(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1キャパシタ層と、第2キャパシタ層と、前記第1キャパシタ層及び前記第2キャパシタ層の間に位置する少なくとも1つの中間キャパシタ層と、を備えたキャパシタであって、
前記第1キャパシタ層は、
互いに対向する第1主面及び第2主面を有し、トレンチ部を有する第1トレンチ構造が前記第2主面に設けられた第1基板と、
第1基板の第1主面側に設けられた第1電極と、
前記第1基板の第2主面側において前記第1トレンチ構造の前記トレンチ部を含む領域に設けられた第2電極と、を備え、
前記第2キャパシタ層は、
互いに対向する第3主面及び第4主面を有し、トレンチ部を有する第2トレンチ構造が前記第3主面に設けられた第2基板と、
前記第2基板の第3主面側において前記第2トレンチ構造の前記トレンチ部を含む領域に設けられた第3電極と、
前記第2基板の第4主面側に設けられた第4電極と、を備え、
前記中間キャパシタ層は、
互いに対向する第5主面及び第6主面を有し、トレンチ部を有する第3トレンチ構造が前記第5主面に設けられ、トレンチ部を有する第4トレンチ構造が前記第6主面に設けられた第3基板と、
前記第3基板の第5主面側において前記第3トレンチ構造の前記トレンチ部を含む領域に設けられた第5電極と、
前記第3基板の第6主面側において前記第4トレンチ構造の前記トレンチ部を含む領域に設けられた第6電極と、を備え、
前記第1キャパシタ層と前記中間キャパシタ層は、前記第1トレンチ構造と前記第3トレンチ構造が互いに向き合うように配置され、
前記第2キャパシタ層と前記中間キャパシタ層は、前記第2トレンチ構造と前記第4トレンチ構造が互いに向き合うように配置され、
前記第1キャパシタ層は、前記第1基板と前記第2電極との間に位置するとともに前記トレンチ部を含む領域に設けられた誘電膜をさらに備え、
前記第1キャパシタ層は、前記第2電極に電気的に接続された接続電極をさらに有し、
前記第2キャパシタ層は、前記第3電極に電気的に接続された接続電極をさらに有し、
前記中間キャパシタ層は、前記第5電極に電気的に接続された接続電極と、前記第6電極に電気的に接続された接続電極とをさらに有し、
前記第2電極と前記第5電極が、それぞれに電気的に接続された接続電極によって、互いに電気的に接続され、
前記第3電極と前記第6電極が、それぞれに電気的に接続された接続電極によって、互いに電気的に接続され、
前記第1キャパシタ層の前記接続電極は、前記第2主面の法線方向から平面視したときに、少なくとも一部が前記第1トレンチ構造の領域よりも外側に前記第1トレンチ構造の領域を囲むように配置され、前記第1電極と前記第2電極とが重なる領域に配置され且つ前記トレンチ部を避ける、キャパシタ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。同様の構成については説明を省略する。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0013】
以下の説明において、第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは例えば互いに直交する方向であるが、互いに交差する方向であれば特に限定されるものではなく、互いに直角以外の角度で交差する方向であってもよい。なお、本願明細書において、主面とは、第1方向X及び第2方向Yによって特定される面(以下、XY面と呼ぶ。)と平行な面であるものとする。
【0014】
<第1実施形態>
図1〜
図4を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るキャパシタ100の構成について説明する。このとき、
図1は、本発明の第1実施形態に係るキャパシタが実装された電子機器を概略的に示す断面図である。
図2は、第1実施形態に係るキャパシタの構成を概略的に示す断面図である。
図3は、第1実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層の構成を概略的に示す断面図である。
図4は、第1実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層の構成を概略的に示す平面図である。
【0015】
電子機器1は、ベース部材20と、キャパシタ100と、電子部品30とを備えている。キャパシタ100は、ベース部材20の上に配置され、接合部材21によってベース部材20と電気的に接続されている。電子部品30は、キャパシタ100と並ぶようにベース部材20の上に配置され、接合部材22によってベース部材20と電気的に接続されている。キャパシタ100及び電子部品30は、ベース部材20と対向する側とは反対側で、互いにワイヤ40によってボンディングされている。キャパシタ100とワイヤ40との接合点41は、位置を特に限定されるものではない。
