【文献】
SACHIN VELANKAR et al.,High-Performance UV-Curable Urethane Acrylates via Deblocking Chemistry,Journal of Applied Polymer Science,1996年,Vol. 62,1361-1376
【文献】
PH. BARBEAU et al.,Effect of the Diisocyanate on the Structure and Properties of Polyurethane Acrylate Prepolymers,Journal of Polymer Science: Part B: Polymer Physics,2000年,Vol. 38,2750-2768
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応性ブロック化プレポリマーが、少なくとも1つのポリイソシアネートと、少なくとも1つのポリオールまたはポリアミンとの反応によって生成されるポリイソシアネートオリゴマーを含む請求項1から4のいずれか1項に記載の液体。
前記反応性ブロック化プレポリマーが、ポリイソシアネートオリゴマーと、アルコールメタクリレート、アミンメタクリレート、マレイミド、またはn−ビニルホルムアミドモノマーブロック化剤との反応によりブロック化されたものである請求項1から5のいずれか1項に記載の液体。
前記反応性希釈剤が存在し、前記反応性希釈剤として、アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリル酸、ビニルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、これらのうち任意の1つ以上を含有するポリマー、又はこれらのうち2つ以上の組み合わせを含む請求項1から6のいずれか1項に記載の液体。
(h)少なくとも1つのジイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応によって生成されるポリイソシアネートオリゴマーを含む反応性ブロック化プレポリマーであって、前記反応性ブロック化ジイソシアネートとは異なる反応性ブロック化プレポリマーをさらに含む請求項10に記載の液体。
前記顔料または色素が存在し、前記顔料または色素として、含有率0.001または0.01〜10重量パーセントで吸光性の顔料または色素を含む請求項10または11に記載の液体。
前記反応性ブロック化ジイソシアネートが、ポリイソシアネートと、アルコールメタクリレート、アミンメタクリレート、マレイミド、またはn−ビニルホルムアミドモノマーブロック化剤との反応によりブロック化されたものである請求項10に記載の液体。
前記反応性希釈剤が存在し、前記反応性希釈剤として、アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリル酸、ビニルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、これらのうち任意の1つ以上を含有するポリマー、又はこれらのうち2つ以上の組み合わせを含む請求項10から15のいずれか1項に記載の液体。
前記顔料または色素が存在し、前記顔料または色素として、含有率0.001または0.01〜10重量パーセントで吸光性の顔料または色素を含む請求項19または20に記載の液体。
前記反応性ブロック化ジイソシアネート鎖延長剤が、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つの鎖延長剤との反応によって生成されるジイソシアネートオリゴマーを含む請求項19から23のいずれか1項に記載の液体。
前記反応性ブロック化ジイソシアネート鎖延長剤が、ジイソシアネートオリゴマーと、アルコールメタクリレート、アミンメタクリレート、マレイミド、またはn−ビニルホルムアミドモノマーブロック化剤との反応によりブロック化される請求項19から24のいずれか1項に記載の液体。
前記反応性希釈剤が存在し、前記反応性希釈剤として、アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリル酸、ビニルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、これらのうち任意の1つ以上を含有するポリマー、又はこれらのうち2つ以上の組み合わせを含む請求項19から25のいずれか1項に記載の液体。
前記反応性ブロック化プレポリマーが、ポリイソシアネートオリゴマーと、アルコール(メタ)アクリレート、マレイミド、またはn−ビニルホルムアミドモノマーブロック化剤との反応によりブロック化されたものである請求項1に記載の液体。
前記反応性ブロック化ジイソシアネートが、ポリイソシアネートと、アルコール(メタ)アクリレート、マレイミド、またはn−ビニルホルムアミドモノマーブロック化剤との反応によりブロック化されたものである請求項10に記載の液体。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明について、以下、本発明の実施形態を示す添付図面を参照しつつ、より詳しく記述する。ただし、本発明は多種多様な形態で具現化することができ、また本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろこれらの実施形態は、本開示が綿密かつ完全なものとなるよう、また本発明の範囲を当業者へ十分に伝えることができるよう、記載される。
【0044】
全体にわたり、同様の番号は同様の要素を指す。図面では、特定の線の太さ、層、構成要素、要素または特徴が、明瞭化のため誇張される場合がある。破線を使用する場合、これは別段に指定のない限り、任意選択的な特徴または動作を例示するものである。
【0045】
本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態に限った記述を目的とするものであり、本発明の制限を意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形の表記は、文脈が別段に明示的に示す場合を除き、複数形も含むことが意図される。さらに、本明細書において「含む」という用語を使用する場合、これは説明される特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素および/またはこれらの集合もしくは組み合わせの存在を指定するものであるが、他の1つ以上の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素および/またはこれらの集合もしくは組み合わせの存在または追加を除外するわけではないことも、理解されることになる。
【0046】
本明細書で使用する場合、「および/または」という表記は、それに関連する列挙項目の1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含むほか、選択肢(「または」)において解釈される場合は組み合わせの欠如も含む。
【0047】
別段に定義されない限り、本明細書で使用する用語(技術用語および科学用語を含む)はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書において定義されている用語など、用語は本明細書および特許請求の範囲の文脈における各々の意味と整合的な意味を有すると解釈されるべきであり、また本明細書において相応に明示的に定義されない限り、理想化された意味または過剰に形式的な意味に解釈されるべきでないことも、理解されることになる。簡潔および/または明瞭を期すため、公知の機能または構成は詳細に記述されない場合がある。
【0048】
或る要素が別の要素の「上にある」、別の要素に「取り付けられている」、「接続されている」、「連結されている」、「接触している」などの状態にあると言及される場合、その要素は他の要素の直上にある、他の要素に直接取り付けられている、直接接続されている、および/または直接接触している場合もあれば、介在要素が存在する場合もある。対照的に、或る要素が、例えば別の要素の「直上にある」、別の要素に「直接取り付けられている」、「直接接続されている」、「直接連結されている」、または「直接接触している」状態にあると言及される場合、介在要素は存在しない。また、当業者であれば、別の特徴に「隣接して」配置される構造または特徴への言及は、隣接する特徴と重なり合う部分、または隣接する特徴の下方に存在する部分を有し得ることも理解することになる。
【0049】
空間に関して相対的な用語、例えば「下方」、「下側、「上方」、「上側」といった用語は、本明細書において、図面において例示されるような、或る要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を記述する際、記述の簡略化のために使用される場合がある。空間に関して相対的な用語は、図面において描かれる配向に加え、使用中または動作中の装置の様々な配向を包含する意図もあると理解されることになる。例えば、図面に記載の装置が反転される場合、他の要素または特徴の「下方にある」と記述される要素は、その後において他の要素または特徴の「上方」に配向されることになる。したがって、「下方」という例示的用語は、上方と下方の配向をいずれも包含し得る。装置は別の状態で配向される(90度または他の配向での回転)場合もあり、空間に関して本明細書で使用する相対的な用語も相応に解釈することができる。同様に、「上方へ」、「下方へ」、「縦方向」、「横方向」といった用語も、本明細書では別途具体的に指示する場合を除き、単に説明目的で使用される。
【0050】
「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書では様々な要素、構成要素、領域、層および/または部分の記述に使用され得るが、係る用語によってこれらの要素、構成要素、領域、層および/または部分が限定されるべきではない旨、理解されることになる。むしろ、これらの用語は或る要素、構成要素、領域、層および/または部分を別の要素、構成要素、領域、層および/または部分と区別することだけを目的に使用される。したがって、本明細書において論じられる第1の要素、構成要素、領域、層または部分は、本発明の教示から逸脱することなく第2の要素、構成要素、領域、層または部分と呼ばれることもあり得る。動作(または工程)の順序は、別途具体的に指示する場合を除き、特許請求の範囲または図面に記載の順序に限定されるわけではない。
【0051】
「に付与される形状」とは、中間物体の形状が該物体の形成から後続の三次元物体の形成にかけて、典型的に収縮(例えば最大1、2または4体積パーセント)、膨張(例えば最大1、2または4体積パーセント)、支持構造の除去、または介在する形成工程(例えば中間生産物の形成後、ただし後続の三次元生産物の形成より前における意図的な屈曲、延伸、穿孔、切削、切断、研磨、または他の意図的な形成)により、若干変化する状況を指す。
【0052】
「ヒドロカルビル」は、本明細書で使用する場合、二官能性炭化水素基を指し、炭化水素は脂肪族、芳香族、または脂肪族と芳香族の混合物であってもよく、場合により1個以上(例えば1、2、3または4個)のヘテロ原子(典型的にN、O、およびSから選択される)を含有するものであってもよい。そのようなヒドロカルビル基は場合により置換されてもよく、1、2または3個の炭素原子から最大6、8または10個以上の炭素原子、および最大40、80または100個以上の炭素原子を含有し得る。
【0053】
I.重合性液体:A剤。
本明細書に記載の二重硬化システムは、化学線(actinic radiation)、典型的に光によって、また一部の実施形態では紫外(UV)光によって硬化し得る、第1の硬化性システム(本明細書では「A剤」と呼ばれる場合もある)を含み得る。任意の適切な重合性液体を、第1の成分として使用することができる。液体(本明細書では「液体樹脂」、「インク」、または単に「樹脂」と呼ばれる場合もある)は、モノマー、特に光重合性モノマーおよび/またはフリーラジカル重合性モノマー、ならびにフリーラジカル開始剤などの適切な開始剤、ならびにこれらの組み合わせを含み得る。例としてアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、アクリルアミド、スチレン系樹脂、オレフィン、ハロゲン化オレフィン、環状アルケン、無水マレイン酸、アルケン、アルキン、一酸化炭素、官能性オリゴマー、多官能性硬化部位モノマー、官能性PEGなど、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。液体樹脂、モノマーおよび開始剤の例として、米国特許第8,232,043号、同第8,119,214号、同第7,935,476号、同第7,767,728号、同第7,649,029号、国際公開第2012/129968A1号、中国特許第102715751A号、特開2012−210408A号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0054】
酸触媒型重合性液体。前述の一部の実施形態では、重合性液体はフリーラジカル重合性液体を含む(この場合、開始剤は後述するとおり、酸素であってもよい)一方、他の実施形態では、重合性液体は酸触媒型またはカチオン重合型の重合性液体を含む。そのような実施形態において、重合性液体は、エポキシド基、ビニルエーテル基など、酸触媒反応に適する基を含有するモノマーを含む。したがって、適切なモノマーの例として、メトキシエテン、4−メトキシスチレン、スチレン、2−メチルプロパ−1−エン、1,3−ブタジエンなどのオレフィン、オキシレン、チエタン、テトラヒドロフラン、オキサゾリン、1,3−ジオキセパン、オキセタン−2−オンなどのヘテロ環モノマー(ラクトン、ラクタム、および環状アミンを含む)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切な(一般的にイオン性または非イオン性の)光酸発生剤(PAG)は酸触媒型重合性液体に含まれ、例として、オニウム塩、スルホニウム塩およびヨードニウム塩など、例えばジフェニルヨージドヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨージドヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨージドヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルp−メトキシフェニルトリフレート、ジフェニルp−トルエニルトリフレート、ジフェニルp−イソブチルフェニルトリフレート、ジフェニルp−tert−ブチルフェニルトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、ジブチルナフチルスルホニウムトリフレート、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。例えば米国特許第7,824,839号、同第7,550,246号、同第7,534,844号、同第6,692,891号、同第5,374,500号および同第5,017,461号を参照されたい。また、Photoacid Generator Selection Guide for the electronics industry and energy curable coatings(BASF 2010)も参照されたい。
【0055】
ヒドロゲル。一部の実施形態において、適切な樹脂の例として、ポリ(エチレングリコール)(PEG)およびゼラチンなど、光硬化性ヒドロゲルが挙げられる。PEGヒドロゲルは、増殖因子などの様々な生物学的製剤を送達するために使用されているが、連鎖増殖重合により架橋されるPEGヒドロゲルが直面している大きな課題は、不可逆的なタンパク質損傷の可能性である。持続的な送達を可能にする光重合の前に、親和性結合性ペプチド配列をモノマー樹脂溶液に含めることにより、光重合されたPEGジアクリレートヒドロゲルからの生物学的製剤の放出を最大化させる条件を増強することができる。ゼラチンは、食品産業、化粧品産業、製薬産業および写真産業で頻繁に使用されるバイオポリマーである。ゼラチンは、コラーゲンの熱変性または化学的分解および物理的分解によって得られる。ゼラチンには、動物、魚およびヒトに見られるものを含め、3種類が存在する。冷水魚の皮膚由来のゼラチンは、薬学的用途での使用に安全であると考えられている。UV光または可視光を使用して、適切に修飾されたゼラチンを架橋させることができる。ゼラチンを架橋させる方法の例として、ローズベンガルなどの色素由来の誘導体の硬化が挙げられる。
【0056】
光硬化性シリコーン樹脂。適切な樹脂の例として、光硬化性シリコーンが挙げられる。Siliopren(商標)UV Cure Silicone Rubberなど、UV硬化シリコーンゴムを、LOCTITE(商標)Cure Silicone接着封止剤として使用することができる。用途の例として、光学機器、医療用および外科用器具、外部照明および筐体、電気コネクター/センサー、光ファイバーならびにガスケットが挙げられる。
【0057】
生分解性樹脂。生分解性のネジおよびステントなど、薬剤の送達または一時的性能用途向けの埋込型装置の場合、生分解性樹脂は特に重要である(米国特許第7,919,162号、同第6,932,930号)。乳酸およびグリコール酸(PLGA)の生分解性コポリマーをジメタクリル酸PEGに溶解させて、使用に適する透明樹脂を得ることができる。ポリカプロラクトンおよびPLGAオリゴマーをアクリル基またはメタクリル基で官能化させて、効果的に使用可能な樹脂にすることができる。
【0058】
光硬化性ポリウレタン。特に有用な樹脂は、光硬化性ポリウレタン(ポリ尿素、ならびにポリウレタンとポリ尿素のコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素)を含む))である。(1)脂肪族ジイソシアネートに基づくポリウレタン、ポリ(ヘキサメチレンイソフタレートグリコール)および場合により1,4−ブタンジオール、(2)多官能性アクリル酸エステル、(3)光開始剤、ならびに(4)抗酸化剤を含む光重合性ポリウレタン/ポリ尿素組成物を配合することにより、硬質、耐摩耗性、耐汚染性の材料を得ることができる(米国特許第4,337,130号)。光硬化性熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、光反応性ジアセチレンジオールを鎖延長剤として組み込む。
【0059】
高性能樹脂。一部の実施形態において、高性能樹脂を使用する。そのような高性能樹脂は時々、前述のとおり、また下記にてさらに詳しく論ずるとおり、高性能樹脂の融解および/または粘度低減のために加熱の使用が必要となり得る。そのような樹脂の例として、米国特許第7,507,784号、同第6,939,940号に記載されているような、エステル、エステルイミドおよびエステルアミドオリゴマーの液晶ポリマーと呼ばれる場合もある材料用の樹脂が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。そのような樹脂は高温での熱硬化性樹脂として採用される場合があることから、本発明において、そのような樹脂は、下記にてさらに詳しく論ずるとおり、照射後に架橋を開始するために適切な光開始剤、例えばベンゾフェノン開始剤、アントラキノン開始剤およびフルオレノン開始剤(これらの誘導体を含む)をさらに含む。
【0060】
付加的な樹脂の例。歯科用途に特に有用な樹脂の例として、EnvisionTEC社製のClear GuideおよびE−Denstone Materialが挙げられる。補聴器産業に特に有用な樹脂の例として、EnvisionTEC社製のe−Shell 300 Seriesの樹脂が挙げられる。特に有用な樹脂の例として、成型/鋳造用途において加硫ゴムと直接併用するためのEnvisionTEC社製のHTM140IV High Temperature Mold Materialが挙げられる。頑丈で硬い部品の製造に特に有用な材料の例として、EnvisionTEC社製のRC31樹脂が挙げられる。インベストメント鋳造用途に特に有用な樹脂の例として、EnvisionTEC社製のEasy Cast EC500樹脂およびMadeSolid FireCast樹脂が挙げられる。
【0061】
付加的な樹脂成分。液体樹脂または重合性材料は、内部に固体粒子を懸濁または分散し得る。製作する最終生産物に応じて、任意の適切な固体粒子を使用することができる。この粒子は、金属、有機/ポリマー、無機、またはこれらの組成物もしくは混合物であってもよい。この粒子は、非導電性、半導電性または導電性(金属導体および非金属導体またはポリマー導体を含む)であってもよく、磁性、強磁性、常磁性または非磁性であってもよい。この粒子は、球状、楕円状、円柱形などを含め、任意の適切な形状であってもよい。この粒子は任意の適切なサイズであってもよい(例えば平均直径1nm〜20μmの範囲)。
【0062】
この粒子は、後述するとおり、活性剤または検出可能な化合物を含むが、同じく後述するとおり、液体樹脂中で溶解および可溶化された状態で提供することもできる。例えば、磁性または常磁性の粒子またはナノ粒子を採用することができる。
【0063】
液体樹脂は、製作する生産物特有の目的に同じく応じて、顔料、色素、活性化合物または薬用化合物、検出可能な化合物(例えば蛍光性、燐光性、放射性)などを含め、この液体樹脂中で可溶化される付加的成分を有し得る。そのような付加的成分の例として、タンパク質、ペプチド、siRNAなどの核酸(DNA、RNA)、糖類、小型有機化合物(薬物および薬物様化合物)など、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0064】
非反応性吸光剤。一部の実施形態において、本発明を実行するための重合性液体は、光、特にUV光を吸収する非反応性の顔料または色素を含む。そのような吸光剤の適切な例として(i)二酸化チタン(例えば含有率0.05または0.1〜1または5重量パーセント)、(ii)カーボンブラック(例えば含有率0.05または0.1〜1または5重量パーセント)、ならびに/または(iii)ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、オキサニリド、ベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルトリアジン、および/もしくはベンゾトリアゾール系紫外光吸収剤などの有機系紫外光吸収剤(例えばMayzo BLS1326)(例えば含有率0.001または0.005〜1、2または4重量パーセント)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。適切な有機系紫外光吸収剤の例として、米国特許第3,213,058号、同第6,916,867号、同第7,157,586号および同第7,695,643号(これらの開示はここに引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0065】
重合阻害剤。本発明で使用する阻害剤または重合阻害剤は、液体または気体の形態であってもよい。一部の実施形態において、気体の阻害剤が好適である。特定の阻害剤は、重合されるモノマーおよび重合反応次第で決まる。フリーラジカル重合モノマーの場合、阻害剤は、好都合には酸素であってもよく、空気、酸素を豊富に含む気体(場合により、ただし一部の実施形態において好ましくは、その可燃性を低減するために付加的な不活性ガスを含有する)、または一部の実施形態では純粋な酸素ガスなど、気体の形態で供給することができる。モノマーが光酸発生開始剤により重合される場合など、代替的実施形態において、阻害剤は、アンモニアなどの塩基、微量アミン(例えばメチルアミン、エチルアミン、ジアルキルアミンおよびトリアルキルアミン(例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなど))、または二酸化炭素、およびこれらの混合物または組み合わせであってもよい。
【0066】
生細胞を担持する重合性液体。一部の実施形態において、重合性液体は生細胞を「粒子」として内部に担持し得る。そのような重合性液体は一般的に水性であり、酸素化され得るとともに、生細胞が不連続相の状態である「乳剤」と捉えることもできる。適切な生細胞は、植物細胞(例えば単子葉植物、双子葉植物)、動物細胞(例えば哺乳類細胞、鳥類細胞、両生類細胞、爬虫類細胞)、微生物細胞(例えば原核生物、真核生物、原生動物等)などであってもよい。生細胞は、任意の種類の組織(例えば血液、軟骨、骨、筋肉、内分泌腺、外分泌腺、上皮、内皮など)から分化された細胞もしくは該組織に相当する分化細胞であるか、または幹細胞もしくは前駆細胞等の未分化細胞であってもよい。そのような実施形態において、重合性液体はヒドロゲルを形成する液体であってもよく、例として米国特許第7,651,683号、同第7,651,682号、同第7,556,490号、同第6,602,975号、同第5,836,313号などに記載のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0067】
II.装置。
本発明の装置の非限定的な実施形態が
図2に示されている。この装置は、壁14により定義されるビルドチャンバーを反射鏡13を介して照らす電磁放射線12を供給するデジタル光プロセッサー(DLP)などの放射源11と、ビルドチャンバーの底部を形成する剛性または可撓性のビルドプレート15とを含み、ビルドチャンバーには液体樹脂16が充填されている。下記にてさらに詳しく論ずるとおり、チャンバー15の底部は、剛性または可撓性の半透過性部材を含むビルドプレートで構成される。構築物17の下方にある物体の頂部は、キャリア18に取り付けられる。キャリアは、リニアステージ19によって縦方向に駆動されるが、後述するとおり、代替的構造物を使用してもよい。
【0068】
液体樹脂のリザーバー、チューブ、ポンプ、液体レベルセンサーおよび/またはバルブを、ビルドチャンバー内の液体樹脂プールを補充するために含めることができる(明瞭化のため不記載)が、一部の実施形態において、単純な重力供給が採用され得る。キャリア用またはリニアステージ用の駆動装置/アクチュエーターを、付随する配線と併せて、既知の技法に従って含めることができる(同じく明瞭化のため不記載)。駆動装置/アクチュエーター、放射源、ならびに一部の実施形態ではポンプおよび液体レベルセンサー、これらをすべて、同じく既知の技法に従って、適切な制御装置と動作可能に関連付けることができる。
【0069】
本発明を実行するために使用するビルドプレート15は一般的に、(典型的には剛性または固体、静止、および/もしくは固定の状態であるが、一部の実施形態では可撓性)半透過性(またはガス透過性)部材を単独で含むか、または1つ以上の付加的な支持用基材(例えば、別段に可撓性の半透過性材料に張力を掛けて安定化するためのクランプおよび引張部材)との組み合わせから成る。半透過性部材は、該当する波長にて光学的に透明な(または別段に、ヒトの目で視覚的に透明であると認知されるか否かを問わず、放射源に対して透明である、すなわち光学的に透明なウィンドウは一部の実施形態において視覚的に不透明な場合もある)任意の適切な材料を原料とすることができ、例として多孔質ガラスまたは微多孔質ガラス、および剛性のガス透過性コンタクトレンズの製造に使用される剛性のガス透過性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。例えばNorman G. Gaylordの米国特許第RE31,406号を参照されたい。米国特許第7,862,176号、同第7,344,731号、同第7,097,302号、同第5,349,394号、同第5,310,571号、同第5,162,469号、同第5,141,665号、同第5,070,170号、同第4,923,906号および同第4,845,089号も参照されたい。一部の実施形態において、係る材料はガラス質および/もしくは非晶質のポリマーを特徴とし、ならびに/または実質的に架橋されていることから、本質的に非膨潤性である。好ましくは、半透過性部材は、液体樹脂または重合対象材料接触しても膨潤しない材料を原料として形成される(すなわち「非膨潤性」である)。半透過性部材に適する材料の例として、米国特許第5,308,685号および同第5,051,115号に記載のものなど、非晶質フルオロポリマーが挙げられる。例えば、そのようなフルオロポリマーは、重合される有機液体樹脂インクと併用される場合に潜在的に膨潤すると予想されるシリコーンと比べ、特に有用である。一部の液体樹脂インク、例えばより水性のモノマー系および/または低い膨潤傾向を有する一部のポリマー樹脂インク系の場合、シリコーンベースのウィンドウ材料が適切となり得る。有機液体樹脂インクの溶解性または透過性を、ウィンドウ材料の架橋密度の増加または液体樹脂インクの分子量の増加を含め、既知の多数のパラメーターにより、劇的に低減させることができる。一部の実施形態において、本発明の装置から分離される場合には可撓性であるが、装置内に取り付けられる場合には固定され、(例えば引張リングにより)張力を掛けられる結果、装置内で張力が掛かり安定化する材料の薄膜またはシートから、ビルドプレートを形成することができる。特定の材料の例として、DuPont社から市販されているTEFLON AF(登録商標)フルオロポリマーが挙げられる。付加的な材料の例として、米国特許第8,268,446号、同第8,263,129号、同第8,158,728号および同第7,435,495号に記載されているようなパーフルオロポリエーテルポリマーが挙げられる。
【0070】
本質的にすべての固体材料、および前述の材料のほとんどが、形状および厚さなどの要因、ならびにそれらが受ける圧力および温度などの環境要因に応じて、「剛性」と見なされ得るにせよ、固有の「可撓性」を多少は有することが理解されることになる。加えて、ビルドプレートに関する「静止状態」または「固定状態」の表記は、たとえビルドプレートを漸進的に調整する(例えば、重合の傾斜ゾーンの崩壊に至らない、または崩壊の原因にならない調整)ための機構が提供される場合であっても、プロセスの機械的中断が発生しない、あるいは(交互積層の方法または装置の場合のように)プロセスの機械的中断のための機構または構造が提供されないことを意味する。
【0071】
半透過性部材は典型的に、上面部分、底面部分および端面部分を含む。ビルド面は上面部分上にあり、また供給面は上面部分上、底面部分上および/または端面部分上のうちの1箇所、2箇所または3箇所すべてに存在し得る。
図2で例示される実施形態において、供給面は底面部分上にあるが、供給面が端面部分上および/または上面部分上に提供される(ビルド面に近接しているが、ビルド面から独立または離間している)という代替的構成を通常の技術で実施することができる。
【0072】
半透過性部材は、一部の実施形態において(下記にてさらに詳しく論ずるとおり、半透過性部材がガラスなどの付加的な支持用プレートに付加される、またはそれに接触しているか否かを問わず、製造する品目のサイズに応じて)0.01、0.1または1ミリメートル〜10または100ミリメートル以上の厚さを有する。
【0073】
重合阻害剤に対する半透過性部材の透過性は、大気および/または阻害剤の圧力、阻害剤の選択、製作の進行度または速度などの条件次第で決まる。概して、阻害剤が酸素である場合、酸素に対する半透過性部材の透過性は、10または20バーラー〜最大1000または2000バーラー以上の範囲であってもよい。例えば、150PSIの圧力条件下で純粋な酸素、またはより酸素濃度が高い大気中で使用される10バーラーの透過性を有する半透過性部材は、大気条件下の周囲大気から酸素が供給される場合、500バーラーの透過性を有する半透過性部材と実質的に同じ能力を発揮し得る。
