(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁体部と、前記絶縁体部の内部に設けられた導体部と、前記導体部と電気的に接続し、前記絶縁体部の少なくとも1面に形成される端子電極と、前記絶縁体部の少なくとも1面が有する少なくとも1つの凹部に設けられたマーカー部とを有し、前記マーカー部の上面が前記絶縁体部の表面よりも低い位置にある受動電子部品の製造方法であって、
樹脂を含む積層用のシートを重ねる工程と、
最上面もしくは最下面の少なくとも1つの積層用の前記シート上にマーカー部を配置する工程と、
重ねられた前記シートを圧着し積層体を得る工程と、
前記積層体を所望のサイズに個片化し、加熱処理を実施する工程と、
を含み、
前記積層体を得る工程は、前記シート上に配置されたマーカー部を前記シートの積層方向に圧入させて少なくとも1つの前記凹部に設けられたマーカー部を形成する工程を含むことを特徴とする、
受動電子部品の製造方法。
絶縁体部と、前記絶縁体部の内部に設けられた導体部と、前記導体部と電気的に接続し、前記絶縁体部の少なくとも1面に形成される端子電極と、前記絶縁体部の少なくとも1面が有する少なくとも1つの凹部に設けられたマーカー部とを有し、前記マーカー部の上面が前記絶縁体部の表面よりも低い位置にある受動電子部品の製造方法であって、
導線にて導体を形成する工程と、
前記導体の周囲に樹脂およびフィラーを配置する工程と
前記樹脂およびフィラー表面にマーカー部を配置する工程と、
前記樹脂およびフィラーとマーカー部を加圧し成形体を得る工程と、
前記成形体を、加熱処理を実施する工程と、
を含み、
前記成形体を得る工程は、前記樹脂およびフィラー上に配置されたマーカー部を、前記樹脂およびフィラーが周囲に配置された導体の厚み方向に圧入させて少なくとも1つの前記凹部に設けられたマーカー部を形成する工程を含むことを特徴とする、
受動電子部品の製造方法。
前記深さが、前記絶縁体部の表面と、その前記絶縁体部表面に最も近い前記導体部との距離を100%としたとき、50%より小さい、請求項6に記載の受動電子部品の製造方法。
前記凹部に設けられたマーカー部の面積は凹部に設けられたマーカー部の形成される絶縁体部のひとつの面の表面積の40%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の受動電子部品の製造方法。
前記受動電子部品はコイル部品であって、かつ前記凹部に設けられたマーカー部の前記絶縁体部の表面上の位置により前記コイル部品の導体の巻き始め位置や巻き方向が示される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の受動電子部品の製造方法。
前記受動電子部品はコイル部品であって、かつ前記凹部に設けられたマーカー部の形状により前記コイル部品の導体の巻き始め位置や巻き方向が示される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の受動電子部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を適宜参照しながら本発明を以下に詳述する。これらは非限定的な例示であり、本発明は図示された態様に限定されない。また、図面においては発明の特徴的な部分を強調して表現することがあるので、図面各部において縮尺の正確性は必ずしも担保されていない。
【0012】
図1は、本発明の受動電子部品の概要を示す模式図である。本発明の受動電子部品の一例として、本発明の実施形態1のコイル部品1について示す。同図(A)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)はコイル部品1の側面図であり、同図(C)はコイル部品1の拡大断面図である。同図(B)のマーカー部22は、同図(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。コイル部品1は積層型コイル部品、例えば積層インダクタであり、絶縁体部11と、絶縁体部11の内部に設けられた導体部と電気的に接続し、絶縁体部11の表面に形成される端子電極12と、導体の巻き始め位置や巻き方向を示すマーカー部22とを有する。マーカー部22は上面視円形状に形成され、絶縁体部11の表面の凹部に配置される。マーカー部22は2個の端子電極12のうち一方の近傍に配置され、この配置によってマーカー部22に近い方の端子電極12の導体の巻き始め位置や巻き方向が特定される。マーカー部22の表面は周縁部から中央部に向かって緩やかにくぼんでいる。
【0013】
マーカー部22が凹部に形成されることによりマーカー部22の摩擦によりマーカー部22の色素が薄くなることがない。また、外部からの衝撃などによるマーカー部の脱離を防止できる。更には、汚れなどがマーカー部22に付着することが防止される。一例において、マーカー部22の上面が絶縁体部11の表面よりも低い位置になるようにマーカー部22を設けることにより、マーカー部22の摩擦の防止をより確実なものとできる。また、更なる利点として、マウントする際の吸着パッド23と直接干渉しない点が挙げられる。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。本発明の受動電子部品において、絶縁体は誘電体として作用する材料を包含する。本発明の受動電子部品の他の態様において、導体部は内部電極の構造を形成する。
