(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802693
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20201207BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20201207BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20201207BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/50
H01L33/54
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-227923(P2016-227923)
(22)【出願日】2016年11月24日
(65)【公開番号】特開2018-85448(P2018-85448A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大島 健太郎
【審査官】
村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−059939(JP,A)
【文献】
特開2009−043836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
半導体発光素子と、
波長変換部材と、
透光部材と、
反射樹脂部と、を備え、
前記ケースは、一端側に開口部を有し、対向する他端側に底部を有する枡状を呈し、
前記半導体発光素子は、前記ケース内の底部に実装され、
前記波長変換部材は、内部に蛍光体が分散されて前記半導体発光素子の上面上に設けられ、
前記透光部材は、透明材料で形成されて前記波長変換部材の上面上に設けられ、
前記反射樹脂部は、前記半導体発光素子、前記波長変換部材及び前記透光部材による三重構造体と前記ケースの側壁との間の間隙に設けられ、
前記透光部材の上面は、中央側が下方に凹んだ回転湾曲面で構成されるとともに外周端部における接線の延長線の下方に前記ケースの側壁の上端部が位置することを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記透光部材の上面の外周端部が前記ケースの側壁の上端部よりも低い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記反射樹脂部は、上面が下方に凹んだ湾曲面で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置に関するものであり、詳しくは、発光源の半導体発光素子から発せられた光とは異なる色(色相)の光を出射する半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の半導体発光装置としては、特許文献1に「半導体発光装置及びその製造方法」の名称で開示されたものがある。
【0003】
開示された半導体発光装置80は
図8にあるように、回路パターンが形成された実装基板81上の周縁部に該周縁部に沿って環状に立ち上がるセラミックスからなる側壁82が設けられ、側壁82で囲まれた内部の実装基板81上に半導体発光素子83が実装されると共に半導体発光素子83の上面84及び側面85からなる表面86上に波長変換層87が設けられてさらにその上に透明板88が配置されている。そして、半導体発光素子83、波長変換層87及び透明板88の三重構造と側壁82との間にある間隙に拡散反射部材89が充填された構成を有している。
【0004】
これにより、半導体発光素子83内の活性層90で発せられて半導体発光素子83の表面86及び活性層90の側面91から素子外に放出された光は、波長変換層87及び透明板88を経て外部に向けて出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−26753号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記構成からなる半導体発光装置80において、製造から使用するまでの間のハンドリングにおいて透明板88の表面に傷がついて光学性能に悪影響を及ぼすことのないように、側壁82の高さを透明板88の表面92よりも高くすることによって側壁82に透明板88の保護機能を持たせることが考えられる。
【0007】
その場合、