【0074】
したがって、半透過性部材は、可撓性のポリマーフィルム(任意の適切な厚さ、例えば0.001、0.01、0.05、0.1または1ミリメートル〜1、5、10、または100ミリメートル以上を有する)を含み得、ビルドプレートはさらに、ポリマーフィルムに接続され、(例えば、物体を移動させ、弾性的にまたは伸縮自在に元に戻す際にフィルムが物体に張り付かないよう、少なくとも十分に)フィルムを固定し、張力を掛けて安定化または剛性化する役割を果たす引張部材(例えば、「ドラムヘッド」の場合のような周囲のクランプおよび動作可能に関連付けられた歪み部材または伸縮部材、あるいは複合形態を含む複数の周辺クランプ)を含み得る。フィルムは上面および底面を有し、ビルド面が上面上にあり、供給面が好ましくは底面上にある。他の実施形態において、半透過性部材は、(i)重合性液体に接触するよう配置された上面および底面を有するポリマーフィルム層(任意の適切な厚さ、例えば0.001、0.01、0.1または1ミリメートル〜5、10または100ミリメートル以上を有する)、ならびに(ii)フィルム層の底面に接触する、ガス透過性の、光学的に透明な支持部材(任意の適切な厚さ、例えば0.01、0.1または1ミリメートル〜10、100または200ミリメートル以上を有する)を含む。支持部材は、フィルム層の底面に接触している上面を有し、また支持部材は、重合阻害剤の供給面の役割を果たし得る底面を有する。半透過性である(すなわち重合阻害剤に対して透過性である)任意の適切な材料を使用することができる。例えば、ポリマーフィルムまたはポリマーフィルム層は、例えばTEFLON AF1600(登録商標)フルオロポリマーフィルムまたはTEFLON AF2400(登録商標)フルオロポリマーフィルムのような非晶質の熱可塑性フルオロポリマーなどのフルオロポリマーフィルム、あるいはパーフルオロポリエーテル(PFPE)、特に架橋型PFPEフィルム、または架橋型シリコーンポリマーフィルムであってもよい。支持部材は、ポリジメチルシロキサン部材など、シリコーンポリマー部材または架橋型シリコーンポリマー部材、ガス透過性ポリマー部材、あるいは多孔質または微多孔質のガラス部材を含む。(例えばPFPE材料およびPDMS材料を使用して)接着剤を使用しなくても、フィルムを剛性の支持部材に直接、積層または固定することができる、あるいはPDMS層の上側表面と反応するシランカップリング剤を第1のポリマーフィルム層への接着に使用することができる。UV硬化性PFPEと剛性PDMS支持層との間の連結層として、UV硬化性のアクリレート官能性シリコーンを使用することもできる。
【0075】
装置内に配置される場合、キャリアは、ビルド面の全領域内で、ビルド面上に「ビルド領域」を定義する。前述のJoyce and Chenの装置のように、本発明では連続する相間での接着を破壊するための側方(例えばX方向および/またはY方向)の「投擲」が必要でないことから、ビルド面内でのビルド領域の面積を最大化することができる(または逆に、ビルド領域に割り当てられないビルド面の面積を最小化することができる)。したがって、一部の実施形態において、ビルド領域の全表面積は、ビルド面の全表面積の少なくとも50、60、70、80または90パーセントを占め得る。
【0076】
図2に記載のとおり、様々な構成要素が支持アセンブリーまたはフレームアセンブリー20に装着される。支持アセンブリーまたはフレームアセンブリーの特定の設計は重要でなく、多数の構成を想定することができるが、例示されている実施形態では、前述のビルドチャンバーを形成するために、放射源11が確実にまたは強固に取り付けられるベース21、リニアステージが作動可能に関連付けられる垂直部材22、および壁14が着脱可能にまたは確実に取り付けられ(または壁が配置され)、ビルドプレートが恒久的または着脱可能に固定される水平テーブル23で構成される。
【0077】
前述のとおり、ビルドプレートは、半透過性部材の単一かつ一体型の部品で構成されるか、または付加的な材料を含み得る。例えば、多孔質または微多孔質のガラスを、半透過性材料に積層または固定することができる。あるいは、上側部分としての半透過性部材を、重合阻害剤を担持するガスを半透過性部材に供給するよう形成されたパージ経路を有する透明な下側部材に固定することができる(前述および後述のとおり、パージ経路を通ってガスがビルド面に至る結果、未重合の液体材料の放出層の形成を促進する)。そのようなパージ経路は、ベースプレートを通る形で完全にまたは部分的に延びる経路であってもよい。例えば、パージ経路は、ベースプレート中へと部分的に延びてもよいが、その場合、歪みがもたらされないよう、ビルド面の直下領域で終わる。具体的な幾何形状は、半透過性部材へ至る阻害剤の供給面の位置が、ビルド面と同じ側にあるかまたは反対側にあるか、ビルド面の端部上にあるか、あるいはこれらのうち複数が組み合わされた位置にあるか次第で決まる。
【0078】
電子ビーム放射源および電離放射線源を含め、採用される特定の樹脂に応じて、任意の適切な放射源(または放射源の組み合わせ)を使用することができる。好適な一実施形態において、放射源は1つ以上の光源などの化学線源、特に1つ以上の紫外光源である。白熱灯、蛍光灯、燐光灯または発光灯、レーザー、発光ダイオードなど、またこれらの配列を含め、任意の適切な光源を使用することができる。前述のとおり、好ましくは、光源は制御装置に動作可能に関連付けられたパターン形成要素を含む。一部の実施形態において、光源またはパターン形成要素は、デジタルライトプロセッシング(DLP)を備えたデジタル(または変形可能な)マイクロミラーデバイス(DMD)、空間変調器(SLM)もしくは微小電気機械システム(MEMS)ミラー配列、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、マスク(別名レチクル)、シルエット、またはこれらの組み合わせを含む。米国特許第7,902,526号を参照されたい。好ましくは、光源は、例えばマスクレスフォトリソグラフィにより、マスクを使用せずに重合性液体の曝露または照射を実行するよう構成された、液晶光バルブ配列またはマイクロミラー配列またはDMD(例えば動作可能に関連付けられたデジタルライトプロセッサを有し、典型的には順繰りに適切な制御装置の制御下に置かれるもの)など、空間光変調配列を含む。例えば米国特許第6,312,134号、同第6,248,509号、同第6,238,852号および同第5,691,541号を参照されたい。
【0079】
一部の実施形態において、下記にてさらに詳しく論ずるとおり、X方向および/またはY方向での移動がZ方向での移動と同時に発生し、結果的に重合性液体の重合過程でX方向および/またはY方向での移動が発生し得る(これは上記のY.Chen et al.またはM.Joyceに記載の、重合性液体の補充を目的とする先行および後続の重合工程間での移動と対照的である)。本発明では、そのような移動を、ビルド面の特定ゾーンにおける「焼き付き」または汚損の低減などを目的に行うことができる。
【0080】
本発明の一部の実施形態における利点は、前述のJoyceまたはChenの装置のような広範囲にわたる側方の「投擲」の要件がないために半透過性部材上のビルド面(即ちビルドプレートまたはウィンドウ)のサイズを低減することができるという点にあることから、本発明の方法、システムおよび装置では、(そのような側方移動が存在する場合に)キャリアおよび物体の側方移動(X方向および/またはY方向での移動またはこれらの組み合わせを含む)は、好ましくはビルド領域の(側方移動方向における)幅の80、70、60、50、40、30、20パーセント、さらには10パーセント以下または未満である。
【0081】
一部の実施形態において、キャリアは、静止状態のビルドプレートから離れるように上方へ移動するよう、エレベーターに装着される一方、他の実施形態では逆の配置も使用され得る。つまり、キャリアを固定してビルドプレートを降下させることにより、キャリアをビルドプレートから遠ざける形で移動させることができる。同じ結果を達成するために、他にも多数の様々な機械的構成が、当業者には明らかとなる。
【0082】
キャリアを製作する材料の選択、および物品を製造するためのポリマーまたは樹脂の選択に応じて、キャリアへの物品の接着が時々、物品の仕上げまたは「ビルド」の完了に至る過程でキャリア上に物品を保持する上で十分でない場合がある。例えば、アルミニウム製キャリアはポリ(塩化ビニル)(または「PVC」)と比べ、接着力が低い場合がある。したがって、1つの解決策は、製造する物品を重合する表面上にPVCを含むキャリアを採用することである。仕上がった部分をキャリアから好都合に分離できないほどこれが接着を促進し過ぎてしまう場合、様々な技法を任意で用いて、より接着性の低いキャリアに物品をさらに固定してもよく、例として製作過程で物品をキャリアにさらに固定するための、「Greener Masking Tape for Basic Painting #2025 High adhesion」などの粘着テープの適用が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
【0083】
III.制御装置およびプロセス制御。
本発明の方法および装置は、例えば該方法の速度および/または信頼性を高めるために、フィードバック制御およびフィードフォワード制御を含むプロセス制御を実施するためのプロセス工程および装置の特徴を含み得る。
【0084】
本発明の実行で使用する制御装置を、ハードウェア回路、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせとして実装することができる。一実施形態において、制御装置は、適切なインターフェースハードウェアおよび/またはソフトウェアを通じてモニター、駆動装置、ポンプおよび他の構成要素と動作可能に関連付けられたソフトウェアを実行する、汎用コンピューターである。本明細書に記載の三次元の印刷または製作の方法および装置の制御に適するソフトウェアの例として、ReplicatorGオープンソース3d印刷プログラム、3D system社製の3DPrint(商標)コントローラーソフトウェア、Slic3r、Skeinforge、KISSlicer、Repetier−Host、PrintRun、Curaなど、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0085】
プロセス中に(例えば、充填工程、照射程および移動工程のうちの1つ、一部または全部の間に)継続的にまたは断続的に、直接または間接的にモニタリングを行うためのプロセスパラメーターの例として、照射強度、キャリアの温度、ビルドゾーン内の重合性液体、増大中の生産物の温度、ビルドプレートの温度、圧力、移動速度、力(例えばキャリアおよび製作する生産物を介してビルドプレートに掛かる力)、歪み(例えば、製作する生産物の増大過程でキャリアに掛かる歪み)、放出層の厚さなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0086】
フィードバック制御システムおよび/またはフィードフォワード制御システムで使用され得る既知のパラメーターの例として、(例えば、製作する物品の既知の形状または容積から)予想される重合性流体の消費量、重合性液体から形成されるポリマーの分解温度等などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0087】
(例えば前述のプロセス工程の一部または全部において)モニタリングされるパラメーターおよび/または既知のパラメーターへの対応として継続的にまたは段階的に、直接または間接的に制御を行うためのプロセス条件の例として、重合性液体の供給速度、温度、圧力、キャリアの移動率または移動速度、照射強度、照射持続時間(例えば「スライス」毎の持続時間)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0088】
例えば、温度が重合生産物の分解温度を超えているかどうかを判定するために、適切な熱電対、非接触式温度センサー(例えば赤外線温度センサー)または他の適切な温度センサーを使用して、ビルドゾーン内の重合性液体の温度またはビルドプレートの温度を直接または間接的にモニタリングすることができる。その場合、ビルドゾーン内および/またはビルドプレートの温度を下げるため、制御装置を介してプロセスパラメーターを調整することができる。そのような調整に適するプロセスパラメーターの例として、冷却装置による温度低下、キャリアの移動速度の低下、照射強度の低下、放射曝露持続時間の短縮などが挙げられる。
【0089】
加えて、放射源(例えば水銀灯などの紫外光源)の強度を、光検出器を使用してモニタリングすることにより、(例えば使用中の放射源の定常的劣化を通じた)放射源からの強度の低下を検出することができる。検出された場合、制御装置を介してプロセスパラメーターを調整することにより、強度喪失に適応することができる。そのような調整に適するプロセスパラメーターの例として、加熱装置による昇温、キャリアの移動速度の低下、光源への電力増加などが挙げられる。
【0090】
別の例として、製作時間を延ばすための温度および/または圧力の制御を、加熱装置および冷却装置(個別に、または相互に組み合わせて1つの制御装置に対して別々に応答するように)、ならびに/または圧力供給(例えばポンプ、圧力容器、弁およびこれらの組み合わせ)、ならびに/または制御可能な弁などの圧力解放機構(個別に、または相互に組み合わせて1つの制御装置に対して別々に応答するように)を使用して実現することができる。
【0091】
一部の実施形態において、制御装置は、最終生産物の一部または全部の製作過程全体にわたり、本明細書に記載の(例えば
図1を参照されたい)重合の傾斜ゾーンを維持するように構成される。具体的な構成(例えば時間、移動率または移動速度、照射強度、温度など)は、特定の重合性液体および創出される生産物の性質などの要因に依存することになる。過去に判定された、または一連の試験稼働もしくは「試行錯誤」を通じて判定された一連のプロセスパラメーターまたは指示の入力により、重合の傾斜ゾーンを維持するための構成を経験的に実行することができる。構成は既定の指示を通じて提供され得る。構成は適切なモニタリングおよびフィードバック(上記にて論じたとおり)、これらの組み合わせにより、または他の何らかの適切な形で達成され得る。
【0092】
一部の実施形態において、前述の装置との間に適切なインターフェースハードウェアを有する汎用コンピューター内で実行されるソフトウェアプログラムにより、前述の方法および装置を制御することができる。多数の選択肢が商業的に利用可能である。複数の構成要素を1つに組み合わせた非限定的な例が
図3から5に記載されており、これらの図において「マイクロコントローラー」はParallax社製Propeller、ステッパーモーター駆動装置はSparkfun社製EasyDriver、LED駆動装置はLuxeon社製Single LED Driver、USB/シリアル変換装置はParallax社製USB to Serial変換装置、そしてDLPシステムはTexas Instruments社製LightCrafterシステムである。
【0093】
IV.一般的方法。
前述のとおり、本発明は三次元物体の形成方法を提供するものであり、該方法は、(a)キャリアおよびビルドプレートを用意する工程(ビルドプレートは半透過性部材を含み、半透過性部材はビルド面およびビルド面から離れた供給面を含み、ビルド面とキャリアが中間のビルド領域を画定し、供給面は重合阻害剤と流体接触する)、その後における(同時および/または順次の)(b)ビルド領域に重合性液体を充填する工程(重合性液体はビルドセグメントと接触する)、(c)ビルドプレートを介してビルド領域を照射してビルド領域内に固体の重合領域を生み出す工程(固体の重合領域とビルド面との間に重合性液体から成る液体フィルム放出層が形成され、液体フィルムの重合は重合阻害剤によって阻害される)、ならびに(d)キャリアが重合領域に接着された状態でキャリアを静止状態のビルドプレート上のビルド面から離れるように移動させて、重合領域と上部ゾーンとの間に後続のビルド領域を創出する工程を含む。概して、該方法は(e)工程(b)から(d)までの継続および/または反復により、互いに接着した状態の重合領域の堆積の継続または反復により三次元物体が形成されるまで、後続の重合領域が従前の重合領域と接着した状態を生み出す工程を含む。
【0094】
放出層の機械的放出が必要ないことから、または酸素を補充するためのビルド面の機械的移動が必要ないことから、該方法を継続的な形で実行することができるが、前述の個別の工程を逐次的に、同時に、またはこれらを組み合わせる形で実行できることも、理解されることになる。実際、製作中の領域の密度および/または複雑さなどの要因に応じて、工程の速度を経時的に変化させることができる。
【0095】
また、ウィンドウまたは放出層からの機械的放出においては一般的に、ウィンドウの再コーティングを可能にする次の照射工程に対して望ましい距離よりもさらに遠くまでキャリアをビルドプレートから移動させ、次いでキャリアを再びビルドプレートに近付けるよう戻す(例えば「二歩前進一歩後退」動作)必要があることから、本発明は一部の実施形態において、この「バックアップ」工程の排除を可能にするとともに、再コーティングのためにウィンドウの移動に介入することなく、または形成済みの弾性放出層の「スナッピング」を行うことなく、キャリアを一定方向に、または単一方向に移動させることを可能にする。しかし、本発明の他の実施形態では、放出の実現ではなく、より迅速に重合性液体をビルド領域内へ充填または圧送することを目的に、往復運動が用いられる。
【0096】
デッドゾーンと重合の傾斜ゾーンとの間には(これら2つが接触する場所に)厳密な境界がないが、重合の傾斜ゾーンの厚さは、一部の実施形態において、少なくともデッドゾーンの厚さと同等である。したがって、一部の実施形態において、デッドゾーンの厚さは0.01、0.1、1、2もしくは10ミクロン〜最大100、200もしくは400ミクロン以上であり、および/または重合の傾斜ゾーンとデッドゾーンを併せた厚さは1もしくは2ミクロン〜最大400、600、もしくは1000ミクロン以上である。したがって、重合の傾斜ゾーンは、その時点で特有のプロセス条件次第で厚くなる場合もあれば薄くなる場合もある。重合の傾斜ゾーンが薄い場合、それは増大中の三次元物体の底部の活性表面として説明することもでき、この表面とモノマーが反応して、付帯的に増大するポリマー鎖の形成を継続し得る。一部の実施形態において、重合の傾斜ゾーンまたは活性表面は、(重合工程が継続する一方で)少なくとも5、10、15、20または30秒〜最長5、10、15または20分以上、あるいは三次元生産物の完成まで維持される。
【0097】
該方法はさらに、三次元物体に(例えば既定の望ましい意図的な開裂位置に、あるいは物体において開裂の防止または低減が重要でない位置に)開裂線を十分に形成できる時間にわたり重合の傾斜ゾーンを遮断し、その後、重合の傾斜ゾーンを(例えば移動工程の一時停止および再開、照射強度の増減、ならびにこれらの組み合わせによって)再開する工程を含み得る。
【0098】
一部の実施形態において、移動工程は、工程毎または増分毎に均等な増分(例えば0.1または1ミクロン〜最大10または100ミクロン以上の増分)で逐次的に実行される。一部の実施形態において、移動工程は、工程毎または増分毎に可変性の増分(例えば毎回の増分が0.1または1ミクロン〜最大10または100ミクロン以上の範囲)で逐次的に実行される。増分の大きさは、移動速度と併せて、部分的に、温度、圧力、製造する物品の構造(例えばサイズ、密度、複雑さ、構成など)などの要因に依存することになる。
【0099】
本発明の他の実施形態において、移動工程は均等または可変性の速度で継続的に実行される。
【0100】
一部の実施形態において、移動速度(実行が逐次的か継続的かのいずれを問わない)は、同じく温度、圧力、製造する物品の構造、放射強度などの要因に応じて1秒当たり約0.1、1、または10ミクロン〜最大約100、1,000、または10,000ミクロンの範囲である。
【0101】
下記にてさらに記述するとおり、一部の実施形態において、充填工程は、加圧条件下で重合性液体をビルド領域内へ押し込むことによって実行される。そのような場合、1つまたは複数の移動工程を、1秒当たり少なくとも0.1、1、10、50、100、500または1000ミクロン以上の移動速度または累積移動速度または平均移動速度で実行することができる。概して、圧力は、圧力が掛からない状態で移動工程を繰り返す最大移動速度と比べ、少なくとも2、4、6、8または10倍の移動工程の速度にまで高める十分な圧力としてよい。前述のような装置を圧力容器内に収納することにより圧力を印加し、(例えば空気、酸素に豊富に含む空気、ガスの混和物、純粋な酸素などの)加圧雰囲気中でプロセスを実行する場合、10、20、30または40ポンド毎平方インチ(PSI)〜最大200、300、400または500PSI以上の圧力を使用することができる。不規則な大型の物体を製作する場合、より高い圧力は、大型高圧容器のコストを背景に、より遅い製作時間と比べ好ましくない場合がある。そのような実施形態では、供給面および重合性液体の両方が、同じ圧縮ガス(例えば、酸素を20〜95体積パーセント含み、酸素が重合阻害剤の役割を果たすもの)に流体接触していてもよい。
【0102】
他方、より小さい品目を製作する場合、あるいはロッドまたは繊維は圧力容器の孔または開口部を通って製造される関係上、圧力容器から除去または排出できるロッドまたは繊維を製作する場合、圧力容器のサイズを、製作する生産物のサイズの割に小さく保つことができ、また(所望される場合は)より高い圧力を、より容易に利用することができる。
【0103】
前述のとおり、照射工程は一部の実施形態において、パターン化された照射を使用して実行される。パターン化された照射は、製作する特定の品目に応じて、固定されたパターンであるか、または前述のとおりパターン発生装置(例えばDLP)によって創出される可変パターンであってもよい。
【0104】
パターン化された照射が、経時的に一定に保持されるパターンではなくむしろ可変パターンである場合、毎回の照射工程は任意の適切な時間であるか、または例えば照射強度、重合性材料中における色素の有無、増大率などの要因に応じた持続時間であってもよい。したがって、一部の実施形態において、毎回の照射工程の持続時間を0.001、0.01、0.1、1または10マイクロ秒〜最長1、10、または100分以上の範囲とすることができる。各照射工程間の間隔は、一部の実施形態において、好ましくは可能な限り短く、例えば0.001、0.01、0.1、または1マイクロ秒〜最長0.1、1、または10秒である。実施形態例において、パターンは、形成される三次元物体に形状変化を付与するために数百回、数千回または数百万回、変動し得る。加えて、実施形態例において、パターン発生装置は、付与される形状を変化させるために変動可能な数百万ピクセル素子の高分解能を有し得る。例えば、パターン発生装置は、1,000もしくは2,000もしくは3,000以上の行および/または1,000もしくは2,000もしくは3,000以上の列から成るマイクロミラー、あるいは液晶ディスプレイパネル内に形状の変動に使用可能なピクセル数を有するDLPであってもよい。実施形態例において、三次元物体は、継続的な印刷中に形状変化を付与することを可能にする重合の傾斜部を介して形成され得る。実施形態例において、これにより複雑な三次元物体を高速で、開裂線または継目のない実質的に連続する表面を持たせて形成することが可能となる。一部の実施例において、形成される物体の1mm、1cm、10cm以上の長さにわたり、または形成される物体の全長にわたりの開裂線または継目を生じることなく、形成される三次元物体に数千または数百万の形状変化を付与することができる。実施形態例において、物体は1秒当たり1、10、100、1000、または10000ミクロン以上の速度で、重合の傾斜部を介して、継続的に形成され得る。
【0105】
一部の実施形態において、ビルド面は平坦であるが、他の実施形態において、ビルド面は不規則で、例えば凸状または凹状に湾曲しているか、あるいはビルド面内に形成された壁または溝を有する。いずれの場合もビルド面は平滑であるか、または凹凸があってもよい。
【0106】
繊維またはロッドの形成において湾曲および/または不規則なビルドプレートまたはビルド面を使用して、様々な材料を、製作する単一の物体に供給することができる(つまり、それぞれが別々の液体供給部などと関連付けられている、ビルド面内に形成された経路または溝を介して同一のビルド面に様々な重合性液体を供給することができる)。
【0107】
重合性液体用のキャリア供給経路。重合性液体を液体導管およびリザーバーシステムからビルドプレートへ直接供給することができる一方、一部の実施形態において、キャリアは内部に1つ以上の供給経路を含む。キャリア供給経路は、重合性液体供給部、例えばリザーバーおよび付随するポンプと流体連通する状態である。異なるキャリア供給経路を同じ供給部と流体連通させ、互いに同時に動作させることができるか、あるいは(例えば、各キャリア供給経路用のポンプおよび/または弁の提供を通じて)異なるキャリア供給経路を互いに別々に制御することができる。別々に制御可能な供給経路は、同じ重合性液体を含有するリザーバーと流体連通させることができるか、または異なる重合性流体を含有するリザーバーと流体連通させることができる。弁アセンブリーの使用を通じて、一部の実施形態において、所望される場合は同じ供給経路を介した異なる重合性液体を交互に供給することができる。
【0108】
V.重合性液体の往復供給。
本発明の一実施形態では、重合性液体によるビルド領域の再充填を確かにする又は速くするために、ビルド面を基準としてキャリアを縦方向に往復運動させる。
【0109】
一部の実施形態において、アップストロークおよびダウンストロークを含む縦方向往復運動工程は、アップストロークの移動距離がダウンストロークの移動距離より長い状態で実行されることにより、移動工程の一部または全部を同時に実行することができる(つまり、キャリアをZ次元においてビルドプレートから切り離す形で駆動する)。
【0110】
一部の実施形態において、アップストロークの速度は、アップストロークの合計時間のうち少なくとも20、30、40、または50パーセントの期間にわたり、アップストロークの完了まで、またはダウンストロークの開始に相当する方向変化が生じるまで、徐々に加速する(つまり、アップストロークの漸進的開始および/または漸進的加速が提供される)。言い換えれば、アップストロークは静かに、または徐々に開始する。
【0111】
一部の実施形態において、ダウンストロークの速度は、ダウンストロークの合計時間のうち少なくとも20、30、40、または50パーセントの期間にわたり、徐々に減速する(つまり、アップストロークの漸進的終了および/または漸進的減速が提供される)。言い換えれば、ダウンストロークは静かに、または徐々に、完了または終了する。
【0112】
一部の実施形態ではアップストロークの突発的な終了または突発的な減速、およびダウンストロークの突発的な開始または減速(例えばアップストロークからダウンストロークへ至る移動のベクトルまたは方向の急速な変化)が生じる一方、ここでは漸進的な遷移を(例えばアップストロークとダウンストロークとの間での移動に「停滞期」または一時停止を導入することにより)導入し得ることが理解されることになる。また、往復運動工程は、単一のアップストロークおよびダウンストロークであってもよい一方、往復運動は、振幅および頻度が同じであるかまたは異なる、連動する往復運動群内で発生し得ることも理解されることになる。
【0113】
一部の実施形態において、縦方向往復運動工程は、(例えばアップストロークおよびダウンストロークの1サイクル当たり)0.01または0.1秒〜最長1または10秒間の合計時間にわたり実行される。
【0114】
一部の実施形態において、アップストロークの移動距離は0.02または0.2ミリメートル(あるいは20または200ミクロン)〜1または10ミリメートル(あるいは1000〜10,000ミクロン)である。ダウンストロークの移動距離はアップストロークの移動距離と同じであるか、またはそれ未満であってもよく、ダウンストロークの移動距離が少なければ、三次元物体が徐々に形成される過程でキャリアをビルド面から離れるように移動させることの達成に役立つ。
【0115】
好ましくは、縦方向往復運動工程、特に該工程におけるアップストロークは、ビルド領域内での気泡またはガスポケットの形成を引き起こすわけではなく、むしろビルド領域は往復運動工程全体にわたり重合性液体が充填された状態を維持し、重合の傾斜ゾーンまたは領域は「デッドゾーン」と接触している状態を維持し、そして製作される物体は往復運動工程全体にわたり増大する。理解されることになるとおり、往復運動の目的は、往復運動工程が行われない状態でビルド領域を再充填可能な速度と比べ、ビルド領域の再充填を確かにする又は速くすることであり、特に、比較的広いビルド領域に重合性液体を再充填しなければならない場合がそうである。
【0116】
一部の実施形態において、移動工程は断続的に、毎分1、2、5または10回の個別移動から、毎分最大300、600または1000回の個別移動の比率で実行され、毎回の移動に一時停止が続き、一時停止中に照射工程が実行される。1回以上の往復運動工程(例えばアップストロークにダウンストロークが加わる工程)を毎回の移動工程内で実行できることが理解されることになる。言い換えれば、往復運動工程を移動工程内に組み入れることができる。
【0117】
一部の実施形態において、個別の移動は、毎回の移動につき10または50ミクロン〜最大100または200ミクロンの平均移動距離(場合により、毎回の縦方向往復運動工程の都度、総移動距離、例えばアップストローク距離からダウンストローク距離を引いた合計を含む)にわたり実行される。
【0118】
本発明を実行するための、往復運動工程が本明細書に記載されている装置は実質的に前述のとおり、駆動装置がキャリアと関連付けられ、および/または付加的な駆動装置が透明部材と動作可能に関連付けられ、制御装置がそれらの片方または両方と動作可能に関連付けられ、キャリアと透明部材を前述のとおり互いを基準に往復運動させるよう構成される形で実装される。
【0119】
VI.光強度の増大による製作加速。
概して、製作速度は光強度の増大によって加速させることができると見られている。一部の実施形態において、製作速度を高めるため、光はビルド領域に集中または「合焦」される。これは対物レンズなどの光学装置を使用して達成され得る。
【0120】
製作速度は一般的に、光強度に比例し得る。例えば、ビルド速度(ミリメートル毎時単位)は、光強度(1平方センチメートル当たりミリワット単位)に乗数を乗じて算出することができる。乗数は、後述するものを含め、多様な要因に依存し得る。低いものから高いものまで、一連の乗数が採用され得る。低い側の範囲では、乗数は約10、15、20または30となり得る。高い側の乗数範囲では、乗数は約150、300、または400以上となり得る。
【0121】
前述の関係は概して、1平方センチメートル当たり1、5または10ミリワット〜最大20または50ミリワットの範囲の光強度について想定される。
【0122】
製作の加速を促すため、光に関する一定の光学特性を選択することができる。一例として、バンドパスフィルターを水銀電球光源と併用して、半値全幅(FWHM)で測定した場合に365±10nmの光を提供することができる。別の例を挙げると、バンドパスフィルターをLED光源と併用して、FWHMで測定した場合に375±15nmの光を提供することができる。
【0123】
