【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ポリオレフィン系樹脂の融点)
融点は、JIS K7122:1987「プラスチックの転移熱測定方法」に記載の方法により測定する。
すなわち、示差走査熱量計装置DSC6220型(エスアイアイナノテクノロジー株式会社製)を用い、アルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんする。次いで、窒素ガス流量20mL/minのもと、30℃から−40℃まで降温した後10分間保持し、−40℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から−40℃まで降温(Cooling)、10分間保持後−40℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得る。なお、全ての昇温・降温は速度10℃/minで行い、基準物質としてアルミナを用いる。
装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程にみられる融解ピークのトップの温度を読みとった値を融点とする。融解ピークが2つ以上ある場合、最も深いピークに対応する温度を融点(℃)とする。
【0036】
(ポリオレフィン系樹脂の軟化温度)
JIS K7196:1991「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」記載の方法に準拠し測定する。
すなわち、樹脂試料を180℃で5分間熱プレスして、厚み1mm、直径10mmの円盤プレート状試験片を作製する。熱・応力・歪み測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名「EXSTRAR TMA/SS6100」)を用い、窒素雰囲気下で針入試験モード(針の先端 φ1mm、石英製プローブ)、荷重500mNで、試験片に針を当てて、30℃から昇温速度5℃/分で温度を上げていきTMA曲線を得る。得られたTMA曲線を装置付属の解析ソフトで石英係数設定による補正を行い、TMA曲線の圧子(針)が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点を針入温度とし、その針入温度をこの樹脂試料の軟化温度とする。
【0037】
(ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート:MFR)
MFRは、JIS K6922−1:1998に準拠して、190℃、2.16Kg荷重で測定する。
【0038】
(吸光度比(D698/D2850))
複合樹脂粒子の表面の吸光度比(D698/D2850)を次の要領で測定する。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる各吸光度は、複合樹脂粒子に含まれる各樹脂成分の振動に由来するピークの高さをいう。
無作為に選択した10個の粒子について、赤外分光分析ATR測定法により粒子断面分析を行って赤外吸収スペクトルを得る。この分析では、試料表面から数μm(約2μm)までの深さの範囲の赤外吸収スペクトルが得られる。
各赤外吸収スペクトルから個別の吸光度比(D698/D2850)を算出し、それらの相加平均を吸光度比とする。
吸光度D698およびD2850は、Nicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光分析計 MAGNA560」で販売されている測定装置と、ATRアクセサリーとしてSpectra−Tech社製「サンダードーム」を用いて次の条件で測定する。
【0039】
(1)測定条件
高屈折率結晶種:Ge(ゲルマニウム)
入射角:45°±1°
測定領域:4000cm
−1〜675cm
−1
測定深度の端数依存性:補正せず
反射回数:1回
検出器:DTGS KBr
分解能:4cm
−1
積算回数:32回
その他:試料と接触させずに赤外線吸収スペクトルを下記の条件で測定し、測定されたスペクトルをバックグラウンドとする。試料の測定時には、バックグラウンドが測定スペクトルに関与しないように、測定データを処理する。ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合によって、赤外吸収スペクトルの強度が変化する。そのため、ATRアクセサリーの「サンダードーム」で掛けられる最大荷重を掛けて密着度合をほぼ均一にして測定を行う。
【0040】
(2)バックグランド測定条件
モード:透過
ピクセルサイズ:6.25μm
測定領域:4000cm
−1〜650cm
−1
検出器:MCT
分解能:8cm
−1
スキャン/ピクセル:60回
その他:試料近傍の試料のない部分のフッ化バリウム結晶を測定した赤外吸収スペクトルをバックグランドとして測定スペクトルに関与しない処理を実施する。
【0041】
以上の条件で得られた赤外線吸収スペクトルについて、次のようにピーク処理をしてそれぞれの吸光度を求める。
赤外吸収スペクトルから得られる698cm