図9にあるように、透明板88の表面92から斜め上方に出射された光が、側壁82の内周面93に接触した拡散反射部材89の、透明板88の表面92より出っ張った領域に照射されてその反射光が前方に向けて照射される。これを、半導体発光装置80の出射光の照射方向側から見ると、側壁82の内周面93の上端94の近傍に沿って、該上端94の内側から出射されるランバーシアンに近い配光の光に対してそのランバーシアン配光よりも部分的に鮮明で明るい帯状で環状(リング状)の出射光が観察される。
【0008】
この、帯状光はランバーシアン配光の光に対して不具合な迷光として半導体発光装置の見栄えを損なうものとなり、発光装置としての商品性の低下を招くことになる。
【0009】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、迷光を含まない光を出射することにより光学性能に優れた商品性の高い半導体発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、ケースと、半導体発光素子と、波長変換部材と、透光部材と、反射樹脂部と、を備え、前記ケースは、一端側に開口部を有し、対向する他端側に底部を有する枡状を呈し、前記半導体発光素子は、前記ケース内の底部に実装され、前記波長変換部材は、内部に蛍光体が分散されて前記半導体発光素子の上面上に設けられ、前記透光部材は、透明材料で形成されて前記波長変換部材の上面上に設けられ、前記反射樹脂部は、前記半導体発光素子、前記波長変換部材及び前記透光部材による三重構造体と前記ケースの側壁との間の間隙に設けられ、前記透光部材の上面は、中央側が下方に凹んだ回転湾曲面で構成されるとともに外周端部における接線の延長線の下方に前記ケースの側壁の上端部が位置することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記透光部材の上面の外周端部が前記ケースの側壁の上端部よりも低い位置にあることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、前記反射樹脂部は、上面が下方に凹んだ湾曲面で構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ケース内に収容された、半導体発光素子、波長変換部材及び透光部材による三重構造体とケースの側壁との間の間隙に反射樹脂部を設け、透光部材の上面(光出射面)を中央側が下方に凹んだ回転湾曲面で構成されるとともに外周端部における接線の延長線の下方にケースの側壁の上端部が位置するようにした。
【0014】
これにより、半導体発光素子から発せられて波長変換部材及び透光部材を経て透光部材の光出射面の外周端部に入射した光は、いずれもケースの側壁の内周面及び反射樹脂部の表面に照射されることはない。
【0015】
そのため、半導体発光装置からの出射光は、ケースの側壁の内周面上端の近傍に沿う環状の迷光を含むものではなく、光学性能に優れた商品性の高い半導体発光装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る実施形態の半導体発光装置の平面図である。
【
図7】透光部材の光出射面の外周端部における光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の好適な実施形態を
図1〜
図7を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0018】
図1は本発明に係る実施形態の半導体発光装置の平面図、
図2は
図1のA−A断面図である。
【0019】
半導体発光装置1は、発光源の半導体発光素子(以下、「発光素子」と略称する)10、波長変換部材20、透光部材30、反射樹脂部40及びケース50を備えている。
【0020】
ケース50は、例えばセラミックスで形成され、一端側に開口部を有し、対向する他端側に底部を有する枡状を呈すると共に、底部51の内面に発光素子10をダイボンディングするダイボンディングパッド53及びボンディングワイヤ61をワイヤボンディングするワイヤボンディングパッド54を有している。
【0021】
発光素子10は、後述する波長変換部材20内に分散された蛍光体を励起する波長の光(具体的には、例えば青色光)を発する青色LED素子が用いられ、ケース50の底部51のダイボンディングパッド53上にはんだ等の導電部材60を介して実装されて発光素子10の図示しない下側電極とダイボンディングパッド53との電気的導通が図られており、発光素子10の図示しない上側電極がボンディングワイヤ61を介してワイヤボンディングパッド54に接続されて発光素子10の上側電極とワイヤボンディングパッド54との電気的導通が図られている。
