(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体発光素子は、前記一方の金属プレートから突出しその上面が、接合される前記半導体発光素子の接合面とほぼ同一形状寸法を有する台座部上に接合されることを特徴とする請求項3に記載の半導体発光装置の製造方法。
前記金属プレートの夫々は、該金属プレートの夫々を貫通して実装時に位置決め及び嵌挿固定を行う貫通孔を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
金属プレートからなる基台プレートおよび積層プレートが、各々を被覆する樹脂被覆層同士の接着により積層されてなる金属積層本体部と、前記基台プレートおよび前記積層プレートの夫々から互いに平行に延設された受電用の電極端子と、を備えた金属積層基板と、
前記基台プレートの上面に形成される前記樹脂被覆層が被覆されていない部分に接合された半導体発光素子と、
前記積層プレートの上面に形成される前記樹脂被覆層が被覆されていない部分に、前記半導体発光素子の素子電極に接合された一端部から延びる他端部が接合されたボンディングワイヤと、
を備え、
前記基台プレートおよび前記積層プレートを被覆する前記樹脂被覆層は、ポリアミドイミド、ポリイミド及びポリアミドのうちのいずれかからなり、
前記金属積層本体部は、前記基台プレートおよび前記積層プレートを連続して貫通する貫通孔を有し、
前記基台プレートの上面に、前記半導体発光素子を接合するための台座部が形成され、
前記台座部は、当該基台プレートの上面から所定の高さに突出し、
当該台座部の上面は、前記樹脂被覆層が被覆されていない部分に対応すると共に、接合される半導体発光素子の接合面とほぼ同一形状寸法の素子接合面であり、
前記半導体発光素子は、Au−Sn共晶接合によって前記台座部の上面に接合され、
前記積層プレートは、その厚み方向に貫通する他の貫通孔を有し、前記他の貫通孔により前記台座部を収容するキャビティが構成され、
前記キャビティの内側面は、前記樹脂被覆層が被覆されていない部分を含み、
前記キャビティ内に、前記半導体発光素子及び前記ボンディングワイヤを覆う透光性樹脂が充填されており、
前記金属積層基板上に、前記基台プレートを被覆する前記樹脂被覆層と同一材料であり、当該樹脂被覆層と接着する樹脂被覆層により被覆される他の金属プレートが積層される
ことを特徴とする半導体発光装置。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体発光装置を光源に用いた車両用灯具(特に、ヘッドランプ)が実用化され、それに伴って半導体発光装置の高輝度化が求められている。半導体発光装置の高輝度化に対しては主に発光源の半導体発光素子の大型化及び半導体発光素子の駆動電流の大電流化によって対応される。但し、半導体発光素子を大電流で駆動(点灯)すると半導体発光素子の発熱量が増大して自己発熱により半導体発光素子の温度が上昇する。その結果、半導体発光素子の温度上昇に起因する光変換効率の低下によって発光光量が低減すると共に、同様に半導体発光素子の温度上昇に起因する半導体発素子の劣化によって発光寿命が短縮し、高い信頼性及び適切な照射光量を確保することが困難になる。
【0003】
そこで、半導体発光装置において、高い信頼性及び適切な照射光量を確保するためには、半導体発光素子の発熱に対する放熱性能を向上させて半導体発光素子の自己発熱による温度上昇を抑制する必要があり、それによって半導体発光装置の低消費電力化にも寄与するものである。
【0004】
従来、この種の半導体発光素子としては、特許文献1に「発光装置」の名称で開示されたものがある。
【0005】
開示された発光装置は、2層構造の積層型アルミナ基板にLEDチップが接合された構成からなるものである。
【0006】
具体的には
図9にあるように、第1層アルミナシート80と第2層アルミナシート81が貼り合わされて2層構造の積層型アルミナ基板82が形成されると共に、第2層アルミナシート81の上面に形成された金属膜からなる一対の電極パッド83と第1層アルミナシート80の裏面に形成された金属膜からなる一対の裏面引出し電極84の夫々が、内部にAg(銀)が埋め込まれた複数のスルーホール85を介して電気的に接続されている。
【0007】
LEDチップ86は、LED発光層87上にp電極88及びn電極89が形成されて夫々の電極88、89の一部が絶縁保護膜(図示せず)から露出し、絶縁保護膜から露出したp電極88及びn電極89の夫々がAuバンプ90及び銀ペースト91を介して積層型アルミナ基板82の一対の電極パッド83の夫々に機械的且つ電気的に接合されている。LEDチップ86は更に、LEDチップ86と積層型アルミナ基板82との間に充填されたアンダーフィル樹脂92によって積層型アルミナ基板82上に固定されている。これにより、LED発光層87で発光した光は、LED発光層87に対してp電極88及びn電極89が位置する側と反対側に位置する、透光性を有するサファイア基板93を透過して外部に出射される。
