(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する蓄電装置および蓄電制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。まず、
図1を参照して実施形態に係る蓄電制御方法について説明する。
図1は、実施形態に係る蓄電制御方法の説明図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る蓄電装置1は、並列接続される複数(ここでは、4つ)の蓄電池(以下、「パック」と記載する)P1、P2、P3、P4を備える。以下では、複数のパックP1、P2、P3、P4のうち、任意のパックを指す場合には、パックPと記載する。
【0012】
各パックPは、複数(ここでは、3つ)の直列接続される蓄電素子(以下、「セル」と記載する)C11〜C13、C21〜C23、C31〜C33、C41〜C43を備える。以下では、複数のセルC11〜C13、C21〜C23、C31〜C33、C41〜C43のうち、任意のセルを指す場合には、セルCと記載する。
【0013】
また、
図1に示すハッチングは、面積が広いほど電位が高いことを示す。なお、ここでは、蓄電装置1が4つのパックPを備え、各パックPが3つのセルCを備えるものとして説明するが、かかるパックPの数およびセルCの数は一例であり、これに限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、蓄電装置1は、充放電を行わない期間、例えばイグニッションスイッチがオフになっている期間に複数のパックPを並列接続して各パックPの電位を平準化する場合、各パックPの電位が異なることがある。
図1に示す例では、左側の2つのパックP1、P2は、比較的電位が高いパックPである。一方、右側の2つのパックP3、P4は、比較的電位が低いパックPである。
【0015】
このため、これら4つのパックP1〜P4を並列接続する場合、左側の2つのパックP1、P2は、放電するパックPになり、右側の2つのパックP3、P4が充電するパックPになる。
【0016】
このとき、放電するパックP内に、同じパックP内の他のセルCよりも電位が低いセルCが存在することがある。
図1に示す例では、一番左のパックP1が放電するパックPであり、パックP1内の上から2番目のセルC12の電位が他のセルC11、C13の電位よりも低い。したがって、4つのパックP1〜P4が並列接続され、一番左のパックP1が放電すると、パックP1内の上から2番目のセルC12が過放電になる恐れがある。
【0017】
また、充電するパックP内に、同じパックP内の他のセルCよりも電位が高いセルCが存在することがある。
図1に示す例では、一番右のパックP4が充電するパックPであり、パックP4内の上から2番目のセルC42の電位が他のパックC41、C43の電位よりも高い。したがって、4つのパックP1〜P4が並列接続され、一番右のパックP4が充電すると、パックP4内の上から2番目のセルC42が過充電になる恐れがある。そして、パックPは、セルCが頻繁に過充電や過放電になると寿命が短くなる。
【0018】
そこで、蓄電装置1は、4つのパックP1〜P4を並列接続する場合に、各パックPの電位を取得し、並列接続することで放電するパックP1、P2、および充電するパックP3、P4を各パックPの電位に基づいて判定する。
【0019】
さらに、蓄電装置1は、各セルCの電位を取得し、放電するパックP1、P2が過放電になるセルCを含むか否か、および充電するパックP3、P4が過充電になるセルCを含むか否かを各セルCの電位に基づいて判定する。
【0020】
そして、蓄電装置1は、過放電になるセルC12を含むパックP1と、過充電になるセルC42を含むパックP4を平準化の対象から除外し、
図1に太線で示すように、残る2つのパックP2、P3を並列接続状態にして、パックP2、P3の電位を平準化する。
【0021】
これにより、実施形態に係る蓄電制御方法によれば、複数のセルCが直列に接続されるパックPを複数並列接続する場合に、セルCが過充電または過放電になることを防止することができる。
【0022】
次に、
図2を参照し、実施形態に係る蓄電装置1の構成の一例について説明する。
図2は、実施形態に係る蓄電装置1の構成の一列を示す説明図である。ここでは、蓄電装置1がハイブリッド車に搭載される場合を例に挙げて説明する。
【0023】
蓄電装置1は、車両を走行させるモータや他の車載装置等の負荷4に電力を供給する場合に放電し、車両が減速する場合に発生する回生エネルギーによって充電する。なお、蓄電装置1は、電気自動車やHEMS(Home Energy Management System)等、二次電池を必要とされる任意の蓄電システムに適用することが可能である。
【0024】
図2に示すように、蓄電装置1は、電池ユニット2と、制御ユニット3と、メインリレー23とを備える。電池ユニット2は、並列に接続される複数のパックPが設けられる蓄電部21と、サブリレー部22とを備える。各パックPは、複数(ここでは、4つ)の直列接続されるセルCを備える。サブリレー部22は、複数のパックPをそれぞれ個別に並列接続可能な複数のサブリレーを備える。
