(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
浴槽壁の取付孔における浴槽外側に配置され、かつ取付孔に挿通可能なボディと、前部が浴槽内側に配置された状態で後部が浴槽内側から取付孔に挿通されて前記ボディに接続されるアダプター本体とを備え、前記ボディは、ボディ本体と、そのボディ本体に突出状に設けられた外管接続用の外管接続部とを備え、前記外管接続部から前記ボディ本体内に供給される湯水が前記アダプター本体の前部から吐出されるようにした給湯口アダプターであって、
前記ボディ本体の軸心に対し前記外管接続部の軸心が折れ曲がるように配置されるとともに、
前記ボディ本体の軸心の真後ろ方向に対する前記外管接続部の軸心の折り曲げ角度が、90°を超える角度に設定されて、前記外管接続部の先端側がボディ本体側よりも前方に配置されていることを特徴とする給湯口アダプター。
前記外管接続部の先端から前記ボディ本体の前端にかけて設けられた湯水流通用の管路が、2箇所以上の位置で折れ曲がるように形成されている請求項1に記載の給湯口アダプター。
前記外管接続部に嵌め込まれた外管の外周に管バンドが巻き付けられるとともに、その管バンドの留め金部が後側に配置されている請求項1または2に記載の給湯口アダプター。
浴槽壁の取付孔における浴槽外側に配置され、かつ取付孔に挿通可能なボディと、前部が浴槽内側に配置された状態で後部が浴槽内側から取付孔に挿通されて前記ボディに接続されるアダプター本体とを備え、前記ボディは、ボディ本体と、そのボディ本体に突出状に設けられ、かつ外管が接続される外管接続部とを備え、前記外管を介して前記外管接続部から前記ボディ本体内に供給される湯水が前記アダプター本体の前部から吐出されるようにした給湯口アダプターの取付構造であって、
前記ボディ本体の軸心に対し前記外管接続部の軸心が折れ曲がるように配置されるとともに、
前記ボディ本体の軸心に対する前記外管接続部の軸心の真後ろ方向に対する折り曲げ角度が、90°を超える角度に設定されて、前記外管接続部の先端側がボディ本体側よりも前方に配置されていることを特徴とする給湯口アダプターの取付構造。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されるような浴槽内側からの作業で組み付けることができる給湯口アダプター(内施工式アダプター)においては、S型のボディだけしか採用することができず、取付孔の裏面側近傍に外壁が配置されて取付孔の裏面側スペースが狭いような箇所には、組み付けることができないという課題があった。すなわち上記特許文献1〜3に示すような従来の内施工式アダプターにおいて、ボディの軸心に対し直角に突出した外管接続部を有するL型ボディを採用することになるが、そのL型ボディの外管接続部に外管を嵌め込んで接続した場合、外管の接続端部外周に巻き付けられる管バンドの一部がボディよりも後方に配置されることがある。そうすると、管バンドが取付孔裏面側の外壁に干渉してしまい、ボディを所定の位置まで押し込むことができず、ボディを取り付けることができなくなり、ひいては給湯口アダプターを組み付けることができないという課題があった。
【0008】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、取付孔裏面側のスペースが狭くとも、浴槽内側からの作業で組み付けることができる給湯口アダプター、その取付構造および取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0010】
[1]浴槽壁の取付孔における浴槽外側に配置され、かつ取付孔に挿通可能なボディと、前部が浴槽内側に配置された状態で後部が浴槽内側から取付孔に挿通されて前記ボディに接続されるアダプター本体とを備え、前記ボディは、ボディ本体と、そのボディ本体に突出状に設けられた外管接続用の外管接続部とを備え、前記外管接続部から前記ボディ本体内に供給される湯水が前記アダプター本体の前部から吐出されるようにした給湯口アダプターであって、
前記ボディ本体の軸心に対し前記外管接続部の軸心が折れ曲がるように配置されるとともに、
前記ボディ本体の軸心に対する前記外管接続部の軸心の折り曲げ角度が、90°を超える角度に設定されて、前記外管接続部の先端側が基端側よりも前方に配置されていることを特徴とする給湯口アダプター。
【0011】
