特許第6802682号(P6802682)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802682
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】再剥離性シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20201207BHJP
   C09J 7/21 20180101ALI20201207BHJP
   B42D 15/02 20060101ALI20201207BHJP
   C09J 107/00 20060101ALI20201207BHJP
   C09J 109/06 20060101ALI20201207BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20201207BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20201207BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J7/21
   B42D15/02 501B
   C09J107/00
   C09J109/06
   C09J11/04
   C09J11/08
【請求項の数】2
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-194706(P2016-194706)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-53217(P2018-53217A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 悠一
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−067628(JP,A)
【文献】 特開2001−192626(JP,A)
【文献】 特開2016−064596(JP,A)
【文献】 特開2013−245273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの表面に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着できる再剥離性シートの製造方法であって、
前記感圧接着剤層を形成するための感圧接着剤組成物を前記基材シートの表面に塗工して前記感圧接着剤層を形成する工程と、
前記感圧接着剤層が形成された前記基材シートを、前記重ね合わせ面同士が対向するように重ね合わせる工程と、
前記重ね合わせた基材シートを一対の加圧体によって挟み込んで加圧して、前記重ね合わせ面同士を再剥離可能に接着する工程と、を有し、
前記感圧接着剤組成物は、天然ゴム系材料およびジエン系ゴム材料を含む接着剤基剤と、シリカを含む接着力調節剤と、水溶性高分子とを含有し、
前記天然ゴム系材料と前記ジエン系ゴム材料との配合量の割合(質量基準)は、11:1〜5:1であり、
前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコールを含み、
前記感圧接着剤層を形成する工程において、前記感圧接着剤組成物の塗工量を1〜8g/mとし、かつ、基材シートを重ね合わせた状態における前記基材シートの両面に相当する領域にそれぞれ前記感圧接着剤層を形成し、
前記重ね合わせた基材シートを接着する工程において、前記一対の加圧体の加圧面の間隔を、前記重ね合わせた基材シートの厚さの66〜90%とする、再剥離性シートの製造方法。
【請求項2】
前記ポリビニルアルコールは、シラノール変性ポリビニルアルコールである、請求項1記載の再剥離性シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再剥離性を有する感圧接着剤層を備えた再剥離性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材シートの表面に再剥離性を有する感圧接着剤層を備え、この接着剤層を介して基材シート同士を圧着させ、再剥離可能に接着させた再剥離性シートは、種々の用途で使用され、広く社会に普及している。再剥離性シートの代表的なものとしては、感圧圧着ハガキが例示され、親展性を有するハガキシステムで用いられている。
【0003】
親展性を有するハガキシステムでは、例えば、個人的用件、プリント情報、印刷情報等の各種情報が記載されたハガキを折り込み、切り重ね、あるいは別体同士を重ね合わせる等、各種の重ね合わせ態様で再剥離可能に接着し、各種情報を隠蔽した後、郵送することができる。ハガキは、受取人が重ね合わせ面を再剥離して、隠蔽情報を読み取ることができる。
【0004】
再剥離性シートでは、その製造時に、基材シートの目的とする重ね合わせ面に感圧接着剤組成物を塗工し、乾燥させることで、感圧接着剤層が形成される。感圧接着剤層には、各種情報がインクジェット印刷される(例えば、特許文献1参照)。
再剥離性シートは、感圧接着剤層を介して重ね合わせ面同士を再剥離可能に接着することにより作製できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3437744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記再剥離性シートの製造方法では、例えば感圧接着剤層に水溶性高分子などのバインダーが配合される場合、高温・高湿環境下などにおいて感圧接着剤層の接着力が高進し、接着された重ね合わせ面が再剥離しにくくなることがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、感圧接着剤層の接着力の高進を抑えることができる再剥離性シートの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、基材シートの表面に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着できる再剥離性シートの製造方法であって、
前記感圧接着剤層を形成するための感圧接着剤組成物を前記基材シートの表面に塗工して前記感圧接着剤層を形成する工程と、
前記感圧接着剤層が形成された前記基材シートを、前記重ね合わせ面同士が対向するように重ね合わせる工程と、
前記重ね合わせた基材シートを一対の加圧体によって挟み込んで加圧して、前記重ね合わせ面同士を再剥離可能に接着する工程と、を有し、
前記感圧接着剤組成物は、天然ゴム系材料を含む接着剤基剤と、シリカを含む接着力調節剤と、水溶性高分子とを含有し、
前記感圧接着剤層を形成する工程において、前記感圧接着剤組成物の塗工量を1〜8g/mとし、
前記重ね合わせた基材シートを接着する工程において、前記一対の加圧体の加圧面の間隔を、前記重ね合わせた基材シートの厚さの66〜90%とする、再剥離性シートの製造方法、再剥離性シートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、感圧接着剤層の接着力の高進を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る再剥離性シートの製造方法を実施できる製造装置を模式的に示す構成図である。
