(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6802617
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】燻製塩こんぶから生成される燻製こんぶ塩
(51)【国際特許分類】
A23L 27/40 20160101AFI20201207BHJP
A23L 17/60 20160101ALI20201207BHJP
A23L 3/00 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
A23L27/40
A23L17/60 102
A23L3/00 103
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-98978(P2020-98978)
(22)【出願日】2020年6月5日
【審査請求日】2020年6月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715008997
【氏名又は名称】田中 勝美
(72)【発明者】
【氏名】田中勝美
【審査官】
吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0029458(KR,A)
【文献】
'酒好きな大人の燻製おつまみ’,28-02-2013 uploaded, [Retrieved on 30-07-2020], Retrieved from the Internet:<URL: https://ameblo.jp/peatmore/entry-11478759137.html>
【文献】
'薫製風味のおしゃぶり昆布', 日経テレコン, [online], 日経MJ(流通新聞),2017年08月16日,p.,[Retrieved on 29-07-2020], Retrieved from the internet: <URL:http://t21.nikkei.co.jp>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
日経テレコン
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スモークチップ及びスモークウッド又はスモークリキッドなどの燻煙材料を用いて燻製器内部の温度管理で燻製する燻製方法であって、前記燻製方法には大きく分けて3つの燻製技術からなり、前記燻製器内部の温度が80℃から180℃の高温度帯で燻煙をかける熱燻法、また前記燻製器内部の温度が30℃から80℃の常温から高温の温度帯で燻煙をかける温燻法、前記燻製器内部の温度が15℃から30℃の低温度帯で燻煙をかける冷燻法、いずれかの燻製法によって燻製することが可能であって、前記燻製器に設置棚又は吊るす器具を用いて海藻こんぶを食塩を含む塩味調味料を塗した塩こんぶを前記熱燻、又は前記温燻、又は前記冷燻のいずれかで燻製する燻製塩こんぶ製造工程と、前記燻製された塩こんぶから前記塩味調味料を振るい落とす工程とで生成される燻製こんぶ塩の製造方法。
【請求項2】
前記熱燻は、前記燻製器内部で前記燻煙材料を高温に熱し着火させることで高温度の燻煙を発生させた前記燻製器内部は温度が高温で熱され水分や油分を蒸発させること、及び燻製食材に加熱することが可能な前記熱燻法であって、前記塩こんぶを少なくとも1分から数十分の時間で、少なくとも一回以上燻製可能であって、前記塩こんぶは、こんぶ部分と、前記こんぶ部分に付いている前記塩味調味料部分と、が、分離可能であって、前記塩味調味料の顆粒は前記こんぶの成分と、燻香を持ち合わせた独立した前記塩味調味料として生成されることを特徴とした請求項1に記載の燻製こんぶ塩の製造方法。
【請求項3】
