【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年10月5日、コーセー化粧品販売株式会社(東京都中央区日本橋3丁目6番2号)において、コーセーコスメポート会社に試供品サンプルを配布
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いられる成分(a)は、トリアルコキシアルキルシランまたはアルキルチタネートにより表面を被覆された微粒子金属酸化物であり、微粒子金属酸化物は、紫外線を散乱、反射、消光等することにより、紫外線を遮断する粉体である。該化合物で表面を被覆することにより、微粒子金属酸化物の分散性が向上し、化粧料中への金属イオンの溶出を抑制できる。成分(a)の微粒子金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を併用して用いることができ、更に複合化したものを用いても良いが、化粧料の使用感や仕上がりの観点から、酸化亜鉛または酸化チタンが好ましい。微粒子金属酸化物の粒径、形状等は、特に限定されないが、紫外線防御効果の観点から、平均一次粒子径が1〜100nmの範囲のものが好ましい。これらの粒子径は、動的光散乱法の測定機器により測定した値である。
【0010】
成分(a)に用いられたトリアルコキシアルキルシランは、ケイ素原子に三つのアルコキシ基と一つのアルキル基が結合した化合物であり、該アルコキシ基が粉体表面の水酸基等と反応することにより、粉体表面を被覆することができる化合物である。このようなトリアルコキシアルキルシランは、下記一般式(1):
CH
3(CH
2)
mSi(O(C
nH
2n+1))
3 (1)
(m、nはそれぞれ正の整数で、m=5〜20、n=1〜3)で表すことができる。前記トリアルコキシアルキルシランにおける、アルコキシ基は、炭素数1〜3のアルコキシ基であるメトキシ、エトキシ、プロポキシ等が好ましい。また、該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルキル基は、炭素数6〜18のアルキル基であるヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が好ましい。このようなトリアルコキシアルキルシランは、例えば、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシオクチルシラン、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
【0011】
これらトリアルコキシアルキルシランの中でも、アルキル基の炭素数が8〜21であると成分(a)の油剤中での分散性が良好となるため好ましく、上記一般式(1)においてm=7、n=2であるトリエトキシカプリリルシランが特に好ましい。
【0012】
成分(a)に用いられたアルキルチタネートは、例えば、長鎖カルボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネート等が挙げられるが、分散安定化の観点より、炭素数8〜24のアルキル基を有するアルキルチタネートが好ましく、これらは下記一般式(2):
(R
1O)−Ti−(OCOR
2)
3 (2)
(式中、R
1は炭素数1〜4のアルキル基、R
2は炭素数8〜24のアルキル基を表し、これらのアルキル基は、直鎖でも分岐していても良い。)で示される化合物が例示できる。前記アルキルチタネートは、具体的には、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートとして、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、ピロリン酸型アルキルチタネートとして、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、亜リン酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ、アミノ酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等が挙げられ、これらより一種又は二種以上を用いることができる。
【0013】
これらアルキルチタネートの中でも、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートを用いると、成分(a)の油剤中での分散性が非常に優れたものとなるため好ましい。
【0014】
また成分(a)は、更にジメチコンや(ジメチコン/メチコン)コポリマーなど、撥水性の表面処理剤で被覆処理をすると、成分(a)の吸油量が下がり、化粧料中に成分(a)をより多く配合することができる。(ジメチコン/メチコン)コポリマーは、INCI(INTERNATIONAL NOMENCLATURE of COSMETIC INGREDIENTS)に収載されている化合物であり、ジメチルシロキサンとメチルハイドロジェンシロキサンからなる共重合体である。
【0015】