図2図1に示す製造装置の一部を拡大して示す構成図である。
図3】再剥離性シートの一例を模式的に示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る製造方法によって得られる三つ折りハガキの表面展開図である。
図5】前図に示す三つ折りハガキの裏面展開図である。
図6】重ね合わせ工程を説明する図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る再剥離性シートを模式的に示す断面図である。
図8】実施例および比較例における接着力の経時変化を示す図である。
図9】実施例および比較例における転写汚れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<再剥離性シートの製造方法>
本発明の一実施形態の再剥離性シートの製造方法は、基材シートの表面に感圧接着剤層を備え、前記感圧接着剤層を介して前記基材シートの重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着できる再剥離性シートの製造方法であって、前記感圧接着剤層を形成するための感圧接着剤組成物を前記基材シートの表面に塗工して前記感圧接着剤層を形成する工程と、 前記感圧接着剤層が形成された前記基材シートを、前記重ね合わせ面同士が対向するように重ね合わせる工程と、前記重ね合わせた基材シートを一対の加圧体によって挟み込んで加圧して、前記重ね合わせ面同士を再剥離可能に接着する工程と、を有し、前記感圧接着剤組成物は、天然ゴム系材料を含む接着剤基剤と、シリカを含む接着力調節剤と、水溶性高分子とを含有し、前記感圧接着剤層を形成する工程において、前記感圧接着剤組成物の塗工量を1〜8g/mとし、前記重ね合わせた基材シートを接着する工程において、前記一対の加圧体の加圧面の間隔を、前記重ね合わせた基材シートの厚さの66〜90%とする。
以下、本発明の実施形態により得られる再剥離性シートについて説明する。
【0012】
<再剥離性シート>
実施形態の製造方法により得られる再剥離性シートは、重ね合わせ面同士を再剥離可能に接着できる再剥離性シートであって、基材シートと、前記基材シートの少なくとも一方の面に設けられた感圧接着剤層とを有し、前記感圧接着剤組成物は、天然ゴム系材料を含む接着剤基剤と、シリカを含む接着力調節剤と、水溶性高分子とを含有し、前記感圧接着剤組成物の塗工量は1〜8g/mである。
【0013】
前記再剥離性シートは、基材シートの重ね合わせ面同士が前記感圧接着剤層により接着された状態であってもよいし、前記感圧接着剤層で接着される前の未接着状態であってもよい。
【0014】
前記感圧接着剤層は、例えば、前記基材シートの表面に、感圧接着剤層を構成する成分が配合された感圧接着剤組成物を塗工し、乾燥させることで形成できる。
【0015】
図3は、本発明の一実施形態に係る製造方法で得られる再剥離性シートを模式的に示す断面図である。なお、図3は、例えば、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。これは、他の図においても同様である。
ここに示す再剥離性シート1は、基材シート11と、基材シート11の一方および他方の面である表面11a,11bに設けられた感圧接着剤層12,12とを備える。
再剥離性シート1は、感圧接着剤層12を介して、基材シート11の重ね合わせ面(表面11a,11b)同士を、再剥離可能に接着できるようになっている。
感圧接着剤層12の表面12aは、基材シート11の重ね合わせ面同士を再剥離可能に接着するときの接着面となる。
【0016】
感圧接着剤層12の表面12aには印刷層14が形成されている。再剥離性シート1は、感圧接着剤層12の表面12a側に印刷層14が形成される、いわゆる先糊型の再剥離性シートとして使用できる。
【0017】
再剥離性シート1は、感圧接着剤層12の表面12a同士が接着され、表面12aを剥離面として、基材シート11の重ね合わせ面(表面11aまたは表面11b)は再剥離される。
【0018】
前記再剥離性シートは、ここに示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、ここに示すものの一部の構成が変更または削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
例えば、図7に示す再剥離性シート1Aのように、感圧接着剤層12は、基材シート11の表面11aだけに設けられていてよい。
【0019】
印刷層14の形状は目的に応じて任意に選択できる。印刷層14は、単層構造でもよいし、二層以上の複数層構造であってもよい。複数層の形状は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記再剥離性シートは、一の再剥離性シートが折り畳まれて、基材シートの重ね合わせ面同士が接着されてもよいし、別々の再剥離性シート同士が、これらの基材シートの重ね合わせ面で、感圧接着剤層により接着されてもよい。
【0020】
前記再剥離性シートは、基材シートの重ね合わせ面が、これと同様の基材シートの重ね合わせ面ではなく、表面が剥離処理されてなる剥離紙の表面と接着(貼り合わせ)されていてもよい。剥離紙を用いる場合には、その剥離処理面が再剥離性シートの基材シートの重ね合わせ面と接着されていることが好ましい。このような、剥離紙を用いた場合にも、再剥離性シートは再剥離性を有する。
【0021】
次に、本発明一実施形態に係る製造方法で得られる再剥離性シートを構成する各層について、詳細に説明する。
【0022】
<基材シート>
前記基材シートは、例えば紙を含む材質からなる。基材シートとしては、例えば、上質紙、原紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、レジンコート紙、合成紙等が挙げられ、特に、上質紙が好適である。上質紙であることによって、水性エマルジョンタイプの接着剤を塗布して感圧接着剤層を形成する際、当該接着剤の形成が良好であるとともに、インクジェット印刷を行なう際のインク吸収性が良好である。
基材シートの材質は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせおよび比率は、目的に応じて任意に選択できる。基材シートは、少なくとも感圧接着剤組成物の塗工面の材質が紙であるものが好ましい。
【0023】
基材シート(上質紙)は、例えば、JIS P8117に準拠して測定された透気度が300秒以下であることが好ましく、200秒以下であることがさらに好ましい。透気度が前記範囲にあることで、基材シートに十分なインク吸収性が与えられ、インクの受容性が高められる。
【0024】
基材シートの厚さは特に限定されないが、通常は50〜300μmであることが好ましく、80〜200μmであることがより好ましい。
【0025】
基材シートは、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるもの(複数層が積層されたもの)でもよい。基材シートが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質および厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。
