特許第6802714号(P6802714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6802714空調システム用の制御装置、空調システムの制御方法、空調システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6802714
(24)【登録日】2020年12月1日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】空調システム用の制御装置、空調システムの制御方法、空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/61 20180101AFI20201207BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20201207BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20201207BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20201207BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20201207BHJP
【FI】
   F24F11/61
   F24F11/64
   F24F11/65
   F24F13/02 D
   F24F110:12
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-3238(P2017-3238)
(22)【出願日】2017年1月12日
(65)【公開番号】特開2018-112352(P2018-112352A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳代
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇人
(72)【発明者】
【氏名】中川 浩
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大輔
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−019874(JP,A)
【文献】 特開2004−028440(JP,A)
【文献】 特開平02−183756(JP,A)
【文献】 特開2016−090099(JP,A)
【文献】 特開2010−175229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00−11/89
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調システムの熱源機に冷房運転の期間の開始又は終了のタイミングと暖房運転の期間の開始又は終了のタイミングとをそれぞれ指示する指示部を備え、
前記指示部には、
冷房又は暖房の対象である建物が存在する地域の外気温データから求められた代表値に基づいて、前記冷房運転の期間の開始日又は前記暖房運転の期間の終了日と、前記暖房運転の期間の開始日又は前記冷房運転の期間の終了日とが設定され、
前記代表値は、過去の所定日数分の前記外気温データから日毎に求められた温度であって、
前記冷房運転の期間の開始日又は前記暖房運転の期間の終了日は、過去の所定の複数年間である対象期間において前記代表値が所定の第1温度を上回った複数の月日から選択された1つの日であり、前記暖房運転の期間の開始日又は前記冷房運転の期間の終了日は、前記対象期間において前記代表値が前記第1温度より低い所定の第2温度を下回った複数の月日から選択された1つの日である
ことを特徴とする空調システム用の制御装置。
【請求項2】
前記指示部は、
前記対象期間において、前記代表値が前記第1温度を上回った月日のうちのもっとも遅い日を前記暖房運転の期間の終了日とし、前記代表値が前記第2温度を下回った月日のうちのもっとも遅い日を前記冷房運転の期間の終了日とする
請求項1記載の空調システム用の制御装置。
【請求項3】
前記代表値は、過去7日間の日平均気温の移動平均値である
請求項1又は2記載の空調システム用の制御装置。
【請求項4】
前記地域は、次世代省エネルギー地域区分による8つの地域から選択される
請求項1〜3のいずれか1項に記載の空調システム用の制御装置。
【請求項5】
電気通信回線を通して取得した前記外気温データから前記代表値を求める計算部と、
前記対象期間における前記代表値を記憶する記憶部と
前記記憶部が記憶している前記代表値を年毎に更新する更新部とを更に備え、
前記指示部は、
前記記憶部が記憶している前記代表値に基づいて、前記冷房運転の期間の開始日又は前記暖房運転の期間の終了日と、前記暖房運転の期間の開始日又は前記冷房運転の期間の終了日とを定める機能を有する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の空調システム用の制御装置。
【請求項6】
前記冷房運転の期間の開始と前記冷房運転の期間の終了と前記暖房運転の期間の開始と前記暖房運転の期間の終了との4つの状態のうちの少なくとも1つの状態を入力情報として受け付けるインターフェイス部をさらに備え、
前記指示部は、
前記インターフェイス部が前記入力情報を受け付けた場合に、前記入力情報に従って前記状態を前記熱源機に指示し、加えて、前記インターフェイス部が前記入力情報を受け付けた月日を前記記憶部に格納し、翌年以降の対象期間において、当該月日を、前記代表値が所定の第1温度を上回った月日と、前記代表値が前記第2温度を下回った月日とのいずれかとして用いる
請求項5記載の空調システム用の制御装置。
【請求項7】
前記熱源機が生成した冷気又は暖気を建物の複数の空調領域それぞれに供給する熱量を
定める処理部と、
前記熱源機が生成した前記冷気又は前記暖気を前記複数の空調領域に配分する分配装置を制御する制御部とを更に備え、
前記分配装置は、
前記熱源機からの前記冷気又は前記暖気を前記複数の空調領域それぞれに配分するように複数系統に分岐した給気ダクトと、
前記給気ダクトの前記複数系統それぞれから前記複数の空調領域に吹き出す前記冷気又は前記暖気の流量を調節する複数のダンパとを備えており、
前記処理部は、
前記複数の空調領域それぞれについて、所定時間ごとに取得した現在温度と目標温度との相違の程度に基づいて前記ダンパの開度を決めるように構成されている
請求項1〜6のいずれか1項に記載の空調システム用の制御装置。
【請求項8】
空調システムが設置された建物が存在する地域において過去の所定日数分の外気温データから代表値を日毎に求めるステップと、
前記空調システムの冷房運転の期間の開始日又は暖房運転の期間の終了日を、過去の所定の複数年間である対象期間において前記代表値が所定の第1温度を上回った複数の月日から選択した1つの日に定め、前記空調システムの前記暖房運転の期間の開始日又は前記冷房運転の期間の終了日を、前記対象期間において前記代表値が前記第1温度より低い所定の第2温度を下回った複数の月日から選択した1つの日に定めるステップと、
前記空調システムの熱源機に、前記冷房運転の期間の開始日又は前記暖房運転の期間の終了日と、前記暖房運転の期間の開始日又は前記冷房運転の期間の終了日とを指示するステップとを備える