【0022】
発光素子10の上面(光出射面)11上には波長変換部材20が平板状に設けられており、波長変換部材20は、発光素子10から発せられた青色光の励起によって青色光の補色となる黄色光を放出する黄色蛍光体を、例えば透明エポキシ樹脂や透明シリコーン樹脂などの透明樹脂に分散して硬化したもの(蛍光体樹脂)、あるいはアルミナなどのセラミック材料に分散して焼結したもの(蛍光体セラミックス)などが用いられる。
【0023】
波長変換部材20の上面(光出射面)21上には透光部材30が設けられており、透光部材30は、ガラスや樹脂等の透明材料で形成されている。
【0024】
更に、発光素子10、波長変換部材20及び透光部材30による三重構造体とケース50の側壁52との間にある間隙に反射樹脂部40が設けられている。
【0025】
反射樹脂部40は、酸化チタンなどの光反射性を有する粒子が分散されて光反射性を備えると共に遮光性も備えた白色樹脂で形成され、発光素子10の側面13、波長変換部材20の側面23及び透光部材30の側面33の夫々に接すると共に、ボンディングワイヤ61及びワイヤボンディングパッド54の夫々を封止している。
【0026】
なお、透光部材30は、上面(光出射面)31の形状を中央側が下方に凹んだボウル状の自由曲面からなる、発光素子10の光軸Xを回転軸とする回転湾曲面で構成し、ケース50の側壁52の平坦面からなる上端部52aが、透光部材30の上面31の最も高い位置にある外周端部31aよりも更に高い位置に位置している。
【0027】
これにより、ケース50の側壁52に透光部材30に対する保護機能を持たせて、半導体発光装置1の製造から使用するまでの間のハンドリングにおいて透光部材30の上面31が傷ついたり透光部材30自体に割れが生じたりして光学性能に悪影響を及ぼすことのないように図られている。
【0028】
次に、上記構成からなる半導体発光装置1において、透光部材30の上面31の形状、及び透光部材30の上面31の外周端部31aとケース50の側壁52の上端部52aとの位置関係による光学的な作用効果について以下に説明する。
【0029】
仮に
図3の比較例に示すように、透光部材30の上面31が平坦面で構成され、且つ、ケース50の側壁52の上端部52aの高さが透光部材30の上面31よりも高く設定された場合、透光部材30の上面31からは、発光素子10から発せられて波長変換部材20及び透光部材30内を透過した光(青色光)、及び発光素子10から発せられた光が波長変換部材20内に分散された蛍光体(黄色蛍光体)を励起することにより波長変換されて透光部材30内を透過した光(黄色光)の夫々において、透光部材30の光出射面31に対して臨界角よりも小さい角度で入射した光が光出射面31から外部に出射され、その出射光(青色光及び黄色光)はいずれも光出射面31側のほぼ180°範囲の全方向に向けて照射される。
【0030】
そのうち広角度で出射した光が、ケース50の側壁52の内周面52bに接触した反射樹脂部40の表面41の、透光部材30の上面31より高い位置に位置する領域に照射されてその反射光が前方に向けて照射される。この半導体発光装置1を出射光の照射方向側から見ると、ケース50の側壁52の内周面上端52cの近傍に沿って違和感のある鮮明で明るい帯状で環状の迷光が観察される。
【0031】
これに対し、実施形態の半導体発光装置1は、透光部材30の光出射面31を中央側が下方に凹んだボウル状の自由曲面からなる回転湾曲面で構成し、且つケース50の側壁52の上端部52aを、透光部材30の光出射面31の最も高い位置にある外周端部31aよりも更に高い位置に位置させた(
図2参照)。
【0032】
そこで、透光部材30の光出射面31の形状が、平坦面の場合と回転湾曲面の場合との光学的な違いは、同一光路を経て透光部材30の光出射面31に至った入射光の光出射面31に対する入射角度が異なることにある。
【0033】
具体的には、
図4の光路図に示すように、同一光路を経て透光部材30の光出射面31に至った入射光は、光出射面31が平坦面34の場合よりも回転湾曲面35の場合の方が光出射面31に対して大きい傾斜角度(入射角度)で入射する。そのため、発光素子10の光出射面11の適宜な位置の発光点からその直上方向(発光素子10の光軸Xに沿う方向)に対して放射方向に発せられて波長変換部材20及び透光部材30を経て透光部材30の光出射面31に入射する光のうち、光出射面31に臨界角よりも小さい角度で入射する光は、光出射面31が平坦面34の場合よりも回転湾曲面35の場合の方が発光素子10から発せられる光の放射角度範囲が小さくなる。
【0034】