−1での吸光度D698は、スチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面外変角振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。この吸光度の測定では、698cm
−1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しない。吸光度D698は、2000cm
−1と870cm
−1を結ぶ直線をベースラインとして、710cm
−1と685cm
−1間の最大吸光度を意味する。
【0042】
また、赤外吸収スペクトルから得られる2850cm
−1での吸光度D2850は、ポリエチレン系樹脂に含まれる−C−CH
2炭化水素のCH
2の対称変角振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。この吸光度の測定では、2850cm
−1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離を実施しない。吸光度D2850は、3125cm
−1と2720cm
−1を結ぶ直線をベースラインとして、2875cm
−1と2800cm
−1間の最大吸光度を意味する。
吸光度比からポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組成割合を求める方法としては、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを所定の組成割合に均一に混合してなる複数種類の標準試料を作製し、各標準試料についてATR法赤外分光分析により粒子表面分析を行なって赤外線吸収スペクトルを得る。得られた赤外吸収スペクトルのそれぞれから吸光度比を算出する。そして、縦軸に組成割合(標準試料中のポリスチレン系樹脂比率(質量%))を、横軸に吸光度比(D698/D2850)をとることで、検量線を描く。この検量線に基づいて、本発明の複合樹脂粒子の吸光度比から、本発明の複合樹脂粒子におけるポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組成割合を求める。
【0043】
なお、前記検量線は、下記の式に近似される。
・D698/D2850<1.42の場合
Y=21.112X
2
・1.42<(D698/D2850)<8.24の場合
Y=28.415Ln(X
2)+20.072
式中、X
2=(D698/D2850)、Y=ポリスチレン系樹脂量(%)
【0044】
(カーボンの配合量:C2)
測定装置として、示差熱・熱量同時測定装置 TG/DTA6200型(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、JIS K7075「炭素繊維強化プラスチックの繊維含有率及び空洞率試験方法(燃焼法)」に準拠して測定を行う。
測定試料量を15mgとして、520〜800℃昇温時(加熱速度10℃/min)の減量分をカーボン量として算術計算する。
(表層部のカーボン配合量:C1)
35倍(密度28.6Kg/m
3)まで発泡した発泡粒子の表皮を0.5mm以下の厚みでスライスし、試料を採取したうえで、カーボン配合量C2の測定方法と同一に測定を行う。
【0045】
(予備発泡粒子の嵩密度)
予備発泡粒子の嵩密度は、下記の要領で測定する。まず、予備発泡粒子をメスシリンダに500cm
3の目盛りまで充填する。但し、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm
3の目盛りに達していれば、充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とする。次式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(Kg/m
3)=(W/500)×1000
【0046】
(発泡成形体の密度)
発泡成形体(成形後、50℃で4時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×35mm)の質量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(Kg/m
3)を求める。
【0047】
(発泡成形体の加熱寸法変化率:90℃)
発泡成形体の加熱寸法変化率をJIS K 6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載のB法にて測定する。具体的には、発泡成形体から縦150mm×横150mm×高さ20mmの試験片を切り出す。前記試験片の表面に、縦方向に指向する長さ50mmの直線を3本、互いに平行に50mm間隔毎に記入すると共に、横方向に指向する長さ50mmの直線を3本、互いに平行に50mm間隔毎に記入する。しかる後、試験片を90℃の熱風循環式乾燥機の中に168時間に亘って放置した後に取出し、標準状態(20±2℃、湿度65±5%)の場所にて24時間と7日間に亘って放置する。次に、試験片の表面に記入した6本の直線の長さをそれぞれ測定し、6本の直線の長さの相加平均値L1を算出する。下記の式に基づいて24時間と7日間の変化度Sを算出し、変化度Sの絶対値を加熱寸法変化率(/1000)とする。