【0008】
この場合、積層型アルミナ基板82において、第2層アルミナシート81の上面に形成された一対の電極パッド83と第1層アルミナシート80の裏面に形成された一対の裏面引出し電極84とが、内部に銀が埋め込まれた複数のスルーホール85を介して接続されているため、良好な熱伝導性及び良好な耐熱特性を有するもの、とされている(特許文献1参照)。
【0009】
また、
図10にあるように、赤色LED111、緑色LED112及び青色LED113が実装されたサブマウント基板114を、背面にヒートシンク115が接合されたメタルコア基板116の、配線基板117が形成されていない金属剥き出し部分に搭載することにより、ヒートシンク115の冷却機能によってLED(111〜113)の熱を放熱する構造の「光源モジュール」も開示されている(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記構成からなる特許文献1の発光装置100は、LEDチップ86の発光時の発熱が、LEDチップ86のp電極88及びn電極89、積層型アルミナ基板82の一対の電極パッド83、内部に銀が埋め込まれた複数のスルーホール85、及び一対の裏面引出し電極84を順次伝導されて外部に逃がされる。その場合、伝熱経路にAuバンプ90やスルーホール85等の断面積が小さい部分が存在するために熱抵抗が大きくなり、放熱効率が低下してLEDチップ86の自己発熱による温度上昇を十分に抑制することが困難である。
【0012】
一方、特許文献2の光源モジュール110は、サブマウント基板114に対する各LED(111〜113)の実装時の位置決め手段及びメタルコア基板116に対するサブマウント基板114の搭載時の位置決め手段が明確にされておらず、光源モジュール110に対して各LED(111〜113)の位置ずれが生じるおそれがある。光源を含む光学系において光軸ずれを極力抑えることが求められる車両用灯具(特に、ヘッドランプ)においては、各LED(111〜113)の位置ずれが配光特性及び配光品質の低下の要因となる。
【0013】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、発光源の半導体発光素子の発熱に対して優れた放熱効果を有すると共に、灯具実装時に位置ずれが抑制できて光学精度を高めることができる半導体発光装置の製造方法及び半導体発光装置を提供することにある。
更に、過負荷環境にさらされた場合であっても極めて高い強度維持率を保持する金属積層基板を備えた半導体発光装置の製造方法及び半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、2枚の金属プレートの夫々に、耐熱性及び絶縁性を有する電着塗料を用いた電着塗装によって塗装膜を析出させる工程と、前記2枚の金属プレートのうち一方の金属プレートの塗装膜に加熱処理を施して完全硬化させると共に他方の金属プレートの塗装膜に加熱処理を施して半硬化させる工程と、前記完全硬化の塗装膜を有する
前記一方の金属プレートと前記半硬化の塗装膜を有する
前記他方の金属プレートを
、前記一方の金属プレートの上方側に前記他方の金属プレートが位置するよう重ね合わせて加圧加熱処理を施して前記半硬化の塗装膜を完全硬化させることにより、前記2枚の金属プレートが完全硬化した塗装膜で接着されてなる2層構造の金属積層基板を形成する工程と、前記金属積層基板の一方の金属プレートの上面に形成される前記塗装膜が被膜されていない部分に半導体発光素子を接合し、他方の金属プレートの上面に形成される前記塗装膜が被膜されていない部分に、一端部を前記半導体発光素子の素子電極に接合したボンディングワイヤの他端部を接合する工程と、を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記電着塗料は、ポリアミドイミド、ポリイミド及びポリアミドのうちのいずれかからなることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2において、前記半導体発光素子は、共晶接合によって接合されることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、請求項3において、前記半導体発光素子は、前記一方の金属プレートから突出しその上面が、接合される前記半導体発光素子の接合面とほぼ同一形状寸法を有する台座部上に接合されることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項5に記載された発明は、請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、前記金属プレートの夫々は、受電用の電極端子部を有することを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の請求項6に記載された発明は、請求項1〜請求項5のいずれかにおいて、前記金属プレートの夫々は、該金属プレートの夫々を貫通して実装時