(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
飲料ディスペンサとしては、例えば、ミネラルウォーター等の飲料水、紅茶、コーヒー、ビール等の飲料を提供するものが知られている。これらの飲料ディスペンサのうち、飲料水ディスペンサ(または飲料水サーバ)は、ミネラルウォーター等の飲料水を充填した大容量ボトル(7〜12Lなど)を設置し、必要量を適宜コップ等に取水して飲用されるものである。近年、飲料水ディスペンサを家庭や飲食店、病院、オフィスなどに設置し、ボトルを配送して使用する形態が増えている。
【0003】
上記のような飲料水ディスペンサに関する先行技術として、出願人は、特開2012−162318号公報(特許文献1)を把握している。
また、コックの構造に関する先行技術として、出願人は、実用新案登録第3140317号公報(特許文献2)を把握している。
【0004】
上記特許文献1には、つぎの記載がある。
[0023]
図1は、本発明の飲料水サーバの第1実施形態を示す概略図である。
[0024]
この飲料水サーバは、サーバ筐体4と、飲料水の供給源から供給された飲料水を貯留する貯留槽2と、上記貯留槽2に貯留された飲料水を供給する供給機構3とを備えている。この例は、飲料水の供給源としてボトル1を使用している。
[0025]
上記サーバ筐体4は、上部にボトル1を逆さまにして取り付け、前面に設けた供給機構3を構成するコック5から飲料水を供給するようになっている。この例では、サーバ筐体4の内部に、ボトル1から供給された飲料水を貯留する貯留部が2つ設けられている。すなわち、上記貯留槽2は、飲料水を冷やして冷水として貯留し、この貯留槽とは別に、飲料水を加熱して温水として貯留する温水槽6が設けられている。そして、貯留槽2の冷水は冷水供給管7を介してコック5から取り出され、温水槽6の温水は温水供給管8を介してコック(図では隠れて見えない)から取り出される。
【0005】
上記特許文献1の飲料水ディスペンサは、ボトルから供給される飲料水は、飲料水ディスペンサ内に設けられた冷却機構により冷却されて冷水タンクに貯留されるとともに、加熱機構により加熱されて温水タンクにも貯留される構造である。これにより、使用者は冷水と温水いずれも採水が可能となる。
【0006】
上記特許文献2には、つぎの記載がある。なお、「貫通流路26」は「貫通流路30」の誤記と認められる。
[0019]
コック装置8(10)の略中央部には、送給流路22を開閉するための弁体24が装着されている。弁体24は、コック本体16に装着される弁部26と、この弁部26の上端部に取り付けられた操作部28とを有し、弁部26に貫通流路26が設けられている。このように構成されているので、操作部28を開操作して所定方向に回動すると、
図2に示すように、弁部26の貫通流路26が送給流路22と整合して連通し(弁体24が開状態となる)、収容容器4からの飲料用水がコック装置8(10)の送給流路22及び弁体24の貫通流路26を通して流れ、その流出部20から流出される。また、操作部28を閉操作して所定方向と反対方向に回動すると、弁部26の貫通流路26が送給流路22から外れて送給流路22との連通が解除され(弁体24が閉状態となる)、収容容器4からの飲料用水がコック装置8(10)の送給流路22を通して流れることはない。
[0020]
このコック装置8(10)においては、コック本体16の流出部20内に抗菌性スリーブ32が内蔵されている。
図3及び
図4を参照して、この抗菌性スリーブ32は、抗菌性を持たせるための表面処理を施すことによって形成することができ、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金から形成されたものに特開2002−47596号公報に開示された表面処理を施すことによって形成することができる。このように抗菌作用を有する抗菌性スリーブ32をコック装置8(10)の流出部20内に挿入することによって、コック装置8(10)の流出部20に抗菌作用を持たせることができ、飲料用水の流出を止めたときに流出部20の内周面に付着した水における雑菌の繁殖を抑え、コック装置8(10)の流出部20を衛生的に安全な状態に保つことができる。