基材シートが複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材シートの厚さとなるようにするとよい。
【0026】
<感圧接着剤層>
前記感圧接着剤層は、前記基材シートの表面に、感圧接着剤層を構成する成分が配合された感圧接着剤組成物を塗工し、乾燥させることで形成できる。
【0027】
[感圧接着剤組成物]
感圧接着剤組成物は、疑似接着剤であれば特に限定されず、公知のものを使用できる。
感圧接着剤組成物は、接着剤基剤と、接着力調節剤と、水溶性高分子とが配合されている。
接着力調節剤は、接着剤基剤による接着力の発現を阻害して、感圧接着剤層の接着力を調節したり、接着力の高進性の抑制や耐ブロッキング性を向上させるための成分である。接着剤基剤および接着力調節剤は、感圧接着性を発現するための成分である。
【0028】
(接着剤基剤)
前記接着剤基剤は、天然ゴム系材料を含む。前記天然ゴム系材料としては、例えば、天然ゴム、天然ゴムを変性させた変性ゴム等が挙げられる。
前記接着剤基剤は、有機溶媒を用いる有機溶媒系のもの、水を媒体とする水系のもの、紫外線等の放射線の照射で硬化する放射線硬化系のもの、加熱で硬化する加熱硬化系のもの等が挙げられる。
なお、本明細書において「接着剤基剤」とは、特に断りのない限り、前記天然ゴム等の固形のものを意味し、前記有機溶媒、水等の液状の媒体を含まないものとする。
前記接着剤基剤は、水系のものが好ましく、天然ゴム系水性エマルジョンタイプのものがより好ましい。水系の接着剤基剤を用いたエマルジョン等の組成物は、揮発性が低いため、塗布量の調節が容易であり、基材シートへの塗工適性がより高い。また、このような組成物は、媒体が水なので人体に無害であり、さらに引火性もなく、塗工工程や乾燥工程において、防爆設備等の特殊設備が不要である。
【0029】
天然ゴム系水性エマルジョンタイプの接着剤基剤(天然ゴム系材料)としては、天然ゴム系粘着剤の基剤として公知のものが例示でき、例えば、天然ゴムを主成分とするラテックス(天然ゴムラテックス);酸性ラテックス、解重合ラテックス、加硫ラテックス、グラフト化した天然ゴムラテックス等の、前記天然ゴムを変性した変性ゴムを主成分とする変性ラテックス;前記天然ゴムラテックスまたは変性ラテックスに対して、スチレンリッチSBRラテックス、ポリスチレンエマルジョンおよびスチレン・アクリル共重合体エマルジョンからなる群から選択される1種以上を適当量配合した混合物等が挙げられる。天然ゴムのグラフト化に用いるモノマーまたはオリゴマーは、重合性基を有するものであれば、目的に応じて任意に選択でき、例えば、モノマーであれば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、スチレン等の重合性不飽和二重結合を有するものが挙げられる。ここで、前記アルキルエステルは、メチルエステルまたはエチルエステルであることが好ましい。
【0030】
天然ゴム系水性エマルジョンタイプの接着剤基剤で好ましいものとしては、特に耐ブロッキング性、耐熱性、耐摩耗性等の観点から、天然ゴムを、メタアクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を用いて変性させたものが好ましい。例えば、天然ゴムにメタクリル酸メチル(MMA)をグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックス、天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムを主成分とする変性ラテックスが挙げられる。
天然ゴムにメタクリル酸メチルをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、例えば、天然ゴム100質量部に対して、メタクリル酸メチルを10〜40質量部グラフト重合させたものが挙げられる。
【0031】
天然ゴムにスチレンとメタクリル酸メチルとをグラフト重合させて得られた変性ゴムで好ましいものとしては、例えば、天然ゴム100質量部に対して、スチレンおよびメタクリル酸メチルを合計で30〜70質量部重合させたものが挙げられる。
接着剤基剤(天然ゴム系材料)としては、天然ゴムとメタアクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを混合した天然ゴム系ラテックス、天然ゴムと保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンとを混合した天然ゴム系ラテックスも使用可能である。
【0032】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、具体的にはメチル(メタ)アクリルレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの群より選ばれる1種または2種以上使用することができる。
【0033】
接着剤基剤には、アクリル変性ゴムラテックス、ゴムラテックスと保護コロイド系アクリル共重合エマルジョンとの混合物などが含まれていてもよい。
【0034】
接着剤基剤は、必須成分として天然ゴム系材料を含み、かつ任意成分として合成系のジエン系ゴム材料が配合されていてもよい。ジエン系ゴム材料は、主鎖に二重結合を含むゴム材料であって、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)などがあり、特に、スチレンブタジエンラテックス(SBR)が好ましい。
【0035】
天然ゴム系材料とジエン系ゴム材料との配合量の割合(質量基準)は、11.5:0.5〜9.5:2.5が好ましく、11:1〜10:2がさらに好ましい。
天然ゴム系材料の配合量の割合が前記範囲下限値以上であることで、シートを加圧して接着させる際の圧力が低くても十分な接着力が得られるため、接着力が大きくなり過ぎるのを防ぎ、再剥離性シートの再剥離性を良好にできる。また、感圧接着剤層に必要な接着力を確保することができるため、例えば再剥離性シートの搬送、仕分けなどの段階で重ね合わせ面が剥離するのを防ぐことができる。
ジエン系ゴム材料の配合量の割合が前記範囲下限値以上であることで、感圧接着剤層の強度を高め、耐摩耗性を向上させることができる。そのため、感圧接着剤層の一部がシール装置のロール等に付着するのを防ぐことができる。
【0036】
前記感圧接着剤組成物は、接着剤基剤における天然ゴム系材料の配合量の割合が、例えば79質量%以上が好ましく、83質量%以上がさらに好ましい。接着剤基剤における天然ゴム系材料の配合量の割合は、96質量%以下が好ましく、92質量%以下がさらに好ましい。
なお、接着剤基剤における天然ゴム系材料の配合量の割合は100質量%でもよい。
【0037】
前記接着剤基剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせおよび比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。ただし、2種以上を併用する場合には、互いに同じ系の接着剤基剤を用いることが好ましい。
【0038】
前記感圧接着剤組成物は、液状媒体以外の配合成分の総量(固形状の配合成分の総量)に対する、前記接着剤基剤(固形分)の配合量の割合が、20〜97質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
【0039】