[2]前記外管接続部の先端から前記ボディ本体の前端にかけて設けられた湯水流通用の管路が、2箇所以上の位置で折れ曲がるように形成されている前項1に記載の給湯口アダプター。
【0012】
[3]前記外管接続部に嵌め込まれた外管の外周に管バンドが巻き付けられるとともに、その管バンドの留め金部が後側に配置されている前項1または2に記載の給湯口アダプター。
【0013】
[4]前記槽外取付部材の軸心に対する前記外管接続部の折り曲げ角度が95°〜110°に設定されている前項1〜3のいずれか1項に記載の給湯口アダプター。
【0014】
[5]前記ボディ本体に管状の継手受部が設けられるとともに、その継手受部の先端側に前記ボディ本体の軸心に対し傾斜する傾斜接合面が設けられ、
前記継手受部に取り付けられる管用継手に前記外管接続部が設けられるとともに、前記外管接続部の基端側に、その外管接続部の軸心に対し傾斜する傾斜接合面が設けられ、
前記継手受部の傾斜接合面に前記管用継手の傾斜接合面が接合されることによって、前記ボディ本体の軸心に対し前記外管突出部の軸心が折れ曲がるように配置されている前項1〜4のいずれか1項に記載の給湯口アダプター。
【0015】
[6]前記ボディ本体の軸心に対する、前記継手受部の傾斜接合面の直交軸の折り曲げ角度と、前記外管接続部の傾斜接合面の直交軸に対する、前記外管接続部の軸心の折り曲げ角度とが同じ角度に設定されている前項5に記載の給湯口アダプター。
【0016】
[7]浴槽壁の取付孔における浴槽外側に配置され、かつ取付孔に挿通可能なボディと、前部が浴槽内側に配置された状態で後部が浴槽内側から取付孔に挿通されて前記ボディに接続されるアダプター本体とを備え、前記ボディは、ボディ本体と、そのボディ本体に突出状に設けられ、かつ外管が接続される外管接続部とを備え、前記外管を介して前記外管接続部から前記ボディ本体内に供給される湯水が前記アダプター本体の前部から吐出されるようにした給湯口アダプターの取付構造であって、
前記ボディ本体の軸心に対し前記外管接続部の軸心が折れ曲がるように配置されるとともに、
前記ボディ本体の軸心に対する前記外管接続部の軸心の折り曲げ角度が、90°を超える角度に設定されて、前記外管接続部の先端側が基端側よりも前方に配置されていることを特徴とする給湯口アダプターの取付構造。
【0017】
[8]前項1〜6のいずれか1項に記載の給湯口アダプターを浴槽壁の取付孔に取り付けるようにした給湯口アダプターの取付方法であって、
浴槽外側から取付孔を介して浴槽内側に引き込まれた外管の引込端部を、前記ボディの外管接続部に接続する工程と、
外管が接続されたボディを取付孔に通過させて浴槽外側に配置する工程と、
前記アダプター本体の後部を取付孔に挿入して前記槽外取付部材に接続するとともに、前記アダプター本体の前部を浴槽内側に配置する工程とを含むことを特徴とする給湯口アダプターの取付方法。
【発明の効果】
【0018】
発明[1]の給湯口アダプターによれば、ボディ本体の軸心に対する外管接続部の軸心の折り曲げ角度を90°を超える角度に設定して、外管接続部の先端側を基端側よりも前方に配置しているため、外管接続部に外管固定用に取り付けられる管バンドを前方に配置できその分、管バンドの後方突出量を少なくすることができる。このため管バンドが外壁等の周辺部材に干渉するのを防止でき、ボディを浴槽裏側に確実に組み付けることができ、浴槽裏側のスペースが狭くとも確実に組み付けることができる。さらにボディは浴槽壁の取付孔に挿通可能であるため、ボディを浴槽内側から取り付けることができ、アダプター全体を浴槽内側からの作業で組み付けることができ、作業性を向上させることができる。
【0019】
発明[2]の給湯口アダプターによれば、ボディ内に設けられた湯水流通用の管路を2箇所以上の箇所で折り曲げるように形成しているため、管路を1箇所で大きく折り曲げるように形成する場合と比較して、管路内に急な折れ曲がり部が無くなり、湯水の流通をスムーズに行うことができる。
【0020】
発明[3]の給湯口アダプターによれば、外管接続部に外管固定用に取り付けられる管バンドの留め金部を外側に配置しているため、外管付きのボディを浴槽壁の取付孔に挿通する際に、留め金部が取付孔内周面に引っ掛かるのを防止でき、外管付きのボディを取付孔に確実に挿通することができ、アダプター全体を浴槽内側からの作業でより確実に組み付けることができる。
【0021】
発明[4]の給湯口アダプターによれば、上記の効果をより確実に得ることができる。
【0022】