【0014】
本発明において、絶縁体部11の「表面」とは、複数の面を持つ絶縁体部11における任意の1つの面を便宜的に表すものであり、必ずしも上部にある必要はない。マーカー部22は複数の面を持つ絶縁体部11における任意の1つの面に配置され得る。マーカーの材料としては、加熱により収縮する性質を持つものが望ましい。例としてガラスを用いて本発明について説明するがこれに限定するものではない。絶縁体部11の材料に合わせて、マーカー部22の材料が選択される。例えば、絶縁体部11を磁性材料などのフィラーと樹脂で構成する場合は、マーカー部22には樹脂を用いてもよい。
【0015】
また、検出の便宜のためにマーカーに色素等を加えてもよい。色素として、例えば、金属酸化物、例えばクロム、コバルト、鉄、銅、チタンなどの酸化物および、それらの混合物が用いられる。また、マーカーの材料が樹脂の場合については、上記金属酸化物系のほかに、有機色素を用いることができる。有機色素については、樹脂硬化時の加熱や紫外線照射などに耐性があれば、他に限定条件なく使用できる。また、マーカー部22を白色化することもでき、上記色素が白色のものとして扱える。代表的なものとしてアルミナ(酸化アルミニウム)、チタニア(酸化チタン)などがある。ガラス系やセラミック材料の微粉、例えばシリカ粉(SiO
2)やチタン酸バリウム(BT)粉、チタン酸ストロンチウム(BST)粉等を使用することもできる。なお、この態様ではマーカー部22は円形としたが、矩形、楕円形、その他の形状であってもよい。
【0016】
図2は本発明の受動電子部品の工程フローを示す模式図である。本発明の受動電子部品の一例としてのコイル部品1の製造方法を示す。本発明のコイル部品1の製造にあたっては、まず、予め用意した磁性体ペーストをプラスチック製のベースフィルムの表面に塗工して乾燥させる。ここで磁性体ペーストは、Fe−Cr−Si合金粒子、溶剤としてのブチルカルビトールおよびバインダとしてのポリビニルブチラールを含む。
【0017】
次いで、第1の磁性体シートML1にビアV1を所定の配列で形成する。同様に、第2以降の磁性体シートML2〜ML6のシートそれぞれに、ビアV2〜V6を所定配列で形成する。次いで、第1の磁性体シートML1の表面にコイル導体パターンC11を転写形成する。ここで導体ペーストは、Ag粒子もしくはAgを主成分とする金属、ならびに、溶剤としてのブチルカルビトールおよびバインダとしてのポリビニルブチラールを含む。同様に、第2以降の磁性体シートML2〜ML7のそれぞれに、コイル導体パターンC12〜C17をシートの表面に転写形成する。コイル導体については,Ag以外にもNi、Cu、Pd、Al等の金属並びにそれらを主成分とする合金などを適宜選択でき、また生産性、電気特性、耐候性改良のための副成分や添加物を適宜含むことが出来る。カバーシートMLUおよびMLDの最上面、もしくは最下面の少なくとも1面に、マーカーを配置する。一例として、マーカーはガラスであり得る。
【0018】
次いで、各シート間のコイル導体パターンが接続するように各シートを順番に重ね、上下のカバー層MLU、MLDで各積層用のシート群を挟むように積み重ね、プレス機を用いて熱圧着して積層体を得る。ダイシング機やレーザ加工機等の切断機を用いて積層体を所望のサイズに個片化し、加熱処理前のチップを作製する。加熱処理前チップの脱脂を実施し、酸化物膜形成のために700℃において加熱処理を実施する。加熱処理後の積層体にはFe−Cr−Si合金粒子の表面に酸化物膜が形成され、粒子同士が結合する。導体ペーストはAg粒子が焼結してコイル部を形成する。予め用意した導体ペーストをコイル部の両端部に塗布し、加熱処理により端子電極を形成する。これらにより本発明のコイル部品1が得られる。
【0019】
マーカーは最上面もしくは最下面の少なくとも1面に配置されるが、以下最上面にマーカーが配置された場合を代表に説明する。マーカー部22は
図3に示されるように、圧力によってマーカーの略厚み分だけ最上面のシートがへこみ、マーカーと最上面のシートの互いの上面は略平坦になる。また、加熱処理によりマーカーは、シートとの接触部が加熱時にも位置固定されているため、結果として厚み方向に収縮し、マーカー部22の上面が最上面のシートの表面より低い位置に存在するようになる。これにより、マーカー部の上面が他の物体と擦れたり、当たったりするようなことを防止できる。導体ペーストは、Ag粒子、ガラス、溶媒としてのブチルカルビトール、およびバインダとしてのポリビニルブチラールを含む。その後、NiとSnの金属膜を先に形成された端子電極表面に付すためのめっきを行う。
【0020】
図3は
図2で示される製造方法におけるコイル部品1のマーカー部22の模式的な拡大断面図である。
図3(A)に示すように、積層用のシート11aの最上面にマーカー22aを配置する。次いで、積層体を得るために積層したシート11a全体に圧力をかけ、所望のサイズに個片化した後に加熱する。この圧力と加熱により
図3(B)の態様から
図3(C)の態様に変化し、マーカー部22が積層体の絶縁体部11の表面のくぼんだ位置に配置される。すなわち、マーカー部22の上面が積層体の絶縁体部11の表面の凹部に形成される。マーカーは、例えば、塗布、転写、印刷、インクジェットなどの技術を用いて配置され得るが、これらに限定されない任意の方法によって配置され得る。この製造方法におけるマーカーには、磁性体シートが加熱処理されるときに、その加熱処理温度で収縮するガラスなどが選ばれる。このコイル部品1の製造方法によれば、コイル部品1の製造の際に同時にマーカー部22を形成しているので、工数と製造コストを削減できる。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。