前記温燻は、前記燻製器内部で前記燻煙材料を高温に熱し着火させることで常温から高温度の燻煙を発生させた前記燻製器内部で温度が30℃から80℃までの間で熱された前記燻煙によって水分や油分を蒸発させること、及び燻製食材を持続的に加熱することが可能な前記温燻法であって、前記塩こんぶを少なくとも1分から数時間の間で、少なくとも一回以上燻製可能であって、前記塩こんぶは、こんぶ部分と、前記こんぶ部分に付いている前記塩味調味料部分と、が、分離可能であって、前記塩味調味料の顆粒は前記こんぶの成分と、燻香を持ち合わせた独立した前記塩味調味料として生成されることを特徴とした請求項1に記載の燻製こんぶ塩の製造方法。
【請求項4】
前記冷燻は、前記燻製器内部で前記燻煙材料を高温に熱し着火させることで高温度の燻煙を発生させた燻煙発火装置と、前記燻製器と、をセパレート構造で分離した前記燻製器は、前記燻製器内部の温度が15℃から30℃までの間の温度帯に冷却調整するため煙道を設け、前記冷燻用に前記セパレートの煙道付き燻製器を用いて冷燻する燻製技術であって、前記冷燻の燻煙によって前記燻製食材を持続的に加熱することなく低温状態で燻製する前記燻製食材冷燻法であって、前記塩こんぶを少なくとも1分から数日の長時間の間で、少なくとも一回以上燻製可能であって、前記塩こんぶはこんぶ部分と、前記こんぶ部分に付いている前記塩味調味料部分と、が、分離可能であって、前記塩味の顆粒は前記こんぶの成分と、燻香を持ち合わせた独立した塩味調味料として生成されることを特徴とした請求項1に記載の燻製こんぶ塩の製造方法。
【請求項5】
前記塩こんぶを前記熱燻又は前記温燻のいずれの燻製方法において、前記塩味調味料を塗して前記塩こんぶと一緒に燻製する前記こんぶ塩の前記塩味調味料は、燻香及びこんぶ成分を前記塩味調味料に付着させることが可能であって、前記塩味調味料の塩分自体に前記こんぶの風味と燻香を纏わせることを可能とした請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の燻製こんぶ塩の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩こんぶを燻製したことで塩分調味料を含有するこんぶに付着する粉末の塩分調味料に燻香と、こんぶ本来の旨味を凝縮させた成分と、が、吸収され塩の風味に変化を齎した塩こんぶの燻製方法と塩分調味料の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術について、これまでの塩こんぶは、こんぶを醤油、みりん、砂糖などの調味液で炊き上げ、程よい水分量を残して乾燥させたこんぶの表面に塩味を構成する粉末調味料を塗して商品化されていたものが一般的な塩こんぶであった。現在市場にて販売されている多くの塩こんぶは、こんぶを煮炊きする調味液の成分及び調味料に差別化を図るために隠し味など様々な風味や味付けが施された塩こんぶが確認できている。このように商品化された塩こんぶは、ご飯やおにぎり又はお茶漬けだけではなく、漬物や炒め物などの様々な料理に活用できる食材であることが背景にある。
【0003】
上述の、従来の塩こんぶは、あらゆる食材と組み合わせが可能である旨味成分を多く含む副食であり、また調味料としても有効であることから料理に多様性を齎す食材としてもポテンシャルが高く、塩味、甘味、酸味、旨味、風味など料理に必要な要素が一つの商品でまとめられた優れた食品であることは言うまでもないのだが、塩こんぶ全体が概ね共通した味感覚であり突出した味わいの商品が少ないのも事実である。
【0004】
さらに先行技術として、粉粒状調味料があるが、(A)醤油、味噌、液体だし、柑橘成分及び食肉・魚介由来のエキスから選ばれる1種又は2種以上の調味料である賦香成分含有調味料を真空凍結乾燥後粉砕して得られた粉粒体及び(B)結晶化又は加熱を伴う手段で粉粒化された、食塩、砂糖、ブドウ糖、アミノ酸系調味料及び核酸系調味料から選ばれる1種又は2種以上の調味料である味の濃い調味料を含有する粉粒系調味料がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開 2016−19473号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた、従来の塩こんぶは、如何に味付けや風味付けを工夫して塩こんぶに特徴を持たせるかが、商品開発の課題でありました。現在市場に流通している塩こんぶは概ね共通する製造技術であり商品の差別化を図るため様々な製造技術が考案されている中で、特に先行技術に述べたように真空凍結乾燥粉砕及び結晶化又は加熱による粉粒化の粉粒系調味料の製造方法もあり、これまでの製造方法とは異なる製造方法を実現することが求められた。