発明[5]の給湯口アダプターによれば、管用継手をその軸心回りに180°回転させてボディ本体の継手受部に取り付けることにより、外管接続部の折り曲げ角度を変更することができる。従って施工現場の状況に応じて、外管の引出方向を変更することができ、汎用性を向上させることができる。
【0023】
発明[6]の給湯口アダプターによれば、外管接続部の軸心をボディ本体の軸心に対し平行となるように変更することができる。従って外管接続部に接続する外管をボディ本体の軸心に対しほぼ直交する方向に引き出すL型仕様の形態の他に、施工現場の状況に応じて、外管をボディ本体の時軸心に沿って後方に引き出すS型仕様の形態も採用することができ、より一層汎用性を向上させることができる。
【0024】
発明[7]の給湯口アダプターの取付構造によれば、上記発明の給湯口アダプターと主要構成が同一であるため上記と同様に、浴槽裏側のスペースが狭くとも、浴槽内側からの一方向の作業で給湯口アダプターを確実に組み付けることができる。
【0025】
発明[8]の給湯口アダプターの取付方法によれば、上記発明の給湯口アダプターを用いるものであるため、浴槽裏側のスペースが狭くとも、浴槽内側からの一方向の作業で給湯口アダプターを確実に組み付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1はこの発明の実施形態である給湯口アダプターの取付構造を分解して示す斜視図、
図2は側面断面図、
図3は正面図、
図4は平面図である。
【0028】
これらの図に示すように本実施形態に採用される給湯口アダプターAは、浴槽壁Wに設けられた取付孔Hに組み付けられる。この給湯口アダプターAは、室外の給湯機から供給された湯水を浴槽内に供給する湯はり処理の他に、浴槽内の湯水を吸い込んで室外の給湯機に送り、そこで再加熱して、高温のお湯を浴槽内に戻すようにした追い焚き処理を行えるものである。
【0029】
本実施形態の給湯口アダプターAは、槽外取付部材を構成するボディBと、フランジ部材3と、長ねじ4と、流路仕切部材等と称されるアダプター本体5とを基本的な構成要素として備えている。なお、以下の説明においては、発明の理解を容易にするため、給湯口アダプターAの軸心方向に沿って浴槽に対して内側(
図2の左側)を「前側」「正面側」「表側(表面側)」とし、浴槽に対して外側(
図2の右側)を「後側」「裏側(裏面側)」または「背面側」として説明する。
【0030】
図5および
図6は実施形態の給湯口アダプターAに採用されたボディBを示す図である。
図2〜
図6に示すようにボディBは、ボディ本体1と、2本の管用継手2,2とを備えている。ボディ本体1は、円形フランジ状の基板11と、基板11の裏面側に設けられた2本の管部12,12と、管部12,12の後端に設けられ、かつ上記2本の管用継手2,2に対応して設けられる2本の継手受部13,13とを備えている。ボディ本体1において2本の管部12,12はボディ本体1の軸心X1と平行に後方に延びるように配置され、継手受部13,13は下方に屈曲するようにしてボディ本体10の軸心X1に対し斜め下方に延びるように配置されている。なお本実施形態において、ボディ本体1の軸心X1は、管部12の軸心に一致するものである。さらに本実施形態において、給湯口アダプターAの軸心およびボディBの軸心という場合、実質的にボディ本体1の軸心X1と同じ意味で用いられており、ボディ本体1の軸心X1と一致するものである。
【0031】
管部12および継手受部13は断面が縦長楕円形の中空管状に形成されて互いに連通接続されて、管部12の前端が基板11の前面において開口されている。さらに継手受部13の後端には傾斜接合面14が設けられ、継手受部13の後端がこの傾斜接合面14において開口されている。傾斜接合面14は、継手受部13の軸心X13に対し直交する平面上に配置されており、換言するとボディ1の軸心X1に対し傾斜する平面上に配置されている。本実施形態においてボディ1の軸心X1に対する継手受部13の軸心X13の角度(折り曲げ角度)θ1は50°に設定されている(
図6参照)。なお本実施形態において継手受部13の軸心X13は、傾斜接合面14の直交軸に相当する。
【0032】
管用継手2は、往き管および戻り管等の外管9(
図2参照)を接続するための外管接続部21と、外管接続部21の基端に、略前方に突出状に設けられた差込連結部25と、差込連結部25における外管接続部21側の端部外周に設けられた外向きフランジ23とを備えている。
【0033】