なお、感圧接着剤組成物の調製時には、上記の接着剤基剤のように、水や有機溶媒等の液状媒体に溶解または分散させた状態で配合する成分があるが、本明細書に記載のこれら成分の配合量は、特に断りのない限り、上記の様に「(固形分)」等との表記がなくても、固形分としての配合量を意味するものとする。
【0040】
(接着力調節剤)
前記接着力調節剤は、例えば、充填材、ワックス等であり、前記接着剤基剤との親和性が低いものが挙げられる。これらはいずれも、感圧接着剤層の接着力(感圧接着性)を調節したり、接着力の高進性の抑制や耐ブロッキング性を向上させる。
前記接着力調節剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせおよび比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0041】
前記充填材は、有機充填材および無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
また、前記充填材は、粒子状(微粒子)であるものが好ましい。
【0042】
前記無機充填材としては、例えば、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、活性白土、アルミナ、デンプン(スターチ)、ガラス、シラスバルーン等が挙げられる。
【0043】
前記接着力調節剤としては、少なくとも前記充填材としてシリカが用いられる。シリカは単独で用いてもよいし、シリカとシリカ以外の充填材とを併用してもよい。シリカを用いることにより、インクの定着性を高めるとともに、接着力(感圧接着性)や再剥離性の調節を容易にすることができる。
シリカは非晶質シリカであることが好ましい。非晶質シリカは、粒子状(微粒子)であるものが好ましい。
【0044】
前記非晶質シリカとしては、例えば、乾式シリカおよび湿式シリカ等の合成非晶質シリカが挙げられる。
乾式シリカは、例えば、四塩化ケイ素を酸素・水素炎中で燃焼させる燃焼法で得られる。湿式シリカは、例えば、ケイ酸ナトリウムを無機酸で中和する沈殿法若しくはゲル法、またはアルコキシシランを加水分解するゾルゲル法等で得られる。
前記非晶質シリカは湿式シリカであることが好ましい。
【0045】
非晶質シリカの比表面積は、50〜500m/gであることが好ましく、100〜400m/gであることがより好ましい。非晶質シリカの比表面積が前記下限値以上であることで、インクの吸収量が向上し、感圧接着剤層での印刷濃度がより向上する。また、非晶質シリカの比表面積が前記上限値以下であることで、シリカ内部への接着剤基材の取り込みが抑制されるため、感圧接着剤層の接着力がより向上する。非晶質シリカの比表面積は、例えば、透過法や窒素等の気体分子を利用する気体吸着法等、公知の方法で測定できる。
【0046】
前記非晶質シリカは、平均粒子径が0.5〜15μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。前記平均粒子径が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層における非晶質シリカの粒子間の空隙部が適度な広さに保たれ、インクの吸収量及び吸収速度が向上し、印刷濃度がより向上する。また、前記平均粒子径が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層の表面における凹凸の程度が低減され、印刷品質がより向上する。
なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、コールターカウンターを用いる方法で測定された、体積累積分布の中央値D50を意味する。
【0047】
前記非晶質シリカは、吸油量が100〜350mL/100gであることが好ましく、150〜300mL/100gであることがより好ましい。前記吸油量が前記下限値以上であることで、インクの吸収量がより向上し、前記吸油量が前記上限値以下であることで、前記感圧接着剤組成物の流動性がより向上する。
【0048】
前記非晶質シリカは、細孔容積が0.5mL/g以上であることが好ましい。前記細孔容積が前記下限値以上であることで、インクの吸収量が向上し、感圧接着剤層での印刷濃度がより向上する。前記細孔容積の上限値は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0049】
前記非晶質シリカは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。なお、本明細書においては、非晶質シリカの前記比表面積、平均粒子径、吸油量及び細孔容積、並びにこれら以外の物性の一以上が互いに明らかに相違する場合、非晶質シリカの種類が互いに異なるものとする。
【0050】
前記非晶質シリカは、溶媒、好ましくは極性溶媒を分散媒とする分散物として配合することが好ましい。
好ましい前記極性溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の鎖状または環状ケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の鎖状または環状エーテル等が挙げられる。
前記溶媒(分散媒)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
溶媒(分散媒)は、水または水を含む極性溶媒であることが好ましく、水であることがより好ましい。
【0051】
前記分散物での非晶質シリカの含有量(配合量)は、特に限定されず、適宜調節すればよいが、例えば、取り扱い性等を考慮すると、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0052】
2種以上の前記非晶質シリカを分散物として配合する場合には、非晶質シリカは1種ずつ分散物として配合してもよいし、2種以上が同じ分散物中で分散された分散物を配合してもよい。
【0053】
前記感圧接着剤組成物は、液状媒体以外の配合成分の総量(固形状の配合成分の総量)に対するシリカの配合量の割合が、18〜50質量%であることが好ましく、27〜40質量%であることがより好ましい。シリカの前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層でのインクの印刷濃度をより良好な範囲に調節でき、シリカの前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層をより安定して形成できる。
このようにすることで、前記感圧接着剤層の構造を強化でき、また、多孔質性を有するシリカの表面には前記接着剤基剤が付着し易いため、感圧接着剤層の接着力(感圧接着性)および再剥離性を容易に調節できる。
【0054】
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤に用いられる天然ゴム系材料の配合量100質量部に対する、シリカの配合量の割合が70〜120質量部であることが好ましく、80〜110質量部がより好ましく、更に好ましくは90〜105質量部である。
シリカの前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層でのインクの印刷濃度をより良好な範囲に調節でき、シリカの前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層をより安定して形成できる。