ことを特徴とする空調システムの制御方法。
【請求項9】
建物に供給する熱エネルギーを生成し、冷房運転と暖房運転とを切り替える熱源機と、
前記熱源機が生成した熱エネルギーを前記建物における複数の空調領域に配分する分配装置と、
前記複数の空調領域それぞれの温度を計測する複数の温度センサと、
前記複数の温度センサが計測した温度を現在温度として取得するように構成された請求項1〜7のいずれか1項に記載の空調システム用の制御装置とを備える
ことを特徴とする空調システム。
【請求項10】
前記熱源機は、前記熱エネルギーとして冷気又は暖気を生成するように構成され、
前記分配装置は、
前記熱源機からの前記冷気又は前記暖気を前記複数の空調領域それぞれに配分するように複数系統に分岐した給気ダクトと、
前記給気ダクトの前記複数系統それぞれから前記複数の空調領域に吹き出す前記冷気又は前記暖気の流量を調節する複数のダンパとを備える
請求項9記載の空調システム。
【請求項11】
前記分配装置は、
前記熱源機が供給する冷気又は暖気を複数のダンパに送る搬送ファンを更に備えている
請求項10記載の空調システム。
【請求項12】
前記搬送ファンが複数あり、
前記給気ダクトは、
前記複数の搬送ファンそれぞれからの前記冷気又は前記暖気を通す複数の分岐ダクトと、
前記複数の分岐ダクトそれぞれから複数系統に分岐し前記複数のダンパがそれぞれ配置されている複数の末端ダクトとを備えている
請求項11記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システム用の制御装置、空調システムの制御方法、空調システムに関する。本発明は、詳しくは、冷房運転と暖房運転との切替が可能な空調システム用の制御装置、空調システムの制御方法、制御装置を備える空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調設備(空調システム)を、季節に対応して冷房、暖房、停止に自動的に切り替える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、外気温度センサにより検出した外気温度(外気温)を基に所定期間の移動平均温度を求め、移動平均温度と基準となる外気温度の差から季節を判断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−28440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、外気温度の変化を外気温度センサで計測しているために、外気温度センサの施工状態によっては季節の判断結果に大きなずれが生じる可能性がある。また、外気温度センサの設置環境が施工時から変化することによって、季節の判断結果にずれが生じる可能性もある。
【0005】
本発明は、外気温度センサを用いることなく冷房運転と暖房運転とを適切なタイミングで自動的に切り替えることを可能にした空調システム用の制御装置、空調システムの制御方法、空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の空調システム用の制御装置は、空調システムの熱源機に冷房運転の期間の開始又は終了のタイミングと暖房運転の期間の開始又は終了のタイミングとをそれぞれ指示する指示部を備える。前記指示部には、冷房又は暖房の対象である建物が存在する地域の外気温データから求められた代表値に基づいて、前記冷房運転の期間の開始日又は前記暖房運転の期間の終了日と、前記暖房運転の期間の開始日又は前記冷房運転の期間の終了日とが設定される。前記代表値は、過去の所定日数分の前記外気温データから日毎に求められた温度である。前記冷房運転の期間の開始日又は前記暖房運転の期間の終了日は、過去の所定の複数年間である対象期間において前記代表値が所定の第1温度を上回った月日から選択された1つの日である。前記暖房運転の期間の開始日又は前記冷房運転の期間の終了日は、前記対象期間において前記代表値が前記第1温度より低い所定の第2温度を下回った月日から選択された1つの日である。
【0007】
本発明に係る一態様の空調システムの制御方法は、少なくとも以下の3つのステップを備える。第1のステップは、空調システムが設置された建物が存在する地域において過去の所定日数分の外気温データから代表値を日毎に求めるステップである。第2のステップは、前記空調システムの冷房運転の期間の開始日又は暖房運転の期間の終了日を、過去の所定の複数年間である対象期間において前記代表値が所定の第1温度を上回った複数の月日から選択した1つの日に定めるステップである。また、このステップでは、前記空調システムの前記暖房運転の期間の開始日又は前記冷房運転の期間の終了日を、前記対象期間において前記代表値が前記第1温度より低い所定の第2温度を下回った複数の月日から選択した1つの日に定める。第3のステップは、前記空調システムの熱源機に、前記冷房運転の期間の開始日又は前記暖房運転の期間の終了日と、前記暖房運転の期間の開始日又は前記冷房運転の期間の終了日とを指示するステップである。
【0008】
本発明に係る一態様の空調システムは、熱源機と分配装置と複数の温度センサと上述した空調システム用の制御装置とを備える。前記熱源機は、建物に供給する熱エネルギーを生成し、冷房運転と暖房運転とを切り替える。前記分配装置は、前記熱源機が生成した熱エネルギーを前記建物における複数の空調領域に配分する。前記複数の温度センサは、前記複数の空調領域それぞれの温度を計測する。前記制御装置は、前記複数の温度センサが計測した温度を現在温度として取得するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成では、外気温データに基づいて冷房運転の期間と暖房運転の期間とを切り替える時期を決めるから、外気温度センサを設置することなく冷房運転と暖房運転とを適切なタイミングで自動的に切り替えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は実施形態の全体構成を示す概略構成図である。
図2図2は実施形態における制御装置を示すブロック図である。
図3図3は実施形態において外気温データの代表値の推移と、冷房運転の期間と暖房運転の期間とを切り替える月日との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施形態においては、建物が戸建て住宅である場合を想定し、空調システムが全館空調システムである場合を想定している。この全館空調システムは、熱源機が生成した熱エネルギーを冷気あるいは暖気として建物のほぼ全体に供給する構成である。また、この全館空調システムは、空調と換気とを行うように構成されている。全館空調システムは、年間を通して運転される。そのため、冷気を供給する冷房運転と暖気を供給する暖房運転との切替が必要である。
【0012】