【0007】
また、従来の塩こんぶは、製造工程でこんぶの水分量を調整し適度な乾燥を施して商品化されるものであるが、塩こんぶの乾燥状態によっては食感の違いが生まれることもあり、副食としてご飯、おにぎり、お茶漬けなどの塩味調味料として活用することもあり、また料理の出汁としてこんぶエキスの旨味成分と塩味を隠し味として使うこともあるが、塩こんぶの旨味成分と塩味に多様性を持たせた塩こんぶや、風味付けという香りの要素を加えて食感の差別化を図った塩こんぶはこれまで市場には少なく、風味、食感など新食感の塩こんぶを作るためにこれまでにない技術を開発する必要があり、塩こんぶ自体の素材を十分に活かした加工方法を目的として実現する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして本発明は、上記目的を達成するために、燻製材料を着火させて燻煙を燻製器内部に充満させ、燻製する食材を容器及びトレー又はメッシュ構造の棚を設けて少なくとも一段以上の段構造の置き棚、又は吊るし器具を用いて燻製器内部で吊るす態様で多くの燻煙を纏わせるために用いられる構造の燻製する技術であって、この燻製技術は熱を温度調整することで燻製することが可能な技術であって、大きくは3つの燻製製造のカテゴリーに分けられる。 この温度調整による燻製技術は、熱燻、温燻、冷燻の燻製技術であり、熱燻は、温度帯が80℃から140℃の高温で燻製する技術であり、また温燻は、温度帯が30℃から80℃の常温から高温で燻製する技術であり、また冷燻は、温度帯が18℃から30℃の比較的低い温度帯で燻製する技術である。 この温度帯を実現するためにそれぞれの燻製器の構造も異なり、燻煙温度を調整するために燻製器の形状および燻製器に煙道機能を設けて燻製することで、それぞれの燻製する完成品に違いが生まれ、それぞれの食品の差別化が図れる技術であり特徴でもある。 この燻製技術を用いて燻製される食材は塩こんぶであり、燻製するそれぞれの製造技術によって、燻製材料の木材の種類を一種又は二種以上の調合で薫香を変えることが可能であり、また燻製時間や回数又は燻煙を定着させるために置く時間などを必要とすることで燻香に大きな違いが出てくる。このように、燻香の種類、加熱方法、乾燥状態などを工夫することで好みの燻製塩こんぶを製造することが可能となり燻製する塩こんぶの完成品に合わせた多様なレシピ構築が実現可能となる。 また注意しなければならない点として、燻製する環境で大きく影響する外温度、又は燻製器内温度及び、湿度に適宜合わせた燻製製造方法を確立することでより完成度の高い塩こんぶができる。 以上、当該燻製塩こんぶは、熱燻、又は温燻、又は冷燻で違いが生じるように製造方法を分けて行うことにより、食品としての差別化が実現でき、また塩こんぶに新たな食品の製造技術として燻製技術が加わったことで、それぞれの燻製工程において、乾燥具合、旨味の濃縮度合、食感や燻香の差別化などが可能となるようにしたものである。
【0009】
また、第2の解決手段は、熱燻法を用いた燻製方法であって、燻製器内部の温度を80℃以上の高温に熱し、塩こんぶに高熱処理を施しながら燻煙を定着させる方法であり、塩こんぶを高温に熱し水分が適度になくなり乾燥状態にしつつも燻煙をまとわせて塩こんぶの食感と香りを変化させることを目的としたものである。
【0010】
また、第3の解決手段は、温燻法を用いた燻製方法であって、燻製器内部の温度を30℃から80℃の温度帯で温度管理して常温から高温に熱しながら時間をかけて塩こんぶに温熱処理を施しながら燻煙を定着させる方法であり、塩こんぶに時間をかけて常温から高温に熱する製法で水分が適度になくなり乾燥状態にしつつも燻煙をまとわせて塩こんぶの食感と香りを変化させることを目的としたものである。
【0011】