【0055】
前記感圧接着剤組成物においては、前記充填材として、例えば、平均粒子径が異なる2種以上のものを併用することで、前記感圧接着剤層の表面(接着面)を容易に凹凸状とすることができ、感圧接着剤層の再剥離性を向上させることができる。
【0056】
前記充填材の平均粒子径は、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、2μm〜15μmであることが特に好ましい。
【0057】
前記ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス(固形パラフィン)等、公知のものが挙げられる。
【0058】
前記接着力調節剤が充填材である場合、前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記接着力調節剤(充填材)の配合量の割合が、1〜200質量部であることが好ましい。接着力調節剤の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、接着力調節剤を用いたことによる効果がより顕著に得られ、接着力調節剤の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層をより安定して形成できる。
【0059】
前記接着力調節剤がワックスである場合、前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記接着力調節剤(ワックス)の配合量の割合が、1〜20質量部であることが好ましい。接着力調節剤の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、接着力調節剤を用いたことによる効果がより顕著に得られ、接着力調節剤の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層をより安定して形成できる。
【0060】
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、シリカ以外の前記接着力調節剤(充填材)の配合量の割合は、例えば1〜60質量部とすることができる。
接着力調節剤におけるシリカの配合量の割合は100質量%でもよい。
【0061】
(水溶性高分子)
水溶性高分子は、前記感圧接着剤層の強度を向上させるものであり、バインダーとして機能する。水溶性高分子としては、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール;カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール;酸化デンプン;リン酸エステル化デンプン;ローコンス;カゼイン;カルボキシメチルセルロース(CMC)等が例示できる。
これらの中でも、印刷濃度の低下が少なく、耐オフセット性も良好である点から、ポリビニルアルコールが好ましい。以下、ポリビニルアルコールを「PVA」と略記することがある。
【0062】
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤に用いられる天然ゴム系材料の配合量100質量部に対する、前記水溶性高分子の配合量の割合が15〜35であることが好ましく、20〜30質量部がより好ましく、更に好ましくは22〜26質量部である。
水溶性高分子の前記配合量の割合が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層の強度を高めるとともに、シール装置のロール等に感圧接着剤層中の成分(例えばシリカ)が移行するのを抑制できる。水溶性高分子の前記配合量の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層の接着力の高進を抑制できる。
【0063】
(その他の成分)
前記感圧接着剤組成物は、接着剤基剤、接着力調節剤および水溶性高分子以外に、これらに該当しないその他の成分が配合されていてもよい。
前記その他の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、感圧接着剤分野で公知のものが挙げられ、好ましいものとしては、例えば、多価金属塩、界面活性剤、密着剤、アンチブロッキング剤、安定剤、溶媒、カチオンポリマー、酸化防止剤、消泡剤、防腐剤等が挙げられる。
前記その他の成分は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせおよび比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0064】
前記多価金属塩は、イオンとなったときにその価数が2以上(2価、3価、・・・)となる金属を構成元素とする塩(例えば硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩)であれば、特に限定されない。
好ましい多価金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
これらの中でも、感圧接着剤層において、インクジェット印刷適性を向上させることができ、水への溶解度と安全性が高い点から、より好ましい前記多価金属塩としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウムが挙げられる。
【0065】
前記多価金属塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0066】
前記感圧接着剤組成物は、前記接着剤基剤の配合量100質量部に対する、前記多価金属塩の配合量の割合が、5〜60質量部であることが好ましく、7〜56質量部であることがより好ましく、9〜53質量部であることが特に好ましい。
【0067】
前記界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が例示できる。
【0068】
前記密着剤は、前記接着剤基剤と、前記基材シートとの密着性を向上させるものであり、好ましいものとしては、例えば、スチレンブタジエンラテックス、ポリイソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリウレタンゴム等が挙げられる。
【0069】
前記アンチブロッキング剤は、天然ゴムとの親和性が小さいものが好ましく、微粒子であるものがより好ましい。このようなアンチブロッキング剤としては、例えば、デンプン(スターチ)、合成ゼオライト、微球状アクリル樹脂、微球状ポリエチレン、アルミナ、酸化チタン、カオリン、タルク等が挙げられる。
アンチブロッキング剤は、これらの中でも、天然ゴムとの親和性がより小さく、より高いアンチブロッキング効果を実現できることから、デンプンであることが好ましい。
【0070】
前記安定剤は、天然ゴムラテックスを分散安定化させるためのものであり、具体的にはカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤や、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルグリコシド等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0071】
