【実施例】
【0042】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例に関する説明において%は質量%を表す。
[製造方法]
表1に各原液に用いた成分の配合量(質量部)を示す。酸化チタン分散液(26.3%液)および酸化亜鉛分散液(43.2%液)については、各分散液としての配合量の下の()内に酸化チタンおよび酸化亜鉛としての配合量を示した。各成分1〜11のうち、成分1、2および11を80℃で均一に混合して第1の混合物とした。成分3〜10を80℃で均一に混合して第2の混合物とした。攪拌下、第1の混合物(80℃)に第2の混合物(80℃)を添加して乳化し、原液1〜8をそれぞれ調製(調合)した。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示した各成分として、以下のものを用いた。
[紫外線散乱剤]
酸化チタン分散液(35%液):WT−PF02(テイカ(株)製)、含水シリカで表面処理された酸化チタン35%質量%含有分散液(表面処理で付加された部分を除く酸化チタンとして26.3質量%含有)
酸化亜鉛分散液(45%液):WZ−PF02(テイカ(株)製)、トリエトキシカプリリルシランで表面処理された酸化亜鉛45質量%含有分散液(表面処理で付加された部分を除く酸化亜鉛として43.2質量%含有)
[乳化剤]
ラウレス−2:NIKKOL BL−2(日光ケミカルズ(株)製、HLB9.5)
ラウレス−21:NIKKOL BL−21(日光ケミカルズ(株)製、HLB19)
PEG/PPG−30/10ジメチコンのDPG液(50%液):BY25−339 Cosmetic Fluid(東レ・ダウコーニング(株)製、HLB8.5)、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体をジプロピレングリコール(DPG)に50質量%で溶解させたもの
[油性成分]
フェニルトリメチコン(メチルフェニルポリシロキサン):SH556(東レ・ダウコーニング(株)製)
ジメチコン(メチルポリシロキサン):SH200C(東レ・ダウコーニング(株)製、粘度10cs)
ミリスチン酸イソプロピル:IPM−R
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル:NIKKOLトリエスターF−810(日光ケミカルズ(株)製)
[抗菌剤]
フェノキシエタノール:ハイソルブEPH(東邦化学工業(株)製)
【0045】
[評価方法]
表1に示す原液1〜8を、以下の方法および基準を用いて評価した。
[乳化状態]
◎:調合直後に室温にて原液の乳化状態が均一であり、その後も乳化状態が維持されている。
○:調合直後に室温にて原液の乳化状態が均一である。一定時間、静置するとやや分離するが攪拌によって均一になる。
△:調合直後に室温にて原液の乳化状態がやや不均一であり、油性成分の分離がみられる。
×:調合直後に室温にて原液中の油性成分が分離しており、乳化しない。
[白浮き]
乳化した状態にある原液1〜3、7および8をそれぞれ、前腕内側4cm×4cmの範囲に0.05g塗布したときの白さを以下の基準を用いて評価した。
◎:塗布部と塗布していない部分との境界を判別することが困難である。
〇:塗布部と塗布していない部分との境界を判別することは容易であるが、境界が明確ではない。
×:塗布部と塗布していない部分との境界が明確である。
【0046】
[結果]
表1にND(評価せず)と示したように、ジメチコンが分離し原液が乳化しなかった原液4〜6については白浮きを評価しなかった。
原液3、7および8の比較により、塗布時において白くなりにくく、白浮きを抑制するには、原液にフェニルトリメチコンを配合することが有効であることが分かった。原液1〜3の比較により、フェニルトリメチコンが増えるにしたがって白浮きが大きくなる傾向が認められる。これは、原液の粘度が高くなって伸びが悪くなったことによるものと推測できる。
【0047】
<
実施例1〜4、比較例1〜5>
[製造方法]
表2に各原液に用いた成分の配合量(質量部)を示す。表1と同様にして、酸化チタンおよび酸化亜鉛としての配合量を()内に示した。各成分1〜11のうち、成分1、2および11を80℃で均一に混合して第1の混合物とした。成分3〜8および10を80℃で均一に混合して第2の混合物とした。攪拌下、第1の混合物(80℃)に第2の混合物(80℃)を添加して乳化物とした。当該乳化物を攪拌しながら冷却し、40℃以下であることを確認した後、微量の成分11に溶解した成分9を乳化物に投入して原液9〜17をそれぞれ調製(調合)した。