【0021】
本発明の実施形態2としての、もう1つのコイル部品1の製造方法について
図2を用いて説明する。予め用意した磁性体ペーストをプラスチック製のベースフィルムのシートML1〜7の表面に塗工して乾燥させる。ここで磁性体ペーストは、ベースとしてのエポキシ系やビニル系の樹脂、Fe−Cr−Si合金粒子等の磁性体粉、溶剤としてのブチルカルビトールを含む。各シートML1〜6のそれぞれ所定の位置にビアV1〜V6を設け、各シートML1〜7のそれぞれにCuを主成分とするコイル導体パターンC11〜C17を所定の位置に転写形成し、各シート間のコイル導体パターンが接続するように各シートを順番に重ね、上下のカバーシートとあわせて圧着して、所望の積層体を得る。このときカバーシートMLUおよびMLDの最上面、もしくは最下面の少なくとも1面に、マーカーを配置する。マーカーを配置する方法は前述の実施形態1の製造方法と同一である。コイル導体についは,Cu以外にもNi、Ag、Pd、Al等の金属並びにそれらを主成分とする合金などを適宜選択でき、また生産性、電気特性、耐候性改良のための副成分や添加物を適宜含むことが出来る。マーカーは、ガラスや樹脂などを用いることができる。
【0022】
積層体は、導体パターンを酸化させずに樹脂を硬化させるために、例えばN
2雰囲気にて300℃で1時間加温される。硬化後の積層体は適宜、所望のサイズに個片化された後、導電性樹脂ペースト等で端子電極を形成する。端子電極は、例えばN
2雰囲気にて300℃で20分加温し硬化される。導体パターンの構成物質によっては、加温時に、N
2雰囲気を要しない場合もある。
【0023】
マーカーは最上面もしくは最下面の少なくとも1面に配置されるが、以下最上面にマーカーが配置された場合を代表に説明する。マーカー部22は
図3に示されるように、圧力によってマーカーの略厚み分だけ最上面のシートがへこみ、マーカーと最上面のシートの互いの上面は略平坦になる。その後、加熱処理によりマーカーは、シートとの接触部が加熱時にも位置固定されているため、結果として厚み方向に収縮し、マーカー部の上面が最上面のシートの表面より低い位置に存在するようになる。導電性樹脂ペーストは、AgもしくはAgを主成分とする金属、樹脂、溶媒としてのブチルカルビトール、を含む。その後、NiとSnの金属膜を先に形成された端子電極表面に付すためのめっきを行う。
【0024】
図3は
図2で示される製造方法におけるコイル部品1のマーカー部22の模式的な拡大断面図である。
図3(A)に示すように、積層用のシート11aの例えば、最上面にマーカー22aを配置する。次いで、積層体を得るために積層したシート11a全体に圧力をかけ、その後、樹脂を加熱硬化させた後に所望のサイズに個片化して磁性体チップを得る。この圧力と加熱により
図3(B)の態様から
図3(C)の態様に変化し、マーカー部22が積層体の絶縁体部11の表面のくぼんだ位置に配置される。すなわち、マーカー部22の上面が積層体の絶縁体部11の表面の凹部に形成される。マーカーは、例えば、塗布、転写、印刷、インクジェットなどの技術を用いて配置され得るが、これらに限定されない任意の方法によって配置され得る。この製造方法におけるマーカーには、磁性体シートの樹脂が硬化収縮するときに、より大きく収縮する樹脂などが選ばれる。このコイル部品1の製造方法によれば、コイル部品1の製造の際に同時にマーカー部22を形成しているので、工数と製造コストを削減できる。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。
【0025】
図4は本発明の受動電子部品のマーカー部の大きさを示す模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1のマーカー部22の大きさを示す。同図(A)、同図(B)はコイル部品1の上面図である。マーカー部22の大きさは、マーカー部22を認識する方法の検出限界に応じて変動し得る。後述するように、マーカー部22と導体部、ビア部、実装機の吸着パットなどとの干渉を防ぐために、マーカー部22を小さくすることが望ましい。一例において、マーカー部22の面積A2(
図4(B)のハッチングで示す)は、マーカー部22が形成される絶縁体部11の1つの面の表面全体A1(
図4(A)のハッチングで示す)の表面積を100%としたときに、好ましくは40%以下であり、より好ましくは10%以下である。例えば、40%以下とすれば、マーカー部22を端子電極12と接することなく、端子電極12のいずれか一方側に寄せて配置することができる。また、10%以下とすれば、導体部13に影響することなく配置し易くなる。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。
【0026】