【0048】
S=1000×(L1−50)/50
7日後の加熱寸法変化率について、
○(良好):0≦S≦10;寸法変化率が低く、寸法の安定性が良好であった
△(可):10<S≦15;寸法の変化が見られるが、実用上使用は可能であった
×(不可):15<S;寸法の変化が著しく見られ、実用上使用は不能であった
と判定する。
【0049】
(発泡成形体のダイナタップ衝撃圧縮試験)
ASTM D3763−92に準拠した、ダイナタップ衝撃圧縮試験で測定する。測定においては、下記の条件に設定する。
試験装置: General Research社製 ダイナタップ衝撃試験装置 GRC 8250を使用し、タップの先端とクランプを下記に変更する。
タップ(3500lbs(15568N))の先端1は、φ1/2インチ半球形インサートから圧縮試験用平板(上側)2(ステンレス製、縦45mm×横45mm×高さ15mm、重量225g)にする(
図1参照)。
【0050】
クランプの代わりに圧縮試験用平板(下側)3(ステンレス製)を取り付ける。平板の取り付け位置は、クロスヘッドの下限位置において上側と下側の圧縮試験用平板の間隔が15mmとなるようにする(
図2参照)。
図2中、4は支持具、5は試験片、6はタップを意味する。
【0051】
測定方法:試験片は全面表皮なしの縦35mm×横35mm×高さ35mmとし、試験前に−30℃±2℃、23℃±2℃、65℃±2℃の環境で16時間以上保管して品温を安定させる。GRC 8250付属の恒温槽を各試験温度−30℃±2℃、23℃±2℃、65℃±2℃に温調し、試験片を圧縮試験用平板(下側)に置き、その上に先端を圧縮試験用平板(上側)に変更したタップを試験速度3.01m/sec、試験荷重3.19Kg、落錘距離46cmの条件で落下させて試験を行う。
解析ソフトImpulse Data Acquisitionを使用して測定チャート上のカーソルを変位17.5mmに手動で合わせ、チャートの右上、左上に表示される荷重及び吸収エネルギーの値を読み取って、50%圧縮時発生荷重及び50%圧縮時吸収エネルギーの値とする。試験数5個の平均を算出する。
【0052】
得られた50%圧縮時吸収エネルギーE
−30とE
65の比E
65/E
−30
を次の基準で評価する。
E
65/E
−30
◎(優良):比が0.82以上
〇(可) :比が0.74以上0.82未満の範囲
×(不可):比が0.74未満
【0053】
(発泡成形体の落球衝撃値)
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」に記載の方法に準拠して落球衝撃強度を測定する。
所定の密度の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から40mm×215mm×20mm(厚さ)の試験片(6面とも表皮なし)を切り出す。
次いで、支点間の間隔が150mmになるように試験片の両端をクランプで固定し、重さ321gの剛球を所定の高さから試験片の中央部に落下させて、試験片の破壊の有無を観察する。
【0054】
試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで5cm間隔で剛球の落下高さ(試験高さ)を変えて試験して、落球衝撃値(cm)、すなわち50%破壊高さを次の計算式により算出する。
H50=Hi+d[Σ(i・ni)/N±0.5]
式中の記号は次のことを意味する。
H50:50%破壊高さ(cm)
Hi:高さ水準(i)が0のときの試験高さ(cm)であり、試験片が破壊することが予測される高さ
d:試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i:Hiのときを0とし,1つずつ増減する高さ水準(i=…−3、−2、−1、0、1、2、3…)
ni:各水準において破壊した(又は破壊しなかった)試験片の数で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
N:破壊した(又は破壊しなかった)試験片の総数(N=Σni)で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
±0.5:破壊したデータを使用するときは負の数、破壊しなかったデータを使用するときは正の数を採用
○(良):落球衝撃値が30cm以上
△(可):落球衝撃値が20cm以上30cm未満の範囲
×(不可):落球衝撃値が20cm未満
【0055】
(発泡成形体の外観)
発泡成形体(長さ400mm×幅300mm×高さ50mm)の長さ方向の中心に沿って、カッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を手で二分割する(長さ200mm×幅300mm×高さ50mm)。その破断面における発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲について、発泡粒子内で破断している粒子の数(a)と発泡粒子同士の界面で破断している粒子の数(b)とを数える。式[(a)/((a)+(b))]×100に代入して得られた値を融着率(%)とし、次の判断基準で発泡成形体の外観を評価する。