【0016】
キャパシタ100は、第3方向Zで重畳する第1キャパシタ層101及び第2キャパシタ層103を備えている。第1キャパシタ層101は、第2キャパシタ層103よりもベース部材20に近い側に位置する。
【0017】
まずは、第1キャパシタ層101の構造について説明する。第1キャパシタ層101は、第1基板110、第1電極115、第1誘電膜112、第2誘電膜117、第2電極119、及び保護絶縁膜123を備えている。
【0018】
第1基板110は、第3方向Zで互いに対向する第1主面110A及び第2主面110Bを備えている。第1主面110Aは、ベース部材20と対向する側に位置し、平面状に形成されている。第2主面110Bは、第2キャパシタ層103と対向する側に位置し、中央部に第1トレンチ構造125が形成されている。第1基板110は、例えば、シリコン基板111を有している。
【0019】
シリコン基板111は、第1主面110Aを形成している。シリコン基板111は、Si(シリコン)系の材料によって形成されている。例えば、シリコン基板111は、導電性を有するn型Si又はp型Siによって形成されている。シリコン基板111が導電性を有する場合、シリコン基板111が後述する第1電極115の機能を兼ねることができる。例えば、シリコン基板111の厚さは680μm程度である。
【0020】
第1基板110は、シリコン基板111に材料が限定されるものではく、例えば、シリコン酸化物からなる絶縁性基板や、シリコン系以外の導電性基板等によって形成されていてもよい。また、第1基板110は単層構造に限定されるものではなく、2層以上の多層構造でもよい。
【0021】
第1トレンチ構造125は、シリコン基板111に対して第3方向Zに形成された、少なくとも1つの溝(トレンチ部126)を有している。
図3に示した例では、第1トレンチ構造125は、第1方向Xに並ぶ4つのトレンチ部126と、トレンチ部126の間に位置する3つの領域128とを有している。トレンチ部126の数は、上記したものに限定されるものではなく、5つ以上でもよく、3つ以下でもよい。また、
図4に示すように、トレンチ部126は、例えば、第2方向Yに沿って形成されている。なお、第1トレンチ構造125のトレンチ部126の形状や配置は特に限定されるものではなく、例えば、より単位面積当たりの容量密度を高めるため、円柱状のトレンチ部が、第2主面110Bの法線方向から平面視したときに第1方向X及び第2方向Yにマトリクスに並んでいてもよい。
【0022】
第1誘電膜112は、シリコン基板111の第2電極119側の表面を覆い、第2主面110Bを成形している。第1誘電膜112は、例えば、絶縁性を有するシリコン酸化物(例えば、SiO
2)によって形成されている。第1誘電膜112は、シリコン基板111を熱酸化等の手法によって酸化されることで形成される。この第1誘電膜112は、第2電極119のある領域において、第2誘電膜117とともにキャパシタの誘電体としての機能を果たす。例えば、第1誘電膜112の厚さは0.3μm程度である。
【0023】
第1誘電膜112は、第1トレンチ構造125に沿って配置され、トレンチ部126の内部にも形成されている。第1トレンチ構造125のトレンチ部126は、例えば、シリコン基板111をドライエッチングすることで形成される。
図3に示すように、トレンチ部126の第3方向Zの深さD1は、例えば、10μm以上50μm以下である。トレンチ部126の第1方向Xの幅W2は、例えば5μm程度であり、トレンチ部126間の領域128の第1方向Xの幅W3は、例えば3μm程度である。
【0024】
第2誘電膜117は、第2主面110B上(第1誘電膜112の第2キャパシタ層103と対向する側)及び第1トレンチ構造125のトレンチ部126内に設けられ、第1基板110と第2電極119との間に設けられている。第2誘電膜117は、第2主面110Bの法線方向(第3方向Zの正方向側)から平面視したときに第1トレンチ構造125の外側まで延在している。第1トレンチ構造125の端部から第2誘電膜117の端部までの第1方向Xの幅W1は、例えば、50μm以上200μm以下である。第2誘電膜117の厚さは、例えば1μm程度である。第2誘電膜117は、シリコン酸窒化物(SiON)やシリコン窒化物(Si
3N
4)等の誘電体材料によって形成されている。第2誘電膜117は、例えばCVD(化学気相堆積法)などで形成される。また、第2誘電膜117は、第1基板110に含まれる材料よりも誘電率が高い誘電体によって形成されると、より容量密度を高めることができる。第2誘電膜117は、単層だけでなく、複数の誘電体による積層構造でもよい。こうすることにより、より任意の容量や耐圧設計が可能になる。
【0025】