また、第4の解決手段は、冷燻法を用いた燻製方法であって、燻製器内部の温度を18℃から30℃の低温度帯から常温度帯に保つために燻煙の熱を直接的に当たらないように煙道を用いたセパレート燻製器であって、燻製材料を熱する加熱発火器具に燻製材料を入れた金属製の器を設置した燻煙を発生させる燻煙器と、燻製する塩こんぶ等の食材を入れて設置する燻製器と、が、セパレートで分離されており、煙道を設けることで高温の燻煙が徐々に冷却されて塩こんぶに低温処理を施しながら燻煙を定着させる方法であり、塩こんぶを低温状態で水分を適度に保持したまま燻煙をまとわせ塩こんぶの食感はそのままで香りを定着させることを目的としたものである。
【0012】
また、第5の解決手段は、熱燻及び温燻方法のいずれの技術においても、本来の塩こんぶに纏わせた塩味調味料は増量可能であって、塩こんぶに増量した塩味調味料を塗して塩こんぶのエキス成分が塩味調味料に付与されることを目的とした塩こんぶの製造工程における塩味成分増量製法を確立した燻製技術であり、燻製塩こんぶの製造過程で生成されるこんぶ塩である。
【発明の効果】
【0013】
上述したように本発明の塩こんぶを燻製する技術において、熱燻及び、温燻及び、冷燻は、いずれも塩こんぶに燻煙を纏わせて塩こんぶの食感に燻煙のフレーバーを加えることが可能となった。本来の塩こんぶの味や風味に燻製という味わいを持たせる燻香定着と乾燥保存の技術を施すことで、新たな味覚、風味、食感などが加わり燻煙の成分がひときわ食品としての価値を高める効果が表れた。この塩こんぶの燻製の製造工程は、熱燻、温燻、冷燻などの製造方法で燻製した塩こんぶの仕上がりは異なるが、こんぶ自体の風味や食感は異なる仕上がりとなり、それぞれが違う食感となって特徴的になるという効果がある。 塩こんぶを燻製する工程でこんぶに塗された塩味調味料も、こんぶの成分を乾燥する過程で十分にこんぶからエキスを含んで、燻煙を塩分が水分を吸い込むときに融合する効果により味覚や風味も変化し、塩こんぶから派生する塩味調味料として新たな食品としての調味料が生まれたことが本発明の特徴であり、塩こんぶの製造工程で生成される副産物のこんぶ塩が、これまでにない燻製塩こんぶの発明の効果である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態で熱燻の燻製方法を実現する燻製器内部構造を示す側面図
【
図2】同実施形態で温燻の燻製方法を実現する燻製器内部構造を示す側面図
【
図3】同実施形態で冷燻の燻製方法を実現する燻製器内部構造を示す側面図
【
図4】同実施形態の燻製技術である燻煙を発生させる構造を示す側面図
【
図5】同実施形態の燻製器内部の塩こんぶを配置した使用状況を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図5に基づいて説明する。
【0016】
図において、1は燻製器本体、1-aは熱燻用燻製器、1-bは温燻用燻製器、1-cは冷燻用燻製器、2は燻製器内部に設けられた棚部、3は燻製器内部における燻煙を発生させるための加熱装置、4は加熱装置3の上部に配置し燻煙を発生させるための燻製材料容器、5は燻製器本体1の燻煙発生において発火するために必要な酸素を燻製器内部に取り込むために設けられた通気孔、6は冷燻燻製器1-cのセパレート構造で燻煙発生装置及び燻煙を一時冷却する機能のための煙道、7は加熱装置3の発火及び発熱する発火熱源部、8は燻製材料容器4に投入し燻煙原料のスモークチップ及びスモークウッドである燻製材料、9は燻製器内部の棚部に適宜配接された燻製する食材の塩こんぶである。
【0017】
図2は、燻製器内部の加熱装置の近接に位置した棚部2で高熱の燻煙が充満する構造の熱燻用燻製器1-aであり、
図3は、燻製器内部の加熱装置3と、の間に適宜間隔を設けた棚部2で、燻製器内部の空間で充満する燻煙の温度を調整する構造の温燻用燻製器1-bであり、
図4は、燻製器内部の加熱装置3と燻製器内部の棚部2と、をセパレート構造で分けて燻煙を冷却するための煙道6で常温度帯の燻製を実現可能にした構造の冷燻用燻製器1-cであり、熱燻及び温燻及び冷燻の温度帯を実現可能な燻製器を表したものである。