この管用継手2において、差込連結部25の軸心X25に対し、外管接続部21の軸心X21は折れ曲がるように配置されており、差込連結部25の軸心X25に対し外管接続部21の軸心X21の角度(折り曲げ角度)θ2は50°に設定されている(
図6参照)。この折り曲げ角度θ2は、上記折り曲げ角度θ1と同じ角度に設定されている。
【0034】
フランジ23の前面は傾斜接合面24として構成されており、この傾斜接合面24は差込連結部25の軸心X25に対し直交する平面上に配置されている。換言すれば外管接続部21の軸心X21に対し傾斜する平面上に傾斜接合面24が配置されている。なお本実施形態において差込連結部25の軸心X25は、傾斜接合面24の直交軸に相当する。
【0035】
管用継手2における外管接続部21および差込連結部25は、中空管状に形成されて互いに連通されており、外管接続部21の後端開口が差込連結部25の前端開口に連通されている。
【0036】
差込連結部25はその断面形状が、継手受部13の開口部の形状に対応して縦長の楕円形状に形成されるとともに、外管接続部21の断面形状は、円形に形成されており、往き管および戻り管等の外管9を外嵌して固定できるようになっている。
【0037】
この管用継手2の差込連結部25がボディ本体1における継手受部13の開口に差し込まれて連結されることによって、ボディBが組み立てられている。この組立状態においては、継手受部13の傾斜接合面14と管用継手2の傾斜接合面24とが面接触することにより、継手受部13の軸心X13と管用継手2の外管接続部21の軸心X21とが一致するようになっている。従って、ボディB(ボディ本体1)の軸心X1に対する外管接続部21の軸心X21の角度(折り曲げ角度)θは、ボディ本体1の軸心X1および継手受部13の軸心X13間の折り曲げ角度θ1と、外管接続部21の軸心X21および差込連結部25の軸心X25間の折り曲げ角度θ2とを加えた値である100°に設定されている(
図5参照)。このようにボディ本体1の軸心X1に対する外管接続部21の軸心X21の折り曲げ角度θが90°を超える角度に設定されているため、外管接続部21はその基端側(上端側)が先端側(下端側)に向かうに従って次第に前方に配置されるようになっている。
【0038】
また本実施形態においては、管用継手2の内部における中空管状部と、ボディ本体1の管部12の内部における中空管状部とによって、外管接続部21の先端(下端)からボディ本体1の前端にかけて互いに独立した2本の管路が並列に設けられるとともに、各管路を湯水が流通できるように構成されている。
【0039】
ここで本実施形態においては、折り曲げ角度θは、直角「90°」を含まない90°を超える角度に設定する必要があり、より好ましくは95°〜110°に設定するのが良い。すなわちこの折り曲げ角度θが90°以下とで狭過ぎる場合には、後に詳述するように給湯口アダプターAを浴槽壁Wに組み付ける際に、ボディBを所定位置まで押し込むことができず、給湯口アダプターAを組み付けることが困難になるおそれがあり、好ましくない。
【0040】
図7および
図8はボディBの基板部分を示す図である。両図に示すようにボディBにおける基板11の前面側には、その上下位置にねじ切り孔16,16が形成されており、長ねじ4,4をねじ止め固定できるように構成されている。
【0041】
さらにボディBの基板11の外周部の4箇所には、外周部の一部を構成するようにして係止爪17がそれぞれ設けられている。各係止爪17の周方向の一端側は回転自在に取り付けられるとともに、他端側は固定されずに自由端となっている。これにより各係止爪17は、
図7に示す閉じた状態と、
図8に示す開いた状態との間で開閉自在に構成されている。そして
図7に示すように各係止爪17を閉じた状態では各係止爪17が基板11の外周に沿うように配置されて基板11が正面視(前面視)で円形に形成されて、外径寸法が浴槽壁Wにおける取付孔Hの内径寸法よりも小さくなるように構成されている。よって係止爪17を閉じた状態では、基板11を取付孔Hに挿通できるように構成されている。また
図8に示すように各係止爪17を開いた状態では各係止爪17が外径方向に突出するように配置される。この開いた状態では、円盤11を取付孔Hに挿通できないように構成されるとともに、各係止爪17の爪先が浴槽壁Wにおける取付孔Hの周縁部に係止できるように構成されている。
【0042】