図1に示す空調システム10は、建物20に設置されており、熱源機11と、エアフィルタ12と、2台の搬送ファン13とを備える。また、図1に示す空調システム10は、1台の搬送ファン13に対して3個以上のダンパ14と、3個以上の吹出口15とを備えている。ダンパ14及び吹出口15の個数は、望ましくは5個以上7個以下である。ダンパ14と吹出口15とは一対一に対応しているため、ダンパ14と吹出口15との個数は同数である。ここでのダンパ14は、VAVユニット(VAV:Variable Air Volume)で実現される。搬送ファン13の台数と、ダンパ14及び吹出口15の個数とは、熱源機11の容量、建物20の構成及び規模などに応じて適宜に定められる。以下では説明を簡単にするために、ダンパ14と吹出口15が、1台の搬送ファン13に対して5個ずつである場合を例として説明する。
【0013】
また、空調システム10は、熱源機11から冷気又は暖気を吹出口15に送る給気ダクト16と、熱源機11に外気を導入する外気ダクト171とを備える。熱源機11には、建物20の内部の空気も導入される。図1では、建物20の内部の空気を熱源機11に導入する経路を符号172で表している。この経路172は、空気の流れを模式的に表しており、建物20の内部におけるドアの隙間、換気口のように空気が流通する箇所を含む。また、経路172は、還流用のダクトを備えていてもよい。
【0014】
熱源機11が送り出す空気には、熱源機11の運転状態に応じて、熱源機11が冷却した冷気と、熱源機11が加熱した暖気とがある。さらに、図1に示す空調システム10は制御装置30及び複数個の温度センサ18を備えている。ここでは、熱源機11とエアフィルタ12と2台の搬送ファン13とは、建物20に設置される単一の筐体101に収納されており、ユニット化されている。したがって、熱源機11からエアフィルタ12を通り2台の搬送ファン13に至る経路(図1に破線で示している)は、筐体101の内部に形成されている。
【0015】
この空調システム10は、熱源機11が生成した熱エネルギーを10個の吹出口15に配分するために、2台の搬送ファン13、及び10個のダンパ14を備えている。搬送ファン13が送り出した空気は、給気ダクト16を通して吹出口15に送られる。すなわち、2台の搬送ファン13と10個のダンパ14と給気ダクト16とは、熱源機11が生成した熱エネルギーを10個の吹出口15に配分する分配装置102を構成している。熱源機11が生成した熱エネルギーを10個の吹出口15に配分する割合は、2台の搬送ファン13それぞれの風量と、10個のダンパ14それぞれの開度とにより決まる。すなわち、制御装置30が分配装置102を制御することにより、熱源機11が生成した熱エネルギーを10個の吹出口15に配分する割合が決まる。そして、複数の空調領域21それぞれに単位時間に供給される熱量は、吹出口15から空調領域21に供給される空気の温度及び流量により決まる。
【0016】
ここでの空調領域21は、吹出口15に一対一に対応するように仮想的に定めた空間である。空調の対象である空調空間としての単一の部屋23に複数の吹出口15から冷気又は暖気を供給する場合、単一の部屋23に複数個の空調領域21が存在する。空調空間は、部屋23に限らず廊下あるいは階段などでもよい。図1に示す空調システム10では、1つの部屋23に2つの空調領域21が存在する場合を例示している。部屋23に示す破線は、空調領域21を実空間で仕切っているわけではなく、2つの空調領域21が存在することを示すために仮に設定した線である。
【0017】
制御装置30は、複数個の温度センサ18それぞれが計測した温度を所定時間ごとに現在温度として取得し、現在温度に基づいて熱源機11と分配装置102とを制御し、10個の吹出口15への単位時間当たりの熱量の配分量を調節する。複数個の温度センサ18それぞれは、輻射熱の影響を受けずに気温を計測するように、通気口を有したケースに収納されていることが望ましい。
【0018】
建物20は内部に複数の空調領域21を備える。空調領域21は、空調の対象となる空間である。複数の空調領域21それぞれは、一般的には、建物20の部屋23に一対一に対応している。ただし、単一の部屋23に複数の空調領域21が存在する場合があり、また単一の空調領域21が複数の部屋23に跨がる場合がある。空調領域21は、部屋23に限らず、廊下あるいは階段であってもよい。複数の空調領域21には、それぞれ吹出口15が配置される。すなわち、複数の空調領域21それぞれには、吹出口15から空気が供給される。
【0019】
温度センサ18と空調空間である部屋23(廊下あるいは階段でもよい)は、原則として一対一に対応し、温度センサ18は、部屋23の温度を計測する。したがって、単一の部屋23に複数の空調領域21が存在する場合、部屋23に1個の温度センサ18が配置される。図1に示す空調システム10では、2つの空調領域21がある単一の部屋23に、1個の温度センサ18が配置された例が示されている。したがって、図1に示す空調システム10は、10個の吹出口15に対して9個の温度センサ18を備える。単一の部屋23に複数の空調領域21が存在する場合、部屋23に配置された1個の温度センサ18が計測した温度は、複数の空調領域21で共用される。すなわち、空調領域21はダンパ14に一対一対応しているが、部屋23がダンパ14に一対多対応する場合、複数のダンパ14の開度は1個の温度センサ18が計測した温度により決まる。ただし、単一の部屋23に複数の空調領域21が存在する場合に、2個以上の温度センサ18が配置されていてもよい。
【0020】
温度センサ18が配置される場所は、吹出口15が吹き出した空気が温度センサ18に直接当たることがないように定められる。温度センサ18の位置は、空調領域21を囲む壁面であって、例えば床から110[cm]以上120[cm]以下の高さとなるように定められる。このような温度センサ18の位置は、適宜に変更することが可能である。温度センサ18の位置は一例に過ぎず、適宜に変更することが可能である。
【0021】
熱源機11は、1台の室内機111と1台の室外機112とを備えたヒートポンプ式のエアコンであって、室内機111からの空気は給気ダクト16を通して空調領域21に供給される。また、室内機111が取り込む空気は、建物20の床下22から外気ダクト171を通して取り込まれる屋外の空気と、建物20の内部から経路172を通して回収される屋内の空気とである。外気ダクト171は、床下22の空気を取り込む換気ファン19に接続されている。
【0022】
熱源機11は、夏季には室内機111から冷気を送り出す冷房運転を行い、冬季には室内機111から暖気を送り出す暖房運転を行う。熱源機11の冷房運転と暖房運転との切替は、春季あるいは秋季のような中間期に行う。冷房運転と暖房運転との違いは、熱源機11の設定温度を、上限値として用いるか、下限値として用いるかの相違である。熱源機11は、冷房運転の際は、室内機111から送り出す冷気の温度が上限値である熱源機11の設定温度を上回らないように動作し、暖房運転の際は、室内機111から送り出す暖気の温度が下限値である熱源機11の設定温度を下回らないように動作する。以下の説明において、暖房運転の際の熱量は暖気の熱量を意味し、冷房運転の際の熱量は冷気の熱量を意味する。
【0023】
室内機111からの空気は、エアフィルタ12を通して搬送ファン13に送られる。エアフィルタ12は、HEPAフィルタ(HEPA:High Efficiency Particulate Air)であることが望ましい。エアフィルタ12がHEPAフィルタであれば、微小粒子状物質の除去が可能である。ここに、サイズが比較的大きい塵埃及び昆虫などは、換気ファン19と外気ダクト171と室内機111とを含む経路内の1箇所以上に配置されたフィルタによって、空気をエアフィルタ12に導入する前に除去される。そのため、エアフィルタ12の目詰まりが抑制される。