【0025】
制御ユニット3は、監視部31と、制御部32とを備える。監視部31は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現される。監視部31は、各パックPの電位、および各パックPが備える各セルCの電位を検知し、検知結果を制御部32へ出力する。
【0026】
制御部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、制御部32は、一部または全部がASICやFPGA等のハードウェアで構成されてもよい。
【0027】
制御部32は、メインリレー23のON/OFF制御と、サブリレー部22が備える各サブリレーのON/OFF制御とを行う処理部である。かかる制御部32には、車両からイグニッションスイッチ(以下、「IG」と記載する)がOFFされたことを示す終了信号100と、IGがONされたことを示す起動信号101とが入力される。
【0028】
制御部32は、終了信号100が入力される場合に、メインリレー23を制御して、電池ユニット2と負荷4との接続を切断し、電池ユニット2による充放電を終了させる。その後、制御部32は、監視部31から入力される各パックPおよび各セルCの電位に基づいてサブリレー部22を制御し、過充電または過放電になるセルCを含むパックPを並列接続中のパックPから切断する。これにより、制御部32は、セルCが過充電または過放電になることを防止しつつ、並列接続中のパックPの電位を平準化することができる。
【0029】
また、制御部32は、起動信号101が入力される場合に、サブリレー部22を制御して複数のパックPを並列接続し、その後、メインリレー23を制御して電池ユニット2と負荷4とを接続して、電池ユニット2による充放電を開始させる。
【0030】
以下、かかる制御部32の構成および動作について、
図3〜
図5を参照して、さらに具体的に説明する。
図3は、実施形態に係る蓄電装置1を示す機能ブロック図である。
図4は、実施形態に係る各パックPのOCV(Open Circuit Voltage)−SOC(State Of Charge)特性を示す説明図である。
【0031】
図5は、実施形態に係る蓄電装置1の動作説明図である。なお、以下では、
図3に示す構成要素のうち、
図2に示す構成要素と同一の構成要素については、
図2に示す符号と同一の符号を付することにより、その説明を省略する。
【0032】
図3に示すように、制御部32は、CPUがROMに記憶された蓄電制御プログラム(図示略)を、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する充放電判定部51、過充放電判定部52、接続制御部53、算出部54、および計時部55を備える。さらに、制御部32は、記憶部6を備える。記憶部6は、例えば、制御部32が備えるRAMであり、電池ユニット2による充放電終了時、すなわち、イグニッションスイッチがオフになった時点の各パックPのSOC61を記憶する。
【0033】
充放電判定部51は、監視部31から各パックPの電位を取得し、各パックPを並列接続することで、各パックPが放電するか充電するかを各パックPの電位に基づいて判定する。そして、充放電判定部51は、放電するパックPを示す情報および充電するパックPを示す情報を過充放電判定部52へ出力する。また、充放電判定部51は、監視部31から取得する各パックPの電位を接続制御部53へ出力する。
【0034】
過充放電判定部52は、充放電判定部51から放電するパックPを示す情報および充電するパックPを示す情報が入力される場合に、監視部31から各セルCの電位を取得する。そして、過充放電判定部52は、放電するパックPが過放電になるセルCを含むか否か、および充電するパックPが過充電になるセルCを含むか否かを、充放電判定部51から入力される情報および各セルCの電位に基づいて判定する。
【0035】
そして、過充放電判定部52は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPが存在する場合、過放電または過充電になるセルCを含むパックPを示す情報を接続制御部53へ出力する。また、過充放電判定部52は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPが存在しない場合、その旨を示す情報を接続制御部53へ出力する。
【0036】
接続制御部53は、車両から終了信号100が入力される場合に、まず、メインリレー23を切断して電池ユニット2による充放電を終了させる。このとき、接続制御部53は、過充放電判定部52から過放電または過充電になるセルCを含むパックPを示す情報が入力される場合、過放電または過充電するセルCを含むパックPを平準化の対象から除外し、残るパックPを示す情報を算出部54へ出力する。
【0037】