第1電極115は、第1主面110Aを覆っており、接合部材21に電気的に接続されている。第1電極115は、例えば、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、Au(金)、W(タングステン)、Pt(プラチナ)、Ti(チタン)、等の金属材料によって形成されている。これら金属材料は、スパッタ法や真空蒸着法などで形成される。なお、第1電極115の材料は、導電性材料であれば金属材料に限定されるものではなく、導電性樹脂等で形成されてもよい。第1電極115は、必ずしも第1主面110Aの全面に形成される必要はなく、少なくとも、第2電極119と第3方向Zで対向する領域に形成されていればよい。
【0026】
第2電極119は、第2誘電膜117上(第2誘電膜117の第2キャパシタ層103と対向する側)及び第1トレンチ構造125のトレンチ部126内に設けられている。また、第2電極119は、第2主面110Bの法線方向から平面視したときに第1トレンチ構造125の外側まで延在している。第2電極119は、第1電極115から電気的に離れており、第3方向Zで第1電極115と対向している。
【0027】
第2電極119は、第1導電膜120及び第2導電膜121を有している。第1導電膜120は、第2誘電膜117上(第2誘電膜117の第2キャパシタ層103と対向する側)及び第1トレンチ構造125のトレンチ部126内に設けられている。第2導電膜121は、第1導電膜120上(第1導電膜120の第2キャパシタ層103と対向する側)に設けられている。
【0028】
第1導電膜120は、例えばp型又はn型の多結晶Si(ポリシリコン)等の導電性材料によって形成される。第1導電膜120は第2誘電膜と接触している。第1導電膜120の厚さは、例えば0.5μm程度である。なお、第2誘電膜117と第2導電膜との密着性が充分に高く、トレンチ部126内の第2誘電膜にも高い被覆率で形成することができる場合は、第1導電膜120が省略されて、第2導電膜121が第2誘電膜117の上に直接設けられてもよい。
【0029】
第2導電膜121は、例えば、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、Au(金)、W(タングステン)、Pt(プラチナ)、Ti(チタン)等の金属材料によって形成されている。なお、第2導電膜121の材料は、導電性材料であれば金属材料に限定されるものではなく、導電性樹脂等で形成されてもよい。
【0030】
保護絶縁膜123は、第2電極119を覆っている。また、保護絶縁膜123は、第2誘電膜117、及びその端部を覆っていることが望ましく、第2主面110Bの第2誘電膜117に覆われていない部分を覆っていることが望ましい。保護絶縁膜123は、第2誘電膜117よりも誘電率が低くてもよく、高くてもよい。保護絶縁膜123は、第2誘電膜117が第1基板110に対して引張応力を有している場合に、第1基板110に対して圧縮応力を有することが望ましい。つまり、保護絶縁膜123は、第1基板110に対する第2誘電膜117の応力を緩和するような応力を有することが望ましい。保護絶縁膜123は、例えば、ポリイミド等を用いて形成され、厚さが30μm程度である。
【0031】
接続電極124は、保護絶縁膜123を第3方向Zに貫通するように設けられており、第2電極119と電気的に接続している。接続電極124は、第2主面110Bの法線方向から平面視したときに、第1トレンチ構造125から離れ、第2電極119と重なっている。
図4に示すように、接続電極124は、例えば、第1トレンチ構造125の外側に位置するように、矩形状に形成されている。
【0032】
次に、第2キャパシタ層103の構造について説明する。第2キャパシタ層103は、第1キャパシタ層101と上下(第3方向Z)対称な構造であり、第1キャパシタ層101及び第2キャパシタ層103は、第1トレンチ構造125及び第2トレンチ構造145が対向するように重ねられている。
【0033】
第2キャパシタ層103は、第2基板130、第3電極139、第3誘電膜132、第4誘電膜137、保護絶縁膜143、及び第4電極135を備えている。第2キャパシタ層103の各部において、第1キャパシタ層101の各部と同様の構成については、その旨を記載し、適宜説明を省略する。
【0034】
第2基板130は、第3方向Zで互いに対向する第3主面130A及び第4主面130Bを備えている。第3主面130Aは、第1キャパシタ層101と対向する側に位置し、中央部に第2トレンチ構造145が形成されている。第4主面130Bは、ワイヤ40に対向する側に位置し、平面状に形成されている。第2トレンチ構造145は、第1トレンチ構造125と同様の構成である。
【0035】
第2基板130は、シリコン基板131を有している。シリコン基板131は、第4主面130Bを形成している。第3誘電膜132は、第3主面130Aを形成している。シリコン基板131及び第3誘電膜132は、それぞれ、シリコン基板111及び第1誘電膜112と同様の構成である。
【0036】