【0048】
【表2】
【0049】
表2に示した各成分のうち表1に記載のないものとして、以下を用いた。
[増粘・乳化剤]
ポリアクリル酸Na、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、トリデセス−6、PEG/PPG−18/18ジメチコンの混合物:RM2051(東レ・ダウコーニング(株)製)
[乳化剤]
PEG−40水添ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油):EMALEX HC−40(日本エマルジョン(株)製、HLB12)
【0050】
[製造方法]
噴射剤としてLPG(液化石油ガス)を用い、表2に示した
原液14〜17、9〜13と噴射剤とを95:5(質量比)の割合でアルミニウム製の耐圧容器に充填して
実施例1〜4、比較例1〜5のエアゾール製剤の日焼け止め化粧料を製造した。
【0051】
【表3】
【0052】
[評価方法]
表3に示す
実施例1〜4、比較例1〜5の
エアゾール剤の日焼け止め化粧料を、以下の方法および基準を用いて評価した。
[泡状態]
○:きめの細かい泡が形成される。
×:吐出時に泡が形成されない。
[白浮き]
泡状態が良好であった
実施例1〜4について、泡(フォーム)を塗布した際の白浮きを、上述した評価方法および基準を用いて評価した。
【0053】
[結果]
表2に示すように、乳化剤の種類にかかわらず、フェニルトリメチコンを配合することにより、酸化チタンおよび酸化亜鉛を含有する原液の白浮きを抑制することができた。
表3に示すように、(D)ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)としてのラウレス−2およびラウレス−21と、(E)ポリエーテル変性シリコーンとしてのポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体(PEG/PPG−30/10 ジメチコン、DPG:BY25−339)とを併用することにより、良好な泡(フォーム)を形成することがで
きる原液となった。また、
実施例1〜4のエアゾール製剤の日焼け止め化粧料はいずれも、白浮きが抑制され、伸びがよく、きしみ感がなくしっとりとした使用感の良好なものであった。
【0054】
<
実施例5〜9、比較例6>
[製造方法]
表4に各原液に用いた成分の配合量(質量部)を示す。表1同様、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化セリウムとしての配合量を()内に示した。成分1〜14のうち、成分1、2および14を80℃で均一に混合して第1の混合物とした。成分4〜9および12を80℃で均一に混合して第2の混合物とした。攪拌下、第1の混合物(80℃)に第2の混合物(80℃)を添加して乳化物とした。当該乳化物を攪拌しながら冷却し、40℃以下であることを確認した後、成分3、10および13を順次投入し、最後に微量の14に溶解した11を投入して原液18〜23をそれぞれ調製(調合)した。
【0055】
【表4】
【0056】
表4に示した成分のうち、表1、表2に記載のないものとして、以下のものを用いた。
[紫外線散乱剤]
酸化セリウム分散液(10%液):アクアセリアベーシック((株)アプローズ製、粒径150nm〔二次粒径〕、水分散体、酸化セリウム配合量10%、白金担持)
[乳化剤]
ラウレス−4:NIKKOL BL−4.2(日光ケミカルズ(株)製、HLB11.5)
ラウレス−9:NIKKOL BL−9EX(日光ケミカルズ(株)製、HLB14.5)
[皮膜剤]
アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシルコポリマー(50%液):ダイトゾール5000SJ(大東化成工業(株)製)、アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシルコポリマーを50質量%含有する水分散体
【0057】
[製造方法]
噴射剤としてLPG(液化石油ガス)を用い、表4に示した
原液19〜23、18と噴射剤とを95:5(質量比)の割合で充填して
実施例5〜9、比較例6のエアゾール製剤の日焼け止め化粧料を製造した。
【0058】
【表5】
【0059】
[評価方法]
表5に示す
実施例5〜9、比較例6のエアゾール製剤の日焼け止め化粧料を以下の方法および基準を用いて評価した。
[泡状態(噴射直後)]
○:泡が形成される。
×:泡が形成されない。
[泡状態(泡持ち)]
◎:噴射後30秒間経過した時点において、噴射直後の泡の外観が維持されている。
