特許第6802564号(P6802564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6802564-麺線切出し装置および方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802564
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】麺線切出し装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A21C 11/22 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   A21C11/22 B
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-87810(P2017-87810)
(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公開番号】特開2018-183104(P2018-183104A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】391007529
【氏名又は名称】さぬき麺機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】岡原 雄二
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−143267(JP,A)
【文献】 特開2006−101886(JP,A)
【文献】 特許第3798104(JP,B2)
【文献】 特開平07−313043(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02005829(EP,A1)
【文献】 特開平08−301445(JP,A)
【文献】 特開平08−300071(JP,A)
【文献】 特開2013−215156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00 −15/04
A23L 7/109− 7/113
B65G 47/53 −47/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状麺体を搬送する主コンベアと、
前記主コンベアによって搬送される板状麺体を搬送方向に沿って切断して分割するスリッタと、
分割された板状麺体の両側の分割麺体を前記主コンベアから受け取って、前記主コンベアから互いに離隔する方向に搬送する一対の振分コンベアと、
一対の前記振分コンベアにより搬送される分割麺体をそれぞれ麺線に切り出す麺線カッタとを備える麺線切出し装置。
【請求項2】
一対の前記振分コンベアは、基端部が互いに近接して前記主コンベアと直交するように配置されており、
前記主コンベアの直下から搬送方向前方に進退可能に配置されて、前記主コンベアが搬送する両側の分割麺体を、それぞれ一対の前記振分コンベアの基端部に載置するシャトルコンベアを更に備える請求項1に記載の麺線切出し装置。
【請求項3】
前記振分コンベアに順次搭載する複数の分割麺体の一部が重なり合うように、前記主コンベアおよび前記振分コンベアの搬送速度を設定した請求項1または2に記載の麺線切出し装置。
【請求項4】
主コンベアによって搬送される板状麺体をスリッタにより搬送方向に沿って切断して形成された両側の分割麺体を、一対の振分コンベアにより前記主コンベアから互いに離隔する方向に搬送して、それぞれ麺線カッタにより麺線に切り出す麺線切出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺線切出し装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の麺線切出し装置として、例えば特許文献1には、主搬送コンベアにより搬送される板状麺体を交互に受け取る第1振分コンベアおよび第2振分コンベアを備え、第1振分コンベアおよび第2振分コンベアが、主搬送コンベアの搬送方向とそれぞれ同一方向および反対方向に板状麺体を搬送して、麺線の切り出しを行う構成が開示されている。この麺線切出し装置は、主搬送コンベアにより搬送される板状麺体を、麺体ガイド機構により複数の振分コンベアに振り分けて麺線に切り出すことができるため、切り出し能力を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3798104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、麺線の切り出し能力をより向上させるため、第1振分コンベアの後段に麺体ガイド機構および振分コンベアを更に設けて麺体を振り分ける構成が開示されている。ところが、このように麺体ガイド機構や振分コンベアを増加させると設置スペースが増大するため、設置環境によっては切り出し能力の向上が困難な場合があった。また、振分コンベアが増加することで麺体の搬送距離が長くなるため、麺線の切り出しに時間がかかるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、省スペース化を図りつつ、麺線の切り出しを迅速に効率良く行うことができる麺線切出し装置および方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、板状麺体を搬送する主コンベアと、前記主コンベアによって搬送される板状麺体を搬送方向に沿って切断して分割するスリッタと、分割された板状麺体の両側の分割麺体を前記主コンベアから受け取って、前記主コンベアから互いに離隔する方向に搬送する一対の振分コンベアと、一対の前記振分コンベアにより搬送される分割麺体をそれぞれ麺線に切り出す麺線カッタとを備える麺線切出し装置により達成される。
【0007】
この麺線切出し装置において、一対の前記振分コンベアは、基端部が互いに近接して前記主コンベアと直交するように配置されていることが好ましく、前記主コンベアの直下から搬送方向前方に進退可能に配置されて、前記主コンベアが搬送する両側の分割麺体を、それぞれ一対の前記振分コンベアの基端部に載置するシャトルコンベアを更に備えることが好ましい。
【0008】
また、前記振分コンベアに順次搭載する複数の分割麺体の一部が重なり合うように、前記主コンベアおよび前記振分コンベアの搬送速度を設定することが好ましい。
【0009】