図5は本発明の受動電子部品のマーカー部と導体部との位置関係を示す模式図(上段)とその投影図(下段)である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1についてマーカー部22と導体部13との位置関係を示す。同図(A)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)はコイル部品1の側面図であり、同図(C)はコイル部品1の他の側面図である。同図(B)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。同図(A)に示されるように、マーカー部22が形成される面から投影視したとき、マーカー部22は導体部13と重ならない位置に設けられる。同図(B)に示されるように、コイル部品1の側面から投影視したとき、マーカー部22は導体部13と重ならない位置に設けられる。同図(C)に示されるように、コイル部品1の端部から投影視したとき、マーカー部22は導体部13と重ならない位置に設けられる。マーカー部22に圧力がかかる場合、この部分が凹み、この凹みが下部層へ伝播する。マーカー部22が形成される面から投影視したとき、コイル部品1の側面から投影視したとき、または、コイル部品1の端部から投影視したとき、マーカー部22が導体部13と重なる位置に設けられている場合、凹みの伝播が下層に行くほど減衰するため、上層の導体の凹みよりも下層の導体の凹みが小さくなり、上層と下層の距離が短くなって、電気的にショートする危険性が高くなる。また、凹んだ導体部と凹みのない導体部との間で段差が生じ、互いに切り離されてしまえば、その部分の導体幅が減少して導体抵抗が上昇してしまう危険性もある。このような危険性を回避するため、本発明のコイル部品1では、上述のように、各面から投影視したときにマーカー部22が導体部13と重ならないようにマーカー部22が設けられる。これにより、本発明のコイル部品1では、マーカー部22が導体部13を圧迫して導体部13の電気的特性に影響を与えることが防止される。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。
【0027】
図6は本発明の受動電子部品のマーカー部の深さを示す模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1についてマーカー部22の深さを示す。同図(A)、同図(B)はコイル部品1の側面図である。同図(C)は、同図(B)で示されるコイル部品1のマーカー部22の模式的な拡大断面図である。マーカー部22の深さは導体部の電気的特性に影響を与えない深さとすることが望まれる。マーカー部22の深さH2の「導体部の電気的特性に影響を与えない深さ」は、一例において、コイル部品1のマーカーを有する面と、その面に最も近いコイル導体との距離H1を100%としたとき、好ましくは50%より小さい深さである。さらに、より好ましくは20%より小さい深さである。距離H1は、カバー層もしくはダミー層として一般に認識される部の厚みである。深さH2は、マーカー部22を有する面と、マーカー部22のうちマーカー部22を有する面から垂直方向に最も離れた部分との距離である。マーカー部22の深さH2がマーカー部22を有する面と、その面に最も近いコイル導体との距離H1の50%より小さいと加熱前のシートの材料が持つ弾性によって、マーカーの厚みによるシートの変形量を少なくすることができる。さらにマーカー部22の深さH2がマーカー部22を有する面と、その面に最も近いコイル導体との距離H1の20%より小さいとマーカーの厚みによるシートの変形量をほとんど吸収できる。これによって、マーカー部22と導体部とが干渉して導体部がショートすることが防止される。また、マーカー部22を形成するための体積を小さくすることにより、絶縁体11の占める体積低下を少なくでき、コイル部品1の設計通りの性能を維持できる。なお、マーカー部22の深さは、マーカー部22の面で見た中央部の断面に相当する。これは、マーカー部22を断面研磨して、拡大することで容易に認識し得る。この拡大の倍率はマーカー部のサイズによって変動し得るが、例えば100倍程度であってよい。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。
【0028】
図7は本発明の受動電子部品のマーカー部と端子電極との位置関係を示す模式図である。本発明の一態様である受動電子部品のコイル部品1について、マーカー部22と端子電極12との位置関係を示す。同図(A)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)はコイル部品1の側面図である。同図(B)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。マーカー部22は端子電極12と接触しない位置にある。一例において、マーカー部22と端子電極12との間は最短距離D1をもって離間される。これによって、本発明のコイル部品1では、マーカー部22がコイル部品1の電気的特性に影響を与えることが防止される。端子電極形成時にマーカー部22が端子電極12と接触している場合、マーカー部22との接触部の端子電極12の直線性に悪影響を及ぼす。端子電極12の直線性が保たれていない場合、特に部品サイズが小さいときに逆側の端子電極との距離が短くなるためにショートする危険性が増大する。このような危険性を回避するため、本発明のコイル部品1では、マーカー部22は、端子電極12と接することがなく、これによって端子電極12の形成に影響を及ぼさないものとなっている。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。
【0029】