本発明において、微粒子金属酸化物の表面にトリアルコキシアルキルシラン及び/又はアルキルチタネートを被覆する方法は、特に限定されず、通常公知の被覆方法が用いられる。具体的には、前記化合物と微粒子金属酸化物とを直接混合し(加熱して)被覆する乾式被覆方法、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ヘキサン、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン等の溶媒にトリアルコキシアルキルシランを溶解又は分散し、この溶液又は分散液に微粒子金属酸化物を添加し、混合後、前記溶媒を乾燥等により除去、加熱、粉砕する湿式被覆方法、溶媒に溶解又は分散した前記化合物を流動層中で粉体にスプレーコートする気相被覆方法、メカノケミカル方法等が挙げられる。これらの中でも湿式被覆方法が好ましい。
【0016】
成分(a)の微粒子金属酸化物の表面被覆量は、微粒子金属酸化物1質量部に対して被覆化合物を0.02〜0.25質量部が好ましく、更に好ましくは、0.03〜0.2質量部である。この範囲であると、より伸び広がりの軽さに優れ、経時安定性も向上するため好ましい。
【0017】
本発明における成分(a)の含有量は、特に限定されないが、2〜10質量%(以下単に「%」と略す)が好ましく、更に好ましくは3〜6%、特に好ましくは、4〜5%である。この範囲であれば、より安定性に優れ、高い紫外線防御能を有し、耐水性にも優れたものとなる。
【0018】
本発明に用いられる成分(b)ポリヒドロキシステアリン酸は、一つの水酸基を有するヒドロキシステアリン酸の重合物であり、本発明において、ヒドロキシステアリン酸の水酸基は12位が好ましく、また、ヒドロキシステアリン酸の重合度は3〜12、更には重合度4〜8が好ましい。成分(b)は油性分散剤として知られており、本発明においては、化粧膜の耐水性向上にも寄与する成分である。成分(b)の市販品としては、例えば、サラコスHS−6C(日清オイリオグループ社製)が挙げられる。
【0019】
本発明における成分(b)の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.5%であり、更に好ましくは0.05〜0.2%である。この範囲であれば、より使用時の伸び広がりとみずみずしさが良好となり、耐水性にも優れたものとなる。
また本発明の水中油型乳化化粧料において、成分(a)の含有量に対する成分(b)の含有量は、0.01〜0.06が好ましい。この範囲であると、より耐水性に優れる化粧膜が得られるようになる。
【0020】
本発明に用いられる成分(c)は、部分架橋型アルキル変性オルガノポリシロキサン重合体および/または部分架橋型フェニル変性オルガノポリシロキサン重合体である。部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体とは、オルガノポリシロキサンを架橋結合させて得られる、一部に三次元架橋構造を有する重合体であり、RSiO単位及びRSiO
1.5単位よりなり、RSiO
0.5単位及び/又はSiO
2単位を含んでいても良い。成分(c)は、該構成単位のRの一部に、アルキル基あるいはフェニル基で変性された構成単位を有するものである。
【0021】
成分(c)の具体例としては、INCI名が(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーである部分架橋型フェニル変性オルガノポリシロキサン重合体、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型アルキル変性シリコーンが挙げられる。成分(c)は、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体として単独で配合しても良いが、油剤で膨潤せしめたシリコーンゲル組成物として用いることもでき、このような市販品としては、例えば、KSG−18(部分架橋型メチルフェニルポリシロキサンとフェニルトリメチコンとの混合物、固形分10〜20%)、KSG−43((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとトリエチルヘキサノインとの混合物、固形分25〜35%)(いずれも信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0022】
本発明における成分(c)の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜1.0%であり、更に好ましくは0.2〜0.8%である。この範囲であると、水中油型乳化化粧料の経時安定性がより良好となり、また、より柔軟で耐水性のある化粧膜を実現できるため好ましい。
また本発明の水中油型乳化化粧料において、成分(a)の含有量に対する成分(c)の含有量は、0.02〜0.25が好ましい。この範囲であると、より耐水性に優れる化粧膜が得られるようになる。
【0023】
本発明に用いられる成分(d)は、アクリル酸ナトリウムとアクリロイルジメチルタウリンナトリウムとの共重合体であり、INCIに収載されている化合物である。耐塩性を有する水系増粘剤として知られているが、本発明においては、化粧膜の耐水性向上にも寄与する成分である。成分(d)の具体的な市販品としては、例えば、共重合体分37.5%を含む分散物の形態であるSIMULGEL EG(SEPPIC社製)が挙げられ、本発明においては、この市販品を用いることができる。
【0024】
本発明における成分(d)の含有量は、特に限定されないが、0.2〜1%が好ましい。この範囲であれば、経時安定性が良好で、よりみずみずしい使用感となり、耐水性にもより優れたものとなる。