に位置決め及び嵌挿固定を行う貫通孔を有することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項7に記載された発明は、金属プレートからなる基台プレートおよび積層プレートが、各々を被覆する樹脂被覆層同士の接着により積層されてなる金属積層本体部と、前記基台プレートおよび前記積層プレートの夫々から互いに平行に延設された受電用の電極端子と、を備えた金属積層基板と、前記基台プレートの上面に形成される前記樹脂被覆層が被覆されていない部分に接合された半導体発光素子と、前記積層プレートの上面に形成される前記樹脂被覆層が被覆されていない部分に、前記半導体発光素子の素子電極に接合された一端部から延びる他端部が接合されたボンディングワイヤと、を備え、前記基台プレートおよび前記積層プレートを被覆する前記樹脂被覆層は、ポリアミドイミド、ポリイミド及びポリアミドのうちのいずれかからなり、前記金属積層本体部は、前記基台プレートおよび前記積層プレートを連続して貫通する貫通孔を有し、前記基台プレートの上面に、前記半導体発光素子を接合するための台座部が形成され、前記台座部は、当該基台プレートの上面から所定の高さに突出し、当該台座部の上面は、前記樹脂被覆層が被覆されていない部分に対応すると共に、接合される半導体発光素子の接合面とほぼ同一形状寸法の素子接合面であり、前記半導体発光素子は、Au−Sn共晶接合によって前記台座部の上面に接合され、前記積層プレートは、その厚み方向に貫通する他の貫通孔を有し、前記他の貫通孔により前記台座部を収容するキャビティが構成され、前記キャビティの内側面は、前記樹脂被覆層が被覆されていない部分を含み、前記キャビティ内に、前記半導体発光素子及び前記ボンディングワイヤを覆う透光性樹脂が充填されて
おり、前記金属積層基板上に、前記基台プレートを被覆する前記樹脂被覆層と同一材料であり、当該樹脂被覆層と接着する樹脂被覆層により被覆される他の金属プレートが積層されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の半導体発光装置の製造方法及び半導体発光装置によれば、2枚の金属プレートの夫々に、耐熱性及び絶縁性を有する電着塗料を用いた電着塗装によって塗装膜を析出させ、一方の金属プレートの塗装膜に加熱処理を施して完全硬化すると共に他方の金属プレートの塗装膜に加熱処理を施して半硬化させた後、重ね合わせて加圧加熱処理を施して半硬化の塗装膜を完全硬化させることにより、2枚の金属プレートが完全硬化した塗装膜で接着されてなる2層構造の金属積層基板を形成し、該金属積層基板の一方の金属プレートに半導体発光素子を接合し、他方の金属プレートに、一端部を半導体発光素子の素子電極に接合したボンディングワイヤの他端部を接合した。
【0023】
その結果、半導体発光素子の発熱が効率よく放熱される。同時に、塗装膜をポリアミドイミド、ポリイミド及びポリアミドのうちのいずれかで形成することにより、半導体発光素子が接合されて該半導体発光素子からの熱が伝導された金属プレートからの輻射効率が改善され、これによっても半導体発光素子の発熱が効率よく放散される。
【0024】
また、金属積層基板には灯具実装時に位置決め及び嵌挿固定を行う貫通孔が設けられており、これにより半導体発光装置に対して累積誤差のない基準を提供すると共に灯具の光学精度を高めることに寄与するものとなり、灯具の配光品位を極めて優れたものにすることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の好適な実施形態を
図1〜
図8を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0027】
図1は本発明に係る実施形態の半導体発光装置を斜め上方から見た斜視説明図、
図2は
図1のA−A断面説明図である。
【0028】
実施形態の半導体発光装置1は、夫々が金属プレートからなる基台プレート10及び積層プレート30の2枚のプレートが、優れた耐熱性及び絶縁性を有するポリアミドイミド、ポリイミドあるいはポリアミド等からなる樹脂被覆層53で接着されて2層構造の金属積層基板50が形成されている。
【0029】
金属積層基板50を構成する一方の基台プレート10は、中央部に位置する本体部16と、本体部16の一方の側に延びる電極端子17と、本体部16を挟んで電極端子17と反対方向に延びる支持端子18を備え、他方の積層プレート30は、基台プレート10の本体部16と貼り合わされてなる本体部36と、本体部36から基台プレート10の電極端子17の延長方向に該電極端子17と平行に並設された電極端子37を備えている。
【0030】
電極端子17、37は、外部から給電される電力を受電する受電用の端子となるもので、半導体発光装置1を灯具に搭載する際に、外部電源に繋がる電気接続用のコネクタに嵌合される。そのため、Snメッキ等の表面処理を施して電気的な接触不良を防止するように図られている。
【0031】