図8は本発明の受動電子部品のマーカー部とビア部との位置関係を示す模式図(上段)とその投影図(下段)である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1について、マーカー部22とビア部14との位置関係を示す。同図(A)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)はコイル部品1の側面図であり、同図(C)はコイル部品1の他の側面図である。同図(B)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。同図(A)に示されるように、マーカー部22が形成される面から投影視したとき、マーカー部22はビア部14と重ならない位置にある。同図(B)に示されるように、コイル部品1の側面から投影視したとき、マーカー部22はビア部14と重ならない位置にある。同図(C)に示されるように、コイル部品1の端部から投影視したとき、マーカー部22はビア部14と重ならない位置にある。マーカー部22に圧力がかかる場合、この部分が凹み、この凹みが下部層へ伝播する。マーカー部22が形成される面から投影視したとき、コイル部品1の側面から投影視したとき、またはコイル部品1の端部から投影視したときに、マーカー部22がビア部14と重なる位置にある場合、伝播した凹みによってビア部の接続性に影響が出たり、導体間距離が狭くなり導体間でショートを起こしたりするなど、電気的特性が低下する。このような事態を回避するため、本発明のコイル部品1では、上述のように、各面から投影視したときにマーカー部22がビア部14と重ならないようにマーカー部22が設けられる。これにより、本発明のコイル部品1では、マーカー部22がビア部14と干渉してコイル部品1の電気的特性に影響を与えることが防止される。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。
【0030】
図9は本発明の受動電子部品のマーカー部の一態様を示す模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1について、マーカー部22の位置によって導体の巻き始め位置や巻き方向を表示する方法を示している。同図(A)、同図(C)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)、同図(D)はコイル部品1の側面図である。同図(B)および同図(D)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。絶縁体部11の表面上におけるマーカー部22の位置によりコイル部品1の導体の巻き始め位置や巻き方向が示される。一例として、
図9(A)、
図9(B)においてマーカー部22が図面左側の端子電極12近傍に配置されることによって、左側の端子電極12の導体の巻き始め位置や巻き方向が示される。他の例として、
図9(A)、
図9(B)においてマーカー部22が図面右側の端子電極12近傍に配置されることによって、右側の端子電極12の導体の巻き始め位置や巻き方向が示される。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても部品の姿勢や方向を示すことにより、同様の利点をもたらす。
【0031】
図10は本発明の一態様である受動電子部品の模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1について例示する。同図(A)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)はコイル部品1の側面図である。同図(B)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。この態様では、コイル部品1の絶縁体部11の表面に設けられたマーカー部22の形状が非対称である。「形状が非対称」とは、その形状内における全ての軸に対して非対称である必要はなく、形状内における少なくとも1つのいずれかの軸に対して非対称であって、この非対称性によって向きを示し得る状態をいう。例えば正三角形は、各頂点から対向する辺に下ろした垂線の軸に対して対称であるが、任意の二辺の中点同士を結んだ軸に対しては非対称であり、この非対称性によって向きを示し得るため、本発明においては正三角形も形状が非対称なものに含まれる。一例において、マーカー部22は三角形状とされ、各端子電極間を結ぶ軸に直交する軸に対して非対称であるように設けられており、三角形の向きによってコイル部品1の導体の巻き始め位置や巻き方向が示される。すなわち、マーカー部22の位置に関わらず、マーカー部22の形状によってコイル部品1の導体の巻き始め位置や巻き方向が示される。なお、マーカー部22の形状は非対称な形状であれば、三角形状以外の形状により構成してもよい。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても部品の姿勢や方向を示すことにより、同様の利点をもたらす。
【0032】