第4電極135は、第4主面130Bを覆っており、ワイヤ40に電気的に接続されている。第4電極135は、ワイヤ40に対するキャパシタ100のボンディングパッドに相当する。第4電極135は、第1電極115と同様の構成である。第4電極135上に設けられるワイヤ40との接合点41は、その位置を限定されるものではなく、第1トレンチ構造125及び第2トレンチ構造145と第3方向Zで対向するように位置してもよい。
【0037】
第4誘電膜137は、第3主面130A下(第3誘電膜132の第1キャパシタ層101と対向する側)及び第2トレンチ構造145のトレンチ部内に設けられ、第2基板130と第3電極139との間に設けられている。第4誘電膜137は、第3主面130Aの法線方向(第3方向Zの負方向側)から平面視したときに第2トレンチ構造145の外側まで延在している。第4誘電膜137は、第2誘電膜117と同様の構成である。
【0038】
第3電極139は、第4誘電膜137下(第4誘電膜137の第1キャパシタ層101と対向する側)及び第2トレンチ構造145のトレンチ部内に設けられている。また、第
3電極1
39は、第3主面130Aの法線方向から平面視したときに第2トレンチ構造145の外側まで延在している。第
3電極1
39は、第
4電極1
35から電気的に離れており、第3方向Zで第
4電極1
35と対向している。
【0039】
第3電極139は、第3導電膜140及び第4導電膜141を有している。第3導電膜140は、第4誘電膜137上(第4誘電膜137の第1キャパシタ層101と対向する側)及び第2トレンチ構造145のトレンチ部内に設けられている。第2導電膜121は、第1導電膜120上(第1導電膜120の第2キャパシタ層103と対向する側)に設けられている。第3導電膜140及び第4導電膜141は、それぞれ、第1導電膜120及び第2導電膜121と同様の構成である。
【0040】
保護絶縁膜143は、第3電極139を覆っている。また、保護絶縁膜143は、第4誘電膜137、及びその端部を覆っていることが望ましく、第3主面130Aの第4誘電膜137に覆われていない部分を覆っていることが望ましい。保護絶縁膜143は、保護絶縁膜123と同様の構成である。
【0041】
接続電極144は、保護絶縁膜143を第3方向Zに貫通するように設けられており、第3電極139と電気的に接続している。接続電極144は、第3主面130Aの法線方向から平面視したときに、第2トレンチ構造145から離れている。接続電極144は、接続電極124と同様の構成である。
【0042】
接続電極124及び接続電極144は、ろう部材102によって電気的に接続されている。つまり、第2電極119及び第3電極139は電気的に接続される。また、第1キャパシタ層101及び第2キャパシタ層103は、ろう部材102によって互いに固定されている。ろう部材102は、接続電極124及び接続電極144の突出部分を囲むようにフィレット形状で形成されている。これによって、接続電極124及び接続電極144の接合強度及び導電性を向上させている。なお、ろう部材102は、接続電極124及び接続電極144を互いにはんだ付けする場合に用いられる部材であるが、接続電極124及び接続電極144の接合ははんだ付けに限定されるものではない。例えば、接続電極124及び接続電極144は導電性接着剤(粘着剤)によって接合されてもよく、溶接等によって直接接合されてもよい。
【0043】
以上、第1実施形態として、第1キャパシタ層101の第2主面110B及び第2キャパシタ層103の第3主面130Aの両方に、向かい合うようにトレンチ構造が形成されたキャパシタ1の構成について説明した。しかし、本発明の実施形態に係るキャパシタは、上記の構成に限定されるものではなく、第2主面及び第3主面のうち少なくとも一方の主面にトレンチ構造が形成されていればよい。例えば、キャパシタは、第1キャパシタ層の第2主面にトレンチ構造が形成され、第2キャパシタ層の第3主面が平坦に形成されてもよい。つまり、キャパシタは、トレンチ型の第1キャパシタ層と、第1キャパシタ層のトレンチ構造を覆うように配置されたプレーナ型の第2キャパシタ層と、を備えたものであってもよい。なお、プレーナ型のキャパシタとは、容量を形成する一対の電極が両方とも平板状に設けられたキャパシタである。このとき、第2キャパシタ層は、ダイオードやトランジスタなどの半導体素子の一部、例えば空乏層領域、を利用して設けることができる。なお、キャパシタは、第2キャパシタ層の第3主面にトレンチ構造が形成され、第1キャパシタ層の第2主面が平坦に形成されてもよい。
【0044】
以下において、第1実施形態以外の実施形態について、
図5〜
図11を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の説明において参照される図面は、第1実施形態の説明において参照した図面と同一又は類似の構成についての図示を適宜省略している。また、以下の実施形態の説明について、第1実施形態と同一又は類似の構成についての説明を省略している。