【0024】
この空調システム10では、給気ダクト16は、2台の搬送ファン13が送り出した空気がそれぞれ導入される2系統の分岐ダクト161を備える。すなわち、室内機111から送り出されエアフィルタ12を通過した後に2台の搬送ファン13に送られた空気が、搬送ファン13ごとに異なる分岐ダクト161に導入される。2台の搬送ファン13はそれぞれ室内機111からの空気を加速する。この空調システム10では、2系統の分岐ダクト161それぞれが、更に5系統以上の末端ダクト162に分岐している。つまり、室内機111からの空気は10系統の末端ダクト162に導入される。
【0025】
10系統の末端ダクト162のそれぞれにはダンパ14が配置される。ダンパ14は、開度が調節可能であり、開度の変化により末端ダクト162を通る空気の流量を変化させる。末端ダクト162の末端には吹出口15が接続されている。したがって、室内機111からの空気は、搬送ファン13を通してダンパ14に送られ、ダンパ14で流量が調節された後、吹出口15を通して空調領域21に吹き出す。
【0026】
上述した空調システム10は、建物20の換気を常時行う。そのため、原則として、搬送ファン13は常に運転を行う。また、空調システム10は、冷房運転あるいは暖房運転を必要としない場合、熱源機11を停止させる。すなわち、外気ダクト171から室内機111に導入される外気は、熱源機11が冷却あるいは加熱を行わない場合でも、換気のために搬送ファン13により空調領域21に送り込まれる。ただし、メンテナンスなどの必要に応じて搬送ファン13を停止させることは可能である。また、換気扇などによる換気を行う場合、搬送ファン13を停止させる場合もある。
【0027】
以下では、制御装置30について詳述する。制御装置30は、図2に示すように、処理部31と制御部32とを備える。処理部31は、複数の空調領域21のそれぞれに供給する熱量の配分量を定める。制御部32は、熱源機11と搬送ファン13とダンパ14との制御を行う。また、制御装置30は、操作表示装置40との間で情報の入力及び出力を行うためのインターフェイス部33を備える。
【0028】
操作表示装置40は、表示装置とタッチパッドとを含むタッチパネルを備え、ユーザインターフェイス(GUI:Graphic User Interface)として機能する。すなわち、制御装置30は、操作表示装置40が備える表示装置に情報を出力し、操作表示装置40が備えるタッチパッドから入力される情報を受け付ける。操作表示装置40には、必要に応じて様々な画面が表示される。操作表示装置40は、専用でなくても、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどであってもよい。また、操作表示装置40ではなく、表示装置と操作装置とを個別に備えていてもよい。
【0029】
操作表示装置40に表示される1つの画面は、ユーザの操作による入力情報として、複数の部屋23それぞれのユーザ希望温度を受け付ける。制御装置30は、操作表示装置40が受け付けたユーザ希望温度を記憶部34に格納する。記憶部34には、複数の部屋23それぞれについてユーザ希望温度が格納される。
【0030】
図2に示す制御装置30の処理部31は、複数の温度センサ18それぞれと通信する取得部310を備える。この空調システム10では、取得部310は、温度センサ18との間で有線通信を行い、複数の温度センサ18に対して定期的に現在温度を問い合わせるように構成されている。すなわち、取得部310は、複数の温度センサ18に対してポーリングを行うことにより、個々の温度センサ18から現在温度を取得する。取得部310が複数の温度センサ18それぞれに現在温度を問い合わせる周期は、1分以上15分以下の範囲、望ましくは5分以上10分以下の範囲に定められている。この周期は、温度センサ18の計測精度、部屋23の温度が変化する速さなどにより決まる。
【0031】
取得部310が温度センサ18から取得した現在温度は、取得部310が温度センサ18に問い合わせたときに温度センサ18が計測した温度である。ただし、温度センサ18が取得部310からの問い合わせを受けた時点付近に定めた所定期間での温度の平均値であってもよい。この所定期間は、温度センサ18が取得部310から問い合わせを受けた時点の前と後とのどちらか、あるいは、その時点を跨ぐ。この所定期間は、例えば10秒以上3分以下の範囲、望ましくは30秒以上1分以下の範囲に定められている。
【0032】
制御装置30の処理部31は、取得部310に加えて、指示部311、計算部312、決定部313を備える。また、制御装置30は、月日をカウントするために、リアルタイムクロックのような時計部を備える。ここで、説明のために、取得部310が取得する現在温度の時系列に順序を表す正の整数値iを対応付け、複数の部屋23を互いに区別するための識別情報をjで表す。識別情報jは、例えば正の整数値で表される。
【0033】
指示部311は、空調システム10の冷房運転の期間の開始又は終了のタイミングと、空調システム10の暖房運転の期間の開始又は終了のタイミングとを求め、求めたタイミングを熱源機11に指示する。以下では、冷房運転の期間を「冷房期間」と言い換え、暖房運転の期間を「暖房期間」と言い換える。
【0034】
以下の説明では、指示部311が、暖房期間の終了のタイミングと、冷房期間の終了のタイミングとを熱源機11に指示するように構成された例を示す。ただし、指示部311は、熱源機11に対して、冷房期間の開始のタイミングと暖房期間の開始のタイミングとを指示するように構成されていてもよい。また、指示部311は、熱源機11に対して、冷房期間の開始及び終了のタイミングとを指示する構成であるか、暖房期間の開始及び終了のタイミングを指示する構成であってもよい。
【0035】
指示部311は、熱源機11に冷房運転と暖房運転とを切り替えるように指示する。冷房期間が終了すれば暖房期間が開始され、暖房期間が終了すれば冷房期間が開始される。冷房期間が終了しても、複数の部屋23の現在温度のいずれもが暖房運転を実施する温度でなければ、熱源機11は冷房運転と暖房運転とのどちらも行わない。また、暖房期間が終了しても、複数の部屋23の現在温度のいずれもが冷房運転を実施する温度でなければ、熱源機11は、冷房運転と暖房運転とのどちらも行わない。指示部311は、冷房期間の終了のタイミング及び暖房期間の終了のタイミングを、熱源機11が停止している春季あるいは秋季のような中間期に定める。
【0036】
計算部312は、複数の部屋23それぞれについて、記憶部34に格納されているユーザ希望温度に基づいて目標温度を定める。制御装置30の動作によっては、目標温度がユーザ希望温度と異なる場合があるが、ここでは、目標温度がユーザ希望温度と同じである場合について説明する。計算部312は、取得部310が取得した現在温度とを入力として、目標温度と現在温度との温度差を計算する。識別情報がjである部屋23について、取得部310が取得した現在温度をθj1(i)で表し、目標温度をθj2で表すと、計算部312は、温度差Δθj(i)を、Δθj(i)=θj1(i)−θj2という計算で求め、正負の符号付きで出力する。計算部312は、複数の部屋23それぞれについて温度差Δθj(i)を求める。計算部312が求めた温度差Δθj(i)は、部屋23の識別情報jに対応付けて記憶部34に一時的に格納される。記憶部34に格納された温度差Δθj(i)は、取得部310が現在温度θj1(i)を取得するたびに更新される。