【0018】
図4は、燻製器本体1の内部構造を分割し拡大表示した図であり、加熱装置3はガス器具又は電気コンロなどの加熱可能な器具で加熱する態様であり、ガス又は電気コンロの上部に燻製材料容器を設置し加熱することで燻製材料が発熱発火し燻煙を発生させる機能を特徴としており、加熱装置3の上部に位置する発火熱源部7の発火機能はガス又は電気のいずれも高温に加熱可能で燻製材料容器4の底面部分を発火点に至る高温に加熱することが可能な燻煙発生装置となっている。
【0019】
図5は、燻製器内部の燻煙が器内に充満した時の、燻製する塩こんぶ9の製造工程における仕様を表したもので、棚2はトレー又はメッシュ構造で塩こんぶ9を満遍なく広げて塩こんぶ9全体に燻煙を纏わせることが可能な状況を示している使用状況を表したものである。
【実施例1】
【0020】
以下、上記燻製器の構造と、燻製製造工程と、を燻製方法別に示した
図1から
図5までの実施例と、塩こんぶ9の燻製技術から派生する食品生成を段階別に示した1実施例を説明する。
図1は本発明の塩こんぶ9の熱燻燻製方法に最適な温度帯を実現するための燻製器構造と技術であり、80℃から180℃の高温度帯で食材である塩こんぶ9に加熱調理方法の焼く工程を加えながら、塩こんぶ9を焼くことで風味と味覚と食感に変化を齎し、通常の塩こんぶ9とは異なる食材にすることが可能となり、これに燻煙で燻製材料8のスモークチップ及びスモークウッドの燻香を加えることでサクサク食感の濃厚なこんぶエキスと燻製のフレーバーが加わった塩こんぶ9となり、また乾燥状態になった塩こんぶ9からは塗された塩味調味料がこんぶエキスを含み、その粒子状の塩味調味料が振るい落とされ分離することで副産物として、こんぶ塩が生成されることとなり、燻製された調味料として食品化できたことが熱燻における効果であり新たな食材の発明であるということ表した実施例である。
【0021】
また、
図2は本発明の塩こんぶ9の温燻燻製方法に最適な温度帯を実現するための燻製器構造と技術であり、30℃から80℃の常温から高温度帯で食材である塩こんぶ9に加熱調理する方法を用いて、常温における軽度の乾燥状態から高温の加熱工程を加えながら、塩こんぶ9に時間と回数をかけて燻煙を十分に定着することで風味と味覚と食感に変化を齎し、通常の塩こんぶ9とは異なる食材にすることが可能となり、これに燻煙で燻製材料8のスモークチップ及びスモークウッドの燻香を加えつつ若干の水分を保持したままで塩こんぶ9の表面に塗された塩味調味料に濃厚なこんぶエキスと、燻製のフレーバーが加わり塩こんぶ9の風味が豊かになる。 また80℃の高温度帯で乾燥した状態のこんぶから塩味調味料にこんぶエキスを含んだ粒子状の塩味調味料が振るい落とされ分離し、副産物としてこんぶ塩が生成されることとなり、調味料として食品化できたことが温燻における効果であり新たな食材の発明であるということ表した実施例である。
【0022】
また、
図3は本発明の塩こんぶ9の冷燻燻製方法に最適な温度帯を実現するための燻製器構造と技術であり、15℃から30℃の低温から常温度帯で食材である塩こんぶ9に燻す調理方法を加え、塩こんぶ9を燻すことで風味と味覚と食感に変化を齎し、通常の塩こんぶ9とは異なる食材にすることが可能となった。これに燻煙で燻製材料8のスモークチップ及びスモークウッドの燻香を加えることで濃厚な燻製のフレーバーが加わった塩こんぶ9となった。またこんぶに塗された塩味調味料にこんぶのエキスと燻香を含んだ粒子状の塩味調味料ができ、従来の塩こんぶ9の調理方法に新たな調味材料として食品化できたことが冷燻における効果であり新たな食材の発明であるということ表した実施例である。
【0023】
図4は燻製器内部の構造と燻製を実現するための機材や道具及び燻製する食材の位置関係を表したものである。
燻製器内部の底面部に加熱装置3を配置し、加熱装置3の上部にはガスによる発火発熱源7、又は電気コンロなどの発熱装置である発火熱源部7など加熱発火する機能を有した加熱装置3を備え、その上部分には燻製材料8を入れるための容器として金属製の燻製材料容器4を配設し、この燻製材料容器4に燻製材料8を入れて加熱装置3を着火及び通電起動させることで燻製材料8に発火点に至る高温度の熱源が伝道し燻製材料が発火し燻煙が発生する。