【0045】
<第2実施形態>
次に、
図5を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層201の構成について説明する。
図5は、第2実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層の構成を概略的に示す平面図である。
【0046】
第2実施形態の第1キャパシタ層201は、第2主面210Bの法線方向から平面視したときに、接続電極224が第1トレンチ構造225を囲むように複数の島状に形成されている点で、
図4に示した第1実施形態の第1キャパシタ層101と相違している。具体的には、接続電極224は、第1トレンチ構造225を囲むように、不連続な枠状に形成されている。
【0047】
<第3実施形態>
次に、
図6を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層301の構成について説明する。
図6は、第3実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層の構成を概略的に示す平面図である。
【0048】
第3実施形態の第1キャパシタ層301は、接続電極324が第1トレンチ構造325を囲むように複数の島状に形成されている点で、
図4に示した第1実施形態の第1キャパシタ層101と相違している。具体的には、接続電極324は、第1トレンチ構造325を囲むように、複数の柱状に形成されている。接続電極324の形状は、円柱状(楕円柱状)でも、角柱状でもよい。
【0049】
<第4実施形態>
次に、
図7及び
図8を参照しつつ、本発明の第4実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層401の構成について説明する。
図7は、第4実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層の構成を概略的に示す断面図である。
図8は、第4実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層の構成を概略的に示す平面図である。
【0050】
第4実施形態の第1キャパシタ層401は、第1トレンチ構造425がトレンチ部426に挟まれた第1領域428及び第2領域429を備えている点で、
図6に示した第3実施形態の第1キャパシタ層301と相違している。また、第2領域429と第3方向Zで対向するように接続電極424が設けられている点でも相違している。
【0051】
第1領域428は、トレンチ部426間に設けられた平面状の領域であり、第1方向Xの幅がW3である。第2領域429もトレンチ部426間に設けられた平面状の領域であるが、第1方向Xの幅が第1領域428の幅W3とは異なるW4である。幅W4は、幅W3よりも大きい。幅W4は、例えば20μm程度である。幅W4は、第2領域429の上方に設けられる接続電極424の幅よりも大きい。
【0052】
<第5実施形態>
次に、
図9を参照しつつ、本発明の第5実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層501の構成について説明する。
図9は、第5実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層の構成を概略的に示す断面図である。
【0053】
第5実施形態の第1キャパシタ層501は、接続電極524が第1トレンチ構造525と第3方向Zで対向するように設けられている点で、
図3に示した第1実施形態の第1キャパシタ層101と相違している。具体的には、接続電極524が保護絶縁膜523の上にも設けられている。なお、接続電極524は、保護絶縁膜523を貫通するように設けられた部材と、保護絶縁膜523を覆うように設けられた部材とを有する多層構造であってもよい。
【0054】
<第6実施形態>
次に、
図10を参照しつつ、本発明の第6実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層601の構成について説明する。
図10は、第6実施形態に係るキャパシタの第1キャパシタ層の構成を概略的に示す断面図である。
【0055】
第6実施形態の第1キャパシタ層601は、接続電極が省略され、第2電極619が保護絶縁膜623で覆われていない点で、
図3に示した第1実施形態の第1キャパシタ層101と相違している。具体的には、第2主面610Bの法線方向から平面視したときに、第2電極619の表面が保護絶縁膜623の表面と隣り合っており、第2電極619の表面が露出している。
【0056】
<第7実施形態>
次に、
図11を参照しつつ、本発明の第7実施形態に係るキャパシタ700の構成について説明する。
図11は、第7実施形態に係るキャパシタの構成を概略的に示す断面図である。