○(良):融着率が70%以上
×(不可):融着率が70%未満
【0056】
(実施例1)
(種粒子の作製)
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)(密度937Kg/m3、MFR3.5g/10分、融点126℃;宇部丸善ポリエチレン社製、銘柄:140HK)100質量部に対し、カーボンマスターバッチ(基材樹脂:直鎖状低密度ポリエチレン、融点123℃、軟化温度118℃、カーボン含有量45%
、密度1.19g/cm3;大日精化工業社製、銘柄:10H381)12.5質量部をタンブラーミキサーに投入し、10分間混合した。
次いで、得られた樹脂混合物を押出機(東芝機械社製、型式:SE−65)に供給して温度230〜250℃で溶融混練し、水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)に切断し、カーボン含有直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂粒子(種粒子)を得た。なお、種粒子の平均質量は0.6mgであった。
【0057】
(第1の重合)
次いで、攪拌機付の容量5リットルのオートクレーブ(日東高圧社製)に、分散剤としてのピロリン酸マグネシウム40g、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6gを純水2Kgに分散させて分散用媒体を得た。この分散用媒体に30℃で種粒子800gを分散させて10分間保持し、次いで60℃に昇温して懸濁液を得た。
次いで、得られた懸濁液に、予め重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド0.7gを溶解させて調製しておいたスチレン340gを30分掛けて滴下した。滴下後、30分間保持することで、種粒子中にスチレンを含浸させた。含浸後、140℃に昇温し、この温度で2時間重合(第1の重合)させた。
【0058】
(第2の重合)
次いで、125℃に降温(冷却)した懸濁液中に、予めドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3gを純水20gに分散させて調製しておいた分散液を10分掛けて滴下した後、予め重合開始剤としてのt−ブチルクミルパーオキサイド4gを溶解させて調製しておいたたスチレン860gを4時間30分掛けて滴下した。滴下後、125℃で1時間保持することで、種粒子中にスチレンを含浸させた。含浸後、140℃に昇温し、この温度で3時間保持して重合(第2の重合)させて、複合樹脂粒子2000gを得た(種粒子とポリスチレンとの質量比40/60)。
【0059】
(発泡性粒子の作製)
次いで、30℃以下まで冷却し、オートクレーブから複合樹脂粒子を取り出した。
得られた複合樹脂粒子2Kgと水2リットル、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0gとを、5リットルの攪拌機付オートクレーブに入れた。さらに、発泡剤としてブタン(n−ブタン:i−ブタン=7:3)300g(520mL、複合樹脂粒子100質量部に対して15質量部)をオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、この温度で4時間攪拌を続けることで発泡性粒子2200gを得た。
その後、30℃以下まで冷却して、発泡性粒子をオートクレーブから取り出し、脱水乾燥させた。
【0060】
(発泡粒子の作製)
次いで、発泡性粒子1Kgを、缶容量40リットルの予備発泡機(笠原工業社製、型式:PSX40)に投入し、缶内にゲージ圧力0.04MPaの水蒸気を導入して加熱し、嵩密度26Kg/m
3に発泡させて、発泡粒子を得た。
【0061】
(発泡成形体の作製)
次いで、得られた発泡粒子を1日間室温(23℃)に放置した後、400mm×300mm×30mmの内寸のキャビティを有する成形型のキャビティ内に充填した。
その後、成形型に0.15MPaの水蒸気を25秒間導入して加熱し、次いで、発泡成形体の最高面圧が0.01MPaに低下するまで冷却することで、融着率90%以上の密度28.6Kg/m
3の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の外観は良好であった。
【0062】
(実施例2)
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂として、プライムポリマー社製 銘柄「SP4020」(密度937Kg/m
3、MFR1.8g/10分、融点127℃)を使用すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡粒子の嵩密度は、28.6Kg/m
3であった。
(実施例3)
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂として、日本ポリエチレン社製 銘柄「UF943」(密度938Kg/m