前述のとおり、そのようなプロセスで使用する重合性液体は概して、酸素を阻害剤とするフリーラジカル重合性液体、あるいは塩基を阻害剤とする酸触媒型またはカチオン重合型の重合性液体である。当然、一部の特定の重合性液体は他に比べ硬化が迅速または効率的であることから、高速に対する順応性も高いが、これは少なくとも部分的に、光強度のさらなる増大によって相殺され得る。
【0124】
光強度と速度が高くなるほど、阻害剤の消費に伴って「デッドゾーン」が薄くなり得る。デッドゾーンが失われると、プロセスが中断されることになる。そのような場合、阻害剤の供給を何らかの適切な手段によって増進することができ、例として阻害剤の強化および/または加圧雰囲気、より多孔質の半透過性部材、より強力な阻害剤(特に塩基を採用する場合)などの提供が挙げられる。
【0125】
概して、重合性液体は粘度が低いほど高速に対する順応性が高く、特に、断面積が広い、および/または高密度の物品を製作する場合がそうである(ただしこれは少なくとも部分的に、光強度の増大によって相殺され得る)。重合性液体は、50または100センチポイズ〜最大600、800または1000センチポイズ以上の範囲の粘度を有し得る(HYDRAMOTION REACTAVISC(商標)Viscometer(Hydramotion Ltd社(所在地:1 York Road Business Park,Malton,York YO17 6YA England)製)などの適切な装置を使用して室温および大気圧にて測定)。一部の実施形態において、必要であれば、重合性液体の粘度を有利には前述のとおり重合性液体の加熱によって低減することができる。
【0126】
一部の実施形態において、例えば断面積が広い、および/または高密度の物品を製作する場合など、前述のとおり重合性液体を「圧送」する往復運動の導入、ならびに/または同じく前述のとおりキャリア経由での重合性液体供給の使用、ならびに/または同じく前述のとおり重合性液体の加熱および/もしくは加圧により、製作速度を高めることができる。
【0127】
VII.タイル化。
ビルドサイズが比較的大きい場合に分解能および光強度を保持するため、複数の光エンジンを使用することが望ましい場合がある。複数の「タイル化」画像がビルド領域に投影されるよう、1つの画像(例えば複数ピクセルの配列)をビルド領域内に投影する形で個々の光エンジンを構成することができる。本明細書で使用する場合、「光エンジン」という用語は、光源、DLP装置(デジタルマイクロミラーまたはLCD装置など)および光学装置(対物レンズなど)を含むアセンブリーを意味し得る。また「光エンジン」は、1つ以上の他の構成要素と動作可能に関連付けられた制御装置などの電子機器をも含み得る。
【0128】
これは
図17Aから17Cに概略的に記載されている。光エンジンアセンブリー130A、130Bは、隣接画像または「タイル化」画像140A、140Bを生成する。
図17Aでは画像の配列が少しずれており、つまり、画像の間に隙間がある。
図17Bでは画像が整列しており、つまり、画像の間に隙間も重複もない。
図17Cでは、画像140Aと140Bが若干重なり合っている。
【0129】
一部の実施形態において、画像が重なり合っている
図17Cに記載の構成は、例えば米国特許第7,292,207号、同第8,102,332号、同第8,427,391号、同第8,446,431号ならびに米国特許出願公開第2013/0269882号、同第2013/0278840号および同第2013/0321475号(これらの開示は全体が本明細書の一部をなすものとする)において全般的に論じられているように、重複領域を何らかの形で「配合」または「平滑化」して採用される。
タイル化画像は、光強度を犠牲にすることなく比較的大きいビルド領域を許容することができることから、大きい物体の場合にビルド速度の高速化を促し得る。3台以上の光エンジン(および相当するタイル化画像)が採用され得ることが理解されることになる。本発明の様々な実施形態において、少なくとも4、8、16、32、64、128個以上のタイル化画像を採用する。
【0130】
VIII.二重硬化性重合性液体:B剤。
前述のとおり、本発明の一部の実施形態において、重合性液体は第1の光重合性成分(本明細書では「A剤」と呼ばれる場合もある)と、第1の成分とは別の機構により、または第1の成分と異なる形で、典型的にはさらなる反応、重合または鎖延長によって固化する、第2の成分(本明細書では「B剤」と呼ばれる場合もある)とを含む。本発明の多数の実施形態を実行することができる。以下、注意点として、メタクリレートなどの特定のアクリレートが記述される場合でも、他のアクリレートを使用することができる。
【0131】
A剤の化学。前述のとおり、本発明の一部の実施形態において、樹脂は「A剤」と呼ばれる第1の成分を有することになる。A剤は、化学線もしくは光に対する曝露によって重合され得るモノマーおよび/もしくはプレポリマーの混合物を含むか、または係る混合物で構成される。この樹脂は2以上の官能性を有し得る(ただし官能性が1の樹脂も、ポリマーがそのモノマー中に溶解しない場合は使用することができる)。A剤の目的は、形成される物体の形状を「ロック」すること、あるいは1つ以上の付加的成分(例えばB剤)向けの足場を創出することである。重要な点として、A剤の存在量は、初期固化後に形成される物体の形状を維持するために最低限必要な量以上である。一部の実施形態において、この量は樹脂(重合性液体)組成全体に占める割合の10、20または30重量パーセント未満に相当する。
【0132】
一部の実施形態において、A剤は架橋型ポリマーネットワークまたは固体ホモポリマーを形成する形で反応し得る。
【0133】
A剤の構成成分、モノマーまたはプレポリマーに適する適切な反応性末端基の例として、アクリレート、メタクリレート、α−オレフィン、N−ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン系樹脂、エポキシド、チオール、1,3−ジエン、ハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、ビニルエステル、マレイミド、およびビニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0134】
A剤の固化における一態様は、A剤が足場を提供し、足場内で「B剤」と呼ばれる第2の反応性樹脂成分が第2の工程(これはA剤の固化と同時に発生するか、または続いて発生し得る)中に固化し得るということである。この二次反応は、好ましくはA剤の固化過程で定義される元来の形状を著しく歪めることなく発生する。代替的アプローチは、元来の形状を望ましい形で歪める結果に繋がることになる。
【0135】
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法および装置において使用する場合、A剤の固化は一定の領域内での印刷過程で継続的に、酸素またはアミンまたは他の反応性種によって阻害される結果、固化された部分と阻害剤透過性のフィルムまたはウィンドウとの間に液体界面を形成する(例えば継続的液体相間/界面印刷によって実行される)。
【0136】
B剤の化学。B剤は、A剤の固化反応後に第2の固化反応に参加する反応性末端基を有するモノマーおよび/もしくはプレポリマーの混合物を含むか、係る混合物で構成されるか、または本質的に係る混合物で構成され得る。一部の実施形態において、B剤はA剤へ同時に添加することができることから、化学線に対する曝露中に存在するか、あるいはB剤は後続工程における3D印刷プロセス中に製造される物体中に融合され得る。B剤の固化に用いられる方法の例として、物体または足場を熱、水または水蒸気に接触させること、A剤の硬化時と異なる波長の光、触媒(付加的な熱の有無を問わない)、重合性液体からの(例えば熱、真空またはこれらの組み合わせの使用による)溶媒の蒸発など、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0137】
B剤の構成成分、モノマーまたはプレポリマーに適する適切な反応性末端基対の例として、エポキシ/アミン、エポキシ/ヒドロキシ、オキセタン/アミン、オキセタン/アルコール、イソシアネート*/ヒドロキシル、イソシアネート*/アミン、イソシアネート/カルボン酸、無水物/アミン、アミン/カルボン酸、アミン/エステル、ヒドロキシ/カルボン酸、ヒドロキシ/酸塩化物、アミン/酸塩化物、ビニル/Si−H(ヒドロシリル化)、Si−Cl/ヒドロキシル、Si−Cl/アミン、ヒドロキシル/アルデヒド、アミン/アルデヒド、ヒドロキシメチルまたはアルコキシメチルアミン/アルコール、アミノプラスト、アルキン/アジド(チオレン、マイケル付加、ディールス・アルダー反応、求核置換反応などを含む付加的反応と併せて「クリック化学」の一実施形態としても知られる)、アルケン/硫黄(ポリブタジエン加硫)、アルケン/チオール、アルキン/チオール、ヒドロキシ/ハロゲン化物、イソシアネート*/水(ポリウレタン発泡体)、Si−OH/ヒドロキシル、Si−OH/水、Si−OH/Si−H(スズ触媒シリコーン)、Si−OH/Si−OH(スズ触媒シリコーン)、パーフルオロビニル(結合によりパーフルオロシクロブタンを形成)など(ただし「*」が付記されたイソシアネートは保護されるイソシアネート(例えばオキシム)を含む)、ディールス・アルダー反応、オレフィンメタセシス重合、チーグラー・ナッタ触媒作用を使用するオレフィン重合、開環重合(開環オレフィンメタセシス重合、ラクタム、ラクトン、シロキサン、エポキシド、環状エーテル、イミン、環状アセタールなどを含む)向けのジエン/ジエノフィルなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0138】
他のB剤向けに適する反応性化学も、当業者であれば認識することになる。「Concise Polymeric Materials Encyclopedia」および「Encyclopedia of Polymer Science and Technology」に記載のポリマー形成に有用なB剤成分は、ここに引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0139】
エラストマー。本発明を実施する上で特に有用な実施形態は、エラストマーを形成するための実施形態である。頑丈で高伸長のエラストマーは、液体UV硬化性前駆体だけを使用しての実現が困難である。しかし、硬化後に頑丈で高伸長のエラストマーを結果的に得られる熱硬化性材料(ポリウレタン、シリコーン、天然ゴム)が多数存在する。これらの熱硬化性エラストマーは元来、一般的にほとんどの3D印刷技法との両立性がない。
【0140】
本発明の実施形態において、少量(例えば20重量パーセント未満)の低粘度UV硬化性材料(A剤)を熱硬化性前駆体と配合して(好ましくは頑丈な)エラストマー(例えばポリウレタン、ポリ尿素またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、およびシリコーン)(B剤)を形成する。UV硬化性成分は、本明細書に記載のような3D印刷および重合性液体中のエラストマー前駆体向けの足場を使用して、或る物体を固化させて所望の形状にするために使用される。その後、物体を印刷後に加熱することにより、第2の成分を活性化する結果、エラストマーを含む物体が得られる。
【0141】
形成された物体の接着。一部の実施形態において、A剤の固化を使用して多様な物体の形状を定義し、これらの物体を特定の構成に整列させることにより、物体間に気密シールを生じさせ、次いでB剤の二次固化を活性化するようにすることは、有用であり得る。この要領で、部分間の強固な接着を製造過程で達成することができる。特に有用な例として、スニーカー構成要素の形成および接着が挙げられる。
【0142】
B剤としての粒子の融合。一部の実施形態において、「B剤」は単に、予め形成済みのポリマーの小粒子で構成され得る。A剤の固化後、物体をB剤のガラス遷移温度より高い温度にまで加熱して、封入されたポリマー粒子を融合させることができる。
【0143】
B剤としての溶媒の蒸発。一部の実施形態において、「B剤」は、予め形成済みのポリマーを溶媒中に溶解させたもので構成され得る。A剤を固化させて所望の物体にした後、B剤用溶媒の蒸発を可能にするプロセス(例えば熱および真空の併用)に物体を投入することにより、B剤を固化させる。
【0144】
熱開裂性末端基。一部の実施形態において、A剤における反応性化学物質を熱開裂させて、A剤の固化後に新たな反応性種を生成することができる。新たに形成される反応性種はさらにB剤と、二次固化過程で反応し得る。例示的システムがVelankar,Pezos and Cooper,Journal of Applied Polymer Science,62,1361−1376(1996)に記載されている。ここでは、UV硬化後、形成された物体中のアクリレート/メタクリレート基が熱開裂してジイソシアネートプレポリマーを生成し、これがさらに、配合された鎖延長剤と反応して、元来の硬化後の材料または足場内に高分子量ポリウレタン/ポリ尿素を提供する。そのようなシステムは概して、下記にてさらに詳しく論ずるとおり、ブロック化または反応性ブロック化プレポリマーを採用する二重硬化システムである。その後の作業において、上記の熱開裂は実際のところ鎖延長剤(通常はジアミン)と阻害された尿素との置換反応であり、これにより最終のポリウレタン/ポリ尿素がもたらされ、イソシアネート中間体は発生しないことが示唆される、という点に注目するとよい。
【0145】
成分混合方法。一部の実施形態において、成分がプリンターのビルドプレートへと導入される前に、成分を継続的な形で混合することができる。これはマルチバレルシリンジおよび混合ノズルを使用して行うことができる。例えば、A剤はUV硬化性ジ(メタ)アクリレート樹脂を含むか、または係る樹脂で構成され得、B剤はジイソシアネートプレポリマーおよびポリオールの混合物を含むか、または係る混合物で構成され得る。ポリオールは1つのバレル内でA剤と一体的に配合することができ、未反応の状態を維持し得る。第2のシリンジバレルはB剤のジイソシアネートを含有することになる。このように、「B剤」の早期固化を心配することなく、材料を保管することができる。加えて、この形で樹脂をプリンターへ導入する場合、全成分の混合とA剤の固化との間に一定の時間が定義される。
【0146】
他の積層造形技法。当業者にとって、本発明に記載の材料は、溶融堆積モデリング(FDM)、ソリッドレーザー焼結(SLS)、およびインクジェット方式を含む、他の積層造形技法においても有用であることが明らかとなる。例えば、溶融加工型アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂は、物体がFDMによって形成された後に活性化され得る第2のUV硬化性成分と併せて形成することができる。新たな機械特性を、この形で達成することができる。別の選択肢において、溶融加工型未加硫ゴムを硫黄または過酸化物など加硫剤と混合し、FDMを介して形状を設定した後、加硫を継続する。
【0147】
IX.ブロック化構成成分および熱開裂性ブロッキング基の採用による重合性液体の二重硬化。
一部の実施形態において、固化および/または硬化工程(d)が照射工程に続いて(加熱またはマイクロ波照射によって)実行される場合、固化および/または硬化工程(d)は、固体ポリマー足場が分解して第2の成分(例えば(i)プレポリマー、(ii)ジイソシアネートもしくはポリイソシアネート、ならびに/または(iii)ポリオールおよび/もしくはジオール(第2の成分はポリウレタン/ポリ尿素樹脂の前駆体を含む)などの構成成分)の重合に必要な構成成分を形成する条件下で実行される。そのような方法は第1の成分の構成要素上にあるか、または第1の成分の構成成分に結合している反応性または非反応性のブロッキング基を使用することと関係する場合があり、その結果、構成成分は第1の硬化事象または固化事象に参加し、脱保護された場合(遊離構成成分および遊離ブロッキング基または遊離ブロッキング剤を生じる)、第2の硬化事象または固化事象に参加し得る遊離構成成分を生じる。そのような方法の非限定的例を、下記にてさらに記述する。
【0148】
A.ブロック化プレポリマーおよび熱開裂性ブロッキング基の採用による重合性液体の二重硬化。
本明細書における一部の「二重硬化」実施形態は、概して三次元物体の形成方法であり、該方法は
(a)キャリア、およびビルド面を有する光学的に透明な部材を用意すること(キャリアおよびビルド面が中間のビルド領域を画定する)、
(b)ビルド領域を重合性液体で充填すること(重合性液体は、ブロック化または反応性ブロック化プレポリマー、場合により、ただし一部の実施形態において好ましくは反応性希釈剤、鎖延長剤、および光開始剤の混合物を含む)、
(c)光学的に透明な部材を介してビルド領域に光を照射して(剛性、圧縮性、崩壊性、可撓性または弾性の)固体のブロック化ポリマー足場をブロック化プレポリマーおよび場合により反応性希釈剤から形成する一方、同時に、キャリアをビルド面から離れる方向に移動させて、三次元物体と同じ形状または三次元物体に付与される形状を有し、鎖延長剤を含有する三次元中間体を形成すること、そしてその後、
(d)ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマーから成る三次元物体を三次元中間体から十分に形成するよう、三次元中間体を加熱またはこれにマイクロ波照射すること(任意の特定の機構に縛られることを望むわけではないが、加熱またはマイクロ波照射は、鎖延長剤がブロック化または反応性ブロック化プレポリマーと、あるいはそれらの非ブロック化生成物と反応する原因となり得る)
を含む。
【0149】
一部の実施形態において、ブロック化または反応性ブロック化プレポリマーはポリイソシアネートを含む。
【0150】
一部の実施形態において、ブロック化または反応性ブロック化プレポリマーは式A−X−Aの化合物であり、式中、Xはヒドロカルビル基を表し、各Aは独立して選択される式Xの置換基である。
【化1】
(式中、Rはヒドロカルビル基、Zはブロッキング基を表し、ブロッキング基は場合により反応性末端基(例えばエポキシ、アルケン、アルキンなどの重合性末端基、あるいは例えばビニルエーテルなどのエチレン性不飽和末端基などのチオール末端基)を有する。)特定の一実施例において、各Aは独立して選択される式XIの置換基である。
【化2】
(式中、Rは前述のとおりである。)
【0151】
一部の実施形態において、ブロック化または反応性ブロック化プレポリマーは、少なくとも1つのジイソシアネート(例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビス−(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのジイソシアネート、トリイソシアネートなど)と少なくとも1つのポリオール(例えばポリエーテルまたはポリエステルまたはポリブタジエンジオール)との反応によって生成されるポリイソシアネートオリゴマーを含む。
【0152】
一部の実施形態において、反応性ブロック化プレポリマーは、ポリイソシアネートとアミンメタクリレートモノマーブロッキング剤(例えば第3級ブチルエミノエチルメタクリレート(TBAEMA)、第3級ペンチルエミノエチルメタクリレート(TPAEMA)、第3級ヘキシルアミノエチルメタクリレート(THAEMA)、第3級ブチルアミノプロピルメタクリレート(TBAPMA)およびこれらの混合物との反応によってブロック化される(例えば米国特許出願公開第2013/0202392号を参照されたい)。注意点として、これらはすべて希釈剤として使用することもできる。
【0153】
イソシアネート向けのブロッキング剤は多数存在する。本発明の好適な実施形態において、ブロッキング剤(例えばTBAEMA)は(例えば化学線または光から)硬化してシステムへ入り込む。当業者であれば、(メタ)アクリレート基を既知のブロッキング剤に結合させて、本発明の実行に使用できる付加的なブロッキング剤を創出することができる。さらに、当業者であれば、マレイミドまたは代替マレイミドを、本発明で使用する他の既知のブロッキング剤に対して使用することができる。
【0154】
本発明で使用するメタクリレートまたはマレイミド上で置換され得る、またはそれらに対して共有結合され得る既知のブロッキング剤の例として、フェノール型ブロッキング剤(例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、t−ブチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸エステル、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンなど)、ラクタム型ブロッキング剤(例えばε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタムなど)、活性メチレン型ブロッキング剤(例えばジエチルマロネート、ジメチルマロネート、エチルアセトアセテート、メチルアセトアセテート、アセチルアセトンなど)、アルコール型ブロッキング剤(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、t−アミルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メトキシエタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、乳酸、乳酸エステル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロモヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、ω−ヒドロパーフルオロアルコール、アセトシアンヒドリンなど)、メルカプタン型ブロッキング剤(例えばブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなど)、酸アミド型ブロッキング剤(例えばアセトアニリド、アセトアニシジンアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンザミドなど)、イミド型ブロッキング剤(例えばスクシンシミド、フタルイミド、マレイミドなど)、アミン型ブロッキング剤(例えばジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミンなど)、イミダゾール型ブロッキング剤(例えばイミダゾール、2−エチルイミダゾールなど)、尿素型ブロッキング剤(例えば尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、1,3−ジフェニル尿素など)、カルバメート型ブロッキング剤(例えばN−フェニルカルバミン酸フェニルエステル、2−オキサゾリドンなど)、イミン型ブロッキング剤(例えばエチレンイミンなど)、オキシム型ブロッキング剤(例えばホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノキシム、ベンゾフェノキシム、シクロヘキサノンオキシムなど)および硫酸塩型ブロッキング剤(例えば重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウムなど)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらのうち、好ましくはフェノール型、ラクタム型、活性メチレン型およびオキシム型のブロッキング剤が使用される(例えば米国特許第3,947,426号を参照されたい)。
【0155】
一部の実施形態において、反応性希釈剤はアクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリル酸、ビニルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル(これらの誘導体を含む)、これらのうち1つ以上を含有するポリマー、およびこれらのうち2つ以上の組み合わせを含む(例えば前述のとおりアクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、アミンメタクリレート、およびこれらのうち2つ以上の任意の混合物)(例えば米国特許出願公開第2014/0072806号を参照されたい)。
【0156】
一部の実施形態において、鎖延長剤は少なくとも1つのジオール、ジアミンまたはジチオール鎖延長剤(例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、これらの相当するジアミンおよびジチオール類似物、リシンエチルエステル、アルギニンエチルエステル、p−アラニンベースジアミン、ならびに少なくとも1つのジイソシアネートおよび少なくとも1つのジオール、ジアミンまたはジチオール鎖延長剤から製造されたランダムコポリマーまたはブロックコポリマー、例えば米国特許出願公開第2014/0010858号を参照されたい)を含む。同じく注意点として、ジカルボン酸を鎖延長剤として使用する場合、ポリエステル(またはカルバメート−カルボン酸無水物)が生成される。
【0157】
一部の実施形態において、重合性液体は
5または20または40重量パーセント〜60または80または90重量パーセントのブロック化または反応性ブロック化プレポリマーと、
10または20重量パーセント〜30または40または50重量パーセントの反応性希釈剤と、
5または10重量パーセント〜20または30重量パーセントの鎖延長剤と、
0.1または0.2重量パーセント〜1、2または4重量パーセントの光開始剤と
を含む。上記にて詳述のとおり、場合により付加的な成分、例えば色素、充填剤(例えばシリカ)、活性剤なども含まれ得る。
【0158】
本発明の一部の実施形態における1つの優位性は、これらの重合性液体は混合後に急速に重合するわけではないことから、重合性液体を事前に調合し、単一の供給原(例えば予め混合された形態の重合性液体を格納する単一のリザーバー)から重合性液体をビルド領域へ供給することによって充填工程を実行することができ、その結果、別々のリザーバーおよび混合能力を提供するために装置を改造する必要性を未然に防ぐことができるという点にある。
【0159】
該プロセスによって製造される三次元物体は、一部の実施形態において、崩壊性または圧縮性である(つまり、弾性である(例えば室温でのヤング率が約約0.001、0.01もしくは0.1ギガパスカル〜約1、2もしくは4ギガパスカルであり、および/または室温での最大荷重時の引張強度が約0.01、0.1、もしくは1ギガパスカル〜約50、100、もしくは500メガパスカルであり、および/または室温での破壊時伸長率が約10、20、50もしくは100パーセント〜1000、2000、もしくは5000パーセント以上である))。
【0160】
ブロック化反応性プレポリマーの調製の付加的な一例を下図に示す。
【化3】
a 比率および生成物分割は触媒に依存し、すなわち亜鉛オクトエートは低速で、II型尿素が主体で、Sn
+2は比較的高速に混合する。
【0161】
上記と同様の化学反応を用いて、反応性ブロック化ジイソシアネート、反応性ブロック化鎖延長剤、または反応性ブロック化プレポリマーを形成することができる。
【0162】
熱開裂性末端基を採用する二重硬化システムの非限定的な一例を、
図25Aおよび下図に示す。
【化4】
如何なる基礎的機構に縛られることも望むわけではないが、一部の実施形態において、熱硬化中、ブロッキング剤が開裂し、ジイソシアネートプレポリマーが再形成され、鎖延長剤または付加的な軟質セグメントと素早く反応して、以下のとおり、熱可塑性または熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))を形成する。
【化5】
下記のセクションBに記載のような代替的機構を実施するか、または関与させることもできる。
【0163】
上図において、二重硬化樹脂はUV硬化性(メタ)アクリレートブロック化ポリウレタン(ABPU)、反応性希釈剤、光開始剤、および鎖延長剤で構成される。反応性希釈剤(10〜50重量%)はアクリレートまたはメタクリレートであり、これはABPUの粘度低減に役立ち、UV照射を受けるとABPUと共重合される。光開始剤(一般的に約1重量%)は通常使用されるUV開始剤のうちいずれか1つでよく、例としてアセトフェノン(例えばジエトキシアセトフェノン)、ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(PPO)、Irgacure 369などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0164】
ブロック化ポリウレタンオリゴマーを足場として有し、鎖延長剤を担持する中間形状の生産物を形成するためのUV硬化の後、ABPU樹脂を熱硬化処理し、その間、高分子量ポリウレタン/ポリ尿素が、ポリウレタン/ポリ尿素と鎖延長剤との間での自然反応によって形成される。ポリウレタン/ポリ尿素オリゴマーは、適切な鎖延長剤によるTBAEMA、N−ビニルホルムアミド(NVF)などの非ブロック化または置換のいずれかによる置換を通じ、適切な鎖延長剤と反応し得る。必要な熱硬化時間は生産物の温度、サイズ、形状および密度に応じて変動し得るが、典型的に特定のABPUシステム、鎖延長剤および温度に応じて1〜6時間の範囲である。
【0165】
上記における1つの有利な態様は、合成されたポリウレタン/ポリ尿素オリゴマーを両端でイソシアネートを使用して末端化するための、第3級アミン含有メタクリレート(例えばt−ブチルアミノエチルメタクリレート(TBAEMA))を使用することである。イソシアネートを使用してポリウレタン/ポリ尿素オリゴマーを末端化するための、ヒドロキシ基を含有するアクリレートまたはメタクリレートの使用は、コーティング分野でのUV硬化性樹脂において用いられる。イソシアネートとヒドロキシル基との間における形成後のウレタンの結合は一般的に、高温時でも安定している。本発明の実施形態において、TBAEMAの第3級アミンとオリゴマーのイソシアネートとの間に形成される尿素結合は、適切な温度(例えば約100℃)にまで加熱されると不安定になってイソシアネート基を再生成し、これが熱硬化過程で鎖延長剤と反応して高分子量ポリウレタン(PU)を形成する。一般的に使用されるようなイソシアネートブロッキング官能性を含有する他の(メタ)アクリレート(例えばN−ビニルホルムアミド、ε−カプロラクタム、1,2,3−トリアゾール、メチルエチルケトキシム、ジエチルマロネートなど)の合成は可能である一方、例示的実施形態では市販されているTBAEMAを使用する。使用する鎖延長剤の例として、ジオール、ジアミン、トリオール、トリアミンまたはそれらの組み合わせなどが挙げられる。エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、メチレンジシクロヘキシルアミン(H12MDA、またはAir Products社製の商品名としてはPACM)、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6ジエチルアニリン)(MDEA)、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)(MOCA)が好適な鎖延長剤である。
【0166】
