/又は右側側部18cにおけるこれらの幅(W1,W3)よりも小さくなるように形成されているので、リム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにおける内縦壁32が外方側に拡がるように形成され、リム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにおける洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体2外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面14の内側向きに流下してしまうこと、を抑制することができる。従って、リム吐水口26から吐水された洗浄水がリム部18に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる。
また、リム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにおける外縦壁30と内縦壁32との間の幅を小さく形成することにより、ボウル部20の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bを広く見せることができ、使用者が安心して且つ清潔に水洗大便器1を使用することができる。
【0045】
また、本実施形態による水洗大便器1によれば、内縦壁32の上面視における曲率半径R1は、リム部18の前端部18aにおいて、外縦壁30の上面視における曲率半径R2より大きくなるように形成されているので、リム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにおける内縦壁32が外方側に拡がるように形成され、リム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにおける洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体2外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面14の内側向きに流下してしまうこと、を抑制することができる。従って、リム吐水口26から吐水された洗浄水がリム部18に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる
また、内縦壁32の曲率半径R1を外縦壁30の曲率半径R2より大きくなるように形成することにより、ボウル部20の左右の斜め前方部を広く見せることができ、使用者が安心して且つ清潔に水洗大便器1を使用することができる。
【0046】
さらに、本実施形態による水洗大便器1によれば、リム部18の前端部18aにおいて、内縦壁32の曲率半径R1は、所定の比の範囲において、外縦壁30の曲率半径R2より大きくなるように形成されているので、リム部18の左右の斜め前方部における内縦壁32が外方側に拡がるように形成され、リム部18の左側斜め前方部18d及び/又は右側斜め前方部18bにおける洗浄水の旋回方向の曲りを比較的緩やかにすることができる。よって、洗浄水の旋回方向の水勢が強い場合には洗浄水が便器本体2外に流出又は飛散すること、又は水勢が弱い場合には洗浄水が曲りに沿って汚物受け面14の内側向きに流下してしまうこと、を抑制することができる。従って、リム吐水口26から吐水された洗浄水がリム部18に沿って流れるときの洗浄水の旋回性能を向上させることができる。
また、内縦壁32の曲率半径R1を、所定の比の範囲において、外縦壁30の曲率半径R2より大きくなるように形成することにより、ボウル部20の左右の斜め前方部を広く見せることができ、使用者が安心して且つ清潔に水洗大便器1を使用することができる。