前記溶媒は、前記感圧接着剤組成物における液状媒体であり、感圧接着剤組成物の調製時に粘度を調整するために用い、その例としては、水、有機溶媒等が挙げられる。
感圧接着剤組成物の調製時には、上記の接着剤基剤等の固形状の各配合成分は、水や有機溶媒等の液状媒体に溶解または分散させた状態で配合することがある。本発明においては、このような固形状の各配合成分を溶解または分散させるのに用いる液状媒体も溶媒に含める。
【0072】
前記有機溶媒は、配合成分を劣化させないものであれば特に限定されないが、高極性の有機溶媒が好ましく、その例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の鎖状または環状ケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の鎖状または環状エーテル等が挙げられる。
【0073】
前記感圧接着剤組成物における、溶媒以外の前記その他の成分の総配合量は、本発明の効果を損なわない範囲内で任意に調節できる。
ただし、本発明の効果がより顕著に得られる点から、前記感圧接着剤組成物は、液状媒体以外の配合成分の総量(固形状の配合成分の総量)に対する、前記接着剤基剤および接着力調節剤の総配合量の割合が、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。一方、前記総配合量の割合の上限値は、特に限定されず、100質量%であってもよい。
【0074】
前記感圧接着剤組成物は、接着剤基剤と、それ以外の成分(前記接着力調節剤、その他の成分等)とを配合することで製造できる。
【0075】
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。また、固形状の成分は、少なくともその一部を溶媒に溶解させた溶液として、または溶媒に分散させた分散物として添加してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子または撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダーまたはビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。そして、溶解していない成分が存在する場合には、この成分が均一に分散するまで撹拌することが好ましい。
【0076】
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10〜30℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類および量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、1分〜24時間であることが好ましい。
【0077】
前記感圧接着剤組成物の基材シートへの塗工方法は特に限定されず、例えば、印刷法、塗布法等の公知の方法が適用可能である。
前記印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、ノズル式(インクジェット式)印刷法、スプレー式印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法等が挙げられる。
【0078】
前記感圧接着剤組成物の塗工は、1回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。塗工を複数回に分けて行う場合には、乾燥させた塗膜上にさらに感圧接着剤組成物を塗工してもよいし、乾燥していない塗膜上にさらに感圧接着剤組成物を塗工してもよい。
【0079】
前記感圧接着剤組成物の塗工量(固形分の塗工量)は1〜8g/mとされる。
感圧接着剤組成物の固形分の塗工量が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層に必要な接着力を確保することができる。そのため、例えば再剥離性シートの搬送、仕分けなどの段階で重ね合わせ面が剥離するのを防ぐことができる。
感圧接着剤組成物の固形分の塗工量が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層の接着力の高進を抑制できる。
【0080】
塗工された感圧接着剤組成物の乾燥は、例えば、常圧下、減圧下および送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下および不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥および常温乾燥のいずれでもよい。そして、乾燥時間等、その他の乾燥条件は、乾燥方法に応じて適宜設定すればよい。
【0081】
感圧接着剤層の厚さは特に限定されないが、通常は1〜20μmであることが好ましく、3〜12μmであることがより好ましい。
【0082】
<印刷層>
前記印刷層は、形状、色等を目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。例えば、印刷層は、文字のみで構成されていてもよいし、文字以外のパターンのみで構成されていてもよく、文字と文字以外のパターンとの組み合わせで構成されていてもよい。
【0083】
印刷層は、例えば、前記インク組成物を用いて、インクジェット式印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、電子写真印刷方式、ディップ式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等、公知の印刷法で形成でき、目的に応じて適宜選択すればよい。また、印刷法は、一の方法を単独で適用してもよいし、二以上の方法を組み合わせて適用してもよい。
【0084】
印刷層の厚さは特に限定されないが、通常は0.1〜50μmであることが好ましい。
【0085】
印刷層は、上述のように、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるもの(複数層が積層されたもの)でもよい。印刷層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、上述の基材シートの場合と同じである。
印刷層が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい印刷層の厚さとなるようにするとよい。
【0086】
再剥離性シートは、インク吸収性が高いことが好ましい。インク吸収性は、例えば次の方法により評価できる。
インクジェットプリンタを用いて、再剥離性シートの表面に、黒色顔料インクを2cm×2cmのサイズでベタ印刷(単色印刷)し、0.1秒後に印刷部の表面でロールを転動させたときに、ロールに転写されるインクの濃度を転写汚れΔEとする。転写汚れΔEは、小さいほどインク吸収性が高くなる。転写汚れΔEは、例えば3.2以下が好ましい。
【0087】
例えば、再剥離性シートが、配布対象者が多数の、隠蔽情報が印刷された感圧圧着ハガキである場合には、すべての配布対象者に共通の固定情報を、オフセット印刷法等で印刷(印字)し、配布対象者ごとに異なる可変情報をインクジェット式印刷法等で印刷(印字)するという方法によって、印刷層を形成できる。ただし、これは一例であり、印刷層の形成方法はこれに限定されない。