○:噴射後20秒間経過した時点において噴射直後の泡の外観が維持されているが、3
0秒間経過した時点においては噴射直後の泡の外観が維持されていない。
△:噴射後10秒間経過するまでの間に泡の外観が顕著に変化し、噴射後10秒間経過
した時点において噴射直後の泡の外観が維持されていない。
【0060】
[結果]
表4および表5に示す結果により、泡形成維持能を高くする観点から、PEG/PPG−30/10ジメチコンと併用するポリエチレンラウリルエーテルは、HLB12以上のものが好ましく、HLB15以上のものがより好ましいといえる。
【0061】
<
実施例10〜14>
[製造方法]
表6に原液24に用いた成分の配合量(質量部)を示す。表1同様、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化セリウムとしての配合量を()内に示した。成分1〜11のうち、成分1、2および11を80℃で均一に混合して第1の混合物とした。成分4〜7および9を80℃で均一に混合して第2の混合物とした。攪拌下、第1の混合物(80℃)に第2の混合物(80℃)を添加して乳化物とした。当該乳化物を攪拌しながら冷却し、40℃以下であることを確認した後、3および10を順次投入し、最後に微量の11で溶解した8を投入して原液24を調製(調合)した。
表7に示す割合で原液24と皮膜剤とを混合して、原液25〜29を調製した。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
表6または表7に示した各成分のうち、表1、表2、表4に記載のないものとして、以下を用いた。
[紫外線散乱剤]
酸化セリウム分散液(10%液):アクアセリア((株)アプローズ製)、酸化セリウムおよび白金の水分散体(酸化セリウムとして10質量%含有)
[皮膜剤]
ポリクオタニウム−56(24%液):ヘヤロールUC−4(三洋化成(株)製)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ブチレングリコール及びジヒドロキシエチルジモニウムのメチル硫酸塩からなるポリ4級アンモニウム塩を24質量%含有する水分散体
ポリクオタニウム−48(40%液):プラスサイズL−450W(互応化学工業(株)製)、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体液を40質量%含有する水分散体
【0065】
[製造方法]
噴射剤としてLPGを用い、表7に示した原液25〜29と噴射剤とを95:5(質量比)の割合で、アルミニウム製の耐圧容器に充填して実施例16〜20のエアゾール製剤の日焼け止め化粧料を製造した。
【0066】
【表8】
【0067】
[評価方法]
表8に示す
実施例10〜14のアゾール剤の日焼け止め化粧料を以下の方法および基準を用いて評価した。
[耐水性]
上腕部3cm四方に原液0.03gを塗布し、塗布部にミストポンプ(噴霧量0.3ml)にて10回噴霧した。噴霧時に流れ落ちた水滴の白濁度合いにより評価した。
◎:極僅かに白濁がみられる。
○:僅かに白濁がみられる。
△:やや白濁がみられる。
×:顕著に白濁がみられる。
析出:皮膜剤が原液中に析出する。
[泡状態]
○:きめの細かい泡が形成される。
△:ややきめの荒い泡が形成される。
[白浮き]
泡状態が良好であった
実施例10〜12について、泡(フォーム)を塗布した際の白浮きを上述した評価方法および基準を用いて評価した。
[被膜安定性]
○:水でぬらした状態で擦ることにより、皮膜剤のカスが生じない。
△:水でぬらした状態で擦ることにより、皮膜剤のカスが僅かに生じる。
×:水でぬらした状態で擦ることにより、皮膜剤のカスがたくさん生じる。
【0068】
[結果]
表7および表8に示すように、皮膜剤としてアクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシルコポリマーを配合することにより、紫外線防御化粧料の耐水性が向上した。耐水性向上の観点からは、アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシルコポリマーの配合量を増やすことが好ましい。
配合量が大きくなるとともに、泡状態、白浮き、皮膜安定性および伸びが悪くなる傾向が認められたことから、アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシルコポリマーとしての配合量は、紫外線防御剤100質量部に対して0.5以上2.5質量部以下が好ましく、0.75以上2.0質量部以下がより好ましい。