金属積層基板50の、基台プレート10の本体部16と積層プレート30の本体部36が貼り合わされて接着されてなる積層本体部51には、積層プレート30に、基台プレート10を底部とすると共に厚み方向に底部側から開口側に向かって開く貫通孔からなる第1キャビティ31及び第2キャビティ32の2つのキャビティが設けられている。
【0032】
第1キャビティ31及び第2キャビティ32の夫々の底部には、基台プレート10から所定の高さに突出する第1台座部11及び第2台座部12が設けられ、第1台座部11及び第2台座部12の夫々の上面は、接合される半導体発光素子(例えば、LED)2及び保護素子(例えば、ツェナーダイオード)3の夫々の接合面とほぼ同一形状寸法の素子接合面を有しており、各素子接合面には金等のはんだ濡れ性が良好な金属材料によるメッキが施されて第1ダイボンディングパッド11b及び第2ダイボンディングパッド12bが形成されている。
【0033】
また、第1キャビティ31の内側面にワイヤ接合面を有すると共に第2キャビティ32の内側面にワイヤ接合面を有しており、各ワイヤ接合面には金等のはんだ濡れ性が良好な金属材料によるメッキが施されて第1ワイヤボンディングパッド31b及び第2ワイヤボンディングパッド32bが形成されている。
【0034】
そして、第1キャビティ31内の第1ダイボンディングパッド11b上にはAu−Sn共晶接合によって半導体発光素子2が接合され、第2キャビティ32内の第2ダイボンディングパッド12b上にはAu−Sn共晶接合によって保護素子3が接合されている。これにより、半導体発光素子2の下部電極と保護素子3の下部電極がともに基台プレート10に電気的に接続されている。
【0035】
また、ボンディングワイヤ4の一端部が半導体発光素子2の上部電極に接合されて他端部が第1ワイヤボンディングパッド31bに接合され、ボンディングワイヤ4の一端部が保護素子3の上部電極に接合されて他端部が第2ワイヤボンディングパッド32bに接合されている。これにより、半導体発光素子2の上部電極と保護素子3の上部電極がともにボンディングワイヤ4を介して積層プレート30に電気的に接続されている。
【0036】
そして、半導体発光素子2が収容された第1キャビティ31内には透光性樹脂5が充填されて半導体発光素子2及びボンディングワイヤ4が樹脂封止され、保護素子3が収容された第2キャビティ32内には遮光性樹脂6が充填されて保護素子3及びボンディングワイヤ4が樹脂封止されている。
【0037】
第1キャビティ31内に充填された透光性樹脂5は、半導体発光素子2を水分、塵埃及びガス等の外部環境から保護し、且つボンディングワイヤ4を振動及び衝撃等の機械的応力から保護する。また、透光性樹脂5は半導体発光素子2の光出射面とで界面を形成することにより、半導体発光素子2の発光光を該半導体発光素子2の光出射面から透光性樹脂5内に効率良く出射させて光の利用効率を高める機能も有している。
【0038】
なお、半導体発光装置1の照射光に白色光が求められる場合は、半導体発光素子2に青色光を発光する青色発光素子を用いると共に透光性樹脂5に青色光に励起されて青色光の補色となる黄色光に波長変換する黄色蛍光体を混和することにより、青色発光素子から出射された青色光の一部が黄色蛍光体を励起することによって波長変換された黄色光と、青色発光素子から出射された青色光の一部との加法混色によって白色光に近い色相の光を得ることができる。
【0039】
また、黄色蛍光体の代わりに、青色光に励起されて緑色光に波長変換する緑色蛍光体と赤色光に波長変換する赤色蛍光体との混合蛍光体を混和することにより、青色発光素子から出射された青色の一部が緑色蛍光体を励起することにより波長変換された緑色光と、青色光の一部が赤色蛍光体を励起することにより波長変換された赤色光と、青色発光素子から出射された青色光の一部との加法混色によって白色光を得ることもできる。
【0040】
さらに、半導体発光素子の発する光の波長と透光性樹脂に混和する蛍光体の種類とを適宜に組み合わせることにより、白色光以外の種々な色相の光を得ることができる。
【0041】
第2キャビティ32内に充填された遮光性樹脂6は、保護素子3を水分、塵埃及びガス等の外部環境から保護し、且つボンディングワイヤ4を振動及び衝撃等の機械的応力から保護する。また、保護素子3の光電効果を抑制して安定した電気的特性を保持する。
【0042】
金属積層基板50の積層本体部51にはさらに、基台プレート10及び積層プレート30を厚み方向に同心状に連続して貫通する一対の貫通孔52が設けられている。この貫通孔52は、半導体発光装置1の灯具への実装時に該半導体発光装置1の位置決め及び固定に用いられ、実装位置に対して累積誤差のない基準を提供すると共に、灯具の光学精度を高めることに寄与するものとなる。
【0043】
なお、半導体発光装置1は、各電極端子17、37、第1ダイボンディングパッド11b、第2ダイボンディングパッド12b、第1ワイヤボンディングパッド31b及び第2ワイヤボンディングパッド32b以外のほぼ全面、及び基台プレート10の本体部16と積層プレート30の本体部36との接着面が樹脂被覆層53で覆われている。