【0057】
キャパシタ700は、第3方向Zで重畳する第1キャパシタ層701、第2キャパシタ層703及び中間キャパシタ層705を備えている。中間キャパシタ層705は、第1キャパシタ層701と第2キャパシタ層703との間に位置している。第1キャパシタ層701及び第2キャパシタ層703は、それぞれ第1実施形態と同様の構成のため、説明を省略する。
【0058】
中間キャパシタ層705は、第3基板750、第5誘電膜752、第6誘電膜757、第5電極759、第7誘電膜753、第8誘電膜767、第6電極769、保護絶縁膜763,773、及び接続電極764,774を備えている。中間キャパシタ層705の各部において、第1実施形態において説明した第1キャパシタ層101及び第2キャパシタ層103の各部と同様の構成については、その旨を記載し、適宜説明を省略する。
【0059】
第3基板750は、第3方向Zで互いに対向する第5主面750A及び第6主面750Bを備えている。第5主面750Aは、第1キャパシタ層701と対向する側に位置し、中央部に第3トレンチ構造765が形成されている。第6主面750Bは、第2キャパシタ層703と対向する側に位置し、中央部に第4トレンチ構造775が形成されている。第3基板750は、例えば、シリコン基板751、第5誘電膜752,第7誘電膜753を有している。
【0060】
第5誘電膜752は、シリコン基板751の第1キャパシタ層701と対向する側に位置し、第5主面750Aを形成している。第7誘電膜753は、シリコン基板751の第2キャパシタ層703と対向する側に位置し、第6主面750Bを形成している。シリコン基板751はシリコン基板111と同様の構成であり、第5誘電膜752,第7誘電膜753は第1誘電膜112の構成と同様である。第3トレンチ構造765及び第4トレンチ構造775は、それぞれ、第2トレンチ構造145及び第1トレンチ構造125と同様の構成である。
【0061】
第6誘電膜757は、第5主面750A下(第5誘電膜752の第1キャパシタ層701と対向する側)及び第3トレンチ構造765のトレンチ部内に設けられ、第3基板750と第5電極759との間に設けられている。第6誘電膜757は、第5主面750Aの法線方向(第3方向Zの負方向側)から平面視したときに第3トレンチ構造765の外側まで延在している。
【0062】
第5電極759は、第6誘電膜757下(第6誘電膜757の第1キャパシタ層701と対向する側)及び第3トレンチ構造765のトレンチ部内に設けられている。また、第5電極759は、第5主面750Aの法線方向から平面視したときに第3トレンチ構造765の外側まで延在している。
【0063】
第8誘電膜767は、第6主面750B上(第7誘電膜753の第2キャパシタ層703と対向する側)及び第4トレンチ構造775のトレンチ部内に設けられ、第3基板750と第6電極769との間に設けられている。第8誘電膜767は、第6主面750Bの法線方向(第3方向Zの正方向側)から平面視したときに第4トレンチ構造775の外側まで延在している。なお、第6誘電膜757及び第8誘電膜767は、それぞれ、第4誘電膜137及び第2誘電膜117と同様の構成である。
【0064】
第6電極769は、第8誘電膜767上(第8誘電膜767の第2キャパシタ層703と対向する側)及び第4トレンチ構造775のトレンチ部内に設けられている。また、第6電極769は、第6主面750Bの法線方向から平面視したときに第4トレンチ構造775の外側まで延在している。第6電極769は、第5電極759から電気的に離れており、第3方向Zで第5電極759と対向している。なお、第5電極759及び第6電極769は、それぞれ、第3電極139及び第2電極119と同様の構成である。
【0065】
保護絶縁膜763は、第5電極759を覆っている。保護絶縁膜773は、第6電極769を覆っている。接続電極764は、保護絶縁膜763を貫通するように設けられ、第5電極759と電気的に接続している。接続電極774は、保護絶縁膜773を貫通するように設けられ、第6電極769と電気的に接続している。保護絶縁膜763及び保護絶縁膜773は、それぞれ、保護絶縁膜143及び保護絶縁膜123と同様の構成である。接続電極764及び接続電極774は、それぞれ、接続電極144及び接続電極124と同様の構成である。
【0066】
図11に示した例では、中間キャパシタ層が1層だけなので、接続電極724及び接続電極764は、ろう部材706によって電気的に接続される。また、接続電極774及び接続電極744は、ろう部材707によって電気的に接続される。つまり、第2電極719及び第5電極759は電気的に接続され、第6電極769及び第3電極739は電気的に接続される。但し、中間キャパシタ層は1層に限定されるものではなく、2層以上備えられていてもよい。複数の中間キャパシタ層が備えられている場合、それぞれの中間キャパシタは、同様に構成される。
【0067】