なおボディBにおける基板11より後方の部位、つまり管部12、継手受部13および管用継手2は軸心方向に直交する断面形状が、取付孔Hの断面形状内に収まるように構成されており、係止爪17を閉じた状態では基本的に、ボディB全体を取付孔Hに挿通できるように構成されている。
【0043】
図1〜
図4に示すようにアダプター本体5は、中空構造の円盤状の槽内突出部51を備えている。槽内突出部51はその外径寸法が浴槽壁Wにおける取付孔Hの内径寸法よりも大きく形成されており、取付孔Hに挿通できないようになっている、
また槽内突出部51の前壁には多数の小孔によって構成される吐出口52,52が左右に並んで形成されている。
【0044】
槽内突出部51の裏面側には、吐出口52,52に対応して2本の管部55,55が後方に延びるように形成されている。各吐出口52,52と対応する各管部55,55とは連通接続されており、管部55,55にその後端開口から導入された湯水は管部55,55を通って、それぞれ対応する吐出口52,52から吐出されるように構成されるとともに、吐出口52,52から吸引された湯水は、それぞれ対応する管部55,55の後端開口から流出するようになっている。
【0045】
さらに各管部55,55は、ボディBの管部12,12の前面開口の形状に対応して縦長の楕円形に形成されている。
【0046】
なお本実施形態においては、アダプター本体5の槽内突出部51が前部として構成されるとともに、管部55,55が後部として構成されている。
【0047】
図1〜
図3、
図9に示すようにフランジ部材3は正面視円形ないし環状に形成されており、外径寸法が取付孔Hの内径寸法よりも大きく形成されて、取付孔Hを挿通できないように構成されている。
【0048】
フランジ部材3には、アダプター本体5の管部55,55に対応して、管部挿通孔31,31が形成されるとともに、両管部挿通孔31,31はその中間部32において連通接続されている。さらにフランジ部材3には、その上下2箇所にねじ止め孔35,35が形成されるとともに、各ねじ止め孔35,35にそれぞれ隣接して連通接続する大径のねじ頭部挿通孔36,36が形成されている。ねじ頭部挿通孔36はその内径寸法が長ねじ4の頭部の外径寸法よりも大きく形成されており、長ねじ4の頭部を挿通できるように構成されている。ねじ止め孔35はその内径寸法が長ねじ4の頭部の外径寸法よりも小さく、かつ長ねじ4の軸部の外径寸法よりも大きく形成されており、長ねじ4の頭部は挿通できないものの長ねじ4の軸部は挿通配置できるように構成されている。
【0049】
またフランジ部材3の前後両面側には、環状のパッキン38,38が着脱自在に取り付けられている。
【0050】
このフランジ部材3およびボディBが浴槽壁Wの取付孔周縁部を挟持することにより浴槽壁Wに固定される。すなわち
図1、
図2および
図10(d)に示すようにボディBが各係止爪17を開いた状態で各係止爪17が浴槽壁Wの裏面側(槽外側)における取付孔Hの周縁部に係止するように配置されるとともに、フランジ部材3の外周縁部が浴槽壁Wの表面側(槽内側)における取付孔Hの周縁部に係止するように配置される。さらに2本の長ねじ4,4がフランジ部材3の各ねじ止め孔35,35に挿通されてボディBの各ねじ切り孔16,16にねじ込まれる。こうしてフランジ部材3およびボディBが浴槽壁Wの取付孔周縁部を挟持するようにして浴槽壁Wに固定される。
【0051】
またアダプター本体5がその管部55,55がフランジ部材3の管部挿通孔31,31に挿通されて管部55,55の後端開口がボディBの基板11における管部12,12の前端開口に対応して配置された状態で、
図3に示すようにアダプター本体5の前面側から4本のねじ41が槽内突出部51に挿通されてフランジ部材3にねじ止め固定される。こうしてアダプター本体5がフランジ部材3を介してボディBに固定されて、給湯口アダプターAが浴槽壁Wに組み付けられる。なおアダプター本体5の槽内突出部51には、必要に応じてフィルター部材が取り付けられる。
【0052】
この構成の給湯口アダプターの取付構造においては
図2の想像線に示すように、2本の外管接続部21,21に、可撓性を有するフレキシブル管等によって構成される往き管および戻り管等の2本の外管9,9の一端がそれぞれ接続されるとともに、2本の外管9,9の他端が室外の給湯機に接続される。そして湯はりをダブル搬送で行う場合には、室外給湯機から2本の外管9,9にそれぞれ湯水が供給されて、両外管9,9から外管接続部21,21を介してボディBの2本の管路内に導入される。各管路内に導入された湯水は各管路を通ってアダプター本体5の2本の管部55,55内に導入されて、2つの吐出口52,52から浴槽内に吐出されるようになっている。