また、本発明の前記目的は、主コンベアによって搬送される板状麺体をスリッタにより搬送方向に沿って切断して形成された両側の分割麺体を、一対の振分コンベアにより前記主コンベアから互いに離隔する方向に搬送して、それぞれ麺線カッタにより麺線に切り出す麺線切出し方法により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、省スペース化を図りつつ、麺線の切り出しを迅速に効率良く行うことができる麺線切出し装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る麺線切出し装置の概略平面図である。
図2図1に示す麺線切出し装置を矢示A方向にみた概略正面図である。
図3図1に示す麺線切出し装置の作動の一例を説明するための概略側面図である。
図4図1に示す麺線切出し装置の作動の他の例を説明するための要部概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る麺線切出し装置の概略平面図であり、図2は、図1に示す麺線切出し装置を矢示A方向にみた概略正面図である。図1および図2に示すように、麺線切出し装置1は、主コンベア10、スリッタ20、シャトルコンベア30、一対の振分コンベア40,40および麺線カッタ50,50を、主な構成要素として備えている。
【0013】
主コンベア10は、例えばベルトコンベアであり、水平な搬送面11に板状麺体bを載置して、矢示方向に搬送する。板状麺体bは、小麦粉を原料とする麺生地を帯状に圧延した麺帯を、適宜の長さ(例えば、20〜60cm程度)で幅方向に切断して形成される。
【0014】
スリッタ20は、主コンベア10の上方に配置されており、回転駆動可能に支持された円板状の切刃21を備えている。切刃21は、搬送面11の直上に配置されており、板状麺体bの幅方向中央部を搬送方向に沿って切断して分割し、分割麺体d,dを形成する。切刃21による板状麺体bの切断を確実に行うため、搬送面11を幅方向の左右に分割して、これらの隙間に切刃21が挿入される構成であってもよい。この場合、搬送面11の上下に設けた切刃により板状麺体bを切断する構成にしてもよい。
【0015】
シャトルコンベア30は、図1に示すように、主コンベア10の搬送方向前部の直下である後退位置と、一対の振分コンベア40,40の基端部41,41の直上である前進位置(図1に破線で示す)との間で往復動するように、支持手段(図示せず)により支持されており、主コンベア10の直下から搬送方向前方に進退可能に配置されている。シャトルコンベア30は、主コンベア10から受け取った分割麺体d,dを搬送面31に載置し、主コンベア10の搬送方向と同方向に搬送する。
【0016】
一対の振分コンベア40,40は、基端部41,41が近接するように配置されており、主コンベア10からシャトルコンベア30を介して搬送面42,42に受け取った分割麺体d,dを、矢示のように互いに離隔する方向に搬送する。一対の振分コンベア40,40の搬送方向は、主コンベア10の搬送方向に対して平面視で直交することが望ましいが、傾斜方向であってもよい。
【0017】
麺線カッタ50,50は、例えば、特許第3155934号公報に開示されている包丁切りカッタであり、不図示の駆動機構により周回運動する包丁51,51を備えている。麺線カッタ50,50は、一対の振分コンベア40,40により搬送される分割麺体d,dを、それぞれ包丁51,51によって連続的に引き切りすることにより、麺線Lに切り出すことができる。麺線カッタ50の構成は特に限定されるものではなく、例えば、包丁51が単に上下動するだけの構成であってもよい。また、本実施形態の麺線カッタ50は、振分コンベア40による搬送方向に対して直交方向に分割麺体dを切断することで、分割麺体dを圧延方向に沿って沿って切断するように構成しているが、振分コンベア40による搬送方向に沿って分割麺体dを切断するように、複数の切刃を有する公知の切刃ロールを配置する等して、分割麺体dを圧延方向と直交する方向に切断して麺線Lに切り出してもよい。
【0018】
次に、上記の構成を備える麺線切出し装置の作動を、図3を参照して説明する。まず、図3(a)に示すように、主コンベア10により搬送される板状麺体b(破線)は、スリッタ20を矢示方向に通過することにより左右に分割されて、分割麺体dが形成される(図では一方の分割麺体dのみを示している)。
【0019】
ついで、図3(b)に示すように、シャトルコンベア30が後退位置から矢示方向に前進しながら、主コンベア10から搬送される分割麺体dを受け取ると、シャトルコンベア30は、分割麺体dを矢示方向に搬送しながら前進位置まで前進する。
【0020】
シャトルコンベア30により搬送される分割麺体dの先端が振分コンベア40に到達したことをセンサ(図示せず)が検知すると、図3(c)に示すようにシャトルコンベア30が後退位置に向けて徐々に後退し、分割麺体dが振分コンベア40に載置される。この後、分割麺体dが振分コンベア40によって麺線カッタ50(図1および図2参照)に向けて搬送され、麺線に切り出される。
【0021】
本実施形態の麺線切出し装置1によれば、主コンベア10により搬送される板状麺体bをスリッタ20により切断して分割麺体d,dを形成し、各分割麺体d,dを振分コンベア40,40に振り分けて麺線Lに切り出すことができるので、麺線Lの切り出しを短時間に完了することができる。したがって、設置スペースが増大することなく、麺線Lの切り出しを迅速に効率良く行うことができる。
【0022】
主コンベア10によって複数の板状麺体Bを搬送する場合、図4に示すように、振分コンベア40,40において、複数の分割麺体d,dの一部が互いに重なり合うように、主コンベア10および各振分コンベア40の搬送速度を設定することが好ましい。すなわち、主コンベア10の搬送速度を、各振分コンベア40の搬送速度よりも十分速くすることにより、シャトルコンベア30から各振分コンベア40への供給位置から分割麺体d,dが完全に移動する前に、次の分割麺体d,dが各振分コンベア40に供給されるため、分割麺体d,dの一部が重なった状態で麺線カッタ50により切断することができ、麺線Lの切り出しをより効率よく行うことができる。
【0023】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態の麺線切出し装置のスリッタ20は、主コンベア10により搬送される板状麺体bを、2つの分割麺体d,dに分割するように構成されているが、3つの分割麺体に分割するように構成してもよい。この場合は、両側の分割麺体を搬送する一対の振分コンベアに加えて中央の分割麺体を搬送する振分コンベアを設け、各振分コンベアの基端部が近接するように配置することで、各振分コンベアにより搬送される分割麺体を麺線に切り出すことができる。分割麺体は、スリッタ20により4つ以上形成して、それぞれ振分コンベアに振り分けることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 麺線切出し装置
10 主コンベア
20 スリッタ
30 シャトルコンベア
40 振分コンベア
50 麺線カッタ
図1
図2
図3
図4