ABPUを製造する場合、TBAEMAを使用して、ジイソシアネートチップ型ポリオールから導出されるオリゴマー系ジイソシアネートのイソシアネート末端基を末端化することができる。使用するポリオール(ヒドロキシル官能性は2)はポリエステル(特にポリテトラメチレンオキシド(PTMO)、ポリプロピレングリコール(PPG))、ポリエステルまたはポリブタジエンであってもよい。これらのポリオールの分子量は500〜3000Daの範囲であってもよく、現在は1000〜2000Daが好適である。触媒(例えばスズオクトエート(ポリオールの重量に対して0.1〜0.3重量%)、他のスズ触媒またはアミン触媒)の存在下で、ジイソシアネート(例えばトルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化MDI(HMDI)など)をポリオールへ一定のモル比(2:1のモル比が好適である)で加えてポリオールの末端基(50〜100℃)をブロック化する結果、オリゴマージイソシアネートが得られる。次いでTBAEMAを反応物に添加して(注記:モル(TBAEMA)*2+モル(ポリオール)*2=モル(イソシアネート)*2)ABPUを生成する(50〜60℃の条件下)。ヒドロキノンなどの阻害剤(100〜500ppm)を使用して、反応過程でのメタクリレートの重合を阻害することができる。
【0167】
概して、前記の方法の三次元生産物は(i)線形熱可塑性のポリウレタン、ポリ尿素、もしくはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、(ii)架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、もしくはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、または(iii)これらの組み合わせ(場合により例えば相互貫入ポリマーネットワーク、半相互貫入ポリマーネットワーク、または逐次相互貫入ポリマーネットワークとして反応性希釈剤と共重合されたブロッキング基を非ブロック化したものと配合される)を含む。一部の実施形態において、三次元生産物は、三次元形成された物体中に残留している未反応の光開始剤を含む場合もある。例えば、一部の実施形態において、0.1または0.2重量パーセント〜1、2または4重量パーセントの光開始剤が三次元形成された物体中に残留しているか、あるいはより少量またはごく微量の光開始剤が存在し得る。一部の実施形態において、三次元生産物は反応後の光開始剤の断片を含む場合もある。例えば、一部の実施形態において、反応後の光開始剤の断片は、中間生産物を形成する第1の硬化の残留物である場合がある。例えば、0.1または0.2重量パーセント〜1、2または4重量パーセントの反応後の光開始剤の断片が三次元形成された物体中に残留しているか、あるいはより少量またはごく微量の反応後の光開始剤の断片が存在し得る。実施形態例において、三次元生産物は、線形熱可塑性ポリウレタン、架橋型熱可塑性ポリウレタン、未反応の光開始剤および反応後の光開始剤の全部または任意の組み合わせを含むか、これらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。
【0168】
この実施形態は上記にて主に反応性ブロッキング基に関して記載されている一方、非反応性ブロッキング基も採用され得ることが理解されることになる。
【0169】
加えて、さほど好適ではないものの、前述のプロセスはブロッキング剤を使用しなくても実行可能である一方でなお、本発明における二重硬化の方法および生産物を提供することが理解されることにもなる。
【0170】
加えて、この実施形態は主にジオールおよびジアミンの鎖延長剤に関して記述されている一方、3つ以上の反応性基を有する鎖延長剤(トリオールおよびトリアミンの鎖延長剤などのポリオールおよびポリアミンの鎖延長剤)を、架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))で構成される三次元物体に使用され得ることも理解されることになる。
【0171】
これらの材料は、本明細書に記載の継続的液体界面印刷技法などのボトムアップ積層造形技法またはその他の、前述および後述の積層造形技法において使用することができる。
【0172】
B.ブロック化ジイソシアネートおよび熱開裂性ブロッキング基の採用による重合性液体の二重硬化。
別の実施形態は、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))から成る三次元物体の形成方法を提供するものであり、該方法は
(a)キャリア、およびビルド面を有する光学的に透明な部材を用意すること(キャリアおよびビルド面が中間のビルド領域を画定する)、
(b)ビルド領域を重合性液体で充填すること(重合性液体は(i)ブロック化または反応性ブロック化ジイソシアネート、(ii)ポリオールおよび/またはポリアミン、(iii)鎖延長剤、(iv)光開始剤、ならびに(v)場合により、ただし一部の実施形態において好ましくは反応性希釈剤、(vi)場合により、ただし一部の実施形態において好ましくは顔料または色素、(vii)場合により、ただし一部の実施形態において好ましくは充填剤(例えばシリカ)を含む)、
(c)光学的に透明な部材を介してビルド領域に光を照射して固体のブロック化ジイソシアネート足場をブロック化ジイソシアネートおよび場合により反応性希釈剤から形成することと、キャリアをビルド面から離れる方向に移動させて、三次元物体と同じ形状または三次元物体に付与される形状を有し、鎖延長剤ならびにポリオールおよび/またはポリアミンを含有する三次元中間体を形成すること、そしてその後、
(d)ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))から成る三次元物体を三次元中間体から十分に形成するよう、三次元中間体を加熱またはこれにマイクロ波照射すること(例えばブロック化ジイソシアネートを十分に非ブロック化し、次いで鎖延長剤ならびにポリオールおよび/またはポリアミンと重合する非ブロック化ジイソシアネートを形成すること)
を含む。
【0173】
一部の実施形態において、ブロック化または反応性ブロック化ジイソシアネートは式A’−X’−A’の化合物であり、式中、X’はヒドロカルビル基を表し、各A’は独立して選択される式X’の置換基である。
【化6】
(式中、Rはヒドロカルビル基、Zはブロッキング基を表し、ブロッキング基は場合により反応性末端基(例えばエポキシ、アルケン、アルキンなどの重合性末端基、あるいは例えばビニルエーテルなどのエチレン性不飽和末端基などのチオール末端基)を有する。)特定の一実施例において、各A’は独立して選択される式XI’の置換基である。
【化7】
(式中、Rは前述のとおりである。)
【0174】
これらの方法における他の構成成分および工程は、上記セクション9aの記述と同様の形で実行される。
【0175】
非限定的な一例において、ブロック化ジイソシアネートは下図のとおり調製される。そのようなブロック化ジイソシアネートは、
図25Bに記載の方法で使用され得る。
【化8】
如何なる特定の基礎的機構に縛られることも望むわけではないが、一部の実施形態において、熱硬化中、ブロッキング剤が開裂し、鎖延長剤が反応して、例えば以下に示すとおり、熱可塑性または熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))を形成する。
【化9】
代替的な一機構において、鎖延長剤は、熱可塑性または熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))の形成プロセスにおいてブロック化ジイソシアネートと反応し、ブロッキング剤を排除する。
【0176】
概して、前記の方法の三次元生産物は(i)線形熱可塑性のポリウレタン、ポリ尿素、もしくはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、(ii)架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、もしくはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、または(iii)これらの組み合わせ(場合により例えば相互貫入ポリマーネットワーク、半相互貫入ポリマーネットワーク、または逐次相互貫入ポリマーネットワークとして反応性希釈剤と共重合されたブロッキング基を非ブロック化したものと配合される)を含む。一部の実施形態において、三次元生産物は、三次元形成された物体中に残留している未反応の光開始剤を含む場合もある。例えば、一部の実施形態において、0.1または0.2重量パーセント〜1、2または4重量パーセントの光開始剤が三次元形成された物体中に残留しているか、あるいはより少量またはごく微量の光開始剤が存在し得る。一部の実施形態において、三次元生産物は反応後の光開始剤の断片を含む場合もある。例えば、一部の実施形態において、反応後の光開始剤の断片は、中間生産物を形成する第1の硬化の残留物である場合がある。例えば、0.1または0.2重量パーセント〜1、2または4重量パーセントの反応後の光開始剤の断片が三次元形成された物体中に残留しているか、あるいはより少量またはごく微量の反応後の光開始剤の断片が存在し得る。実施形態例において、三次元生産物は、線形熱可塑性ポリウレタン、架橋型熱可塑性ポリウレタン、未反応の光開始剤および反応後の光開始剤の全部または任意の組み合わせを含むか、これらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。
【0177】
この実施形態は上記にて主に反応性ブロッキング基に関して記載されている一方、非反応性ブロッキング基も採用され得ることが理解されることになる。
【0178】
加えて、さほど好適ではないものの、前述のプロセスはブロッキング剤を使用しなくても実行可能である一方でなお、本発明における二重硬化の方法および生産物を提供することが理解されることにもなる。
【0179】
加えて、この実施形態は主にジオールおよびジアミンの鎖延長剤に関して記述されている一方、3種以上の反応性基を有する鎖延長剤(トリオールおよびトリアミンの鎖延長剤などのポリオールおよびポリアミンの鎖延長剤)を、架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))で構成される三次元物体に使用され得ることも理解されることになる。
【0180】
これらの材料は、本明細書に記載の継続的液体界面印刷技法などのボトムアップ積層造形技法またはその他の、前述および後述の積層造形技法において使用することができる。
【0181】
C.ブロック化鎖延長剤および熱開裂性ブロッキング基の採用による重合性液体の二重硬化。
別の実施形態は、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))から成る三次元物体の形成方法を提供するものであり、該方法は
(a)キャリア、およびビルド面を有する光学的に透明な部材を用意すること(キャリアおよびビルド面が中間のビルド領域を画定する)、
(b)ビルド領域を重合性液体で充填すること(重合性液体は(i)ポリオールおよび/またはポリアミン、(ii)ブロック化または反応性ブロック化ジイソシアネート鎖延長剤、(iii)場合により1つ以上の付加的な鎖延長剤、(iv)光開始剤、ならびに(v)場合により、ただし一部の実施形態において好ましくは反応性希釈剤、(vi)場合により、ただし一部の実施形態において好ましくは顔料または色素、(vii)場合により、ただし一部の実施形態において好ましくは充填剤(例えばシリカ)を含む)、
(c)光学的に透明な部材を介してビルド領域に光を照射して固体のブロック化ジイソシアネート鎖延長剤足場を反応性ブロック化ジイソシアネート鎖延長剤および場合により反応性希釈剤から形成することと、キャリアをビルド面から離れる方向に移動させて、三次元物体と同じ形状または三次元物体に付与される形状を有し、ポリオールおよび/またはポリアミン鎖延長剤ならびに場合により1つ以上の付加的な鎖延長剤を含有する三次元中間体を形成すること、そしてその後、
(d)ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))から成る三次元物体を三次元中間体から十分に形成するよう、三次元中間体を加熱またはこれにマイクロ波照射すること(例えばブロック化ジイソシアネート鎖延長剤を十分に非ブロック化し、次いでポリオールおよび/またはポリアミンならびに場合により1つ以上の付加的な鎖延長剤と重合する非ブロック化ジイソシアネート鎖延長剤を十分に形成する加熱またはマイクロ波照射)
を含む。
【0182】
一部の実施形態において、ブロック化または反応性ブロック化ジイソシアネート鎖延長剤は式A’’−X’’−A’’の化合物であり、式中、X’’はヒドロカルビル基を表し、各A’’は独立して選択される式X’’の置換基である。
【化10】
(式中、Rはヒドロカルビル基、Zはブロッキング基を表し、ブロッキング基は場合により反応性末端基(例えばエポキシ、アルケン、アルキンなどの重合性末端基、あるいは例えばビニルエーテルなどのエチレン性不飽和末端基などのチオール末端基)を有する。)特定の一実施例において、各A’’は独立して選択される式XI’’の置換基である。
【化11】
(式中、Rは前述のとおりである。)
【0183】
これらの方法の実行時に採用される他の構成成分および工程は、上記セクション9Aに記載のものと同じであってもよい。
【0184】
ブロック化ジオール鎖延長剤の調製の一例を下図に示す。
【化12】
【0185】
ブロック化ジアミン鎖延長剤の調製の一例を下図に示す。
【化13】
上記の材料を使用して実行される本発明の方法の一例が
図25Cに記載されている。
【0186】
本発明の如何なる基礎的機構に縛られることも望むわけではないが、一部の実施形態において、例えば以下のとおり、熱可塑性または熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))を得る必要がある場合、熱硬化中、(a)ブロック化イソシアネートキャップ型鎖延長剤が軟質セグメントと直接、および/または鎖延長剤のアミンもしくはアルコール基と反応してブロッキング剤を置換するか、あるいは(b)ブロック化イソシアネートキャップ型鎖延長剤が開裂し、イソシアネートキャップ型鎖延長剤を再形成して軟質セグメントおよび付加的な鎖延長剤と反応する。
【化14】
上記のセクションBに記載のものと同様の代替的機構を実施または採用することもできる。
【0187】
概して、前記の方法の三次元生産物は(i)線形熱可塑性のポリウレタン、ポリ尿素、もしくはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、(ii)架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、もしくはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、または(iii)これらの組み合わせ(場合により例えば相互貫入ポリマーネットワーク、半相互貫入ポリマーネットワーク、または逐次相互貫入ポリマーネットワークとして反応性希釈剤と共重合されたブロッキング基を非ブロック化したものと配合される)を含む。一部の実施形態において、三次元生産物は、三次元形成された物体中に残留している未反応の光開始剤を含む場合もある。例えば、一部の実施形態において、0.1または0.2重量パーセント〜1、2または4重量パーセントの光開始剤が三次元形成された物体中に残留しているか、あるいはより少量またはごく微量の光開始剤が存在し得る。一部の実施形態において、三次元生産物は反応後の光開始剤の断片を含む場合もある。例えば、一部の実施形態において、反応後の光開始剤の断片は、中間生産物を形成する第1の硬化の残留物である場合がある。例えば、0.1または0.2重量パーセント〜1、2または4重量パーセントの反応後の光開始剤の断片が三次元形成された物体中に残留しているか、あるいはより少量またはごく微量の反応後の光開始剤の断片が存在し得る。実施形態例において、三次元生産物は、線形熱可塑性ポリウレタン、架橋型熱可塑性ポリウレタン、未反応の光開始剤および反応後の光開始剤の全部または任意の組み合わせを含むか、これらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。
【0188】
この実施形態は上記にて主に反応性ブロッキング基(つまり、重合性成分を含有するブロッキング基)に関して記載されている一方、非反応性ブロッキング基も採用され得ることが理解されることになる。
【0189】
加えて、さほど好適ではないものの、前述のプロセスはブロッキング剤を使用しなくても実行可能である一方でなお、本発明における二重硬化の方法および生産物を提供することが理解されることにもなる。
【0190】
加えて、この実施形態は主にジオールおよびジアミンの鎖延長剤に関して記述されている一方、3種以上の反応性基を有する鎖延長剤(トリオールおよびトリアミンの鎖延長剤などのポリオールおよびポリアミンの鎖延長剤)を、架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))で構成される三次元物体に使用され得ることも理解されることになる。
【0191】
これらの材料は、本明細書に記載の継続的液体界面印刷技法などボトムアップ積層造形技法またはその他、前述および後述の積層造形技法において使用することができる。
【0192】
当業者は、本明細書に記載の方法の実行に際し、Ying and Cheng,Hydrolyzable Polyureas Bearing Hindered Urea Bonds,JACS 136,16974(2014)に記載されているようなシステムが使用され得ることを理解することになる。
【0193】
X.二重硬化性重合性液体から形成された相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)で構成される物品。
一部の実施形態において、前述のような二重硬化システムを含む重合性液体は、相互貫入ポリマーネットワークを順繰りに含む三次元物品を形成する際に有用である。この領域についてはリーハイ大学のSperlingおよびデトロイト大学のK.C.Frischおよび他の人々が指摘している。
【0194】
非限定的な実施例において、重合性液体および方法工程は、三次元物体が以下に挙げる要素を含むよう選択される。
【0195】
ゾルゲル組成物。これはアミン(アンモニア)透過性ウィンドウまたは半透過性部材を使用して実行することができる。ここで論ずるシステムにおいて、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)、エポキシ(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)、および4−アミノプロピルトリエトキシシランがフリーラジカル架橋剤に添加され、そしてプロセスにおいてフリーラジカル架橋剤が前述の反応物を重合および含有し、次いで反応物は別の工程または段階で反応させられる。反応には水および酸の存在が必要である。光酸発生剤(PAG)を場合により前述の混合物に添加して、シリカベースのネットワークの反応を促進することができる。注意点として、TEOSのみ含まれる場合、シリカ(ガラス)ネットワークが終着点となる。その場合、温度を上げて有機相を除去し、シリカ構造物を残すことができるが、このシリカ構造物は、より従来的な方法だと調製が困難であると思われる。このプロセスにより、ウレタン、官能化ポリオール、シリコーンゴムなどを含むエポキシに加え、多数の変形(様々なポリマー構造物)を調製することができる。
【0196】
疎水性−親水性IPN。以前のIPN研究には、血液適合性のほか、生物医学用部品の組織適合性の改善も目指す、疎水性−親水性ネットワークに関する事例が多数含まれていた。ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)は、親水性成分の典型例である。別の選択肢は、ポリ(エチレンオキシド)ポリオールまたはポリアミンにジイソシアネートを添加してポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))を生成し、反応システムに組み込むことである。
【0197】
フェノール系樹脂(レゾール樹脂)。フェノール系樹脂の前駆体は、フェノール系レゾール樹脂(ホルムアルデヒド末端液体オリゴマー)またはフェノール系ノボラック(ヘキサメチルテトラアミンと架橋可能なフェノール末端固体オリゴマー)のいずれかが関係する。本発明のプロセスの場合、フェノール系レゾール樹脂が検討され得る。その粘度は高い場合もあるが、アルコール(メタノールまたはエタノール)での希釈が採用され得る。その場合、フェノール系レゾール樹脂と架橋性モノマーの組み合わせにより、IPNから形成される生産物を提供し得る。フェノール系レゾール樹脂からフェノール系樹脂に至る反応は、短時間の範囲内で100℃超で発生し得る。この化学反応の一変形は、結果として生じた構造物を炭素または黒鉛へと炭化することであると思われる。炭素または黒鉛の発泡体は典型的に、フェノール系発泡体から製造され、高温での断熱に使用される。
【0198】
ポリイミド。二無水物およびジアミンに基づくポリイミドは、本発明のプロセスに対して順応性がある。この場合、反応性架橋性モノマーへ組み込まれたポリイミドモノマーが反応して、IPN構造物を生成する。ポリイミド向けに採用される二無水物はほとんどが室温で結晶質であるが、適量の揮発性溶媒を使用して液相とすることができる。適温(例えば約100℃の温度帯)での反応は、ネットワークを重合させた後のポリイミド形成を可能にする。
【0199】
導電性ポリマー。重合性液体へのアニリンおよび過硫酸塩アンモニウムの組み込みは、導電性部品の製造に使用される。反応システムの重合および酸(HCl蒸気など)での後処理の後、ポリアニリンへの重合が開始し得る。
【0200】
天然産物ベースのIPN。ヒマシ油などのトリグリセリド油に基づく多数の天然産物ベースのIPNが知られている。これらを、ジイソシアネートと併せて重合性液体に組み込むことができる。その部分の完了後、トリグリセリドをジイソシアネートと反応させて架橋ポリウレタンを形成することができる。当然、グリセロールを使用してもよい。
【0201】
逐次的IPN。この場合、成形架橋ネットワークをモノマーおよびフリーラジカル触媒(過酸化物)および場合により架橋剤で満たした後、重合する。架橋トリアクリレート系は大量のスチレン、アクリレートおよび/またはメタクリレートモノマーを吸収し、逐次的IPNの生成を可能にするはずである。
【0202】
ポリオレフィン重合。ポリオレフィン触媒(例えばメタロセン)を、架橋性反応システムに添加することができる。その部分を加圧エチレン(またはプロピレン)または組み合わせ(EPRゴムを生成する場合)に対して100℃の範囲の温度で曝露すると、適量からかなりの量のポリオレフィンを含有させることができる。エチレン、プロピレンおよびアルファオレフィンモノマーはその部分へ容易に拡散して、この温度で触媒と反応し、そして重合の進行につれ、より多くのオレフィンが触媒部位へと拡散する。多数の部分を同時に後重合することができる。
【0203】
XI.製作生産物。
A.三次元(3D)物体の例。
本発明の方法およびプロセスによって製造される三次元生産物は最終生産物、仕上がり生産物もしくは実質的仕上がり生産物であるか、または表面処理、レーザー切断、放電マシニングなど、さらなる製造工程を経ることになる中間生産物である場合もある。中間生産物は、さらなる積層造形を同じ装置または異なる装置で実行可能な対象生産物を含む。例えば、仕上がり生産物の一領域を打ち切ることを目的に、あるいは単に仕上がり生産物または「ビルド」の特定の領域が他の領域ほど脆性でないことから、重合の傾斜ゾーンを一旦中断し、その後再開することにより、進行中の「ビルド」へ意図的に分断線または開裂線を導入することができる。
【0204】
本発明の方法および装置により、多数の様々な生産物を製造することができ、例として、大縮尺の模型またはプロトタイプの両方、少量の特別生産物、小型のまたは超小型の生産物または装置などが挙げられる。例として、医療機器および埋め込み型医療機器、例えばステント、薬物送達用デポー剤、機能性構造物、微小針配列、繊維およびロッド、例えば導波管、微小機械装置、微小流体装置などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0205】
したがって、一部の実施形態において、生産物は0.1もしくは1ミリメートル〜最大10もしくは100ミリメートル以上の高さ、および/または0.1もしくは1ミリメートル〜最大10もしくは100ミリメートル以上の最大幅を有し得る。他の実施形態において、生産物は10もしくは100ナノメートル〜最大10もしくは100ミクロン以上の高さ、および/または10もしくは100ナノメートル〜最大10もしくは100ミクロン以上の最大幅を有し得る。これらは単なる例である。最大サイズおよび幅は特定のデバイスのアーキテクチャーおよび光源の分解能に依存し、実施形態または製造している物品の特定のゴールに応じて調整することができる。
【0206】
一部の実施形態において、生産物の高さ対幅の比率は少なくとも2:1、10:1、50:1、または100:1以上、あるいは幅対高さの比率は1:1、10:1、50:1、または100:1以上である。
【0207】
一部の実施形態において、下記にてさらに論ずるとおり、生産物は少なくとも1つまたは複数の、内部に形成された細孔または経路を有する。
【0208】
本明細書に記載のプロセスにより、多種多様な特性を有する生産物を製造することができる。したがって、一部の実施形態において、生産物は剛性であり、他の実施形態において生産物は可撓性または弾性である。一部の実施形態において、生産物は固体であり、他の実施形態において、生産物はヒドロゲルなどのゲルである。一部の実施形態において、生産物は形状記憶を有する(つまり、生産物は構造破壊に至る段階まで変形しない限り、変形後に以前の形状へ実質的に戻る)。一部の実施形態において、生産物は単体であり(つまり、単一の重合性液体から形成される)、一部の実施形態において、生産物は複合体である(つまり、複数の異なる重合性液体から形成される)。採用する重合性液体の選択などの要因によって特定の特性が決まる。
【0209】
一部の実施形態において、生産物または物品は少なくとも1つの張り出した特徴(または「張出部」)、例えば2つの支持体間の架橋要素、または実質的に垂直な1つの支持体から突出する片持ち型要素を有する。本発明のプロセスの一部の実施形態における一方向の連続する性質のために、各層が実質的完成に至るまで重合する場合に層間に形成される分断線または開裂線の問題、および次のパターンが露出する前に発生する実質的な時間間隔は、大幅に低減される。したがって、一部の実施形態において、該方法は、物品と同時に製作されるそのような張出部向けの支持構造数の低減または排除において、特に有利である。
【0210】
B.3D物体の構造および幾何学の例。
実施形態例において、三次元(3D)物体は、形成中に三次元物体に付与される数千または数百万の形状変化を伴って形成され得る。実施形態例において、パターン発生装置は、重合の傾斜部を経て物体が抽出されるのに応じて様々な形状を付与するために重合の傾斜部領域内で光開始剤を活性化するよう、様々なパターンの光を発生する。実施形態例において、パターン発生装置は、付与される形状を変化させるために変動可能な数百万ピクセル素子の高分解能を有し得る。例えば、パターン発生装置は、1,000もしくは2,000もしくは3,000以上の行および/または1,000もしくは2,000もしくは3,000以上の列から成るマイクロミラー、あるいはLCDパネル内に形状の変動に使用可能なピクセル数を有するDLPであってもよい。結果として、非常に繊細な変化または階調を、長さにそって物体に付与することができる。実施形態例において、これにより複雑な三次元物体を高速で、開裂線または継目のない実質的に連続する表面を持たせて形成することが可能となる。一部の実施例において、形成される物体の1mm、1cm、10cm以上の長さにわたり、または形成される物体の全長にわたり開裂線または継目を生じることなく、形成される三次元物体に百、千、万、十万または百万を超える形状変化を付与することができる。実施形態例において、物体は1秒当たり1、10、100、1000、または10000ミクロン以上の速度で、重合の傾斜部を介して、継続的に形成され得る。
【0211】
一部の実施形態において、これにより複雑な三次元(3D)物体の形成が可能となる。一部の実施形態例において、3D形成物体は複雑で射出成形不能な形状を有する。形状は射出成形または鋳造を用いて容易に形成可能な形状ではない場合がある。例えば、形状は、従来の二分割鋳型など、充填材料を注入して硬化させるための空洞を形成するよう嵌合される別々の鋳型要素によって形成可能な形状ではない場合がある。例えば、一部の実施形態において、3D形成物体は閉鎖空洞または部分開放空洞を有し、射出成形には順応できない単位セル、またはオープンセルもしくはクローズドセルの発泡体構造を繰り返すものであってもよく、数百、数千または数百万のこれらの構造物、または相互接続されたこれらの構造物のネットワークを含み得る。ただし、実施形態例において、これらの形状は、本出願に記載方法を使用して、これらの構造物を形成するための二重硬化材料および/または相互貫入ポリマーネットワークの使用を通じた広範な弾性特性、引張強度および破壊時伸長を含む広範な特性を有する形で3D形成され得る。実施形態例において、3D物体は、射出成形または他の従来技法を用いる場合に存在し得る開裂線、分割線、継目、湯口、ゲートマークまたは射出装置ピンマークを生じることなく形成され得る。一部の実施形態において、3D形成物体は、形成される物体の1mm、1cm、10cm以上にわたり、または全長にわたり成形時または他の印刷時のアーチファクト(例えば開裂線、分割線、継目、湯口、ゲートマークまたは射出装置ピンマーク)のない、連続的な表面模様(平滑、パターン化または粗面のいずれを問わない)を有し得る。実施形態例において、仕上がった3D物体において印刷プロセスから視認可能または容易に検出可能な、形成される物体の1mm、1cm、10cm以上にわたり、または全長にわたり離散的な層を生じることなく、複雑な3D物体を形成することができる。例えば、パターン発生装置によって印刷過程で付与される変動性の形状は、仕上がった3D物体において異なる層として視認可能または検出可能でない形状とすることができ、それは印刷が重合の傾斜ゾーンを通じて発生するからである(パターン発生装置から投影されるパターンを変化させて(vary)露光(exposed)するようにして、3D物体は、この重合の傾斜ゾーンから抽出(extracted)される)。このプロセスから結果的に生じる3D物体は3D印刷物体と称することができる一方、3D物体は、一部の3D印刷プロセスに付随する離散的な層または開裂線を生じることなく、継続的液体相間印刷を通じて形成され得る。
【0212】
一部の実施形態において、3D形成物体は3D物体を形成するための1つ以上の反復的な構造要素を含み得、例として、閉鎖空洞、部分閉鎖空洞、単位セルの反復またはネットワークである(または実質的にこれらに相当する)構造物、フォームセル、ケルビンフォームセルまたは他のオープンセルもしくはクローズドセルの発泡体構造物、十字型構造物、張出構造物、片持ち型構造物、微小針、繊維、へら、突起物、ピン、凹み、環、トンネル、管、殻、パネル、梁(I字型梁、U字型梁、W字型梁および円筒形梁を含む)、支柱、枕木、経路(開放、閉鎖または部分閉鎖のいずれを問わない)、導波管、三角形構造物、4面体または他のピラミッド形状、立方体、8面体、八角形プリズム、12面体、菱形30面体または他の多面体形状もしくはモジュール(ケルビン最小表面14面体、プリズムまたは他の多面体形状を含む)、五角形、六角形、八角形および他の多角形構造またはプリズム、多角形メッシュあるいは他の三次元構造が挙げられる。一部の実施形態において、3D形成物体はこれらの構造物の任意の組み合わせ、またはこれらの構造物の相互接続ネットワークを含み得る。実施形態例において、3D形成物体の構造の全部または一部が、立方(単純、体心型または面心型を含む)、正方(単純または体心型を含む)、単斜晶(単純または端心型を含む)、直方晶(単純、体心型、面心型または端心型を含む)、菱面体晶、六方晶および三斜晶の構造物を含む、ブラベー格子または単位セル構造のうち1つ以上に相当(または実質的に相当)し得る。実施形態例において、3D形成物体は、懸垂面、螺旋体、ジャイロイドもしくはリディノイド、他の三重周期最小表面(TPMS)、またはその他の、関連ファミリー(またはBonnetファミリー)もしくはSchwarz P(「原始的」)もしくはSchwarz D(「ダイアモンド」)、Schwarz H(「六角形」)もしくはSchwarz CLP(「平行線から成る交差層」)表面に由来する幾何形状、菱形格子もしくはダイアモンド型パターン、格子もしくは他のパターンもしくは構造に相当(または実質的に相当)する形状または表面を含み得る。