【0053】
また追い焚きを行う場合には、アダプター本体5における一方の吐出口52から浴槽内の湯水が吸引されて、アダプター本体5の一方の管部55を通って、ボディBの一方の管路内に導入される。一方の管路に導入された湯水はその管路を通って一方の外管接続部21から一方の外管9に供給され、その外管9を通って室外給湯機に戻される。また給湯機に戻された湯水は加熱されて、その湯水が他方の外管に供給され、ボディBの他方の管路、アダプター本体5の他方の管部55を通って他方の吐出口52から浴槽内に吐出されるようになっている。こうして浴槽内と室外給湯機との間に湯水が循環されて、追い焚きが行われるようになっている。
【0054】
以上のような構成を有する給湯口アダプターAにおいては、浴槽壁Wに組み付けられた既存の給湯口アダプターを取り替えるに際して、以下に説明するように浴槽裏側の取付孔周辺で作業を行わずに、つまり浴槽内側からの作業で、既存の給湯口アダプターを撤去して新規の給湯口アダプターAを組み付けることができる。
【0055】
まず、既存の給湯口アダプター(旧アダプター)におけるアダプター本体5に対応する部材を取り外す。続いて、旧アダプターにおけるフランジ部材3に対応する部材(旧雄ねじ部材)を取り外すが、その前に旧アダプターにおけるボディBに対応する部材(旧ボディ)に、浴槽内側から取付孔を通じてワイヤー等の案内部材の端部を固定しておく。その状態で旧雄ねじ部材を取り外して旧ボディを浴槽外側において取り外す。その後、旧ボディに接続された2本の外管(旧外管)を室外給湯機側から引っ張って、旧ボディおよび案内部材を作業可能な広いスペースまで引き出して、旧ボディを案内部材から取り外して、旧ボディおよび旧外管を廃棄する。
【0056】
その後、室外給湯機に接続した新たな2本の外管9を、案内部材の端部に固定する。なお旧外管を交換せずに給湯口アダプターのみを交換するような場合には、旧外管を廃棄せずにその旧外管を案内部材に固定することになる。
【0057】
次に浴槽内側から案内部材を引っ張って、外管9の端部を取付孔Hを介して浴槽内側に引き込む。続いて
図10(a)に示すように外管9から案内部材を取り外してから、その外管9の端部に本実施形態の給湯口アダプターAにおけるボディBを取り付ける。すなわちボディBの外管接続部21に外管9の端部を嵌め込んで、外管9の接続端部外周に管バンド91を巻き付けて固定する。このとき、管バンド91の留め金部92を後側(外管接続部21の背面側)に配置しておく。留め金部92を後側に配置する理由については後に説明する。
【0058】
なおボディBに外管9を接続するに際には、予めボディBの外管接続部21に短寸の補助外管を管バンド91を介して固定しておき、その補助外管に管用継手等を介して、浴槽内に引き込んだ外管9を接続するようにしても良い。
【0059】
こうしてボディBに外管9を接続した後、ボディBを外管9と共に取付孔Hを介して浴槽外部に配置する。このときボディBのねじ切り孔16に予め長ねじ4の先端をねじ込んでおき、その長ねじ4の頭部を浴槽内側における取付孔Hの周縁部に係止することにより、ボディBを長ねじ4を介して浴槽外側における取付孔Hの近傍に仮保持しておく。
【0060】
次にドライバー等を用いて浴槽内側から取付孔Hを通じてボディBの係止爪17を開く。続いて浴槽内側からフランジ部材3のねじ頭部挿通孔36に長ねじ4の頭部を挿通させた後、フランジ部材3を少量周方向に回転させて、長ねじ4の軸部をねじ頭部挿通孔36からねじ止め孔35に導入する。その後、長ねじ4をねじ込んでいくことにより、ボディBを前面側(浴槽壁外面)に引き寄せて、ボディBの係止爪17を浴槽壁外面の取付孔周縁部に圧接するとともに、フランジ部材3の外周縁部を浴槽壁内面の取付孔周縁部に圧接する。こうしてボディBおよびフランジ部材3を、両者で浴槽壁Wの取付孔周縁部を内外から挟持することにより浴槽壁Wに固定する。
【0061】
次に、アダプター本体5をその管部55をフランジ部材3の管部挿通孔31および取付孔Hを通じてボディBの基板前面側における管部12の前端開口に対応して配置し、その状態でアダプター本体5の前面側からねじ41を貫通してフランジ部材3にねじ込むことにより、アダプター本体5をフランジ部材3に固定する。これにより本実施形態の給湯口アダプターAが浴槽壁Wに組み付けられて、給湯口アダプターの交換作業が完了する。
【0062】