【0037】
決定部313は、複数の部屋23それぞれについて、計算部312が求めたi番目の温度差Δθj(i)を用いて、複数の部屋23それぞれに熱源機11から供給する熱量の配分量を定める。複数の部屋23それぞれに配分される熱量は、複数のダンパ14それぞれの開度と、2台の搬送ファン13それぞれの風量と、熱源機11が単位時間当たりに生成する熱量とにより定まる。すなわち、決定部313は、複数の部屋23それぞれの温度差Δθj(i)に基づいて、複数のダンパ14それぞれの開度を定めた後に、2台の搬送ファン13それぞれの風量及び熱源機11が単位時間当たりに生成する熱量を定める。
【0038】
建物20の1つの部屋23に着目すると、決定部313は、空調システム10が冷房期間には、温度差Δθj(i)の符号が正であって絶対値が大きいほど、開度が大きくなるようにダンパ14の開度を定める。一方、空調システム10が暖房期間には、決定部313は、温度差Δθj(i)の符号が負であって絶対値が大きいほど、開度が大きくなるようにダンパ14の開度を定める。ダンパ14の開度は、複数段階から選択される。決定部313は、温度差Δθj(i)を複数の区間に区分し、温度差Δθj(i)の各区間にダンパ14の開度を対応付けている。したがって、決定部313は、温度差Δθj(i)に応じたダンパ14の開度を定めることができる。
【0039】
取得部310が複数の部屋23それぞれの現在温度を取得すると、決定部313は複数の部屋23それぞれに対応するダンパ14の開度を求める。決定部313は、複数の部屋23それぞれに配分する単位時間当たりの熱量を決めるために、ダンパ14の開度を求めた後には、2台の搬送ファン13それぞれの風量を求める。2台の搬送ファン13の風量は、それぞれ複数段階から選ぶことが可能であり、この空調システム10では、2台の搬送ファン13の風量がそれぞれ4段階から選ばれる。
【0040】
この空調システム10では1台の搬送ファン13に5個のダンパ14を対応させているから、決定部313は、1台の搬送ファン13の風量を、搬送ファン13に対応した5個のダンパ14の開度に基づいて定める。搬送ファン13の風量は、ダンパ14の開度とあらかじめ対応付けてある。決定部313は、1台の搬送ファン13に対応した5個のダンパ14それぞれの開度を決めた後、搬送ファン13の風量を定める。また、決定部313は、10個のダンパ14の開度に基づいて2台の搬送ファン13の風量を決めた後、熱源機11の風量を定める。搬送ファン13の風量と熱源機11の風量とは、あらかじめ対応付けられている。
【0041】
熱源機11の設定温度は、空調システム10が冷房運転であれば、複数の部屋23の目標温度のうちの最低温度よりも低い温度に設定され、空調システム10が暖房運転であれば、複数の部屋23のうちの目標温度の最高温度よりも高い温度に設定される。例えば、暖房運転であれば熱源機11の設定温度は、複数の部屋23の目標温度のうちの最高温度に、適宜の温度を加算した値に定められる。最高温度に加算する温度は、1[℃]以上7[℃]未満の範囲から選択され、一例として4[℃]に定められる。冷房運転であれば、同程度の温度が上述した最低温度から減算される。熱源機11の設定温度が決まると、熱源機11が単位時間当たりに供給する熱量は、風量によって調節される。決定部313は、熱源機11の風量を、2台の搬送ファン13の風量の合計に近くなるように決定する。
【0042】
次に、冷房期間と暖房期間とを定める方法について説明する。指示部311には、外気温データの代表値に基づいて、冷房期間の終了のタイミングと、暖房期間の終了のタイミングとが設定される。外気温データは、建物20が存在する地域の過去の外気温データである。上述の地域としては、例えば、平成25年改正版の「次世代省エネルギー地域区分」による8つの地域が用いられる。地域の区分が次世代省エネルギー地域区分であることは必須ではないが、この区分は、建設省が改正した断熱化基準であるから、外気温の変化特性を区分するための基準として客観性を有している。
【0043】
代表値は、日毎に過去の所定日数分の外気温データから求められる。代表値は、過去7日間の日平均気温の移動平均値であることが望ましい。代表値は、移動平均値ではなく、最大値、最小値、中央値などから選択される値でもよい。移動平均値を求める期間が、7日間であるのは、気温の日々の変動を平滑することで気温変化の傾向が捉えやすく、かつ季節による気温の変化が反映されるからである。ただし、移動平均値を求める期間は、5日間以上20日間以下の範囲で選択してもよく、望ましくは7日間以上10日間以下の範囲で選択される。代表値が移動平均値ではない場合も、同程度の期間の代表値が用いられる。
【0044】
ここで、過去の複数年間を対象期間とし、対象期間における代表値の推移に基づいて、冷房期間の終了のタイミングと、暖房期間の終了のタイミングとが定められる。対象期間は、例えば最近の過去の5年間であって、最近の過去の3年間以上30年以下の範囲、望ましくは最近の過去の3年以上10年以下の範囲から選択される。対象期間を複数年間に定めることにより、年毎の外気温データの変動の影響が抑制される。
【0045】
図3に示すグラフは、岡山での外気温の日平均気温に関する7日間の移動平均値を、2011年から2015年までの5年間について表している。すなわち、図3は、対象期間の代表値を同じ月日ごとにまとめたグラフである。対象期間は2011年から2015年までの5年間であり、代表値は日平均気温に関する7日間の移動平均値である。また、岡山は、平成25年改正版の次世代省エネルギー地域区分における「6地域」の代表地点である。
【0046】
図3を見れば明らかなように、過去の複数年間における外気温データの代表値は同様の傾向で変化するが、年毎にずれが生じている。そのため、暖房期間Twの終了時点の外気温に相当する第1温度θwと、冷房期間Tcの終了時点の外気温に相当する第2温度θcとを定めておき、対象期間における代表値と、第1温度θwおよび第2温度θcとを比較する。第1温度θwは第2温度θcよりも低い温度に設定される。
【0047】
省エネルギーの観点で、暖房時の室温は20[℃]程度、冷房時の室温は28[℃]程度が推奨されている。ただし、第1温度θw及び第2温度θcは、外気温に対して設定される温度である。そのため、例えば、第1温度θwは15[℃]以上20[℃]以下の範囲で選択し、第2温度θcは20[℃]以上26[℃]以下の範囲で選択することが望ましい。図3に示す例では、第1温度θwは15[℃]であり、第2温度θcは23[℃]である。
【0048】
暖房期間Twの終了日は、例えば、外気温の日平均温度から求めた代表値が第1温度θwを上回った月日のうち対象期間においてもっとも遅い月日とする。また、冷房期間Tcの終了日は、例えば、外気温の日平均温度から求めた代表値が第2温度θcを下回った月日のうち対象期間においてもっとも遅い月日とする。図3の例では、暖房期間Twの終了日が5月9日であり、冷房期間Tcの終了日が10月15日に定められている。制御装置30は、暖房期間Twの終了日の翌日を冷房期間Tcの開始日とし、冷房期間Tcの終了日の翌日を暖房期間Twの開始日に定める。