そして、接続制御部53は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPを除くパックPを並列接続状態にする制御信号をサブリレー部22へ出力する。つまり、接続制御部53は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPを並列接続中の他のパックPから切断する。これにより、接続制御部53は、セルCが過充電または過放電になることを防止しつつ、並列接続中のパックPの電位を平準化することができる。
【0038】
また、接続制御部53は、過充放電判定部52から過放電または過充電になるセルCを含むパックPが存在しないことを示す情報が入力される場合、過充放電判定部52から入力される情報を算出部54へ出力する。そして、接続制御部53は、全てのパックPを並列接続状態にする制御信号をサブリレー部22へ出力する。
【0039】
算出部54は、接続制御部53から過放電または過充電になるセルCを含むパックP以外のパックPを示す情報が入力される場合、入力される情報が示すパックPの電位を監視部31から取得する。また、算出部54は、接続制御部53から過放電または過充電するセルCを含むパックPが存在しないことを示す情報が入力される場合、全てのパックPの電位を監視部31から取得する。
【0040】
そして、算出部54は、電池ユニット2による充放電が終了してからパックPの電位が平準化されるまでの平準化時間を並列接続される各パックPの電位に基づいて算出し、接続制御部53へ出力する。
【0041】
また、接続制御部53は、車両から終了信号100が入力される場合に、計時部55へ計時を開始させる開始指令を出力する。また、接続制御部53は、IGがONの間定期的に、各パックPの電位や電流等の情報を基に公知のクーロンカウント法等により各パックPのSOCを推定する機能を有している。
【0042】
接続制御部53は、車両から終了信号100が入力される場合、すなわちIGがオフになったときに、その時点の各パックPのSOC61を記憶部6に記憶させる。尚、クーロンカウント法等によるSOCの推定手法は公知のためここでの説明は省略する。
【0043】
計時部55は、タイマであり、接続制御部53から開始指令が入力される場合に計時を開始する。つまり、計時部55は、電池ユニット2による充放電が終了してからの経過時間を計時し、経過時間を接続制御部53へ出力する。
【0044】
そして、接続制御部53は、計時部55から入力される経過時間が算出部54から入力される平準化時間に達した場合に、全てのパックPの並列接続を切断する制御信号をサブリレー部22へ出力する。
【0045】
これにより、接続制御部53は、起動信号101が次回入力されるまで、平準化後のパックPの電位を維持することができるので、電池ユニット2による次回の充放電開始時に、電位差が大きく並列接続不可能となるパックPの数を低減することができる。
【0046】
また、接続制御部53は、車両から起動信号101が入力される場合、すなわちIGがオンになったときに、それまで電池ユニット2が充放電を行っていなかった経過時間(以下、「OFF時間」と記載する)を計時部55から取得する。続いて、接続制御部53は、取得したOFF時間から平準化時間を除外した時間が各パックPの分極解消に要する時間(以下、「分極解消時間」と記載する)以上であるか否かを判定する。
【0047】
そして、接続制御部53は、OFF期間から平準化時間を除外した時間が分極解消時間未満であると判定した場合、すなわち、各パックPの分極解消時間が経過していない状態でIGがオンになった場合、記憶部6に記憶されたIGオフ時のSOC61に基づき、SOC61が所定範囲内のパックP同士を順次並列接続させる制御信号をサブリレー部22へ出力する。
【0048】
また、接続制御部53は、OFF期間から平準化時間を除外した時間が分極解消時間以上であると判定した場合、その時点での各パックPの電位が正しいOCVを示すとみなせるため、その時点での各パックPの電位をOCVとして、ROMに記憶された
図4に示す各パックPのOCVとSOCとが対応付けられたOCV−SOC特性を基に導出したSOCに基づき、SOCが所定範囲内のパックP同士を順次並列接続させる制御信号をサブリレー部22へ出力する。
【0049】
例えば、
図5に示すように、接続制御部53は、時刻t1でIGがOFFされた場合に、時刻t1時点のSOC61を記憶する。その後、平準化時間が経過して時刻t2でパックPの平準化が完了し、さらに分極解消時間が経過して時刻t4でパックPの分極が解消する場合に、時刻t2から時刻t4の間の時刻t3でIGがONされることがある。
【0050】
かかる場合に、接続制御部53は、時刻t3時点でパックPの分極が解消されておらず、各パックPの電位をOCVと見做すことができないため、時刻t3時点の各パックPの電位から
図4に示すOCV−SOC特性に基づき正確なSOCを導出することができない。
【0051】
そこで、接続制御部53は、時刻t3でIGがONされる場合、記憶部6に記憶した時刻t1時点のSOC61に基づきパックPを並列接続する。これにより、接続制御部53は、時刻t3時点の各パックPの電位から導出するSOCに基づきパックPを接続する場合に比べて、蓄電部21に過電流が流れない適切な接続順でパックPを並列接続することができる。