【0213】
実施形態例において、パターン発生装置は、重合の傾斜部へ様々な形状を高分解能で付与するために、印刷過程で迅速に変動するようプログラム化され得る。結果として、上記の構造要素をどれでも、広範な寸法および特性を持たせて形成することができ、反復あるいは他の構造要素との組み合わせにより3D物体を形成することができる。実施形態例において、3D形成物体は単一の三次元構造を含み得るか、またはこれらの構造要素を1、10、100、1000、10000、100000、もしくは1000000以上含み得る。構造要素は類似形状の反復的構造要素であるか、または異なる構造要素の組み合わせであってもよく、前述の構造要素または他の規則的形状もしくは不規則な形状のいずれであってもよい。実施形態例において、これらの構造要素はそれぞれ、構造全体にわたり少なくとも10ナノメートル、100ナノメートル、10ミクロン、100ミクロン、1ミリメートル、1センチメートル、10センチメートル、または50センチメートル以上の寸法を有するか、あるいは50センチメートル、10センチメートル、1センチメートル、1ミリメートル、100ミクロン、10ミクロン、100ナノメートルまたは10ナノメートル以下の寸法を有し得る。実施形態例において、構造全体にわたる高さ、幅または他の寸法は、約10ナノメートル〜約50センチメートル以上の範囲、またはこの範囲に含まれる任意の範囲であってもよい。本明細書で使用する場合、「この範囲に含まれる任意の範囲」とは、記載された範囲内に該当する任意の範囲を意味する。例えば、10ナノメートル〜1ミクロン、1ミクロン〜1ミリメートル、1ミリメートル〜1センチメートル、および1センチメートル〜50センチメートルまたはその他、記載された範囲に該当する任意の範囲はすべて、約10ナノメートル〜約50平方センチメートルの範囲内に含まれる。実施形態例において、構造要素はそれぞれ、約10平方ナノメートル〜約50平方センチメートル以上の範囲、またはこの範囲に含まれる任意の範囲内の3D物体の容積を形成し得る。実施形態例において、構造要素はそれぞれ、約10ナノメートル〜約50センチメートル以上の範囲、またはこの範囲に含まれる任意の範囲内で空洞または中空領域または隙間にまたがる寸法を有する構造要素の表面の間に空洞または中空領域または隙間を形成し得るか、あるいは約10平方ナノメートル〜約50平方センチメートル以上の範囲、またはこの範囲に含まれる任意の範囲内で3D形成物体の拡がりの範囲内の容積を定義し得る。
【0214】
構造要素は、3D形成物体とおおよそ同じサイズであるか、または3D形成物体の容積全体にわたりサイズが変動してもよい。サイズは3D形成物体の1つの側から別の側にかけて(漸進的または段階的に)増減し得るか、あるいは形状が異なる要素が規則的なパターンまたは不規則なパターンで混在し得る(例えば、発泡体全体にわたりサイズが変動するオープンセルおよび/またはクローズドセルの空洞が混在する3D弾性発泡体)。
【0215】
一部の実施形態において、3D形成物体は、張出部、架橋要素もしくは非対称形を伴う不規則な形状を有するか、または別段に、形成される方向の重心がずれた状態であってもよい。例えば、3D形成物体は非対称形であってもよい。実施形態例において、3D形成物体は任意の軸を中心とする回転対称を有していないか、または単一の軸のみを中心とする回転対称を有するものであってもよい。実施形態例において、3D形成物体は、3D形成物体を通る任意の面を中心とする反射対称を有していないか、または単一の面のみを中心とする反射対称を有するものであってもよい。実施形態例において、3D形成物体は重心がずれていてもよい。例えば、3D形成物体の重心は物体の位置的中心になくてもよい。一部の例において、重心は物体の任意の中心軸に沿った位置になくてもよい。例えば、3D形成物体は一般的に足の輪郭を辿る靴底または中敷きであってもよい。靴底または中敷きは、右方向または左方向へ傾斜し、踵とつま先とで幅が異なっていてもよい。結果として、この例における3D形成物体は、横方向または前後方向の反射対称を有さないことになる。ただし、均等に平坦な靴底または中敷きであれば、上下方向の反射対称を有し得る。他の例では、靴底または中敷きは片側が平坦で、他の側では足のアーチに対応する輪郭であってもよく、結果として、上下方向にも反射対称を有しないことになる。着用、装具または身体構造の形状または器具向けの他の3D形成物体も同様に、非対称および/または重心がずれた状態であってもよい。例えば、歯科用鋳型または歯科用インプラント向けの3D形成物体は実質的に歯の形状と一致し得、任意の面を中心とする反射対称を有していなくてもよい。別の例では、着用器具向けに3D形成された構成要素は実質的に身体部分の形状と一致し、相応に非対称形であってもよく、例として右脚または左脚の輪郭に合わせたすね当てなどの競技用衣類、あるいは硬質のすね当てまたはヘルメットまたは他の着用構成要素と人間の身体との間に使用する発泡体パッドまたは挿入物が挙げられる。これらは単なる例であり、数え切れないほどの3D形成物体が非対称および/または重心がずれた状態であってもよい。実施形態例において、著しい非対称または突出要素(アーム、架橋要素、片持ち型要素、ブラシ繊維など)が存在し、望ましい構造要素が弾性となる場合、3D印刷過程またはその後の硬化過程で変形が生じる可能性がある。例えば、大量の非UV硬化性弾性樹脂材料が含まれる場合、最終硬化の前に重力が原因で変形が生じ得る。3D印刷過程で(二重硬化プロセスにおける初期硬化から)UV硬化性材料から形成される足場は形状の固定に役立つ一方、大幅に非対称または突出する形状を有する一部の弾性組成物は変形の影響を受けやすくなり得る。一部の実施形態例において、組成物中のUV硬化性材料は、変形を避けるために、より剛性の足場を形成するよう調整され得る。他の実施形態例において、形状が非対称および/または重心がずれている物体をペア形式(または他の組み合わせ)で形成し、後で除去されるコネクターを使用してもよく、特に、3D形成物体または突起要素が比較的長い場合がそうである。一例において、弾性3D物体は長さに沿って形成され、非対称形で、重心がずれた状態であり、および/または長さの10%、20%、30%、40%、もしくは50%以上の突起要素が横断する状態であってもよい。例えば、3D形成物体は長さが約1cm〜50cm以上の範囲、またはこの範囲に含まれる任意の範囲であってもよく、横方向に非対称であるか、または約1cm〜50cm以上の範囲、もしくはこの範囲に含まれる任意の範囲の突起要素を有していてもよい。一実施形態例において、これらの物体を複数、弾性材料が硬化して物体が分離されるまで、横方向の要素または突起要素の支持を提供する形で一体的に形成することができる。例えば、2つの靴底を、形成過程で互いに支持を提供するようにペアとして(例えば、靴底の間に小型の着脱式コネクターを使用して、回転および反転される靴底を一体的に形成する)形成することができる(例えば長さ方向に形成する場合)。他の実施形態例において、他の支持構造を形成し、弾性材料の硬化後に除去してもよい。
【0216】
C.3D物体の材料および組成の例。
実施形態例において、3D形成物体は上記の形状または構造のいずれかを有し得、(i)線形熱可塑性のポリウレタン、ポリ尿素、もしくはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、(ii)架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、もしくはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、および/または(iii)これらの組み合わせ(場合により例えば相互貫入ポリマーネットワーク、半相互貫入ポリマーネットワーク、または逐次相互貫入ポリマーネットワークとして反応性希釈剤と共重合されたブロッキング基を非ブロック化したものと配合される)、および/または(iv)光開始剤(未反応の光開始剤および/または反応後の光開始剤の断片を含む)を含むか、あるいはこれらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。
【0217】
一部の実施形態例において、シリコーンゴム3D物体が形成され得る。
【0218】
1.シリコーンポリウレタン、ポリ尿素、またはポリ(ウレタン−尿素)。前述のポリウレタンの例のいずれにおいても、シリコーンまたはポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)を、これらの材料の形成過程で軟質セグメントとして使用することができる。例えば、メタクリレート官能性ABPUは、PDMSウレタンプレポリマーを形成するための、オリゴマー系PDMSジオールまたはジアミンと、ジイソシアネートの2つの同等物との第1の反応によって形成され得る。この材料をさらにTBAEMAまたはその他の本明細書に記載の反応性ブロッキング剤と反応させて反応性ブロック化PDMSプレポリマーを形成することができ、そしてこれを上記の例に記載のような鎖延長剤および反応性希釈剤と配合することができる。
【0219】
2.シリコーン相互貫入ポリマーネットワーク。一部の実施形態において、この材料は二分割式熱硬化性PDMSオリゴマーシステムと配合されるUV硬化性PDMSオリゴマーを含むか、これで構成されるか、または本質的にこれで構成される。
【0220】
実施形態例において、3D形成物体は、上記の形状または構造のいずれかを有し得、
(i)プラチナ触媒ヒドロシリル化、スズ触媒凝縮化学反応、もしくは過酸化物開始型化学反応によって硬化する熱硬化性シリコーンまたはPDMSネットワーク、
(ii)硬化前にシリコーン熱硬化性オリゴマーと混和可能なUV硬化性反応性希釈剤(例えばアクリレート官能性PDMSオリゴマー)、
(iii)これらの組み合わせ(場合により例えば相互貫入ポリマーネットワーク、半相互貫入ポリマーネットワーク、または逐次相互貫入ポリマーネットワークとして反応性希釈剤と配合される)、および/または
(iv)光開始剤(未反応の光開始剤および/または反応後の光開始剤の断片を含む)
を含むか、あるいはこれらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。
【0221】
一実施形態例において、THINKY(商標)ミキサーを使用して、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(PPO)をイソボルニルアクリレート(IBA)中に溶解させる。メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(DMS−R31、Gelest社製)を溶液に添加し、続いてSylgardのA剤およびB剤(Corning PDMS前駆体)を添加し、次いでさらにTHINKY(商標)ミキサーを使用して混合して均一な溶液を生成する。溶液を前述の装置に入れ、そして前述の紫外光硬化によって三次元中間体を生成する。次いで三次元中間体を100℃で12時間掛けて熱硬化させて、最終のシリコーンゴム生産物を生成する。
【0222】
3.エポキシ相互貫入ネットワーク。一部の実施形態例において、エポキシ3D物体が形成され得る。実施形態例において、3D形成物体は、上記の形状または構造のいずれかを有し得、
(i)ジエポキシドとジアミンとの反応によって硬化する熱硬化性エポキシネットワーク(場合により例えばポリ官能性アミン、酸(および酸無水物)、フェノール、アルコール、およびチオールなど、共反応物も含まれ得る)、
(ii)硬化前にエポキシ熱硬化性前駆体と混和可能なUV硬化性反応性希釈剤、
(iii)これらの組み合わせ(場合により例えば相互貫入ポリマーネットワーク、半相互貫入ポリマーネットワーク、または逐次相互貫入ポリマーネットワークとして反応性希釈剤と配合される)、および/または
(iv)光開始剤(未反応の光開始剤および/または反応後の光開始剤の断片を含む)
を含むか、あるいはこれらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。
【0223】
一実施形態例において、10.018gのEpoxAcast 690樹脂のA剤および3.040gのB剤を、THINKY(商標)ミキサーを使用して混合する。次いで3.484gを3.013gのRKP5−78−1、すなわちSartomer CN9782/N−ビニルピロリドン/ジエチレングリコールジアクリレートの65/22/13の混合物と混合して透明な配合物を生成し、これをDymax紫外光ランプの下で硬化させて、弾性3D物体を生成する。
【0224】
第2の実施形態例において、上記のエポキシ3.517gを含有するRKP11−10−1と、3.508gのRKP5−90−3と、Sartomer CN2920/N−ビニルカプロラクタム/N−ビニルピロリドン/PPO開始剤の65/33/2/0.25の混合物とを同様に硬化させて、可撓性の3D物体を形成する。
【0225】
一部の実施形態例において、3D形成物体は前述のとおり、ゾルゲル組成物、疎水性または親水性の組成物、フェノール系レゾール樹脂、シアネートエステル、ポリイミド、導電性ポリマー、天然産物ベースのIPN、逐次IPNおよびポリオレフィンを含み得る。
【0226】
実施形態例において、3D形成物体は、上記の形状または構造のいずれかを有し得、3D形成物体において引張強度もしくは他の変動性特性が異なる様々な領域に複数の異なる材料を含むか、またはこれらで構成されるか、または本質的にこれらで構成され得る。実施形態例において、様々な材料を前述の材料のいずれかから選択することができる。一部の実施形態例において、生産物の製作プロセスを一時停止または1回以上中断して、重合性液体を変更することができる。実施形態例において、3D形成物体は、下記にて詳述するとおり、引張強度が異なる複数の材料(例えば熱可塑性もしくは熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー、あるいはシリコーンゴムまたはエポキシまたはこれらの組み合わせであってもよい)を含み得る。中断によって分断線または分断面が中間体に形成され得るが、後続の重合性液体が第2の硬化材料中で第1の硬化材料と反応する場合、中間体において明確に異なる2つのセグメントが(例えば加熱またはマイクロ波照射により)第2の硬化過程で交差反応し、互いに共有結合することになる。したがって、例えば、本明細書に記載の任意の材料を逐次的に変更して、引張特性が異なる複数の明確に異なるセグメントを有する一方でなお、互いに共有結合された異なるセグメントを有する単一の生産物を形成することができる。
【0227】
実施形態例において、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、あるいはシリコーンゴムまたはエポキシまたはこれらの組み合わせは、重量で3D形成物体の大部分を含み得、3D形成物体の50、60、70、80または90重量パーセント超を含み得る。実施形態例において、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))、あるいはシリコーンゴムまたはエポキシまたはこれらの組み合わせは、相互貫入ポリマーネットワーク、半相互貫入ポリマーネットワーク、または逐次相互貫入ポリマーネットワークを含むか、あるいはこれらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。
【0228】
(i)熱可塑性もしくは熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))の例。実施形態例において、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))は、重量で3D形成物体の大部分を含み得、3D形成物体の50、60、70、80または90重量パーセント超を含み得る。
【0229】
実施形態例において、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))は、熱可塑性もしくは熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))を含むか、あるいはこれらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。実施形態例において、線形熱可塑性もしくは架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))は、重量で3D形成物体の大部分を含み得、3D形成物体の50、60、70、80または90重量パーセント超を含み得る。
【0230】
実施形態例において、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))は、(i)線形エチレン性不飽和ブロッキングモノマーを、反応性希釈剤を使用してコポリマー化したもの、および(ii)線形熱可塑性もしくは架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))から成るポリマーブレンドを含むか、あるいはこれらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。実施形態例において、ポリマーブレンドは、重量で3D形成物体の大部分を含み得、3D形成物体の50、60、70、80または90重量パーセント超を含み得る。実施形態例において、線形熱可塑性もしくは架橋型のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))は、線形ポリ(メタ)アクリレートを含むか、またはこれで構成されるか、または本質的にこれで構成され得る。
【0231】
実施形態例において、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))は、エチレン性不飽和モノマーおよび架橋型または線形のポリウレタンの相互貫入ポリマーネットワーク、半相互貫入ポリマーネットワーク、または逐次相互貫入ポリマーネットワークを含むか、あるいはこれらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。実施形態例において、エチレン性不飽和モノマーおよび架橋型ポリウレタンのネットワークは、重量で3D形成物体の大部分を含み得、3D形成物体の50、60、70、80または90重量パーセント超を含み得る。実施形態例において、線形熱可塑性もしくは架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))は、架橋型ポリ(メタ)アクリレートを含むか、またはこれで構成されるか、または本質的にこれで構成され得る。
【0232】
実施形態例において、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))は、エチレン性不飽和モノマーおよび線形熱可塑性または架橋型熱硬化性のポリウレタンの相互貫入ポリマーネットワーク、半相互貫入ポリマーネットワーク、または逐次相互貫入ポリマーネットワークを含むか、あるいはこれらで構成されるか、あるいは本質的にこれらで構成され得る。実施形態例において、エチレン性不飽和モノマーおよび線形熱可塑性または架橋型熱硬化性のポリウレタンのネットワークは、重量で3D形成物体の大部分を含み得、3D形成物体の50、60、70、80または90重量パーセント超を含み得る。実施形態例において、線形熱可塑性もしくは架橋型熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマー(例えばポリ(ウレタン−尿素))は、線形ポリ(メタ)アクリレートを含むか、またはこれで構成されるか、または本質的にこれで構成され得る。
【0233】
一部の実施形態例において、3D形成物体は前述のとおり、ゾルゲル組成物、疎水性または親水性の組成物、フェノール系レゾール樹脂、シアネートエステル、ポリイミド、導電性ポリマー、天然産物ベースのIPN、逐次IPNおよびポリオレフィンを含み得る。
【0234】
(ii)光開始剤および光開始剤の断片の例。実施形態例において、3D形成物体は、3D形成物体中に残留している未反応の光開始剤を含む場合もある。例えば、一部の実施形態において、0.1または0.2重量パーセント〜1、2または4重量パーセントの光開始剤が三次元形成された物体中に残留しているか、あるいはより少量またはごく微量の光開始剤が存在し得る。一部の実施形態において、三次元生産物は反応後の光開始剤の断片を含む場合もある。例えば、一部の実施形態において、反応後の光開始剤の断片は、中間生産物を形成する第1の硬化の残留物である場合がある。例えば、0.1または0.2重量パーセント〜1、2または4重量パーセントの反応後の光開始剤の断片が三次元形成された物体中に残留しているか、あるいはより少量またはごく微量の反応後の光開始剤の断片が存在し得る。
【0235】
実施形態例において、システムが部分的に、UV光に対する曝露によって重合され得るモノマーおよびオリゴマーで構成されることから、最終生産物は光開始剤分子および光開始剤の断片の残留物を含有することになる。
【0236】
一部の実施形態例において、光重合は以下に概要を記す変換を経ることになる。第1工程、すなわち開始工程において、UV光が開始剤を開裂し、活性ラジカルの断片が生じる。これらの活性ラジカルの断片は引き続き、モノマー基「M」と反応する。伝播工程中、活性モノマーは、増大中のポリマー鎖に付帯する付加的モノマーと反応する。最後に、再結合または不均化のいずれかにより、末端化が発生し得る。
【0238】
実施形態例において、本明細書に概要が記されるプロセスによって生成される3D形成物体は、物体生成後、
(1)潜在的な未反応の光開始剤(光開始剤は光重合過程で100%消費されることがほとんどないため、生産物は典型的に固体物体全体にわたり埋没した状態の未反応の光開始剤を含有することになる)、
(2)ポリマーネットワークに共有結合的に付帯する光開始剤副産物、
これらの化学生成物を含有し得る。
【0239】
実施形態例において、光開始剤は以下を含み得る。
【0240】
(a)ベンゾイル発色団ベースの成分。これらのシステムは
【化15】
(式中、「R」はH、O、C、N、Sなど、任意の数の他の原子を表す)
の形態を取る。これらの開始剤は開裂して、
【化16】
(式中、●はフリーラジカルを表す)
を形成する。これらの成分はいずれも重合開始へと進行し得るため、ポリマーネットワークへ共有結合されることになる。
【化17】
【0241】
そのような開始剤の一例を以下に示す。
【化18】
【0242】
(b)モルホリノおよびアミノケトン。これらのシステムは
【化19】
(式中、「R」はH、O、C、N、Sなど、任意の数の他の原子を表す)
の形態を取る。これらの開始剤は開裂して、
【化20】
(式中、●はフリーラジカルを表す)
を形成する。これらの成分はいずれも重合開始へと進行し得るため、ポリマーネットワークへ共有結合されることになる。
【化21】
【0243】
そのような開始剤の一例を以下に示す。
【化22】
【0244】
(c)ベンゾイルホスフィンオキシド。これらのシステムは
【化23】
(式中、「R」はH、O、C、N、Sなど、任意の数の他の原子を表す)
の形態を取る。これらの開始剤は開裂して、
【化24】
(式中、●はフリーラジカルを表す)
を形成する。これらの成分はいずれも重合開始へと進行し得るため、ポリマーネットワークへ共有結合されることになる。
【化25】
【0245】
そのような開始剤の一例を以下に示す。
【化26】
【0246】
(d)アミン。多数の光開始剤を、アミンと組み合わせて使用することができる。この場合、励起された状態の光開始剤は水素原子をアミンから抽出し、その結果、活性ラジカルを生成する役割を果たす。このラジカルは開始剤の重合へと進行し得るため、形成されたポリマーネットワークに組み込まれる状態となる。このプロセスの概要を以下に記す。
【化27】
【0247】
これらの活性種はいずれも活性ポリマー鎖の形成へと進行し、その結果、下記の構造となり得る。
【化28】
【0248】
(e)他のシステム。そのような材料の生成に使用され得るために、形成されたポリマーネットワークへ共有結合的に付帯する断片を生じることになる光開始剤のその他の種類の例として、トリアジン、ケトン、過酸化物、ジケトン、アジド、アゾ誘導体、ジスルフィド誘導体、ジシラン誘導体、チオール誘導体、ジセレニド誘導体、ジフェニルジテルリド誘導体、ジゲルマン誘導体、ジスタンナン誘導体、炭素−ゲルマニウム化合物、炭素−シリコン誘導体、硫黄−炭素誘導体、パーエステル、バートンエステル誘導体、ヒドロキサム酸およびチオヒドロキサム酸およびエステル、有機ボレート、有機金属化合物、チタノセン、クロム錯体、アルマイト錯体、炭素−硫黄または硫黄−硫黄イニファーター錯体、オキシアミン、アルデヒド、アセタール、シラン、リン含有化合物、ボラン錯体、チオキサントン誘導体、クマリン、アントラキノン、フルオレノン、フェロセニウム塩が挙げられる。
【0249】
(f)検出。硬化後のポリマー物体中における光開始剤断片の固有の化学的指紋の検出は、多数の分光技法によって達成され得る。単独または組み合わせによる有用な特定の技法の例としてUV−Vis分光法、蛍光分光法、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、質量分析法、原子吸光分光法、ラマン分光法、およびX線光電子分光法が挙げられる。
【0250】
D.3D物体の特性の例。
3D形成物体の構造特性は、3D物体に広範な特性を持たせられるよう、3D物体の形成に使用する材料の特性と併せて選択することができる。本出願において前述の二重硬化の材料および方法は、広範な3D物体を形成する上で望ましい材料特性を有する複雑な形状の形成に使用することができる。
【0251】
一部の実施形態において、3D形成物体は剛性であり、例えば約800〜3500の範囲もしくはこれに含まれる任意の範囲のヤング率(MPa)、約30〜100もしくはこれに含まれる任意の範囲の引張強度(MPa)、および/または約1〜100もしくはこれに含まれる任意の範囲の破壊時伸長率を有し得る。そのような剛性3D形成物体の非限定的な例として、ファスナー、電子機器ハウジング、歯車、プロペラ、インペラ、ホイール、機械装置ハウジング、工具および他の剛性3D物体が挙げられる。
【0252】
一部の実施形態において、3D形成物体は半剛性であり、例えば約300〜2500の範囲もしくはこれに含まれる任意の範囲のヤング率(MPa)、約20〜70もしくはこれに含まれる任意の範囲の引張強度(MPa)、および/または約40〜300もしくは600もしくはこれに含まれる任意の範囲の破壊時伸長率を有し得る。そのような剛性3D形成物体の非限定的な例として、構造要素、蝶番(生体蝶番を含む)、ボートおよび船舶の船体および甲板、ホイール、瓶、甕および他の容器、管、液体チューブおよびコネクターならびに他の半剛性3D物体が挙げられる。
【0253】
一部の実施形態において、3D形成物体は弾性であり、例えば約0.5〜40の範囲もしくはこれに含まれる任意の範囲のヤング率(MPa)、約0.5〜30もしくはこれに含まれる任意の範囲の引張強度(MPa)、および/または約50〜1000もしくはこれに含まれる任意の範囲の破壊時伸長率を有し得る。そのような剛性3D形成物体の非限定的な例として、靴底、ヒール、中敷きおよびミッドソール、ブッシュおよびガスケット、クッション、電子機器ハウジングならびに他の弾性3D物体が挙げられる。
【0254】
実施例18−61に、前述のような弾性から半剛性、さらに可撓性に至る範囲の様々な引張特性を有するポリウレタン生産物の形成向けの材料が記載されている。
【0255】
一部の実施形態例において、生産物の製作プロセスを一時停止または1回以上中断して、重合性液体を変更することができる。実施形態例において、3D形成物体は、引張強度が異なる複数の材料(例えば熱可塑性もしくは熱硬化性のポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのコポリマーであってもよい)を含み得る。中断によって分断線または分断面が中間体に形成され得るが、後続の重合性液体が第2の硬化材料中で第1の硬化材料と反応する場合、中間体において明確に異なる2つのセグメントが(例えば加熱またはマイクロ波照射により)第2の硬化過程で交差反応し、互いに共有結合することになる。したがって、例えば、本明細書に記載の任意の材料を逐次的に変更して、引張特性が異なる複数の明確に異なるセグメントを有する一方でなお、互いに共有結合された異なるセグメントを有する単一の生産物を形成することができる。一部の実施形態例において、3D物体は、材料および特性が異なる複数の領域を有する形で形成され得る。例えば、3D形成物体は、約30〜100もしくはこれに含まれる任意の範囲の引張強度(MPa)を有する第1の材料もしくは1つ以上の材料から成る第1の材料群から形成される1つ以上の領域、および/または約20〜70もしくはこれに含まれる任意の範囲の引張強度(MPa)を有する第2の材料もしくは1つ以上の材料から成る第2の材料群から形成される1つ以上の領域、および/または約0.5〜30もしくはこれに含まれる任意の範囲の引張強度(MPa)を有する第3の材料または1つ以上の材料から成る第3の材料群から形成される1つ以上の領域、あるいはこれらの任意の組み合わせを有し得る。例えば、3D物体は前述の材料および引張強度のいずれかから選択され、引張強度が異なる1〜10以上(またはこれに含まれる任意の範囲)の異なる領域を有し得る。例えば蝶番は、三次元中間体の形成過程で重合性液体を(例えば上記の実施例19−60に記載のものの中から)逐次的に変更することにより、剛性セグメントを含む蝶番を第2の弾性セグメントに結合し、さらに第3の剛性セグメントに結合する形で形成することができる。衝撃吸収装置または振動減衰装置も同様に、第2セグメントを弾性または半剛性とする形で形成することができる。単一の剛性ファンネルおよび可撓性ホースアセンブリーも同様の形で形成することができる。
【0256】
E.3D物体の付加的な例。
上記の方法、構造物、材料、組成物および特性を使用して、事実上無限の数の生産物を3D印刷することができる。例として、医療機器および埋め込み型医療機器、例えばステント、薬物送達用デポー剤、カテーテル、膀胱、豊胸インプラント、睾丸インプラント、胸部インプラント、眼球インプラント、コンタクトレンズ、歯列矯正器具、微小流体工学用具、シール、被覆物ならびにその他、高い生体適合性を要する用途、機能的構造物、微小針配列、繊維、ロッド、導波管、微小機械装置、微小流体装置、ファスナー、電子機器ハウジング、歯車、プロペラ、インペラ、ホイール、機械装置ハウジング、工具、構造要素、蝶番(生体蝶番を含む)、ボートおよび船舶の船体および甲板、ホイール、瓶、甕および他の容器、管、液体チューブおよびコネクター、靴底、ヒール、中敷きおよびミッドソール、ブッシュ、Oリングおよびガスケット、衝撃吸収装置、ファンネル/ホースアセンブリー、クッション、電子機器ハウジング、すね当て、競技用帽子、ヒザパッド、ヒジパッド、発泡体ライナー、パッドおよび挿入物、ヘルメット、ヘルメットのストラップ、ヘッドギア、靴の滑り止め具、手袋、他の着用具または競技用具、ブラシ、櫛、指輪、宝飾品、ボタン、スナップ、ファスナー、時計バンドまたは時計ハウジング、携帯電話機またはタブレットのケーシングまたはハウジング、コンピューターキーボードまたはキーボードのボタンまたは部品、遠隔制御装置のボタンまたは部品、自動車のダッシュボード部品、ボタン、ダイヤル、自動車車体部品、パネリング、他の自動車、航空機または船舶用の部品、調理器具、耐熱皿、台所用品、スチーマーならびにその他、数え切れないほどの3D物体が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。形成され得る有用な3D生産物の世界は、弾性特性を含む広範な形状および特性を、継続的液体相間印刷を使用して形状を固定できる二重硬化など、多様な硬化方法の使用を通じて付与する能力によって大きく広げることができ、後続の熱硬化または他の硬化を用いて、弾性または他の望ましい特定を提供することができる。前述の構造物、材料および特性をどれでも組み合わせて、前述の3D形成生産物を含め、3D物体を形成することができる。これらは単なる例であり、他にも数え切れないほどの3D物体を、本明細書に記載の方法および材料を使用して形成することができる。