【0049】
上述の手順で、暖房期間Twの開始日及び冷房期間Tcの開始日を、次世代省エネルギー地域区分における8つの地域それぞれについて求めた結果を表1に示す。表1は、8つの地域のうちの4つの地域について、暖房期間Twの開始日及び冷房期間Tcの開始日を示している。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示す月日は、過去の所定の複数年間である対象期間における外気温データに基づいて定められるため、冷房期間Tcと暖房期間Twとの切替を、適切に行うことが可能である。
【0052】
ここに、暖房期間Twの終了日と、冷房期間Tcの終了日との少なくとも一方は、ユーザが操作表示装置40を用いて指示部311に与えることが可能である。インターフェイス部33が、暖房期間Twの終了日と、冷房期間Tcの終了日との少なくとも一方を入力情報として、操作表示装置40から受け取ると、指示部311は、入力情報に従う状態を熱源機11に指示する。たとえば、入力情報が暖房期間Twの終了日であるとすると、指示部311は、対象期間の外気温データに基づいて定められた終了日ではなく、入力情報として与えられた終了日に暖房期間Twを終了させる。
【0053】
また、指示部311は、入力情報として受け取った月日を記憶部34に格納する。記憶部34に格納された月日は、外気温データに基づいて定められた月日と同様に扱われる。すなわち、入力情報による月日を受け取った場合、指示部311は、入力情報によって受け取った月日を翌年以降も使用する。入力情報による月日は、操作表示装置40によりキャンセルを行うことも可能である。入力情報による月日を受け取っていない場合、指示部311は、対象期間の外気温データに基づいて定められた月日を使い続ける。
【0054】
指示部311は、上述のようにして定められた月日を用い、冷房期間Tcと暖房期間Twとの切替を熱源機11に指示する。第1温度θwと第2温度θcとが適切に設定されていれば、冷房期間Tcと暖房期間Twとの切替は、熱源機11が停止している中間期に行われる。したがって、熱源機11は、冷房期間Tcには複数の空調領域21のうちのいずれかにおいて現在温度θ1(i)が目標温度θ2を上回るまでは停止状態に保たれる。また、熱源機11は、暖房期間Twには複数の空調領域21のうちのいずれかにおいて現在温度θ1(i)が目標温度θ2を下回るまでは停止状態に保たれる。
【0055】
上述した制御装置30は、プログラムを実行するプロセッサを備えるデバイスを主なハードウェア構成として実現される。プロセッサを備えるデバイスは、半導体メモリを別に設けるMPU(Micro Processing Unit)のほか、半導体メモリと合わせて単一のパッケージに収納したマイクロコントローラ(Micro-Controller)でもよい。制御装置30は、メモリとして、少なくともRAM(Random Access Memory)を備え、他にROM(Read-Only Memory)とEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)との少なくとも一方を備えることが望ましい。
【0056】
プログラムは、ROMに書き込まれた状態で提供されるほか、光学記録ディスクのような記録媒体あるいはフラッシュメモリを備える記録媒体であって、コンピュータ読取可能な記録媒体によって提供されてもよい。また、プログラムは、インターネット、移動体通信網などの電気通信回線を通して提供されてもよい。記録媒体あるいは電気通信回線により提供されるプログラムは、書換可能な不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)に格納されることが望ましい。
【0057】
暖房期間Twの終了日は、複数年間である対象期間において、代表値が第1温度θwを上回った月日のうちのもっとも早い月日であってもよく、冷房期間Tcの終了日は、代表値が第2温度θcを下回った月日のうちのもっとも早い月日であってもよい。また、暖房期間Twの終了日と冷房期間Tcの終了日との一方はもっとも遅い日とし他方はもっとも早い日を選択することが可能である。冷房期間Tcの終了日と暖房期間Twの終了日とは、対象期間から求めた複数の月日を平均した月日、あるいは対象期間から求めた複数の月日の中央の月日であってもよい。冷房期間Tcの開始日は、暖房期間Twの終了日の翌日であることは必須ではなく、また暖房期間Twの開始日は、冷房期間Tcの終了日の翌日であることも必須ではない。すなわち、冷房期間Tcと暖房期間Twとの間に、冷房運転でも暖房運転でもない期間があってもよい。
【0058】
また、上述した空調システム10では、暖房期間Twの終了日は、外気温データの代表値が第1温度θwを上回った月日に基づいて定められ、冷房期間Tcの終了日は、外気温データの代表値が第2温度θcを下回った月日に基づいて定められている。これに対し、冷房期間Tcの開始日は、外気温データの代表値が第1温度θwを上回った月日に基づいて定められ、暖房期間Twの開始日は、外気温データの代表値が第2温度θcを下回った月日に基づいて定められてもよい。
【0059】
建物20は、戸建て住宅に限らず、集合住宅、店舗などの他の建物であってもよい。空調システム10として、ヒートポンプ式の熱源機11を備える構成を例示したが、空調システム10は、温水あるいは冷水を複数のファンコイルユニットに通す構成などであってもよい。また、熱源機11が生成した冷気又は暖気を複数の空調領域21に分配する場合を例として説明したが、単一の空調領域21に1台の熱源機11が配置されている場合でも、熱源機11を通年で運転する場合には、上述した技術を採用することが可能である。
【0060】
上述した空調システム10では、エアフィルタ12としてHEPAフィルタを採用しているが、他の構成のエアフィルタ12を用いることを妨げない。上述した搬送ファン13の台数、ダンパ14及び吹出口15の個数、温度センサ18の個数、部屋23の個数などは一例であり、適宜に変更される。また、搬送ファン13は空調システム10の必須構成ではない。すなわち、空調システム10は、熱源機11が生成した冷気又は暖気が、加速されることなくダンパ14を通って吹出口15から吹き出す構成であってもよい。
【0061】
上述した空調システム10において、取得部310は、温度センサ18との間で有線通信を行っているが、無線通信を行ってもよく、建物20において有線通信と無線通信とが混在していてもよい。取得部310と温度センサ18との間の通信規約にはとくに制限はない。また、上述した空調システム10では、取得部310が複数の温度センサ18それぞれに現在温度を問い合わせる構成であるが、複数の温度センサ18が適宜のタイミングで現在温度を取得部310に送信する構成であってもよい。
【0062】
さらに、上述した空調システム10では、現在温度θ1(i)と目標温度θ2との相違の程度が温度差Δθ(i)で表されており、制御装置30は、温度差Δθ(i)に基づいてダンパ14の開度を決めている。これに対して、現在温度θ1(i)と目標温度θ2との相違の程度は、目標温度θ2に対する現在温度θ1(i)の比で表してもよい。