図11は本発明の一態様である受動電子部品の模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1について例示する。同図(A)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)はコイル部品1の側面図である。同図(B)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。この態様では、コイル部品1の絶縁体部11の表面に設けられたマーカー部22が読み取りコードである。マーカー部22の位置に関わらず、マーカー部22の読み取りコードによってコイル部品1の導体の巻き始め位置や巻き方向が示される。一例において、読み取りコードには導体の巻き始め位置や巻き方向以外の情報を含ませることもできる。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても部品の姿勢や方向を示したり、部品の姿勢や方向以外の情報を含ませたりすることにより、同様の利点をもたらす。
【0033】
図12は本発明の一態様である受動電子部品の模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1について例示する。同図(A)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)はコイル部品1の側面図である。同図(B)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。この態様では、コイル部品1の絶縁体部11の表面に設けられたマーカー部22が非対称に配置された複数の凹部によって構成される。「非対称に配置される」とは、その配置によって示される形状内における全ての軸に対して非対称である必要はなく、形状内における少なくとも1つのいずれかの軸に対して非対称であって、この非対称性によって向きを示し得る状態をいう。例えば配置によって示される形状が正三角形である場合、各頂点から対向する辺に下ろした垂線の軸に対して対称であるが、任意の二辺の中点同士を結んだ軸に対しては非対称であり、この非対称性によって向きを示し得るため、本発明においては正三角形に配置された形状も非対称なものに含まれる。一例において、マーカー部22は正三角形の頂点の位置に配置された3個の上面視円形の凹部から構成され、各端子電極間を結ぶ軸に直交する軸に対して非対称であるように設けられており、非対称の配置が示す向きによってコイル部品1の導体の巻き始め位置や巻き方向が示される。なお、マーカー部22を構成する複数の凹部の配置によって示される形状が非対称であれば、三角形状の配置以外であってもよく、各凹部の形状は円形状以外の形状により構成してもよい。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても部品の姿勢や方向を示すことにより、同様の利点をもたらす。
【0034】
図13は本発明の一態様である受動電子部品の模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1について例示する。同図(A)、同図(B)および同図(C)はそれぞれ異なる3つの態様を示す。上段が上面図であり、中段が側面図であり、下段が下面図である。同図においては、マーカー部22が絶縁体部11の上面と下面の2つの面にそれぞれ設けられ、それら2個のマーカー部22の位置が、上面と下面の間の中心面に対して非対称である。同図では、上面のマーカー部22が左に位置し、下面のマーカー部22が右に位置している。なお、上面のマーカー部22が右に位置し、下面のマーカー部22が左に位置していてもよい。
【0035】
図13(A)の態様において、絶縁体部11の上面と下面とでそれぞれ異なる形状のマーカー部22が設けられている。上面に設けられたマーカー部22は三角形状の凹部であり、下面に設けられたマーカー部22は台形形状の凹部である。この態様においては、マーカー部22の形状によってコイル部品1の導体の巻き始め位置や巻き方向が示されるだけでなく、上面と下面とに設けられたマーカー部22の位置と形状の違いによってコイル部品1の絶縁体部11の上面と下面とを識別できる。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても部品の姿勢や方向を示したり、部品の上面と下面を識別できるようにしたりして、同様の利点をもたらす。
【0036】
図13(B)の態様において、絶縁体部11の上面と下面とでそれぞれ異なる個数のマーカー部22が設けられている。上面に設けられたマーカー部22は1個の三角形状の凹部であり、下面に設けられたマーカー部22は2個の三角形状の凹部である。この態様においては、マーカー部22の形状によってコイル部品1の導体の巻き始め位置や巻き方向が示されるだけでなく、上面と下面とに設けられたマーカー部22の位置と数の違いによってコイル部品1の絶縁体部11の上面と下面とを識別できる。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても部品の姿勢や方向を示したり、部品の上面と下面を識別できるようにしたりして、同様の利点をもたらす。
【0037】
図13(C)の態様において、マーカー部22が文字を表し、絶縁体部11の上面と下面とで異なる文字を表すマーカー部22が設けられている。上面に設けられたマーカー部22は「UP」の文字の凹部であり、下面に設けられたマーカー部22は「DW」の文字の凹部である。この態様においては、マーカー部22の位置によってコイル部品1の導体の巻き始め位置や巻き方向が示されるだけでなく、上面と下面とに設けられたマーカー部22の位置と文字の違いによってコイル部品1の絶縁体部11の上面と下面とを識別できる。また、この態様においては、文字により導体の巻き始め位置や巻き方向や上面下面以外の情報を示すこともできる。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても部品の姿勢や方向を示したり、部品の上面と下面を識別できるようにしたり、部品の姿勢や方向や上面下面以外の情報を示したりして、同様の利点をもたらす。