なお、
図4では、光出射面31が平坦面34の場合の光出射面31からの出射光の光路を破線で表し、光出射面31が回転湾曲面35の場合の光出射面31からの出射光の光路を実線で表している。
【0035】
そして、光出射面31に臨界角よりも小さい角度で入射する、発光素子10から放射角度範囲に発せられた光以外の光、つまり、発光素子10から前記放射角度範囲よりも広角方向に発せられた光は、光出射面31に対して臨界角以上の角度で入射するため、透光部材30内を光出射面31に沿う光又は光出射面31による全反射によって透光部材30内に戻る光となって光出射面31から外部に出射されることはない。
【0036】
つまり、光出射面31の形状を、透光部材30の光出射面31を中央側が下方に凹んだボウル状の自由曲面からなる回転湾曲面で構成することにより、発光素子10から発せられて透光部材30の光出射面31に入射した光に対して全反射領域を広げて出射光の出射方向を斜め上方に向けることにより、ケース50の側壁52の内周面52bに接触した反射樹脂部40の表面41の、透光部材30の上面31より高い位置に位置する領域に照射されるのを防止し、観察者に違和感を与える迷光の発生が抑制される。
【0037】
また、
図5に示すように、中央側が下方に凹んだボウル状の自由曲面からなる回転湾曲面35で構成された透光部材30の光出射面31の外周端部31aとケース50の側壁52の内周面52bとの距離をAとし、透光部材30の光出射面31の外周端部31aとケース50の側壁52の上端部52aとの高さの差をBとし、透光部材30の光出射面31の外周端部31aから該外周端部31aを含む水平面(発光素子10の光出射面11に平行な面)Yに対してケース50の側壁52の内周面上端52cを仰ぐ仰角をθhとし(θh=sin
−1(B/A))、
図6に示すように、透光部材30の光出射面31の外周端部31aにおける接線36と水平面Yとのなす角をθgとすると、θg>θhの関係になるように設定されている。
【0038】
つまり、水平面Yに対する透光部材30の光出射面31の外周端部31aにおける接線の角度θgが、透光部材30の光出射面31の外周端部31aから水平面Yに対してケース50の側壁52の内周面上端52cを仰ぐ仰角θhよりも大きい角度になるように設定されている。換言すると、透光部材30の光出射面31の外周端部31aにおける接線の延長線の下方にケース50の側壁52の内周面上端52cが位置する。
【0039】
これにより
図7に示すように、発光素子10から発せられて波長変換部材20及び透光部材30を経て透光部材30の光出射面31の外周端部31aに入射する光のうち、臨界角α1で入射した光L1は光出射面31から接線36に沿う方向に出射される。このとき、透光部材30の光出射面31の外周端部31aにおける水平面Yに対する接線36の角度θgが、透光部材30の光出射面31の外周端部31aからケース50の側壁52の内周面上端52cを仰ぐ仰角θhよりも大きく設定されているため、透光部材30の光出射面31から接線36に沿う方向に出射された光は、ケース50の側壁52の上端部52aの上方を通過してケース50の側壁52には照射されることはない。
【0040】
また、臨界角よりも小さい角度α2で入射した光L2は、臨界角で入射光した光L1が出射した方向よりも上方に向けて出射され、臨界角よりも大きい角度α3で入射した光L3は光出射面31で全反射されて透光部材30内に戻り、側面33に接する反射樹脂部40で再度透光部材30内に戻される。
【0041】
したがって、発光素子10から発せられて波長変換部材20及び透光部材30を経て透光部材30の光出射面31の外周端部31aに入射した光は、いずれもケース50の側壁52の内周面52b及び反射樹脂部40の表面41に照射されることはない。
【0042】
そのため、半導体発光装置1からの出射光は、ケース50の側壁52の内周面上端52cの近傍に沿う環状の迷光を含むものではなく、光学性能に優れた商品性の高い半導体発光装置が実現する。
【符号の説明】
【0043】
1… 半導体発光装置
10… 半導体発光素子
11… 上面(光出射面)
13… 側面
20… 波長変換部材
21… 上面(光出射面)
23… 側面
30… 透光部材
31… 上面(光出射面)
31a… 外周端部
33… 側面
34… 平坦面
35… 回転湾曲面
36… 接線
40… 反射樹脂部
41… 表面
50… ケース
51… 底部
52… 側壁
52a… 上端部
52b… 内周面
52c… 内周面上端
53… ダイボンディングパッド
54… ワイヤボンディングパッド
60… 導電部材
61… ボンディングワイヤ