【0052】
なお、IGオン中に行うクーロン法等によるSOCの推定を平準化が完了するまで行うようにし、IGがオフする時刻t1でその時点のSOC61を記憶するのではなく、平準化が完了する時刻t2時点でのSOC61を記憶するようにしてもよい。その場合、時刻t3で使用されるSOCは時刻t2で記憶されたSOC61となる。
【0053】
また、接続制御部53は、パックPの分極が完了する時刻t4よりも後の時刻t5でIGがONされる場合、時刻t5時点でパックPの分極が解消されており各パックPの電位をOCVと見做すことができるため、時刻t5時点の各パックPの電位から正確なSOCを導出することができる。
【0054】
そこで、接続制御部53は、時刻t5でIGがONされる場合、その時点の各パックPの電位から導出したSOCに基づく接続順でパックPを並列接続する。これにより、接続制御部53は、蓄電部21に過電流が流れない適切な接続順でパックPを並列接続することができる。
【0055】
そして、接続制御部53は、パックPの並列接続が完了した場合に、メインリレー23へ制御信号を出力してメインリレー23をONにし、電池ユニット2と負荷4とを接続して、電池ユニット2による充放電を開始させる。
【0056】
上記のように、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPを事前に判定して平準化の対象から除外し、残るパックPの平準化時間を算出して平準化時間経過後に全てのパックPを切断する。
【0057】
これにより、制御ユニット3は、平準化の開始当初から過放電または過充電になる可能性があるセルCを平準化の対象から除外することができるので、より安全にパックPの電位を平準化することができる。ただし、制御ユニット3が行う制御は、これに限定されるものではない。
【0058】
例えば、制御ユニット3は、パックPの電位が平準化される期間に、各パックPおよび各セルCの電位を監視し、セルCが過放電または過充電になると判定した時点で、そのセルCを含むパックPを平準化中の他のパックPから切断する構成であってもよい。
【0059】
かかる構成の場合、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPを切断後も継続して各パックPおよび各セルCの電位を監視し、各パックPの電位が平準化した場合に、全てのパックPの接続を切断する。
【0060】
これにより、制御ユニット3は、平準化時間を算出する処理や、平準化時間が経過するまでの時間を計時する処理を省略することができるので、処理の簡略化および処理負荷の軽減を図ることができる。なお、かかる制御を行う処理の一例については、
図8を参照して後述する。
【0061】
次に、
図6および
図7を参照し、蓄電装置1の制御ユニット3が実行する処理について説明する。
図6および
図7は、実施形態に係る蓄電装置1の制御ユニット3が実行する処理を示すフローチャートである。
【0062】
制御ユニット3は、車両から終了信号100が入力される場合に、
図6に示す処理を実行する。具体的には、制御ユニット3は、車両から終了信号100が入力されると、まず、メインリレー23を切断する(ステップS101)。続いて、制御ユニット3は、クーロン法等により推定したその時点での各パックのSOC61を記憶部6に記憶する(ステップS102)。
【0063】
続いて、制御ユニット3は、各セルCの電位を取得し(ステップS103)、各パックPの電位を取得する(ステップS104)。その後、制御ユニット3は、全てのパックPを並列接続することで放電するパックPおよび充電するパックPを各パックPの電位に基づいて判定する(ステップS105)。
【0064】
続いて、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPがあるか否かを、各セルCの電位に基づいて判定する(ステップS106)。そして、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPがあると判定した場合(ステップS106,Yes)、処理をステップS107へ移す。また、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPがないと判定した場合(ステップS106,No)、処理をステップS108へ移す。
【0065】
ステップS107において、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPを除くパックPの電位が平準化されるまでの平準化時間を算出し、処理をステップS109へ移す。また、ステップS108において、制御ユニット3は、全てのパックPの電位が平準化されるまでの平準化時間を算出し、処理をステップS109へ移す。
【0066】