【0038】
本発明において、「上面」と「下面」とは、複数の面を持つ絶縁体部における互いに対向する任意の2つの面を便宜的に表すものであり、必ずしも上部および下部にある必要はない。マーカー部は複数の面を持つ絶縁体部における互いに対向する任意の2つの面に設けられ得る。
【0039】
図14は本発明の一態様である受動電子部品の模式図である。本発明の受動電子部品の他の実施態様であるコイル部品1について例示する。同図(A)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)はコイル部品1の側面図である。同図(B)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。
図14(A)に示されるように、マーカー部22は矩形の凹部として形成される。ここで、コイル部品1の2つの端子電極12を結ぶ方向、すなわち紙面左右方向を長手方向とし、長手方向に直交する方向、すなわち紙面上下方向を短手方向とする。符号Aはマーカー部22の長手方向の寸法を表し、符号Bがマーカー部22の短手方向の寸法を表す。この例ではマーカー部22の形状は、絶縁体部11の長手方向の寸法Aが短手方向の寸法Bよりも長くなっている。すなわち、マーカー部22の矩形の寸法はA>Bの関係となっている。実装機の吸着パットは、通常、円形の断面を持ち、実装部品上面に接したときに、円形部内部を減圧することで実装部品上面に吸着力を発生させ、実装部品を保持するものである。この吸着を確実にするためには、円形部内部の減圧した状態を維持する必要がある。マーカー部22の矩形の寸法がA>Bの関係となっているとき、減圧した状態を維持しやすくなり、実装機の吸着パットによる吸着を確実にすることができる。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。このことを
図15(比較例)と
図16(本発明)を用いてより詳細に説明する。
【0040】
図15は比較例であるコイル部品の模式図である。同図(A)、同図(C)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)、同図(D)はコイル部品1の側面図である。同図(B)および同図(D)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。同図(C)、同図(D)において、実装機の吸着パット23が模式的に描かれる。符号Oはマーカー部22と吸着パット23との重なる部分の短手方向の長さを示す。この比較例では、マーカー部22の形状が絶縁体部11の短手方向に長くなっているため、実装機の吸着パット23の外縁とマーカー部22の重なり長さOが長くなり、吸着パット23とマーカー部22との隙間Cからの真空漏れが大きくなる。
【0041】
図16は本発明の一態様である受動電子部品の模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1について例示する。同図(A)、同図(C)はコイル部品1の上面図であり、同図(B)、同図(D)はコイル部品1の側面図である。同図(B)および同図(D)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。同図(C)、同図(D)において、実装機の吸着パット23が模式的に描かれる。符号Oはマーカー部22と吸着パット23との重なる部分の短手方向の長さをしめす。この態様では、マーカー部22の形状が絶縁体部11の長手方向に長くなっているため、装機の吸着パット23の外縁とマーカー部22の重なり長さOが短くなり、吸着パット23とマーカー部22との隙間Cからの真空漏れが小さくなる。このように、本発明のコイル部品1では、実装機の吸着パット23による吸着がより確実なものとなっている。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。
【0042】
図17は本発明の一態様である受動電子部品の模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコイル部品1について、マーカー部22が絶縁体部11の各辺の中点を結ぶ四角形の外側にあることを示す。同図(A)、同図(B)、同図(C)はコイル部品1の上面図であり、同図(D)、同図(E)はコイル部品1の側面図である。同図(D)および同図(E)のマーカー部22は、
図1(C)と同じ形状を持つものであるが、簡略化して模式的に描かれる。同図(A)において、実装機の吸着パット23の位置が模式的に描かれる。同図(B)は、絶縁体部11の各辺の中点を結ぶ四角形を示す。ハッチング部は絶縁体部11の各辺の中点を結ぶ四角形の外側を示す。同図(C)は、絶縁体部11の各辺の中点を結ぶ四角形の外側に設けられたマーカー部22を示す。同図(E)は、同図(D)の側面図において実装機の吸着パット23の位置が模式的に描かれる。
【0043】