また、このように燻煙が発生すると燻製器内部は高温度帯となり内部において上昇気流が発生し燻煙が回流して濃密な燻煙が充満することで棚2に散布配接した塩こんぶ9などの食材に燻煙がかかり時間、回数、温度の調整で、熱燻又は温燻などの加熱、及び冷燻などの低温から常温の燻製工程でそれぞれの求める食材の完成形態に近づけることが可能となった実施部材の構成を表した実施例である。
【0024】
図1から
図5の燻製器内部における棚2は少なくとも1段以上の棚2部で構成し、棚2はトレー状又はメッシュ状からなる塩こんぶ9を満遍なく散らばらし、出来るだけ重なる部分を少なくするように広く散らすことを目的とした形状であって、出来るだけ燻煙が浸透しやすいように燻煙の回流が全体的にかかる構造を実現する態様の燻製器である。
また、燻製器には加熱装置3にサーモスタットやタイマーなどを用いて温度や時間を制御するための機能も加えることが可能であって、加熱装置3の発火熱源部7をオンとオフに切り替え温度調整をサーモスタットで制御管理することで燻製器内部の温度管理ができるようになったということに加え、温度、湿度、時間、回数など燻製器本体1に最適な燻製環境を整えるために燻製器の形状や内部構造の構成は多機能や多様性を求めた構造が実現可能であって、例えば通気孔5の位置、棚2の位置、食材を吊るすためのフック機能、加熱装置の種類、内部空調機材の設置、冷燻用の温度冷却装置など、他の機能を構成しても燻製可能であることを特徴とした実施例である。
【実施例2】
【0025】
本発明の塩こんぶ9の燻製技術において製造方法の留意するべき実施例を記載する。
まず燻製において細心の注意を払うべき点は、燻製材料である木材の選定、燻製器の機材器具の選定、また燻製時の温度、湿度、時間、定着させる時間、回数など必須となる工程の管理、また燻製する食材の味付け、質量などを考慮したレシピの作成、製造工程には十分な衛生管理のもと、火器の取り扱いの注意、燻煙の排煙設備及び排煙環境を整備すること、また、燻製後の食品の取り扱いなど、食品衛生に十分配慮することが必要である。
とりわけ熱燻においては高温で塩こんぶ9を焼く工程が加わることから、短時間に焦がさないように燻製する必要がある。時間管理と温度管理を間違えると焦がしすぎて炭となってしまうことがあり、温度調整を秒、分単位で管理することが求められるため細心の注意が必要である。
温燻や冷燻も燻製には一定のクオリティを求められるため前述の熱燻における注意事項と同様の工程管理が必要である。
以上の実施例はあくまで塩こんぶ9を燻製することを目的とした燻製方法であるが、他の食材の燻製においても上述の工程管理は必然であることを示しておくものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
燻製技術を用いた塩こんぶの燻製工程から派生する副産物として燻製塩味調味料を発見したことで、燻製したこんぶ塩という新たな調味料の製造に関連した商品の製造開発に役立ち、食品食材の提供、市場への流通、料理や調理関係の業態にて利用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 燻製器
1-a 熱燻用
1-b 温燻用
1-c 冷燻用
2 棚(トレー又はメッシュ棚)
3 加熱装置
4 燻製材料容器
5 通気孔
6 煙道
7 発火熱源部
8 燻製材料(スモークチップ又はスモークウッド)
9 塩こんぶ
【要約】
【課題】従来の塩こんぶは、副食として、または様々な料理に調味料として加えたり料理の味に深みを与える食材として、その用途は幅広くこんぶ成分が出汁としても使える食材であったのだが、より多彩な料理の進化や新たな食材が求められる中で、従来の技術から応用した幅広い食品の開発を実現する課題があった。
【解決手段】本発明は、塩こんぶを、熱燻、温燻、冷燻のいずれかで燻製した塩こんぶであり、その製造過程で派生する副産物として燻製した塩味調味料を生成することが可能となったものであり課題を解決するものである。
【選択図】
図1