【0257】
XII.代替的な方法および装置。
本発明は、上記および下記にて詳述のとおり、好ましくは継続的液体相間/界面重合によって実行される一方、一部の実施形態において、積層造形を含め、ボトムアップ製作向けに代替的な方法および装置を使用することができる。そのような方法および装置の例として、Hullの米国特許第5,236,637号、Johnの米国特許第7,438,846号、El−Siblaniの米国特許第8,110,135号、Joyceの米国特許出願公開第2013/0292862号およびChen et al.の米国特許出願公開第2013/0295212号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの特許および出願の開示は全体が、ここに引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0258】
本発明を実行する際に使用され得る要素および特徴について、PCT出願第PCT/US2014/015486号(米国特許出願第2015/0102532号としても公開)、同第PCT/US2014/015506号(米国特許出願第2015/0097315号としても公開)、同第PCT/US2014/015497号(米国特許出願第2015/0097316号としても公開)、ならびにJ.Tumbleston,D.Shirvanyants,N.Ermoshkin et al.,Continuous liquid interface production of 3D Objects,Science 347,1349−1352(2015年3月16日にオンライン公開)に説明が記載されている。
【0259】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに詳しく説明する。
【0260】
[実施例1]
高アスペクト比の張力調整式ビルトプレートアセンブリー
図6は本発明の3インチ×16インチの「高アスペクト比」長方形ビルドプレート(または「ウィンドウ」)アセンブリーの上面図、
図7は同アセンブリーの分解図であり、フィルムの寸法は3.5インチ×17インチである。
図8の側方断面図に記載のとおり、バットリングおよびフィルムベースの内径と比べ、フィルム自体のサイズが大きいことにより、フィルムの周囲または円周フランジ部分をバットリングとフィルムベースとの間に挟んで固定することができる。バットリングとフィルムベースとの間でポリマーフィルムを整列しやすいよう、周囲または円周フランジ部分のポリマーフィルムに1つ以上の登録穴(不記載)を設けることができ、これは中間のポリマーフィルムをしっかり固定する形で、相互に延びる複数のネジ(不記載)(ポリマーフィルムの周辺端部の穴を一部または全部が通過する)を使用して相互に固定される。
【0261】
図7〜8に記載のとおり、張力リングが提供され、これはポリマーフィルムに隣接し、フィルムを延伸させて張力を掛け、フィルムを安定化または剛性化する。張力リングは設定済みの部材として提供されるか、または調整式の部材として提供され得る。調整は、張力リングと向かい合うばねプレートの提供によって達成することができ、ポリマークッションまたはばね(例えば板ばね、コイルばね、波形ばねなど)などの1つ以上の圧縮性要素が中間に配置され、ばねプレートから張力リングを通って(または周囲から)フィルムベースに至る固定ねじなどの固定具が使用される。
【0262】
ポリマーフィルムは好ましくは非晶質熱可塑性フルオロポリマーなどのフルオロポリマーフィルムで、厚さは0.01または0.05ミリメートル〜0.1または1ミリメートル以上である。一部の実施形態において、Biogeneral Teflon AF 2400という、厚さ0.0035インチ(0.09ミリメートル)のポリマーフィルムと、Random Technologies Teflon AF 2400という、厚さ0.004インチ(0.1ミリメートル)のポリマーフィルムを使用する。
【0263】
フィルムに掛かる張力を、好ましくは、製作速度などの動作条件に応じて約10〜100ポンドの範囲に、張力リングを使用して調整する。
【0264】
バットリング、フィルムベース、および張力リングばねプレートは、金属(例えばステンレス鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金)、炭素繊維、ポリマー、およびこれらの複合体を含め、任意の適切な、好ましくは剛性の材料から製作することができる。
【0265】
登録ポストおよび対応するソケットを、所望に応じてバットリング、フィルムベース、張力リングおよび/またはばねプレートに任意で提供してもよい。
【0266】
[実施例2]
円形の張力調整式ビルドプレートアセンブリー
図9は本発明の直径2.88インチの円形ビルドプレートの上面図、
図10は同プレートの分解図であり、フィルムの寸法は直径4インチであってもよい。構成は上記の実施例1に記載のものと同様であるが、円周方向の波形ばねアセンブリーが記載のとおり取り付けられる。フィルムに掛かる張力を、好ましくは上記の実施例1に記載の張力と同等に(同じく、製作速度などの動作条件に応じて)調整する。
【0267】
図10は
図8のビルドプレートの分解図である。
【0268】
[実施例3]
調整式ビルドプレートの付加的実施形態
図11は、
図7〜10のビルドプレートの様々な代替的実施形態を示す図である。材料および張力は、前述と同様であってもよい。
【0269】
[実施例4]
装置の実施形態例
本発明の例示的実施形態による装置について、
図12は前方透視図、
図13は側面図、および
図14は後方透視図である。装置100はフレーム102および筐体104を含む。
図12〜14では筐体104の大半が除外されているか、または透明に記載されている。
【0270】
装置100は、
図2を参考に前述の装置と同一または同様の構成要素および特徴を複数含む。
図12を参考に、ビルドチャンバー106が、フレーム102に接続されたベースプレート108上に提供される。ビルドチャンバー106は、壁またはバットリング110と、ビルドプレートまたは
図2および
図6〜11を参考に前述のウィンドウのような「ウィンドウ」によって定義される。
【0271】
今度は
図13を参考に、キャリア112はレール114に沿って縦方向に、モーター116によって駆動される。モーターはサーボモーターなど、任意の適切な種類のモーターでよい。適切な例示的モーターは、日本のオリエンタルモーター社(東京)製のNXM45A型モーターである。
【0272】
液体リザーバー118は、ビルドチャンバー106に液体樹脂を補充するためにビルドチャンバー106と流体連通する状態である。例えば、配管は液体リザーバー118からビルドチャンバー106に至る取り回しでよい。弁120は液体リザーバー118からビルドチャンバー106に至る液体樹脂の流動を制御する。適切な例示的な弁は、McMaster−Carr社(ジョージア州アトランタ)製の配管用ピンチ型アルミニウムソレノイド弁である。
【0273】
フレーム102は、光エンジンアセンブリー130(
図15)を保持または装着するレール122または他の何らかの装着機能を含む。光源124を、光ガイド入口ケーブル126を使用して、光エンジンアセンブリー130へ結合する。光源124は、Dymax Corporation社(コネチカット州トリントン)性のBlueWave(登録商標)200システムなど、任意の適切な光源でよい。
【0274】
今度は
図15を参考に、光源または光エンジンアセンブリー130は、コンデンサーレンズ132およびデジタルライトプロセッシング(DLP)システム(デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)134および光学レンズまたは投影レンズ136(対物レンズを含むものであってもよい)を含む)を含む。適切なDLPシステムは、Texas Instruments, Inc.社(テキサス州ダラス)性のDLP Discovery(商標)4100システムである。DLPシステムからの光はミラー138に反射され、ビルドチャンバー106を照らす。具体的に、「画像」140がビルド面またはウィンドウに投影される。
【0275】
図14を参考に、電子部品プレートまたはブレッドボード150を、フレーム102へ接続する。複数の電気部品または電子部品をブレッドボード150に装着する。制御装置またはプロセッサー152を、前述のモーター116、弁120、光源124および光エンジンアセンブリー130など、様々な構成要素と動作可能に関連付ける。適切な制御装置は、Parallax,Inc.社(カリフォルニア州ロックリン)製のPropeller Proto Boardである。
【0276】
制御装置152と動作可能に関連付けられる他の電気部品または電子部品の例として、モーター116を制御するための電源154およびモーター駆動装置158が挙げられる。一部の実施形態において、水銀灯の代わりに、パルス幅変調(PWM)駆動装置によって制御されるLED光源(例えば前述のDymax光源)を使用する。
【0277】
適切な電源は、24ボルト、2.5A、60Wの切替式電源である(例えばMarlin P. Jones & Assoc, Inc.社(フロリダ州レイクパーク)製の品番PS1−60W−24(HF60W−SL−24))である。LED光源を使用する場合、適切なLED駆動装置は24ボルト、1.4AのLED駆動装置(例えばDigi−Key社(ミネソタ州シーフリバーフォールズ)製の品番788−1041−ND)である。適切なモーター駆動装置は、日本のオリエンタルモーター社(東京)製のNXD20−A型モーター駆動装置である。
【0278】
図12〜15の装置は、約5mW/cm
2の光強度で約75mm×100mmの「画像サイズ」を生成するために使用されている。
図12〜15の装置は、約100〜500mm/hrの速度で物体を構築するために使用されている。ビルド速度は光強度および物体の幾何学に依存する。
【0279】
[実施例5]
装置の別の実施形態例
図16は、本発明の別の例示的実施形態による装置200の前方透視図である。装置200は装置100と同じ構成要素および特徴を含むが、相違点は以下のとおりである。
【0280】
装置200は、
図15に記載の光エンジンアセンブリー130のうち2つを並列に装着可能なレール222または他の装着機能を含む、フレーム202を含む。光エンジンアセンブリー130を、ビルドステーション206に1ペアの「タイル化」画像を提供するよう構成する。タイル化画像を提供するための複数の光エンジンの使用については、上記に詳しく記載されている。
【0281】
図16の装置は、約1mW/cm
2の光強度で約150mm×200mmのタイル化された「画像サイズ」を提供するために使用されている。
図16の装置は、約50〜100mm/hrの速度で物体を構築するために使用されている。ビルド速度は光強度および物体の幾何学に依存する。
【0282】
[実施例6]
装置の別の実施形態例
本発明の別の例示的実施形態による装置300について、
図18は前方透視図、
図19は側面図である。装置300は装置100と同じ構成要素および特徴を含むが、相違点は以下のとおりである。
【0283】
装置300は、
図20に記載の光エンジンアセンブリー330を装置100の光エンジンアセンブリー130と異なる配向で装着可能なレール322または他の装着機能を含む、フレーム302を含む。
図19および20を参考に、光エンジンアセンブリー330は、コンデンサーレンズ332およびデジタルライトプロセッシング(DLP)システム(デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)334および光学レンズまたは投影レンズ336(対物レンズを含むものであってもよい)を含む)を含む。適切なDLPシステムは、Texas Instruments, Inc.社(テキサス州ダラス)性のDLP Discovery(商標)4100システムである。DLPシステムからの光は、ビルドチャンバー306を照らす。具体的に、「画像」340がビルド面またはウィンドウに投影される。装置100と対照的に、装置300では反射ミラーを使用しない。
【0284】
図18〜20の装置は、約200mW/cm
2および40mW/cm
2の光強度で約10.5×14mmおよび約24mm×32mmの「画像サイズ」を提供するために使用されている。
図18〜20の装置は、約10,000〜4,000mm/hrの速度で物体を構築するために使用されている。ビルド速度は光強度および物体の幾何学に依存する。
【0285】
[実施例7]
Luaスクリプト記述による制御プログラム
現在のプリンター技術において、上質な部品製作を確保するために必要な制御水準は低い。部品の品質を確保するには、光強度、曝露時間およびキャリアの運動など、物理的パラメーターをすべて最適化すべきである。「Lua」というプログラミング言語を使用するParallax社のPROPELLER(商標)マイクロコントローラーなどの制御装置に対するスクリプト記述インターフェースを活用すれば、使用者はプリンターのあらゆる側面を低い水準で制御できるようになる。一般的にR.Ierusalimschy,Programming in Lua (2013)(ISBN−10:859037985X;ISBN−13:978−8590379850)を参照されたい。
【0286】
この実施例では、本発明の方法および装置の制御について、Luaスクリプト記述を使用して記述されたプログラムの例と併せて説明する。そのような指示に相当するプログラムコード、あるいは当業者にとって明らかとなる、係るコードの変形について、使用する特定のマイクロコントローラーに基づく既知の技法に従って記述する。
【0287】
概念。1つの部品は、継続的に形成されるポリマーの複数のスライスで構成される。各スライスの形状は、光エンジンによって表示されるフレームによって定義される。
【0288】
フレーム。フレームはスライスの最終出力に相当する。フレームは、部品の物理的幾何形状として顕在化する要素である。フレーム内のデータは、ポリマーを硬化させるためにプリンターによって投影される要素である。
【0289】
スライス。フレームに出力されることになる2D幾何形状はすべて、1つのスライス内に統合されるべきである。スライスは、プロシージャルな幾何形状(procedural geometry)、3Dモデルのスライス、またはこれら2つの任意の組み合わせで構成され得る。スライス生成プロセスにより、使用者は任意のフレームの組成を直接制御できる。
【0290】
3Dモデルのスライス。スライスは、或る部品の3Dモデルから導き出される特別な種類の2D幾何形状である。スライスは、ウィンドウに平行な面と交差する幾何形状を表す。部品は通常、3Dモデルを取得し、それらをごく短い間隔でスライス化することによって構築される。その後、各スライスはプリンターによって連続的に認識され(interpreted)、そしてポリマーを適切な高さで硬化させるために使用される。
【0291】
プロシージャルな幾何形状。プロシージャルに生成される幾何形状も、スライスに加えることができる。これは「addcircle」、「addrectangle」など、形状生成関数を呼び出すことによって達成される。各関数は、対応する形状を印刷ウィンドウに投影することを可能にする。製造される部品の外観は、縦方向に押し出された形状または複数の形状の組み合わせである。
【0292】
座標空間:ステージ。ステージが使用する座標系は通常、原点がウィンドウより1〜20ミクロン上方となるよう較正される。
【0293】
座標空間:スライス。投影されるスライスの座標系は、原点が印刷ウィンドウの中心に位置する状態である。
【0295】
以下は、スライス化された3Dモデルから或る部品を印刷する際の最も基本的な方法である。スライス化されたモデルの印刷は、データのローディング、プリンターの準備、印刷、およびシャットダウン、これら4つの主要部分で構成される。
【0296】
データのローディング。コードのこのセクションでは、スライス化されたモデルのデータをメモリにロードする。モデルへのファイルパスは、コードの「定数」セクションで定義される。詳しくは下記のフルコードを参照されたい。
【0297】
−モデルのローディング
modelFilePath=“Chess King.svg”
numSlices=loadslices(modelFilePath)
【0298】
プリンターの準備。印刷の前に、2つの作業を行うことが重要である。まず、relay関数を使用して光エンジンを起動しなければならない。また該当する場合、所望の流体高さを設定すべきである。
【0299】
−プリンターの準備
relay(true)−光エンジンを起動する。
showframe(−1)−セットアップ中に何も曝露されていないことを確保する。
setlevels(.55,.6)−利用可能な場合、プリンターが流体ポンプを、充填率約55%を維持するように設定する。
【0300】
印刷。印刷プロセスの第1工程は、システムを較正し、gotostartの呼び出しによってステージを始動位置にセットすることである。次に、各スライスを印刷するforループを開始する。forループの1行目がinfolineコマンドを使用して、現在のスライスインデックスをサイドバーに表示させる。次に、次のスライスを硬化させるべき高さを決める。その値はnextHeightに保存される。これに従って、次のスライスを硬化させる必要のある高さまで、ステージを移動させる。クリーンな印刷を確保するため、時々、酸素が樹脂中へ拡散するのを待つ必要が生じ得る。そのため、sleepを0.5秒間呼び出す(preExposureTimeの正確な時間も「定数」セクションで定義される)。この後、実際に樹脂を硬化させる時間となるため、showframeを呼び出し、印刷したいスライスのインデックスを渡す。このインデックスはforループによってsliceIndexに保存される。この後再び、樹脂を硬化させるため、exposureTime秒間、スリープする。次のフレームへ移る前に、ステージが次の高さまでの移動中に光エンジンが樹脂を硬化させてしまうことを防ぐため、showframe(−1)を呼び出す。
【0301】
−印刷実行
gotostart()−ステージを始動位置まで移動させる。
for sliceIndex=0,numSlices−1 do
infoline(5,string.format(“Current Slice:%d”,sliceIndex))
nextHeight=sliceheight(sliceIndex)−このフレームを曝露させるためにステージがあるべき高さを計算する。
moveto(nextHeight,stageSpeed)−nextHeightまで移動する。
sleep(preExposureTime)−酸素が樹脂中へ拡散するために所定の時間、待機する。preExposureTimeは「定数」セクションで事前に定義されている
showframe(sliceIndex)−曝露させるフレームを示す。
sleep(exposureTime)−フレームが曝露する間、待機する。exposureTimeは「定数」セクションで事前に定義されている。
showframe(−1)−ステージが次の位置まで移動中に無曝露を確保するよう、何も示さない。
end
【0302】
シャットダウン。印刷プロセスの最終工程は、プリンターのシャットダウンである。relay(false)を呼び出して、光エンジンをオフにする。流体制御を使用している場合、setlevels(0,0)を呼び出して、弁が閉じていることを確保する。最後に、印刷後にステージを少し上に移動させて、部品を取り出しやすくするのが賢明である。
【0303】
−シャットダウン
relay(false)
setlevels(0,0)
【0304】
−ステージを持ち上げて部品を取り出す
moveby(25,16000)
【0305】
上記に基づく指示を実施する完全版のコードを以下に記す。
【0306】
−定数
exposureTime=1.5−秒単位。
preExposureTime=0.5−秒単位。
stageSpeed=300−mm/hr単位。
【0307】
−モデルのローディング
modelFilePath=“Chess King.svg”
numSlices=loadslices(modelFilePath)
【0308】
−パラメーターの計算
maxPrintHeight=sliceheight(numSlices−1)−印刷時の最高点を判定する。これは最後のスライスの高さと同じである。スライスのインデックスが0の場合、値は−1である。
infoline(1,“Current Print Info:”)
infoline(2,string.format(“Calculated Max Print Height:%dmm”,maxPrintHeight))
infoline(3,string.format(“Calculated Est. Time:%dmin”,(maxPrintHeight/stageSpeed)*60+(preExposureTime+exposureTime)*numSlices/60))
infoline(4,string.format(“Number of Slices:%d”,numSlices))
【0309】
−プリンターの準備
relay(true)−光エンジンを起動する。
showframe(−1)−セットアップ中に何も曝露されていないことを確保する。
setlevels(.55,.6)−利用可能な場合、プリンターが流体ポンプを、充填率約55%を維持するように設定する。
【0310】
−印刷実行
gotostart()−ステージを始動位置まで移動させる。
for sliceIndex =0,numSlices−1 do
infoline(5,string.format(“Current Slice:%d”,sliceIndex))
nextHeight = sliceheight(sliceIndex)
【0311】
−このフレームを曝露させるためにステージがあるべき高さを計算する。
moveto(nextHeight,stageSpeed)−nextHeightまで移動する。
sleep(preExposureTime)−酸素が樹脂中へ拡散するために所定の時間、待機する。preExposureTimeは「定数」セクションで事前に定義されている。
showframe(sliceIndex)−曝露させるフレームを示す。
sleep(exposureTime)−フレームが曝露する間、待機する。exposureTimeは「定数」セクションで事前に定義されている。
showframe(−1)−ステージが次の位置まで移動中に無曝露を確保するよう、何も示さない。
end
【0312】
−シャットダウン
relay(false)
setlevels(0,0)
【0313】
−ステージを持ち上げて部品を取り出す
moveby(25,16000)
【0314】
Gotostart。gotostartの主な目的は、ステージを較正することである。この関数は、座標系の原点が最も低い点(リミットスイッチが起動する点)となるようリセットする。このコマンドを呼び出すと、プリンター内のリミットスイッチが起動するまでステージが降下する。これはステージが絶対最低高の位置にある状態で発生すべきである。
gotostart()−プリンターによって異なる最大速度で始動するようステージを移動させる。
gotostart()−初期設定速度で原点まで移動する。
gotostart(number speed)−任意の速度(mm/hr単位)で始動するようステージを移動させる。
gotostart(15000)−15000mm/hrでステージを原点まで移動させる。
−speed:ステージが始動位置まで移動する速度(mm/hr単位)。
【0316】
movetoを使用すると、任意の速度で所望の高さまで移動するようステージに指示することができる。速度および加速度の安全な上限と下限が内部的に確保される。
moveto(number targetHeight,number speed)
moveto(25,15000)−15,000mm/hrで25mmまで移動する。
moveto(number targetHeight,number speed,number acceleration)
このバージョンの関数により、速度同様、加速度も定義することができる。ステージは初期速度で移動し始めた後、加速する。
moveto(25,20000,1e7)−100万mm/hr
2で加速しながら、20,000mm/hrでステージを25mmまで移動する。
moveto(number targetHeight,number speed,table controlPoints,function callback)
この関数は、基本バージョンの関数と同様に振舞う。初期の速度および位置で始動し、制御点テーブル上の最高点まで移動する。ステージが各制御点を通過すると、callbackが呼び出される。
function myCallbackFunction(index)−callback関数を定義する。
print(“hello”)
end
moveto(25,20000,slicecontrolpoints(),myCallbackFunction)−slicecontrolpoints()によって生成される制御点でmyCallbackFunctionを呼び出しながら、20,000mm/hrでステージを25mmまで移動する。
moveto(number targetHeight,number speed,number acceleration,table controlPoints,function callback)
この関数は、使用者が加速を渡すことができるという点を除き、上記と同じである。ステージは、最後の制御点に到達するまで、初期位置から連続的に加速する。
function myCallbackFunction(index)−callback関数を定義する。
print(“hello”)
end
moveto(25,20000,0.5e7,slicecontrolpoints(),myCallbackFunction)−50万mm/hr
2で加速すると同時にslicecontrolpoints()によって生成される制御点でmyCallbackFunctionを呼び出しながら、20,000mm/hrでステージを25mmまで移動する。
−targetHeight:ステージが移動する先の原点からの高さ(mm単位)。
−initialSpeed:ステージが移動を開始する初期速度(mm/hr単位)。
−acceleration:初期速度からのステージの加速度(mm/hr
2単位)。
−controlPoints:目標高さ(mm単位)の表。ステージが目標高さに到達した後、callback関数を呼び出す。
−callback:ステージが制御点に到達した際に呼び出される関数に対するポインター。callback関数は、ステージが到達した制御点のインデックスに当たる1つの引数を取るべきである。
【0318】
movebyを使用すると、任意の速度で所望の量、ステージの高さを変えることができる。速度および加速度の安全な上限と下限が内部的に確保される。moveby(number dHeight,number initalSpeed)
1 moveby(−2,15000)−15,000mm/hrで2mm下方へ移動する。
moveby(number dHeight,number initialSpeed,number acceleration)
このバージョンの関数により、速度同様、加速度も定義することができる。ステージは初期速度で移動し始めた後、行先に到達するまで、accelerationの分、加速する。
1 moveby(25,15000,1e7)−1e7mm/hr
2で加速しながら、15,000mm/hrで25mm上方へ移動する。
moveby(number dHeight,number initialSpeed,table controlPoints,function callback)
この関数を使用すると、絶対高座標の表を関数に渡すことができる。これらの目標高さのうちの1つにステージが到達した後、「callback」関数を呼び出す。callbackは、到達した制御点のインデックスに当たる1つの引数を取るべきである。
function myCallbackFunction(index)−callback関数を定義する。
print(“hello”)
end
moveby(25,20000,slicecontrolpoints(),myCallbackFunction)−slicecontrolpoints()によって生成される制御点でmyCallbackFunctionを呼び出しながら、20,000mm/hrで25mm上方までステージを移動させる。
moveby(number dHeight,number initialSpeed,number acceleration,table controlPoints,function callback)この関数は、使用者が加速を渡すことができるという点を除き、上記と同じである。ステージは、最後の制御点に到達するまで、初期位置から連続的に加速する。
function myCallbackFunction(index)−callback関数を定義する。
print(“hello”)
end
moveby(25,20000,1e7,slicecontrolpoints(),myCallbackFunction)−slicecontrolpoints()によって生成される制御点でmyCallbackFunctionを呼び出し、1e7mm/hr
2で加速しながら、20,000mm/hrで25mm上方までステージを移動させる。
−dHeight:望ましいステージの高さの変化(mm単位)。
−initialSpeed:ステージが移動を開始する初期速度(mm/hr単位)。
−acceleration:初期速度からのステージの加速度(mm/hr
2単位)。
−controlPoints:目標高さ(mm単位)の表。ステージが目標高さに到達した後、callback関数を呼び出す。
−callback:ステージが制御点に到達した際に呼び出される関数に対するポインター。callback関数は、ステージが到達した制御点のインデックスに当たる1つの引数を取るべきである。
【0320】
light
relayはプリンター内での光エンジンのオン/オフの切り替えに使用される。印刷を行うには、光エンジンがオンの状態でなければならない。スクリプト終了時にrelayがオフに設定されていることを確認すること。
relay(boolean lightOn)
relay(true)−光エンジンを起動する。
−lightOn:falseは光エンジンをオフにし、trueは光エンジンをオンにする。
【0322】