【0088】
<再剥離性シートの製造方法>
次に、前記再剥離性シートの製造方法について説明する。
前記再剥離性シートは、感圧接着剤層形成工程と、印刷層形成工程と、重ね合わせ工程と、接着工程とを有する製造方法で製造できる。
感圧接着剤層形成工程は、前記感圧接着剤層を形成するための感圧接着剤組成物を前記基材シートの表面に塗工して前記感圧接着剤層を形成する工程である。
印刷層形成工程は、感圧接着剤層の表面に印刷層を形成する工程である。
重ね合わせ工程は、前記感圧接着剤層が形成された前記基材シートを、前記重ね合わせ面同士が対向するように重ね合わせる工程である。
接着工程は、前記重ね合わせた基材シートを一対の加圧体によって挟み込んで加圧して、前記重ね合わせ面同士を再剥離可能に接着する工程である。
【0089】
<感圧接着剤層形成工程>
感圧接着剤層形成工程は、先に説明したように、感圧接着剤組成物を基材シートの表面に塗工し、乾燥させることで、感圧接着剤層を形成する方法により行えばよい。
【0090】
<印刷層形成工程>
印刷層形成工程は、先に説明したように、印刷法を適用して印刷層を形成する方法により行えばよい。
【0091】
<重ね合わせ工程>
再剥離性シートを、基材シートの重ね合わせ面同士が前記感圧接着剤層で接着された状態とするためには、例えば、再剥離性シートを所定の箇所で折り、感圧接着剤層同士を対向させる。
【0092】
前記再剥離性シートとして好ましい感圧圧着ハガキの具体例について、以下、図面を引用しながら説明する。図4は、本発明の一実施形態の製造方法によって得られる三つ折りハガキの表面展開図であり、図5図4に示す三つ折りハガキの裏面展開図である。
【0093】
図4および図5に示す三つ折りハガキ21は、定型ハガキサイズの3倍のサイズを有する基材シート2から構成され、折り線3(3a、3b)によって三つの領域に区画されるものである。左側区画領域Aの表面には、郵便番号、宛て名、住所等の宛て先情報印刷4が施されている。そして、基材シート2の左側区画領域Aの裏面、中央区画領域Bの表裏面及び右側区画領域Cの表面の上には、隠蔽情報印刷5が施されている。領域A,B,Cの表面および裏面には、隠蔽情報印刷5を被覆する様に、感圧接着剤用組成物が塗布及び乾燥され、再剥離可能な感圧接着剤層6が形成されている。
図6に示すように、このように構成された三つ折りハガキ21は、折り線3a、3bにおいてZ型に折り込んで、各区画の重ね合わせ面の感圧接着剤層6同士を対接させ、重ね合わせる。
【0094】
<接着工程>
図1は、本発明の一実施形態に係る再剥離性シートの製造方法を実施できる製造装置であるシール装置(ドライシーラー)を模式的に示す構成図である。図2は、シール装置の一部を拡大して示す構成図である。
ここに示すシール装置は、対向する一対の加圧ロール7,8(加圧体)を、ロール面7a,8a(加圧面)同士が非接触となるようにして備えている。加圧ロール7,8は、例えば金属製であり、回転軸が平行となるように並列配置されている。シール装置としては、例えば「プレッスルマルチ」(商品名、トッパンフォームズ社製)を好適に使用できる。
【0095】
加圧ロール7,8のロール面7a,8aの間隔C1(最小間隔)は、前述のように重ね合わされた基材シート(例えば三つ折りハガキ21。以下、シート10という)の厚さT1(図2および図6参照)に対して66〜90%とされる。間隔C1は、厚さT1に対して70〜90%であることが好ましく、厚さT1に対して75〜80%であることがさらに好ましい。
厚さT1に対する間隔C1の割合が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層の接着力を適正範囲に抑制できる。厚さT1に対する間隔C1の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層に必要な接着力を確保することができ、例えば再剥離性シートの搬送、仕分けなどの段階で重ね合わせ面が剥離するのを防ぐことができる。
なお、シート10の厚さT1は、JIS P8118−1998に準拠して測定することができる。
【0096】
加圧ロール7,8は、矢印で示すように、相反する方向に回転可能であり、その回転力によって、前述のように重ね合わされたシート10を加圧ロール7,8の間に引き入れるとともに、加圧ロール7,8のロール面7a,8aによって挟み込んでシート10を厚さ方向に加圧する。
これにより、シート10は、重ね合わせ面同士が、感圧接着剤層を介して再剥離可能に接着される。
【0097】
なお、シール装置は、複数対の加圧ロールを備えていてもよい。例えば図1および図2に示すシール装置は、加圧ロール7,8の前段(搬送方向の上流側)または後段(搬送方向の下流側)に、1または複数対の加圧ロールを備えていてもよい。
その場合、前述のシートの厚さに対する加圧ロール間隔の割合に関する数値限定規定は、間隔が最も小さい加圧ロール(例えば搬送方向の最下流に位置する加圧ロール)に適用される。
【0098】
再剥離性シートの折り曲げ方は、Z字状の三つ折りに限らず、二つ折り等、他の折り曲げ方でもよく、特に限定されない。
シール装置は、加圧ロール間の間隔を調整できることが好ましい。これによって、再剥離性シートの厚さに応じて加圧ロール間の間隔を前記範囲に設定することができるため、多種の再剥離性シートに対応可能となる。
【0099】
感圧圧着ハガキの他の例としては、例えば、定型ハガキサイズの2倍のサイズを有する二つ折りハガキが挙げられ、この二つ折りハガキは、折り線で折り込み、重ね合わせ面となる領域の感圧接着剤層同士を対接させ、圧力を加えることにより、重ね合わせ面同士が再剥離可能に接着される。
【0100】
従来の再剥離性シートの製造方法では、感圧接着剤層の一部がシール装置のロール等に移行しやすくなることがあった。例えば、先糊型の再剥離性シートにおいては、インクの定着性を高めることなどを目的として感圧接着剤層にシリカが添加され、シール装置のロール等に感圧接着剤層中のシリカが付着することがあった。その場合、付着したシリカを原因として、シール装置により再剥離性シートを圧着する際の圧力が部分的に変動し、再剥離性シートにおける接着力が部分的に過剰または不足となるなどの問題が生じることがあった。
感圧接着剤層において水溶性高分子等のバインダーの配合量を多くすることによってシリカの定着性を高めればシリカの移行は軽減できるが、その場合、特に高温・高湿環境下において感圧接着剤層の接着力が高進し、重ね合わせ面が再剥離しにくくなることがあった。
接着力の高進は、水溶性高分子等のバインダーが基材シートに時間経過とともに徐々に浸み込むことによって、感圧接着剤層の表面において接着剤基剤(天然ゴム等)が表出しやすくなることが原因となっていると推測できる。
【0101】
前記再剥離性シートの製造方法では、加圧ロール7,8の間隔C1は、シート10の厚さT1に対して66〜90%とされる。厚さT1に対する間隔C1の割合が前記下限値以上であることで、感圧接着剤層の接着力の高進を抑制できる。厚さT1に対する間隔C1の割合が前記上限値以下であることで、感圧接着剤層に必要な接着力を確保することができ、例えば再剥離性シートの搬送、仕分けなどの段階で重ね合わせ面が剥離するのを防ぐことができる。よって、感圧接着剤層による適当な接着力を維持しつつ、接着力の高進抑制が可能となる。
【0102】
接着力の高進については、次に示す高進率に基づいて評価することができる。