【0044】
ところで、基台プレート10の電極端子17と積層プレート30の電極端子37は同一平面上にはなく金属プレートの厚み分ずれた位置に位置しているが、必要に応じて金属プレートの厚み分だけ曲げ加工を施すことにより同一平面上に位置させることも可能である。電極17、37の互いの位置関係は、該電極端子17、37が嵌合される、外部電源に繋がる電気接続用のコネクタの端子の配置に対応して設定される。
【0045】
次に、上記構成の半導体発光装置について、その製造方法を
図3を参照して説明する
【0046】
まず、
図3(a)に示すプレート準備工程において、所定の形状に加工された2枚の金属プレートを準備する。
【0047】
そのうち、一方の金属プレート(基台プレート)10は、一方の面の所定の位置に、半導体発光素子(例えば、LED)2を接合するための第1台座部11と半導体発光素子2を静電気による過電圧破壊から保護する保護素子(例えば、ツェナーダイオード)3を接合するための第2台座部12が設けられている。第1台座部11及び第2台座部12は、夫々が基台プレート10の平面から所定の高さに突出すると共に、上面が、接合される半導体発光素子2及び保護素子3の夫々の接合面とほぼ同一形状寸法の素子接合面11a、12aを有している。同時に、半導体発光装置1の実装時に該半導体発光装置1の位置決め及び嵌挿固定を行うための貫通孔(図示せず)も設けられている。
【0048】
また、他方の金属プレート(積層プレート)30は、上記基台プレート10に重ねたときに第1台座部11及び第2台座部12の夫々に対応する位置に、一方の面側から他方の面側に向かって開く貫通孔からなる第1キャビティ31及び第2キャビティ32を有し、貫通孔に対応する位置に、半導体発光装置1の実装時に該半導体発光装置1の位置決め及び嵌挿固定を行うための貫通孔(図示せず)も設けられている。
【0049】
次に、
図3(b)の塗膜工程において、基台プレート10及び積層プレート30の全面に亘って塗装膜14、34を形成する。基台プレート10の塗装膜14及び積層プレート30の塗装膜34は、優れた耐熱性及び絶縁性を有する、例えばポリアミドイミド、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂溶液による電着塗料を用いて従来の電着塗装プロセスによって表面に析出させることにより形成する。
【0050】
次に、
図3(c)の塗装膜の加熱硬化工程において、基台プレート10を適宜な温度で加熱処理することにより、塗装膜14を焼き付け乾燥して完全硬化した樹脂被覆層15を形成する。これにより、所定の厚みで且つ厚みが均一の樹脂被覆層15を得ることができる。なお、基台プレート10の表面に析出した塗装膜14にピンホールがある場合、該ピンホールは加熱処理時に周囲の塗料によって埋め合わされて塗料が充足されるため、樹脂被覆層15の厚みの均一性が確保される。
【0051】
一方、積層プレート30は、適宜な温度で加熱処理することにより、塗装膜34を半硬化させて軟質状態の樹脂被覆層35を形成する。
【0052】
次に、
図3(d)の貼り合わせ工程において、基台プレート10の、第1台座部11及び第2台座部12が設けられた側の面と、積層プレート30の、第1キャビティ31及び第2キャビティ32の夫々の開口が小さい側の面を貼り合わせることにより、完全硬化した樹脂被覆層15が形成された基台プレート10と、半硬化状態の樹脂被覆層35が形成された積層プレート30を重ね合わせ、両側から適宜な圧力で押圧した状態を保持しながら適宜な温度で加熱処理することにより、積層プレート30の半硬化状態の樹脂被覆層35を、加圧により層厚が薄く変形された状態で焼き付け乾燥による再硬化によって完全硬化させる。これにより、基台プレート10と積層プレート30が夫々の樹脂被覆層15、35同士の接着によって貼り合わされてなる2層構造の金属積層基板50が形成される。
【0053】
この場合、基台プレート10の第1台座部11及び第2台座部12の夫々は積層プレート30の第1キャビティ31及び第2キャビティ32の夫々の領域内に位置している。
【0054】
次に、
図3(e)の樹脂被覆層除去工程において、金属積層基板50の基台プレート10に形成された樹脂被覆層15の、第1台座部11の素子接合面11a上に位置する部分及び第2台座部12の素子接合面12a上に位置する部分を、例えばレーザ光によって除去して素子接合面11a、12aを露出させる。同様に、積層プレート30に形成された樹脂被覆層35の、第1キャビティ31の内側面のボンディングワイヤ接合面31a上に位置する部分及び第2キャビティ32の内側面のボンディングワイヤ接合面32a上に位置する部分を、例えばレーザ光によって除去してボンディングワイヤ接合面31a、32aを露出させる。
【0055】
次に、
図3(f)のメッキ工程において、基台プレート10の素子接合面11a、12a及び積層プレート30のボンディングワイヤ接合面31a、32aの夫々に、金等のはんだ濡れ性が良好な金属材料によるメッキを施して、第1ダイボンディングパッド11b、第2ダイボンディングパッド12b、第1ワイヤボンディングパッド31b及び第2ワイヤボンディングパッド32bを形成する。