このように浴槽外側(裏側)の取付孔周辺で作業できないような場合でも、旧アダプターを取り外して新規の給湯口アダプターAを確実に組み付けることができる。
【0063】
一方、本実施形態の給湯口アダプターAにおいては、ボディ本体1の軸心1に対する外管接続部21の軸心X21の折り曲げ角度θを100°と大きくしているため、浴槽壁Wにおける取付孔Hの裏面側に十分なスペースがない場合例えば、
図10(a)に示すように取付孔Hの裏面側近傍に外壁W1が配置されているような場合であっても、浴槽内側からの作業で確実に組み付けることができる。すなわち浴槽内側において、ボディBに外管9を接続した後、ボディBを外管9と共に浴槽内側から取付孔Hに挿通する場合、
図10(a)〜
図10(c)に示すようにボディBを回転させつつ、ボディBの管用継手2、継手受部13、管部12および基板11と順次取付孔Hに挿通していき、最終的に同図(d)に示すようにボディBの全体を浴槽裏面側に押し込んで、ボディBの軸心X1を取付孔Hの軸心に一致させるように配置することになる。このとき仮に、ボディBの軸心1に対する外管接続部21の軸心X21の折り曲げ角度θ(
図5参照)が90°以下に設定されていると、外管接続部21に外管9を固定するための管バンド91の留め金部92が、ボディBの後端よりも後方に突出するように配置されるため、その留め金部92が外壁W1に干渉してしまい、ボディBを所定位置まで押し込むことができず、給湯口アダプターAを組み付けることが困難になってしまう。
【0064】
そこで本実施形態においては、ボディBの軸心1に対する外管接続部21の軸心X21の折り曲げ角度θを100°と大きくしているため、
図10(d)に示すようにボディBの全体を浴槽裏面側に押し込んだ際に、外管接続部21がその先端側(下端側)が基端側(上端側)に比べて前方に位置するように配置される。このため管バンド91の留め金部92も前方に配置されて、留め金部92が外壁W1に干渉するのを防止でき、ボディBを所定位置まで確実に押し込むことができて、給湯口アダプターAを確実に組み付けることができる。換言すれば、浴槽裏面側にボディBを収納できるスペースさえ存在していれば、給湯口アダプターAを浴槽壁Wに確実に組み付けることができる。
【0065】
ところで
図12(a)に示すように、管バンド91の留め金部92を外管接続部21の前側(同図の左側)に配置すれば、留め金部92の外壁W1との干渉を防止できると考えられる。しかしながらそうすると、ボディBを取付孔Hに挿通させることができなくなってしまう。すなわち留め金部92が前側(内側)に配置されたボディBを取付孔Hに挿通しつつ下方に回転させようとすると
図12(b)に示すように、ボディ本体1の背面側と留め金部92とが取付孔Hの内周縁部に引っ掛かってしまい、ボディBを取付孔Hに挿通させることができず、給湯口アダプターAを取り付けることができなくなってしまう。従って本実施形態のように浴槽内側からの作業で組み付けるように構成された給湯口アダプターAにおいては既述した通り、ボディBにおける管バンド91の留め金部92は外管接続部21の後側(背面側)に配置する必要がある。
【0066】
以上のように本実施形態の給湯口アダプターAによれば、ボディBにおける外管接続部21の折り曲げ角度θを100°に設定しているため、外管接続部21の先端側を前方に配置でき、外管接続部21の背面側に位置する管バンド91の留め金部92における後方突出量を少なくすることができる。このため、浴槽裏側のスペースが狭い場合でも、留め金部92が外壁W1等の周辺部材に干渉するのを防止でき、ボディBを浴槽裏面側に確実に配置することができる。従って浴槽裏側スペースが狭くとも、ボディB、ひいてはフランジ部材3やアダプター本体5を確実に組み付けることができる。
【0067】
また本実施形態においては、ボディBの外管接続部21に外管9を固定するための管バンド91の留め金部92を外管接続部21の外側(後側)に配置しているため、ボディBを取付孔Hに確実に挿通することができ、浴槽内側からの作業で浴槽壁Wに給湯口アダプターAを確実に組み付けることができる。
【0068】