【0007】
上記特許文献2のコックの構造は、取水時にコック(弁)を開き、コックを通じてコップ等に取水する。この特許文献2には、飲料用水を供給するコック内部に抗菌性のスリーブを設けることにより、コックに残留した水を抗菌剤に接触させ抗菌性を担保する方式が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献2のコック装置では、飲料水を取り出した後に弁体24を閉じると、流出部20の先端開口に表面張力によるメニスカス(水面)が形成される。これにより、流出部20内に多量の水が残ることになる。以下、この水を「残水」という。また、弁体24を閉じると、閉じた弁体24の下流側は負圧になり、大気との圧力差で流出部20内の水に引力が働いて、上記残水は流出部20内から容易に落ちなくなる。
【0010】
上記のようにして流出部20内に生じた残水は、メニスカスを介して大気と触れている。このため、残水内に大気中の細菌が進入し、時間の経過とともに徐々に繁殖する。そうすると、つぎに飲料水を取り出すときに、流出部20内での細菌が繁殖した残水が混じった飲料水が取り出されることになる。
【0011】
上記特許文献2では、流出部20内に抗菌性のスリーブ32を配置し、残水の抗菌性を担保するものである。しかしながら、スリーブ32の内部には残水が存在したまま放置される。そうすると、メニスカスを介した細菌の進入を防ぐことはできない。スリーブ32自体に抗菌性があったとしても、残水内の細菌を死滅させるには至らない。残水の量が多かったり、抗菌性スリーブが劣化したりすると、細菌の繁殖を抑制できない。根本的な解決には至っていないのが実情である。また、流出部20内に抗菌性スリーブ32を配置する必要があるため、部品点数や組み付け作業が多くなり、構造の複雑化も避けられない。
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決するため、つぎの目的をもってなされた。
コック構造内に残る水を確実に排出し、衛生面の性能を向上させる飲料水ディスペンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1記載の飲料水ディスペンサは、つぎの構成を採用した。
交換可能なボトルから飲料水を取水する取水部と、
上記取水部で取水した飲料水を貯留する貯留槽と、
上記貯留槽に貯留された飲料水を利用に供するためのコック機構とを備え、
上記コック機構は、飲料水の流出状態と停止状態を切り替える弁構造部と、上記弁構造部を経た飲料水を流出させる流出ノズルとを有し、
上記流出ノズルは、先端の流出開口に至る流路が鉛直に沿っており、鉛直に対するいずれかの側面方向から見たときに、上記流出開口から上記流路の内面の一部を視認可能であ
り、
上記流出開口の開口縁に切欠部が形成されることにより、上記側面方向から見たときに上記流路の内面の一部が視認可能で、
上記流出ノズルの上記流出開口は、開口縁の一部に切欠部が形成され、上記切欠部以外の部分は平坦部に形成されている。
【0014】
請求項
2記載の飲料水ディスペンサは、請求項
1記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記弁構造部は、
上記流出ノズルの流路に飲料水を流入させる流入開口と、
上記流入開口を開閉する弁体と、
上記流入開口に対して上記弁体を進退させることにより飲料水の流出状態と停止状態の切り替えを実現する進退機構とを有する。
【0015】
請求項
3記載の飲料水ディスペンサは、請求項1
または2記載の構成に加え、つぎの構成を採用した。
上記流出ノズルの周囲には、上記流出開口よりも先端側に出て上記流出開口をガードするガード部材が設けられている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の飲料水ディスペンサは、取水部と貯留槽とコック機構とを備えている。上記取水部は、交換可能なボトルから飲料水を取水する。上記貯留槽は、上記取水部で取水した飲料水を貯留する。上記コック機構は、飲料水の流出状態と停止状態を切り替える弁構造部と、上記弁構造部を経た飲料水を流出させる流出ノズルとを有し、上記貯留槽に貯留された飲料水を利用に供する。