【0056】
次に、
図3(g)の素子実装工程において、基台プレート10の第1ダイボンディングパッド11b上にAu−Sn共晶接合プロセスによって半導体発光素子2を接合し、同様に、第2ダイボンディングパッド12b上にAu−Sn共晶接合プロセスによって保護素子3を接合する。これにより、半導体発光素子2の下部電極と保護素子3の下部電極がともに基台プレート10に電気的に接続される。
【0057】
この場合、特に、基台プレート10の第1ダイボンディングパッド11bは、接合される半導体発光素子2とほぼ同一形状寸法を有する。そのため、第1ダイボンディングパッド11b上に載置された半導体発光素子2は、共晶材料を加熱溶融させた段階でセルフアライメント効果により所定の位置に精度よく接合される。
【0058】
その後、ボンディングワイヤ4の一端部を半導体発光素子2の上部電極に接合して他端部を積層プレート30の第1ワイヤボンディングパッド31bに接合し、同様に、ボンディングワイヤ4の一端部を保護素子3の上部電極に接合して他端部を積層プレート30の第2ワイヤボンディングパッド32bに接合する。これにより、半導体発光素子2の上部電極と保護素子3の上部電極がともにボンディングワイヤ4を介して積層プレート30に電気的に接続される。
【0059】
次に、
図3(h)の封止工程において、基台プレート10の、半導体発光素子2が収容された第1キャビティ31内に透光性樹脂5を充填して加熱硬化することにより半導体発光素子2及びボンディングワイヤ4を樹脂封止し、同様に、保護素子3が収容された第2キャビティ32内に遮光性樹脂6を充填し加熱硬化することにより保護素子3及びボンディングワイヤ4を樹脂封止する。これにより、半導体発光装置1が完成する。
【0060】
なお、半導体発光装置1の照射光に白色光が求められる場合は、半導体発光素子2に青色光を発光する青色発光素子を用いると共に透光性樹脂5に青色光に励起されて青色光の補色となる黄色光に波長変換する黄色蛍光体を混和することにより、青色発光素子から出射された青色光の一部が黄色蛍光体を励起することによって波長変換された黄色光と、青色発光素子から出射された青色光の一部との加法混色によって白色光に近い色相の光を得ることができる。
【0061】
また、黄色蛍光体の代わりに、青色光に励起されて緑色光に波長変換する緑色蛍光体と赤色光に波長変換する赤色蛍光体との混合蛍光体を混和することにより、青色発光素子から出射された青色の一部が緑色蛍光体を励起することにより波長変換された緑色光と、青色光の一部が赤色蛍光体を励起することにより波長変換された赤色光と、青色発光素子から出射された青色光の一部との加法混色で白色光を得ることもできる。
【0062】
さらに、半導体発光素子の発する光の波長と透光性樹脂に混和する蛍光体の種類とを適宜に組み合わせることにより、白色光以外の種々な色相の光を得ることができる。
【0063】
なお、記述してはいないが、上記製造工程には、基台プレート10の電極端子17及び積層プレート30の電極端子37の夫々に予めマスキングを施して塗装膜14、34の形成を防止する工程、及び電極端子17、37の夫々にSnメッキ等の表面処理を施す工程も含まれる。
【0064】
上記製造工程において、塗装膜の加熱硬化工程から貼り合わせ工程までの間は、塗装膜は、硬化前の状態あるいは半硬化状態においては粘性が高く、気泡が発生したりあるいは気泡を取り込み易い。そのため、これらの工程(特に、加熱硬化工程)は気泡の混入を防ぐために真空中あるいは減圧環境下での実施が好ましい。
【0065】
半導体発光装置の多量生産に対しては、半導体発光装置を多連化して製造工程に投入する。そのため、上記封止工程の後に、
図4に示す多連の半導体発光装置60を所定のダイシング位置で切断することにより個々の半導体発光装置1に個片化するためのダイシング工程を設ける。
【0066】
発明者達は、樹脂被覆層による金属基板の接着強度について、熱衝撃試験による確認試験を行った。以下に、その試験サンプル、試験条件、試験方法及び試験結果について説明する。
【0067】
試験サンプルは、
図5((a)は平面図、(b)は側面図)にあるように、板厚が1.2mm、幅が20mm、長さが100mmの第1金属板55と、板厚が1.2mm、幅が10mm、長さが100mmの第2金属板56を用い、ポリアミドイミド樹脂溶液を用いた電着塗装プロセスによって形成された塗装膜を加熱処理によって完全硬化させた第1金属板55に、同様に、ポリアミドイミド樹脂溶液を用いた電着塗装プロセスによって形成された塗装膜を加熱処理によって半硬化させた第2金属板56の先端から18mmの間を重ね合わせ、両側から適宜な圧力で押圧した状態を保持しながら加熱処理することにより、第2金属板の半硬化状態の樹脂被覆層を再硬化によって完全硬化させることにより層厚を0.1mm(平均)とする樹脂被覆層57を介して接着一体化した。
【0068】