以上のとおり、本発明の一態様によれば、互いに対向する第1主面110A及び第2主面110Bを有し、トレンチ部126を有する第1トレンチ構造125が第2主面110Bに設けられた第1基板110と、第1基板110の第1主面110A側に設けられた第1電極115と、第1基板110の第2主面110B側において第1トレンチ構造125のトレンチ部126を含む領域に設けられた第2電極119と、を有する第1キャパシタ層101と、互いに対向する第3主面130A及び第4主面130Bを有する第2基板130と、第2基板130の第3主面130A側に設けられた第3電極139と、第2基板130の第4主面130B側に設けられた第4電極135と、を有する第2キャパシタ層103と、を備え、第1キャパシタ層101と第2キャパシタ層103は、第2電極119と第3電極139とが互いに向き合うとともに電気的に接続されるように配置されるキャパシタ、が提供される。
【0068】
上記したように、本発明の一態様によれば、キャパシタは直列接続された第1及び第2キャパシタ層を有しているため、ベース部材におけるキャパシタの耐圧値を向上させることができる。また、ボンディングパッドとして機能する第4電極が、基材に対して、第2トレンチ構造を有する第3主面とは反対側の第4主面に設けられる。このため、ワイヤをキャパシタへボンディングする際にトレンチ構造へ掛かる応力を分散させることができ、外部応力によるトレンチ構造の損傷を抑制することができる。パワーデバイスにキャパシタを適用する際にボンディングに好適に用いられるCuワイヤや太線ワイヤ等のボンディング時の圧力が高いものであっても、トレンチ構造の損傷を抑制しつつボンディングすることができる。また、ボンディングの接合点とトレンチ構造が平面視したときに重なってもよいため、ベース部材におけるキャパシタの専有面積を低減することができる。
【0069】
本発明の一態様によれば、第1キャパシタ層101は、第1基板110と第2電極119との間に位置するとともにトレンチ部126を含む領域に設けられた第2誘電膜117をさらに備えている。これによれば、第1電極と第2電極との間の誘電率を制御することができ、キャパシタの容量値を調整することができる。例えば、第1誘電膜として誘電率の高い誘電体を用いることで、キャパシタの容量値を向上させることができる。また、第1基板又はその一部が、n−Siやp−Si等の導電性材料によって形成され、第1電極として機能する場合であっても、第1電極と第2電極との間での電気的な短絡を防止し容量を形成することができる。また、キャパシタは複数のキャパシタ層を直列接続するため、耐圧値の向上を図る目的で誘電膜の膜厚を大きくする必要がない。このため、誘電膜の基板に対する引張応力によるクラック発生を抑制することができ、トレンチ構造の損傷を抑止することができる。
【0070】
本発明の一態様によれば、第1キャパシタ層101は、少なくとも第2誘電膜117を覆う保護絶縁膜123をさらに有している。これによれば、高圧の電圧をキャパシタに印加する場合であっても、誘電膜の端部や第2主面の表面での沿面放電を抑制することができる。つまり、キャパシタを高耐圧化することができる。
【0071】
本発明の一態様によれば、保護絶縁膜123の誘電率は、第2誘電膜117の誘電率よりも高い。これによれば、高圧の電圧をキャパシタに印加する場合であっても、第2電極からの漏れ電界を抑制することができる。つまり、キャパシタを高耐圧化することができる。
【0072】
本発明の一態様によれば、保護絶縁膜123の誘電率は、第2誘電膜117の誘電率よりも低い。これによれば、第2電極が寄生容量を形成することを抑制するこができる。つまり、キャパシタの容量値の誤差を低減することができる。
【0073】
本発明の一態様によれば、保護絶縁膜123は、第2誘電膜117における第1基板110に対する引張応力又は圧縮応力を緩和するよう構成されている。これによれば、キャパシタの内部応力による第1トレンチ構造の損傷を抑制することができる。
【0074】
本発明の一態様によれば、第1キャパシタ層101は、第2電極119に電気的に接続された接続電極124をさらに有し、第2キャパシタ層103は、第3電極139に電気的に接続された接続電極144をさらに有し、第2電極119と第3電極139が互いに接続電極124及び接続電極144によって電気的に接続されている。接続電極を介することで、第2電極と第3電極を電気的に接続する際に、第2電極又は第3電極が他の部材と接触することによって損傷する可能性を低減可能である。
【0075】
本発明の一態様によれば、第1キャパシタ層101の接続電極124は、第2主面110Bの法線方向から平面視したときに、第1トレンチ構造125の領域よりも外側に配置されている。これによれば、第4電極へのボンディング時に接続電極124を介してトレンチ部に掛かる応力を低減することができ、第1トレンチ構造の損傷を抑制することができる。
【0076】