再剥離性シートを折り畳んで試験片とし、この試験片を、シール装置を用いて厚さ方向に加圧し、重ね合わせ面同士を接着する。
試験片を高温・高湿環境(温度40℃、湿度90%)で保管し、所定時間経過後に前記環境から取り出し、例えばJIS K6854(接着剤の剥離接着強さ試験方法)に準じて、剥離試験機(島津製作所社製「オートグラフAGSH」)を用いてT型剥離を行い、このときの接着力を測定する。
高進率は、初日の接着力に対する接着力の比として算出できる。例えば、翌日の高進率は、「翌日の接着力/初日の接着力」*100として算出できる。初日の接着力は、接着後、高温・高湿環境に置かずに測定した接着力である。
試験開始から24時間(1日)後の高進率は、200%以下(例えば100〜200%)が好ましい。
高進率が前記上限値以下であることで、再剥離性シートを高温・高湿環境下に長時間置いた場合でも、重ね合わせ面の再剥離が容易となる。
【実施例】
【0103】
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0104】
[実施例1]
<再剥離性シートの製造>
(感圧接着剤組成物の製造)
表1に示すように、天然ゴムラテックス(39.5質量%)、スチレンブタジエンラテックス(SBR)(3.6質量%)、非晶質シリカ(東ソー・シリカ社製「E200」)(36.0質量%)、シラノール変性ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA25−98R)(9.1質量%)、スターチ(デンプン)(5.6質量%)、安定剤(ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム)(1.5質量%)、多価金属塩(塩化カルシウム)(3.6質量%)、酸化防止剤(0.5質量%)、消泡剤(0.4質量%)、防腐剤(0.2質量%)を含む感圧接着剤組成物を製造した。
この感圧接着剤組成物において、天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンラテックスとの配合量の割合は11:1である。
【0105】
【表1】
【0106】
(再剥離性シートの製造)
基材シート(日本製紙社製の耐水紙(坪量約110g/m))の表面に、感圧接着剤組成物をエアナイフコーターで固形分の塗工量6.0g/mとなるように塗工し、150℃で乾燥させ、感圧接着剤層を形成し、図3に示すものと同様の再剥離性シートを得た。
【0107】
(接着力の評価)
再剥離性シートを、23℃、相対湿度50%の環境下に置いて12時間調湿した後、感圧接着剤層の表面同士が接触するようにこの再剥離性シートをZ字状に三つ折りして試験片とした。
再剥離性シートの折り畳む前の厚さは158.9μmであり、三つ折りした試験片の厚さは476.7μmであった。厚さ測定はJIS P8118−1998に準拠する方法によって行った。
この試験片を、図1および図2に示すロールシーラー(シール装置)で加圧し、シートの重ね合わせ面同士を接着した。ロールシーラーのロールギャップ(加圧ロール間の間隔)は、330μmとした。試験片の厚さに対するロールギャップの割合(以下、圧縮率という)は、69%である。
【0108】
ロールシーラーから排出された試験片を、高温・高湿環境(温度40℃、湿度90%)で保管した。試験片を、翌日以降に前記環境から取り出し、温度23℃、湿度50%の環境下で30分間の調湿を行った。二組の重ね合わせ面のうち、一方においてシート同士を剥離させ、残った他方の重ね合わせ面について、JIS K6854(接着剤の剥離接着強さ試験方法)に準じて、剥離試験機(島津製作所社製「オートグラフAGSH」)を用いてT型剥離を行い、このときの接着力を測定した。測定数は3とし、それらの平均値を算出した。
【0109】
測定値に基づいて高進率(%)を算出した。例えば試験開始の翌日の高進率は、「翌日の接着力/初日の接着力」*100とした。初日の接着力は、接着後、高温・高湿環境に置かず、温度23℃、湿度50%の環境下で20〜30分間調湿した後に測定した接着力である。
結果を表2および図8に示す。
【0110】
(インク吸収性の評価)
インクジェットプリンタを用いて、再剥離性シートの表面に、黒色顔料インクを2cm×2cmのサイズでベタ印刷(単色印刷)し、0.1秒後に印刷部の表面でロールを転動させたときに、ロールに転写されるインクの濃度を転写汚れΔEとして算出した。転写汚れΔEは、数値が小さいほどインク吸収性が高いことを意味する。結果を図9に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
[実施例2]
表1に示すように、感圧接着剤組成物の天然ゴムラテックスの配合量を36.0質量%とし、スチレンブタジエンラテックスの配合量を7.2質量%とすること以外は実施例1と同様にして再剥離性シートを製造した。
この感圧接着剤組成物において、天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンラテックスとの配合量の割合は10:2である。
得られた再剥離性シートについて、実施例1に準じて評価を行った。ロールシーラーのロールギャップは350μmとした。圧縮率は73%である。結果を表2、図8および図9に示す。
【0113】
[比較例1]
表1に示すように、感圧接着剤組成物の天然ゴムラテックスの配合量を32.3質量%とし、スチレンブタジエンラテックスの配合量を10.8質量%とすること以外は実施例1と同様にして再剥離性シートを製造した。
この感圧接着剤組成物において、天然ゴムラテックスとスチレンブタジエンラテックスとの配合量の割合は9:3である。
得られた再剥離性シートについて、実施例1に準じて評価を行った。ロールシーラーのロールギャップは300μmとした。圧縮率は63%である。結果を表2、図8および図9に示す。
【0114】
表2および図8に示すように、圧縮率がそれぞれ69%、73%である実施例1,2の再剥離性シートでは、圧縮率が63%である比較例1の再剥離性シートに比べ、接着力の高進を抑制できた。
実施例1,2の再剥離性シートでは、初期接着力も十分に高かった。
また、図9に示すように、実施例1,2では、インク吸収性が比較例1と同程度に良好であることが確認された。
【0115】
この他、実施例1と同様に再剥離性シートを製造し、圧縮率90%で加圧し接着した場合、翌日の高進率は200%未満であり良好であった。また、搬送時の重ね合わせ面の剥離はほとんど起こらなかった。
実施例1と同様に再剥離性シートを製造し、圧縮率95%で加圧し接着した場合には、重ね合わせ面同士の接着ができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、感圧圧着ハガキ等、秘匿情報記録シート等に利用可能である。
【符号の説明】
【0117】
1,1A・・・再剥離性シート、7,8・・・加圧ロール(加圧体)、7a,8a・・・ロール面(加圧面)、10・・・シート(重ね合わせた基材シート)、11a・・・基材シートの表面、12・・・感圧接着剤層、21・・・三つ折りハガキ(再剥離性シート)、11・・・基材シート、12a・・・感圧接着剤層の表面、C1・・・加圧ロールのロール面の間隔、T1・・・重ね合わせた基材シートの厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9