試験条件は、−40℃/15分〜165℃/15分を1サイクル(30分)とする500サイクル、1000サイクル、2000サイクル及び3000サイクルの熱衝撃試験を行った。試験サンプル数(n)は、各熱衝撃サイクル数に対してn=3とした。
【0069】
試験方法は、JIS K6850[接着剤−剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法]に基づき、試験速度を0.3mm/分とした。
【0070】
試験結果は、
図6の表にあるように、温度変動幅200℃以上の厳しい熱衝撃試験に晒されたにもかかわらず、初期値(約200kgfの引張強度、約11MPaのせん断強度)に対して3000サイクルの熱衝撃試験後の平均引張荷重が約90kgf、平均せん断強度が約5MPaを維持している。また、言い換えると、3000サイクルの熱衝撃試験後の平均引張強度は約90kgfで初期値の約45%の強度維持率を有し、平均せん断強度も約5MPaで初期値の約45%の強度維持率を有している。
【0071】
なお、上記接着強度試験とは別に、300℃/5分の高温加熱試験を行ったが、各金属板55、56間の剥離は確認されなかった。
【0072】
上記試験結果より、金属積層基板に半導体発光素子を接合するに際し、高温加熱を伴う熱拡散性の良好なAu−Sn共晶結合プロセスを採用しても、引張強度及びせん断強度に対する信頼性を確保することが可能であると判断した。なお、半導体発光素子の接合にAu−Sn共晶結合プロセスを採用することによる副次効果として、電極端子17、37のSnメッキの被膜を溶融してメッキ時の応力(歪み)を除くことができ、ウィスカの発生を抑制することができる。
【0073】
ところで、金属積層基板は必ずしも2枚の金属プレートによる2層構造に限られるものではなく、例えば、3枚の金属プレートによる3層構造の金属積層基板も可能である。
【0074】
その場合は、
図7(a)にあるように、いずれも金属プレートからなる基台プレート61、第1積層プレート64及び第2積層プレート67の3枚のプレートを準備し、夫々に電着塗装プロセスによって塗装膜62、65、68を形成する。
【0075】
次に、
図7(b)にあるように、3枚の金属プレートのうち、基台プレート61及び第2積層プレート67の2枚の金属プレートの夫々の塗装膜62、68に対して加熱処理を施すことにより、完全硬化した樹脂被覆層63、69とする。一方、第1積層プレート64の塗装膜65に対しては、熱処理を施すことにより半硬化した樹脂被覆層66とする。
【0076】
最後に、
図7(c)にあるように、半硬化の樹脂被覆層66を有する第1積層プレート64を、夫々が完全硬化の樹脂被覆層63、69を有する基台プレート61及び第2積層プレート67で挟んで重ね合わせ、両側から適宜な圧力で押圧した状態を保持しながら加熱処理することにより、第1積層プレート64の半硬化状態の樹脂被覆層66を完全硬化させる。これにより、基台プレート61と第1積層プレート64の夫々の樹脂被覆層63、66同士の接着、及び第1積層プレート64と第2積層プレート67の夫々の樹脂被覆層66、69同士の接着によって貼り合わされてなる3層構造の金属積層基板70が形成される。
【0077】
また、接着する金属プレート同士の間に空間保持部材を配置することにより、金属プレート間の間隔を適宜な間隔に且つ均一に保持することも可能である。
【0078】
具体的には、
図8(a)にあるように、いずれも金属プレートからなる基台プレート71及び積層プレート74の2枚のプレートを準備し、夫々に電着塗装プロセスによって塗装膜72、75を形成する。
【0079】
次に、
図8(b)にあるように、基台プレート71及び積層プレート74の夫々の塗装膜72、75に対して加熱処理を施すことにより半硬化した樹脂被覆層73、76とする。
【0080】
最後に、
図8(c)にあるように、基台プレート71及び積層プレート74の互いの接着面側の半硬化の樹脂被覆層73、76の間に、均一な径を有する複数のガラスビーズあるいはシリカビーズ等からなる空間保持部材77をほぼ一定の間隔で配置し、空間保持部材77を挟んで基台プレート71及び積層プレート74を重ね合わせ、両側から適宜な圧力で押圧した状態を保持しながら加熱処理することにより、基台プレート71及び積層プレート74の夫々の半硬化状態の樹脂被覆層73、76を完全硬化させる。これにより、互いの間隔が空間保持部材77に保持された基台プレート71と積層プレート74が夫々の樹脂被覆層73、76同士の接着によって貼り合わされてなる2層構造の金属積層基板78が形成される。
【0081】
なお、空間保持部材77を用いることにより、金属プレートの面積が大型化した場合でも各金属プレート間の均一な間隔が確実に確保できると共に、空間保持部材77の大きさ(径)を適宜に選ぶことにより金属プレート間の間隔を容易に所望の間隔に設定することができる。
【0082】