このセクションの関数はスライス化された部品のファイルを使用せずに形状を投影する目的で存在する。このセクションの関数はすべて、figureIndexと呼ばれる任意の数値を有する。1つのスライス内の個々の図形が固有のインデックスを有する。図形は別の図形の上に存在する。図形は、インデックスが最も高い図形が「最上部」となるよう描画されるため、下方にある何かによって塞がれることはない。初期設定により、インデックスは、最後に作成された図形が最上部となるように作成されるよう、割り当てられる。ただし、所望のインデックスをfigureIndexへ渡すことにより、インデックスを変更することができる。
【0323】
このセクションの関数はすべて、sliceIndex引数を必要とする。この値は、図形が追加される先のスライスのインデックスである。
【0324】
注意点として、このプロシージャルな幾何形状を生成しても、それが視認可能または印刷可能になることの保証にはならない。下記にて概説のfillmaskまたはlinemaskなどの関数のうち1つを使用しなければならない。
addcircle
【0325】
addcircle(number x,number y,number radius,number sliceIndex)
addcircleは指定されたスライス内に円を描く。
addCircle(0,0,5,0)−第1のスライスの原点に半径5mmの円を作成する。
−x:円の中心から原点までの横方向の距離(mm単位)。
−y:円の中心から原点までの縦方向の距離(mm単位)。
−radius:円の半径(mm単位で測定)。
−sliceIndex:図形が追加される先のスライスのインデックス。
戻り値:図形のfigureIndex。
addrectangle
addrectangle(number x,number y,number width,number height,number sliceIndex)
addrectangleは、指定されたスライス内に矩形を描く。
addrectangle(0,0,5,5,0)−左上隅を原点として、5mm×5mmの正方形を作成する。
−x:矩形の左上隅の横座標(mm単位)。
−y:矩形の左上隅の縦座標(mm単位)。
−width:矩形の幅(mm単位)。
−height:矩形の高さ(mm単位)。
−sliceIndex:図形が追加される先のスライスのインデックス。
戻り値:図形のfigureIndex。
addline
addline(number x0,number y0,number x1,number y1,number sliceIndex)
addlineは線分を描く。
addLine(0,0,20,20,0)−第1のスライスのx軸とy軸に沿って、原点から20mmまでの線を作成する。
−x0:線分の第1点の横座標(mm単位で測定)。
−y0:線分の第1点の縦横座標(mm単位で測定)。
−x1:線分の第2点の横座標(mm単位で測定)。
−y2:線分の第2点の縦座標(mm単位で測定)。
−sliceIndex:図形が追加される先のスライスのインデックス。
戻り値:図形のfigureIndex。
addtext
text(number x,number y,number scale,string text,number sliceIndex)
addtextは、指定されたスライス上に、「x,y」の位置を始点として、「scale」のサイズの文字でテキストを描く。
addtext(0,0,20,“Hello world”,0)−第1のスライスの原点に「Hello World」と書く。
−x:テキスト周囲の境界ボックスの左上隅の横座標(mm単位で測定)。
−y:テキスト周囲の境界ボックスの左上隅の縦座標(mm単位で測定)。
−scale:文字サイズ(mm単位)。解釈は基本オペレーティングシステムに応じて変動し得る(Windows、OSX、Linuxなど)。
−text:スライス上に実際に描かれるテキスト。
−sliceIndex:図形が追加される先のスライスのインデックス。
戻り値:図形のfigureIndex。
【0327】
fillmask
fillmask(number color,number sliceIndex, number figureIndex)
fillmaskは、プロシージャルな幾何形状の描画方法の制御に使用される。fillmaskは当該の図形に対し、内側全体を色で埋めるよう指示する。
−color:0〜255の範囲の任意の数でよい。0は黒、255は白を意味し、これらの中間の任意の値は、色値に基づいて黒と白の間で線形に補間される灰色の陰影である。0未満の値はすべて、透明色を生じる。
myCircle=addCircle(0,0,5,0)−埋める円を作成する。
fillmask(255,0,myCircle)−白で塗りつぶされた円を作成する。
−sliceIndex:修正されるべきスライスのインデックス。
−figureIndex:スライス上の図形のうち、どれを埋めるべきかの判定に使用される。個々の図形が固有のインデックスを有する。figureIndexが渡されなければ、塗りつぶしはスライス内のすべての図形に適用される。
【0328】
linemask
linemask(number color,number sliceIndex,number figureIndex)
linemaskは、プロシージャルな幾何形状の描画方法の制御に使用される。linemaskは図形に対し、特定の色で輪郭線を引くよう指示する。輪郭線の幅はlinewidth関数によって定義される。
myCircle=addCircle(0,0,20,0)−埋める円を作成する。
linemask(255,0,myCircle)−円の輪郭線を白色に設定する。
fillmask(150,0,myCircle)−円を灰色で塗りつぶすよう設定する。
−color:0〜255の範囲の任意の数でよい。0は黒、255は白を意味し、これらの中間の任意の値は、色値に基づいて黒と白の間で線形に補間される灰色の陰影である。0未満の値はすべて、透明色を生じる。
−sliceIndex:修正されるべきスライスのインデックス。
−figureIndex:スライス上の図形のうち、どれを埋めるべきかの判定に使用される。個々の図形が固有のインデックスを有する。figureIndexが渡されなければ、塗りつぶしはスライス内のすべての図形に適用される。
【0329】
linewidth
linewidth(number width,number sliceIndex,number figureIndex)
linewidthは、図形の輪郭線を引くためにlinemaskが使用する線の幅の設定に使用される。
linewidth(2,0)−第1のスライス上のすべての図形について、線の幅を2mmに設定する。
−sliceIndex:修正されるべきスライスのインデックス。
−figureIndex:スライス上の図形のうち、輪郭線を変更すべき図形の判定に使用される。個々の図形が固有のインデックスを有する。詳しくはセクション2.3(10頁)を参照のこと。figureIndexが渡されなければ、塗りつぶしはスライス内のすべての図形に適用される。
【0330】
loadmask
loadmask(string filepath)
loadmaskは、高度な充填制御を可能にする。これを使用すると、ビットマップファイルからテクスチャをロードし、それを使用して図形全体をテクスチャで埋めることができる。
texture=loadmask(“voronoi_noise.png”)−テクスチャをロードする。voronoi_noise.pngはスクリプトと同じディレクトリ内にある。
myCircle=addCircle(0,0,20,0)−埋める円を作成する。
fillmask(texture,0,myCircle)−円をボロノイノイズで埋める。
−filepath:画像ファイルへのファイルパス。
戻り値:色引数としてfillmaskまたはlinemask関数へ渡すことができる特殊データタイプ。
【0332】
showframe
showframe(number sliceIndex)
showframeは、印刷プロセスに不可欠である。この関数はデータをスライスからプリンターへ送る。showframe(−1)など、黒いフレームを描画する場合、存在しないフレーム上でshowframesを呼び出す。
showframe(2)−第3のスライスを示す。
−sliceIndex:プリンターへ送るスライスのインデックス。
【0333】
framegradient
framegradient(number slope)
framegradientは、光強度の差を補うよう設計されている。
【0334】
calcframe
calcframe()
calcframeはスライスの構成を分析し、最後に示されるフレームを計算するよう設計されている。
showframe(0)
calcframe()
戻り値:図形の任意の点と端部との間の最大可能な距離。
【0335】
2.5.4 loadframe
loadframe(string filepath)
loadframeは、使用可能なビットマップファイルから単一のスライスをロードする際に使用される。
loadframe(“slice.png”)−slice.pngはスクリプトと同じディレクトリ内にある。
−filepath:スライス画像へのファイルパス。
【0337】
addslice
addslice(number sliceHeight)
addsliceは、スライススタック終了時に新たなスライスを任意の高さに作成する。
addslice(.05)−0.05mmの位置にスライスを追加する。
addslice(number sliceHeight,number sliceIndex)
addslice(.05,2)−0.05mmおよびインデックス2にスライスを追加する。これはインデックスが2以上のすべての層を押し上げる。
addsliceは任意の高さおよびスライスインデックスに新たなスライスを作成する。
−sliceHeight:スライスの高さ(mm単位)。
−sliceIndex:スライスを追加すべきインデックス。
戻り値:スライスインデックス。
【0338】
loadslices
loadslices(string filepath)
loadslicesは、2Dスライスファイルからすべてのスライスをロードする際に使用される。
loadslices(“Chess King.svg”)−Chess King.svgファイルからすべてのスライスをロードする。
−filepath:スライス化されたモデルへのファイルパス。許容可能なフォーマットは「.cli」および「.svg」である。
戻り値:スライス数。
【0339】
sliceheight
sliceheight(number sliceIndex)
sliceheightは、ベース上方のスライスの高さ(mm単位)の判定に使用される。
addslice(.05,0)−第1のスライスを0.05mmに設定する。
sliceheight(0)−スライスの高さ0をチェックする。この例では0.05を戻すべきである。
−sliceIndex:チェック対象スライスのインデックス。
戻り値:スライスの高さ(mm単位)。
2.6.4 slicecontrolpoints
slicecontrolpoints()
slicecontrolpointsは、モデルの各スライスの制御点を作成する補助関数である。これらの制御点をmovetoまたはmoveby関数へ渡すことにより、ステージが各スライスの高さに到達した時点でcallback関数を呼び出すよう設定することができる。この関数を呼び出す前に、loadslicesが呼び出し済みであることを確認すること。
loadslices(“Chess King.svg”)
controlPoints=slicecontrolpoints()
戻り値:制御点が記載されたLua表。
【0341】
Sleep
sleep(number seconds)
sleepを使用すると、設定された秒間、プログラムの実行を一時停止することができる。
sleep(.5)−0.5秒間スリープする。
−seconds:スクリプトの実行を一時停止する秒数。
【0342】
Clock
clock()
clockは現在の時間を秒単位で戻す。少なくともミリ秒単位で正確であり、したがってLuaの内蔵クロック機能の代わりに使用すべきである。clockは、秒数の計時がシステムによって変動することから、始動時間としての時間差を測定する手段として使用すべきである。
t1=clock()
loadslices(“Chess King.svg”)
deltaTime=clock()−t1
戻り値:システム時間(秒単位)。
【0344】
この一連の関数は、流体制御に対応するプリンターモデルと併用することができる、スクリプトが実行を終える前に、setlevels(0,0)を呼び出して、バットへの流体圧送をポンプが止めることを確保すべきである。
【0345】
getcurrentlevel
getcurrentlevel()
getcurrentlevelは、満杯であるバットの割合を戻す。
print(string.format(“Vat is %d percent full.”,getcurrentlevel()*100))
戻り値:満杯であるバットの割合を表す、0〜1の範囲の浮動小数点数。
【0346】
setlevels
setlevels(number min,number max)
setlevelsを使用すると、バット内に存在すべき流体の量を定義することができる。流体の高さはポンプによって自動的に規制されることになる。弁が絶えず開閉しているわけではないことを確保するよう、minとmaxの差を0.05より大きくすべきである。
setlevels(.7,.75)−バットを約75%充填の状態に維持する。
−min:満杯であるべきバットの最小割合。0〜1の浮動小数点数として入力する。
−max:満杯であるべきバットの最大割合。0〜1の浮動小数点数として入力する。
【0348】
infoline
infoline(int lineIndex,string text)
infolineを使用すると、Programmable Printer Platformのサイドバーの一定の位置に最大5行のテキストを表示させることができる。この関数は多くの場合、複数の変数を使用者が一度にモニタリングすることを可能にする。
infoline(1, string.format(“Vat is %d percent full.”,getcurrentlevel()*100))
−lineIndex:行のインデックス。インデックスは1〜5の範囲であるべきである。1が最上段の行に相当する。
−text:行インデックスに表示させるテキスト。
【0350】
印刷スクリプトを実行する前に、すべてのグローバル変数を、cfgと呼ばれる構成表へロードする。この表内のデータはほとんどが、使用者がスクリプトを実行する前にProgrammable Printer Platformによって読み込まれているため、変更しても影響はない。ただし、cfgのxscale、yscale、zscale、xorigおよびyorigのフィールドへの書き込みは、後で行われるすべてのloadslicesおよびaddlayerの呼び出しに影響を及ぼす。使用者のスクリプトが特性のスケールおよび/または位置で実行される場合、スケールと位置がProgrammable Printer Platformによって偶発的に変更され得ないことを確保するよう、cfgを無効にして適正な設定に差し替えるのが賢明である。
cfg.xscale=3−グローバル設定を無効にしてx軸上のスケールを3に設定する。
cfg.yscale=2−グローバル設定を無効にしてy軸上のスケールを2に設定する。
cfg.zscale=1−グローバル設定を無効にしてz軸上のスケールを1に設定する。
cfg.xorig=−2.0−グローバル設定を無効にしてx軸上の原点を2mm左に設定する。
cfg.yorig=0.25−グローバル設定を無効にしてy軸上の原点をプラス0.25mmの方向に設定する。
【0351】
cfg内のフィールド
−serial port:シリアルポート名(この変数を変更してもコードに影響しない)
−xscale:x軸のスケール
−yscale:y軸のスケール
−zscale:z軸のスケール
−xorig:x軸の原点
−yorig:y軸の原点
−hw xscale:x方向のピクセル分解能(この変数を変更してもコードに影響しない)
−hw yscale:y方向のピクセル分解能(この変数を変更してもコードに影響しない)
【0353】
数学標準ライブラリには、幾何形状計算に役立つ様々な関数が収録されている。文字列オブジェクトは、文字列を操作する場合の印刷に最も役立つ。詳しくはLabLua at Departamento de Informatica,PUC−Rio,Rua Marques de Sao Vicente,225;22451−900 Rio de Janeiro,RJ,Brazilへ問い合わせのこと。
【0354】
[実施例8]
継続的な印刷向けのLuaスクリプトプログラム
この実施例では、継続的な三次元印刷に関して上記の実施例7に該当するLuaスクリプトプログラムを提示する。
【0355】
−定数
sliceDepth=.05−mm単位
exposureTime=.225−秒単位
【0356】
−モデルのローディング
modelFilePath=“Chess King.svg”
numSlices=loadslices(modelFilePath)
controlPoints=slicecontrolpoints()−制御点を生成する。
【0357】
−パラメーターの計算
exposureTime=exposureTime/(60*60)−時間単位に換算する。
stageSpeed=sliceDepth/exposureTime−必要な距離/所要時間。
maxPrintHeight=sliceheight(numSlices−1)−印刷時の最高点を判定する。これは最後のスライスの高さと同じである。スライスのインデックスが0の場合、値は−1である。
infoline(1,“Current Print Info:”)
infoline(2,string.format(“Calulated Stage Speed:%dmm/hr¥n”,stageSpeed))
infoline(3,string.format(“Calculated Max Print Height:%dmm”,maxPrintHeight))
infoline(4,string.format(“Calculated Est. Time:%dmin”,(maxPrintHeight/stageSpeed)*60))
【0358】
−movetoと併せて使用するためのCallback関数の作成
function movetoCallback(controlPointIndex)
showframe(controlPointIndex)
end
【0359】
−プリンターの準備
relay(true)−光エンジンを起動する。
setlevels(.55,.6)−利用可能な場合、プリンターが流体ポンプを、充填率約50%を維持するように設定する。
【0360】
−印刷実行
gotostart()−ステージを始動位置まで移動させる。
moveto(maxPrintHeight,stageSpeed,controlPoints,movetoCallback)
【0361】
−シャットダウン
relay(false)
setlevels(0,0)
【0362】
−ステージを持ち上げて部品を取り出す
moveby(25,160000)
【0363】
[実施例9]
シリンダーおよびバックル向けのLuaスクリプトプログラム
この実施例では、プロシージャルな幾何形状を使用する、2つの作り付け部品向けのLuaスクリプトプログラムを提示する。
【0365】
−定数
exposureTime=1.5−秒単位
preExposureTime=1−秒単位
stageSpeed=300−mm/hr単位
sliceDepth=.05
numSlices=700
【0366】
−モデルの生成
radius=11
thickness=4
smallCircleRad=1.4
for sliceIndex=0,numSlices−1 do
addlayer(sliceDepth*(sliceIndex+1),sliceIndex)−スライスの深さ×インデックス=スライスの高さ
largeCircle=addcircle(0,0,radius,sliceIndex)
linewidth(thickness,sliceIndex,largeCircle)
linemask(255,sliceIndex,largeCircle)
for i=0,2*math.pi,2*math.pi/8 do
addcircle(math.cos(i)*radius,math.sin(i)*radius,smallCircleRad,sliceIndex)
end
fillmask(0,sliceIndex)
end
【0367】
−パラメーターの計算
maxPrintHeight=sliceheight(numSlices−1)−印刷時の最高点を判定する。これは最後のスライスの高さと同じである。スライスのインデックスが0の場合、値は−1である。
infoline(1,“Current Print Info:”)
infoline(2,string.format(“Calculated Max Print Height:%dmm”,maxPrintHeight))
infoline(3,string.format(“Calculated Est.Time:%dmin”,(maxPrintHeight/stageSpeed)*60+(preExposureTime+exposureTime)*numSlices/60))
infoline(4,string.format(“Number of Slices:%d”,numSlices))
【0368】
−プリンターの準備
relay(true)−光エンジンを起動する。
showframe(−1)−セットアップ中に何も曝露されていないことを確保する。
setlevels(.55,.6)−利用可能な場合、プリンターが流体ポンプを、充填率約55%を維持するように設定する。
【0369】
−印刷実行
gotostart()−ステージを始動位置まで移動させる。
for sliceIndex=0,numSlices−1 do
infoline(5,string.format(“Current Slice:%d”,sliceIndex))
nextHeight=sliceheight(sliceIndex)−このフレームを曝露させるためにステージがあるべき高さを計算する。
moveto(nextHeight,stageSpeed)−nextHeightまで移動する。
sleep(preExposureTime)−酸素が樹脂中へ拡散するために所定の時間、待機する。preExposureTimeは「定数」セクションで事前に定義されている。
showframe(sliceIndex)−曝露させるフレームを示す。
sleep(1.5)−フレームが曝露する間、待機する。exposureTimeは「定数」セクションで事前に定義されている。
showframe(−1)−ステージが次の位置まで移動中に無曝露を確保するよう、何も示さない。
end
【0370】
−シャットダウン
relay(false)
setlevels(0,0)
【0371】
−ステージを持ち上げて部品を取り出す
moveby(25,160000)
【0373】
−定数
exposureTime=1.5−秒単位
preExposureTime=0.5−秒単位
stageSpeed=300−mm/hr単位
sliceDepth=.05
numSlices=900
【0374】
−モデルの生成
baseRadius=11
thickness=3
innerCircleRad=7.5
for sliceIndex=0,numSlices−1 do
addlayer(sliceDepth*(sliceIndex+1))−スライスの深さ×インデックス=スライスの高さ。
if(sliceIndex<100)then−ベース
addcircle(0,0,baseRadius,sliceIndex)
fillmask(255,sliceIndex)
else−内側の円。
innerCircle=addcircle(0,0,innerCircleRad,sliceIndex)
linewidth(thickness,sliceIndex,innerCircle)
linemask(255,sliceIndex,innerCircle)
for i=0,4*2*math.pi/8,2*math.pi/8 do
x=math.cos(i)*(innerCircleRad+thickness)
y=math.sin(i)*(innerCircleRad+thickness)
cutLine=addline(x,y,−x,−y,sliceIndex)
linewidth(3,sliceIndex,cutLine)
linemask(0,sliceIndex,cutLine)
end
if(sliceIndex>800)then−チップ。
r0=innerCircleRad+2
if(sliceIndex<850)then
r0=innerCircleRad+(sliceIndex−800)*(2/50)
end
for i=0,4*2*math.pi/8,2*math.pi/8 do
ang=i+(2*math.pi/8)/2
x=math.cos(ang)*(r0)
y=math.sin(ang)*(r0)
nubLine=addline(x,y,−x,−y,sliceIndex)
linewidth(2,sliceIndex,nubLine)
linemask(255,sliceIndex,nubLine)
end
fillmask(0,sliceIndex,addcircle(0,0,innerCircleRad−(thickness/2),sliceIndex))
end
end
showframe(sliceIndex)
sleep(.02)
end
【0375】
−パラメーターの計算
maxPrintHeight=sliceheight(numSlices−1)−印刷時の最高点を判定する。これは最後のスライスの高さと同じである。スライスのインデックスが0の場合、値は−1である。
infoline(1,“Current Print Info:”)
infoline(2,string.format(“Calculated Max Print Height:%dmm”,maxPrintHeight))
infoline(3,string.format(“Calculated Est. Time:%dmin”,(maxPrintHeight/stageSpeed)*60+(preExposureTime+exposureTime)*numSlices/60))
infoline(4,string.format(“Number of Slices:%d”,numSlices))
【0376】
−プリンターの準備
relay(true)−光エンジンを起動する。
showframe(−1)−セットアップ中に何も曝露されていないことを確保する。
setlevels(.55,.6)−利用可能な場合、プリンターが流体ポンプを、充填率約55%を維持するように設定する。
【0377】
−印刷実行
gotostart()−ステージを始動位置まで移動させる。
for sliceIndex=0,numSlices−1 do
infoline(5,string.format(“Current Slice:%d”,sliceIndex))
nextHeight=sliceheight(sliceIndex)−このフレームを曝露させるためにステージがあるべき高さを計算する。
moveto(nextHeight,stageSpeed)−nextHeightまで移動する。
sleep(preExposureTime)−酸素が樹脂中へ拡散するために所定の時間、待機する。preExposureTimeは「定数」セクションで事前に定義されている。
showframe(sliceIndex)−曝露させるフレームを示す。
sleep(1.5)−フレームが曝露する間、待機する。exposureTimeは「定数」セクションで事前に定義されている。
showframe(−1)−ステージが次の位置まで移動中に無曝露を確保するよう、何も示さない。
end
【0378】
−シャットダウン
relay(false)
setlevels(0,0)
【0379】
−ステージを持ち上げて部品を取り出す。
moveby(25,160000)
【0380】
[実施例10]
断続的な照射および移動による継続的な造形
本発明の一プロセスが
図21に例示されており、この図では縦軸が、ビルド面から離れるキャリアの動きを図解している。この実施形態では、縦方向移動または移動工程(キャリアまたはビルド面のいずれか、好ましくはキャリアの駆動によって達成され得る)が継続的かつ一方向であり、照射工程も同時に実行する。製作する物品の重合は重合の傾斜部から発生し、したがって物品内での「層ごとの」分断線の発生が最小限に抑えられる。
【0381】
本発明の代替的実施形態が、
図22で例示されている。この実施形態では、移動工程を段階的に実行し、キャリアおよびビルド面が互いに離れる形での能動的移動の合間に一時停止を導入する。加えて、照射工程を断続的に、この例では移動工程の一時停止中に実行する。我々の所見として、重合阻害剤が、照射および/または移動の一時停止中にデッドゾーンおよび隣接する重合の傾斜部を維持できる十分な量、デッドゾーンへ供給される限り、重合の傾斜部は維持され、製造する物品内での層形成は最小化または回避される。言い換えれば、たとえ照射工程および移動工程が継続的でなくても、重合は継続的である。十分な量の阻害剤は、阻害剤に対して十分に透過性のある透明部材の活用、阻害剤の濃縮(例えば阻害剤を豊富に含む大気および/または加圧大気からの阻害剤の供給)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない、多様な技法のいずれかによって供給できる。概して、三次元物体の製作が迅速化する(つまり、移動の累積速度が高くなる)ほど、デッドゾーンおよび隣接する重合の傾斜部を維持するために必要となる阻害剤も多くなる。
【0382】
[実施例11]
重合性液体によるビルド領域充填を確かにするための、移動過程での往復運動の採用による継続的な造形
本発明のさらなる一実施形態が、
図23で例示されている。上記の実施例10同様、この実施形態でも、移動工程を段階的に実行し、キャリアおよびビルド面が互いに離れる形での能動的移動の合間に一時停止を導入する。同じく上記の実施例10同様、照射工程を断続的に、やはり移動工程の一時停止中に実行する。ただしこの実施例では、移動および照射の一時停止中にデッドゾーンおよび隣接する重合の傾斜部を維持する能力は、照射の一時停止中における縦方向往復運動の導入に活用される。
【0383】
我々の所見として、縦方向往復運動(キャリアとビルド面を互いに離れる形で駆動した後、互いに向かい合う方向に戻す)は、特に照射の一時停止中、見掛け上は重合性液体をビルド領域へ引き込むことにより、重合性液体によるビルド領域の充填を確かにすることに役立ち得る。これは比較的広い面積を照射するか、または比較的大きい部品を製作する場合に有利であり、ビルド領域の中心部分の充填を、他の急速製作に合わせて速度制限的にすることができる。
【0384】
縦軸またはZ軸方向の往復運動を、どちらの方向でも任意の適切な速度で実行できる(また速度は両方向で同じである必要はない)が、離れる形での往復運動時の速度が、ビルド領域内での気泡形成を引き起こすには不十分であることが好ましい。
【0385】
照射を一時停止する都度の間における単一サイクルの往復運動が