【0063】
ところで、冷房期間及び暖房期間は制御装置30が定めてもよい。この場合、制御装置30は、図2に破線で示すように、通信部35と更新部36とを備えることが望ましい。通信部35は、インターネットのような電気通信回線に接続され、気象情報を提供する事業者などが運営するコンピュータサーバから電気通信回線を通して、地域の外気温データを日毎に取得する。計算部312は、目標温度と現在温度との温度差を求める機能のほかに、通信部35が地域の外気温データを取得したときに、日毎に過去の所定日数分の外気温データの代表値を求める機能を有する。
【0064】
計算部312が日毎に求めた代表値は記憶部34に格納される。記憶部34は、日毎の代表値を、過去の複数年間について記憶する。指示部311は、記憶部34に格納されている対象期間における代表値の推移に基づいて、冷房期間の終了のタイミングと、暖房期間の終了のタイミングとを定める。ここに、制御装置30は、通信部35を通して地域の外気温データを日毎に取得しているが、通信部35は対象期間における外気温データを一括して取得する構成であってもよい。
【0065】
制御装置30が通信部35及び更新部36を備える場合、代表値は、計算部312が求め、暖房期間Tw及び冷房期間Tcは、指示部311が決める。すなわち、計算部312は、通信部35が取得した地域の日毎の外気温データに基づいて代表値を計算する。代表値は、上述したように、複数日の外気温データに基づいて求められる。
【0066】
指示部311は、例えば、暖房期間Twの終了日と冷房期間Tcの終了日とを指示部311が決める場合に、外気温の日平均温度から求めた代表値が第1温度θwを上回った月日のうち対象期間においてもっとも遅い月日を暖房期間Twの終了日とする。また、指示部311は、外気温の日平均温度から求めた代表値が第2温度θcを下回った月日のうち対象期間においてもっとも遅い月日を冷房期間Tcの終了日とする。冷房期間Tcの開始日は、例えば暖房期間Twの終了日の翌日に定めることが可能であり、暖房期間Twの開始日は、例えば冷房期間Tcの終了日の翌日に定めることが可能である。また、暖房期間Twの終了日と冷房期間Tcの開始日との間、冷房期間Tcの終了日と暖房期間Twの開始日との間の少なくとも一方は、複数日の期間を含んでいてもよい。
【0067】
更新部36は、暖房期間Twおよび冷房期間Tcを定める月日を、通信部35が取得した地域の外気温データに基づいて毎年更新する。すなわち、更新部36は、記憶部34が記憶している代表値を年毎に更新し、指示部311は、更新された代表値を用いて、暖房期間Twおよび冷房期間Tcを年毎に自動的に定める。
【0068】
また、暖房期間Twの終了日と冷房期間Tcの終了日との少なくとも一方を入力情報としてインターフェイス部33が操作表示装置40から受け取ると、指示部311は、入力情報を熱源機11に指示するだけでなく、入力情報を記憶部34に格納する。この場合、記憶部34に入力情報として格納された月日は、通信部35が取得した外気温データから自動的に設定された月日と同様に扱われ、翌年以降の対象期間において、暖房期間Twの終了日あるいは冷房期間Tcの終了日を決める際に採用される。
【0069】
例えば、対象期間が最近の過去の5年間であって、2年前に暖房期間Twから冷房期間Tcへの切替が入力情報に基づいて行われた場合を想定する。外気温データが1年に1回以上更新されている場合、指示部311は、2年前の切替の月日と、対象期間の他の4年のそれぞれで代表値が第1温度θwを上回った月日とを比較し、もっとも遅い月日を暖房期間Twの終了日に定める。外気温データを更新しておらず、入力情報による月日も受け取っていない場合、指示部311は、対象期間の外気温データに基づいて過去に定めた月日を使い続ける。
【0070】
通信部35を備える制御装置30は、建物20が存在する地域の外気温データを通信部35を通して取得し、計算部312が取得した外気温データに基づく代表値を計算し、算出した代表値を記憶部34に記憶させている。ただし、外気温データは、記憶部34に記憶させなくとも、計算部312が代表値を計算するたびに通信部35を通して取得することも可能である。また、外気温データは、次世代省エネルギー地区区分による地域ごとに求めているが、建物20からもっとも近い場所の気象情報を用いてもよい。
【0071】
上述したように、空調システム用の制御装置30は、空調システム10の熱源機11に冷房運転の期間Tcの開始又は終了のタイミングと暖房運転の期間Twの開始又は終了のタイミングとをそれぞれ指示する指示部311を備える。指示部311には、冷房又は暖房の対象である建物20が存在する地域の外気温データから求められた代表値に基づいて冷房運転の期間Tcの開始日又は暖房運転の期間Twの終了日と、暖房運転の期間Twの開始日又は冷房運転の期間Tcの終了日とが設定される。代表値は、過去の所定の複数年間である対象期間の外気温データから日毎に求められた温度である。冷房運転の期間Tcの開始日又は暖房運転の期間Twの終了日は、対象期間において代表値が所定の第1温度θwを上回った月日から選択された1つの日であり、暖房運転の期間Twの開始日又は冷房運転の期間Tcの終了日は、対象期間において代表値が第1温度θwより低い所定の第2温度θcを下回った月日から選択された1つの日である。
【0072】
制御装置30は、地域の外気温データに基づいて冷房運転の期間Tcと暖房運転の期間Twとを切り替える時期を決めるから、外気温度センサを用いることなく冷房運転と暖房運転とを適切なタイミングで自動的に切り替えることが可能である。すなわち、地域における外気温データの推移を冷房運転の期間Tcと暖房運転の期間Twとの切替に用いているから、地域に応じた適切なタイミングで切替が可能である。
【0073】
指示部311は、対象期間において、代表値が第1温度θwを上回った月日のうちのもっとも遅い日を暖房運転の期間Twの終了日とし、代表値が第2温度θcを下回った月日のうちのもっとも遅い日を冷房運転の期間Tcの終了日とすることが望ましい。
【0074】
すなわち、対象期間における外気温データに基づいて、暖房運転の期間Twと冷房運転の期間Tcとを切替える月日を一意に決定することが可能である。
【0075】
代表値は、過去7日間の日平均気温の移動平均値であることが望ましい。すなわち、7日ずつの平均値を用いるから、外気温の変化の傾向を抽出しながらも、季節による外気温の変動が反映されやすく、冷房運転の期間Tcと暖房運転の期間Twとの切替が適切に行われる。
【0076】
地域は、次世代省エネルギー地域区分による8つの地域から選択されることが望ましい。すなわち、採用する外気温データの種類を低減させながらも、冷房運転の期間Tcと暖房運転の期間Twとを、客観性のある指標に基づいて切り替えることができる。
【0077】
制御装置30は、計算部312と記憶部34と更新部36とを備えていてもよい。計算部312は、電気通信回線を通して取得した外気温データから代表値を求める。記憶部34は、対象期間における代表値を記憶する。更新部36は、記憶部34が記憶している代表値を年毎に更新する。この場合、指示部311は、記憶部34が記憶している代表値に基づいて、冷房運転の期間Tcの開始日又は暖房運転の期間の終了日Twと、暖房運転の期間Twの開始日又は冷房運転の期間Tcの終了日とを定める機能を有することが望ましい。