【0025】
本発明の水中油型乳化化粧料には、通常の化粧料に使用される成分を、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、必要に応じて配合することができる。例えば、水性成分、成分(b)、(c)以外の油性成分、界面活性剤、油溶性紫外線吸収剤、水溶性紫外線吸収剤、成分(a)以外の粉体、成分(d)以外の水溶性高分子、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、香料、清涼剤等を挙げられる。
【0026】
水性成分としては、水中油型乳化化粧料の外水相を構成するものであり、水の他に、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。また、水相の含有量としては、使用感と安定性の観点から、全化粧料中の55〜80%であることが好ましい。
【0027】
油性成分としては、水中油型乳化化粧料の内油相を構成するものであり、化粧品に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、トリグリセライド、ジ(カプリル/カプリン酸)プロプレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、メタクリル変性オルガノポリシロキサン、ステアリル変性オルガノポリシロキサン、オレイル変性オルガノポリシロキサン、ベヘニル変性オルガノポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0028】
界面活性剤としては、特に限定されないが、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられる。例えば、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N−アルキルジメチルアミンオキシドポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどを挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸のナトリウム塩又はトリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。例えば、カチオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、臭化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、臭化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(15モル)ヤシ油アルキルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(4モル)ラウリルエーテルジメチルアンモニウム、塩化ステアリン酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム・メチル硫酸塩等を挙がられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。また、これらの中でも、経時安定性及び使用感向上効果の観点から、非イオン性界面活性剤が好ましく、界面活性剤の含有量としては、使用感の観点から、全化粧料中の0〜0.5%であることが好ましい。
【0029】
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、通常日焼け止め化粧料に用いる有機紫外線吸収剤を用いることができる。有機紫外線吸収剤の例としては、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、オキシベンゾン−3、オキシベンゾン−4、オキシベンゾン−5、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、パラアミノ安息香酸エチル、ベンゾフェノン−1、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−6、ベンゾフェノン−9、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、ジオクチルブタミドトリアゾン、4−tert−ブチル−4´−メトキシ−ジベンゾイルメタン、2,4−ビス{[4−(2−エチル−ヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0030】
本発明の水中油型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されず通常公知の方法で製造可能であり、製造機器としては、一般のディスパーションのような分散・乳化機器であればいずれでもよい。例えば、成分(d)と水をディスパーションにより混合し、粘度付与された水系成分に対して、成分(a)〜成分(c)と他の油剤とを、予め3本ロールミルで分散処理した油系成分を添加して、乳化することにより、水中油型乳化化粧料が得られる。
【0031】