3、MFR2.1g/10分、融点127℃)を使用すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡粒子の嵩密度は、28.6Kg/m
3であった。
【0063】
(実施例4)
種粒子とポリスチレンとの質量比を30/70とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡粒子の嵩密度は、28.6Kg/m
3であった。
(実施例5)
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂として、宇部丸善ポリエチレン社製 銘柄「4540F」(密度944Kg/m
3、MFR4g/10分、融点128℃)を使用すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡粒子の嵩密度は、28.6Kg/m
3であった。
【0064】
(実施例6)
高密度ポリエチレン系樹脂として、ブラスケム社製 銘柄「SGE7252」(密度953Kg/m
3、MFR2.2g/10分、融点131℃)を使用すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡粒子の嵩密度は、28.6Kg/m
3であった。
【0065】
(比較例1)
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂に代えてポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製 銘柄「F744NP」、融点:140℃)を使用し、種粒子とポリスチレンとの質量比を45/55とすること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡粒子の嵩密度は、28.6Kg/m
3であった。
(比較例2)
カーボンマスターバッチとして日本ユニカー社製 銘柄「MHRB−013」(基材樹脂:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、融点66−107℃、軟化温度101℃、カーボン含有量30%)を使用すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡粒子の嵩密度は、28.6Kg/m
3であった。
【0066】
(比較例3)
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂として、日本ポリエチレン社製 銘柄「NF464A」(密度918Kg/m
3、MFR2g/10分、融点124℃)を使用すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡粒子の嵩密度は、28.6Kg/m
3であった。
(比較例4)
カーボンマスターバッチとして日本ユニカー社製 銘柄「28E−40」(基材樹脂:EVA、融点63−105℃、軟化温度101℃、カーボン含有量40%)を使用すること以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。発泡粒子の嵩密度は、28.6Kg/m
3であった。
【0067】
(比較例5)
直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)(密度937Kg/m
3、MFR3.5g/10分、融点126℃;宇部丸善ポリエチレン社製、銘柄:140HK)と、カーボンマスターバッチ(基材樹脂:直鎖状低密度ポリエチレン、融点123℃、軟化温度118℃、カーボン含有量45%;大日精化工業社製、銘柄:10H381)と、ポリスチレン系樹脂(東洋スチレン株式会社製、製品名:トーヨースチロールGP、品種:HRM-40)とを質量比で27.5:12.5:60になるように合計30Kg配合し、タンブラーミキサーに投入し、10分間混合した。
【0068】
次いで、実施例1と同様にして、得られた混合樹脂を押出機に供給して溶融混練し、水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)し、複合樹脂粒子を得た。なお、このときの複合樹脂粒子の平均質量は約0.6mgであった。
次いで、実施例1と同様にして、得られた複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得た(約2200g)。
次いで、得られた発泡性粒子を予備発泡させたが、発泡性が低く、密度100Kg/m
3以下の発泡粒子を得ることができなかった。よってその後の評価を中断した。
【0069】
表1に実施例及び比較例の評価結果を記載する(表中、POはポリオレフィン系樹脂、MBはカーボンマスターバッチ、PSはポリスチレン系樹脂、DTはダイナタップ)。また、実施例及び比較例に使用した、POの物性を表2に、MBの物性を表3にそれぞれ示す(表中、CBはカーボン)。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
表1より、実施例では、高耐熱性及び高耐寒性を両立した発泡成形体が得られていることが分かる。