上記流出ノズルは、先端の流出開口に至る流路が鉛直に沿っており、鉛直に対するいずれかの側面方向から見たときに、上記流出開口から上記流路の内面の一部を視認可能である。このため、弁構造部を流出状態から停止状態に切り替えたときに、側面方向から流路の内面を視認可能な部分から、流出開口に形成される残水の表面張力のバランスが崩れ、メニスカスが崩壊することで上記流出開口内に大気が流入し、流出ノズル内にある飲料水が容易に出てくる。弁を閉めても流路内に飲料水がほとんど残らないため、従来のように雑菌が進入して衛生状態を悪化させることがなくなる。
【0017】
請求項
1記載の飲料水ディスペンサは、上記流出開口の開口縁に切欠部が形成されている。
これにより、上記側面方向から見たときに上記流路の内面の一部が視認可能である。このように、上記流出開口の開口縁に切欠部を形成する簡単な加工だけで流路内に飲料水を残さないようにできる。部品点数や組み付け作業が増えず、構造も単純化する。
また、上記流出ノズルの上記流出開口は、開口縁の一部に切欠部が形成され、上記切欠部以外の部分は平坦部に形成されている。
流出開口には、平坦部を設けることにより、切欠部の形成に基づく先鋭部ができないので、先鋭部に手指が接触して傷つくおそれがなく、安全面を担保できる。
【0018】
請求項
2記載の飲料水ディスペンサは、上記弁構造部は、流入開口と、弁体と、進退機構とを有する。上記流入開口は、上記流出ノズルの流路に飲料水を流入させる。上記弁体は、上記流入開口を開閉する。上記進退機構は、上記流入開口に対して上記弁体を進退させることにより飲料水の流出状態と停止状態の切り替えを実現する。
このような弁構造では、飲料水の流出状態から停止状態に切り替えたときに、流出開口に至る流路への飲料水の流入が停止する。閉じた弁構造の下流側は負圧になり、流路内に残った水は大気との圧力差で引力が働き落ちにくくなる。この場合でも、上記流出ノズルを上述した構造にすることにより、上記流出開口内に大気が流入し、流出ノズル内にある飲料水が容易に出てくるのである。
【0019】
請求項
3記載の飲料水ディスペンサは、上記流出ノズルの周囲には、上記流出開口よりも先端側に出て上記流出開口をガードするガード部材が設けられている。
ガード部材の存在により、上記流出開口への手指の接触が防止され、流出開口への雑菌の付着が防止され、衛生状態を悪化させることがない。また、上記流出開口の開口縁に切欠部が形成されることによって、流出開口に先鋭部ができたとしても、先鋭部への手指の接触が防止され、安全面を担保できる。さらに、流出ノズル先端の破損を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0022】
〔全体構造〕
図1は、本発明の
前提となる飲料水ディスペンサ
の形態を示す概略図である。
この飲料水ディスペンサは、取水部11と、第1貯留槽2Aおよび第2貯留槽2Bと、第1コック機構5Aおよび第2コック機構5Bとを備えている。
【0023】
上記取水部11は、交換可能なボトル1から飲料水を取水する。上記第1貯留槽2Aおよび第2貯留槽2Bは、上記取水部11で取水した飲料水を貯留する。上記第1コック機構5Aおよび第2コック機構5Bは、上記第1貯留槽2A,第2貯留槽2Bに貯留された飲料水を利用に供する。
【0024】
上記ボトル1は、ディスペンサ筐体4の上部に逆さまにして取り付けられる。上記ディスペンサ筐体4の前面に設けられた上記第1コック機構5Aおよび第2コック機構5Bから飲料水をコップなどに小分けして取り出すようになっている。
【0025】
上記第1貯留槽2Aは、ボトル1から取水された飲料水を冷却して冷水として貯留する。この冷水が冷水供給管7Aを介して第1コック機構5Aから取り出される。
上記第2貯留槽2Bは、ボトル1から取水された飲料水を加熱して温水として貯留する。この温水が温水供給管7Bを介して第2コック機構5Bから取り出される。
【0026】