本発明の水中油型乳化化粧料の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば液状、乳液状、クリーム剤状、固形状等が挙げられる。
【0032】
本発明の水中油型乳化化粧料は、乳液、美容液、パック、クリーム、日焼け止め、クレンジング料、ファンデーション、メークアップ下地、アイシャドウなどに好適に用いることができ、優れた紫外線防御効果及び耐水性の観点から、日焼け止め、日中用乳液、メークアップ下地、ファンデーションなどが好ましく、特に好ましくは日焼け止め化粧料である。
【実施例】
【0033】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
実施例1〜10および比較例1〜2:日焼け止め化粧料
表1に示す組成および下記製造方法にて乳化化粧料を調製した。得られた日焼け止め化粧料の耐水性評価、使用時のみずみずしさ、経時での安定性について下記の方法により評価し結果を併せて、表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
(製造方法)
A:成分(1)〜(3)を均一に加温溶解する。
B:成分(10)〜(17)を混合する。
C:成分(4)〜(9)を3本ロールミルで分散処理する。
D:CとBを混合し均一に分散する。
E:AにDを加えて分散し、乳化することで、水中油型乳化化粧料を得た。
【0036】
(評価方法1:耐水性評価)
実施例1〜10および比較例1〜2の各試料を、PMMA板(Labsphere社製 HELIOPLATE HD6)に2mg/cm
2塗布後、20分静置したサンプルについて、SPFアナライザー(Labsphere社製 UV−2000S)を用いたSPF測定を行い、水浴前SPF値を測定した。次に水浴を行った。水浴条件は、35℃、2Lの水を貯めた容器側面にサンプルを貼り付け、容器中の水をパドルミキサを用いて300rpmで5分間、攪拌する条件で行った。水浴完了後、20分間の静置乾燥させた後に、前記SPFアナライザーを用いて、水浴後SPF値を測定した。得られた水浴前後でのSPF値を元に、耐水性を下記(a)評価基準にて4段階評価し判定した。
(a)4段階評価基準
(評価) :(判定)
(水浴後SPF測定値)/(水浴前SPF測定値)=0.9以上:◎
(水浴後SPF測定値)/(水浴前SPF測定値)=0.7以上:○
(水浴後SPF測定値)/(水浴前SPF測定値)=0.4以上:△
(水浴後SPF測定値)/(水浴前SPF測定値)=0.4未満:×
【0037】
(評価方法2:みずみずしさ)
専門評価パネル10名に、前記の各試料を前腕に塗布してもらい、使用時のみずみずしさについて、下記(b)評価基準にて4段階評価し判定した。
(b)4段階評価基準
(評価) :(判定)
みずみずしいと感じた人数が10人全員:◎
みずみずしいと感じた人数が6〜9人 :○
みずみずしいと感じた人数が2〜5人 :△
みずみずしいと感じた人数が0〜1人 :×
【0038】
(評価方法3:経時安定性)
前記各試料をガラス製の規格びんに入れ、50℃の恒温槽に1ヶ月間保管し、1ヵ月後の状態を観察し、下記(c)3段階判定基準を用いて判定した。
(c)3段階判定基準
(評価) :(判定)
変化なし :◎
やや外観変化が見られる:△
外観変化がみられる :×
【0039】
実施例1〜10の日焼け止め化粧料は、耐水性に優れながらも、使用時にみずみずしく、また経時安定性に優れた日焼け止め化粧料であった。これに対して、成分(a)を未処理の微粒子酸化亜鉛に替えた比較例1は、耐水性や経時安定性の点で、劣るものであった。成分(b)を含有しない比較例2は、特に耐水性に劣るものであった。
【0040】
実施例11:下地化粧料(クリーム状)
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2
2.1,3−ブチレングリコール 12
3.メチルパラベン 0.1
4.精製水 4.8
5.(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)
共重合体分散物(注1) 1.5
6.精製水 残 量
7.エタノール 5
8.トリエトキシカプリリルシラン(3%)被覆微粒子酸化亜鉛 6
9.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー 0.5
10.ポリヒドロキシステアリン酸 0.1
11.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 7.5
12.ジメチコン(6cs) 2.5
13.デカメチルシクロペンタシロキサン 6
【0041】
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を均一に加温溶解する。
B:成分(5)〜(7)を混合する。
C:成分(8)〜(11)を3本ロールミルで分散処理する。
D:AとBを均一分散する。
E:成分(12)、(13)にCを加え均一分散した。
F:DにEを添加して乳化を行い、水中油型乳化化粧料を得た。
(結果)
実施例11の下地化粧料は、含有質量比(b)/(a)=0.0167、含有質量比(c)/(a)=0.0833であり、塗布時はみずみずしい感触でありながら、耐水性のある均一な膜を有するものであった。
【0042】
実施例12:日焼け止め化粧料(クリーム状)
(成分) (%)
1.トリセテアレス−4リン酸 0.05