図23に記載されているが、一時停止過程の都度、複数サイクル(互いに同じでも異なっていてもよい)を導入できることが理解されることになる。
【0386】
上記の実施例10同様、重合阻害剤が、往復運動中にデッドゾーンおよび隣接する重合の傾斜部を維持できる十分な量、デッドゾーンへ供給される限り、重合の傾斜部は維持され、製造する物品内での層形成は最小化または回避され、そしてたとえ照射工程および移動工程が継続的でなくても、重合は継続的である状態を維持する。
【0387】
[実施例12]
部品の品質を高めるための、往復運動のアップストローク中の加速および往復運動のダウンストローク中の減速
我々の所感として、アップストロークおよび対応するダウンストロークの速度には限度があり、それを超えてしまうと、製作する部品または物体の品質劣化を引き起こす(おそらく、重合の傾斜部内の軟質領域において側方剪断力によって生じる樹脂流動の劣化が原因である)。こうした剪断力の低減および/または製作する部品の品質増進のため、アップストロークおよびダウンストロークの範囲内に可変性の速度を導入し、
図24の概略図で例示されているとおり、アップストローク中に漸進的加速が発生し、ダウンストローク中に漸進的減速が発生するようにする。
【0388】
[実施例13]
PEGDA+EGDA+ポリウレタン(HMDIベース)を使用する二重硬化
以下の混合物を5g、高剪断ミキサー内で3分間混合した。
1gのポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(Mn=700g/mol)(ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(DPO)を12重量%含有)。
1gのジエチレングリコールジアクリレート(DPOを12重量%含有)。
1gの「A剤」ポリウレタン樹脂(メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート):Smooth−On(登録商標)社から販売されている「ClearFlex50」がベース。
2gの「B剤」ポリウレタン樹脂(ポリオール混合物):Smooth−On(登録商標)社から販売されている「ClearFlex50」。
0.005gの非晶質黒鉛粉末。
【0389】
混合後、本明細書に記載の装置を使用して樹脂を3D形成した。光強度を1.2mVに設定し(光学センサーを備えた電圧計を使用して測定)、160mm/hrの速度で、「ハニカム」物体を形成した。合計印刷時間は約10分間であった。
【0390】
印刷後、部品を印刷ステージから除去し、ヘキサンで洗い流し、110℃に設定されたオーブンに12時間入れた。
【0391】
加熱後、部品は初期印刷中に生成された元来の形状を維持し、また破壊時伸長率200%の、頑丈で耐久性のあるエラストマーへと転換した。
【0392】
[実施例14]
EGDA+ポリウレタン(TDIベース)を使用する二重硬化
以下の混合物を5g、高剪断ミキサー内で3分間混合した。
1gのジエチレングリコールジアクリレート(DPOを12重量%含有)。
2gの「A剤」ポリウレタン樹脂(トルエンジイソシアネート):Smooth−On(登録商標)社から販売されている「VytaFlex30」がベース。
2gの「B剤」ポリウレタン樹脂(ポリオール混合物):Smooth−On(登録商標)社から販売されている「VytaFlex30」。
【0393】
混合後、本明細書に記載の装置を使用して樹脂を3D形成した。光強度を1.2mVに設定し(光学センサーを備えた電圧計を使用して測定)、50mm/hrの速度で、円筒形の物体を形成した。合計印刷時間は約15分間であった。
【0394】
印刷後、部品を印刷ステージから除去し、ヘキサンで洗い流し、110℃に設定されたオーブンに12時間入れた。
【0395】
加熱後、部品は初期印刷中に生成された元来の形状を維持し、また破壊時伸長率400%の、頑丈で耐久性のあるエラストマーへと転換した。
【0396】
[実施例15]
二重硬化向けの反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーの合成
200gの溶融無水2000Da、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO2k)を、高架撹拌装置、窒素パージおよび温度計を装備した500mLの三口フラスコへ添加する。次いで44.46gのIPDIをフラスコへ添加し、均一なPTMO溶液になるまで10分間撹拌した後、140μLのスズ(II)触媒スズオクトエートを添加する。温度を70℃まで上げ、反応を3時間維持する。3時間経過後、温度を40℃まで徐々に下げ、そして追加のファンネルを使用して37.5gのTBAEMAを20分以内に添加する。その後、温度を50℃に設定し、100ppmのヒドロキノンを添加する。反応継続を14時間維持する。最終の液体を生成物として注ぎ出す。
【0397】
[実施例16]
二重硬化向けの第2の反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーの合成
150gの乾燥した1000Da、ポリテトラメチレンオキシド(PTMO1k)を、高架撹拌装置、窒素パージおよび温度計を装備した500mLの三口フラスコへ添加する。次いで50.5gのHDIをフラスコへ添加し、均一なPTMO溶液になるまで10分間撹拌した後、100μLのスズ(II)触媒スズオクトエートを添加する。温度を70℃まで上げ、反応を3時間維持する。3時間経過後、温度を40℃まで徐々に下げ、そして追加のファンネルを使用して56gのTBAEMAを20分以内に添加する。その後、温度を50℃に設定し、100ppmのヒドロキノンを添加する。反応継続を14時間維持する。最終の液体を生成物として注ぎ出す。
【0398】
上記の実施例において、PTMOをポリプロピレングリコール(PPG、例えば100Da PPG(PPG1k))あるいは他のポリエステルまたはポリブタジエンジオールに置き換えてもよい。IPDIまたはHDIを他のジイソシアネートに置き換えてもよい。ポリオール:ジイソシアネート:TBAEMAのモル化学量論は、好ましくは1:2:2である。好ましくは、ポリオールの重量に対して0.1〜0.3重量%のスズオクトエートを使用する。
【0399】
[実施例17]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーを使用する印刷および熱硬化
ABPU樹脂は、ABPUおよび鎖延長剤に使用するジイソシアネートに応じて100℃で2〜6時間にわたる熱硬化後のヒステリシスが低いエラストマーを生成するよう、表1の配合を使用して最大100mm/hrで形成することができる(場合により、ただし好ましくは継続的液体相間/界面印刷を使用する)。
【0401】
様々なABPU(合成に使用したジイソシアネートおよびポリオールが異なる)および反応性希釈剤を使用して、ドッグボーン型標本を継続的液体界面印刷により形成した。表2に、熱硬化させたドッグボーン型試料の一部の室温での機械特性を示す。
【0403】
[実施例18−61]
付加的なポリウレタン二重硬化材料、試験および引張特性
以下の略称を、下記の実施例で使用する:「DEGMA」はジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートを意味し、「IBMA」はイソボロニルメタクリレートを意味し、「PACM」は4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンを意味し、「BDO」は1,4−ブタンジオールを意味し、「PPO」はフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを意味し、「MDEA」は4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)を意味し、「2−EHMA」は2−エチルヘキシルメタクリレートを意味し、「PEGDMA」はポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートを意味する(MW=700Da)。
【0404】
[実施例18]
引張特性試験
上記および下記の実施例において、引張特性をASTM規格D638−10、「プラスチックの引張特性に関する標準試験法」(ASTM International,100 Barr Harbor Drive,PO Box C700,West Conshohocken,PA,19428−2959 USA)に従って試験した。
【0405】
簡単に言えば、引張標本(形状を参考に、「ドッグボーン型試料」と呼ばれる場合もある)をInstron 5964試験装置に装着し、Instron BLUEHILL3という測定ソフトウェアを使用した(Instron,825 University Ave,Norwood,MA,02062−2643,USA)。試料の配向は、試験方向に平行な縦方向である。鋳造試料およびフラッド硬化試料を、DNMAX 5000 EC−Seriesを筐体とするUVフラッドランプ(225mW/cm
2)を使用して、30〜90秒間の曝露で完全硬化させた。試験した引張標本の種別、全般的な材料特性(剛性または非剛性)および付随する歪み率を、下記の表3にまとめる。
【0407】
ドッグボーン種別IVを、弾性標本の試験に使用する。
【0408】
試料中の塑性変形を捕捉するため、試料の歪み率が十分に低いことを確保するよう、試料が30秒〜5分の間に断裂するような速度で試料を試験した。
【0409】
測定するドッグボーン型試料のうち、中央の矩形部分で断裂しないものは除外する。グリップ部で破壊するか、または試験前に破壊する試料は、予想される故障モードを代表するものではないため、データから除外する。
【0410】
ASTM規格D−638に従って、ヤング率(弾性係数)(5〜10%の範囲の伸長における応力−歪みプロットの勾配)、破壊時引張強度、降伏時引張強度、破壊時伸長率、降伏時伸長率を測定する。
【0411】
歪み率は、破壊時歪み率(%)が最も低い部分が5分以内に破壊するように選択する。これは多くの場合、剛性試料の場合はより低い歪み率が必要となることを意味する。
【0412】
[実施例19]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表4に記載の成分を、PACMを除き、容器に添加して入念に混合(高架撹拌装置またはTHINKY(商標)ミキサーなど遠心分離ミキサーのいずれかを使用)して、均一な樹脂を取得した。PACMを樹脂に添加し、さらに樹脂の容積および粘度に応じて2〜30分間混合した。樹脂を前述のとおりCLIPにより、D638タイプIVのドッグボーン型標本へと形成した後、125℃で2時間にわたり熱硬化させた。硬化したエラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性も表4にまとめる。
【0414】
[実施例20]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表5の配合を使用したこと以外は実施例19と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。硬化標本をASTM規格に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表5にまとめる。
【0416】
[実施例21]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表6の配合を使用したこと以外は実施例19と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。硬化標本をASTM規格に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表6にまとめる。
【0418】
[実施例22]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表7に記載の成分を容器に添加して入念に混合(高架撹拌装置またはTHINKY(商標)ミキサーなど遠心分離ミキサーのいずれかを使用)して、均一な樹脂を取得した。樹脂を正方形の鋳型(寸法は100×100×4mm)に流し込み、1分間にわたりUVフラッド硬化させた後、125℃で2時間にわたり熱硬化させた。取得したエラストマーシートを、ダイカッターで寸法100×20×4mmの矩形の棒状に切断した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表7にまとめる。
【0420】
[実施例23]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表8の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表8にまとめる。
【0422】
[実施例24]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表9の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表9にまとめる。
【0424】
[実施例25]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表10の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表10にまとめる。
【0426】
[実施例26]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表11の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表11にまとめる。
【0428】
[実施例27]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表12の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表12にまとめる。
【0430】
[実施例28]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表13の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表13にまとめる。
【0432】
[実施例29]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
全成分の一括混合により表14の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表14にまとめる。
【0434】
[実施例30]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表15の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表15にまとめる。
【0436】
[実施例31]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表16の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表16にまとめる。
【0438】
[実施例32]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表17の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表17にまとめる。
【0440】
[実施例33]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表18の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表18にまとめる。
【0442】
[実施例34]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表19の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表19にまとめる。
【0444】
[実施例35]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表20の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表20にまとめる。
【0446】
[実施例36]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表21の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表21にまとめる。
【0448】
[実施例37]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表22の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表22にまとめる。
【0450】
[実施例38]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表23の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表23にまとめる。
【0452】
[実施例39]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表24の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表24にまとめる。
【0454】
[実施例40]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表25の配合を使用したこと以外は実施例22と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表25にまとめる。
【0456】
[実施例41]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表26に記載の成分を、PACMを除き、容器に添加して入念に混合(高架撹拌装置またはTHINKY(商標)ミキサーのいずれかを使用)して、均一な樹脂を取得した。次いでPACMを樹脂に添加し、さらに30分間混合した。樹脂をドッグボーン型標本へ流し込み、60秒間UVフラッド硬化させた後、125℃で4時間にわたり熱硬化させた。硬化標本をASTM規格に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性も表26にまとめる。
【0458】
[実施例42]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表27の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表27にまとめる。
【0460】
[実施例43]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表28の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表28にまとめる。
【0462】
[実施例44]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表29の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表29にまとめる。
【0464】
[実施例45]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表30の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表30にまとめる。
【0466】
[実施例46]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表31の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表31にまとめる。
【0468】
[実施例47]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表32の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表32にまとめる。
【0470】
[実施例48]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表33の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表33にまとめる。
【0472】
[実施例49]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表34の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表34にまとめる。
【0474】
[実施例50]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表36の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表36にまとめる。
【0476】
[実施例51]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表37の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表37にまとめる。
【0478】
[実施例52]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表38の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表38にまとめる。
【0480】
[実施例53]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表39の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表39にまとめる。
【0482】
[実施例54]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表40の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表40にまとめる。
【0484】
[実施例55]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表41の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表41にまとめる。
【0486】
[実施例56]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表42の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表42にまとめる。
【0488】
[実施例57]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表43の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表43にまとめる。
【0490】
[実施例58]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表44の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表44にまとめる。
【0492】
[実施例59]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表45の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表45にまとめる。
【0494】
[実施例60]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからの二重硬化材料
表30の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表30にまとめる。
【0496】
表30の配合を使用したこと以外は実施例41と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。エラストマー標本をASTM規格D638−10に従って、前述のとおりInstron装置上で機械特性について試験した。その特性を表30にまとめる。
【0497】
[実施例61]
反応性ブロック化ポリウレタンプレポリマーからのエラストマー
表31の配合を使用したこと以外は実施例20と同様にして硬化エラストマー標本を調製した。硬化標本は上記の開示と同様の弾性特性を示す。
【0499】
[実施例62]
二重硬化材料から製造される代表的なポリウレタン生産物
上記の実施例または詳細な記述に記載のような重合性材料(または当業者にとって明らかとなるそれらの変形)は、多種多様な弾性特性を有する生産物を提供する。こうした特性の範囲の例は剛性から半剛性(剛性かつ可撓性)、さらには弾性にまで及ぶ。そのような材料から製造され得る特定種類の生産物の例として、下記の表32に記載のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。生産物は、前述のとおり、該方法の一部の実施形態により製造される際、反応後の非開始剤の断片(中間生産物を形成する第1の硬化の残留物)を含有する場合がある。前述のとおり、充填剤および/または色素などの付加的な材料の包含によって特性をさらに調整可能であることが理解されることになる。
【0501】
[実施例63]
多様な構造セグメントおよび/または多様な引張特性を有するポリウレタン生産物
実施例18−61に、上記の実施例62に記載のような弾性から半剛性、さらに可撓性に至る範囲の様々な引張特性を有するポリウレタン生産物の形成向けの材料が記載されている。
【0502】
ポリウレタンプレポリマーは中間生産物の(例えば加熱またはマイクロ波照射による)硬化によって形成されることから、生産物の製作プロセスを1回以上一時停止または中断して、重合性液体を変更することができる。中断によって分断線または分断面が中間体に形成され得るが、後続の重合性液体が第2の硬化材料中で第1の硬化材料と反応する場合、中間体において明確に異なる2つの構造セグメントが(例えば加熱またはマイクロ波照射により)第2の硬化過程で交差反応し、互いに共有結合することになる。したがって、例えば、上記の実施例19〜60に記載の任意の材料を逐次的に変更して、引張特性が異なる複数の明確に異なる構造セグメントを有する一方でなお、互いに共有結合された異なるセグメントを有する単一の生産物を形成することができる。
【0503】
例えば蝶番は、三次元中間体の形成過程で重合性液体を(例えば上記の実施例19〜60に記載のものの中から)逐次的に変更することにより、剛性セグメントを含む蝶番を第2の弾性セグメントに結合し、さらに第3の剛性セグメントに結合する形で形成することができる。
【0504】
衝撃吸収装置または振動減衰装置も同様に、第2セグメントを弾性または半剛性とする形で形成することができる。
【0505】
単一の剛性ファンネルおよび可撓性ホースアセンブリーも同様の形で形成することができる。
【0506】
重合性液体の逐次的変更は、PCT出願公開第WO2015/126834号に記載のような多重ポートのフィードスルーキャリアを使用して、あるいはビルド面の上方に配置されたリザーバーに重合性液体を供給する場合は製作の一時停止中に交換可能な交換式カートリッジなどをリザーバーおよびビルド面に提供することによって、実行することができる。
【0507】
[実施例64]
シリコーンゴム生産物
THINKY(商標)ミキサーを使用して、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(PPO)をイソボルニルアクリレート(IBA)中に溶解させる。メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(DMS−R31、Gelest社製)を溶液に添加し、続いてSylgardのA剤およびB剤(Corning PDMS前駆体)を添加し、次いでさらにTHINKY(商標)ミキサーを使用して混合して均一な溶液を生成する。溶液を前述の装置に入れ、前述の紫外光硬化によって三次元中間体を生成する。次いで三次元中間体を100℃で12時間掛けて熱硬化させて、最終のシリコーンゴム生産物を生成する。重量パーセントおよび引張特性を下記の表33に示す。
【0509】
[実施例65]
エポキシ二重硬化生産物
10.018gのEpoxAcast 690樹脂のA剤および3.040gのB剤を、THINKY(商標)ミキサーを使用して混合した。次いで3.484gを3.013gのRKP5−78−1、すなわちSartomer CN9782/N−ビニルピロリドン/ジエチレングリコールジアクリレートの65/22/13の混合物と混合して透明な配合物を生成し、これをDymax紫外光ランプの下で(引張強度試験用の)「ドッグボーン」型の試料鋳型内で2分間にわたり硬化させて、非常に弾性が高いが弱いドッグボーン型試料を得た。
【0510】
第2の試料、RKP11−10−1は、上記のエポキシ3.517g、3.508gのRKP5−90−3、およびSartomer CN2920/N−ビニルカプロラクタム/N−ビニルピロリドン/PPO開始剤の65/33/2/0.25の混合物を含有し、これも同様に硬化して、非常に可撓性の高いドッグボーンを生成した。RKP5−84−8、すなわちCN2920/CN9031/NVF/PPOの50/20/30/0.25の混合物を使用して製造した第3の1:1の試料は完全に硬化しなかったため、廃棄した。
【0511】
その後、エポキシ/アクリレート二重硬化樹脂の第1の試料を以下の要領で製造した。
−Smooth−On EpoxAcure 690はEEW 190エポキシ(おそらくビスフェノールAのジグリシジルエーテル)であり、ジアミノプロピレングリコールオリゴマーと一緒に販売され、5時間の開放時間と24時間の室温硬化を提供する。
−これを3種類の印刷用製剤と1:1で配合した。2種類の試料は良好な均質配合で弾性が非常に高かったが、標準的な2分間のUV硬化後では非常に弱いドッグボーン試料であった。
−その後、試料を84℃で5時間にわたり熱硬化させた結果、適度に強くて硬いが可撓性もある試料となり、1件の例では硬化に使用したポリスチレン製ペトリ皿に頑強に接着した。引張強度は控え目な5〜8MPaの範囲で、ベースのアクリレート樹脂より低かった。
【0512】
その後、RKP1−17−2D、すなわちCN2920/NVC/DPO開始剤の66/33/1の混合物をEpoxAcure 690と1:1および2:1の比率で配合した。
【0513】
以前調製した1:1のエポキシ/アクリレート二重硬化製剤は、前述のCLIP装置において100または60mm/hrでの印刷に失敗したが、比率を1:2にしたところ、60mm/hrでかなり良い菱形格子パターンを生成した。Smooth−On EpoxAcure 690/CN2920/NVCの菱形格子を室温で後硬化させたところ、透明、可撓性、粘着性の試料が得られた。ドッグボーンも調製した。
【0514】
上記は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものと解釈してはならない。本発明は以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の同等物も本発明に含まれることになる。