上記ボトル1は、例えばPET製のガロンボトルを使用することができる。ボトル1を逆さまにしてボトルネック10を下向けにした状態で、ディスペンサ筐体4の上部に設けられたボトル取付部9に取り付けられる。上記ボトル取付部9は、ボトルネック10が嵌合される嵌合部の中央に、ボトル1の口から差し込まれて飲料水を取り入れる管状の取水部11が立設されている。上記ボトル1から供給された飲料水は、まず第1貯留槽2Aに導入されて貯留される。
【0027】
上記第1貯留槽2Aには、ボトル1から飲料水の供給を受ける上側受水層12と、上側受水層12に供給された飲料水を貯めて冷却するための下側冷水層13とを仕切るセパレータ14が設けられている。
【0028】
上記セパレータ14は、第1貯留槽2Aの内部空間を上側空間である上側受水層12と下側空間である下側冷水層13に仕切るもので、セパレータ14の周囲と貯留槽2の内面との間には隙間15が形成されて、ボトル1から上側受水層12に受け入れられた飲料水は上記隙間15を通って下側冷水層13に流れるようになっている。
【0029】
上記第1貯留槽2Aの外周には、セパレータ14で仕切られた下側冷水層13に対応する部分に、冷却管21が巻回され、下側冷水層13に貯留された飲料水を冷却する。また、第1貯留槽2Aの底部には、下側冷水層13に連通するように冷水供給管7が接続され、下側冷水層13において冷却された冷水を第1コック機構5Aから取り出せるようになっている。
【0030】
また、上記セパレータ14の中央部には、二次供給管17を介して第2貯留槽2Bに通じる貫通管16が垂下していて、上側受水層12に導入されて貯留されている飲料水を、貫通管16および二次供給管17を通して、第1貯留槽2Aの下側に設けられた第2貯留槽2Bに供給するようになっている。
【0031】
第2貯留槽2Bは、第1貯留槽2Aの下側に設けられ、上記二次供給管17および貫通管16を介して、第1貯留槽2Aの上側受水層12と連通し、上側受水層12に導入されて貯留されている飲料水が、貫通管16および二次供給管17を通してほとんど冷却されることなく第2貯留槽2Bに供給されるようになっている。上記第2貯留槽2Bには、内部に貯留された飲料水を加熱するヒータ22が設けられている。上記第2貯留槽2Bの上部には、温水供給管7Bが接続されて第2コック機構5Bから温水を取り出せるようになっている。このとき、第2貯留槽2Bに貯留された温水には、二次供給管17および貫通管16を介して上部の貯留槽2に貯留された水の水圧がかかっているため、第2コック機構5Bを開けるとその水圧で温水が取り出される。また、上記第2貯留槽2Bの底部には、ドレン管23が接続されている。
【0032】
一方、第1貯留槽2Aの上部には、上述したように、ボトル1を取り付けるボトル取付部9が設けられている。貯留槽2の上部開口は、上記ボトル取付部9が設けられた蓋部材24により、上記ボトル取付部9にボトル1が取り付けられた状態で上記第1貯留槽2A内を密閉空間にしうるようになっている。また、上記蓋部材24には、上記第1貯留槽2Aの水位に応じて開閉するフロート弁25が設けられている。
【0033】
上記フロート弁25は、通常は開弁しており、第1貯留槽2Aの水位が一定以上に上がると水面によって押し上げられて閉弁する。冷水または温水が第1コック機構5Aまたは第2コック機構5Bによって取り出されると、内部空間に外気を取り入れる。一定以上水位が下がってボトル1の口より水面が下がると、ボトル1内の飲料水が上側受水層12内に導入され、再びボトル1の口より水面が上がると、ボトル1からの水の導入は停止する。このとき、水位の上昇による上部空間内の圧力を外に逃がす。
【0034】
〔コック機構〕
図2は、上記第1コック機構5Aおよび第2コック機構5Bを説明する断面図である。(A)は停止状態、(B)は流出状態である。第1コック機構5Aと第2コック機構5Bは同様の構造である。以下の説明では第1コック機構5Aと第2コック機構5Bをまとめてコック機構5と称する。
【0035】
上記コック機構5は操作ユニット30と流路ユニット40とを備えている。上記操作ユニット30は上側に配置されている。上記流路ユニット40は下側に配置され、下側に流出ノズル41が突出している。上記コック機構5は内部に弁構造部31を有している。