【0078】
この構成では、記憶部34が複数年間の代表値を記憶し、かつ記憶部34が記憶する代表値が年毎に更新されるから、気候変動の影響があっても冷房運転の期間Tcと暖房運転の期間Twとの切替を精度よく行うことが可能である。
【0079】
制御装置30は、冷房運転の期間Tcの開始と冷房運転の期間Tcの終了と暖房運転の期間Twの開始と暖房運転の期間Twの終了との4つの状態のうちの少なくとも1つの状態を入力情報として受け付けるインターフェイス部33を備えていてもよい。指示部311は、インターフェイス部33が入力情報を受け付けた場合に、入力情報に従って状態を熱源機11に指示する。加えて、指示部311は、インターフェイス部33が入力情報を受け付けた月日を記憶部34に格納し、翌年以降の対象期間において、当該月日を、代表値が所定の第1温度θwを上回った月日と、代表値が第2温度θcを下回った月日とのいずれかとして用いる。
【0080】
すなわち、冷房運転の期間Tcの開始又は終了と暖房運転の期間Twの開始又は終了をユーザが入力情報として制御装置30に与えることが可能であり、ユーザが制御装置30に与えた情報が、翌年以降の制御に反映されることになる。したがって、ユーザの都合あるいは嗜好に応じたタイミングで、冷房運転の期間Tcと暖房運転の期間Twとの切替が可能になる。
【0081】
制御装置30は、処理部31と制御部32とを備えていることが望ましい。処理部31は、熱源機11が生成した冷気又は暖気を建物20の複数の空調領域21それぞれに供給する熱量を定める。制御部32は、熱源機11が生成した冷気又は暖気を複数の空調領域21に配分する分配装置102を制御する。分配装置102は、給気ダクト16と複数のダンパ14とを備える。給気ダクト16は、熱源機11からの冷気又は暖気を複数の空調領域21それぞれに配分するように複数系統に分岐している。複数のダンパ14は、給気ダクト16の複数系統それぞれから複数の空調領域21に吹き出す冷気又は暖気の流量を調節する。処理部31は、複数の空調領域21それぞれについて、所定時間ごとに取得した現在温度θ1(i)と目標温度θ2との相違の程度に基づいてダンパ14の開度を決めるように構成されている。
【0082】
すなわち、熱源機11が生成した冷気又は暖気を複数の空調領域21に配分する際に、目標温度θ2に対する現在温度θ1(i)の相違の程度によって空調領域21に供給される熱量が調節される。その結果、複数の空調領域21それぞれが要求する熱量に応じた熱エネルギーの配分が可能になる。
【0083】
空調システムの制御方法は、以下の3つのステップを少なくとも備える。第1のステップは、空調システム10が設置された建物20が存在する地域において過去の所定の複数年間である対象期間の外気温データから代表値を日毎に求めるステップである。第2のステップは、空調システム10の冷房運転の期間Tcの開始日又は暖房運転Twの期間の終了日が、対象期間において代表値が所定の第1温度θwを上回った複数の月日から選択した1つの日に定めるステップである。また、このステップでは、空調システム10の暖房運転の期間Twの開始日又は冷房運転の期間Tcの終了日が、対象期間において代表値が第1温度θwより低い所定の第2温度θcを下回った複数の月日から選択した1つの日に定められる。第3のステップは、空調システム10の熱源機11に、冷房運転の期間Tcの開始日又は暖房運転の期間Twの終了日と、暖房運転の期間Twの開始日又は冷房運転の期間Tcの終了日とを指示するステップである。
【0084】
すなわち、地域の外気温データに基づいて冷房運転の期間Tcと暖房運転の期間Twとを切り替える時期を決めるから、外気温度センサを用いることなく地域に応じた適切なタイミングで冷房運転と暖房運転とを自動的に切り替えることが可能である。
【0085】
空調システム10は、熱源機11と分配装置102と温度センサ18と制御装置30とを備える。熱源機11は、建物20に供給する熱エネルギーを生成し、冷房運転と暖房運転とを切り替える。分配装置102は、熱源機11が生成した熱エネルギーを建物における複数の空調領域21に配分する。温度センサ18は、複数の空調領域21それぞれの温度を計測する。制御装置30は、複数の温度センサ18が計測した温度を現在温度θ1(i)として取得するように構成されている。
【0086】
この空調システム10は、制御装置30が空調領域21の温度を計測する温度センサ18から現在温度θ1(i)を取得し、現在温度θ1(i)に基づいて空調領域21に熱エネルギーを配分する。
【0087】
熱源機11は、熱エネルギーとして冷気又は暖気を生成するように構成されていることが望ましい。この場合、分配装置102は、給気ダクト16とダンパ14とを備えることが望ましい。給気ダクト16は、熱源機11からの冷気又は暖気を複数の空調領域21それぞれに配分するように複数系統に分岐している。複数のダンパ14は、給気ダクト16の複数系統それぞれから複数の空調領域21に吹き出す冷気又は暖気の流量を調節する。
【0088】
すなわち、熱源機11が生成した冷気又は暖気を複数の空調領域21に配分する際に、複数の空調領域21それぞれに対応したダンパ14の開度を調節することによって、複数の空調領域21それぞれの温度を個別に調節することが可能である。
【0089】
分配装置102は、熱源機11が供給する冷気又は暖気を複数のダンパ14に送る搬送ファン13を備えていてもよい。
【0090】
すなわち、搬送ファン13が熱源機11からの冷気又は暖気を加速するから、熱源機11から離れた空調領域21でも熱量の調節が可能である。また、搬送ファン13とダンパ14とによって、空調領域21に単位時間当たりに供給する熱量が調節されるから、空調領域21ごとに単位時間当たりに供給する熱量の精度を高めることが可能である。
【0091】
搬送ファン13が複数ある場合、給気ダクト16は、複数の分岐ダクト161と複数の末端ダクト162とを備えることが望ましい。この場合、複数の分岐ダクト161は、搬送ファン13がそれぞれ配置される。また、複数の末端ダクト162は、複数の分岐ダクト161それぞれから更に複数系統に分岐しダンパ14がそれぞれ配置される。
【0092】
すなわち、1台の搬送ファン13に複数個のダンパ14が対応し、かつ搬送ファン13の風量を、複数のダンパ14それぞれの開度に基づいて調節するから、空調領域21の数に対して、搬送ファン13の台数を低減させることができる。その結果、建物20に設置する搬送ファン13の台数の低減が可能になり、設備の導入費用の抑制が可能になる。
【0093】
以上説明した実施形態は、本発明の様々な実施形態の一部に過ぎない。また、上述した実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 空調システム
11 熱源機
13 搬送ファン
14 ダンパ
16 給気ダクト
18 温度センサ
20 建物
21 空調領域
30 制御装置
31 処理部
32 制御部
33 インターフェイス部
34 記憶部
36 更新部
102 分配装置
161 分岐ダクト
162末端ダクト
311 指示部
312 計算部
Tc 冷房期間(冷房運転の期間)
Tw 暖房期間(暖房運転の期間)
θ1(i)、θj1(i) 現在温度
θ2、θj2 目標温度
θw 第1温度
θc 第2温度
図1
図2
図3