ステップS109において、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPを切断する。続いて、制御ユニット3は、ステップS107またはステップS108で算出した平準化時間が経過したか否かを判定する(ステップS110)。
【0067】
そして、制御ユニット3は、平準化時間が経過していないと判定した場合(ステップS110,No)、平準化時間が経過するまでステップS110の判定処理を繰り返す。また、制御ユニット3は、平準化時間が経過したと判定した場合(ステップS110,Yes)、全てのパックPの並列接続を切断し(ステップS111)、処理を終了する。
【0068】
その後、制御ユニット3は、車両から起動信号101が入力される場合に、
図7に示す処理を実行する。具体的には、
図7に示すように、制御ユニット3は、車両から起動信号101が入力されると、OFF時間から、ステップS107またはステップS108で算出した平準化時間を差し引いた時間が分極解消時間以上であるか否かの判定を行う(ステップS201)。
【0069】
そして、制御ユニット3は、OFF時間から平準化時間を差し引いた時間が分極解消時間以上であると判定した場合(ステップS201,Yes)、現時点の各パックPの電位に基づいて各パックPのSOCを導出し(ステップS202)、処理をステップS204へ移す。
【0070】
また、制御ユニット3は、OFF時間から平準化時間を差し引いた時間が分極解消時間未満であると判定した場合(ステップS201,No)、記憶部6に記憶したSOC61を取得し(ステップS203)、処理をステップS204へ移す。
【0071】
ステップS204において、制御ユニット3は、ステップS202で導出したSOC、またはステップS203で取得したSOC61に基づく接続順でパックPを並列接続する。その後、制御ユニット3は、メインリレー23を接続して(ステップS205)、処理を終了する。
【0072】
なお、制御ユニット3は、前述したように、パックPの電位が平準化される期間に、各パックPおよび各セルCの電位を監視し、セルCが過放電または過充電になると判定した時点でそのセルCを含むパックPを平準化中の他のパックPから切断することもできる。
【0073】
そして、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPを切断後も継続して各パックPおよび各セルCの電位を監視し、各パックPの電位が平準化した場合に、全てのパックPの接続を切断することもできる。かかる制御を行う場合、制御ユニット3は、例えば、低消費電力モードで動作する。
【0074】
制御ユニット3は、低消費電力モードで動作する場合、車両から終了信号100が入力されると、
図8に示す処理を実行する。
図8は、実施形態に係る蓄電装置1の制御ユニット3が低消費電力モードで動作する場合に実行する処理を示すフローチャートである。
【0075】
図8に示すように、制御ユニット3は、低消費電力モードで動作する場合、車両から終了信号100が入力されると、まず、メインリレー23を切断する(ステップS301)。続いて、制御ユニット3は、クーロン法等により推定したその時点での各パックのSOC61を記憶部6に記憶する(ステップS302)。続いて、制御ユニット3は、各セルCの電位を取得し(ステップS303)、各パックPの電位を取得する(ステップS304)。
【0076】
その後、制御ユニット3は、パックPを並列接続することで過放電または過充電になるセルCを含むパックPがあるか否かを、各パックPおよび各セルCの電位に基づいて判定する(ステップS305)。
【0077】
そして、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPがないと判定した場合(ステップS305,No)、処理をステップS307へ移す。また、制御ユニット3は、過放電または過充電になるセルCを含むパックPがあると判定した場合(ステップS305,Yes)、過放電または過充電になるセルCを含むパックPの並列接続を切断し(ステップS306)、処理をステップS307へ移す。
【0078】
ステップS307において、制御ユニット3は、平準化が完了したか否かを各パックPの電位に基づいて判定する。制御ユニット3は、平準化が完了していないと判定した場合(ステップS307,No)、処理をステップS303へ移す。
【0079】
また、制御ユニット3は、平準化が完了したと判定した場合(ステップS307,Yes)、全てのパックPの並列接続を切断し(ステップS308)、処理を終了する。
【0080】
これにより、制御ユニット3は、平準化時間を算出する処理や、平準化時間が経過するまでの時間を計時する処理を省略することができるので、処理の簡略化および処理負荷の軽減を図ることができる。
【0081】
なお、この場合、前述したOFF時間は平準化が完了するS111の処理を実施してからの経過時間としてカウントする。そして、この経過時間が分極解消時間以上であれば
図7に示すステップS202を実行し、以下であればテップS203を実行する。
【0082】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。