ところで、本発明の半導体発光装置は、半導体発光素子の一対の電極(アノード電極及びカソード電極)の夫々が、平行平板構造の金属積層基板を構成する基台プレートと積層プレートの夫々に接続されており、電気的には、基台プレートと積層プレートの間で生成される浮遊キャパシタンスCtと半導体発光素子の接合キャパシタンスCsが並列に接続された状態となっている。そこで、電圧Vの静電気が両プレート間に印加されたとすると、半導体発光素子の電極間に印加される電圧V
ESDは、
V
ESD=((Cs/(Cs+Ct))×V ・・・式1
となる。
【0083】
ここで、式1において、基台プレートと積層プレートを本実施形態の如く、ポリアミドイミドの樹脂被覆層によって接着してそのときの金属プレート間の間隔を20μm、接着面積を625mm
2(□25mm)とすると、基台プレートと積層プレートの間で生成される浮遊キャパシタンスCtは1000pF程度となるため、Ctを1000pFとし、半導体発光素子の接合キャパシタンスCsを150pFとすると、V
ESD=0.13Vとなる。つまり、半導体発光素子の電極間に印加される電圧V
ESDは、両金属プレート間に印加された静電気の電圧Vの約1/8に軽減される。
【0084】
したがって、基台プレートと積層プレートの間の間隔を狭めることにより、両金属プレート間の浮遊キャパシタンスを大きくして半導体発光素子の電極間に印加される電圧を低減することができる。また、基台プレートと積層プレートを接着する樹脂被覆層を誘電率の高い材料で形成することにより、両金属プレートの間の間隔を狭めることなく、且つ接着面積を広げることなく両金属プレート間の浮遊キャパシタンスを大きくすることができ、それによって半導体発光素子の電極間に印加される電圧を低減することができる。
【0085】
その結果、半導体発光素子の耐圧がある程度(1〜2kV)確保されている場合は、保護素子を用いることなく静電気に対する耐圧を確保することが可能となり、静電気による過電圧破壊から半導体発光素子を保護することができる。
【0086】
以上説明したように、本発明の半導体発光装置は、複数の金属プレートを優れた耐熱性及び絶縁性を有する樹脂被覆層で接着して多層構造の金属積層基板を形成し、金属積層基板を構成する金属プレートの金属メッキ層上に発光源の半導体発光素子を直接接合するようにした。そのため、半導体発光素子の発熱が効率よく放熱される。同時に、樹脂被覆層を例えばポリアミドイミド樹脂で形成することにより、半導体発光素子が接合されて該半導体発光素子からの熱が伝導された金属プレートからの輻射効率が改善され、これによっても半導体発光素子の発熱が効率よく放散される。
【0087】
その結果、半導体発光素子の点灯(発光)時の自己発熱による温度上昇を良好に抑制することができ、半導体発光素子の温度上昇に起因する半導体発光素子の光変換効率の低下による発光光量の低減が抑えられると共に、同様に半導体発光素子の温度上昇に起因する素子劣化による発光寿命の短縮を抑制することでき、高い信頼性及び適切な照射光量を確保することが可能になる。
【0088】
また、金属プレートは半導体発光素子に対する給電経路として機能すると共に外部から給電される電力を受電する電極端子も備えている。そのため、灯具に搭載するに際して外付け部品が不要であり、余分なコストが不要で且つスペース及び位置に対する配置の自由度が高まる。
【0089】
また、金属積層基板には、灯具への実装時に半導体発光装置の位置決め及び固定に用いられる貫通孔が設けられており、該貫通孔が半導体発光装置に対して累積誤差のない基準を提供すると共に灯具の光学精度を高めることに寄与するものとなり、灯具の配光品位を極めて優れたものにする。
【0090】
また、金属積層基板の外周が絶縁性を有する樹脂被覆層で被覆されているため、灯具に搭載するに際して取り付け側の金属板に直接接触させて取り付けることが可能である。そのため、小スペースの場所でも配置できるため灯具の小型化に寄与するものとなる。
【0091】
製造工程では、塗装膜の加熱硬化工程において、塗装膜を完全硬化した金属プレートと半硬化した金属プレートを設け、貼り合わせ工程において、各金属プレートを重ね合わせて両側から加圧した状態を保持しながら加熱処理することにより半硬化状態の塗装膜を完全硬化させ、これにより完全硬化した塗装膜(樹脂被覆層)で接着された多層構造の金属積層基板を形成した。
【0092】
この場合、貼り合わせ工程において、その前工程の塗装膜の加熱硬化工程において完全硬化した塗装膜(樹脂被覆層)の膜厚によって貼り合わせ接着層の厚みが決まる。そのため、樹脂被覆層の膜厚によって決まる各金属プレート間の間隔を均一な間隔に設定することができる。
【0093】
また、素子実装工程においては、半導体発光素子を接合するダイボンディングパッドが半導体発光素子とほぼ同一形状寸法を有する。そのため、ダイボンディングパッド上に載置された半導体発光素子は、共晶材料を加熱溶融させた段階でセルフアライメント効果により所定の位置に精度よく接合される。更に、ダイボンディングパッドに金等のはんだ濡れ性が良好な金属材料によるメッキが施されているため、セルフアライメントのさらなる精度向上を図ることができる。