2.ポリオキシエチレンフィトステロール 0.2
3.1,3−ブチレングリコール 12
4.メチルパラベン 0.1
5.トラネキサム酸 2
6.乳酸ソーダ 1.5
7.精製水 4.8
8.(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)
共重合体分散物(注1) 1
9.精製水 残 量
10.エタノール 5
11.イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(2%)被覆微粒子酸化亜鉛 4
12.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー 0.5
13.(ジメチコン/ビニルフェニルジメチコン)クロスポリマー 0.2
14.ポリヒドロキシステアリン酸 0.1
15.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 7
16.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1
17.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 0.5
18.ジメチコン(6cs) 2.5
19.トリエチルヘキサノイン 6
20.セトステアリルアルコール 1.5
21.ベヘニルアルコール 0.5
【0043】
(製造方法)
A:成分(1)〜(7)を均一に加温溶解する。
B:成分(8)〜(10)を混合する。
C:成分(11)〜(15)を3本ロールミルで分散処理する。
D:成分(16)〜(21)で均一に混合溶解する。
E:DにCを加え、均一に分散する。
F:AとBを混合し、Eを添加することで乳化を行い、水中油型乳化化粧料を得た。
(結果)
実施例12の日焼け止め化粧料は、含有質量比(b)/(a)=0.025、含有質量比(c)/(a)=0.175であり、塗布時はみずみずしい感触でありながら、十分な耐水性のある均一な膜を有するものとなった。
【0044】
実施例13:日中用美容液
(成分) (%)
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.1
2.1,3−ブチレングリコール 12
3.メチルパラベン 0.1
4.精製水 残 量
5.(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)
共重合体分散物(注1) 1.5
6.精製水 50
7.エタノール 10
8.トリエトキシカプリリルシラン(3%)被覆微粒子酸化亜鉛 5
9.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー 0.5
10.ポリヒドロキシステアリン酸 0.1
11.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7.5
12.ジメチコン(6cs) 2.5
13.シクロメチコン 6
【0045】
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を均一に加温溶解する。
B:成分(5)〜(7)を混合する。
C:成分(8)〜(11)を3本ロールミルで分散処理する。
D:Cを成分(12)、(13)で均一に分散する。
E:AとBを均一分散する。
F:EにDを加え分散して、水中油型乳化化粧料を得た。
(結果)
実施例13の日中美容液は、含有質量比(b)/(a)=0.02、含有質量比(c)/(a)=0.1であり、塗布時にはみずみずしい感触でありながら、十分な耐水性のある均一な膜を有するものとなった。
【0046】
実施例14:日中用乳液
(成分) (%)
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.1
2.1,3−ブチレングリコール 12
3.メチルパラベン 0.1
4.精製水 残 量
5.(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)
共重合体分散物(注1) 1.5
6.精製水 50
7.エタノール 10
8.トリエトキシカプリリルシラン(3%)被覆微粒子酸化亜鉛 5
9.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー 0.5
10.ポリヒドロキシステアリン酸 0.1
11.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7.5
12.ジメチコン(6cs) 2.5
13.シクロメチコン 6
14.イソドデカン 4
15.1,2−ヘキサンジオール 0.05
16.カプリリルグリコール 0.05
17.カプリル酸グリセリル 0.02
【0047】
(製造方法)
A:成分(1)〜(4)を均一に加温溶解する。
B:成分(5)〜(7)を混合する。
C:成分(8)〜(11)を3本ロールミルで分散処理する。
D:Cを成分(12)〜(14)で均一に分散する。
E:AとBを均一分散する。
F:EにDを加え分散して、(15)〜(17)を加え、水中油型乳化化粧料を得た。
(結果)
実施例14の日中美容液は、含有質量比(b)/(a)=0.02、含有質量比(c)/(a)=0.1であり、塗布時にはみずみずしい感触でありながら、十分な耐水性のある均一な膜を有するものとなった。