また本実施形態においては、ボディB内に設けられる管路を、管部12および継手受部13間の位置と、差込連結部25および外管接続部21間の位置との2箇所で折り曲げるように形成して、全体としての折り曲げ角度θを100°に設定しているため、1箇所で大きく折り曲げるように形成する場合と比較して、管路内に急な折れ曲がり部が無くなり、湯水の流通を効率良くスムーズに行うことができる。なお本発明においては、管路を1箇所、または3箇所以上の位置で折り曲げるように形成していも良く、円弧状に形成するようにしても良い。管路を3箇所以上の位置で折り曲げるように形成する場合や、円弧状に形成する場合には、より一層湯水の流通を効率良くスムーズに行うことができる。
【0069】
また本実施形態の給湯口アダプターAにおいては、外管9をボディBの軸心X1に対しほぼ直交する方向に配置するようにしたL型仕様の形態で使用しているが、本実施形態においてはL型仕様だけでなく、外管9をボディBの軸心X1に対し平行に配置するようにしたS型仕様の形態でも使用することも可能である。すなわち
図5および
図6に示すように本実施形態の給湯口アダプターAにおいては、ボディ本体1の継手受部13に設けられた傾斜接合面14を、管用継手2に設けられた傾斜接合面24に接合させて、管用継手2の外管接続部21の折り曲げ角度θを100°に設定するとともに、ボディ本体1の軸心X1に対する傾斜接合面14の直交軸X13の折り曲げ角度θ1と、傾斜接合面24の直交軸X25に対する外管接続部21の軸心X21の折り曲げ角度θ2とを共に50°に設定している。このため、管用継手2をボディ本体1の継手受部13に接続するに際して、
図5に示す状態から管用継手2を軸心回りに180°回転させて接続すると
図11に示すように、ボディ本体1の軸心X1と、外管接続部21の軸心X21とが平行になり、外管接続部21に接続する外管9をボディBから後方に直線上に引き出すことができる。従って浴槽壁Wにおける取付孔Hの裏側に障害物がないような場合には
図11に示すS型仕様の形態を採用して、浴槽壁Wに組み付けた給湯口アダプターAの裏面側からアダプターAの軸心X1に平行な直線上に沿って外管9を引き出すことができる。このように施工現場の状況に応じて、
図5に示すように外管9を給湯口アダプターAの軸心X1に対しほぼ直交する方向に引き出したり、
図11に示すように軸心X1に対し平行な方向に引き出したりすることができ、汎用性を向上させることができる。
【0070】
なお本発明においては、ボディ本体1の軸心X1に対する傾斜接合面14の直交軸X13の折り曲げ角度θ1と、傾斜接合面24の直交軸X25に対する外管接続部21の軸心X21の折り曲げ角度θ2とを必ずしも一致させる必要はなく、両折り曲げ角度θ1,θ2を多少異なるように設定しても良い。
【0071】
また上記実施形態においては、ボディ本体1と管用継手2とを別体に形成するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、ボディ本体1に管用継手2(外管接続部)を一体に形成するようにしても良い。
【0072】
また上記実施形態においては、ボディBから外管9を下方に引き出す場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、ボディBから外管9を側方や上方に引き出すようにしても良い。要はボディBの軸心X1に対し略直交する方向に外管9を引き出すようにすれば良い。
【0073】
また上記実施形態においては、給湯口アダプターを交換する際に、本発明の給湯口アダプターAを用いる場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明の給湯口アダプターは、新築時や、浴槽全体のリフォーム時等、アダプターが未装着の浴槽壁に給湯口アダプターを新規に取り付ける場合にも適用することができる。
【0074】
また上記実施形態においては、ボディBをフランジ部材3および長ねじ4によって浴槽壁Wに固定するようにしているが、本発明においては、ボディBの浴槽壁Wへの固定方法は特に限定されるものではなく、どのような固定手段を用いていも良い。
【0075】
さらに上記実施形態においては、アダプター本体5を、フランジ部材3および長ねじ4を介してボディBに連結固定するようにしているが、本発明においてはアダプター本体5のボディBへの連結方法は特に限定されるものではなく、どのような連結手段を用いても良い。
【0076】
また本発明においては、管バンド91および留め金部92の素材は特に限定されるものではなく、例えば金属製であっても、合成樹脂製であっても、合成ゴム製であっても、布製であっても良く、どのような素材を用いても良い。さらに管バンド91の素材と、留め金部92の素材とを同じ素材で形成しても良いし、異なる素材で形成するようにしても良い。