吸着パット外縁部が端子電極と接触すると、端子電極表面のメッキ部にダメージを与える危険性があるため、吸着パットは通常端子電極に接触しないように実装部品上面に接する。また、実装部品の端部には曲面が形成されていることがあり、このような曲面に吸着パットが接すると真空状態を保てないような問題があるため、通常、実装部品の端部に吸着パット外縁部が接することはない。さらに、吸着パットは、通常、可能な限り部品中央部を吸着するように設定される。このため、吸着パットは、外部電極と実装部品端辺の各々の中点を結ぶ線よりも内側部分を吸着することになり、この部分を避けてマーカー部を設けることが望ましい。この場合、絶縁体部の各辺の中点を結ぶ線を長径・短径とする楕円エリアを避けることが最も望ましい。
【0044】
図17(B)と
図17(C)とに示されるように、絶縁体部11の各辺の中点を結ぶ四角形の外側にマーカー部22を設けることにより、実装機の吸着パット23とマーカー部22との接触を避けることができる。同図(E)に示されるように側面図においてはマーカー部22と実装機の吸着パット23の位置が重なっているようにみえるが、同図(A)〜(C)に示されるように上面図においてはマーカー部22と実装機の吸着パット23の位置が重ならない。このように、絶縁体部11の各辺の中点を結ぶ四角形の外側にマーカー部22を設けることにより、吸着パットは真空漏れを起こさないものとなる。これにより、本発明のコイル部品は、実装機の吸着パット23による吸着をより確実なものにしている。コイル部品1を例として示したが、他の受動電子部品においても同様の利点をもたらす。
【0045】
また、本発明のコイル部品1の製造方法の別の実施形態3として、実施形態2における導体ペーストの代わりに導線を用いて導体部を形成する方法もある。導線は被覆つき導線を用いるのが好ましい。この場合、導線を巻回し、コイル状導体を形成し、その周囲をフィラーと樹脂で構成し、加熱によって樹脂を硬化させることにより絶縁体を形成する。この製造方法におけるマーカーには、フィラーと樹脂からなる絶縁体が加熱によって形成されるときに、より大きく収縮する樹脂などが選ばれる。マーカー部の配置、およびマーカーを配置する方法は前述の実施形態1、2と同様に加圧前に行われる。マーカー部は、圧力によってマーカーの略厚み分だけマーカーが配置された面がへこみ、マーカーの上面とマーカーが配置された面は略平坦になる。さらに、加熱処理によりマーカーは、厚み方向に収縮し、マーカー部の上面がマーカーが配置された面の表面より低い位置に存在するようになる。これにより、マーカー部の上面が他の物体と擦れたり、当たったりするようなことを防止できる。
【0046】
図18は本発明の一態様である受動電子部品の模式図である。本発明の受動電子部品の一態様であるコンデンサ部品2について示す。同図(A)はコンデンサ部品2の上面図、同図(B)はコンデンサ部品2の側面図、同図(C)はコンデンサ部品2の他の側面図である。コンデンサ部品2の幅方向と高さ方向の寸法の差が少なくても、マーカー部22を識別することにより設計した方向にコンデンサ部品2を実装することが出来る。コイル部品1を例として受動電子部品について上述した利点は、本発明のコンデンサ部品2においても該当する。
【0047】
例えば、マーカーの材料として加熱により収縮する性質を持つものを使用することにより、積層体の焼成の際に、マーカー部22の上面が最上面のシートの表面より低い位置に存在するようになり、マーカー部の上面が他の物体と擦れたり、当たったりするようなことを防止できる。例えば、マーカー部22の深さを導体部の電気的特性に影響を与えない深さとすることにより、マーカー部22と導体部とが干渉して導体部がショートすることが防止される。例えば、マーカー部22を小さくすることにより実装機の吸着パットなどとの干渉を防いだり、端子電極12との接触を避けたりできる。例えば、マーカー部22と端子電極12との間を特定の距離で離間させることによりマーカー部22がコンデンサ2の電気的特性に影響を与えることが防止される。例えば、マーカー部22を有する面の各辺の中点を結ぶ四角形の外側にマーカー部22を設けることにより、吸着パットは真空漏れを起こさないものとなる。例えば、マーカー部22の形状を前記絶縁体部の長手方向に長いものとすることによって実装機の吸着パットによる吸着を確実にすることができる。例えば、マーカー部22の形状を非対称なものとしたり、複数のマーカー部22の配置により示される形状を非対称なものとしたりすることによって、コンデンサ部品2の姿勢や方向を示すことができる。例えば、マーカー部22を文字もしくは読み取りコードとすることによって、コンデンサ部品2の姿勢や方向を示したり、コンデンサ部品2の姿勢や方向以外の情報を含ませたりすることができる。例えば、マーカー部22をコンデンサ部品2の2つの対向する面にそれぞれ設けることによって、コンデンサ部品2の姿勢や方向を示したり、コンデンサ部品2の姿勢や方向以外の情報を含ませたり、コンデンサ部品2の姿勢や方向や上面下面以外の情報を示したりすることができる。
【0048】
本発明によれば、マーカー部が絶縁体部の表面の凹部に配置されているので、摩擦によりマーカー部のインクが薄くなることや、汚れなどがマーカー部に付着することが防止される。これにより、受動電子部品のマーカー部の認識を確実に行うことができる。また、本発明によれば、小さな電子部品であってもマーカー部の認識を確実に行うことができるため、部品の小型化にも対応し得る。