【0036】
つまり、上記コック機構5は、弁構造部31と流出ノズル41とを有している。上記弁構造部31は、飲料水の流出状態と停止状態を切り替える。上記流出ノズル41は、上記弁構造部31を経た飲料水を流出させる。上記流出ノズル41から流出した飲料水が、コップなどに小分けされて利用に供される。
【0037】
〔流路ユニット〕
上記流路ユニット40は、有底筒状の本体部42の背面に、上述した冷水供給管7Aまたは温水供給管7Bに接続される接続管43が設けられている。上記接続管43には、メッシュフィルタ44が設けられている。冷水供給管7Aまたは温水供給管7Bから流入する飲料水に万一異物が混入していたときに、上記メッシュフィルタ44に捕捉する。
【0038】
上記本体部42の底面を上下方向に貫くように、流出ノズル41が設けられている。上記流出ノズル41の上端部が流入開口45であり、下端部が流出開口46である。上記流入開口45から流出開口46までが流路47である。
この例では、上記流出ノズル41の上記流路47は、鉛直に沿っている。
【0039】
上記流出開口46の開口縁に切欠部48が形成されている。この例では、上記切欠部48は、流出ノズル41の下端部を斜めにカットして形成されている。
これにより、上記流出ノズル41は、鉛直に対するいずれかの側面方向から見たときに、先端の流出開口46から、当該流出開口46に至る流路47の内面の一部を視認可能である。この例では、図示の矢印に示すように、斜めにカットされた切欠部48の方から見ると、流路47の内面の一部が視認できる。
【0040】
上記流出ノズル41には、たとえば樹脂材料を成型したものを用いることができる。樹脂材料としては、特に限定するものではない。たとえばポリアセタール樹脂などを用いることができる。このとき、上記流出ノズル41の材料には、抗菌剤を添加することができる。小さな水滴が残った場合、それが乾燥するまでのあいだの衛生状態を確保することができる。使用する抗菌剤は、特に限定するものではない。たとえば、銀系無機抗菌剤など、各種の抗菌剤を用いることができる。具体的には、BIOSURE SGI(抗菌化研社製)を上述したポリアセタール樹脂に1%添加したものを使用できる。
【0041】
〔操作ユニット〕
上記操作ユニット30は、有天筒状のケース33の前面に操作ボタン32が設けられている。上記ケース33の内部には、上記弁構造部31の一部を構成する進退機構34が収容されている。上記進退機構34には、上記弁構造部31の一部を構成する弁体35が取り付けられている。
【0042】
〔弁構造部〕
上記弁構造部31は、上述した流入開口45と、上記弁体35と、上記進退機構34とを有して構成されている。
【0043】
上記流入開口45は上記流出ノズル41の流路47に飲料水を流入させる。上記弁体35は上記流入開口45を開閉する。上記進退機構34は、上記流入開口45に対して上記弁体35を進退させることにより、飲料水の流出状態と停止状態の切り替えを実現する。
【0044】
上記弁体35は、操作ボタン32の操作により上下方向に進退する。この弁体35の進退により、流出ノズル41の流入開口45を開閉する。具体的には、操作ボタン32を押圧操作すると弁体35が上がって流入開口45が開く。これにより、接続管43から入った流路47を通って流出ノズル41から流れ出る流出状態となる。操作ボタン32を押圧を解除すると弁体35が下がって流入開口45が閉じる。これにより、流出ノズル41から飲料水の流出が停止する停止状態となる。
【0045】
〔
上記形態の効果〕
上記形態の飲料水ディスペンサは、取水部11と第1貯留槽2Aおよび第2貯留層2Bとコック機構5とを備えている。上記取水部11は、交換可能なボトル1から飲料水を取水する。上記第1貯留槽2Aおよび第2貯留層2Bは、上記取水部11で取水した飲料水を貯留する。上記コック機構5は、飲料水の流出状態と停止状態を切り替える弁構造部31と、上記弁構造部31を経た飲料水を流出させる流出ノズル41とを有し、上記第1貯留槽2Aおよび第2貯留層2Bに貯留された飲料水を利用に供する。