本発明の一態様によれば、第1キャパシタ層101の接続電極124は、第2主面110Bの法線方向から平面視したときに、第1トレンチ構造125の領域を囲むように枠状に設けられている。これによれば、平面視したときの接続電極の面積を拡大させることで、第2電極と第3電極との間の導電性を向上させることができる。
【0077】
本発明の一態様によれば、第1キャパシタ層201の接続電極224は、第2主面210Bの法線方向から平面視したときに、第1トレンチ構造225の領域を囲むように、複数の島状に設けられている。これによれば、上記したのと同様の効果を得ることができることに加え、接続電極により囲まれたトレンチ構造125の領域が外部と遮断され、例えば温度上昇による内部圧力上昇による接続電極の破壊などが抑制できる。
【0078】
本発明の一態様によれば、第1キャパシタ層401は、複数の接続電極424を有し、第1キャパシタ層401の複数の接続電極424の少なくとも1つは、第2主面410Bの法線方向から平面視したときに、第1トレンチ構造425の領域の内側に配置され且つ第1トレンチ構造425のトレンチ部426を避けた領域と重なるように設けられている。これによれば、上記したのと同様の効果を得ることができる。また、接続電極を第2電極の表面の面方向に分散するように配置することができるため、接続電極の一部が接触不良を起こしたとしても、第2電極と第3電極との間の導電性を確保することができる。さらに、素子の周辺部のみに接続電極を設ける場合に比べ、ボンディング時の圧力をより分散させることができ、より信頼性の高いキャパシタを提供できる。
【0079】
本発明の一態様によれば、第2基板130は、トレンチ部を有する第2トレンチ構造145が第3主面130Aに設けられ、第3電極139は、第2基板130の第3主面130A側において第2トレンチ構造145のトレンチ部を含む領域に設けられ、第1キャパシタ層101と第2キャパシタ層103は、第1トレンチ構造125と第2トレンチ構造145が互いに向き合うように配置されている。これによれば、キャパシタは、第2キャパシタ層の容量密度を増大させることができ、容量値を向上させることができる。第1キャパシタ層及び第2キャパシタ層の互いに対向する側の主面にトレンチ構造を設けたとしても、ボンディング時の圧力を直接受ける主面は平坦である。このため、キャパシタは、ボンディング時にトレンチ部に掛かる応力を低減することができ、第1トレンチ構造及び第2トレンチ構造の損傷を抑制することができる。
【0080】
上記したように、本発明の他の一態様によれば、第1キャパシタ層701と、第2キャパシタ層703と、第1キャパシタ層701及び第2キャパシタ層703の間に位置する少なくとも1つの中間キャパシタ層705と、を備えたキャパシタであって、第1キャパシタ層701は、互いに対向する第1主面710A及び第2主面710Bを有し、トレンチ部を有する第1トレンチ構造725が第2主面710Bに設けられた第1基板710と、第1基板710の第1主面710A側に設けられた第1電極715と、第1基板710の第2主面710B側において第1トレンチ構造725のトレンチ部を含む領域に設けられた第2電極719と、を備え、第2キャパシタ層703は、互いに対向する第3主面730A及び第4主面730Bを有し、トレンチ部を有する第2トレンチ構造745が第3主面730Aに設けられた第2基板730と、第2基板730の第3主面730A側において第2トレンチ構造745のトレンチ部を含む領域に設けられた第3電極739と、第2基板730の第4主面73B側に設けられた第4電極735と、を備え、中間キャパシタ層705は、互いに対向する第5主面750A及び第6主面750Bを有し、トレンチ部を有する第3トレンチ構造765が第5主面750Aに設けられ、トレンチ部を有する第4トレンチ構造775が第6主面750Bに設けられた第3基板750と、第3基板750の第5主面750A側において第3トレンチ構造765のトレンチ部を含む領域に設けられた第5電極759と、第3基板750の第6主面750B側において第4トレンチ構造775のトレンチ部を含む領域に設けられた第6電極769と、を備え、第1キャパシタ層701と中間キャパシタ層705は、第1トレンチ構造725と第3トレンチ構造765が互いに向き合うように配置され、第2キャパシタ層703と中間キャパシタ層705は、第2トレンチ構造745と第4トレンチ構造775が互いに向き合うように配置されるキャパシタ、が提供される。
【0081】
これによれば、上記したのと同様の効果を得ることができる。また、中間キャパシタ層の数を増やすことで、キャパシタ耐圧値を向上させることができる。
【0082】
以上説明したように、本発明の一態様によれば、電気的特性や信頼性の劣化の抑制を図ることができるキャパシタを提供することが可能となる。
【0083】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。