上記流出ノズル41は、先端の流出開口46に至る流路47が鉛直に沿っており、鉛直に対するいずれかの側面方向から見たときに、上記流出開口46から上記流路47の内面の一部を視認可能である。このため、弁構造部31を流出状態から停止状態に切り替えたときに、側面方向から流路47の内面を視認可能な部分から、流出開口に形成される残水の表面張力のバランスが崩れ、メニスカスが崩壊することで上記流出開口46内に大気が流入し、流出ノズル41内にある飲料水が容易に出てくる。弁を閉めても流路47内に飲料水がほとんど残らないため、従来のように雑菌が進入して衛生状態を悪化させることがなくなる。
【0046】
上記形態の飲料水ディスペンサは、上記流出開口46の開口縁に切欠部48が形成されている。
これにより、上記側面方向から見たときに上記流路47の内面の一部が視認可能である。このように、上記流出開口46の開口縁に切欠部48を形成する簡単な加工だけで流路47内に飲料水を残さないようにできる。部品点数や組み付け作業が増えず、構造も単純化する。
【0047】
上記形態の飲料水ディスペンサは、上記弁構造部31は、流入開口45と、弁体35と、進退機構34とを有する。上記流入開口45は、上記流出ノズル41の流路47に飲料水を流入させる。上記弁体35は、上記流入開口45を開閉する。上記進退機構34は、上記流入開口45に対して上記弁体35を進退させることにより飲料水の流出状態と停止状態の切り替えを実現する。
このような弁構造では、飲料水の流出状態から停止状態に切り替えたときに、流出開口46に至る流路47への飲料水の流入が停止する。閉じた弁構造の下流側は負圧になり、流路47内に残った水は大気との圧力差で引力が働き落ちにくくなる。この場合でも、上記流出ノズル41を上述した構造にすることにより、上記流出開口46内に大気が流入し、流出ノズル41内にある飲料水が容易に出てくるのである。
【0048】
図3は、本発明
に適用できるコック機構の形態を示す。
【0049】
こ
の形態では、上記流出ノズル41の周囲に、上記流出開口46よりも先端側に出て上記流出開口46をガードするガード部材50が設けられている。
【0050】
この例では、上記流出ノズル41には、その先端側の外周面に雄ねじ部が形成されている。上記ガード部材50は筒状であり、内面には上記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成されている。
【0051】
この形態の飲料水ディスペンサは、上記流出ノズル41の周囲に、上記流出開口46よりも先端側に出て上記流出開口46をガードするガード部材50が設けられている。
ガード部材50の存在により、上記流出開口46への手指の接触が防止され、流出開口46への雑菌の付着が防止され、衛生状態を悪化させることがない。また、上記流出開口46の開口縁に切欠部48が形成されることによって、流出開口46に先鋭部ができたとしても、先鋭部への手指の接触が防止され、安全面を担保できる。さらに、流出ノズル41先端の破損を防止できる。
【0052】
それ以外は、上
記形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この例でも、上
記形態と同様の作用効果を奏する。
【0053】
図4は、流出ノズルの変形例を示す。
(A)は、切欠部48が、斜めカットよりもいくぶん凹状に湾曲するように形成されている。
(B)は、切欠部48が、図示の左右に斜めカットするようにして形成されている。
(C)は、切欠部48が、先端から根元方向に向かってV字状に切れ込むように形成されている。
(D)は、切欠部48が、複数のV字状切れ込みが並ぶように形成されている。
(E)は、切欠部48が、先端をR状にカットするように形成されている。
(F)は、切欠部48が、先端から根元方向に向かってU字状に切れ込むように形成されている。
これらの変形例でも、上記形態と同様の作用効果を奏する。
【0054】
図5は、本発明
の実施形態を示す。
本実施形態では、上記流出ノズル41の上記流出開口は、開口縁の一部に切欠部48が形成され、上記切欠部48以外の部分は平坦部49に形成されている。
【0055】
(A)は、切欠部48が、先端から根元方向に向かってV字状に切れ込むように形成されている。上記切欠部48以外の部分は平坦部49である。
(B)は、切欠部48が、先端から根元方向に向かってU字状に切れ込むように形成されている。上記切欠部48以外の部分は平坦部49である。
【0056】
本実施形態の飲料水ディスペンサは、上記流出ノズル41の上記流出開口46は、開口縁の一部に切欠部48が形成され、上記切欠部48以外の部分は平坦部49に形成されている。
流出開口46には、平坦部49を設けることにより、切欠部48の形成に基づく先鋭部ができないので、先鋭部に手指が接触して傷つくおそれがなく、安全面を担保できる。
それ以外は、上
記形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この例でも、上
記形態と同様の作用効果を奏する。
【0057】
図6は、本発明の第
2実施形態を示す。
第
2実施形態は、上記流路ユニット40に、流路47の弁体35近傍を大気に開放する通気路56が形成されている。上記通気路56の大気側の開口にはフィルタ57が取り付けられている。
【0058】
第
2実施形態では、弁体35の下流側が通気路56を介して大気開放されているため、弁体35が閉じたときに、通気路56から流路47内に大気が進入し、弁体35の下流側に負圧が発生しない。そして、流路47内の飲料水は、ただちに落下する。
それ以外は、上
記形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この例でも、上
記形態と同様の作用効果を奏する。
【0059】
つぎに、実
験例および比較例の試験結果を説明する。
【0060】
〔試験条件〕
模擬コック
を使用して残水の確認試験を行った。
樹脂ブロックに
、各種に設定した口径の穴(流路47に相当)をあけて
、模擬コックを作製した。樹脂の材質はポリアセタール樹脂とした。これは既存の飲料水ディスペンサと同様である。上記流路47を鉛直に沿うように配置する。
【0061】
図7は、実
験例の試験に用いた模擬コックである。流路47の下端(流出開口46に相当)が鉛直に対して斜めにカットされている。
・流路の口径φ:8,9,10,11,12mm
・流出開口部の角度:45゜
・流路の長さ:30mm+α(斜めカット分)
【0062】
図8は、比較例の試験に用いた模擬コックである。流路47の下端(流出開口46に相当)が鉛直に対して斜めにカットされている。
・流路の口径φ:10,11,12,13,14,15mm
・流出開口部の角度:0゜
・流路の長さ:30mm
【0063】
上記模擬コックを用い、流出開口をゴム板で塞いだ状態で流路内に水道水を溜め、ゴム板を瞬時に外す。その状態で、流出開口にメニスカスが形成されて流路内に水が残るかどうかを目視で確認した。以下の表では、目視で水が残ったものを「×」、残らなかったものを「○」と評価した。なお、メニスカスが形成されずに小さな水滴が残ったとしても、それは「○」と評価した。
【0064】
〔実
験例〕
同じ試験を5回行った結果を、下記の表1に示す。
【0065】
【表1】
〔比較例〕
同じ試験を5回行った結果を、下記の表2に示す。
【0067】
表1および表2に示すように、比較例に対して実
験例は良好な結果が得られたことがわかる。
【0068】
また、表1および表2の結果からわかるとおり、流出開口部の角度が大きくなるほどメニスカスが形成されにくくなり、流路内に水は残らなくなる。また、流路の口径が大きくなるほどメニスカスが形成されにくくなり、流路内に水は残らなくなる。したがって、流出開口部の角度が45゜以上で、流路の口径が9mm以上のときに極めて良好な結果が得られている。
【0069】
〔他の変形例〕
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明した。しかし本発明は、図示した実施形態に限定する趣旨ではない。本発明は各種の態様に変形して実施することができる。つまり本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。